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シナリオ詳細

<咬首六天>再来する罪の首輪

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●<咬首六天>再来する罪の首輪
「イレギュラーズ達かぁ? ヒヒヒ、あの罪人共め。今迄の恨み辛み、全て晴らしてやろうじゃねぇか……!」
 蔑んだ笑い声を上げるのは、街をうろつくゴロツキ連中は、蔑む笑みを浮かべる。
 新皇帝が就任した、鉄帝国。
 最初の内は新たなる皇帝により罪人に恩赦が与えられ、彼等によって無辜の民は虐げられ、苦しまされる。
 そんな者達を成敗する力……戦う力を持つ、イレギュラーズ達の台頭により、罪人達は一時期に比べて勢いを失っていた。
 だが……。
『新皇帝に逆らい、鉄帝国を混乱に陥れる奴等を捉えろ』
 新たなる新皇帝からの勅命は、新皇帝に仇成すイレギュラーズ達を討伐する事。
 彼等の生死問わず、仕留めた者に対して賞金を支払うという者である。
 そして、彼等……グルカント一家の手には、辛酸を舐めさせられたイレギュラーズ三人の手配書。
 350万、300万、100万……と、その金額は、彼等にとっては魅力的であろう。
 更にその話が街に流れると共に……苦しい生活を送る市民達もまた、あわよくば……と考え始める。
 そう、イレギュラーズに掛けられた賞金は、護るべき相手であった筈の市民もの視界を曇らせる。
 ……人々は常として、一攫千金を狙う者なのである。


「ふむ……そうか。イレギュラーズ達の活躍を、こういう形で歪めてくるとは、な……」
 深く溜息を吐くのは、『鉄帝国宰相』バイル・バイオン。
 彼の手には、『喰鋭の拳』郷田 貴道(p3p000401)、『黄泉路の楔』冬越 弾正(p3p007105)、『天才になれなかった女』イーリン・ジョーンズ(p3p000854)の名が記されており、それぞれの名の下には100万から350万GOLDと言う金額が記されている。
 そんな彼の言葉にヤドヴィカ・ホルショフスカも。
「ええ……彼等だけではありません。鉄帝国で活躍するイレギュラーズの皆さんも、総じて手配書が発行されているという具合です。更にそれら手配書を手にして、街の人々に触れ回る事で、今迄護っていた筈の一般人の方達すら、懸賞金に目の色を変えている状況です」
「……そうか」
 収集してきた情報を元に話すヤドヴィカに深く溜息を吐くバイル。
 ……だが、だからといって街を護る手を止めては、更に不利になっていくのは間違い無い。
 そして、振り返ったバイルは。
「……という訳だ。新皇帝の一手によって、明らかに流れは変わりつつある。しかし今、ここで新皇帝の下に下る訳には行かぬ」
「先日『ゾフィ村』の村人達を救出したのだが……どうやらこの村で、再びグルカント一家の残党達が集まりつつある様だ。それに加え、新皇帝派に属する特殊部隊がこの近くで警戒に当たっていると言う話だ。彼等を放置しておく訳にもいかん……だが、懸賞金が掛けられている様な状況故、どのような事件が起こるかも解らないが、どうか力を貸して欲しい……宜しく頼む」
 頭を下げるバイル……いつどこに敵が出るかも判らないこの状況ではあるが、足を止める訳には行かないのである。

GMコメント

 皆様、こんにちわ。緋月 燕(あけつき・つばめ)と申します。
 今回は『ゾフィ村』に関わるアフターアクションを踏まえ、懸賞金の掛かった皆様を誘き出す『グルカント一家』やらを迎撃する依頼となります。

