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シナリオ詳細

<総軍鏖殺>Toach of XXXXX<大回天事業>

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●炎の中に芸術あれと
「……美しい」
 そこかしこで上がる火の手、そして機械の獅子たちの破壊活動をぐるりと見回し、ガスマスクとタンクを装着した異形の男――『大回天事業サーカス団』のひとり、『火吹き男』グラニットはぽつりと呟いた。
 寡黙でこそあれ無感情ではない彼だが、今その情念はこの場にいるだれよりも燃え盛っていることだろう。
 あたり一面に広がった炎の柱……人の形をしたろうそく達はいまこの夜を煌々と燃やしている。彼はサービス精神旺盛なので、今まさに死のうかという児ら、人々を前に炎を吐いて見せ、その威力と熱気をあらわにしてみせた。
 悲鳴があがる。彼にはそれが歓声として届き、その笑みをより深く刻ませる。嗚呼、と彼は息を吐いた。
 やがて新しい火柱が幾つか上がったところで、彼はふと視線を向けた。その先には、いかにもと言った様子のシェルターの扉。何重にも防護が施されているように思えるが、鉄扉であるなら相性は最高だ。
 さあ、扉を破壊し燃やし尽くすか、外から火炙りにして蒸し焼きにしようか。どちらにしろ、面白いショウになりそうだ、などと。
 彼と機械の獣達は一歩を踏み出した。

●大回天事業サーカス団、開演と終演の日へ
「鉄帝の囚人で恩赦を受けた囚人のなかに、『大回天事業サーカス団』という一団がいます。『ペレダーチア団長』と呼ばれるリーダーを軸に5人の曲芸師を抱える彼等が、スチールグラード内で虐殺を始めた……というのが現在の状況です。皆さんには司教アミナの意向の下、彼等を撃退しシェルターを守ってほしい、というのが依頼内容になります」
 『ナーバス・フィルムズ』日高 三弦(p3n000097)は一同に現場を簡単に説明すると、地図に描かれた幾つかの点をしめし、その一つを指さした。
「皆さんが向かってもらうのはこちら、北西部のシェルター周辺です。『火吹き男』グラニットと名乗る団員がこの周辺を火の海に変え、以てシェルター内部での虐殺を画策していると考えられます。火炎放射器と巨大なタンクを有する人物ですが、外見以上に動きは身軽だと思われますし、配下に『アニマール』と呼ばれる機械のライオンを侍らせています。
 アニマールとグラニットの性能、いずれにも炎が関わりますのでその当たりの対策なしでこの依頼を受けるのはよほどの自信か無謀であることをご承知おきください。私は皆さんのスタンスを否定するものでは有りませんが、出来ることをせずに戦場へ挑んで勝てる見込みは薄いと言えるでしょう。……その上で、可及的速やかに対処を。皆さんなら達成できるでしょう。ご武運を」

GMコメント

 というわけで黒筆墨汁SDの<大回天事業>にお邪魔しました。ふみのです。
 非常に尖ったエネミーを描けるのは楽しいですね、とても。

●成功条件
・『火吹き男』グラニットの撃退
・アニマールの2/3以上の破壊
・上記いずれかを可能な限り15ターン以内に達成する

●失敗条件
 16ターン目以降、上記の達成率によって確率失敗(敵が多いほど、時間が経つほど失敗率が上がっていく)

●アニマール×15
 『大回天事業サーカス団』のひとり、『猛獣使い』ベスティエが使役する蒸気仕掛けのライオン。各メンバーを補助するために配備されている。【摩耗(中)】をデフォで持つ。
 攻防ともにそれなり以上に高く(個体の防御性能は低レベルイレギュラーズのタンク極振りに比肩)、爪による【出血系列】【崩れ系列】の攻撃、牙による【麻痺系列】【喪失】の噛みつきなどを行う。
 また、それぞれの攻撃には高温が伴い(【火炎系列】)、一部の個体は『連鎖行動』を行うことで『フレアボム』(物中域・高位の【火炎系列】など)の行使が可能。

