PandoraPartyProject

シナリオ詳細

パンドラビルドファイターズ・ゼシュテル

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●可能性の身体、再び
 ≪錬金樹脂性感受稼働式式神素体(プラモデル)≫――練達の設計技術者マツシゲによって開発された特別な式神素体である。
 同じく練達の錬金術師サッケンの開発した≪感覚接続式非接触操作台座(ビルドベース)≫の上でのみ、この式神は本来の特異性を発揮する。
 赤コーナーにセットされた二足歩行型ロボットを模したプラモデル。
 赤と白でカラーリングされたシャープな機体は、その目元をギラリと発光させた。
 青コーナーにセットされたのは四足歩行型ロボットを模したプラモデル。
 青と黒で色づけされた獅子が、咆哮をあげた。
 本来生きているはずの無い無機物に今、魂が宿ったのだ。
 操作しているのはそれぞれ台座(ビルドベース)に自らを接続しているカオスシードとブルーブラッドの戦士。
 二人はプラモデルを式神使役の用に操り、ファミリアーのように五感を共有し、ベース上に投影された幻の煙や爆発の中を走り出した。
 背部からのジェット噴射。これも幻影だが、まるで本当に噴射されているかのようにプラモデルは跳躍、飛行し、手にしたビームライフルを連射する。
 対する獅子はビームの雨をジグザグに駆け抜けながらビームブレードを展開。進路上のターゲットモブを次々に切り裂き、ブレーキと共に180度ターン。背部から展開したライフルで空中のロボットを撃ち始めた。
「おおっ、こいつはスゲエ! マジなバトルみたいだぜ!」
「こんなちっさいベースが闘技場になるたあな!」
 このど派手なバトルアクションが鉄帝マンにバカウケしたのが……今回のお仕事のキッカケであった。

●小さな闘技場。されど夢はでっかく無限大
「わーい! またオモチャの仕事なのです! ぶーん、ずどどどど、ばきゅーん!」
 白い翼を備えた青白カラーのプラモデルを手に、『新米情報屋』ユリーカ・ユリカ(p3n000003)が庭を駆け回っていた。
「これはボク専用機なのです! ウィングユリーカゼロカスタムなのです! 依頼主さんにやり方を教わって作ったのです!」
 二丁の巨大なビームライフルを両手に持ってぐるぐるーって回り始めるプラモデル……と、ユリーカ。
「今はこうして手で動かしてるけど、依頼主さんの作ったビルドベースを使えば自由自在に操縦できるのです」
 もとは幻想貴族向けに(ノリで)作ったオモチャだが、幻想貴族にはこのメカバトルがウケなかったらしくやむなく畳もう……とした所にゼシュテルの闘技場マネージャーが着目。
 鉄帝にいくつも存在する小規模闘技場の一つでこれを講演し、一発売りまくろうじゃねえかという話になったのである。
「ローレットのイレギュラーズは一度ベータテストをお手伝いしてるのです。だからまたお声がかかって……プロモーションバトルをやって見せて欲しいっていうお仕事なのです!」
 前回の仕事っぷりというかバトルっぷりが素晴らしくブラボーだったので、それを鉄帝マンに見せつけてやろうぜという趣旨しらしい。
「今回も2on2を二試合! 専用機の作り方もしっかり教えてくれるそうなのです! ぶい!」
 ユリーカは二本指を立てて、プラモデルを見せびらかした。

GMコメント

 需要的にPBW一作品に一度やれば充分かなと思っていましたが、『もう一回やりたい』『参加できなかったけどやりたい』といった声をあちこちから聞いたので、もう一度やってみることにしました。
 ぜひぜひ、お腹いっぱいお楽しみくださいませ。

 今回は試合を鉄帝マンたちが鑑賞しています。
 ノリはほとんど闘技場の観戦と同じなので、自分がファイターになったような気持ちでいってもいいかもしれません。

【概要】
 PC専用のプラモデルを作って楽しいバトルをするシナリオです。
 今回限りとはいえPCのイメージにぴったり合ったプラモデルを作成してみましょう。PCの個性や魅力が、違った側面から見えてくるかもしれませんよ!
(ここで言うプラモデルは人型ロボットを模した樹脂キットのことをさすバベル的な翻訳がされています)