 ●成功条件
   ゾフィ村に襲い来る『グルカント一家』及び、新皇帝派に属する『新時代英雄隊』を迎撃する事です。

 ●情報精度
  このシナリオの情報精度はCです。
  情報精度は低めで、不測の事態が起きる可能性があります。

 ●周りの状況
   今回の舞台となるのは貧しい農村『ゾフィ村』です。
   市民の方々はとても貧しい生活をしており、冬のこの時期は一層厳しい状況です。
   そんな状況下故、懸賞金がどのような影響を及ぼすかは分かりません……。
   グルカント一家は一度襲撃を仕掛けており、その残党達で構成されている故に、村の構造は理解済みです。
   一方で『新時代英雄隊』については街の構造は不明ながら、明らかにグルカント一家より強い者達で構成されています。
   ……とは言え彼らの根っこはゴロツキだった様なので、そう言った意味では暴力に訴えかける者達ばかりで構成されています。

● 特殊ドロップ『闘争信望』
 当 シナリオでは参加者全員にアイテム『闘争信望』がドロップします。
  闘争信望は特定の勢力ギルドに所属していると使用でき、該当勢力の『勢力傾向』に影響を与える事が出来ます。
  https://rev1.reversion.jp/page/tetteidouran

 ●討伐目標
 ・一度は半壊した『グルカント』一家:10人
    前に襲撃した者達よりは弱いですが、それでも力(暴力)が全てを解決するといった考えの下で動く者達です。
    武器は剣、長剣、刃つきのナックル等です。
    頭は悪いですが、懸賞金に目が眩んでいるので、ごり押しでやれば必ず勝てる……といった具合で行動します。
 
 ・新皇帝派『新時代英雄隊』:8人
   『波瀾に道だ新時代こそ英雄が必要』と騙る鉄帝軍将軍『レフ・レフレギノ』の下に集い、動く者達です。
   軍隊とは名ばかりで、その実は暴力に訴える事が好きな者達の集まりの様で、街の人々等からの略奪も厭いません。
   ただ武器、防具等は軍から支給されているのか、結構しっかりとした物を装備していますので、攻撃力・防御力等は高めとなります。

 それでは、イレギュラーズの皆様、宜しくお願い致します。

  • <咬首六天>再来する罪の首輪完了
  • GM名緋月燕
  • 種別通常
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2022年12月25日 22時05分
  • 参加人数8/8人
  • 相談7日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

ココロ=Bliss=Solitude(p3p000323)
華蓮の大好きな人
郷田 貴道(p3p000401)
竜拳
イーリン・ジョーンズ(p3p000854)
流星の少女
武器商人(p3p001107)
闇之雲
イグナート・エゴロヴィチ・レスキン(p3p002377)
黒撃
冬越 弾正(p3p007105)
終音
レイリー=シュタイン(p3p007270)
ヴァイス☆ドラッヘ
只野・黒子(p3p008597)
群鱗

