シナリオ詳細
しあわせな村人たち
オープニング
●罪の果実の代償
その日はとてもおなかがすいていました。
いいえ、その日に限らずとも、生まれてからずっと、お腹がすかないときはありませんでした。
むらにはたくさんの『やさい』がうえられていますが、それらはたべてはいけないそうです。
たべるためのものはないの、ときくと、『やさい』をうってかせいだおかねでみんなをやしなうのだよ、といわれました。
でも、それだけではみんなおなかがすくでしょう。『やさい』をうったおかねだけでは、とてもたべていけないでしょう。
だいじょうぶだよ、とおかあさんはいいます。
みんなおなかがすいているから、みんな『おなじ』だよと。
おなじくらい『しあわせ』なら、みんな『しあわせ』。
かみさまは『おんなじ』ことをのぞんでおられるのよ、といいます。でも、やっぱりおなかはすきます。
きょう、『やさい』をたべました。
あした、『やさい』をたべてたことをあやまって、もうすこしおなかがすかないような(文章はここで途切れており、乱れた線が文章を乱雑に横断している)
●その信仰は望まれぬもの
「君等、『恒久的な平等社会』なんてものがあったら信じるかい? それを標榜するやつがいたら、指示するかい。平等、均一、画一的。だれも上に立たず下に貶められない理想の世界、理想の治世。まあそういうヤツだ……尤も、そんなものが大嘘だってバレたのが俺のもといた世界で……何年前だったかな、まあ昔の話だ」
「仲良く貧しくなりましょうなんて馬鹿じゃねえの」、とうそぶいた『博愛声義』垂水 公直(p3n000021)の言葉の様子を聞くに、まあ、不幸なすれ違いがどこかで起きたモノなのだろうという想像はつく。イレギュラーズの多くが知らずとも、平等主義という魔物は多くの人の心に根ざしているものなのだから。
「今回は天義の……ちょっとした筋から来た依頼だ。この依頼は正規のもので、少なくともキミらの行いは『天義としての正義』を為すだろう。誇るべきだ」
そう言って公直は、回し読みさせていた書類(前述の怪文書である)を受け取ると、文章を軽く指でなぞった。
「今読んでもらったのが、今回の標的になる村の……まあ有志から回収された日記の一部だよ。これだけ見れば『商品作物に注力しすぎて生活が困窮した村』にしか思えないんだけどね。実情はちょっと違う。ローレットに接触してきたのが正規筋で、俺達に仕事を回してきたのもソレが理由」
正規筋で、しかしわざわざローレットに依頼する。つまるところは、『天義の正しき正義』を求める者が、ローレットが正義を託すに足るかを見定めにきている、ということだ。
尤も、やり方を間違えれば彼らの心象も、天義の一般市民の心象も悪くする、諸刃の刃であろうが。
「商品作物、っていうと聞こえはいいんだがね。つまるところが麻薬の類だよ。それも賢しいことに、特定の食い合わせ、飲み合わせにのみ禁忌を示す……ああ、『禁忌』って知らない? わかりやすくいうと『食い合わせが文字通り死ぬほど悪い』ってコト。単に市場に流通してもちょっと商品価値の高いブツでしかねえけど、事情通には高く売れる、最高に『トぶ』代物ってことだな」
そんな『商品』が市場に流れ続ければどうなるか。少なくとも、治安に好影響を及ぼしはすまい。
その事実が表沙汰になる今の今まで、流通し続けたというのが輪をかけて問題アリなのだが……『商品作物』の表向きの顔が、天義の利益に適うもの、だった可能性も見えてこよう。
更に言えば。そこまでのことをしてなお、彼らは満たされぬほどに飢えているという事実。
「それだけでも大概なんだが。さて、君等に問いたい。そんな『トぶ』ようなものをまかり間違って子供が食べたら? それで食い扶持を失った大人は、どうやって子供の命を奪うと思うね?」
話し終え、なおもへらへらと笑う男の表情に、一同が何を感じたか……それは本人たちのみぞ知ろう。
だが、ああ。
口減らしであり、見せしめの処刑であり、教訓であり共犯関係を植え付けるための儀式ですらある。
抜け駆けなど許されぬ。仲良く奈落へ落ちていく不幸への紐帯(ちゅうたい)。
「話は以上だ。それと……依頼者からの伝言だ。『断罪の剣を振り下ろしたのが顔知らぬ誰かであるか、幻想の者達かは問わないが、その選択如何で諸君の立場は大きく変わるだろう』、だとさ。意味は君等で考えるといい」
- しあわせな村人たち名声:天義0以上完了
- GM名三白累
- 種別通常
- 難易度NORMAL
- 冒険終了日時2018年09月12日 22時00分
- 参加人数8/8人
- 相談7日
- 参加費100RC
参加者 : 8 人
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参加者一覧(8人)
リプレイ
●篝火の如き意志
「あれが目的の村と畑……グレイシアおじさま、ルアナの言う事覚えていってくれる?」
「見える範囲で構わぬ、出来る限り細かく伝えるように」
『遠き光』ルアナ・テルフォード(p3p000291)と『智の魔王』グレイシア=オルトバーン(p3p000111)は、村を一望できる高台から周囲を見回し、村の様子を細かく観察していく。視力に長じたルアナが観察、グレイシアが情報整理に回る形だ。尤も、事前に簡素な地図を確保できている以上、委細な情報に齟齬が出ぬように務める程度であるが……。
――こうなる前にどうして別の道を考えなかったの?
