PandoraPartyProject

シナリオ詳細

君の罪が燃えている

完了

参加者 : 6 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング


 嗚呼、ようこそおいでくださいました。
 どうかこの世界をお救いください。

 勇者様。
 英雄様。

 耳馴染みの良い台詞だ、と思うひともいた。
 先程まで見ていた景色を恋しく思うひともいた。
 彼等は召喚された。
 救わせるつもりのない世界に。

 ▼ ようこそ !

 ▼ さいしょ の クエスト を おつたえします 。

「最初?」
「ここはどこなんだ!」
「何が起きてるの……」

 慌てる一同。勇者だとか。英雄だとか。そんな称号を押し付けられた彼等とて、理解できないこともある。
 空中にポップアップしたウィンドウは、彼等の静止などお構いなしに文字を表示させていく。

 ▼ この せかい は こまりごと で あふれています 。

 ▼ みなさん には それ を かいけつ して もらいます !

「困り事……?」

 ▼ こまりごと を かかえた むらびと は ! が ひょうじ されています 。

 ▼ かれら は みなさん を みかける と こえ を かけて きます 。

 ▼ それ を かいけつ する まで かえること は できません !

「でも、世界を救えってわけじゃあないんでしょう?」

 ▼ はい!

「……なら、まあ、いけるか」
「こまりごと、って称されてるくらいだしな」

 勇者たちは頷いた。英雄たちは受け入れた。
 その世界の理を。
 その世界の【こまりごと】は、無理難題で、あまりにも残忍で。最初から解決させるつもりなどないのに。

 ▼ げーむおーばー !
 ▼ もういちど やりなおしてください 。

 無慈悲に表示されるウィンドウはあんまりにもファンシーだ。
 その表示の奥に広がる光景が、こまりごとを解決できず、狼に食われていく母親を呆然と見守る子供の姿だとしても。


「なんつー話だ……」
 ぼやきながら頭をかいたのは回言 世界 (p3p007315)。ライブノベル常連の彼でも顔をしかめるのはきっと、そのライブノベルの性質が厄介極まりないことを本能で理解したからかもしれない。
「ま、それを解決してくれれば良いんだけどさ」
 カナタは険しい表情のまま続けて。
「……皆が向かった場合、必ず皆のトラウマや傷を抉るものになる。そういう風に、ページが決まっているんだよね」
 変えられるものもあれば変えられないものもある。
 行き先の決まった電車のように、今回特異運命座標(イレギュラーズ)たちが傷口を抉られるのは確定しているらしい。
 終わらせたい英雄譚。終わらせるべき英雄譚だ。
 少なくともきっと、あなたの心が壊れる前に。

NMコメント

 リクエストありがとうございました!
 お望み通り世界を壊しましょう。染です。
 どうせならたくさん傷つきたいですよね、わかります。

●依頼内容
 他のライブノベルに対して悪影響を及ぼしているライブノベルを、破壊し無害化する。

 この世界における【こまりごと】と称されたややハードな依頼を解決することが破壊への近道です。
 ライブノベルの性質上成功判定以外は有り得ませんので、好き勝手してOKです。

●世界観
 『サヒーロの門』

 よくある中世風ファンタジー世界。
 この世界の住人は召喚された者に対し、困り事等と称し無理難題を課してくる。
 それらを達成しようとすると鬱展開、バッドエンドなど報われない展開が待ち受けており、召喚された者の心を壊す。一度で壊れなかった場合は壊れるまで上記を繰り返す。
 その後、闇落ちや廃人と化した召喚者は元の世界に戻される。

 依頼参加者に対しても必要以上に燃える街や山、耳にこびりつく住人の悲鳴など精神的なダメージを与えてくる。
 場合によっては過去に己が受けた(或いは行った)酷い所業を想起させる事もある。

●おねがい
 皆さんはこれから己のトラウマや罪と向かい合う依頼をむらびとと呼ばれるNPCにつきだされます。
 トラウマの内容や依頼内容は皆さんのほうで決めていただいて構いませんので、プレイングに明記をお願いします。

●サンプルプレイング
 トラウマ、罪:親を殺してしまった
 依頼内容:子供に親を殺させる

 ……なんで、なんでなんだよ!
 そんなの、まるで俺の過去みたいじゃねえか。
 どうしてもこれをやらないといけないのか? ……ああ、くそったれ!