リプレイ

●罪人
 極寒の冬を迎えた鉄帝国。
 新皇帝就任の時から多少の時が経過したかの国……そこに発せられたのは指名手配の報告。
 罪人が指名手配されるのならば極々普通の事であろう……だが、張り出された指名手配書には、街を救う為に力を振るうイレギュラーズ達。
 彼等が新皇帝派に叛逆する罪人達である……というのは、彼等からすれば当然たる流れ……そして罪人達に賭けられる賞金は、ゴロツキ連中にとって魅力的な懸賞金であり、更には市民達に取っても力足りずとも魅力的に映る。
 ……とは言えそんな懸賞金が掛けられた側としては……。
「これが俺の手配書……!?」
「そうね……私に、貴道、そして弾正の三人の手配書の様ね。このような形で私の顔を張り出して欲しくは無いものなのだけれど」
「そうか? 俺は正直嬉しいんだが。何枚か記念に持ち帰れたりしないんだろうか?」
「……それを持ち帰るだなんて……ね……」
 『黄泉路の楔』冬越 弾正(p3p007105)の言葉に苦笑する『天才になれなかった女』イーリン・ジョーンズ(p3p000854)。
 まぁ、普通では起きえない事態なのは間違い無い。
 そして、そんな手配書を手にした『グルカント』一家が、その懸賞金目的で、再度ゾフィ村に襲撃を計画していると言う噂。
 手配書があるからといって、閉じこもっていれば村人達が被害に逢う。
 しかし出て行けば懸賞金目的の彼等にとって獲物が誘き出されるわけで……。
「はっ……本当に懲りねえ連中が居るみたいだ。だが……学習能力が無いみたいだな? せっかく命が助かったってのによ、捨てに来るなんざ、バカだぜ?」
 嘲笑と共に、『喰鋭の拳』郷田 貴道(p3p000401)は大きく肩を竦めると、それに強く頷く『魔女断罪』ココロ=Bliss=Solitude(p3p000323)。
「ええ……この懸賞金制度はかえって逆効果です。新皇帝の悪手です。なぜなら! わたしのお師匠様も、わたしの郷田さんも、冠位魔種クラスを持ってこなければ倒せません。これでは皇帝側に迎合する勢力を摩耗させるだけなのですから」
 そんなココロの言葉に笑うのは『闇之雲』武器商人(p3p001107)。
「ははは……いやァ、大人気だねジョーンズの方。なんか他でも狙われてなかったキミ?」
 武器商人の言う通り、他の所からも、彼女を狙う輩共の存在が聞こえてきている……まぁ手配書が出ているという事は、それに目の色を変える奴等は多数いる。
 そんな武器商人の言葉に目をそらすイーリン……やれやれと言った感じの武器商人。
「まぁ……それはさておきとして、今年の冬は異常な寒さだと言う。この動乱が収まった後の、速やかな治安回復のためにも対策をしっかり行わないとねぇ?」
 武器商人の言葉に、はぁと一息吐きながらイーリンが。
「ええ……飢えと寒さ、あらゆる危機感が考え鈍麻させる。漠然と、金があればいいと思う。そして鈍麻した、奪う側になることさえ蔑む。そうなる前に富まなければ。神がそれを望まれる」
 シスター服に身を包み、祈るが如く手を合わせる彼女。
 それに『ヴァイスドラッヘ』レイリー=シュタイン(p3p007270)と『業壊掌』イグナート・エゴロヴィチ・レスキン(p3p002377)も。
「そうね。今年の冬って、ほんと不自然でとても寒い。少しでも冬を越せる方法があるなら手を伸ばしたくなるわよね。だから、私達は困っている人々を助けることで、彼等が罪を犯さないようにしないといけないわ」
「そうだネ。村にメイワクをかけた分はちゃんと働かなきゃね! 奴等全員、ぶっ飛ばされるカクゴ、出来てるかな!」
「出来てるも何も、盲目的に一攫千金を狙っているだけの様だし……ま、分からないのならば力尽くで教え込むだけよ!」
 二人共、力強い言葉を紡ぐ。
 そんな仲間達の言葉に弾正は。
「カルト教団の平信者である俺に賞金が掛かるのは嬉しいが、真面目に生きている仲間にもその札が掛かるのはいただけない。という訳で……みんな協力を頼む」
 頭を下げる弾正、頷く武器商人、そして。
「そうだねぇ……グルカント一家と、難でしたっけ? 新皇帝派に属する新時代英雄隊? ……彼等がどう出てくるかも分かららないけども、彼等を確りと倒さないとねぇ」
「ええ。恐らく新時代英雄隊は、横から割り込んでくる事が予測されます。更に村の人々が懸賞金に目が眩んで……という可能性も十分に考えられます。なので、村民の方々に『こちらと敵対するリスクは高いものの、友好的になるならば旨味はある』と認識を定着させることが良いでしょう」
「確かに……それじゃ、その方向で事を勧めるとしましょうかね、ヒヒ」
 『群鱗』只野・黒子(p3p008597)の言葉に頷く武器商人。
 例え村人達であろうとも、今回は裏切り者になる可能性は十分に高い……護るべき者達が裏切る可能性を蕗見ながらも、イレギュラーズ達は猜疑渦巻く村へと急ぐのであった。

