PandoraPartyProject

シナリオ詳細

ようこそ、サンタの住む街へ!

完了

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オープニング

●ウェルカム・トゥ・サンタウン!

 ここは空調、天候など、幾らでも人類にとって心地好く操作できるはずであろう練達の一角に『あえて』作られた、雪の降る町。
しんしんと折りてくる柔らかな雪を踏みつけて、駆け抜けていく少年がいた。

「ヤッホー!!! ゆ、き、だぁーっ!!!!」

 そのままふっくら積もった雪に、全身でダイブを仕掛けていくのは『清水洸汰』、そして。

「洸汰。はしゃぐのはいいけどさ、『今日の仕事』を忘れちゃいないだろうな」

数十歩遅れて、ゆっくり彼の後を追ってきた青年は『大地』だ。
その声に、雪の残るままの笑顔で、にぱっと洸汰は振り返る。

「えへへわかってるよー! 今日の仕事は……オレ達の役目は……」

──なんだっけ?

「やっぱ遊びに来ただけなんじゃねぇカ!!!」

こてっと首を傾げた洸汰に、『赤羽』の怒号が飛んだ。

「そんな怒んなくてもいいじゃーん、アカバぁ」
「ンンッ。ごめん、赤羽を抑えきれなかった。……えっと、ここは『サンタの住む街』……っていう体で売り出してるテーマパークの、セント・サン・タウン……通称サンタウンといって」

 主に再現性東京などから来た家族連れが、『冬休み』を利用して、この街に数泊の旅行に来ているのだが。
今回イレギュラーズにもこの街に潜入してもらい、訪れた皆が楽しめるお手伝いをしてほしい、ということらしい。

さて、皆に託された仕事は、ざっくりいうとこの通りだ。

一つ、サンタウンの来園客として楽しみつつ、この園のレビューをすること。

一つ、またはサンタウンのスタッフとして働き、他の来園客をもてなすこと。

そして、ある意味最も難易度が高いと言われている仕事が、もう一つ。

「覚えてるか、洸汰?」
「えーとえーっと……あ! オレ達が、ここにくるお客さんのサンタになるって事だよな!」
「何ダ、覚えてる事は覚えてるじゃねぇカ」

その言葉に、満足気に青年は頷いた。

「そう、ここの管理をしてる練達の技術者さんから頼まれたのは、大きく分けて今言った三つ。厳密に言えば、その中のどれか一つでも手伝ってくれればいいそうだ。得意なことをやってくれれればいいとも言っていたな」
「んー、どれをやるのがいいかなー、超迷う! ダイチはどーすんの?」
「そうだな、基本はゆっくり、街を見回るつもりだけど……人手が必要そうな所があれば、ヘルプにでも入ろうかな。洸汰は?」
「オレは……うーん、うーん……あ! あっこに雪うさぎがあるぜダイチ!」
「お前話聞いてたァ!?」

 さて、ここで何からやろうか、どれを手伝おうかと思考は尽きないけれど。
一先ずは、あなたにもこの言葉を贈らねばなるまい。

──ようこそ、サンタの住む街へ!

NMコメント

どうも、なななななです。
クリスマスらしいシナリオをなにかやりたくて、練達からカジュアルをださせていただきました。
以下、詳細になります。

●サンタウン
今回イレギュラーズが訪れた、雪の降り積もる人工の街です。
『サンタの住む街』というキャッチフレーズの通り、通りには飾り付けられたモミの木が並び、ちょこんとサンタ帽を被った雪だるまさんが居たりします。

雰囲気としては、まるで絵本の中の街をまるっと再現したかのような、ファンシーな冬の国といった趣です。
利用客一組ごとに、煉瓦造の煙突付きのお家が宿泊場所として貸し出されています。

広場には屋台が並び、ターキー、ホットワイン、シュトーレンなど、クリスマスならではの食べ物が売られたりもしています。

土産物店にも、スノーグローブですとか、サンタやトナカイを象った小物が売られたりしています。

●目的
とても大きな声括りで言うなら、『サンタウンを盛り上げる事』です。
以下に、ゆるく詳細を示します。

1、『客視点で楽しみ、アピールポイントを見つける』
ある意味そのままです。屋台で食べ歩きしたり、雪遊びを楽しむのも良いと思います。
この街の良いところを沢山発信してあげてください。

