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シナリオ詳細

<総軍鏖殺>いずれが狩人たるや

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング


 『アラクラン』や『新時代英雄隊』という組織名を聞いた事があるだろうか。
 現在の鉄帝は政変に伴う混乱極まっているが……その中で時折目撃される新皇帝派の者達である。イレギュラーズの中には、彼らと遭遇したことがある者もいると報告も挙がっていた――
「このまま放置しておく訳にはいかないよね、こっちから攻撃できないのかな?」
「どこか出現する様な場所を予測できれば……とは思うけれど、ね」
 そんな連中に対し対策が打てぬかとザーバ派の拠点、バーデンドルフ・ラインにおいて言を紡ぐのはヒィロ=エヒト(p3p002503)に美咲・マクスウェル(p3p005192)である。
 目撃されている連中は、ただ新皇帝の勅令に喜んで乗っかっている様な無法者ではない。
 何か、明確な意思と共にこの騒乱に加担せんとしている――『敵』だ。
 ……ヒィロの言った様に、このまま放置しておく訳にはいかない。
 現状でも、此方から連中に対する調査や攻勢を仕掛けられぬか――思案を巡らせている所だ。
「ふむ……聞いた話によりますと彼らは『敗者狩』の様な――つまり弱者を狙った行動が目立っている様ですぞ。恐らく彼らの長からの指示なのでありましょうが……これを逆に利用してみませんかな?」
「成程――例えば、勢力圏内に避難しようとしている人達の襲撃を彼らがするのなら、僕達はそれを待ち伏せよう、って言う事かな。うまく行けば確かに逆に彼らを打ちのめしてやることが出来そうだね」
 然らばヴェルミリオ=スケルトン=ファロ(p3p010147)にエーレン・キリエ(p3p009844)が閃いたのは敵勢力の行動を予測し、先回り……或いは待ち伏せておく計画である。アラクランにしろ新時代英雄隊にしろ未だ謎の多い組織ではある、が。
 彼らの動きを分析すれば現時点でも見えてくる事はある――
 それは、とにかく現在の鉄帝の混乱を押し広げる様に行動している点だ。特に顕著なのは、立場が弱い者達に攻撃を仕掛けている点などであろうか……故にこそヴェルミリオ達は『予測』出来るのでは、と。

「皆、聞いてくれ。丁度さっき情報が入って来たんだけど、ザーバ派に庇護を求めている民の一団が城塞に向かってきているらしい――敵が接近してくるかはまだ分からないけれど、どうだろう。先んじて出向いて、迎撃する準備を整えておくというのは」

 そして。折よく敵が標的にしそうな情報を入手したのは解・憂炎(p3p010784)だ。
 新皇帝の勅令の無法は力なき民に重くのし掛かってくる……故にこそ反皇帝的な動きをしている勢力に接触を求めてくる者達もいる訳だ、が。そんな民達は敵にとって格好の標的。
 恐らく『敵』も来るはずだ――故にこそ待ち伏せる事も出来よう。
 今すぐ出撃すれば敵勢力が動き出すよりも早く布陣できるはずだ。

 いつまでも新皇帝派のみが『狩人側』ではない事を――思い知らせてやるとしようか。


 ――そしてイレギュラーズ達はバーデンドルフ・ラインより北東部方面にあるブリスベン山の中を突き進んでいた。ここには馬車が進める程度であるが山道が存在しており、このルートを民らが通ってきているらしい。
 即座に出撃したが故か、民らよりも先んじて現場へと到達せしめた。
 さて――ここからどう準備しておくべきだろうか。
「民の皆々様方と接触する為にもう少し進んでみますかな?
 もしくは……この辺りで罠を仕掛けるなり、敵がいないか索敵するという手も」
「近くは木々ばっかり。身を隠せる場所は多そうね」
 ヴェルミリオや美咲が周囲を見渡せば、隠密に適した地形が占めている。
 正に敵にとっては襲撃しやすい地形だ――しかしそれはイレギュラーズ達にとっても同様。
 今の内に敵の襲来への準備を進める事が叶えば、優位な形で敵を迎え撃つ事が出来るだろう。或いは避難民らと接触し、その一団の中に紛れておく……と言う事をしても敵の油断を誘えるかもしれない。
 いずれにせよ今少しばかり時間に余裕はありそうだ。
 さぁどのように迎え撃ってやるとしようか!

