シナリオ詳細
裏武器屋さんと殺し屋さんに"最強兵器"
オープニング
・シナリオトップ画面はリラのイメージです
「…………え、マジで言ってます?」
「マジだけど」
「…………」
平賀綺蘭は、困惑していた。 練達にある工房で眠ったはずなのに、朝起きたら鉄帝の外れにいた。 しかも隣にはとんでもない美人がいるし、なんなら膝枕されていたし。 貴女は誰かと尋ねようとして──上から一方的に宣告されたのがこの仕事。
『この兵器、欲しいから作って。資金が足りないなら"持って"くるし、人手がいるなら"連れて"くる。あ、勿論逃げようとしたら逃げようと思わなくなるまで"可愛がる"から。ふふ』
そして綺蘭が攫った女に見せられた設計図は、なんと……ただの落書きだった。 あいや、落書き並みの設計図。 グチャグチャの線で適当に形作られた兵器の姿に矢印であちこちに補足の加えられた酷いもの。 これでどう作れば良いのだ。
「……えーと、あの……何を御所望で?」
「見て分からない? これは完全無欠の最強兵器の設計図。 卮濘ちゃんから貴方のことは聞いた。 綺蘭ちゃんはどんなものでも作れちゃうんでしょう? だから、こうして平和的に"お願い"してるの」
「……(平和……?)」
改めて図面を見る。 ツッコみたくなる。 ニコニコと微笑む女を見る。 怖い。 目を逸らす。 暇そうにしているイレギュラーズを見かける。 綺蘭の脳裏に、一つの妙案が浮かぶ。
「えー……はい、わかりましたよー。 作ればいいんですよねー? じゃあまず"人手"を調達してきてもらってもいーです? 私はとりあえず……この図面を見ながら色々検討してみますのでー」
「ん、わかった。 よろしくね綺蘭ちゃん。 私のことは"リラ"って呼んで」
「……リラさんですねー、覚えましたよー」
こうなればやれるとこまでやってやりますかー……と、綺蘭は"人手"の調達に行ったリラが戻る前に──まず、"最強兵器の図面"とやらの、解読から始めるのだった。
「マジで何書いてるか読めねーんですが……」
・お前も"人手"だ
日常を過ごしていた貴方は、突如目の前に現れた緑の美女に目を奪われた。 それだけでなく行き先を塞がれて、矢継ぎ早に話を"浴びせ"掛けられた。
「よっ、君は今暇かな? 暇だよね。お姉さんと一緒に来てもらっていい? うん、ありがとう。来てくれるんだ。 ほら、こっちこっち。 私は今色々あって"最強兵器"を求めてるんだけどさ、綺蘭ちゃん……あぁ、『裏武器屋』さんがね、作るのには"人手"が欲しい〜っていうから、君の時間がどうしても欲しいんだ。 断るなんてしないよね。 ふふっ」
……もし断れば、どうなるのか。 それは……ニッコニコで手を繋ごうと差し出してきた右手を振り落とせば、確かめられるのだろう。 無論、試した者の報告はとんと聞いたことがないが。
- 裏武器屋さんと殺し屋さんに"最強兵器"完了
- NM名わけ わかめ
- 種別カジュアル
- 難易度NORMAL
- 冒険終了日時2022年12月08日 22時05分
- 参加人数6/6人
- 相談7日
- 参加費100RC
参加者 : 6 人
冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。
参加者一覧(6人)
リプレイ
・このシナリオはカジュアルシナリオであり混沌に起こる出来事・事件には何ら関係はありません。多分。
「……………誰がここまでやれって言いました?」
「ふふ、すごいね綺蘭ちゃん。お仕事が山盛りだよ」
「嘘だっ…………」
平賀綺蘭は、絶望していた。本来綺蘭は"仕事"を好まない人間だ。真っ当な生き方ができないからこそ、『裏武器屋』と名乗っている。それなのに――
「浪漫兵器を作れと!? やった~! 浪漫兵器! 妙見子、浪漫兵器大好き!!」
『北辰より来たる母神』水天宮 妙見子(p3p010644)はキャラ崩壊を厭わない喜びようで。
「ぉぉおおおー!! これが工房か! 色んな機材があって面白いのう!…これはなんじゃ?」
『ナチュラルボーン食いしん坊!』ニャンタル・ポルタ(p3p010190)はありあわせで作った野外工房に興味津々。
「ああ……もう……最悪じゃねーですか……」
それでいてなによりも絶望的なのは、設計図を妥協させないと言いはなつような資材の数々。マジでこれどっから持ってきたの?