●『火吹き男』グラニット
 蒸気機関を組み込んだヘルメット『ドクーン』を着用し、口からの火炎放射を主な攻撃手段とする。
 攻撃力が高く、防御関係も付与や装備によりそれなり以上に上げられている。難点を言えば攻撃性能だが、範囲攻撃などでカバーしている。【火炎系列】のBSが付随してくる。本人は【火炎無効】。
 一箇所へ収束させる『レーザー』(神超貫【万能】【不調系列】)、広範囲を焼き払う『バーン』(神中扇)や『ショットボム』(物遠範【スプラッシュ(中)】)などを有する。
 また、接近戦に弱いようで近付かれれば両手にある火炎放射器によって白兵戦が可能。なお、すべての攻撃に言えることだが【溜1】を追加することで性能上昇と【必殺】が付与される。
 戦闘開始時、『ヒートボディEX(付・【物無】【棘】』を自らに付与してくる。このため、背中の見え透いた弱点であるタンクでさえ破壊は困難となるだろう。
 万が一タンクに攻撃を与えられたとして、その破壊具合と攻撃手段によっては攻撃しないほうがマシなぐらいの不利益を被る可能性を重々考慮すべきだ。
●特殊ドロップ『闘争信望』
 当シナリオでは参加者全員にアイテム『闘争信望』がドロップします。
 闘争信望は特定の勢力ギルドに所属していると使用でき、該当勢力の『勢力傾向』に影響を与える事が出来ます。
 https://rev1.reversion.jp/page/tetteidouran

●情報精度
 このシナリオの情報精度はCです。
 情報精度は低めで、不測の事態が起きる可能性があります。

●Danger!
 当シナリオにはパンドラ残量に拠らない死亡判定が有り得ます。
 予めご了承の上、参加するようにお願いいたします。

  • <総軍鏖殺>Toach of XXXXX<大回天事業>Lv:30以上完了
  • GM名ふみの
  • 種別通常
  • 難易度HARD
  • 冒険終了日時2022年11月22日 22時05分
  • 参加人数8/8人
  • 相談6日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

リカ・サキュバス(p3p001254)
瘴気の王
ヴァレーリヤ=ダニーロヴナ=マヤコフスカヤ(p3p001837)
願いの星
オリーブ・ローレル(p3p004352)
鋼鉄の冒険者
ソア(p3p007025)
愛しき雷陣
リーディア・ノイ・ヴォルク(p3p008298)
氷の狼
フリークライ(p3p008595)
水月花の墓守
ブランシュ=エルフレーム=リアルト(p3p010222)
航空猟兵
炎 練倒(p3p010353)
ノットプリズン