GMコメント

 リクエストありがとうございます――
 鉄帝で暗躍する連中に対抗しましょう! よろしくお願いします!

●依頼達成条件
 敵勢力の撃破(もしくは捕縛、撃退など)

●フィールド
 鉄帝南部方面に存在するブリスベン山中です。
 ここは馬車が通れる程度ですが山道が存在し、現在そのルートを避難民が通っている最中です――ザーバ派としてはこれを保護するつもりですが、敵の襲来が予測されています。イレギュラーズの皆さんは素早い行動と予測によって、先んじて戦場に到達する事が叶いました。

 敵の襲来までは些か時間に余裕があると思われます。
 周囲の索敵を行い、敵の動きを掴みながら待ち伏せしたり。或いはこちらに向かってきている民に合流してその一団として紛れたりと、策を巡らせる余裕があるでしょう。やがて敵勢力が襲い掛かってきますので――迎撃してください!

 山道の周辺は多くの木々があり、身を隠せる所は多い様に見受けられます。
 なお時刻は夕方ごろです。薄暗いですが灯りは必要ないでしょう。

●敵戦力
・グレンツァー・グオン
 この場における『新時代英雄隊』を率いる部隊長の様な人物です。
 鉄帝国『中佐』の肩書を持っています。元からだったか、新皇帝に伴って新たに着任したのかは分かりませんが……後述する部隊員を率いて間もなく避難民を襲撃せんとしている様です。

 戦闘能力としては槍を持ち、EXAに優れ手数が多い様です。
 近~中距離の攻撃を連打し【飛】などの陣形を乱す一撃を得意とするでしょう。
 また、R2以内の部隊員の能力を上げる指揮能力を有している様です。
 ただしグレンツァーが倒れれば、部隊の士気は一気に下がる事でしょう。

・『新時代英雄隊』隊員×10名
 ジェルヴォプリノシェーニエ、とも呼ばれる者達です。
 彼らは『波乱に満ちた新時代にこそ英雄が必要である』と騙る鉄帝軍将軍の下に集っている戦力です――いわゆる『新皇帝派』に位置します。英雄と名乗っていますが、実態は暴力を肯定する集団に過ぎません。
 『弱者』たる避難民を――というよりも新皇帝に反発する者らを『不忠者』とし、苛烈な制裁を与える事もあるようです。恐らく今回もその一環でしょう。

 10名中6名が剣を携えた前衛型で、4名が銃を持った後衛型です。
 戦闘能力はまちまちですが、リーダーを中心に纏まった動きを見せています。

●特殊ドロップ『闘争信望』
 当シナリオでは参加者全員にアイテム『闘争信望』がドロップします。
 闘争信望は特定の勢力ギルドに所属していると使用でき、該当勢力の『勢力傾向』に影響を与える事が出来ます。
 https://rev1.reversion.jp/page/tetteidouran

●情報精度
 このシナリオの情報精度はBです。
 依頼人の言葉や情報に嘘はありませんが、不明点もあります。

  • <総軍鏖殺>いずれが狩人たるや完了
  • GM名茶零四
  • 種別リクエスト
  • 難易度-
  • 冒険終了日時2022年10月31日 22時20分
  • 参加人数8/8人
  • 相談8日
  • 参加費150RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

エマ(p3p000257)
こそどろ
ヒィロ=エヒト(p3p002503)
瑠璃の刃
※参加確定済み※
美咲・マクスウェル(p3p005192)
玻璃の瞳
※参加確定済み※
エル・ウッドランド(p3p006713)
閃きの料理人
シャノ・アラ・シタシディ(p3p008554)
魂の護り手
エーレン・キリエ(p3p009844)
特異運命座標
※参加確定済み※
ヴェルミリオ=スケルトン=ファロ(p3p010147)
陽気な骸骨兵
※参加確定済み※
シェンリー・アリーアル(p3p010784)
戦勝の指し手
※参加確定済み※

