PandoraPartyProject

シナリオ詳細

<濃々淡々>とっておきをひとつ

完了

参加者 : 4 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング


 赤く染まる木々の間を縫うように走り、漆喰と朱色の橋を渡って。彼岸花の堺、彼岸へと渡るように其処は隠れて存在する。
「誰か来た」
「誰だろう?」
「でも、此処は妖じゃないと」
「しぃ! 聞こえちゃうでしょ!」
 ひそひそ、紅葉の木の木陰で話す子どもたちはその身体に稀有な特徴――妖のそれを持っていた。
 土を踏みながら歩いてきた男が絢――この世界の境界案内人だ――と分かれば、彼等は警戒心なんて最初からなかったかのように走り出す。
「絢にいちゃんだ!」
「わぁー!」
「ふふ、此処は入り口に近いから危ないのに。でも、ありがとう」
 足元を囲む子どもたちの様子は近所の兄の久々の帰省を喜ぶような様子に近い。
 嬉しそうに笑い声をあげる子どもたちの何人かを抱き上げながら、絢は歩みを進めた。
「で、どう? 今年はうまく育てられた?」
 進んでいく道には沿うように無数の畑が点在している。
 子どもたちはそれを育て生活しているのだ。ところが。
「ううん、だめだったの」
「……そうか」
「でもね、代わりに面白そうな食べ物を見つけたの!」
「へぇ、それは……?」
「こっちこっち!」
 手を掴まれた絢は彼等の暮らす塒へと連れていかれ。
「……さつまいも?」
「へぇ、さつまいもって言うんだ!」
 芋を見せられたのだった。


「ってことでね、芋のレシピを教えてほしいんだけど」
 レシピ本らしきものを抱えた絢は笑って。
 混沌の加護たる崩れないバベルがあるうちに、と。色んな本を読んでいるらしい。
「でもおれ、あんまり料理はしないからさぁ。勝手がわからなくて」
 調理器具を理解していないらしい。もっともレシピ本にかかれているのは洋風のメニューばかり。
 彼が料理をすることがないのならばもっとも、知らないのも当然だろう。
「それに、料理をしているあいだにあの子達になにかあったらおれがこまるからね」
 つまるところ、そういうことだろう。
「もう依頼内容はわかったと思うけど」
 エプロンや調理道具が置いてある机。
 子どもたちと遊べそうな遊び道具がある机。
 それらにわけられている。
「子どもたちと一緒に遊んでくれる人と、さつまいもで何かお腹を満たせるものを作ってくれる人が欲しいんだ。力を貸してくれないかい?」
 子どもたちから目を離すわけにはいかず。かといって彼等が調理方法を知らないものをそのまま放置しておくわけにもいかず。
 悩みに悩んだ末、境界図書館にやってきたのだという。
「どうか、頼むよ」
 すべては、子どもたちの笑顔のために。

NMコメント

 今年ももう終わりつつあるんだなぁ。どうも、染です。
 ただ焼き芋をするだけじゃつまらないので頭を捻りました。

●依頼内容
 ・こどもたちでも作りやすいさつまいもの料理方法を教える
 ・こどもたちと遊ぶ

●こどもたち
 世界と世界のはざま、妖怪たちだけが暮らせる狭間の世界で成長を待つ妖怪の子供です。
 様々な特徴を有しており、必要であれば力を貸してくれることでしょう。
 ただし人間のもつ知識には疎く、また、成長するためには適切な栄養を取る必要があります。
 絢は彼等にとっては兄のような存在でもあり、恩人でもあります。
 好奇心旺盛で、どんな遊びにも興味津々です。

●世界観
 和風世界『濃々淡々』。

 色彩やかで、四季折々の自然や街並みの美しい世界。
 また、ヒトと妖の住まう和の世界でもあります。
 軍隊がこの世界の統制を行っており、悪しきものは退治したり、困りごとを解決するのもその軍隊のようです。
 中心にそびえる大きな桜の木がシンボルであり神様的存在です。
(大まかには、明治時代の日本を想定した世界となっています)

●絢(けん)
 華奢な男。飴屋の主人であり、濃々淡々生まれの境界案内人です。
 手押しの屋台や自身の構える店で美しい飴を売り、日銭を稼いでいます。
 屋台には飴細工やら瓶詰めの丸い飴やらがあります。また、店では妖怪が集まり密談をすることも。
 彼の正体は化け猫。温厚で聞き上手です。

 必要があればどちらへでもお供します。

 以上、皆様のご参加をお待ちしております。

  • <濃々淡々>とっておきをひとつ完了
  • NM名
  • 種別ライブノベル
  • 難易度-
  • 冒険終了日時2022年11月08日 22時05分
  • 参加人数4/4人
  • 相談5日
  • 参加費100RC

参加者 : 4 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(4人)

十夜 蜻蛉(p3p002599)
暁月夜
エマ・ウィートラント(p3p005065)
Enigma
回言 世界(p3p007315)
狂言回し
ニル(p3p009185)
おいしいを一緒に

