PandoraPartyProject

シナリオ詳細

<ネメセイアの鐘>君にあの声が聞こえるか

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング


 ――只管に、走っていた。

 靴はいつの間にか脱げていた。
 立派だった靴下も、もう穴だらけだった。
 あちこちで躓いて転んで起き上がって走り続けているから、何処もかしこもぼろぼろだ。

 もう、僕を“聖銃士”と呼んでくれる人はいない。
 ステラを失い、鎧を奪われた僕は、言ってしまえば――用済み、だった。
 でも僕が走るのは、この真実を伝えなきゃいけないって思うからだ。

 この世界は嘘っぱちだ。
 ファルマコンは残酷だ。
 聖銃士は幹部候補生(プリンシパル)になり、けれど、帰って来ないと言われていた。きっと裕福な暮らしをしていると思われていたのかもしれないが、真相は違う。彼らは贄になったんだ! そう、今の僕みたいに!

 ただひたすらに走る。
 下層の子たちは? 信じてくれるとは思えない。彼らはきっと、僕が他の聖銃士を作らないために嘘を言っていると思うだろう。
 中層は? 駄目だ。もう其処から既にマザーやティーチャーの目が光ってる。

 ステラ。
 もし今、僕の傍にステラがいたら――あの翼で、僕を自由にしてくれただろうか。
 ううん、もういないんだ。僕は泣きたくなった。でも、泣いてもどうにもならないんだ。僕はただの捨て子で、僕はただの駒で、そして、いまや要らなくなった、ただの贄だった。

 こわいよ。
 おかあさん。
 たすけて。

 叫びたいのを必死にこらえる。
 叫んだら何かが壊れてしまいそうな、そんな気がして。
 ――どうか……誰か。

 名前を呼べない。

 誰に助けを求めたらいいのかさえ、もう、判らない。

「逃げ場はないわよ、聖銃士キサラギ!!」

 声が。
 声が追いかけて来る。

「聖銃士は回り込みなさい! 此処からルデン通りを通って西に行くの! 聖獣は連れて行っていいわ、アタシがキサラギを追い立てるから! 狐狩りよ……! あっはははッ!」

 ねえ、君は――君もいずれ贄になるかもしれないことを、知っているの?
 アデリン。変わってしまった、優しい君。



「前に戦った聖銃士キサラギ。覚えてる?」

 グレモリー・グレモリー(p3n000074)は静かに地図を広げながら言う。“聖銃士”。其の言葉が意味するところは、これから話す事はアドラステイアに関する事項だという事。

「彼の鎧を奪ったよね。腕輪。あれ、まだ調査中なんだけど……ちょっとマズい事態になってるみたいなんだ。アドラステイアの上層で、キサラギが“贄”にされるって情報が入ってきた」

 情報元はラヴィネイル。ラヴィネイル・アルビーアルビー。彼女はアドラステイアに住んでいた子どもの一人だが、魔女として処刑される寸前に召喚によって命拾いした少女である。情報屋としての経験は浅いものの、アドラステイアの内部に関しては彼女の情報を信じない者はいない。

「下層の魔女裁判、中層の聖銃士、……色々あったけれど、今度の敵はプリンシパル。幹部候補生、と呼ばれる子たちだ。彼らは大人になる権利をもっていると言われているけれど……そうだけど、そうじゃない」

「大人の数が増えすぎるって、けっこーに、面倒なんだって」

 ぴょこ、とふわふわの髪に緑のベレー帽をした子どもが顔を出した。
 彼もまた、アドラステイアの内部を知る者。
「チョウカイ。連れてきたんだね、ベルナルド」
「ああ。急に連れて来いって言われたから、引き摺って来たんだが……」
 ベルナルド・ヴァレンティーノ(p3p002941)はやや困惑気味に、グレモリーを見る。
 オンネリネンとして使い潰されかけた彼はもうアドラステイアと関係ない筈では。そう言いたげな瞳だ。

「チョウカイ、君の秘密を話しても良いかい」

 グレモリーが問う。
 チョウカイはウーン、と難しい顔をする。勿体ぶった、年頃らしい子どもの顔だ。

「しょうがないなあ。今度、カフェ・ブランタンのチョコ買ってくれたら、いーよー」
「こら、チョウカイ」
「良いよ。……このチョウカイという子はね、興味だけで中層から上層に続く扉まで辿り着いた事のある探検家なんだ」
「……。本当か?」

 誰より驚いたのはベルナルドだろう。引き取ってこの方、そんな話は聞いた事もない。だからひみつって言ったでしょ、とチョウカイは意味ありげに笑う。

「グレモリーおじさんと僕だけの~、秘密だったんだ~」
「チョウカイ。もう一度、アドラステイアに戻る事は出来る? 勿論護衛はつく。とっても強い護衛が」
「……グレモリー」
「そんな眼をしないでよベルナルド。……必要な事なんだ。上層は入り組んでいて、しかもプリンシパルや聖銃士があちこちにいる。効率よく上層に辿り着くには、チョウカイの存在が不可欠なんだ。今は兎に角、時間が惜しい」
「……だろうけど、……ああ、クソッ」

