シナリオ詳細
だんじょんしゅみれいたあ
オープニング
●ダンジョンを作ろう
白銀の鎧を纏った勇者がダンジョンを突き進む。
石煉瓦造りの薄暗い通路を。
樹木に覆われた花咲く階段を。
はるか天空に広がる雲の橋を。
海底に広がる半透明なパイプを。
溶岩の沸く灼熱の岩山を。
黄金きらめく神殿を。
勇者は進む。トラップを乗り越えて、暗号を解き明かし、進む、進む!
行く手を阻むはモンスター。
緑色のスライムが、骨だけで歩くスケルトンが、ゴツゴウゴブリンが、呪われた鎧が、大蛇が、怪鳥が、巨大な蜂が!
しかし勇者は止まらない。苦労しながらもモンスターを倒し、成長ししていく。
目指すはダンジョンの最終フロア。
待ち構えたラスボスに、挑みかかるのだ!
「――というのが、我が社の開発した『探求者の門』でございます!」
ビジネススーツを着た黒縁眼鏡の男。名をサラリーマン。本名である。
彼は渾身のビジネススマイルで、一枚のドアを指し示した。
細かい彫刻が施された煌びやかな扉だが、壁も部屋も存在しない。扉とその枠だけである。
「この先で体験できるのは自らを襲う困難と、それを打ち破る快感でございます。それのみでございます。
『扉』の中でおう傷や苦痛は現実には影響しない。そう、きわめて高度な幻術なのです。
確かに非常にお値段ははりますが、たしかな興奮を与えてくれることでしょう!」
『探求者の門』。別名ダンジョンシュミレーターは貴族へ売り出す娯楽商品なのだ!
●開発は遅れるもの
「ですが!」
所変わって幻想の酒場。
サラリーマンが全力の土下座を見せていた。
生涯をつぎ込んだような、見る者を圧倒するかのごとき全身全霊の土下座であった。
相手は依頼の話を聞きに来たイレギュラーズたちである。
「幻術のプログラムがまるでできあがっていないのです!」
額を地面につけたまま叫ぶサラリーマン。
「クライアントが先行公開日を早めたばっかりに……我が社の技術者はバリキドリンクの過剰投与で病院送り。五日の入院を言い渡されました。しかしこの公開日に間に合わないとなれば最悪契約は打ち切り。我が社は終わりです。全社員とその家族のため……どうかご協力ください!」
ウオーといって額を地面に叩き付けるサラリーマン。
そうはいっても幻術のプログラミングとか無理だよと言おうとしたそのタイミングで、呼吸の間をつくように素早く顔を上げた。
鋭い目で、言うのだ。
「必要なのは、皆様の『個性』でございます!」
話を要約するとこうだ。
対象者にダンジョン探索の喜びを追体験させるという幻術装置『探求者の門』。
しかしダンジョンの細かい設定や魅力あるボスキャラを作成するには至らず、その手前で開発が止まっていた。
ゆえに、今回依頼を受けたイレギュラーズたちこそがボスキャラとなり、彼らのセンスにバッチシあったダンジョンを半自動生成するという計画であった。
「これは一時しのぎ。しかし価値ある一時しのぎなのです。技術者が退院すれば開発完了までこぎ着けることができる。その『今』を勝ち取るため――皆様の個性と魅力をお貸しください!」
- だんじょんしゅみれいたあ完了
- GM名黒筆墨汁
- 種別通常
- 難易度EASY
- 冒険終了日時2018年09月19日 21時35分
- 参加人数8/8人
- 相談7日
- 参加費100RC
参加者 : 8 人
冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。
参加者一覧(8人)
リプレイ
●探求者の扉
黒光りした石の座席……とでもいうべきものが八つ、魔道ケーブルを介して巨大なキューブにつながっていた。
心臓の鼓動でもきざむかのように明滅を繰り返すキューブはいわく幻術発生装置であるという。
サラリーマンは小難しい専門用語をわきに置いて、この椅子とキューブが並んだ部屋をサーバールームと名付けて説明した。
「やれやれ、クライアントの無茶振りはどこの世界に行っても同じか。自動的にダンジョンを組み上げるというが、俺の場合どんなのができるんだろうか」