●巻き起こる叛逆の狼煙
 そして、極寒の寒さが漂うゾフィ村。
 イレギュラーズ達が到着するが、当然ながら村にはイレギュラーズ達の手配書が張り出されており……街の人々達は、それに目を通している状況。
「ここにも……もう、こんなもの……!」
 どこか悪事を働こうとしている感じの顔つきに仕立て上げられた手配書を前にしたココロが、その手配書を手に取り……丁寧に剥がす。
 そしてその手配書をくるくると丸めて、鞄に大事そうにしまう。
 ……そして他の手配書を改めて見ると、イーリンも弾正も……似顔絵は、その顔の特徴がしっかりと捉えられていて。
「……それにしても、よく描けてますよね。どんな有名な絵師を雇って書かせたのでしょうか……」
 と素直に感心。
 ……そんなやりとりをしていれば、流石に村の人々も気付いて。
『あれ……もしかして……あの時の……?』
『そ……そうだよな? それに……あの手配書の……だよな……?』
『ああ……懸賞金……350万……』
 ゴクリ、と唾を飲み込む村人達……その視線が突き刺さる。
 ……そんな村人達に振り返ると共に。
「ああ、俺達は見ての通り、手配書に掛けられたイレギュラーズだ。だが、な……村を護りたい気持ちは変わらない。この街に、どうやら懸賞金狙いの奴等が近づいているようだ。俺達は絶対にこの村を守って見せよう」
 と弾正が声高らかに宣言する。
 対し村人達はざわざわっ、と騒がしくなる。
 そんな村民達に向けて、貴道とイグナート、更には黒子も。
「そうだな。俺達を傷付けようとか、月だそうとか……そういう事をしなければ、絶対に村は護る。命を奪うこともない」
「うん! だからオレたちの避難誘導の指示に従ってくれないかな? 大丈夫。だって、オレ達はこの前も村を護っただろう?」
「そうですね……手を出さないで下さい。私達からの御願いは、それだけです」
 三者三様ながらも、そう村人達を説得するイレギュラーズ。
 村人達は顔を見合わせたりするが……。
「……分かった。そうだよな、前に助けてくれたんだ。彼等が犯罪者な訳がねぇ。これもきっと、新皇帝達の企みなんだろう!』
 村を助けてくれた事がある故に、大多数の村人達は、イレギュラーズ達の話に従う。
「よしよし、っと。それじゃあこっちの方に避難して貰うとしようかねぇ……? 大丈夫、ここは我の陣地構築でしっかりと守りを固めてるから。万が一襲ってきても、我らが徒党を組んで護るとするからねぇ」
「そうね! あ、あとコレ、皆で分けて! 食料やら防寒具、持ってこれるだけ持ってきたから! 相手を倒したら、冬支度も手伝うから! 厳しい冬 になっているけど、みんなを絶対に死なせないわ!」
 そう武器商人とレイリーが村人達に声を掛ければ、段々と村人達の気持ちもイレギュラーズ達に傾いていく。
 勿論、だからといって完全に安心出来るという訳ではないが。
 ……そして村人達を大方避難させた頃合いで……。
『ヒッヒッヒ。奴等、必死に村人達の人気取りしてらぁ……懸賞金が掛かってるのによぉ?』
『マッタクだぜ。懸賞金が掛けられている奴等を殺せばオレ達は金が貰える。そして村人達も、協力すれば金が零れるってぇ訳だ……んじゃあ行くとするかねぇ……!』
『ああ……ゼッタイにころしてやらぁ!』
 その様な言葉を交わしながら、一気呵成に攻め入って来る『グルカント』一家。
 そんな彼等の接近を、張り巡らせていた気配察知で気付いた弾正。
「……殺意を含んだ音のエネルギー。奴等が来たに違い無い……皆、行くぞ!」
「了解」
 弾正の言葉に短くイーリンが頷き、彼等が攻め入って来る方角に踵を返す。
 村の外から攻め入る敵陣……そんな彼等に向けてイーリンが。
「ほら、貴方達の追い求める賞金首はこっちよ? 殺せるものなら、殺してみなさいな」
 嘲笑うような言葉で、堂々と振る舞うイーリン。
『っせぇなぁ! 罪人は罪人らしく、大人しく首取らせろ!』
 とグルカント一家は誘導されているのに気付く事も無く、イーリンに向けて進路を取る。
 そして……やってきた彼等に向けて、早々に武器商人が、恐怖を湧き起こさせる声を放つ。
『っ……!』
 一瞬目を見開き、足を止める……そこへ更にイーリンが。