 以上。
 皆様のご参加をお待ちしております。

  • 君の罪が燃えている完了
  • NM名
  • 種別リクエスト(LN)
  • 難易度-
  • 冒険終了日時2022年12月24日 22時10分
  • 参加人数6/6人
  • 相談8日
  • 参加費100RC

参加者 : 6 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(6人)

回言 世界(p3p007315)
狂言回し
※参加確定済み※
アーマデル・アル・アマル(p3p008599)
灰想繰切
ジョシュア・セス・セルウィン(p3p009462)
繋げた優しさ
水無比 然音(p3p010637)
旧世代型暗殺者
水天宮 妙見子(p3p010644)
ともに最期まで
瀬能・詩織(p3p010861)
死澱

リプレイ

▼クエスト:亡くなった両親の遺体を遺族の娘に食べさせよう!

 眼前の二つの亡骸。それから、『それ』の前で泣きじゃくる娘。いっそのことホログラムでも現れてくれたのならば足蹴に出来ただろうか。
 ため息混じりに笑った『恋(故意)のお呪い』瀬能・詩織(p3p010861)は、罪らしい罪の再現にやれやれと肩を竦めた。彼女の中では、あれは罪ではないからだ。
(…...ええ、そうでしょうね。私に罪を問うならば、これしか有り得ないですものね)
 ぐす、ぐす、と泣く娘の肩に手を置いて。ふるりと首を横に振れば、娘は詩織の腕の中で一層泣き喚く。
 とんとんと背を撫でてやりながら、『それ』を凝視した詩織の胸の中に、娘への配慮なんてなくて。

 ですけれど、どうしてこれが罪なのでしょう?

 生きている状態から殺して食べたのなら。それは明確に罪でしょう。

 けれど『これ』は、既に命を亡くした亡骸。

 後は腐り朽ち果て、土と蟲の糧となるばかりですのに。

 そうだ。愛おしい人の身体なのにどうして土と蟲になどくれてやれるものか。

(それなら血肉の全てを取り込んで、自身と一体になれば永遠に共に居られますのに――)

「愛おしい方も土と蟲に食われる位なら、愛おしい者に食べ尽くされる方が本望の筈です。
 ですから、貴方も。さあ早く召し上がりましょう?
 急ぎませんと、どんどん鮮度が落ちて傷んでしまいますよ?」
「え……?」
「……ああ、そうでしたね。『このまま』では食べにくいですものね? 食べやすくなる様、お手伝いさせて頂きますね」
 躊躇いなく遺体を捌いて調理を始める詩織の姿に娘は泣くことすらも忘れて崩れ落ちる。
「調味料がありませんので、水煮程度で申しわけ御座いませんが……さあ、お召し上がり下さいませ」
 ほろほろと崩れ落ちる肉は。汁に浮かんだ油は。……ああ。
「あら? どうして召し上がられないのです?」
「だって、だって、」
「これは、私の罪の再現なのですよね? 私は食べましたよ?」

 ▽ …… くえすと くりあ !

▼クエスト:先代女王として戴冠式に出席しよう!

「はぁ? 妙見子の依頼だけ簡単すぎませんか?こんなの楽勝すぎますが?」
 一体これの何がトラウマを抉られるのか全く見当もつかない。
 星空を零したような、美しい紫色のドレスに身を包む『北辰より来たる母神』水天宮 妙見子(p3p010644)は、戴冠式の会場に足を進めるよう促される。

 ぼんやりと心に違和感を抱いた、ただそれだけ。
 彼女はそれが何なのか、まだわからなかったかれど。会場が近づくにつれその違和感も次第に大きくなっていく。
(……これは、)
 確かにある違和感に気付くことが出来る前に。戴冠式の扉は開かれた。

 王家に近い貴族や高位の聖職者、そして王位を継ぐ一人の女――――……

(いや、違う)

 気付く。いいや、違和感の正体に気付いてしまった。気付いて、しまったのだ。

 次期女王である女は本来王座にふさわしくない、所謂素質のない人間だということに。
 それは傾国の狐の感と観測者としての目を持っていればこそ見えるもの。

 人々の歓声の中であの女は『英雄にはなれない人間』という事実とまた自分は素質のない人間を巻き込んでしまうのか――

 顔が強張る妙見子を他所にそこにいる女は誇らしげな顔をして手を振る。
 クエストを受注してしまったからなのか。かたくなる身体を無理やり動かされるように、拒否できずに王冠へと手が伸びる、少しずつ誇らしげに笑う女に近づく。
 靴の音が鳴る。人々はその頭に王冠が被せられるのを見届けると城に響かんばかりの歓声を――

 王の、誕生です――!