説明された通り椅子にこしかける『ナンセンス』オーカー・C・ウォーカー(p3p000125)。
動くにはどうにも不自由な全身鎧を着て椅子に座ってみれば、かぶとの内側に映像めいたものが出現した。
それは同じように別の椅子に腰掛けた『大空緋翔』カイト・シャルラハ(p3p000684)や、『永久の罪人』銀(p3p005055)や、『近衛メイド』フィル・D・オルティア(p3p006110)や『脳内お花畑犬』ロク(p3p005176)たちも同様である。
「折角なら可愛いの出てきてほしーよね? 猫とかどーよ、猫」
読み込み中をしめす映像をぼうっと見つめながら語るマリネ(p3p000221)。
「ダンジョン作り、ねぇ…要は楽しませれば良いんだな?」
息をついて集中する『水面の瞳』ニア・ルヴァリエ(p3p004394)。
『忘失の過去』クランベル・リーン(p3p001350)はどこか楽しげに足を振っている。
「わくわくするようなダンジョンを作っちゃおー!」
キューブの明滅リズムが徐々に短く、早く、そして光が強くなっていく。
読み込みが済んだその直後、キューブの青白い光が部屋を包み込んだ。
●オーカーダンジョン
第一のダンジョン。それは魔物が蔓延る不思議な町であった。
仮勇者は薄汚れた地下牢で目を覚ます。人工的な牢獄ではあるものの、見回りに歩いているのはゴブリンのような怪物たちだ。
このまま部屋にいては処刑されてしまう。部屋の中から見つかる鍵によって牢を脱出するのだ。
たまたま見つけた武器を装備して見回りゴブリンを倒し、薄暗い牢獄から外へ出ればいよいよ本番の始まりである。
石造りの古い町並み。巨大かつ円形の壁が町をかこみ、中心には塔のようなものが建っている。
初期装備と共に手に入ったメモにはこう書かれていた。
『汝は針也、始まりより正しく時を刻め。時を守る者から証を取りてその役目は終わる』
この意味が分かろうと分かるまいと、勇者は先へと進まねばならない。
退路は既に無いに等しいのだ。
町をこっそりと進んでいけば、ゴブリンが住民として暮らしているのがわかるだろう。
果物売りや肉売り。市場ともとれる風景である。
勇者はここへ突入し戦闘の限りを尽くしてもいいし、柱や屋根を利用してこっそりとやりすごしてもいい。
しかし建物に侵入しツボや宝箱を調べればより強力な装備が手に入ることもあるだろう。
いや、ただ進むだけでも、いつかはそのリスクを冒さねばならない。
なぜなら町を順路通りに進んでいけば住民ゴブリンたちがしだいに強力なものとなり、一周した頃には巨大かつ鎧を纏った屈強な戦士ゴブリンを相手にせざるをえなくなるからだ。
だがそんな苦難を乗り越え、はじめのメモにある謎解きを理解し『時を守る者』もとい東西南北にある兵士の像からキーアイテムを入手すれば、ついに中心の塔へと入ることができるのだ。
塔で待ち受けるのはさび付いた鎧の戦士。
「門番たちにには悪いがここが終点だ。進むにしろ、退くにしろ」
最後の戦いを終えた時、まるで解放されたかのように戦士は力尽きるのだ。
「あぁ、やっと終わる」
役目を終えたのは、勇者だけではなかった。この世界そのものであったのだ。
●マリネダンジョン
ここは癒やしのダンジョン空間『にゃんこフォレスト』。
「迷いの森にいる猫達が人を襲う事態が多発している。猫神の怒りのようだ。森の最奥にある神殿に供物を捧げ、猫達を鎮めよう!」
ネコ妖精の導きのもと、勇者はそよ風のぬける美しい森へとやってくる。
森は迷路になっていて、地図を書きながらあっちへこっちへと迷いながらも進んでゆくのだ。
途中に現われるモンスターはもちろんネコ。
ノービスにゃんこにはじまりウィングにゃんこ、ファイターにゃんこ、キャスターにゃんこにアーチャーにゃんこ。
森の迷路がゴールへと近づくにつれにゃんこの強さや知能があがり、近づけば戦闘開始という迷路攻略を阻害しづらいシンプルなルールだ。
だがこんな風にも思わないだろうか。
モンスターといえどにゃんこを倒すのはしのびない!