「"貰って"きた」
「…………」
依頼主は、あっけらかんと調達してきた資材の山を誇っている。
「はぁぁぁ〜〜〜………やんねーとおわんねーですし、やりますか」
そう言って綺蘭は一升瓶を取り出し、気合入れに一本呷ったのだった。
・設計図ってそういうんじゃねーんですよ
過程を省き結論だけを話そう。 綺蘭は設計図の解読を諦めた。 だって、依頼主が協力者達が新たに"絵描く"設計図に乗り気なのだもの。
『えっこの設計図どーするんです?』
『あ、もうそれいらないから捨てて良いよ』
『……私の努力って一体なんだったんですかねー……』
そんなやりとりもありつつ、和気藹々と"設計図"が新たに作られてゆく。 発端は妙見子が船舶が変形し巨大ロボになるバk――アh――浪漫兵器を作ろうと提案した事だ。 そこからアレよアレよと要素が膨らんでいき――
「浪漫兵器…それが何か私は良く知っています。即ち、一撃の射程と攻撃力を突き詰めるのです…たとえ他の全てを犠牲にしたとしても。 そしてその攻撃力とは、圧倒的な熱量であるべきなのです。 兵器の価値とは敵への恐怖と味方の戦意高揚であり、破壊こそがそれを為すのであり、炎こそ破壊の象徴であるのですから」
「わかる」
『自然を想う心』エルシア・クレンオータ(p3p008209)のその言葉に、リラは賛同。この瞬間浪漫兵器が個人で持つにはあまりある過剰戦力になる事が確定した。
「ふむ…兵器開発か。 私はそういうのは専門ではないが
まぁ私自身の翼も、ある種の浪漫兵装と言える。折角だ、空にちなんだ物で考えてみるとしようか。 ……何やら変形だのなんだの聞こえた気がするが、まぁいい。 船を作るのならそれに「艦載機」と離陸用の「カタパルト」、これらを搭載したい」
「それ最高じゃないですか!!!!」
『蒼空の眼』ルクト・ナード(p3p007354)の案で広範囲に対して制圧も行えるようになった。
「この兵器の防衛はこの兵器自体で完結させるのは不可能だろうし、割り切った運用の方が合理的だろうな」
そして妙見子は超乗り気でここまでの内容を整理させてホワイトボードに大きく
・おふねちゃん
・巨大ロボット
・変形合体
・航空戦力!
・攻撃的防衛
と書いた。
「なるほど。 とてもシンプルですね。 当機でもわかる『浪漫兵器』の概要です」
起動してからそこまで間もない『からっぽのイリー』E・E ・R・ I・E(p3p010900)が理解できるレベルまでこの会議の内容は簡略化された。 ここから詳細に要件定義を進め、酒を飲みながら現実逃避している綺蘭に新たな設計図を書かせればようやく建造の準備が整う。
「では当機は航空戦力の製作を担当しましょう。データベースに接続………検索開始…………ピボボピー……旅人ログに該当検索結果がありました。 [グレイゴースト]。イリーちゃん偉い」
イカれた記録を参照したせいでイリーが壊れた。 いや元々だったかも。
「カモン、ミス・裏武器屋。 艦載機デアルナラ、ヤハリ3種運用デス。 知ランケド」
「何も聞こえねー……見たくねー……『裏武器屋』って"死の商人"ってわけじゃねーんですよ……?」
急造したての椅子の上で鎮座していた綺蘭は今し方三本目の封を開けたところだ。 自分の中で折り合いをつけるには酒が一番なのだという自論を押し通すらしい。 仕事とはいえ、オーバーワークは酒を飲まないとやってらない。 だが、そんな空間の片隅には一つの人影があった。
「何もすることがありませんわ 暇ですわ 浪漫なら胸と太腿とお尻に沢山詰まってますわ 傾国兵器ですわ」
簡単に言うとボッチと化している『自称・豪農お嬢様』フロラ・イーリス・ハスクヴァーナ(p3p010730)はその輪に入れず、そこらに落ちていた枝で( ᐢ ᵕ ᐢ )を量産し続けていた。それを見かねたリラが近づいて、声をかける。
「なら……近くに私のアジトがあるから、完成するまで、一緒に休む?」
「喜んで誘拐されますわ」
速攻で枝を投げ喜んでリラに抱えられて去るフロラ。完成する翌朝まで、二人の姿はそこになかった。働け。
・綺蘭が一晩でやってくれました
「キレそう」