 大人として子どもを守りたいという心と。
 子どもを助けるために、子どもをまた死地に送り込まねばならないという苦痛。
 ベルナルドだけではない。グレモリーとて、心を痛めている。
 其れでもグレモリーは情報屋として、「子どもが死にかけている」という情報がある限り、何をも惜しみはしない。例え謗られようとも、彼は動じない。

「……チョウカイには、上層までの道を案内してもらう。それから、まずはキサラギの探索。騒がしい方へ行けば、大抵見つかるとは思うけど……」

 グレモリーが淡々と説明を始めた、其の時だった。
 荒々しく扉が開けられて、小さな子供がふらふらと入って来る。ぼさぼさの黒い髪に、傷付いた脚。

 ――知る者は、彼の名を知る。

 ウヅキ。
 そう名付けられた少年は。

「……キサラギ、お兄ちゃんを……! 助けて下さい……!」




 あの嵐のような人たちが帰った後。
 僕は誰にも見つからないような寝床を探して、一人ぼっちでうずくまっていた。
 魔女になりたくない。でも、誰も殺したくない。
 どうしたらいいの? お母さん、どうしてあの時、僕を迎えに来なかったの?

「……!」

 足音がする。
 僕はびくりと身を震わせて、ただコンクリートの建物の隅で震える。
 ひたり、ひたり、ひたり。其れは人間の足音ではなかった。まるで大きな猫のようなものの足音だった。

「……いるんだろ?」

 男の子の声がした。
 巨大な獣と一緒に現れたのは、時々下層に降りて来る聖銃士……って呼ばれる人。立派な服を着て、明かりを持っている。

「ステラは此処で待っているんだ」

 そう言うと、聖銃士さまは僕の許へ駆け寄って来て、……僕を抱き締めた。
 殺されると思っていた。
 臆病者め、死んでしまえ。そう言われると思っていたのに、どうして抱き締めてくれているのか、僕には判らなかった。

「僕は、……君の、お兄ちゃんだよ」

 聖銃士さまは、……キサラギと名乗るひとは、確かに、僕にそう言って。涙を浮かべながら微笑んでくれたんだ。

GMコメント

 こんにちは、奇古譚です。
 キサラギの命の灯火が、今にも消えようとしています。
 彼は何をしましたか? 彼に、罪はあるのでしょうか。

●目標
 プリンシパル・アデリンを撤退させよ

●立地
 チョウカイにより案内される、アドラステイア『上層』です。
 小高い丘のような立地をしており、中層とは高い塀で隔たれています。非常に美しい街並みですが、なんとなく焦げ臭いような、生臭いような、嫌な香りが漂っています。
 海からの潮風が辛うじてその香気を薄めてくれています。
 街並みは幻想とそう変わらない印象ですが、矢張りぐるりと囲むような塀のせいで閉塞感を感じます。

 気候は雪。
 孤独に逃げるには余りにも厳しい寒さです。


●エネミー
 プリンシパル・アデリンx1
 聖銃士x3
 聖獣x2

 プリンシパル・アデリンは今回キサラギを捕縛する作戦のリーダーとなります。十字架を模した剣を持つ、大人でも苦戦する実力者です。
 聖銃士は幼い少年が2人と、少女が1人。
 聖獣は翼のないグリフォンじみた形のものが2体です。

●NPCについて
 チョウカイは上層までの道を知っているため連れて行かなければいけませんが、ウヅキをどうするかは皆さんの相談にお任せします。
 ただ、彼は行きたがっています。兄だと言ってくれた人の危機に立ち向かいたいと、勇気を出そうとしています。

●情報精度
 このシナリオの情報精度はBです。
 依頼人の言葉や情報に嘘はありませんが、不明点もあります。


 此処まで読んで下さりありがとうございました。
 アドリブが多くなる傾向にあります。
 NGの方は明記して頂ければ、プレイング通りに描写致します。
 では、いってらっしゃい。

  • <ネメセイアの鐘>君にあの声が聞こえるかLv:10以上完了
  • GM名奇古譚
  • 種別EX
  • 難易度HARD
  • 冒険終了日時2022年12月16日 22時10分
  • 参加人数8/8人
  • 相談7日
  • 参加費150RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

エイヴァン=フルブス=グラキオール(p3p000072)
波濤の盾
ウェール=ナイトボート(p3p000561)
永炎勇狼
ベルナルド=ヴァレンティーノ(p3p002941)
アネモネの花束
カイト(p3p007128)
雨夜の映し身
ゼファー(p3p007625)
祝福の風
ヴィリス(p3p009671)
黒靴のバレリーヌ
エーレン・キリエ(p3p009844)
特異運命座標
柊木 涼花(p3p010038)
絆音、戦場揺らす