リプレイ


「……度し難い連中だな。仮にも軍人が民を率先して狩り回すなど。
 その姿。その有り様。なにも存在に疑問を抱かないのか?」
「『新時代英雄隊』っていう組織……立派な名前だけど、中身は伴わないみたいですね……!」
 近くに来ているのでろう――と視線を巡らせるのは『特異運命座標』エーレン・キリエ(p3p009844)や『見たからハムにされた』エル・ウッドランド(p3p006713)だ。名に恥じもしない只のテロ行為……はたして誰が見過ごせようか。
 彼らは往く。まずはともかく避難民と合流する、と。
 本格的な戦闘はそれからだ――
「避難民はウェルカムだけど、招かれざる客まで付いてきちゃってるねぇ。
 まぁそのお客さんとかは調査してみたいと思ってたし? がんばろっか!」
「……まぁ……情報取った後で畑の肥しくらいにはなるかなぁ」
「ははは。確かに、連中は迷惑をかけた分肥し程度には人様の役には立ってほしいものですな!」
 故にその準備として動くのは『瑠璃の刃』ヒィロ=エヒト(p3p002503)に『玻璃の瞳』美咲・マクスウェル(p3p005192)そして『陽気な骸骨兵』ヴェルミリオ=スケルトン=ファロ(p3p010147)の三名である。
 不届き者にして愚か者に対する容赦などありはしない。よって、本気の罠を仕掛けよう。
 敵部隊を分断できるような罠を――だ。ヒィロは周辺の地形を利用し、原始的な罠を中心に仕込み続ける。例えば落とし穴や、足が引っ掛かると同時に射出される矢の罠などである。更にヴェルミリオも同様に自然に対する知識を活かしながら罠を隠密に設置していく――
 この辺りは幸いにして木々ばかり。視界の悪い地形など罠の仕込み甲斐があるものだ。
 一方で美咲は名もなき避難民の一人として紛れ込もう。
 敵は恐らくイレギュラーズの襲来など予測していない筈だ。
 故にこそ効果があろう、と。
「弱い者いじめしか出来ない連中に、ゲリラ戦のお手本というものをお見せしてあげよう。
 ――さぁ今の内に準備だ。一分一秒が惜しいね……!」
「先に、潜んでる、可能性、低い。でも、念のため、調べる。
 それに、慣れない、森。動きづらい。走りづらい。事前確認、大事」
 そして『ザーバ派南部戦線』解・憂炎(p3p010784)は周辺を空から俯瞰する様な観察眼と共に窺いて、状況を確認。ヴェルミリオやヒィロへと、敵が通りそうなルートの情報を共有・指示していくものである――さすれば『新たな可能性』シャノ・アラ・シタシディ(p3p008554)は山道周辺の索敵に回ろうか。
 敵を早期に発見出来る事に越した事はない。それ以外にも、狙撃や奇襲に適していそうな茂みがないか……事前に可能な限り調べんとする。折角にも此方から攻撃出来る機会なのだ――無駄には出来ない。
「さぁ行ってくれ。頼んだぞ」
 更にはエーレンが放つのは、ファミリアーの小鳥である。
 空に飛翔させ、そこから敵部隊の動きを偵察へと赴かせよう。
 方角、距離、移動速度や針路など……少しでも分かれば味方に情報共有せんとして。
「ひっひっひ……新皇帝派を撃破しろ、ですか。なるほどなるほど。
 戦争っぽくなってきましたね。やってやられる泥沼ですよ、こういうのはね」
 同時。『なきむし』エマ(p3p000257)も、いつも通り引きつった笑みを鳴らしながら行動するもの。気配を押し殺しながら移動して木々や茂みに紛れ――優れた三感をもってして敵が近付いてきていないかを確認する。
 敵勢力の数・位置・戦力などなど……奇襲する為には数多の情報が必要だ。
 敵はどこにいるか。どれぐらいの速度で近付いてきているか。
 暗きを見据える目をもって――まるで梟の如く在れ、ば。
「――来てますね。私達ではない、別の人達ですよぉ」
 エマは気付いた。ならばと、皆に迅速に伝え往くものだ。
 さぁ戦争の時間ですよ。
 狩りの時間ですよ――ひっひっひ。