そんな勇者のために用意されているのがねこじゃらしモード。
道ばたにちょこちょことはえた各種にゃんこに対応した猫じゃらしを集めていけばにゃんこの気をそらして戦闘を回避できるのだ。
ただし上手に気をそらさないといつまでも戦闘から逃れられないぞ。
迷路の脱出方法はただひとつ。
三つあるクイズエリアでにゃんこクイズに正解すると獲得できるキーアイテムをあつめ、最後の扉に翳すのだ。
最後はいよいよボスキャラとの戦闘だ。
猫耳と翼をはやした緑髪の少女が三種のネコを次々に召喚しながらビームやひっかき攻撃を仕掛けてくるぞ。
武力で倒すもよし、ここまで集めてきたねこじゃらしで仲良くなるもよし。
勇者の選択が試されるダンジョンなのだ!
●カイトダンジョン
幽霊船の噂をたどり、ディープシーの勇者は深海へと潜っていく。
水中での呼吸術をもった勇者は泳ぐように海底空間を移動し、美しい光景を楽しむことができるだろう。
だが本番は沈んだ幽霊船をみつけてからだ。
あやしい薄暗さをもつ幽霊船に侵入すれば、そこは不思議と空気のある船内空間が広がっている。
突如激しく揺れる船や窓の外を通る巨大な魚影にびっくりするかもしれない。
船室を探索してみれば、これがかつて使われていた沈没船であることがわかるだろう。
あちこちに残る生活の後。しかし死体はひとつもない。
不安に思っていれば、その理由はすぐにやってくる。
そう、海賊の服を着たスケルトンモンスターが襲いかかってくるのだ。
「宝は渡すものか!」
「俺らに歯向かうとはいい度胸だ!」
次々と襲いかかる骨海賊を、光の武器でやっつけよう。
だがそればかりに気を取られていてはだめだ。
悪霊や偽の宝箱、モンスターを呼び出す罠など船の中には危険がイッパイなのだ。
いくつもの危険をかいくぐり、ついに最後の扉を開いたなら、あちこちでモンスターを呼び寄せていた鷹が集合するのがわかるだろう。
そう、船内のあちこちに存在していた鷹こそが、この船の主だったのだ。
「ここまで俺の船を荒らしやがって! お前も海に沈めてやろうか!」
海賊の服装をした鷹飛行種のボスキャラは、銃と曲刀を操って襲いかかってくる。
彼の俊敏な動きと次々に沸いてくる骨海賊。
しかし注意したいのは船内のお宝をこれまでどれほど獲得したかだ。
もし宝物を沢山獲得していたなら、鷹の海賊は怒り狂い攻撃的になるだろう。それが彼の隙となるのだ。
「それは俺のだ! 全部俺のだ!!!」
そんな海賊たちの猛攻を押しのけ、海賊を倒したあかつきには、勇者は手にした宝物と共に明るい地上へと戻ることが出来るだろう。
●クランベルダンジョン
雷雨と暴風に晒された勇者は、ある屋敷へと迷い込む。
雨宿りにたどり着いた屋敷は、恐ろしい罠に満ちた恐怖の屋敷だったのだ。
屋敷から脱出する方法はただひとつ。
全ての謎を解き明かすことだ。
道中は不思議な仕掛けが盛りだくさん。
注意深く探索すると見つかる宝石をはめ込めば開く扉や、正しい順番でろうそくに火をともせば開く扉。大きなスイッチの上に物を乗せておかなければしまってしまう扉など……。
そんな定番な仕掛けを解くヒントは書斎や部屋の日記たち。
自らの知恵で解くもよし、ヒントをみつけて解くもよしだ。
しかし注意すべきはそれだけではない。
屋敷の中には魅力的な宝箱があちこちに置いてある。
宝箱を開けば美術品やお金、強力な装備やパンツが入っていることだろう。このパンツ一枚で闇市10回せるやんなどと調子にのって宝箱をあけていては大変だ。
いくつかの宝箱にはびっくりトラップが盛りだくさんに詰まっている。
噛みつく宝箱や恐ろしい幻覚を見せる宝箱。視界がうねうね歪んで気持ち悪くなる宝箱まであるようだ。
けれど知恵と勇気で屋敷を攻略し、最後の扉を開いたならば……。
「良く来たな、勇者よー!」
猫耳のついた少女が巨大なドラゴンと共に勝負を挑んでくるだろう。
だが恐れることはない。
ここまでの探索で手に入れた装備を駆使すれば、きっと勝利することができるはずだ。
美しい中庭で、最後の戦いに挑もう!
