シナリオ詳細
我ら脳髄治療隊
オープニング
●悪性腫瘍
幻想――それはイレギュラーズにとっても見慣れた、よくある長閑な光景で在った。たくさんのホイップクリームが大騒ぎし、数個のハンバーグが彼等を追い立てている。ぼつぼつと生えているシュークリームの沙汰は、成程、素晴らしいほどに新鮮な、柔らかさを期待出来るだろう。え? なんだって? これが見慣れた光景だと謂うのなら、正気ではないだって? ははは、そんなワケないじゃないか。我々は最初から、生まれてこの方、この、馥郁とした世界に祝福されているのだよ――。
ぼこん。まぬけな音に意識を攫われたならば、刹那、自らの眼球をグリグリとやらねば、遠退いたこと間違いない。デカデカと聳え立つ、この、脈々とやかましい巨物は何なのか。ちょっと離れて確かめたのなら、本当、ビックリ仰天の雨霰だ。これは楽しく、面白い。摩天楼めいた脳髄ではないか――領主様に報告しなければならない。
領主様曰く、この脳髄は可哀想な事に大病を患っているそうだ。治す為には中に入って『悪いもの』を除かねばならないらしい。領主様がオペを始めてくだされば素早く終わりそうだが、嗚呼、世の中は残酷! 肝心かなめの領主様は入口よりも巨きかったのです……。
そういう時こそイレギュラーズに頼めば好いのだよ、貴様!
そうでしょう、そうですよね、流石は領主様です……。
●にくばたけ
おにくがとれます。
住民はおにくではありません。
気を付けてください。
妙な注意書きを呼んだのは数分前だったか、依頼を受けたイレギュラーズはオラボナ=ヒールド=テゴスの領地、にくばたけに集合していた。どっかりとソファに身を委ねた、領主である彼女はNyahahahaと普段通りに嗤うと。
「つまり、健康的ではない巨大脳髄は他の脳髄、つまりはおにくを、ホイップクリームを腐らせる可能性が在るのだ。巨大脳髄の『悪いところ』を治さなければならない。それと、今回は赤城に『巨大脳髄のデコレーション』を頼んである。実に可愛らしいだろう?」
オラボナ=ヒールド=テゴスの膝にひょこんと座っている、おめめぐるぐるな娘がきゃっきゃと普通サイズの脳味噌を掲げてみせた。
「なぁに、飾りつけは巨大脳髄様が『気を楽にしてくれる』為の心意気ってワケよ。理解出来るな? 理解出来る筈だ。我々は『探検させてもらう』側でも有るのだよ。さて、治療道具は此方で貸してやろう。宜しく頼むぞ、貴様等」
にゃはははは!!!
- 我ら脳髄治療隊完了
- NM名にゃあら
- 種別カジュアル
- 難易度NORMAL
- 冒険終了日時2022年11月28日 22時05分
- 参加人数4/4人
- 相談7日
- 参加費100RC
参加者 : 4 人
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参加者一覧(4人)
リプレイ
●回転するコペルニクスに囚われた儘、観測する
ジジジジジ――。
叩き付けた免罪符サマの浮遊を邪魔してはならない、鳴り止まないノイズを無碍に取っ払って、虚空に幻想を塗りたくる。自由に解釈してくれて構わない。恐れ知らずな汝らはこの冒涜的な巨大さを逃さず、釣らなければ勿体ないのだ。
あー。あー。テステス。こちら――視えてるな?
インスタントな通信は私と汝だけで行われている。
他の連中には視えていないし、聞こえていないし、読めないと謂うワケだ。
如何で在れこの文章を認識している時点で可もなく不可もなく、問題なく届いていることだろう。良識ある諸君はこんなことはしないでいただきたいが、兎も角。私ら第四の壁、即ちメタキャラは三次元同士の会話だからな――ならば私も介入すべきか貴様、とっとと脳髄の治療に向かい給え。ああ、こんな設定はどうでもいい、気にするな。ある種の秘匿通信だからな、これは。さて、楽しい愉しいプレイングと往こう……。
オブラートが激しいんだよ、全く……。
ぺらぺらと捲ってしまえば悉くは轢殺の所業だ、やれ注射だ、管つけだ、云々と面倒な事はしなくても良い。知っているだろう。大抵のエンティティはリスポーンすれば元の状態に戻る。それは脳髄だろうと精神だろうと同じ沙汰だ、死して参れ、いや、この場合は死すら死す証明とも解せよう。余計なシナプスを排除して実にクリアな回路を編んでいけば容易い。で、次? そうさな……追加描写、エフェクトマシマシ、編纂するのが素敵だろう。そう、結局、オーダーとやらはでっち上げだ。なんという病気だったか……思い出した。シリンダーに浸け込まれた普通サイズの脳味噌がトリアージを掲げてくれる。じゃあ、愈々書き上げる時だ。良し悪しを「汝が思うように」定義し、吐き散らかせば好い。そういうのは得意だろう? おい、其処で首だけ振っているにく、掘削機を持って燥いでおくとよろしい――力仕事なんてまっぴら我慢だ。なんだ、やる気満々じゃないか。
物語閉帳――アイスのフレーバー程度で何をそんなに酩酊しているのか。引っ剥がしたテクスチャの文句垂れも誰かさんが選んだ表現に過ぎない。それでは、あとは実食に移ろうじゃないか。全ては汝に一任する――しわくちゃページだけは伸ばしておいた。
●ユッグゴトフの陳述
領主様への挨拶は欠かせないのだと、直接、頭を垂れるサマは付け焼刃では無いだろう。自棄っぱちだったあの頃に比べればちゃんとした脳髄の『若木』寒櫻院・史之(p3p002233)と断言出来る。何度目かの「どうぞよろしくね」も人を見ての行動だ。さて、早々にして表へと出ようじゃあないか。不健康な脳髄の駆除をお望みだ。たいへんキタナラシイ、悪夢のようなタンパクの消去をお望みだ。ああ、いってやろうじゃない脳髄ダンジョン……摩天楼ほどの輝きは見当たらないけれども、正直に謂ってしまえばワクワクの連続だ。不謹慎じゃないかって。でもさ、Lサイズの脳髄って時点で存在が滑稽だし、ナンセンスだし、しょうがないよね。うん、しょうがないしょうがない、しょうがないと思わない? カンちゃん?