 暗き道の果て。此処を避難民らが通るのだという。
 『新時代英雄隊』が狙っていた獲物だ。
 近付いていく。あぁ今宵もまた、俺達の贄が来た――と、思った正にその時。
「何――なんだ、これは!!?」
 隊員の一人が、声を荒げた。
 それはイレギュラーズが仕掛けた罠の一つだ。垂れ下がっていた蔦があり、それを邪魔だと払ったら別の方角から矢が射出される――ヒィロの仕掛けた、罠。返しの付いた矢が敵の足を貫けば思わぬ痛みに驚くものだ。
 それもそうだろう……自分達が狩る側だと思っていたら突然攻撃を受けたのだから。
「これは、罠だと……? 近くに敵がいるな。注意しろ」
「――中佐。前方の道に足跡が両方面に……」
「何? これも偽装工作か……? ふむ……」
 と、すれば更に避難民が通った道を誤認させる痕跡の罠もあるものだ。どちらを通ったのが真実か……リーダーたるグレンツァーは少し考え込んだ上で、部下に指示を飛ばす。
 戦力を二つに別けて追う――と。
 ただし道中で何もなかった場合、すぐさま引き返してもう一方に合流する様に、だ。
 今回は何か違う。此方を認識している敵がいると分かれば対応も打つものである。
 ……だが二手に別れ、分断したのならイレギュラーズの予定通り。

「ブリスベンへようこそ! 歓迎しよう、盛大にね!」

 あはっ♡ その声が聞こえた時は――もう手遅れ。
 ヒィロだ。道を後退させぬ様に仕込んだ倒木の罠が倒れ伏す音と同時に襲来する。
 イレギュラーズ達が敵を討つべく――だ。
「ひひ、悪いですが、観念してもらいますよ――好き勝手やっていたそっちの方が悪いんですからね」
「わざわざ、抵抗する力のない人達を狙って射的の的や家畜みたいに扱うなんて……許しません! そんな人達……全力でぶっ潰しますよ!!」
 一度動き出せば、後は速攻である。偵察の役目も兼ねて動いていたエマやエルが真っ先に敵へと襲い掛かろうか。エルも、優れた三感をもってして敵の数を数えてもいたのだ――隊員がひとり……隊員がふたり……隊員がさんにん……うっ、羊を数えるみたいで眠くなりそうだったが……がまんがまん!
 狙うは隊長だ。奴さえ潰せば、敵の結束は一気に瓦解する筈……!
 エマが速度を活かし一気に踏み込んで、斬撃一閃。
 続くエルはマグナム弾を用いて隊長の足を封じようと狙おうか――!
「チィ。やはり伏兵がいたか……しかしこの程度でッ!」
「鳴神抜刀流、霧江詠蓮だ。今だ戦意が衰えぬとは結構だ、が――
 お前たち、自分たち狩られる弱者になっていることに気付いているか?」
 さすればエマらを迎撃せんとグレンツァーは槍を振るいて。
 そこへと更に奇襲を仕掛けたのはエーレンだ。
 ――金属音が鳴り響く。彼の剣閃と槍が鍔迫り合いを繰り広げている、か。しかしエーレンは潜んでいた事に加え、完全に虚をつくタイミングで強襲しえたからか……明らかに押し込んでいる。別たれた部隊が戻ってくる前に決着を付けんとせん勢いだ。
「森、近くで、狩人、戦う。それ、すなわち、無謀。
 罠、嵌った獲物、絶対、勝てない。大人しく、降伏」
「さあ――狩の時間ですぞ! なんて冗談はさておき、逃げ惑う民を狙うとはなんたる不届き者でしょうか! なんたる罪深き所業……! 決して許しませんが故、お仕置きは覚悟して頂きますぞ!」
 更には隠密からの奇襲に特化したシャノもまた茂みより出でて突撃する。雷鳴の神を冠す、雷撃が敵陣へと降り注げば――ヴェルミリオの放つ毒手も到来だ。その身に纏う戦いの加護が彼の力を高め襲い掛かる――!
「……お前達、さてはイレギュラーズか? 新皇帝陛下に逆らうとは愚かな」
「あんな皇帝陛下殿に従うのがそんなに栄誉な事かい?
 まぁ。そっちの考えなんてどうでもいい――
 それよりも理解する事だ。先手をとったのは『こっち』だという事にね」
 然らば彼らの素性をグレンツァーは悟るものだ、が。
 最早イレギュラーズだのどうだのと言った事は関係ないと憂炎は襲来しながら紡ぐものだ。守護の力を高めながら、グレンツァー以外の隊員らの意識を釘付けにせんと――彼は立ち回る。
 例えどんな強力な一個人であろうとも、綿密に練られたプランの前では無駄。
 ――ゲリラ戦のお手本と言う物を、彼らにお見せしてあげよう。
「乱されるな、固まって戦え! いずれは別れた連中も合流してくる――!」
「そうかしら? その前に全部の作戦が瓦解する事を、視野に入れておくことね」
 と、その時。グレンツァーが声を張り上げる中、更に戦線へと介入してきたのは美咲だ。
 彼女は敵がどのように動いても良い様に、名もなき民の一人として避難民の中に紛れ込んでいた。もしも連中が避難民たちを完全に捉えていたとしても――内に潜んでいた美咲から強襲されていた事だろう。傍から見れば彼女だと気付かぬ程の隠密性は至高の極み。
 ともあれ彼女は死角より至らんと高速の儘に到来。
 気配を遮断し、奇襲を仕掛けた彼女の一撃がまた――グレンツァーへと紡がれて。
「くっ! だが、この程度でッ!!」
 されど。一隊を率いる長としてか、彼はまだ崩れなかった。
 槍を振り回し、イレギュラーズと距離を取らんと奮戦する――
「成程。それなりの力はお持ちの様だ……しかし貴方は何をしましたか?
 偵察は? 此処の地理の把握は? 戦いにおいて一番価値が大きいのは『情報』です。
 ――貴方はもう既に負けているんだ。戦術の失敗を取り返せない程にね」
 が。憂炎はその一撃を凌ぎつつ、語るものだ。
 もう貴方は終わりだと。
 今からソレを直に――証明してみせよう、と。