●ニアダンジョン
広大な砂漠に立っていた勇者。
それまでなにをしていたのか、何を目指していたのか。それすらわからないまま砂漠の旅は始まる。
勇者を導くのは不思議な精霊。
古代の建造物や小さなオアシス。何かの文明があった痕跡のようなものを見つけながら、勇者はふらりふらりと旅を続けていく。
旅を妨げるのは砂漠に現われるモンスターたちだ。
トカゲ頭の怪物や巨大なサソリ。
そんなモンスターが勇者を見つけるなり猛烈に襲いかかってくるだろう。
彼らに負けてしまわないよう、途中で見つけた建物やオアシスではしっかりと装備を調えておくことだ。
もしモンスターとの戦いで躓くなら、よりみちをしてより強い装備や沢山の消耗アイテムを手に入れるのもいいだろう。
そうして勇者がたどり着いたピラミッド状の遺跡に待つのは、真っ黒なドレスに身を包んだネコ獣種の少女である。
俊敏かつアクロバティックに飛び回る少女は次々と悪霊を呼び出してはけしかけ、勇者を翻弄するだろう。
そんな敵にテクニックだけで勝負を挑むもよし。途中のよりみちで手に入れたアイテムをふんだんにつかって対抗するもよしである。
ダンジョンを攻略した時には、美しい砂漠の光景と自らの栄光が手に入ることだろう。
●銀のダンジョン
コウモリが飛び交う魔城。
雷鳴が光るその城にたどり着いた勇者は、城の奥深くにすまうという『闇夜の王』を倒さねばならない。
並ぶ甲冑や雷鳴に恐怖するかもしれない。
本来の通路が動く棚やベッドによってふさがれてしまうこともあるだろう。
だが恐怖をぬぐい、勇気を持って進むのだ。
城は薄暗くおどろおどろしい一方で、各所に飾られた美術品や宝飾品が美しく、恐怖とはまた違った感情がわきおこるかもしれない。
だが油断はするな。
城をすすむたび、勇者を襲う恐怖はその密度を増していく。
ひとりでに動く甲冑は襲いかかり、宝箱は牙を剥くだろう。
突如飛び出した槍に貫かれることや、拷問装置にとらわれてしまうこともあるだろう。
さらにはコウモリの不意打ちや美しい女吸血鬼たちが勇者を襲うだろう。
そんな恐怖に打ち勝ち、隠された地下室を見つけ出せたなら……。
牢屋と拷問部屋、そして拷問器具と人間だったものが待っている。
いや、待っているのは女性のむくろをむさぼり食う巨大な狼だ。
もし勇気を出して戦い、狼を倒せたならば、部屋の奥に存在する秘密のアイテムを手に入れることができるだろう。
秘密のアイテムとは銀の弾丸。そして古い拳銃だ。
これが意味するものとは……。
「部屋に入る前はノックをするものだ。ママに教わらなかったかね?」
城の奥。玉座に座る『暗夜の王』!