リプレイ

 ●
「そこで、何をしていますの」
『楽しいサーカスの時間ダヨ! 楽しいサーカスの時間ダヨ! 楽しいサーカス……』
「ええ、もう答えなくて結構」
「お客さんが怖がるサーカスに何の意味があるっていうの?」
 『祈りの先』ヴァレーリヤ=ダニーロヴナ=マヤコフスカヤ(p3p001837)の、嘆くでもなく悲しむでもなく、ただ怒気を孕んだ言葉に返ってくるのはアニマールから放たれた作り物めいたスピーカー音声。元々搭載されていたものを狂ったように繰り返すさまは、間違いなくおちょくるためにやっている……直感的にそう理解できた。『猛獣』ソア(p3p007025)もその態度には不快感を隠しきれず、いつ飛びかかってもいいように足を撓めている。が、周囲のアニマールの数を考えれば、軽々に突っ込めないことは明らかだ。
「またお前ですか。今度は手勢を連れて大仰な事です」
「…………? 嗚呼、成程」
 『鋼鉄の冒険者』オリーブ・ローレル(p3p004352)の憎々しげな言葉を耳にし、グラニットは軽く首を捻ってから事実に思い至った。そう、彼等二人は一度遭遇している。前回の戦闘でたいそう痛めつけられたのだったか……ともあれこの戦場で、そしてグラニットにとっては因縁ひとつどうということもない。ただ障害は排除するだけだとばかりに肩を竦めた。オリーブとて、アニマールが前回交戦時に用意された数打ちのものとは比較にならない性能なのは理解出来よう。
「猛き炎に一種の美しさが宿る事には否定しないであるが、それは強者同士が己の命を燃やして相手と全力で相争うからこそ生まれる物であって。戦えない無抵抗な相手を燃やして悦に浸る様な奴等下衆の極み、実に不快である」
「ああ、居ましたね。知り合いにも紅蓮に終焉を求めた者が。それでさえあの子の焔からしたら余程愚かで、醜い」
 『ノットプリズン』炎 練倒(p3p010353)と『雨宿りの雨宮利香』リカ・サキュバス(p3p001254)の二人は、炎の舞うさまに美を求めるグラニットの主義主張、その根幹は理解できる様子だった。尤も、その主張を支える行為そのものは弱者を蹂躙する嗜虐性に支えられたものであり、練倒のような戦闘のなかで見出す価値、リカの知る者がもつ孤高さに裏打ちされた美学のようなものとは似ても似つかぬ醜悪なものであることは疑いようもない。彼等の刺々しい罵倒を受けてなお、グラニットはマスクから小刻みに炎を吐き出すだけで、感情的な素振りがまったく見えてこない。感じるとすれば、喜色……か? これから燃やすべきシェルターの人々に加えて、イレギュラーズも殺せるのかと。
「君のショー自体私としてはどうでもいい。私も人殺しだ、人の生命をなんだと思っているなんて偉そうなこと言えないよ……ただ、私は子供が好きでね」
「奇遇だな、私もだ」
「気に入らない」
 『赤頭巾の為に』リーディア・ノイ・ヴォルク(p3p008298)の言葉に、グラニットは即座に同意を返した。その反応こそがリーディアは気に食わない。ならなぜ殺した。ならなぜ、生かす選択肢を採れなかった。彼の言葉と行動のちぐはぐさはその外見通りなのだろうか? 或いは壊れてしまっているのか。
「炎が美しいと言っても、人災的な火に目を焼かれてるんならそりゃ“盲目”って言うんですよ……そんじゃま、一つサーカスをお見せしてあげましょうか。どっちが良いショーをお見せできるか勝負と行きましょうか。大道芸と火吹き、さてどちらが上か?」
「クラウンより面白味が薄そうだ。遠慮する」
 『盲信』ブランシュ=エルフレーム=リアルト(p3p010222)の言葉をグラニットはさくりと切り捨てた。盲目呼ばわりが気に食わないのか、或いは別の理由なのかは定かではない。が、どちらにせよその表情は目の色ひとつとっても見えやしない。『玉乗り男』を引き合いに出すくらいなのだから、相当……そう、相当にはブランシュに対する敵意を抱いているともとれるか。
「その巫山戯た仮面ごと粉々にして差し上げますわ。地獄の底で、永遠に罪を悔いなさい!」
「処分します」
「ン。墓ガ増エル 良クナイ。フリック 戦ウ」
 ヴァレーリヤとリカの鋭い声音に、『水月花の墓守』フリークライ(p3p008595)も静かに応じた。フリークライはこの戦いのひとつの要。その戦いぶりひとつで、その趨勢が大きく変わる……重大な責任を双肩に押し付けられてなお、その姿は泰然としていた。