 急げ――隊長と合流だ――
 分断された『新時代英雄隊』は戦闘の気配を感じ取り合流すべく急いでいた。
 敵の襲来は確実。ならば一刻も早く――と。しかし。
「倒れるまで続けますよ。貴方達の様な存在は……許しません」
 なんとか合流せん下段階ではすでに、隊長であるグレンツァーには苛烈な攻勢が繰り広げられていた。エルも特に容赦ないものだ。元々、『新時代英雄隊』は気に入っていなかったのだ。
 全力でぶっ潰すのを――手伝おうと思う程に。
「まぁ、殺しはしますまい。貴方達の組織の情報などを喋って貰わねばなりませんからな」
「そうね――あ、ヒィロ。この辺りまだ罠あるわよね?」
「あるよあるよ! うんうん、吹っ飛ばしちゃおうか!」
 ヴェルミリオは引き続き、うっかりと殺してしまわぬ様に手加減を心掛けるものだ。折角引き寄せる事が出来た敵ならば、骨の髄までしゃぶらねば……まぁ表現はともかく情報を頂戴せねばならぬのだから。
 故にヒィロと美咲はいつも通りに連携した行動をとるものである。
 部隊長以外の連中をヒィロが引き寄せて、美咲は圧倒的な速力をもってしてその位置を押し込もう――さすれば、仕掛けていた落とし穴の罠が作動するものである。そのまま連中が復帰する前に攻撃を立て続けさせ更に追い詰めてやろうか。
 分断させる事が出来た時点で、イレギュラーズの方が数が上なのだ。無論、敵が再合流するまでであるが……その優位を活かして押し込んでいく。如何にある程度実力を部隊長が宿していようと、この状態ならば関係あるまい。
「うーん、やっはり罠をじっっっくり用意して嵌めるのもいいけど、直接的にヤっちゃう方がすっきりするね! やっぱり手ごたえが違うよ手ごたえが!」
「分からないでもないけれど、折角用意した罠は可能な限り使ってもおきたいわね」
 そうだね美咲さん! と、ヒィロと美咲は仲睦まじく語るものである。
「新皇帝派、暴力、肯定。弱い人、いぢめる。自、嫌い」
「愚かな――武力こそがこの国の本質。それを否定するか!」
「否定。自、嫌い、新皇帝派。国、本質、無関係」
「そういう事ですねぇ。要は、国どうこう以前に貴方達が気に入らない……って事ですよぉ」
 直後。シャノは彼らに対し嫌悪感の様な感情をどこかに秘めつつ、一閃放つものだ。
 彼の狙いは銃を持っている兵を狙いて遠距離の手段を潰す事――
 蹴りにて空へ跳ね上げ、そのまま撃ち落とすかのような一撃を叩き込もうか。さればエマは周囲の状況を常に確認せんとしながら、敵の数を次々に減らしていく。暗殺の刃を彼の身に。おっと、まぁ一応命だけは助けてあげましょうか――? 逃がしはしませんけれども。
「くぅ――! おのれ、貴様ら如き抵抗勢力が、我々を……!」
「貴方は戦略と言うモノをもう少し学ぶべきでしたね。
 丁度いい機会なので此処で身をもってして学んでいくと良いでしょう。
 尤も……成果は部隊全滅という結果で終わるのですが」
 であれば。グレンツァーは怒り狂うように武を振るうものだ。