えっ……? ここで僕にフるだなんて、もしかしてしーちゃんは『しろがねのほむら』冬宮・寒櫻院・睦月(p3p007900)を苛めるのが好きなんだろうか。ええっと、しょうがないよね。うん、しょうがない。仕方がないからお久しぶりですを重ねてしまおうか。ゆいさんに置かれましてはご機嫌麗しゅう。ごほん。お片付けって真っ黒さんは嗤うけれども何方かと謂えば飾りつけのトリップだ。にくばたけは今日も正気が不確かで、ぐるぐるどろどろふわふわゆらゆら、なんだか僕の脳髄まで撹拌されている気分です。心地いい生臭い香り。けっこう、けっこう。脳髄は人間の迷宮であると昔誰かが叫んでいたけれど、果て、この巨大脳髄は何を思慮するのでしょうか。人間を一本の葦に例えた賢人も、これを前にして目を回さない、なんて事があるのでしょうか。ネモフィラの青い花束を抱えて、さあ、浄化の舞いを踊りましょう――今はスーフィーごっこをしている場合ではありません。ブウン――電子レンジの真似事は止めてください、しーちゃん……。
案外と、存外と、清潔にされていた前頭葉のグロテスクさと謂ったら、そこらの戦場がマトモに視えてくる程度だ。ぬるぬると足元を掬われて、べちゃっと、地面のようなにくを抉ってしまった。これは体液かな? 元気に血管が走り回っていてよろしい。と、謂うか、これべつに邪魔なだけで至って健康なのではないか。アッハッハ、何を宣うかね探偵くん、そんなに早く解決されちゃあ文字数が少なすぎるじゃあないか……だけども邪魔ってだけでじゅうぶん罪だよね。そう、そうなのだよ、だから治療隊を派遣したんじゃあないか。ところでさっきから聞いていたんだけどアンタ誰だい? そんなのアンポンタンに決まっている――残念なことに無害も有害も関係ないんだよね。さよなら脳髄くん。
おびえているのですか。ふるえているのですか。この脳髄は。小さな脳髄に壊されて、冒されて、かわいくなってしまったのですか。僕は決してそんなつもりはありませんよ。ここではないどこかで穏やかな余生を過ごしてほしいのです。ええ、ええ、にくばたけではなく、遠い遠い、ユッグゴトフなんて素敵じゃあないでしょうか。その方がお互いにとっても、肉らしさにとっても、良い結果になるでしょう。さようならの代わりにワールドエンド・ルナティック。灰色かピンク色か問われたら、紫色と染めましょう。
ところでこれって脳みそパーティする絶好のチャンスじゃない?
えっ? 食べるの……?
●ベリー・ベリー・ボーリング
デカデカと書いてあるではないか。ドカドカと土足で踏み込んでいるんじゃあないか。瞬きしてもこすっても、眼球をぐりぐりと、グルグルと回したところで現状、変わる筈がない。きょだいのうずい。のうずい。繰り返しても繰り返しても眼前、聳え立つものを否定する事は赦されない。たとえ、ハテナと首を傾けても、『合法BBA』鹿王院 ミコト(p3p009843)の脳髄だって同じなのだ――これでっかい脳ミソじゃん!!! きもっ! 随分と大きな声だがキャラクターが崩壊していないか、兎も角、そもそもの話だ。カニミソ食べ放題と謂う依頼ではなかったのか……脳髄? 治療? お酒――おお、なんと可哀想な姫様か。こんなにも目玉を開いている! しょうがない。さっさと終わらせて帰るのじゃ。えーっと――ぐんるり、表面のしわくちゃはまったく素人目でボンヤリしても絶対的な健康ではないか? 見当たらない、見分けのつかない良し悪しにでんぐり返しをしてみても、ドリルが必要なくらいしか解せなかった。そんじゃあ取り敢えずドリドリ。ドリドリ……?