「本当、ご無沙汰ね、グルカント一家? メッセンジャーボーイはどうしたの? 食べちゃった、のかしら?」
 舌を出して戯ける仕草を見せると、更に激昂する彼等。
 そんな彼等の表情や仕草をじっと見定める黒子が、仲間達の一部にグルカントの背後に回り込む様に移動指示を与える。
 ……そして、仲間達が回り込んだ所で、貴道は頷き、ワンステップで敵の懐に潜り込んで拳一発。
『ぐはぁっ!?』
 そのまま吹き飛ぶ身で、仲間達が転倒……同時に背後の方からレイリーが。
「ヴァイスドラッヘ、只今参上! この村は貴方達に渡さないわ!」
 威風堂々と宣言し、後衛のグルカント一家を強烈な一閃で穿つ。
 前後両面から同時に攻撃され、混乱する彼等。
 そんな彼等に対し、更にイーリンが。
「逃げ帰るのならこれ以上傷付けたりはしないわ。でも、牙を剥くなら……分かってるわよね?」
『う……うっせぇ、賞金首が!』
「そう……警告はしたわよ。ココロ、背中は任せたわ」
「ええ、お師匠様。任せて下さい!」
 イーリンの言葉にココロも頷き、二人はペアになって襲い来るグルカント一家を一人ずつ、確実に狙い澄ませて仕留める。
 更に弾正とイグナートの二人も。
「全く……性懲りも無くまた来るとはな。あの日の悪夢を再び思い出させてやろう」
「うん! 容赦はし無いからネ!」
 と後方から前線を上げて、グルカント一家を臥していく。
 力差を見せつけるように、圧倒的な優位を誇るよう、最初から全開で攻撃するイレギュラーズ。
 悲鳴を上げて地に臥していき、10人いた彼等は早々に、半数へと減る。
 そんな彼等の悲鳴を聞いて……かは分からないが、己達よりも背後から、更なる敵の気配。
「後方より一陣襲来……新皇帝派の様です」
 戦況を常に監視していた黒子が仲間達に叫ぶ。
 するとその瞬間、イレギュラーズ達の背後から幾つもの矢が飛んでくる。
「っ……!」
 咄嗟にその襲矢を躱すイグナート。
『チッ。戦いに夢中で楽に倒せると思ったんだがなぁ? ……まぁいい。てめぇらを倒せと新皇帝の勅命だしな!』
 汚く笑う、鎧に身を包んだ『新時代英雄隊』の者共。
 そして更に、彼等は村に届くよう大きな声で。
『村の奴等よぉ……そいつらは懸賞金が掛けられた賞金首だぜぇ? てめぇらが少しでも協力すりゃぁ、賞金少し位分けてやってもいいんだぜぇ!』
 その声に、村人達は僅かながらも心動く。
 ……とは言え先程、村の修復を手伝ってくれたし、襲撃してきたグルカント達から護る行為もしてくれた……イレギュラーズ達を裏切るのは、かなりの葛藤を及ぼしていく。
 だが、その言葉に重ねるようにココロが。
「いいですか、新時代の英雄とは、私の前に居る七人です。ああいう手合いじゃありません!」
 村人達を説得するよう、力強く話すココロ。
 ……それに、どうやら村人達の心づもりは気持った様で……ドアは開く事は無い。
『チッ……しゃーねぇ。ならオレ達の力で殺すまでだぜ!』
 眼光鋭く、剣を鈍く光らせる新時代英雄隊の面々。
 グルカント一家も、そんな彼等の言葉に。
『求める方向は同じようだしよぉ、一緒に倒そうぜぇ!』
 と少しだけ元気を取り戻す。
 ……しかしながら、所詮はゴロツキの烏合の衆。
 確実な絆を持つイレギュラーズ達の連携攻撃の前では、与えられた武器で脚色された実力だけでは決して超えられぬ壁がある。
 一人、二人、三人……次々とイレギュラーズ達の剣戟の前に斃れていく彼等は、数が減ると共に、段々と弱気になっていく。
 そんな彼等に、最後通牒の如く貴道が。
「もう十分だろう? もう十二分に蔓延っただろう、悪党どもよ?」
 辛辣にこき下ろしながら、敵陣に踏み込み大蛇の如き一閃で薙ぎ倒していくと、それを後追いする様にレイリーも。
「村も仲間も護る為にもここで私は絶対に負けられない! 斃れない限り守れるんだから!」
 強い心の定めに従い、撃退していく。
 ……そして、18人居た敵二陣は、残す所一人になる。
『こ、こいつら……やべぇ……』
 脚をガクガクと震わせて、恐怖に戦く彼に、イーリンが。
「貴方達も……夢から醒めた方がいいと思うわよ。凍え死ぬ前に、ね」
 冷たい一言と共に、月を纏いし一射を放つ。
 至近距離から放たれたそれは、その心を穿ち、臥さすのであった。