リプレイ


 家族というものは、一目でわかってしまう。
 僕はあの子を見た瞬間、判ってしまった。

 ――キサラギ。
 ――良い子で待っているのよ。

 おかあさんの声が蘇る。
 君もそうだったのかな。泥を啜って生きていく人たちのなか、おかあさんに待っていてねと言われて、……そのまま迎えが来なくて、……そうして、君も、此処に来たの?
 “どうして”と“暖かい気持ち”がないまぜになったけれど、僕は聖銃士だから。必死に泣きそうになるのを抑え込んで、ステラの毛並みを撫で続けた。

 黒い髪。黒い目。
 ウヅキ、ぼくは君のお兄ちゃんだよ。

 そういうのに、どれ程の勇気が要ったかなんて、大人たちには判らないだろう。
 いつ魔女裁判にかけられるかも判らないのをはらはらしていたなんて、大人たちには判らないだろう。
 あの子は気が弱そうだったから、目立つことはないと思うけれど。
 目立たなくても魔女になる。其れがこの僕らの世界だ。
 結局魔女になるかならないかなんて運なんだと。
 聖銃士になれるかなれないかも、運なんだと。
 僕はウヅキを抱き締めた時、そう思って――初めてファルマコンに感謝したんだ。弟に会わせてくれてありがとうございます、って。其の時の僕はこのままプリンシパルを目指そうと思っていて、そうなると下層には顔を出せなくなるから。だから、其の前に弟に会わせてくれたファルマコンに、本当に感謝したんだ。

「……おに、い、ちゃん?」
「そうだよ。ぼくは、君のお兄ちゃんだ」

 可哀想に、ウヅキは震えていた。
 きっと何もかもが怖かったんだろう。何もかもを疑わなきゃいけない下層は、ぼくにとっても辛いものだったから。魔女が何処にいるか判らない下層で、僕の小さい弟は、震えながら一人で眠っている。その事実が胸に痛かった。

「おにいちゃん」
「うん」
「……おにいちゃん……!」

 きっと――嘘でも構わなかったんだろうね。
 ウヅキはそのまま泣き出して、……僕はそっと、其の小さな背を撫で続けていた。嘘じゃないって伝われば良いのに。僕がプリンシパルになったら、君を真っ先に下層から連れ出すのに。マザーにも、ティーチャーにもぼくが説明する。

 君を、
 君を必ず、此処から連れ出して――
 ファルマコンが見守ってくださる中で、僕たちは二人で、仲良く暮らすんだ。

「はあっ、はあ、はあっ……!!!」

 そう、思っていたんだ。
 けれどステラはもういない。聖銃士の鎧も奪われた。
 僕はいま、ただ追われる身。あの渓へと、魔女を葬ってきたあの渓へと僕を落とそうとする者たちから、必死で逃げる身。

 マザーが「話がある」なんて、僕の失態を責める以外に何がある?
 時間が経っていたから油断していた。もしかしたら僕はもう一度聖銃士になれるんじゃないかって、そんな淡い期待すらしていた。
 そんな訳がない。
 ファルマコンは、マザーは、僕を許さなかった。
 そうして僕は追われる身だ。狩られる側だ。必死に逃げるうちに服はぼろぼろになって、脚は転んだりつまづいたりした所為で血だらけになって、そうしていつの間にか、雪が降り出していた。

 寒い。痛い。怖い。
 アデリンが笑っている。僕を狐だと糾弾し、嘲笑っている。

 ―― 一緒に、ファルマコンから幸せを貰おう?

 そう言っていた君は何処へ行ったの、アデリン。
 会わなかった間に、君に何があったの。
 そう問う余裕は僕にはない。右から聖銃士が光の鞭を振るう。僕は其れを慌てて避けて、左へと駆ける。
 路地を抜けて、一本奥へ。聖獣がいて、路地を横切れない。囲まれるように通りを走り、走り、走り。気付けば僕は3人の聖銃士と2匹の聖獣に囲まれていた。

「あっはっは!! いいザマじゃない、“聖銃士”キサラギ」

 輝くような黒い髪。
 アデリンが剣を手に持ったまま、嘲笑うように僕を見据える。――“ように”ではない。僕を嘲笑っている。

 ……このまま、終わってしまうのかな。

「僕は、渓に、落とされる、の?」

 冷たい空気が喉に痛むけれど、僕はほうほうのていでアデリンに訊いた。
 ふん、とアデリンは不快そうに僕を見る。

「そうよ。あんたみたいなのでも、罪を雪ぐチャンスは与えられているわ。今のあんたは罪塗れ! 聖獣を失い、鎧を奪われ、なんて情けない! アタシがあんたを斬り殺さないのは慈悲だと思いなさい。アタシに斬られたら、罪を浄める事すら出来ないんだから」
「……そう、かあ」
「……なんで笑ってるの」
「いや、……ううん、なんでもないよ、アデリン」
「“プリンシパル”をつけなさい! あんたが気軽に呼んで良い名前じゃないのよ! もう逃げる体力もないでしょう。ほらあんたたち、さっさとこいつを捕らえて――」