2、『スタッフの一員として客をもてなす』
屋台を手伝ったり、土産物店の店員になったり。
冬にはしゃいで、親御さんと逸れてしまう子供もいるようなので、そのような子を助けるのも良いでしょう。

3、『サンタに扮してプレゼントをあげる』
広場で盛大に『メリークリスマス!』と、来園客にプレゼントを渡すもよし。
煙突付きのお家にこっそり侵入して、枕元にそっとプレイングを置いていくも良しです。

……または、一緒にサンタウンに来られたお友達、恋人さんだけのサンタになってもいいかもしれません。

その他にも思いついたことがあれば、プレイングにてご提案ください。

●その他
一章構成、大晦日までにはしめきる輿丁です。
同行者が居られる場は、プレイング冒頭に名前+IDをご記載ください。

プレイングにてお声掛けいただければ、洸汰、もしくは赤羽・大地もお手伝いさせていただきます。

以上になります。
それではどうか、皆様が冬の街を楽しめますように。

  • ようこそ、サンタの住む街へ!完了
  • NM名ななななな
  • 種別カジュアル
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2022年12月31日 21時20分
  • 章数1章
  • 総採用数4人
  • 参加費50RC

第1章

第1章 第1節

ヨゾラ・エアツェール・ヴァッペン(p3p000916)
【星空の友達】/不完全な願望器

「よし、ここが目的のお家だね」

 真っ白、ふわふわな眉毛と付け髭姿に、ずっしりプレゼントが詰まった袋を背負ったヨゾラが足を止める。
その視界の先にあるのは、入口ドアにかけられた金色のベルの目印。
これは、サンタウンを訪れた宿泊客からのメッセージ。その意味は、つまり。

──サンタさんが来ますように!

「勿論、今から行くよ」

 よいしょっと屋根までよじ登れば、サンタといえば定番の、煙突からの『こんばんは』だ。
降りる途中で引っ掛からないよう、眼鏡は仕舞い、袋と煙突の口も何度も見比べて……そっとそっと、慎重に。

「よ、っと……!」

ふわふわなブーツが音と衝撃を吸収し、ぽふっと火のない暖炉へと降り立つ。そしてそのまま、目的の寝室へ。

そーっと、ゆーっくりとドアを開けたなら、ノルディックなベッドに眠るのは糸のようにしなやかでなめらかな金髪の少女。
ヨゾラの装いと同じ、真っ赤な靴下。その中に隠されたサンタさんへのお願いを、いざ拝見。

『ドギー君に友達が出来ますように』

眠る彼女の腕にぎゅうっと抱かれているのは、耳が垂れた斑の犬のぬいぐるみ。きっと『彼』がドギーなのだろう。
大丈夫、彼女の願いは今叶う。

ヨゾラが取り出したのは、真っ白で、ふわふわで、青い目をした猫のぬいぐるみ。
彼女とドギーを見守るように、そっと靴下から顔をのぞかせたなら。

(メリークリスマス。サンタウン、楽しんでいってね)

ヨゾラの願いも、きっと叶うことだろう。

成否

成功


第1章 第2節

アオゾラ・フルーフ・エーヴィヒカイト(p3p009438)
不死呪

「ムムム、これは。誠に由々しき事態なのデス」

 そう言ったアオゾラの目は、普段より何処かキリッとして見えた……かもしれない。実際彼女は真剣なのだろう。真面目に悩んでいるのだろう。くしゃりと、手の中で包み紙が音を立てる。

彼女が今居るのは、サンタウン内で行われているクリスマスマーケット。
その中の、シュトーレン専門店で足を止めたのだ。

 今日焼けたばかりのファーストシュトーレンは市場にその香りを存分に伝えてくるし、ワンウィークシュトーレンは今まさに他のお客さんも買っていった。きっと人気があるのだろう。
だが、アオゾラは、ワンウィークシュトーレンの更にその右に目を留めた。