リプレイ


「みんなでおいもを食べるのですね? それは、とってもとってもおいしそうなのです!」
 わあ、と笑みを浮かべた『おかえりを言う為に』ニル(p3p009185)は沢山のさつまいもに瞳を輝かせた。
 テーブルにも、畑にも。それからあとあんなところにもある、と楽しそうに語るこどもたち。笑顔をみれば笑顔がうつるのだってしかたない。
「おいものごはん……ニルが見たことあるのは、やきいもとか、たきこみごはんとか、煮物とか……スイートポテトとか、蜜がたっぷりかかったのとか」
 興味津々そうにニルの周りに集まったこどもたち。木の棒を握ったニルは、地面にかりかりと絵を描いていく。
 落ち葉を集めてやきいもをするのはみんなでわいわいと賑わうから楽しい。落ち葉をかきあつめ、火をつけて。そうするのがいいと笑って。
「おいも。ほくほくねっとりで、おいしいですね」
「うん!」
「おいしいー!」
 にこにこと笑う子供たちをみてニルも心がぽかぽか暖かくなる。

 さつまいもで
 りょうりって言ったら
 それはもう焼き芋しか無いんだよなぁ  せかい

 後ろで満足げに頷いているのは『貧乏籤』回言 世界(p3p007315)だ。子供たちを煽りたくさんの芋を一緒に掘ってきた。そのせいか自慢の白衣は土まみれだけれど。
「一番多く集めた奴が一番大きい芋を貰える……とはいったが、お前ら気合い充分だな」
 顔が隠れるくらいこんもりと集められたそれは、一番など決めようもなく。
 その間に世界はさつまいもをアルミホイルで包んでおくのだが。
「この世界にアルミホイルある?」
「うーん……ないかと」
「じゃあ棒にでも刺して炙るとするかな」
 子供達も大人しくできるのを眺めてくれるから面倒を見る必要も無い。そう思っていた時代が世界にもあった。
 最初の数分だけだった。かなしいね。
「蒸かしたりコロッケにしたりとおいしい食べ方は色々あるわけだが、やはり王道といえば焼き芋の右に出るモノはないだろう」
「ですです」
「外で焚火でもしてそこに芋を放り投げるだけと調理も簡単……でも無かったような気がするぞ」
「そうなのですか?」
「ああ。まず焚火がそもそも割とめんどいしな……」
「ふむむ。では、レンジやオーブンでするのがいいでしょうか?」
「そう思うだろ? でもオーブンで作ったりするのとは違った美味しさが……俺が小さい頃に作ったときは全然焼けて無かったのか滅茶苦茶硬かったんだよな……。まあ素人が作るとそんなもんか」
 ぱちぱちと燃える薪。口のなかに広がるさつまいもの甘味。おいしい。 
「という訳で俺は遊ぶ側に回る事にする。さてなにで遊ぶべきかな……」
 鬼ごっこ、は俺が疲れるし嫌だな。
 じゃあかくれんぼ……は畑だらけのこの場所じゃ不向きか。
 思考を巡らせた結果は。
「よし、やはり焼き芋でいこう」
 華麗なる手の平ドリルであった。
 火の面倒を見るのは大事だから仕方ない。仕方ないんだよ。ねっ!
「……あれ、少し固いか。すまん、もう少し焼こう」


「おやおや、妖怪の子供達とさつまいもとな?
 くふふ、楽しそうなさつまいもパーティーになりそうでごぜーますね。とはいえ如何したものか」
 『Enigma』エマ・ウィートラント(p3p005065)は薄く笑い。
「さつまいもスティックなど簡単でごぜーますけどそれだとあまり面白みがないでありんしょうし……ふむ。さつまいものベーコン炒めなどどうでござりんしょ?」
「なにそれ!」
「おいしそう!」
「……さつまいも以外にも材料ごぜ-ますよね?」
 もちろんだ。人里から購入してきたものがいくつかある。
 さつまいもは食べやすい大きさに切りレンジで3分。ベーコンも食べやすい大きさにカットしていく。
 フライパンにバター・ニンニク・ベーコンを火にかけベーコンに焼き色がついたらさつまいもを投入。
「おねーさんうまい!」
「ふふ、そうでありんしょう」
「とくい?」
「多少はできないと困るでごぜーますからねぇ」
 子供たちと話す余裕は残しつつも手際よく。油が馴染んだら塩コショウで味付けをして完了だ。
「おおー……!!」
「とまあ、こんな感じでありんしたが如何でごぜーますかね?
 気に入ってもらえたら幸いでありんすが」
 子供たちからの返答はない。
 もぐもぐと口に含んで幸せそうに頷いているからだ。
「さて、沢山食べたあとは…遊ぶんでごぜーましたね」
 まだまだお腹がすいているこはいるけれど、きっとそれは他のイレギュラーズにも任せていいだろう。
「ならこの子は如何で? マーナガルム」
 エマが呼び出したのは、人が背中に乗れるぐらいには大きいもので。
「乗っても良し、普通に遊ぶも良し、好きにやりなんし」
 わらわらと集っていくこどもたち。エマも満足げに頷いた。