 僕には、聴こえていたよ。
 “やさしいおとな”さん。

「生憎だが、贄だなんて寝覚めの悪くなるもんは遠慮してもらうぞ」

 聖銃士たちとキサラギの間に素早く割り込む影があった。
 其の体躯は子どもではない。其の眼光は、子どもではない。
 『波濤の盾』エイヴァン=フルブス=グラキオール(p3p000072)――すなわち、イレギュラーズである。

 ――おにいちゃん。

 疲れ切ったキサラギは、エイヴァンに支えられて意識を失う。遠退いていく意識、其の光の向こうで……何処かで誰かがそう言った、気が、した。



 時は少し遡る。
 『永炎勇狼』ウェール=ナイトボート(p3p000561)は上層につくや否や、音の爆弾に声を灯した。

「聴こえるか!! 家族を泣かした馬鹿兄貴!!」

 うへえ、と用意された馬車の中でチョウカイが耳を塞ぐ。
 ウヅキは其の“大人の声”を、じっと身を伏せながら聞いていた。

「絶対に死ぬな! 無茶もするな! 自分の身を大切にしろ! 助けてくれた家族が死んだら、助けた奴が一生“自分のせい”だと引き摺るぞ! 無茶をするのはなあ、イレギュラーズに任せておけばいいんだ!!」

「……」
「うわあ、すごい声だったねえ~」
「大丈夫か?」

 馬車を覗き込むのはチョウカイの引き取り手、『鳥籠の画家』ベルナルド=ヴァレンティーノ(p3p002941)だ。

「平気~。でも、今日は冷えるねえ」
「だな。馬車の奥に色々積んであるから、遠慮なく使ってくれ」

 俺が作った手作りだ、と。不器用ながらにベルナルドは笑ってみせる。
 へえ~、と遠慮なく後ろをがさごそ漁り出すチョウカイに、ウヅキはどうしたらいいのか、という顔をしていた。

「あれ? ベルナルドおにーさん、これ、3人分あるね?」
「そうだ。キサラギの分も乗せてある」
「……お兄ちゃん、の、分も」
「そうよお」

 ひらりと手を振って、顔を出したのは『魔女』ゼファー(p3p007625)。にやりと笑う其の様は、まるで御伽噺に出て来る魔女のよう。――いや、魔女なのだ。彼女はこれから魔女になる。

「わるいわるーい魔女たちが、これからキサラギを攫いに行くんだから!」

 そう笑う女性の傍に、“あの人”の背を見付けて、……ウヅキはじっと『雨夜の映し身』カイト(p3p007128)を見詰めていた。
 あの人は、ボロボロになって駆けこんできたウヅキに、こう言ったのだ――



「お前はさ」

 取り敢えず、と治療を受けるウヅキに、カイトは考え考え言う。

「やっぱりあの場所に、アドラステイアにいるべきじゃないんだよ」
「……」

 其れはどういう意味だろうか、と。
 無垢な瞳が問う。
 普段のウヅキなら、きっと“己は要らないのだ”と悲観したかも知れない。だけれど、カイトは責める調子ではなく、言葉を慎重に選んでいるように見えたから……だからウヅキは、続きを待てた。

「この場所はおかしい、ってちゃんと気付けるような奴ほど、そんな優しい奴ほど、さ。あそこはただの地獄なんだ。――本気で“おかしなもの”に『救い』を信じてる。そういう“大人”が作り上げた地獄なんだ」
「……おにいさんは、それがわかる、大人なの?」
「……」

 困ったようにカイトは頬を掻く。
 俺は、と口を開き、閉じて。……暫く考えると。

「俺はお前が思ってるような大人じゃない。“優しい”って言われる資格はまだまだ足りてねぇよ」



 違うよ。
 ウヅキはそう思ったけど、言えないでいる。
 ぼくのために、ぼくのお兄ちゃんのために、あなたが地獄だといった此処まで来た。
 キサラギおにいちゃんをたすけるために、此処にきてくれた。
 其の背中はあんなにやさしい。ぼくは知ってる、あなたの手は大きくて、でもとても優しくて暖かいって事を、ぼくはしってる。


 ウェールが馬車を引き、子ども二人を連れた馬車は動き出す。
 カイトが広域を俯瞰して周囲を見張り、更に『奏でる言の葉』柊木 涼花(p3p010038)が小鳥のファミリアーを飛ばして其の視覚を仲間に伝える。