「ショー・タイムだ! 俺の贄となれることを悦び給え!」
恐ろしく強力な王は、呼び出した美女や勇者から血を奪って力を回復し、血の魔力によって無限に攻撃をしかけてくるだろう。
彼を倒す手段は本来勇者に残されていない。
だがもし、隠された地下拷問室で狼を倒し、銀の弾丸を手に入れていたなら……王を倒す唯一の手段になるだろう。
銃に弾をこめ、王の額へ打ち込むのだ。
「お愉しみ……頂けたかな?」
●犬のダンジョン
「わたしの名前はツヨ=イコ=ヨーテ。そう……ラスボスさ!! 神に愛されし聡明なる頭脳を持つわたしが相手だ!!」
勇者を待ち受けるのは広大な草原と美しい大樹。
目指すは大樹の頂点だ。
だがただで通しではくれない。
道中に存在するいくつものモンスターたちが、勇者に襲いかかってくるだろう。
第一のモンスター、スゴ=イモグラ。
草原のあちこちに穴をあけては勇者の足をくじかせる地味に恐ろしいモンスターだ。
モグラ叩きよろしくあちこちから飛び出すスゴ=イモグラをタイミング良く攻撃できたなら、嬉しいアイテムを獲得できるはずだ。
そんなモグラ地帯を抜けても苦難は続く。
第二のモンスター、ハヤ=イオ=カミ。
集団で襲いかかるオオカミ型モンスターだ。倒せば便利なアイテムをドロップするが、強力なのでアイテム欲しさに戦い続けるとやられてしまうかもしれない。
いざとなったら回復アイテムのマンガ肉を投げて戦闘を回避しよう。
草原を抜ければいざ大樹にチャレンジだ。
落ちればオシマイな空中足場ダンジョン。
枝から枝に飛び移っていれば……第三のモンスター、ジェットペガサスが現われる。
天空をものすごいスピードで走り回る暴れ馬だ。
倒せばあとでものすごく楽になるが、倒すにはとても苦労するだろう。
困難をくぐり抜け大樹のてっぺんへ到着した勇者。
それを待ち構えるのが我らがラスボス、ツヨ=イコ=ヨーテ!
ジェットペガサスに跨がり(?)、無数のオオカミとモグラを操るラスボスだ。
次々と襲いかかる大量のモンスター。
だが諦めてはいけない。
ペガサスの好物はモグラを倒して手に入るマンガ肉。
これを投げれば慌てて食べ始め犬(コヨーテ)を落としてしまうだろう。
守ろうと立ち塞がるオオカミを倒して捕まえれば、見事ゲームクリアだ!
……ちなみに、途中のペガサスをとても頑張って倒しておくと飛ぶ手段を喪った犬(コヨーテ)がぷるぷる震えて降参の姿勢をしているので見物だぞ!
●フィルダンジョン
最後にひとつ、かわったコンセプトダンジョンを紹介しよう。
勇者はひとり薄暗い樹海へと迷い込む。
右も左も分からぬまま、森の中をさまようように進んでいくことになるだろう。
遠い鳥や虫の声が聞こえるだけの森。
それをえんえんと歩けば、所々にかわった場所が見つかるはずだ。
ベンチであったり、ブランコであったり、カカシが傾く奇妙な空き地であったりする。
そんな場所でじっとしていると、どこからか童歌が聞こえてくることだろう。
一節ずつ聞こえる寂しげな童歌。
それら全てをつなぎ合わせると、樹海の中央にある崖から飛ぶことが樹海脱出の手段であることがわかるはずだ。
そう、もう一つ注意するべきことがある。
森の中を歩いていれば、蒼い髪の幽霊をみかけることがあるはずだ。
幼い少女のようにも見えるその幽霊は、戦うこともなく逃げていくはずだ。
攻撃を仕掛けて倒してしまうか、各所のベンチやブランコでしばらくじっとして仲良くしてみるかは勇者の自由だ。
しかし、選択は必ずある結果へとつながるだろう。
「よく来られましたね、ここに封印された私を殺しますか? そうですか……では、まだ死にたくないので抗いますね」
崖下に広がる闇の中、不思議な女は勇者の魂を抜き取り即座に死を与えてしまう。
ダンジョンの探索はこれで終わりだ。
だがもし、道中で蒼い髪の幽霊と仲良くなっていたなら、崖下の闇では別のイベントがおこることになる。
不思議な女との戦闘が始まるのだ。
女との戦いに勝利できたなら、崩れ落ちる際の言葉を聞くことができるだろう。
「ははは、私はあの子を守りたかっただけなのにな……」
樹海と幽霊の真実が、少しだけわかるかもしれない。
●そして明日をつかむ
イレギュラーズたちの協力で作り出したダンジョンは貴族たちにえらく気に入られ、正式リリースが決定したという。
その際に今回のダンジョンが参考にされたという噂だが……その真相は、製品が世に出てみなければわかるまい。
成否
成功
MVP
なし
状態異常
なし
あとがき
――game clear!