●専用機を決めよう
 PCのプラモデルをイチから組み立てます。技術が無くてもそれなりのものができるように練達のオッサンが色々アレしました。
 細かいこと抜きで言うと、PCのイメージカラーや戦闘スタイル、もしロボだったらこんな武装だよねという空想をバシバシ盛り込みましょう。
 勝つことが依頼条件じゃないので、楽しんで作ってください。
 けど細かい仕様を書いてると文字数を使い切るので、『アニメ○○の○○をベースに○○して――』といった具合に書いてもらって大丈夫です。リプレイでは触れませんが、くみ取ることは出来るはずです。

●バトルをしてみよう
 2人チームを組んでバトルをしましょう
 リプレイの尺的な問題で恐らく1試合ずつ描写されますが、ある程度操作に慣れた状態の試合を描写するはずです。(なので操作に慣れるまでのプレイングは必要ありません。そこよりも楽しいバトルにプレイングを割いちゃいましょう!)

●プラモデルはお持ち帰り頂けます
 ます。が、非アイテムとしてフレーバーで持ち帰るので、装備欄に並べたい時は人形あたりを特殊化してご申請ください(実際ベースの外ではただの人形なので)。
 その際にこのシナリオをソースとして指定してもOKです。

 では、よいバトルを。

【アドリブ度(高)】
 ロールプレイをよりお楽しみいただくため、リプレイにはキャラクターのアドリブ描写を用いることがございます。
 シナリオの性質上かなりアドリブが沢山入ることになると思われます。もしアドリブされるの嫌だなって場合はプレイングに『アドリブ禁止』と書いて頂ければまあなんというか頑張ってどうにかします。

【オマケ】
 当シナリオはこちらのアフターシナリオにもなっています。
 直接関係はないですが、趣旨はほぼ同じなのでちらっと読んでみると今回の雰囲気が掴みやすいかもしれません。
『パンドラビルドファイターズ』
https://rev1.reversion.jp/scenario/detail/704

  • パンドラビルドファイターズ・ゼシュテル完了
  • GM名黒筆墨汁
  • 種別通常
  • 難易度EASY
  • 冒険終了日時2018年09月14日 23時20分
  • 参加人数8/8人
  • 相談7日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

マグナ=レッドシザーズ(p3p000240)
緋色の鉄槌
フロウ・リバー(p3p000709)
夢に一途な
ジェイク・夜乃(p3p001103)
『幻狼』灰色狼
九鬼 我那覇(p3p001256)
三面六臂
ヒグマゴーグ(p3p001987)
クマ怪人
サブリナ・クィンシー(p3p002354)
仮面女皇
黒星 一晃(p3p004679)
黒一閃
パーシヴァル(p3p005214)
美少女