「……」

 ウヅキは言われた通り、積んである布に隠れるように伏せながら……じっと前を、初めて見る上層の景色を見詰めていた。

「酷い匂いだねぇ」

 チョウカイが穏やかに言う。
 この匂い、入り口まで匂ってたよ、と。
 何かが焦げたような、魚を放置したような、生臭い香りがする。

「うん。……」
「何だろうねえ。あの中央にある塀って、何なのかなあ」

 好奇心旺盛なチョウカイ。傍らで喋り続ける彼をウヅキは見上げる。
 彼は絵が好きなのだという。だからすんなりとオンネリネンである事を捨て、ただの子どもとしてベルナルドと暮らしているのだという。
 ――ただの子どもって、何だろう?
 キサラギお兄ちゃんは、ぼくは、ただの子どもになれるだろうか?

「……難しい事は考えちゃ駄目~」
「あう」

 考えていると、ぴん、と額を弾かれる。
 目をぱちくりさせるウヅキに、チョウカイは笑ってみせた。

「君のお仕事は、キサラギお兄ちゃんをあっためてあげることだよ。あとはね、ベルナルドおにーさんとか、大人たちに任せておけばいーよ。ま、僕も昔取った杵柄をー、遠慮なく使わせて貰いますがー」

 そう言ってチョウカイが取り出したのは、クロスボウだった。
 ……ウヅキはまた、目を白黒させる。



 エイヴァンの腕の中で意識を失ったキサラギは、同じく割り込んだベルナルドと二人がかりで馬車に運ばれた。

「何? ――大人? は? なんでマザーでもティーチャーでもない大人が此処にいるわけ?」
「あらあら、如何にも不機嫌そうなお嬢さんだこと」

 かつ、こつ。踊り子は鉄の靴を鳴らす。
 『黒靴のバレリーヌ』ヴィリス(p3p009671)は仮面の奥からアデリンを見据え、そんなに怒らないで、と笑う。

「逃げようとする子をみると、自分の事みたいに思えるの。あの時の私は運が良かった。ちょっと自前の脚はなくなってしまったけれど、そんなのは誤差。運が良ければ助かる命がある――なら、私たちがこの子の幸運になるっていうのも、悪くないじゃない?」
「大人が“幸運”を名乗るですって? ふざけんじゃないわよ! 外のものは害悪だわ、外の大人なんて害悪極まりない! お前達、あの大人を排除するわよ! キサラギを渓に落とすのは其の後ゆっくりやればいいわ! あの馬車の中! 何がいるか判ったもんじゃない!」
「洗脳というのは――此処まで染み入るものなのか」

 いっそ感心する、と『特異運命座標』エーレン・キリエ(p3p009844)は呟いて、抜刀する。

 ――諦めるな、キサラギ。いま君を暖めている、君に生きて欲しいと願う弟の為に、生きるんだ。

 馬車の中が騒がしくなるのを聴きながら、エーレンは素早くアデリンに接敵する。そう。相手は子どもだと侮ってはいけない。
 腰を落とす。一歩深く踏み込む。そうして一気に鞘から刃を抜き、アデリンへと薙ぐ――其の刃を弾いたのは、皮肉にも十字架を模したかのようなアデリンの“燃え盛る刃”だった。

「剣でアタシに勝とうだなんて、百年早いわよ! “大人”!!」
「君こそ……! 自分の立場というものを判った方が良い。俺は鳴神抜刀流、霧江詠蓮。……君たちの命を啜って肥えるのは、一体誰だと思う?」

 小鳥を肩に留まらせた涼花が、楽器を奏で、歌をうたう。其れは単なる見世物でも道楽でもない、れっきとした仲間への支援。貴方の刃がより研ぎ澄まされて、相手の心へ届くように。

「プリンシパル・アデリン!」
「おっと、お前達の相手はこっちだ」

 合流しようとした聖銃士と聖獣からアデリンを“まるで庇うかのように”、カイトが立つ。

「“巧く使われて”偉くなった気分はどうかな、聖銃士さん。“ままならない”現実ってのをもいっぺん知ると、いい大人になれるぜ?」
「うるさい! 外の大人の言う事なんて信じるものか!」
「裏切り者のキサラギを護った罪は重いわ! 貴方達も一緒に、渓で罪を雪がせてあげる!」

 光の鞭を振り翳す、少女の聖銃士。聖銃士たちを護るように前に出る聖獣たち――ああ、子どもたちの成れの果て。
 其れを見て苦い顔をしながらも、ベルナルドは冷静を務めて子どもたちの戦力を測る。