ルアナの問いに応じる者は……少なくともその場には居合わせてはいない。
天義を故郷とする『特異運命座標』コーデリア・ハーグリーブス(p3p006255)や、天義の『正しさ』を信じる『銀凛の騎士』アマリリス(p3p004731)ならば何らかの回答を返したのかもしれないが。恐らくそれは、彼女の望むそれとは趣を大きく異にするだろう。
「……言語道断ですね」
「強くあることをジャクシャに強要するセカイなんてクソくらえさ」
コーデリアと『無影拳』イグナート・エゴロヴィチ・レスキン(p3p002377)は村からやや離れた位置を移動しつつ、可燃物をかき集める役割を買って出ていた。イグナート1人であれば今の位置より近付けたかもしれないが、さりとて隠密性を欠くコーデリアを放置できるはずもなし。細工を弄さなければ、距離を取って探索するぶんには危険性は低いようだ。
一同が観察していれば容易に気付いたこと、だろうが……村人達には、警戒心というものが決定的に欠けている。
(色目なく見れば穏やかで互いを理解している間柄、なんだろうが。そうだな、これは)
『イツワリの咎人勇者』レオンハルト(p3p004744)は、この光景、この視線の正体を知っている、気がした。罪を共有する者同士の、脛に傷ある者同士が互いの秘密を暴露することがないという信頼感、それに糊塗された関係性。村そのものが共犯関係にある空気。
「家族をも切り捨てるほどの仲間意識を、神が齎した知恵だとでも言いたいのかしら」
『天才になれなかった女』イーリン・ジョーンズ(p3p000854)は村から距離を置き、愛馬ラムレイを休ませたまま羊皮紙に情報を記していく。
風向き、畑と村との距離、遠目から見た『薬草』の可燃性、その他。
知識は武器だと、彼女は知っている……少なくとも彼女にとって、無知であることが危機を呼んだ事こそあれ、知識が危機を招いたことはないはずだ。
(もう少しうまくやれば生き延びられたかもしれないけど……まぁ、結果は同じかしら)
『宵歩』リノ・ガルシア(p3p000675)は村人達が周囲の異常に気付くこと無く、淡々と見張りを続けている様子を眺めていた。内部の変化には異常に敏感だが、外部からの干渉に注意を払わない人々。裏切りを許さぬ代わりに、自分達が天義の神の加護を受けているという根拠なき自身の顕れである。遅かれ早かれ、結末は見えていたに違いない。
徐々に傾きつつある太陽を背に、一同は村の周辺から一旦引き上げ、夜の襲撃に向け情報を共有する。
風向きの変化、天候の状態、手に入れた資材。僅かな情報も無駄にせず、一気に畑を燃やし尽くす算段だ。
(私が守るべきは神の意向と天義の節制……彼らの主張と信心は受け入れられなかったのでしょう)
神が拒絶した意志は、いかに神の名を呼ぼうともかの相手には届くことがない。
神に拒絶されたものが嘯く神は、既に天義が奉る神とは異なる異形の何かだ。主義主張そのものが神の虚像を生したなら、断ち切らねばならない。
アマリリスの表情に変化はない。最初から、わかりきった正義の執行に心を砕いた少女に感情のゆらぎというものは起こりえない。
「じゃあ、村から一番遠い畑から村方向へ燃やしていくね。みんな頑張ろうね」
ルアナはグレイシアから液体燃料を受け取ると、仲間たちに笑みを見せた。……彼女の内心にどのような感情が渦巻いているかは分からない。
仲間達の感情もまた、闇の中だ。少なくとも、虚飾でこそあれ、互いに笑い合う程度の余裕は持ち合わせていたようであったが。
●業火の聖別
液体燃料、火を噴きそうな度数の酒、油と多量の可燃物。
一同がこの依頼に際し調達した道具の数とバリエーションは、一同の決意が揺らぐことのない強固さをこの上なく雄弁に物語っている。
畑に撒き散らされた害意は、瞬く間に畑を火の海にしてしまうことだろう。それが、誰にも悟られぬうちであれば。
「……あれ」
『薬草畑』の規模は広い。村が繁栄するためではなく、『薬草』が繁茂するために村がすべてを捧げているのではないかと錯覚するほどに。
夜闇の中で見張りを請け負った青年は、ひときわ敏い男だった。同じくらい神に対して妄信的であったが、己の義務を弁えた男であった。
そんな彼が視界の隅に捉えた違和感……案山子が1体、消えた事に気付くのは必然でもあった。
「おい、なんだこ――」
「こんばんは、そしてさようなら」