リプレイ

●≪錬金樹脂性感受稼働式式神素体(プラモデル)≫
 練達の設計技術者マツシゲと錬金術師サッケンが協力して作り上げたプラモデル&ビルドベース。わずか数十センチの物体とはいえ白熱したバトルが繰り広げられるということで、ゼシュテルではブームの火がつきはじめていた。
 ゼシュテルに鉄騎種が多いせいでロボげなアイテムがうけるのも理由のひとつだとマツシゲは語る。
 そんなわけで、闘技スポンサーからガレージのひとつをまるごと貸し与えられ、プロモーションバトル用の機体作りが始まった。
「戦いが出来ると聞いて参加したが、まさか玩具で戦う事になるとは……」
 『墨染鴉』黒星 一晃(p3p004679)は難しい顔をして板状の物体を見つめた。
 ランナーと呼ばれるそれには各パーツが分解して接続されており、工具をつかってひとつひとつ切り離し接着剤等をつかって組み立てる。
 切り離してからはある意味機械の組み立てと同じなので、そういう畑に入ったことの無さそうな一晃には未知の世界であった。
「ニッパー……? 二度切り……?」
「見せてみせて。ほら、ここから順番に切っていくんだよ」
 一緒に勉強していた『美少女銃士』パーシヴァル(p3p005214)は銃器の組み立てと同じじゃんみたいなノリでみるみる吸収し、一晃に作り方を教え始めるほどである。向き不向きもあるのやもしれない。
 とはいえ作ってみるとおもしろいもので、彼らはしだいにプラモデル制作に熱中していった。
 かくしてできあがったのは――。
「魅せられてしまった俺の組み上げたプラモ、その姿、その雄姿をその目に焼き付けるがいい」
 機体名称『ヤタガラス』。シャープなシルエットに黒い翼を備えた機体は一晃のイメージそのままに寄らば斬るといった鋭い迫力があった。両腕には折りたたみ式のクローが装着されており背部には大きな刀と……格闘に秀でた様子が窺える。
 一方のパーシヴァルはといえば打って変わっての重装備。
 見えるだけでもガトリングシールド二門にバズーカ砲二丁。ミサイルポットを両足にごてごてとつけたいかにも火力で焼いていくといった機体だった。
 しかもなんでか機体にも『パーシヴァル』の名前をつけている。服装や髪のカラーが近いとはいえ、どうにも彼女の身軽なイメージとは遠かった。
「つっても、見るからに強そうなコンビになったじゃねえか」
 『緋色の鉄槌』マグナ=レッドシザーズ(p3p000240)と『『幻狼』灰色狼』ジェイク・太刀川(p3p001103)がギラギラと笑いながらやってくる。並んでいると不思議とサマになる二人組だ。
 彼らも塗装と組み立てを完了し、それぞれにプラモデルを持っていた。
「オレ専用機、『グレンバスター』だ」
 腰や二の腕の細さと小さい頭部。しかし真っ赤なカラーと焼けたロブスターを思わせるような各部装甲のシルエットがいかにもマグナといった印象だった。
 特に象徴的なのは左手の大きなハサミだろう。格闘以外のレンジをフォローするためかガトリングアームやミサイルポットも装備している。そういった意味でも彼らしい対応範囲である。
 一方でジェイクはどんな狼めいたプラモデルを繰り出してくるのかと注目していたら、なんか思っていたのとかなり違うのが現われた。
「プラモデル……俺の中の男の子血が騒いだぜ。作ったのも、俺が最強に格好良いと思っているあのプラモだ。ボロボロになってもめげない此奴が持つ鋼の精神を、鉄帝の奴らに見せてやりたくてな」
 そう言って台に置いたのは『クソザコ神ZZ』。
 ボディはメヒエみかんの段ボールとキャタピラ。両腕はまさかの素手で、頭からなんかドリルげな飾りが出ているというびっくりモデルである。
 顔を覆うマグナ。
「……知らねえか? クソザコ神」
「全く知らねえとは言わねえが、いつのまにかおかしな魔改造がされてたんだな」
「練達で隔週放送されてるらしいぞ」
「いい加減なことをいうんじゃねえぞ!?」
 本当に放送されていたらどうする。
 モデルを知っているだけにこいつが味方なのかと思うとマグナもちょっと複雑な気持ちだった。