「――聖獣は盾だ」

 其の戦闘能力は、爪と牙の二つだけ。
 かつて誰かの“友達”だった彼らは、今はもはや物言わぬ獣。フォルトゥーナ……イコルの製造所を失った影響からだろうか、其の脅威度は低い。

「少女が一番強くて、其の次が金髪の少年! 次に黒髪の少年だ!」

 だが――と。ベルナルドは舌を巻く。
 聖銃士の強さを測るついでに、とアデリンを“観た”が、恐ろしいほどの強さを有している。燃え盛る激情を映したような剣が、エーレンとゼファーの二人を相手取ってまともに打ち合っているというのだから。

「嫌ね、全く、大人の顔しちゃって」
「なんですって!?」
「貴方たちが――貴方が大嫌いな“大人たち”とおんなじ顔してるわよ、貴方」
「……!! ふざけないで!!! アタシは、アタシたちは、外の大人たちとは違うの!」

 アデリンの剣が燃え盛る。
 其の一閃を受け止めるのはエイヴァンだ。狼が群れになって行動するように。ウェールが狼の因子で繋いだ仲間たちは、流れるように攻撃を繋いでいく。
 其の一撃は血色の滝。アデリンは剣の腹で己を護り、僅かに後退る。其れすらも許せないと怒りに燃えるぬばたまの瞳が、大人たちを睨み据えていた。

「人の心配をしてる暇はないか」

 ベルナルドは呟くと、己に不退転を課す。勝てないなら“勝て”。そうして雷撃はうねり、轟き、聖銃士たちを護る聖獣を打ち据える。
 容赦をして勝てる相手ではない。――けれども、命を奪ってはならない。

「ああ、全く――ままならねえなあ」

 呟いたのはカイトだった。
 舞台は整えるもの。そうして十全となってから、招くもの。其れは“ゲイム”か? いいや、違う。舞台ってのは自由な場じゃない。封じてやり込めて、“アドリブ不可の台本”を突き付けてやる。そうして初めて「演じる不自由」ってのを知って貰うのさ!
 まるで雪に成ろうかとするように空へ舞い上がる黒い雨。其れらは聖獣2匹を相手取り、アギトのように噛み砕く。ぎゃいん、と鳴いた。まるで子どもの悲鳴のようで、やりづらい、とカイトは奥歯を噛む。

「ああ……そうね、とても寒い。此処は寒いわ、あなた」

 ところで、舞台には鋭利に舞い踊る主役が必要なのだ。
 其処に丁度いいバレリーヌがいるだろう? そう、ヴィリスは自由に、例えアドリブが出来ない舞台であろうとも踊り切って見せる。其れこそがプリマの意地。“終わりの分かっている”舞台ならば、踊り切ってみせましょうとも。
 まずは、舞台を漆黒に塗る。運命を汚された子どもたちが、聖獣たちが、突如放り出された新人俳優のように惑う。
 其処に剣の足先を躍らせる。聖獣たちが刻まれていく。この子たちはもうどうしようもないけれど――まだ聖銃士の子には可能性がある。
 だから貴方達はもう良いの。お眠りなさい。
 プリマは言う。ごめんなさいは言わないと。主役である己こそが最後に立つのだと。お前達の出番は終わりだと、非情に告げて、踊り続ける。

 ならば其処に、せめて音楽を添えましょう。
 涼花は奏でる。最大限の癒しを、最大限の支援を。
 其の音楽は響き渡るけれども、この上層を取り巻く空気は澱んでいて、涼花の音楽さえ花が枯れる如く萎びてしまうかのようだった。
 ―― 一体何の香りなのだろう。
 涼花は出来る限りを、出来得る限りしながら思う。
 これも立派な情報だ。アドラステイアという地獄を終わらせるために、持ち帰らねばならない。
 道中で気になったのは、中央にある、塀で囲われた上層の中でなお塀に囲われた塔の存在だが――あれは一体何なのか。あの塔の上には、一体誰がいるのか。
 一体、子どもたちを擦り切れるまで躍らせているのは、誰なのか。

「わたしは、まだ大人というには色々と足りていないかもしれないけれど」

 其れでも。
 大人というものは、子どもを助け、彼らが願いを叶える為に手を差し伸べるための存在だと信じているから。
 戦場に歌を。大人なんて信じられないと泣く子に立ち向かう英雄たちの背を、この手で力いっぱい押すのだ!
 泣きながら渓に放られるような命が一つでも減るようにと願いを込めて!