飛び散る漿液が頬を濡らしてちょっとしたドキドキ感を味わう。これを恋だと誤認出来たなら、なんて愉しい作業だっただろう。痛そうで悲しそうで、本当、狂いそうになってしまう。まあ、脳に痛覚はないと聞いたことはあるがドリドリドリドリ――しかし随分と妙な柔らか音だ。わし、こんなもの始めて聞いたぞ。ドリドリドリ――こつん。おん? なんじゃ? 硬いぞここ。ああ、患部か。きっと患部だ。此処が患部でなければ何処か患部と謂うのだろう。なに? 地面と同化している。なんのことじゃの!!!
赤城どのー! 患部にぶっかける薬をくれー!
ドロドロとした、絵具のような赤だった。こんな薬視たこともないんじゃけど。あ、大丈夫? あそう。じゃあかけてくれるかの?
ぬりぬり、ぬりぬりぬり、ぬりぬりぬりぬり……。
ふぅ――如何やら有害ガス発生みたいなのはなかったの。ところで赤城どの、なんだか甘い香りがするんじゃが、治ったの……治ってない? いちごじゃむだから……イチゴジャム!? 道理で甘い筈じゃ。デコレーションしたかっただけ? ああ、そうかい……。
美味しそう。美味しそうじゃよ。おっけ。
治ったようじゃしそろそろ……?
●SDGs
猿とか羊とかそのへんのやつってことにしとけばいいんじゃない、ね、領主様? そう定義してしまえば巨大脳髄なんぞ食材でしかない。あのイチゴジャムだって隠し味と見做して崩せば甘いものだ。領民を集めてパーティやろうよ。食材をゴミ箱にダンクなんてそれこそ冒涜的じゃないか。ああ、そこのお姫様はお酒が欲しいって謂っていたね。それも俺のギフトを使えば完璧さ。刺身、スープ、鍋、カレー、家庭料理を拵えたなら、さあ、並んで並んで……。
スクランブルエッグにケチャップのぐちゅぐちゅ、悔しいけど美味しいよしーちゃん。認めたくないけど。ゆいさんも喜んでるし、まあ、めでたしめでたしかな。あ、領主さんもご遠慮なさらずに……え。ホイップクリームを忘れているって。そうだよね。
いや、おみやは結構じゃ。そう謂ったよねわし??? なんでお皿に山盛りされてるのじゃ。あ、ドンペリ……? ま、それなら少しくらい、ほんのちょっとなら良いかの? いやいや、駄目じゃ駄目じゃ、でも、ぐぅぅ、お高いお酒、お酒……!
馬鹿騒ぎは夜通しぶっ続けさ、肚に這入ればなんだって同じだよ。
畑の肥やしにしてしまいましょうか。
持続可能な開発目標、脳髄は17に晒される。
●――
おっと。『敗れた幻想の担い手』夢野 幸潮(p3p010573)を最後に持ってくるなんて面白くも無い。もしやデウス・エクス・マキナをお望みならばやめておいた方が良い。違う? 是非、脳髄のフルコースを食べてほしい? 世界に否を叩き付ける為にはそれしかない? 仕方ない。さっさとスプーンを構えるんだ、超がつくほどにくだらない、幻想讃歌……!
我ら脳髄治療隊。
偶像崇拝した末路がカニバリズムと第三の目……。
成否
成功
MVP
なし
状態異常
なし
NMコメント
にゃあらです。
Lサイズ。
このシナリオは基本的に『PC一人での描写』を予定しています。
このシナリオはカジュアルです。
必ず成功します。
●目標
巨大脳髄の治療。
ですがこの脳髄に『悪いところは存在しません』。
テキトウにでっちあげてください。
たとえば『この部分は要らないので壊す』とか。
アナタがお医者様なら『健康』だと気付いても構いません。
領主様は何であれ満足するでしょう。
あと治療に必要そうな道具は貸してくれるそうです。
ドリルやカトラリーなど色々あります。
●領地『にくばたけ』
オラボナ=ヒールド=テゴスの領地です。
おにくがとれます。
季節的に脳味噌がよくとれるそうです。
●登場人物
オラボナ=ヒールド=テゴス。
ご存じ名状し難い系イレギュラーズ。
にくばたけの領主でもあります。
赤城ゆい。
芸術家志望の女の子。
正気がお留守です。
●サンプルプレイング
「巨大脳髄だって? いや、そのまんまじゃねぇか、おい」
中に入るったってどうすんだよ。
ドリルとか貸してもらったけど掘れって?
マジ?
まあ良いやテキトウに終わらせてやるよ。
えーっと。この、なんか皺がない部分だけどな。
こりゃ死んでるな、要らねぇわ。魔砲かなんかで吹っ飛ばしてやる。
それとこの黒くなってる部分、病気なんじゃねぇの?
それっぽい薬で綺麗にしてやろう、うん、素敵な色になった。
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