 グラニットは寡黙だ。語ることは少なければそれだけ、いい。
「火吹き男さん、遊びましょですよ」
「……断る」
 ブランシュはまず、真っ先にグラニットを挑発し自らを的にかけようとした。が、それに割って入るようにアニマールが飛び込み、いきおいブランシュに赤熱する爪を押し当てにかかる。熱傷こそ起きないが、切断力の増した一撃は軽視できるものじゃない。……が、それは織り込み済みだ。
「『主よ、慈悲深き天の王よ』……」
「――氷の狼の遠吠えを聞くがいい」
 ヴァレーリヤの聖句の詠唱とともに放たれた一撃はブランシュを狙った個体の横っ面を叩き、動きを鈍らせる。続けてリーディアが銃弾をばら撒きつつ『氷箱』を生成し、都合三つの氷のキューブを生み出す。瓦礫に加えて氷の壁。対策は完璧だと、彼ならずとも思ったかもしれぬ。
「この壁、火を愛する彼等は嫌がるかもしれないね。氷の狼を燃やすには熱量が――」
「油断は禁物である!!」
 が、口を開いたアニマールから収束した光が吐き出された時、練倒の『明晰な頭脳』は冗談抜きに猛回転を始め、破式魔砲をその個体にぶち当てていた。レーザーは僅かに逸れたが、素早く縦に振られた首ごと氷箱を両断し、些かの勢いも衰えずリーディアの体を袈裟懸けに裂いた。練倒の一撃で軌道が逸れなければ、より深手を負っただろう。如何な物理干渉があるとはいえ、相手の真価を見誤れば死すら薄氷の下に隠れている。
「全く以て厄介な連中ですね……あなた達はこちらを見ていればいいんですよ。にひひっ♪」
「ン。リカ 無理セズ。皆モ フリックノ周リニ」
 リカはブランシュとリーディアを襲った個体の攻勢を見て、その危険度を自身の中で二段階ほど引き上げた。これに混じって、魔力も削ってくるのだという……馬鹿げている。魅了の力で引き寄せた個体群は、フレアボムこそ用いないが四方からの爪の連撃だけでも激しく、強い。フリークライが仲間達の治療に専念し、自らも壁として立ちはだからなければ危険度はいや増すだろう。
「リカさんだけに負担をかけるわけにはいきません。確実に倒していかねば……!」
「少しばかり後手に回ったが、だからといって尻込みしていられないね」
 アニマールの猛攻を(見た目だけなら)涼しい顔をして凌いでいくリカと、治療に専念するフリークライ。オリーブはその負担を減らすべく、手負いの個体に挑みかかる。初手にて遅れをとったものの、リーディアもまだ意気軒昂と言った様子で弾丸をばら撒きつつ距離を取り、リカと相対していない個体を狙いに行く。可能な限りひきつけ、以てグラニットとの交戦へと繋ぐ。ソアとの直接対決へと。
 グラニットは口元から火球を連続して吐き出すと、仕上げとばかりに地面を炎で薙ぎ払う。宙に浮いたところで火球が狩る、器用な術技だ。だが、相手がよろしくない。
「ふっふーっ、火の輪くぐりなんてボクには簡単!」
(……火の輪……?)
 器用に間合いを詰めてきたソアを見とがめた彼は、振り下ろされる爪を左腕でうけると、右掌の発火装置を押し当て、火球を炸裂させた。己の犠牲も厭わぬ姿は、明らかに狂気と正気が綯い交ぜになっている証拠だ。
 だが、ソアは無論のこと、グラニットにも些かの傷や衰えがみられない。肉体が強化されているからか、狂気による底上げか。『互いに熱傷が見当たらない』。グラニットは驚かない。当然の対処だからだ。
「覚悟して、ご自慢のマスクをバラバラにしてあげるから!」
「そのよく回る口は火で焼き塞いだ方がよさそうだ」
 振り下ろされた爪の一撃は、たしかに彼の高熱の守りを砕いた。代わりに、掌から突き出された収束した炎――の生み出した仮初の剣に脇腹が貫かれている。血は速やかに止まったが、しかし浅くない。
 近接戦は補助程度? それはそうだ。『前回までなら』。
 前回タンクを破壊寸前まで追い込まれ、至近距離に踏み込まれた恐怖を彼は忘れていない。応報を忘れていない。
 ゆえに、グラニットは改良を施されたのだ。
「ボクの口を塞ぐのは無理だよ! だってボクは強いからね!」
「ええ、ですからそこに、さらなる手品をかけましょう……ワン・ツー・スリー。イッツショータイム」
 ソアの余裕綽々の声に、さらにブランシュの声が重なる。フリークライとリカを軸としたアニマール撃退班、そしてグラニット足止めの二人。広く展開した彼等を、しかしブランシュの術式は等しく包み、加護を与えた。
 フリークライの治療により癒えていくさまが時間の逆行に喩えられるならば、ブランシュのそれは時間を押し進める行為だ。即ち――戦いの終わりへ向けて。
「吾輩の明晰な頭脳でもって、間抜け共をスクラップに変えてやるのである」
「邪魔ですわ! 貴方達にかまっている余裕はありませんの……どっせぇーーーーい!!」
「足を引っ張るわけにはいきません。皆さんの為にも、自分の為にも」
 練倒は魔力が尽きることなどお構いなしに魔砲をぶっ放し、言葉通りに大いに選果を積み上げていく。彼のみで倒せるものでもないが、しかし弱らせるのは大成功だ。ヴァレーリヤの豪快な声とオリーブの落ち着いた声音は対照的に見えこそすれ、目的意識の明確さは出色のそれであることは間違いなく。
「もっとです。こんな蝋燭じゃあ何も焦がせやしませんよ?」
 リカの挑発的な声とともに、その身は赤く燃え上がる。涼しそうな顔をする彼女に襲いかかるアニマール達は、その誤謬に気付かなかった。だから、蹴散らされる運命にあったのだ。
 たかだか二分半の戦いと笑うなかれ。それをこえて、未だ拭えぬ危機感を思えば彼等の戦いぶりが異常なのだから。