 さて、自由に作っていいと言われると効率を考えたくなってしまう人も中にはいるようで、『仮面女皇』サブリナ・クィンシー(p3p002354)は設計段階からその考えを巡らせていた。
「シンプルな構成ですから特化された機体と相対すれば苦戦は必至。だから回避を主体にして相方の援護に徹しましょう。ということは……」
 サブリナがイメージ図として描いたデザインからマツシゲが立体をおこしサッケンが樹脂に加工し最終的にランナーになったものを組み立てる……という過程の末、サブリナの手元に組み上がったのは『ホワイトミーティア』という機体だった。
 シンプルなヒューマンシルエットにマントのような背部パーツ。しゅっとした頭部パーツと古典的アリスカラーがサブリナの気品や魅力を投影しているようにも見えた。
 特徴的なのは周囲に配置された四機の小型ロボットである。可愛らしい人形のようにさえ見えるそれらには、どうやら中央部からなにかを発射するレンズがついているようにも見えた。
「これなら、どんな状況にも臨機応変に対応できるでしょう」
「なるほど。多角的な攻撃……私の『オーシャンウィッチ』ともきっと相性がいいでしょうね」
 『夢に一途な』フロウ・リバー(p3p000709)が台において見せたのは、どこかずっしりとした印象のある機体だった。基本のシルエットはホワイトミーティアと同じもので、カラーリングも青と白という偶然にも似た機体となった。
 サブリナと異なるのは海中での運用を考えた背部のスクリューユニットや身体に纏ったローブ状の特殊繊維パーツである。これも錬金樹脂による布であり、しっかりとした防御装備なのだという。
 やはり普段のフロウのスタイルにそった運用を考えているのか、頭部はセンサーやアンテナ類が多く器用なイメージがついていた。
 ローブをめくってみると銀色の腕と青いラウンドシールドという簡素な装備で、シールドには何かの魔方陣が描かれていた。
 ベースはホワイトミーティアと同じでありながら魔法ロボの雰囲気を出すという、これまた偶然にも綺麗なペアリングとなった。

 さて、自分らしいロボといわれて自分そのものを想像するのもまた、人の個性というもの。
「式神とかファミリアーとかの技術でオリジナルプラモデルを作っての試合であるか。技術的には良くわからぬが、面白そうである。三面六臂の勇姿を見せてやるである」
 そういって『三面六臂』九鬼 我那覇(p3p001256)が組み上げたのがまさかの三面六臂ロボ。名前を決め忘れたのでざっくり『アシュラ』と名付けたこの機体の特徴はなんといっても六本の腕だ。
 しかもびっくりすることに『腕が多い』以外一切の武装を施していなかった。
 完全格闘型の男らしい機体である。ある意味我那覇の素直さが出たといってもいいだろう。
 彼とペアを組むことになった『クマ怪人』ヒグマゴーグ(p3p001987)もまた、別の意味でド直球だ。
「己の意のままに操れるプラモデルを戦わせる遊びとは、酔狂な事を考えるものだ。だが遊びとはいえ戦いとあらば、偉大なるジャークデスの怪人がいかに恐ろしいか見せてやろうではないか!」
 プラモデルの名前は『ジャークマジン・ヒグマゴーグ』。
 もう本人じゃんと言わんばかりの専用ロボである。実にスーパー系というか、悪役系というか、ラスボスが最後の最後で乗ってそうな機体というか、色々な意味でヒグマゴーグを深く象徴した機体であった。
 造形はそれこそヒグマゴーグをそのままメカっぽく造形したフォルムで、基本的にはデカい熊。腰部には彼のベルトとそっくりな黄金のドクロシンボルが輝いている。

 一部は偶然のペアリングであるとはいえ、綺麗に個性がそろった今回の八人。
 彼らの戦いが、無数のギャラリーが囲む屋内闘技場で行なわれる。
 開く扉とまぶしいスポットライト。
 それぞれの機体を手に、八人を歓声が迎えた。