「大人なんかに……!」

 アデリンは、大人が嫌いだ。
 本当は、マザーもティーチャーも嫌いだ。目の前で悠々と笑う女も、己の前に壁のように立つ男も、みんなみんな嫌いだ。
 アデリンは捨て子だった。
 其の整った容姿は、捨て子にとっては“全く要らないもの”だった。自分が醜くさえあったなら、男たちの慰み者になる事もなかっただろう。女たちの嫉妬を買い、無用ないじめに遭う事もなかったのだろう。

 最初は悲しんだ。
 どうして己がこんな目に遭わなければならないのかと。
 次に世界に問い掛けた。
 どうして己にこんな残酷な事をするのかと。
 そして最後に――アデリンは、世界を憎んだ。
 “そう”するのなら、自分は“こう”しよう。

 アドラステイアに誘われたアデリンは、まず下層で子どもたちを集め、リーダー格になった。そうして己に心をときめかせる少年達を容赦なく魔女だと断罪し、石を投げた。腱を切って見せしめにした事もあった。其の頃から、アデリンの剣の才能は花開いていた。
 アデリンはのし上がってやると心に決めていた。この“子どもたちの楽園”で、どんなものをも利用して、どんなものをも切り捨てて、自分は生きてやるのだと。

「何故其処まで、大人を嫌う……!!」

 エーレンが刀を振るう。其れを打ち払い、更に返す剣でゼファーの槍を打ち払い、炎を剣に纏わせてエイヴァンへと振り下ろし傷を重ねる。

 ――ああ、其れは君の怒りだね。

 とあるティーチャーが、己の「鎧」をそう称した事がある。
 其の通りだ。この炎はアデリンの怒り、この炎はアデリンがアデリンである為の証なのだ。
 許せなかった。信頼していた聖銃士が大人に懐柔される事が。
 許せなかった。この清浄なる上層に薄汚い外の大人たちが入ってくることが。
 許せなかった。
 許さなかった。
 アデリンは決して、――例え死しても、己も含んだ世界を許さない。

「聖銃士と聖獣を捕縛した!」

 だが、アデリンは異常なほど冷静な子どもでもあった。
 己を揶揄した男子の足の腱を切った時のように、頭の芯が冷えていく。

 ――捕縛された。
 3人いた聖銃士が。2匹いた聖獣が。
 あとは己だけ。恐らく己も捕縛されるのだろう。――どうして殺さないのか、其の疑問は頭の片隅へ追いやって、アデリンはこれからどうするのかを考える。

 ……己はプリンシパルだ。
 ただでは済まない。拷問されても口を割らない自信はあるが、そもそもからして拷問を受けるなんて御免だ。

「……」

 たん、と軽い音がして、肩に痛みが走る。
 ――ウェールが狼札から取り出した銃弾を、アデリンの肩に打ち込んだ音だった。
 痛み、そして熱。
 アデリンは決断して、大きく大人たちから距離を取った。前衛にいたゼファーがいち早く、彼女の決断に気付く。

「あら、お嬢さん。逃げ場があるとでも思っているの?」
「ええ、思っているわ“お姉さん”。……アタシはプリンシパル。そう簡単にやられる訳にはいかないの。其れとも増援を呼びましょうか? 此処は上層だもの、同じプリンシパルを呼べば“あんた達が必死に意識を逸らそうとしてる馬車”も一刀両断出来そうだものね?」
「――!」

 ほんの僅かな隙だった。其の隙をアデリンは見逃さない。
 人間離れした脚力で飛び上がると、上層の街の屋根に載り……其のままプリンシパル・アデリンは逃げて行ったのだった。
 彼女の信条通り、“仲間でさえも切り捨てて”。

「……逃がしたわね。魚は大きかったのに」
「ああ。だが――少なくない傷を負わせた。療養して、総てを解決するまで大人しくしていてくれれば良いのだが」
「そういうタイプには思えないがな……」

 アドラステイアが存在する限り、またこの上層に来ることもあるだろう。
 そうしていつか、この上層をも含めたすべてを破壊するつもりでウェールたちは此処にいる。
 出来れば其の崩壊と共にアデリンに“普通の子ども”に戻って貰いたい。そう願うものは少なくなかったが――彼女の激情が其れを許さないだろうという予感もあった。
 其れほどに苛烈だったのだ。プリンシパル・アデリンという少女は。



 ごと、ごと、ごと。
 馬車の動く音が、僕の耳に入って来る。――……僕は、捕まったのだろうか。何か暖かいものにくるまれているのを感じる。……暖かい。出来るなら、ずっとこの暖かさの中にいたかった。

「おにいちゃん」

 誰かが、泣いている。
 僕はゆっくりと目を開ける。僕の為に泣いてくれるのは、もう一人しかいないから。

「キサラギおにいちゃん」

 ……夢みたいだった。
 僕は渓ではなく何か、薄暗い所にいて。ごと、ごと、ごと。其れはゆっくりと動いて、僕らを何処かへと運んでいく。
 弟が……ウヅキが、僕を泣きながら見ていた。夢の中なら、笑っていて欲しいのに。どうしてだか、ウヅキは泣いていた。
 其の隣で、知らない男の子が僕を見ていた。

「もう大丈夫だよ~、「元」聖銃士さん。君はね、助かったんだよ」

 ――助かった?