見間違いではない。単純ながら明確な異常に気付いた男の声は、リノの艷やかな声と風切音のまえに断ち切られる。掲げたランプを隠すように地面へ下ろしたリノは、他の見張りとの距離を確認。すぐに事態が動くことはないことに安堵すると、仲間達の様子を再度確認する。
案山子を蹴り倒し、火種にすべく動いたのはレオンハルトだったが、一同の放火のための戦場工作は大なり小なりリスクを伴う。
見張りの動きを先んじて読み、効率的に排除が行えているのは、イーリンの助力によるところも大きいだろう。
花を模して削った木片を埋めつつ、多くない見張り達を排除すべく連携を進める彼女の動きによどみはない。
(……村人達はキラクなモンだ。ミハリが消えてるのに気づきやしない)
村と畑の境界まで近付いたイグナートは、ゴーグル越しにも分かるほどに穏やかな村の様子に嫌気すら覚えていた。今まさに共犯者達が死んでいっているのに、顧みる者1人いない。
関心が薄いというよりは、敢えて他者の痛みに鈍感になった代償が今、自分達の首を真綿で締め上げていることに気付いていない。
仲間達が放火すれば、すぐにでも動き出そうと全身に力を込め、機をうかがう。
「……お仕事、だね」
ルアナの小さい声が契機となったわけではない。皆の意識がひとつとなり、火を放つべく動き出しただけだ。
だが、その声と合わせて炎が上がったのは事実。村から最も遠い位置に陣取ったグレイシアが火を放ち、倣うように次々と火の手が上がる。
本来の使い方とは異なる……否、『彼にとっては』これも本来の用法なのか、炎を上げたコンロを手に真っ直ぐ薬草の中へ突っ込んでいく。
生草すべてを火の海に沈めるのは容易ではない。既に村人達は炎をかぎつけて動き出している。ここからは、ただただ淡々と始まる虐殺と破壊工作にすぎない。
誰にどんな物語が吟じられようとも、向かうのは死を盛り込んだ悲劇のみ。
アマリリスは懐の免罪符に触れ、屈託のない笑みを浮かべ歩を進める。神の思し召しのままに、彼らの求めに応じよう。それが、地獄への道を均す行為であったとしても。
炎を見た村人達は、薬草の無事や襲撃者の排除よりも先に保身を優先した。当然といえば当然である。畑の延焼で死んでしまえば元も子もないのだから。
然るに、村に直接危害を加えようとするイグナートの姿は看過できなかったのは当たり前の帰結となる。漆喰の壁を握りつぶしたイグナートは、向かってくる人々へ向け誘うように手のひらを向ける。
「オレを放っておけば村を焼く」
「貴様……!」
その言葉に触発された人々は彼へ殺到し、すかさず逃げ出したその影へを逃すまいと追撃する。
「他人を吊し上げて平穏を装ってる割に、薄皮一枚剥げばこんなものとはね」
反吐が出るわ、とイーリンは歯ぎしりをしつつ依代の剣の血を払い落とす。ただの一般人、剣の一振りで如何様にもなる。だが、炎の勢いは落とせない。
向かってくる人々は殺す。その後は、場合に応じて決めればいい。飛来する術式を剣で叩き落としながら、彼女はラムレイを走らせた。
「何だお前ら……まさか鉄帝……何が目的だ!?」
「復讐さ、俺は代わりだがな。ある食物とこれらを接種すると何が起きるのか、知らぬとは言わせん」
燃え上がる炎を背に、レオンハルトはイーリンを狙った術者と対峙する。襤褸を着ながら杖だけは豪奢に整えられた彼は、恐らく『そのため』だけの歯車だろう。中毒者ではないが、その分厄介さは増す。
「復讐だと?! ……おおかた身内が『これ』で死んだか? 言いがかりだな」
「白を切るなら――」
怒りにあわせて吐き出された斬撃を耐え切り、術者は礫の弾丸をレオンハルトに叩きつける。嘲りの笑い声を引きずって、術者はじりと後退する。
「無知ゆえに中毒に陥る? 有り得ん。俺達の身内? 尚のこと有り得ん! 犠牲者ヅラをするなら『好きで心を壊す者でなければ』!」
ここまで身勝手な自己責任論がかつてあっただろうか。ここまで利己的な仲間への信頼は今後見られるだろうか。レオンハルトにはわからない。
「……やはりお前達は天義を汚す毒だ。消えてしまえ」
だが彼は、今この時より、この人々を殺す行為に躊躇を覚えなくなった。
迫りくる炎に、村人の一人が為す術なく巻き込まれて燃えていく。悲鳴が焼け落ちていくのを背景に、リノが身をかがめた。直後、頭上を擦過する術式。力任せでコントロールを度外視したそれは、薬物に魂を喰われた者が放ったものに相違ない。