●戦いの形
 第一試合の汽笛が鳴る。
 それぞれのビルドベースにプラモデルを設置した四人のファイターが、同時にベースをイグニッションした。
「マグナ――グレンバスター!」
「ジェイク――クソザコ神ZZ!」
「ヒグマゴーグ――ジャークマジン・ヒグマゴーグ!」
「我那覇――アシュラ!」
「「出撃!」」
 四機が同時に仮想空間へと飛び出していく。
 再現されたのは和風の町並み。混沌でもあまり見かけない瓦屋根と桜の風景に、我那覇は上機嫌を見せた。
「アシュラよ、三面六臂の力を見せるである!」
 アシュラはシンプルなフォルムからは想像できないような機動力でマグナのグレンバスターへ接近。
「格闘は得意だぜ!」
 グレンバスターはアシュラの腕を一本、クラブアームで掴み取ると肘部から突き出たビームパイルを勢いよく打ち込んだ。
 胴体を貫くビームパイル。しかしアシュラは倒れず、残る腕でグレンバスターの手足を拘束。高く跳躍すると、グレンバスターを大地に叩き付けたのだった。
「プロレス技だと!?」
「自由な発想。いいじゃねえか!」
 ならこっちもいくぜとジェイクの『クソザコ神ZZ』が両腕をゴムのように長く伸ばした。
 『ジャークマジン・ヒグマゴーグ』に組み付くと、途端にぶんぶんと振り回す。
「ぬおお……!?」
「クソザコおろしだ!」
 天高く放り投げられるジャークマジン・ヒグマゴーグ。
 しかし恐ろしいまでの頑丈さで着地。町並みをめちゃくちゃに踏み荒らしながら突撃しながら掌よりビームを乱射した。
 それを防御している間に至近距離まで接近。両腕のクローを叩き込んでいく。
「なんて堅さとパワーだ!」
 キャラピラと段ボールという貧相な見た目にもかかわらず案外持ちこたえるクソザコ神ZZ。しかしパワー負けして派手に吹き飛ばされてしまった。
 転がった先。天守閣の頂上でグレンバスターを掲げるアシュラ。
 ミサイルポットを開放してぶつけるも、アシュラは平気な顔で跳躍した。
「とるねいどばすたあ!」
 激しい回転をくわえ、グレンバスターとクソザコ神ZZを激突させるアシュラ。
「グマハハハ! そんなおもちゃで止められるものか! ホビー業界も娯楽産業も、いずれジャークデスが全てを支配するのだ!」
 ヒグマゴーグも(実際そうだっただけに)本物の悪役のごとく高笑いを放った。
 爆発し、派手に壊れるグレンバスター。
 しかし。
「俺のグレンバスターはこれで終わりじゃねえ。来い、Gフェニックス!」
 天にハサミを掲げるとき。輝く星と共にやってくる真っ赤な鳥形サポートメカ。それがグレンバスターと合体するとき――。
「完成! ファイナル・グレンバスター!」
「ぐぬう……!?」
 ヒグマゴーグが露骨に焦った。これ負ける奴だって本能で知っていたからである。
「必殺――ッドニルヴァーナ!」
 飛行するグレンバスターが高速で回転し、アシュラを粉砕していく。
「くうっ……一家に一台三面六臂である!」
 最後に言いたいことを言って爆発するアシュラ。
「こうなれば秘密兵器だ。ジャークブラスト!」
 ヒグマゴーグは両腕を振り上げると、口から炎をはき腰のドクロからメガビームを発射した。
 ビームに巻き込まれて墜落するグレンバスター。
 だが転倒したかにみえたジェイクのクソザコ神ZZがのびる腕で立ち上がり、腰のところにあるラジカセスイッチを押し込んだ。
 どこからともなく流れるミュージック。
 マイクをてにとったジェイクが自分で歌い始めた。
『いくぞ合体
 地面に転がるクソザコ神
 愛、愛はまだ分からないけれど
 自己顕示欲は人一倍
 おだてられると弱いから
 馬に括り付けられ特攻だ
 今日もどこかでクソザコ神
 明日もどこかでクソザコ神』
 歌にあわせてミサイルを乱射するクソザコ神ZZ。その全てが迎撃されるが、あくまでそれは目くらまし。
 前屈みになったクソザコ神ZZは、頭部のクソザコパーツを勢いよく発射した。
「なにぃ!?」
 こう言わなきゃいけないルールでもあるのか、ヒグマゴーグはあえて『おのれー!』と叫んで爆発四散した。クソザコパーツと一緒に。
 その様子を見て、マグナはなんでか顔を覆った。