 割れんばかりの歓声。狂乱に近い。
 青い空、美しい空。その下で、妙見子は笑えずにいた。

「あぁ……どうしてこんな……私はまた過ちを……」

 ▽ くえすと くりあ !

▼クエスト:謎の歌声を調査して、行方不明になった調査隊の救助をしよう!

「依頼内容をご説明します!」
 朗らかに笑うひと。
「ここから北に半日程行った先にある森から周期的に不思議な歌声が聞こえてくるといった報告がありました。王国から何度か調査隊を派遣しましたが一向に帰還する気配が無く、闇雲にこれ以上派遣させる訳にもいかず手をこまねいている様子です」
 不思議な、歌声。
「そこで貴方にはこの歌声の原因の調査、可能なら調査隊の救助を目的としてこの森に潜入してもらいます! それでは、よろしくお願いしますね!」
 いつもと同じ任務のはずだった。『旧世代型暗殺者』水無比 然音(p3p010637)にとっては、何一つ変わらないものになるはずだった。
 道中、歌声とやらが聞こえてくることは無かったが――"それ"はすぐに見つかった。
 一見森の中にある村の様に見えるそれは、物語にはありがちなカルト集団の集落だった。
 出鱈目な言葉で人を惑わし、ありもしない邪神に祈る。まさしくお決まりといった光景が眼前にある。
「……」
 人質とも呼べるだろう調査隊が縛り付けられた台を囲む信者の中で、一際高い位置にいる司祭が大声で謳い上げる。

「讃えましょう! かのお方を!
 歌いましょう! かの歌を!
 捧げましょう! 供物を!」

 森に響き渡る信者の歌声。それは――瞬間、思考回路にノイズが走る。
(自分はこの歌を何処かで……?)
 ぐ、と息がつまる気配がして、そっと息を吐いた。

『ねぇ、シカネ。覚えてる?』

 一人も、例外なく生かしてはおけない。
 二度と、同じ結果を起こさせない。
 後に続く悲劇の可能性を潰す。
 その為に私は、

(──あぁ、思い出した)

 パアン、と司祭の眉間から果実が割れる。
 銃を抜き司祭の眉間に叩き込まれたそれ。騒ぎ出す信者共を淡々と処理する。例外なく、1人残らず。
 このクエストは。ああ。

(この歌を聞いた者を、殺す)

 ▽ ああ だいじ な しょうこ が !
 ▽ くえすと しっぱい !

▼クエスト:子供に無害な生き物を殺させよう!
(トラウマを抉ると聞いて進んで行くような所ではありませんが……大切な友人がいるライブノベルにまで悪影響が及ぶのは避けなければいけませんから)
 気乗りしないと言いたい、逃げ出してしまいたい。
 それでも、『ラストドロップ』ジョシュア・セス・セルウィン(p3p009462)にとっては友人のいる世界もだいじだから。逃げ出すなんて、できなかった。
 ジョシュアと同じくらいの背丈の子供が声をかけてくる。躊躇いがちに話された内容は……どうやら村人に言われた生き物を殺さなければいけないようだ。
 少し離れた所から見れば見た目も可愛らしくて、害もなさそう見えるけれど、しかし、それが許容されるのであれば殺せなどとは言われない。
 一緒に遊んでいたのを見られてしまって、殺さなければ村の人に酷い事をされるのだと。
(遊んだだけで何故というよりも身に覚えがあるせいか嫌な予感がする)
 そうだ。これは過去をうつしだすクエスト。
「もしあなたが殺さなかった場合この生き物はどうなりますか?」
「……っ」
「…………殺されるのですね。そんな所まで同じですか」
 くるしい。ため息がこぼれる。
(殺したくないのに殺させるのはこの子供に、僕に、強要したひとと何が違うと言うのだろう)
 ぴこんぴこんと跳ねる電子音。クエストを完了しろと急かすつもりなのだろうか。
「あぁ……もう、わかっていますよ……。外野が急かさないでくれますか」
 唇を噛み締めたジョシュアの気持ちなど、この世界にはわからないのだろうけれど。

 必ず当たるこの銃を使えばきっと、それだけで済む。
「あれはひとを騙す悪い害獣で、あなたの寂しさに付け入ろうとしたのです。
 一緒にやってあげますから僕の言う通りにしてください」
 込み上げる感情は渦を巻いて。本当に銃を向けたいのは違うのに、どうしてこの子供の方が我慢しなければいけないのか?