●罪よりも重い正義
 そして……襲い来る者共を迎撃し終えたイレギュラーズ達。
「さて、と……取りあえず倒した訳だけど、息があるのはいないかしら。ちょっと確認しておきましょうか……ココロ、村人達を御願い」
 とイーリンは、倒した者達の所に歩き出す……そして頷きながらココロは。
「ええ……村民の方々のお話を聞いて、少しでも不安を取り除きたいと思います。イーリンさんもお気を付けて」
 と微笑み、村人達の元へ。
 ……先程までの戦いを目の当たりにした村人達は、イレギュラーズ達が強い事を改めて感じ……僅かながらの恐怖が見て取れる。
 そんな彼等に弾正が。
「ローレットはただの戦闘集団ではない。困ったら、何でも依頼してくれ」
 と柔和な口調で語りかける。
 更には冬場の病気予防方法等、その知識を元にしてレクチャーをするココロ。
 そんな二人の言葉、会話に段々と心を研ぎ解されていく村人……そして、一家の状況を確認し終えたイーリンが戻ってくると共に。
「さて、と……村の皆に聞きたいのだけれど、この村で冬を越すつもりかしら? 今年は例年にない豪雪だし、この村に住み続けるようならそれを覚悟しなければならないわ?」
 とイーリンが言うと、それに貴道も。
「そうだな。完全にミーの一存だが……冬の間だけでも、何処かへ身を寄せるつもりはないか? そうだな……例えばラド・バウ独立区へ来てみたらどうだ? 避難民の受け入れは続いているし、今更多少増えたところで構いやしない。それにオレにはそれくらいの我が儘を押し通すくらいには働いているからな?」
 そんな貴道の言葉にざわり、と顔を見合わせる村人達。
「ま、すぐに結論を出して欲しい……って訳ではないわ。取りあえず、暫し過ごせる分位の食べ物は置いてくから、なくなる前に決めて貰えれば良いわ」
 そうイーリンは言いながら、持ち込んだチャリオット一杯の携行品食料を満載にした樽を置く。
 1ヶ月位は過ごせる量に、村人達から。
『……本当に、大丈夫なのですか……?』
 と心配そうに言葉が紡がれるが、レイリーがそれに。
「うん、大丈夫……そんなに時間はないけど、ゆっくり考えてみてね!」
 と笑い掛けるのであった。

成否

成功

MVP

イーリン・ジョーンズ(p3p000854)
流星の少女

状態異常

なし

あとがき

依頼にご参加頂き、ありがとうございました!
皆様が指名手配されるという状況になり、新皇帝派からお尋ね者になった皆様ではありますが……今回は皆様の説得もあり、村人達の裏切りは発生しませんでした。
勿論、今後も同じような事が続くとは思いませんが……ね。

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