「地獄の窯が開くわよ、みぃんな燃えちゃうの。……だから全部終わりなの」
彼女の諭すような言葉に、中毒者は耳を貸す気はないらしい。稚拙な初級術式だが侮れぬそれを避けながら間合いに踏み込み、リノのナイフが命を吸うべく振るわれる。
痛みすらも度外視したゼロ距離での術式は躱すに難儀するものだったが……決着までの手数が少なければ問題にならない。
「みんな行く先は同じだわ。だから二度とうまくやれないようにちゃんと燃やしてあげる」
炎が徐々に勢いを増すのを見て、リノは目を細めた。それから、倒れ込んだ中毒者を炎の中へと蹴り込んだ。
「良き信者たちよ、苦しい職務よくぞ耐え抜きました!」
混乱のなか、畑へ現れた村人達を出迎えたのは尊大にすら思えるアマリリスの声だった。畑は半ばほどが焼け落ち、いまなお延焼を続けている。今食い止めれば何人生き延びられるか。どう選ぶか。決断を鈍らせた彼らの耳に、彼女の挑発はまあ、よく響く。
「炎を見て罪を理解しましたか? 身を投げに参りましたか? 立っているだけでは誰も応えてはくれませんよ! さあ、貴方がたは何を思って来たのですか?」
彼女の言葉に、村人達は『それ』が敵であることを認識した。
彼らの誤りがあるとすれば、感情を優先したがために火の勢いを殊更にあげていくコーデリアを無視してしまったことであろうか。
炎の中をこともなげに進むその存在は非現実的であり、容赦ない災害を思わせる。……それはグレイシアも同じであろうが、彼の行いは輪をかけて苛烈である。
ルアナへと敵意を向けたものを正確に殺し、そうでなくとも周囲の手が足りぬとなれば躊躇せず殺す。
炎はもう、すっかり手出しできないレベルにまで燃え上がっていた。
「……頃合いであろうな。滅ぼすというなら最後まで全うするが」
グレイシアは炎の中から歩み出て、周囲の混乱を再度確認する。……コーデリアは迷いなく、手近な建物へ向けて炎を放った。
●あたたかくて平等な結末
明かりが散って炎になった。家が一つ燃え上がり、悲鳴が折り重なった。
だがイグナートは躊躇しない。自分を追ってきた男の1人の首を掻き切ると、その惨状にたじろいだ者達へと襲いかかる。
すでに村も炎が舞い、多くの者は助からない。
「オトナの都合で好き勝手やるオマエらは死ぬしかない。オトナの義務として死に方をミセろ」
冷淡な言葉とともに、彼は新たな敵へと襲いかかる。間に合わせの武装で身構えた村人を蹂躙し、次の獲物を探す目には彼なりの苦悩が見て取れた。
焼け出されて村を迷うように歩く少年の前に、アマリリスが歩み出る。
慈愛を感じさせる笑みに、少年は安堵し、その笑顔は固まったまま地面に投げ出された。
「神様、迷える子羊達の魂を寛大な心でお迎えください!」
死で罪を濯げるか、は問題ではない。
無垢な命を無垢なままに削り取る行為が神の意志に適うかといえば、適うのだろう。だが、これから来る苦難の末の死に子供を送り出すのは正当か。
……正当である。少なくとも、彼女の認識では。
子供の死体と、それすら無視して駆ける村人達。利己的にすぎるその姿は、イーリンの視界に確かに収められた。
「逃げるならせめて、子供だけでも救って。――神ではなく、私に誓え!」
「助かる宛があるかもわからないのに、邪魔な子供など」
助けるわけがない。激高するイーリンの問いにそう応えた村人の命は、一瞬のうちに潰えた。
怒りと諦めを相半ばする複雑な表情のまま、彼女はふらりと現れた残りの……おそらくは最後の中毒者へと駆けていく。
無論、殺すためにだ。
「『どんな命でも守る』が勇者じゃない。本当は良くない事と分かっていながら思考を放棄した。結果、良くないお薬で苦しむ人が生まれる……ならば」
勇者として、勇者のまま、罪ある人を斬ることをルアナは選択した。
顔のない何者かとして相手を斬り、罪のあり方は『勇者ルアナ』が背負う。……苦行ですらある道程を踏み出すことを彼女は選んだ。戻れるかはわからないままに。
炎の中、人々の命が潰えていく。
炎に巻かれ、多くの人を殺し、群がられては切り潰し。レオンハルトは、殺した人のことを想う。
最後までわかりあえなかった。それが罪であるとは思わない。
だがこの行いが絶対的な正義であると、天義の者を除いて誰が保証してくれるのだろうか?