 ――ミハエル・ヴェンラッハは勇敢さと無謀さ、そして不運をもった男だった。
「奪うのか」
 ボッボッボッボッ、と口から小刻みにあがる炎に先程までの勢いはない。タンクをパージした上で、足元に置いたのだから燃料がないのだ。当然の帰結といえる。
 割れたマスクからこぼれた目を見よ。顔を、見よ。ただ炎に炙られたよりもずっと哀れな外傷を全身に受けたその姿は、明らかに人間性を欠いたそれだ。
 視覚効果をマスクが補助していたのだろうか? 露出した右目に光はなく、その動きは奇妙ですらある。
「私からまた、奪うのか!」
「さあ、閉演の時間だよ? アンコールなんてないんだから!」
「我がサーカスのご鑑賞、如何でしたか? お楽しみではない?」
 グラニットの咆哮に、これを好機とソアは攻めかかり、ブランシュはそれを補助しにいく。タンクはまずい。無駄なあがきをされるまえに彼を倒せるなら重畳……。
「奪わせはしない!!」
 最早会話をしようという気は彼にはなく、ミキサーの如くに相手を切り刻むソアの一手を、グラニットは持ち上げたタンクで受けた。まずいと彼女が退くより早く、グラニットは両腕でタンクを抱えた。先程まで微塵も感じ取れなかった膂力で以てひび割れを中心に押し込まれたタンクは、圧潰とともに光を灯す。
「やはり――」
「――ろくでもないことを始めたですよ!!」
 追い詰められて逃げるならよし、ここで死ぬとあらばきっととんでもないことをする。オリーブとブランシュはそれを読めていたからこそ、グラニットとシェルターの間に体を躍らせる。次いで、その二人めがけてフリークライの治癒が向けられ、彼等を支える形でリカが駆ける。
「地獄の業火に焼かれる前に、いい夢見れましたか?」
「最高の悪夢(ゆめ)だった」
 リカの声に応じたその声は、爆光のなかに消えていく。

「突然でしたものね。別れを受け入れられないのも分かりますわ……でも今は、この戦乱を生き延びる事だけを考えましょう」
「こう言う言い方はよくないとはわかっているのである。だけど、『皆が生きていてよかった』のである」
 ヴァレーリヤと練倒は、シェルターの中から人々を引っ張り出すと、街中で生き残った僅かな人々も集めてギア・バジリカで保護する算段に入る。死者たちの埋葬も無論必要だが、生きている人々の処遇は何より優先すべきだ。彼等が死んだら、代わりはいないのだから。
「フリック 墓守。弔ウ 手伝ウ。死者ノ為 デキルコト ソレガ 死者ダケデナク 生存者 心 少シデモ 護ル 繋ガル」
「そうですね。皆さんがこれ以上戦乱に巻き込まれず、心穏やかにいてもらうには弔うことも重要と思います」
 フリークライとオリーブは埋葬の中心に立ち、人々とともに瓦礫を引き剥がして露出した地面を掘り返していた。無論、狂ったサーカスの列に加わったグラニット、否、彼等は知らぬだろうが「ミハエル・ヴェンラッハ」の墓も、か。
「シェルターの人達は皆無事だね! よかった!」
「私達はボロボロですけどね。それでサーカス団員ひとりを落として機械獣も潰走、万々歳ってところですか」
 ソアは救出対象の完全なる無事を素直に喜び、リカは首をすくめて溜息一つ。体力に長けた彼女ですらも、フリークライのサポートをしてこれなのだ。イレギュラーズ全体の被害は推して知るべしだが、さりとて大戦果といっていいだろう。十分リスクとリターンが吊り合っている。
 サーカスは終わった。少なくとも、火吹き男の演目は。
 サーカスは終わらないだろう。狂気がそこかしこにある限りは。

成否

成功

MVP

ソア(p3p007025)
愛しき雷陣

状態異常

リカ・サキュバス(p3p001254)[重傷]
瘴気の王
オリーブ・ローレル(p3p004352)[重傷]
鋼鉄の冒険者
リーディア・ノイ・ヴォルク(p3p008298)[重傷]
氷の狼
ブランシュ=エルフレーム=リアルト(p3p010222)[重傷]
航空猟兵

あとがき

 厳しい戦いであったことは疑いようのない事実ですが、その分対策は十二分に練られていたと思います。
 AP面に関してはもう、薄氷の上に成り立った勝利だと言えるでしょう。
 そういう意味では、最後まで気を抜かなかったお二人は特筆すべき成果を(依頼失敗を防いだという意味で)挙げています。
 お疲れ様でした。まずは体を休め、次の機会に備えてください。

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