 グレンツァーは抗する。己が槍をもってして、イレギュラーズを薙ぎ払わんと。
 まだ生き残っている兵にも指示を出して抵抗せんとする――が。
 憂炎はその抵抗を捻じ伏せる様に迎撃するものだ。
 防御の構えから攻勢一撃。グレンツァーの槍を凌ぎ、腹へと叩き込んで。
「ご、が――」
「無駄な抵抗だったな――己が本分を忘れた者よ。しかと痛みを知るがいい」
 そこへ。一閃放ったのが――エーレンだ。
 彼の神速の斬撃がグレンツァーを穿つ。防御せんとした槍諸共、切り裂いて。
「魔種に与した敵将グレンツァー!
 ザーバ・ザンザ将軍麾下のイレギュラーズが討ち取った!!」
 同時。彼は高らかに宣言せしめるものだ。残敵共の士気を、打ち砕くように。
 さすれば敵の間に明らかに動揺が走る。その隙を見逃さぬのがエマやヴェルミリオだ。
「ひっひ……オーダーは『撃破』ですからねぇ。出来る限りやってみましょうか。
 ま、戦う気のなくなった方々なんて本当に『狩られる』だけの立場ですよ」
「スケさんは言いましたからな。お仕置きをすると――それでは何卒お覚悟を!」
 両名は追撃する。可能であれば捕らえて、情報源にでもする為に。まぁ……明確に情報が入手できそうなのは、隊長のグレンツァーぐらいだろうかとも美咲は思うのだが。
「狩り終えたら避難民さんらを城塞へご案内しましょ。あの人達も早く安全圏に行きたいでしょうし」
「国民は国の宝! 積極的に保護しないとね!
 他にも保護を求めてる人の情報あるかなぁ……? 後で聞いてみよっか!」
「そりゃいい。もしかしたら家族と離れた奴がいたりするかもしれないし……一緒に探してやってみてもいいかもな」
 ヒィロやエーレンと語りつつ避難民たちの方へと合流を決意するものだ。
 『新時代英雄隊』を倒した以上、安全だとは思うが……
「城塞、まで、守る。安心して。れっつごー、ごーごー」
「もう大丈夫だとは思いますが、念のため急ぎましょう。
 他に不逞の輩がいないとも限りません」
 シャノや憂炎が同行する様に、絶対確実とは限らないのだから。
 城塞まであと少し。共に至りて、彼らを安全なる地まで――送り届けよう。
「ふぁあ……夜だからか眠くなってきましたね……
 早く戻って睡眠をとりたいです……」
 さすればエルは隊長であったグレンツァーを捕縛しつつ、欠伸を一つ。
 あぁ早くふかふかのベッドで休息を取りたいと……思うものだ。
 隊長などから尋問して情報を収集するのは――その後に、なりそうだろうか。

成否

成功

MVP

シェンリー・アリーアル(p3p010784)
戦勝の指し手

状態異常

なし

あとがき

 依頼お疲れさまでしたイレギュラーズ!
 『アラクラン』や『新時代英雄隊』などなど……彼らの組織構造は気になりますよね。
 今回の捕縛の件も含め、段々と情報が集まって来ればその内彼らの闇も分かるかもしれません……
 ともあれありがとうございました!

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