 僕が?

 そういえば、逃げる時に声を――聴いて。
 そうして僕は、其の声を信じていた気がする。

 ――『聴こえるか!! 家族を泣かした馬鹿兄貴!!』

 ああ、そうだ。
 そんな、僕を叱咤する声だったような気がする。そうして、僕の家族はただ一人だと思って、死ねないと思ったんだった。
 あの時、僕から“鎧”を奪っただけのヘンな大人たち。あの大人たちだろうかと、僅かに胸に期待を抱いて――

「おにいちゃん……!!」

 ウヅキが僕に飛び込んでくる。僕は其れを受け止めたかったけれど、腕ごと毛布にくるまれていてただのクッションになった。

「……ウ、ヅキ」
「おにいちゃん、おにいちゃん、おにいちゃん……! 良かった……!」

「ウヅキはな、頑張ったんだぞ」

 大人の声がする。優しい声だった。
 僕に、僕らにお父さんがいたらこんな声だったのだろうかと思うような。

「家族に置いて逝かれるのはとても辛い事なんだ。俺はよく知ってる。だから死に物狂いであの下層を抜け出して、俺達の所へ来てくれたんだ」
「ええ、ええ。とても勇気のある行動だわ。表彰してあげたいくらい。だとしたら貴方はさしづめトロフィーというところかしら。――トロフィーなんて言葉では失礼かもしれないわね。だって、お兄さんなんだもの」

 大人の声が、幾つもする。
 僕はまだ現状を理解出来ないでいた。大人に囲まれて、毛布にくるまれて、ウヅキはただひたすら泣いていて、男の子が其の背中をさすっている。

「僕は、生き延びたの……?」
「そうだよ~。ね、ベルナルドおにーさん。ほら、キサラギが目を覚ました事だし僕へのお説教は此処まで~」
「……」

 そっと僕の視界に入って来る、……大人。
 其の大人は知らない男の子に「後でまだ話す事はあるからな」と言って、僕の毛布をそっと整えてくれる。

「逃げつかれて体力を消耗したんだろう。……もう此処は大丈夫だ。此処は馬車の中で、君たちはローレットで保護する事になる」
「きみ、たち?」
「ああ。君を追っていた聖銃士たちもだ」

 ――大人って、ヘンだ。
 どうして僕を助けるんだろう?
 どうして僕だけじゃなくて、僕を捉えて渓に落とそうとした聖銃士も、捕まえたんだろう?

 そんな僕の疑問を表情から読み取ったのか、おじさんは僕に苦笑した。説明は後でしよう、と。
 其処に仮面をかぶった女の人と、可愛い女の子が更に覗き込んできて。

「思ったより元気そうで良かったわ。ねえ、涼花」
「はい。ベルナルドさんも言いましたけど、キサラギさん、もう大丈夫ですからね。これから病院へ向かって、しかるべき治療を受けましょう。其れに――とてもお疲れでしょうから。さあ、また眠って良いですよ」
「ええ。……あらあら。先にウヅキが眠ってしまったみたい?」
「本当だ~。戦いの間も眠そうなのこらえて、ずーっと僕とお世話してたからね~」

 瞼が重い。
 ――本当に、大人ってヘンだ。
 世界ってヘンだ。
 おかあさんを僕から引き離したり、僕とウヅキを引き合わせたり。
 かと思えば僕を殺そうとしたり、助けてくれたり。

「……へんなの……」

 僕は笑いたかった。
 なのに、溢れるのは涙ばかりで。僕は泣き疲れて眠ってしまうまで、ぼろぼろと、何の感情によるものかも判らない涙を流し続けていたのだった。



 キサラギを病院へ届けた後。
 少数によって、聖獣は――静かに弔われる。
 イコルに、聖盃に呑まれて戻れなくなった彼らに、生きていく場所はない。最早戻れず、かといって贄にする訳にもいかず人目の届かぬ所へ連れられて行った彼らに、カイトとエーレンは静かにとどめを刺し。
 そうして、遺骸は海を臨める丘へ葬られた。
 せめて、塀などない世界を見詰めて欲しい。そう願われて。

成否

成功

MVP

ウェール=ナイトボート(p3p000561)
永炎勇狼

状態異常

なし

あとがき

お疲れ様でした。
キサラギは極度の衰弱状態にありますが、時間が経てば元気になるでしょう。
チョウカイはあの後こってりと怒られました。冒険好きも悩みもの。

聖獣は弔われ、誰も渓に落ちる事はありませんでした。
プリンシパル・アデリンが落とされたという情報も、ありませんでした。
いつか彼女が大人を理解出来る日は来るのでしょうか。

優しい大人たち、優しい大人になりたい人達。なれなくても良いという人達。
ありがとう。

ご参加ありがとうございました!

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