豪華客船を運用できると考えるといっそ空母くらい大きくても――と妙見子言い放った一言のせいで工房に加えて造船所まで作らされる羽目に。 ここ内陸なのに。
「ふぉぉぉぉっ造船ドックですよ!! 全長は251m、排水量は19,800tクラスのおふねちゃんが作れそうですね!!……あれ、どこかで聞いた大きさですね…」
「やっぱそれは無理じゃねーです……?」
「やってみなきゃわかりませんよ!!」
「何事も挑戦。 イリーの脳内アーカイブに記録しました」
「記録しなくていーですからね?」
遂に形を得た浪漫兵器の設計図は、なんと四枚も存在している。 してしまった。
第一に船形態。 妙見子の船オタクっぷりが全開で設計された空母で、ルクトの考案したドックとカタパルト2基が搭載されている。 変形ロボという都合上甲板が縦に真ん中から割れ、ロボット形態のウイング部になる為片方のウイングで1基分になるよう配置を調整している。 ついでにドッグも後述する理由で大きく二つに分けられている。
「早速やってやりますよーー!! 腕がなりますねぇぇーー!!」
「不思議と気分が高揚してきたな」
第二にロボット形態。 こちらはニャンタルのロボに対する熱い想いが込められている。 こいつら『混沌肯定』の事理解してるのかな。 高火力巨大ロボを作りたいと言って描いた初期案の設計図が最早リラとどっこいどっこいの幼稚園のお遊戯レベルだった為キレた綺蘭が血中アルコール分を燃やしながら速攻で書き上げた。 別名:深夜テンション。 その際にニャンタルが言った兵器の装置スペックを本人の過去セリフから引用しよう。
『これが目と腕、胸から排熱の意味も兼ねた超強力なビームが出る所じゃ』
『機体は太陽の眩しさや熱、自身で放ったビームで熱くならん様にして欲しい。 機動力確保の為じゃ」
『そして此処がサーベルを取り出せる所じゃ! ロボット同士の白兵戦というものは非常に胸が踊るからの!』
『出来れば人で言う関節に当たる部分等は可動域を広く、然してそこを狙われてもある程度防げる様に強度を全体的に上げて欲しい』
『人死に減らす為に無人機とし、盾や空を飛ぶ機械を取付けられるようにもしたい』
『人の様に各種装備を使える様にして性能を変えていく感じじゃ』
『敵の攻撃で破損しそうな時は自爆装置も入れて欲しいのう!』
『無論変形機能は必須じゃぞ、皆との合作じゃからな!』
どれだけ積むつもりなんですかねぇぇぇ!!?? と綺蘭が思わず叫んだがニャンタルに押し切られ幾らか妥協しつつも描かれた曰く付きの設計図であった。
「むふぅ……楽しみじゃ……」
「プラモデルみたいに組み立てられるようにしましたから手伝ってくださいよ。規模がデカ過ぎて私一人じゃやってられねーです」
「ガッテン承知じゃ。 妾だけ仲間外れとかそんな寂しいことは断固反対じゃからな!」
第三は航空戦力。 イリーの検索した異界の戦闘機を基とした"まともな方の"航空ゴーレム。
「ミス・裏武器屋の協力で具体化できました。 感謝します」
「……ええ。それはよかったです」
知らんが手伝ったものとしては1番マトモな設計図。 戦闘機、爆撃機、攻撃機。 三種類の航空戦力をゴーレム技術を利用して無人機として運用するようだ。 捕縛してきた野生のゴーレムたちを起用し、イリーは魔改z――調整を行う。
「因ミニアナタ方飛ベマス? 無理? ジャア飛ベルヨウニシマスカラ脱イデクダサイ。 エエ? 脱ゲナイ? ソンナ事言ワナイ、立派ナ戦闘妖精ニ仕上ゲマスカラネ」
前言撤回、本人が一番イカれていたのかもしれない。
だが、最後の設計図が一番危険かつ野蛮。 残ったエルシアの作るもの、それは――
『どうせ無人航空ゴーレムを発着出来る様にするのなら、超強力な爆弾そのものにしてしまえば良いのでは?』
――無人神風特別特攻隊。 ゴーレムだから使用者の心は痛まない。イリーの作る航空戦力ゴーレムと、零戦ゴーレムを分ける為、ルクトはドックを二種に分けたのだ。
「攻撃力の為には全てを犠牲にすると決めたのですから、運用コストも犠牲にしてしまえば良いのです…使い捨てと割り切って、手足も要らない、加速と標的ロックオンと軌道修正以外の全機能を捨て去ったゴーレムを作れば、残りの部分を全て過圧縮した炎マナで満たせる筈です!!」