サンタウンに積もる雪の如く真っ白な砂糖を纏った、ワンウィークシュトーレンよりも更に熟成された甘い香り。その断面からも、クランベリーやらアーモンドやらが顔を覗かせている。
その名も、クリスマスシュトーレン。まさにこのサンタウンに相応しいと言える一品だ。

「コレ、下さいデス」

彼女の言葉に笑顔で応じた店員が、指定された分だけシュトーレンを切り出していく。

「はい、どうぞー。メリークリスマス!」

彼女の左手にはずっしりと密度を感じる、甘い幸せが収まった。
だが、彼女はすぐにそれを口にはしない。なぜなら。

「まずはチキンを全部食べるのデス。……モグモグ」

チキンレッグとシュトーレン、クリスマスの味を2つも手にした今の彼女は最強に違いなかった。

成否

成功


第1章 第3節

フーガ・リリオ(p3p010595)
青薔薇救護隊
佐倉・望乃(p3p010720)
貴方を護る紅薔薇

 クリスマスの夜は長く、輝かしく、誰にとっても待ち遠しいものだ。
当然、サンタ軍団が山積みのプレゼントと共にやってきたのなら、目を輝かせた子供達が集まってくる事になるだろう。

「わあ、サンタのおにーちゃんにおねーちゃんだあ〜!」
「プレゼント、何かな、何かな?」
「はいはーい、慌てなくてもここに、ありま……お、重い……フーガ……!」

だからプレゼントを配るにも共同作業が必要になってくるのだ。
子供達への贈り物をソリから降ろそうとしてふらつく望乃を、フーガの手がそっと支えた。

「大丈夫か望乃? 重いものなら任せな。こーら、割り込みは駄目だぞ?」
「……あ、ありがとうございます、フーガ。はーい、皆、順番に並んでくださいねー!」
「そーだぞー、良い子の皆で、サンタさんのお願い聞いてくれなー!」
「大丈夫、プレゼントは逃げないよ」

さて、こうしてまたたくさんの笑顔に出迎えられつつも一件の配送を終えたサンタ一行。だが、洸汰は全然止まらない。

「よーし、まだまだ元気にプレゼント届けちゃうもんねー!」
「えっ、そろそろ休憩した……おい待テ、滑って転んでも知らんゾ!」

その背を赤羽・大地も追いかけていく。

「やれやれ、サンタに子守に大変だよなあ」
「でも走り出したくなるのもわかります。こんなにも綺麗な景色ですから」

周囲を見渡せば、月明かりに照る銀世界。そこに立つのは、フーガと望乃二人きり。

「なあ、望乃」
「あの、フーガ」

 声を上げたのはほぼ同時。互いに鏡写しのように、サンタの象徴、木綿の袋に手を入れていた。
何だ、同じ事を考えていたのかと、同じ顔ではにかんで。ここはお先にどうぞ、と言ってくれた妻に甘えよう。

「おいらの大好きな海の思い出を、いつまでも望乃の傍に置いてほしいから」

それは、二人で同じものを美しいと言い合いたいという、細やかな願い。その言葉とともに、彼女にそっと歩み寄って。その首を飾るのは淡く青い、海色のフゲッタ。

「ありがとう、フーガ。……これからは二人で、海を思い出にしましょう?」
「ああ、勿論だ」

さあ、夫から妻への愛が贈られたのなら、今度は当然。

「花咲く暖かな春が訪れるまで、あなたを寒さから守ってくれますように」

その祈りとともに、ふわっと首に巻かれたのは、若葉色のマフラーだ。それは暖かな国から来た貴方が、慣れない冬に体を壊さないように。

「マフラーなんて、初めてつけたよ」
「チクチク、しませんか?」
「いや、全然。それよりも」

初めて味わう感触はこんなにも温かいものだったのか、と真っ白な吐息とともに漏れ出た。

 このまま、二人は若葉芽吹く春を共に迎えて。夏には、大好きな海を一緒に見に行って。誓いを結び合った秋を、共に祝って。もう一度冬が巡ってきたのなら、きっとまた、この言葉を送り合うのだろう。

「ありがとう、おいらのかわいいサンタさん」
「はい! ……これからもずっと元気に過ごしましょうね、わたしのサンタさん」

成否

成功

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