 ジェイクたちが実にスーパーな戦いをする一方、こちらの試合はまた一風変わった雰囲気で始まった。
「フロウ――オーシャンウィッチ」
「サブリナ――ホワイトミーティア」
「一晃――ヤタガラス」
「パーシヴァルちゃん!」
「「出撃します」」
 それぞれのゲートから仮想空間へ突入する四機のプラモデル。
 彼らが着地したのは歪んだ高層ビルの建ち並ぶ近未来的空間だった。練達的といったほうがなじみ深いだろうか。
「火力で先制します」
 フロウのオーシャンウィッチは銀の腕を突き出すと巨大な魔方陣を展開。水の三叉槍や魚型の魔術弾を次々と発射した。
 対するはパーシヴァル。
 どっしりと両足を開いて構えると――。
「火力には火力をってね! フルオープンアタック!」
 ダブルガトリングとバズーカ砲。さらにはミサイルポットを全面開放してオーシャンウィッチたちに叩き込んだ。
 そうなると近接戦闘に出るのはサブリナが操るホワイトミーティアのつとめ。
 ビームライフル『シューティングスター』で牽制射撃を仕掛けながら接近をかけると、銃身からビームスピアを展開。そのまま突撃をかける。
 対するは一晃のヤタガラス。
「一筋の光と成らん!」
 黒光りするフォルムでまっすぐに突撃し、交差したクローでビームスピアを受け止めた。
 力は拮抗――かに見えたが、ホワイトミーティアにはまだ手があった。
「アン、ドゥ――今です!」
 ビルの影から飛び出した二機の人形。まるで巨大な剣をちいさな手でもつかのように胸からビームサーベルを展開すると、ヤタガラスの腰へと突き立てた。
「ビット兵器というものか……! なら、こちらも『第三の手』を使うのみ!」
 ヤタガラスから折りたたまれていたアームが展開した。
 その先端に付属しているのは妖刀カラストンビという専用装備だ。
 刀の一閃が人形アンを切り裂き、第三の腕から放たれたビームが人形ドゥを打ち抜いた。
 墜落する人形たち。
 しかし。ホワイトミーティアの人形劇はまだ終わらないのだ。
「トロワ、キャトル」
 ヤタガラスを蹴って離脱したホワイトミーティア。一方ヤタガラスのはるか後方に現われた二機の人形。三角形に取り囲み、一斉射撃が始まった。
 一方でパーシヴァルとオーシャンウィッチの戦いも激化していた。
 弾切れになったパーシヴァルが素早くマガジンを交換。脚部のミサイルポットを切り離して機動力をあげると、回り込もうと走り出す。
 一方でオーシャンウィッチは誘導魔術弾を大量に展開。
 パーシヴァルの逃げ道を塞ぐと、盾を構えて突撃をしかけてきた。
「おっとお!?」
「この盾は、防御のためだけではないのですよ」
 オーシャンウィッチの盾が黄金に輝き、突風を纏って突撃していく。
 途中にあるビル群はたちまちのうちに崩壊し、飛び退こうとしたパーシヴァルまでをも崩壊させてしまった。
 勝負はついた。
 かのように、見えた。
 しかし――。
 ホワイトミーティアの集中砲火の爆発から、一羽の烏が飛び出した。
 烏は高速で宙を舞い、崩壊したパーシヴァルの爆発へと飛び込んでゆく。
 かくして爆発をぬけ現われたのは――。
 飛行形態へと変形したヤタガラスと、サーフボードのように乗った影――全ての外部装甲をパージしたパーシヴァルそっくりのフィギュアプラモデルであった。
「これは……っ」
「作りこむのがんばったんだからね! 可愛くできてるでしょ?」
 装備らしい装備はない。しかし、あれだけの重装備をかつげるパワーを格闘のみにふったのなら……。
「パーシヴァルキック!」
 流星のごときパーシヴァルのキックがオーシャンウィッチを、巨大な刃そのものとなったヤタガラス飛行形態の自爆めいた突撃がホワイトミーティアをそれぞれ破壊した。

 割れんばかりの拍手と歓声。
 それにつつまれて、八人は大きく手を振った。
 プロモーションはみごとに成功したようだ!

成否

成功

MVP

なし

状態異常

なし

あとがき

 皆様のアイデアや個性の爆発、大変素晴らしゅうございました。
 あんまりにも素晴らしいので、練達から『プラモデル&ビルドベース』という特殊な武器が発売されたそうです。武器になっちゃったよこれ。
 マジ中のマジなので、気になる方は練達闇市へレディーゴー。

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