GMコメント
こちらはチョットかわったダンジョン系シナリオです。
なんと! 皆様自身がダンジョンのラスボスになるのです!
細かいことはすっとばしますが、『探求者の門』は練達の技術者とそれを囲う会社(?)が作った幻術装置です。
対象に架空のダンジョン体験を与えます。皆さんがそのラスボスとして登場するのです。なんやかんやで登場できるのです。
●目標:いいゲームを作ろう
ゲームって言っちゃった。
PCの目的はユーザーが遊ぶダンジョンを作ることです。
であると同時に、PCのイメージにぴったりの素敵なダンジョンを考えることでもあります。
確実に敵を殲滅できる仕掛けだとか、効率を重視しすぎて即死トラップ敷き詰めちゃってるやつとかは、今回かえってPCの個性を殺したり娯楽性を喪ったりするので、ここは趣味に走って楽しく作りましょう。
●その1:ダンジョンをつくろう
1PCにつき1つずつ架空のダンジョンが生成されます。
(もしご希望であれば2~3人で1つでもOKですが、その場合は必ず誰か一人をラスボス、他のメンバーを中ボスとしてください)
このとき生成されるのはPCの個性にあったものですので、プレイングには『自分のPCのダンジョンを作るならこんな風景だろうなあ』と想像したものを書いて見てください。
例えばJKなら学校の廊下が複雑に入り組んでいそうですし、森に住む獣人なら故郷の風景をモチーフにしてもいいかもしれません。急にピラミッドを作ったりレースサーキットを作ったり会社のオフィスを作っていただいでもOKです。だって幻ですもの。
別にダンジョンにつきものってわけじゃあありませんが、トラップを仕掛けたりするのも素敵ですよね。自分らしいトラップって何かな、と考えてみるのも楽しそうです。
●その2:モンスターを配置しよう
PCがラスボスであるだけに、その部下であるモンスターも配置されています。
ラスボスがスライムそのものなのでいろんなスライムを配置するとか、炎が大好きなので炎系統で揃えるとか、文房具をモンスターに仕立てるとか……発想は無限大。幻術空間をハックするとか『仮勇者は痛みや苦痛を感じない』という商品仕様に触れない程度であれば、大体なんでもOKです。だって幻ですもの。
●その3:ラスボスになろう
ダンジョンの最後に勇者を待ち構えるのはやはりラスボスでありたい。PCがそのラスボスとなります。
いつもの格好のまま出てきて頂いてもOKですが、このために特別なコスチュームや演出をつけてもOKです。
黄金の鎧を纏うとか、全身から火を噴くとか、周囲になんか浮いてるとか、そもそも部屋がうにょうにょしてるとか。
戦闘の能力というかモーションやエフェクトも幻術によって作られるので急に火を噴いたり目からビームを出して頂いても結構です。戦闘スキルはあんま関係ありません。自由に発想して、自由に戦ってください。だって幻ですもの。
●その4:最終的にはクリアできる難易度にしてあげよう
これは娯楽商品ですので、ユーザーが最後にはクリアしてヤッターとなる作りにしましょう。
鬼畜難易度でもいいっちゃいいですが、チートすぎて勝負にならないとかなりイケません。
最初の目的を忘れていなければ、きっと問題ないはずです。
仮に問題があった場合はアドリブで(PCの個性ができるだけ魅力的に見えるように)軌道修正をするのでご安心ください。
最後に注意事項ですが、商品の仕様を超えるようなことや、超次元的ないしは特別すぎることはできないことがあります。そういうときはそっと軌道修正する予定です。
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