「うわぁ」
「そしてその火力によって人間種や鉄騎種達の都市が完膚なきまでに破壊されれば、その跡地には次第に草木が芽生え、都市の広がりによって蹂躙された自然が戻りますこうして争いを好む愚かな者達が滅び、世界は聖樹ファルカウの加護により包まれる…そんな素敵な未来を夢見られる事もまた、浪漫の一つと言えるのではないでしょうか」
「もうすきにしてください」
「ええ、ええ! こちらは私にお任せください」
様子を見にきた綺蘭は本当に何も見なかったことにした。 見た目に依らず彼女の思想は積極的な平和だった。その闇を垣間見た綺蘭は、久しぶりに本気の恐怖を覚えたのだった。
・バベルの塔
「なんとか……完成……しましたね……ガフッ」
完成と時を同じくして地平線から陽が登り、綺蘭は死んだ。 まぁコイツは酒を入れれば生き返るだろう。 死ぬほど疲れているだけだから。
「航空機も出せるし火力もありますし何よりロボットなので海だけでなく大地を走れる…陸海空を全網羅したつよつよおふねちゃんロボット…名前は…エンタープライズMarkⅣ…いい…とっても…♡」
「いつのまにか名付けられとる」
「おつかれさま」
「起きたら船が完成してましたわ」
休憩とはなんだったのか。リラがフロラを連れて完成した浪漫兵器、エンタープライズMarkⅣを受け取りに来た。
「試運転、する?」
「やってやりますわ」
フロラが真っ先に搭乗する。
「あぁっずるい、妙見子もします!」
「我も乗るのじゃ! 抜け駆けは許さんからの!」
「編隊機動の演習か、私も同行しよう」
「いってらっしゃいませ」
続いて4人が搭乗。 エルシアは微笑みながら汗を拭って待機。
「では当機はその様子を記録しますね。 飛行スキルが輝きますよ」
最後にイリーが綺蘭からパチったカメラを持って試運転開始。搭載された機関部が唸りを上げ、その巨体はエネルギーに満たされる。 全ての機能がアンロックされ、操縦席のあらゆる機器が活動を開始する。
「それでは早速わたくしからやらせてもらいますわ。折角なのでわたくしはこの赤のボタンを選びますわ」
「あっ待てフロラ、それは――」
「え?」
フロラはデカデカと輝く赤ボタンを威力1500overで殴打。
「――自爆ボタンだ!」
「おいおいおい死にましたわわたくし」
間もなくカッ、カッ、カッ――と光を放ち、エンタープライズは自爆した。鉄帝の平和は守られたのだ。
「爆発オチなんてサイテーー!!」
「我の高火力巨大ロボがぁぁ!!」
ついでに搭乗者は無事に吹き飛んだ。
「何事も、やり過ぎは気をつけないとね」
その光景を見ながら、リラはそう呟いたのだった。
成否
成功
MVP
なし
状態異常
なし
NMコメント
どうも。 わけわかめでございます。
(リラを動かすのは) 初OPです
・概説
今回のテーマは『浪漫兵器』。
リラに(強制的に)拉致された貴方達は、綺蘭の読み解いた設計図に従って兵器を作る──と見せかけて結局わかんなかったので貴方達が好きに最強兵器を組み立てるのです。パーツならば綺蘭がいくらでもどんなものでも作れます。
・貴方達の味方
平賀綺蘭/練達の『裏武器屋』
イラストリンク:https://rev1.reversion.jp/illust/illust/69961
被害者1号。材料さえあればどんなものでも作れます。ノリと閃きで生きている人種。
・貴方達の敵(メンタル的な意味で)
リラ/『繁刈命穿』の殺し屋
イラストリンク:https://rev1.reversion.jp/illust/illust/73291
OPの通り、話を聞かないやべー奴です。足りなければ"調達"してきますし、逃げようとするなら……女は"可愛がる“し男は"潰す"そうです(本人談)。
・プレイングについて
-乗せたい兵器
-他者に対する反応
-建造作業の内容
が概ね書かれていればあとは私が咀嚼します。
・3行で纏めて
-話を聞かない奴が
-最強兵器を求めてるから
-思い思いの兵器を載せてやれ!
以上になります。 参加、お待ちしてますね。
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