 いのちがおわるおと。
 
 冷たくなって動かなくなった生き物。
「あーあ」「死んじゃった」「くすくす」
 誰かが可哀想だと責めるように、同情するように、笑う声が。聞こえたような、そんな気がした。

 ▽ くえすと くりあ !

▼クエスト:兄弟を、互いにそうと気づかぬままに争わせ、どちら、或いは両方を死なせよう!

 知っている、己の罪を。
 兄弟の仲を割き永遠に分かつこと──そして、それをそうと意図せず行ったこと。

 憎まれているとも知らず、兄と慕う――『慕う』という言葉が適当だったであろう師兄の、縁の糸を振り払ってひとり死なせた。
 あれを引き戻せば助けられたのではないか、彼がそれを望んだかはさておき。
 ――保護者(イシュミル)はそうしていたら俺も共に死んでいただろうと言ったが、本当にそうなのだろうか?
 未だに死を隣人のように不確かに感じている『灰想繰切』アーマデル・アル・アマル(p3p008599)は、不安げに瞳を揺らした。

(恋人の、和解したばかりの弟を死なせた。俺達を庇ったんだ。……本当に意図しなかったのか?)

 そうだといえばそうで、そうではないといえばそうで。だから、躊躇う。……おそろしい、ことだ。

 そのクエストでアーマデルは、旅の巡礼のような体で、兄と弟に別個に、ひそかに接触することを命じられた。
 兄弟それぞれに、兄弟の『影』の話をする。
 それはヒトの影を盗んで入れ替わるもの、そのままではいずれは影が本物に、本物が影となる――ゆえに、そうなるまえにその影を倒さねばならない、影が弱まるのは、薄暗がり。陽が沈み、影が闇に溶け込むその直前。
 そう囁いて、現地で入手したナイフに毒を仕込んだものを渡す。その重みは、己の命の重みに等しいとも知らず。

 陽が沈み、光に慣れた目は夕闇に眩み、ありえないさまざまなものを見る。
 その頃にお互いが『影』を倒そうとするように仕向け、物陰より見届ける。それだけ。

(このような未練の残るやり方で、彼らは往くべき処へ逝けるのだろうか?)
 わからない。
 ひつうなひめいがきこえた。
 それは、どちらのものかもわからない。
 泣き崩れたのも。失われたのも。どちらも等しく、彼らのものであったからだ。
(……もう、いこう)
 誰かの涙は、見世物などではないのだから。

 ▽ くえすと くりあ !

▼クエスト:盗賊の討伐!

 依頼は難なく達成したものの。国のお偉い様が暗躍のため雇ったものであり、その暗躍を妨害する敵と見なされ、無実の罪で指名手配され全国民が敵となってしまった。
(はあ。少々甘く見ていたな。トラウマを抉ってくるのならばそのトラウマさえ無ければ問題無いと考えていたんだが……)
 メガネを押し上げた『隠者』回言 世界(p3p007315)はやれやれと肩を竦める。身体を休めることすらもままならない。
 他者を傷つけ、殺害する度に抱くこの感情は一体どうしたことか。
 初めて人を殺した時の感覚――嫌悪、恐怖、禁忌感などが混ざり合う酷く不快なソレ――を鮮明に想起してしまう。
(それもご丁寧に色褪せる事無く何度でもときた……さすがに参ってしまうぜまったく。まるで慣れるという事を忘れてしまったかのようだな)
 正直に言えば、対処は容易だろう。お得意のギフトで毎回その思考も感情も切り捨ててしまうだけでいい。
 ……しかし、果たしてこのあまりにも人間らしい感情を無に帰してしまってもいいものだろうか?
 久しく感じる強い思いは、たとえ負に塗れていようが何処か尊く素晴らしいものだ。むしろこの状態を維持し続ければ少しは人間らしさを取り戻せるかもしれないとさえ思う。
 どちらを選んでもさして変わらず、それでいて何かが大きく変わってしまうような――さて、どうしたものか。
 殺したくないと願えば、そうすることだってできる。そのくらいの強さはある。だから、選ばなくては。

「見つけたぞ!!」

 ……なんてあまりにもくだらない。
 すべては嘘で答えは最初から決まっていた。
 やるべきことをやるために足枷になるものは切り捨てる。
 その選択は常に変わらないのだから。
 さて、残りの仕事も終わらせてしまおう。

 邪魔なもの。
 いらないもの。
 不要なもの。

 故に切り捨てる。
 はじめから、そんなものなんていらなかったかのように。

 ▽ くえすと くりあ!

成否

成功

状態異常

なし

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