成否
大成功
MVP
なし
状態異常
なし
あとがき
大変お疲れ様でした。
下準備にかなり手間をかけていたのでまあやべー奴らに目をつけられたな感が凄かったです。
諸々戦闘等もあったので被害ゼロとは申しませんが、村人の殲滅は間違いなく成りました。畑も跡形もなし。大成功といっていいんじゃないでしょうか。
……しかし躊躇という二文字は一体どこに。
GMコメント
つまりはTENGIを天義する依頼ってこと……とは言い切れないのが面倒なところです。
●情報精度
このシナリオの情報精度はBです。
依頼人の言葉や情報に嘘はありませんが、不明点もあります。
●達成条件
『麻薬の村』の村人の全滅or『薬草』の完全焼失、またはその両方
●麻薬の村(一般情報)
表沙汰には『商品価値は高いが実利益の低い、税を納めるには十分だが生活には困窮する程度の薬草』を生活用農業に大きく優先して作っている農村です。
そのため全体的に貧しく、しかし村人達は非常に強い連帯関係によって共生しています。
(依頼における追加情報)
実はその『薬草』には特定の食べ合わせなどに禁忌反応を持ち、激しい麻薬作用を引き起こすことが明らかになっています。
村が貧困であるのは『その筋』の情報が外部に乏しいからですが、今後この村の繁栄――ひいては小規模ながら治安悪化――に発展する可能性も少なくはありません。
表向き善良な農村ですので誅伐執行は不可。皆さんにより内密裏に処理されることとなります。
●薬草畑
村の郊外を広範囲で繁茂している、村の収入源です。一度焼いてしまえば再度育てる前に、村人達は冬を越せず命を落とすでしょう。
神の選択としては、それもまた『正しい』行いです。
燃やす場合、プレイングである程度の準備は可能です。『火炎』系BS、ないしはアイテム、特殊化装備の妥当性に応じて進行速度は変化します。
アイテム欄かスキル欄、いずれかの圧迫は不可避です。
●村人達×50弱(最大)
秘密裏に火を放つだけでは消火されるか迎撃を受けるでしょう。多少なり戦闘は避けられません。
燃え広がるまでの時間を短縮する、出現した村人が仲間を呼ぶ前に速攻で殺害する、その他アイデア次第で戦力投入を軽減できます。
なお、騒ぎが激しくなると『村人(中毒者)』(精神無効・神秘攻撃力大・HP多め・ロスト小)が投入されます。
少数ながら神秘の心得を持つ者も(中毒者以外で)おります。
正攻法での皆殺しは無謀極まりないと申し上げておきます。
●重要事項
この依頼では『身分を隠しての行動』か『ローレットの特異運命座標としての行動』かを選択可能です。
この選択は参加者内で統一となり、前者を選んだ場合は名声上昇、後者を選んだ場合は名声がマイナスとなります。
これは、前者を選んだ場合「依頼者の意向を組んで秘密裏に処理した」という実績が、後者を選んだ場合「あえて身を晒し悪名を引き受けた」という評価をそれぞれ得るためです。
プレイングで表明された行動の多数派が今回の行動指針となります。
以上、色々とややこしい事が多いですが、張り切って村でも畑でも燃やしていきましょう。
天義の夜空を赤く染めるのは君達だ!
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