「まぁ……これはこれは、美味しそうに育ったお芋さんやこと。きっとこのまま食べても、蜜がよおけ入って甘おうてほこほこ食べられそうな」
 あら、と口元に手を運んだ『曙の花』蜻蛉(p3p002599)は緩やかに尻尾を揺らし。
「今日は絢くんと一緒にお料理出来るんやね? 嬉しいわ」
「まあさぽおとみたいなものだよ。蜻蛉が作った方がみんなも喜ぶさ」
「ふふ、そないなこと言わんと。一緒に作りまひょ」
 着物に合わせて割烹着を羽織り。頭には三角巾をきゅっと。
「そやねぇ。そしたらうちは……さつまいものお団子を作らせてもらいます」
「おだんご?」
「そやよ。皆のおててがあれば、沢山出来そうやわ♪」
「てつだう!」
「おれも!」
「わたしも!」
「ふふ、おおきにね」
 火の扱いには気を付けて。子供たちにお団子の作り方を説明する蜻蛉と、火の面倒を見る絢。芋も充分に茹でられたのなら、手招きした蜻蛉の隣に絢も腰かけて。
「竹串でついて火の通りを確認して……と。うん、良し。柔らこぉなったお芋を潰して、お砂糖も入れましょ」
「ぼくもおてつだい、いい?」
「あら、お手伝いしてくれるん? ほんなら、頼んます」
 ひとりよりもみんなで。その方がきっと楽しい。
「そうそう、そこへ白玉粉も足してコネコネして……と。小さくちぎったら、手の中でお月さんみたいにまんまるにしてみるんよ」
「うーん……おれのは不格好だなあ」
「うふふ。絢くんも上手やよ。あとは最後に、それをまた火にかけて煮たら、出来上がりやよ」
「これなら子供たちにも作りやすそうだ。有難う、蜻蛉」
「ふふ、良かった。こういうのも楽しめるから、嬉しいもんやわ」
 テーブルの上にたくさん転がったお団子。きっと甘くてふんわりできるに違いない。楽しそうに声をあげ、自分が丸めたものを見せあう子供たちに蜻蛉はくすくすと微笑んだ。

「待ち時間に遊ぶなら、おえかきとかはどうでしょうか?」
「おえかき?」
「はい。おいもほりとか。みんなでお料理とか。遊んだこととか。……絵だったら、楽しかったこと、ずっとずっと残しておけると思うのです」
「たのしそう!」
「あとは、おいもを彫ってスタンプにする? のとかも見たことあります。でもスタンプにすると食べられないですね? むむむ……」
「スタンプにした面を薄く切れば焼いて食べられるだろう、問題ないさ」
 手際よくさつまいもを輪切りにした世界が、そのうちのひとつをニルへと差し出した。
「わ、いいんですか?」
「いいもなにも、案を出したやつが実践しないと誰がお手本になるんだよ」
 小さなスプーンを握って。それから、レッツスタートだ。

 遊び道具の中に懐かしい硝子のおはじきを見つけた蜻蛉。秋の空に透かしてみれば、うんと透き通って見えた。
 なんだか見覚えがあるような気がして手に取れば、やっぱりそれは透き通っていて。それはまるで。
(……絢くんの作った飴みたい)
 くすくす。笑みがこぼれる。そうか、どうりで見覚えもあるはずだ。
 絢の飴を好いているのは子供たちだけではなく蜻蛉もそうなのだから。
「じゃ、みんな。お腹も膨らんだことだし、少しだけ遊ぼうか」
「なにするの?」
「おはじきをしようかなって。蜻蛉が教えてくれるよ」
 絢の紹介を受けた蜻蛉はたおやかに歩みだし。
「こんにちは。さっきはお団子のお手伝いを有難うね。他のひととは違ってうちも、絢お兄さんと同じ化け猫なんよ。ほら」
 耳と尻尾をぴょこんと見せて揺らした蜻蛉。子供たちの緊張してそわそわした様子が一気に緩やかになったのが伝わった。
「それに。絢くんには、お世話になっとるの……皆と同じやね、ふふ」
「絢にーちゃんがおせわされてるんでしょ!」
「蜻蛉ねーちゃんやさしそうだもん!」
「そ、そんなことないよ、多分……」
 ぱらぱらとおはじきを床に広げる。きらきらと輝いた姿は星のようでもあり。そして。
「絢おにーちゃんの飴みたい!」
「そうかな?」
「ふふ。慕われとるんやね」
「どうだろう。いいこたちだけどね」
 お手本だ、と。弾いたおはじきは、案の定違う方向へ。
 子供たちもその仕草を真似ておはじきを弾いていく。
「もっと上手いこと出来るて思てたんやけど、皆の方が上手やわ。恐れ入りました、ふふっ」
「ふふ、おねーちゃんもすごかったよ!」
「またあそびにきてね!」
 子供たちの上手さに感嘆しつつ。はらりはらりと落ちる木々の彩りを眺めながら、蜻蛉は笑った。

成否

成功

状態異常

なし

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