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シナリオ詳細

<総軍鏖殺>どこかの誰かのためじゃなく

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●革命派民間軍事訓練
 陰房・一嘉 (p3p010848)が観察しながら進むなか、整列した男女が木刀を振っている。
 時折フォームの歪んでいる者がいれば手を出しアドバイスを入れながら。
「そうだ。正しいフォームを覚えて、あとはそれを身体に覚えさせろ。咄嗟の時に身体が覚えた動きがお前を助けることになる」
 別の場所では適当に作ったターゲットめがけて整列した男女が拳銃やライフルを発砲している。
 なかには発砲の衝撃だけで後ろにひっくり返ったり、いい加減なフォームで撃ったせいではねた銃身で額を打ったりという者があらわれるが、コルネリア=フライフォーゲル (p3p009315)はそんな彼らの手当をしつつ、両手でしっかりと握って撃つスマートなフォームを訓練させていた。
 そんな中で、拳銃を撃っただけでしりもちをついてしまった16歳程度の少年が悪態をつきながら銃を放り出す。
「クソッ、こんなんで本当に強くなれるのかよ! 皇帝を倒せるわけねえだろ……」
 泣きそうな目でそう呟く彼の後ろに立ち止まり、コルネリアはポケットに入れていた右手を抜く。そしてくわえ煙草をつまむと、少年のよこに身をかがめた。
「馬鹿だねアンタは。銃なんか持ったくらいで誰かを倒せるワケねーでしょうが」
「はぁ!? じゃあなんのためにやるんだよ! 俺たちは――」
 言いかける少年にフウと息を吐く。煙草の煙が混じったことで少年はむせたが、顎に手をそえられたことでびくりと動きをとめた。
 少年の経歴は知っていた。故郷に新皇帝の放ったモンスター『天衝種(アンチ・ヘイヴン)』が押し寄せ、さらには新皇帝派の軍が占領してしまったことで住処を追われたのだ。家族は生きているものの、炭鉱夫だった父は大怪我をし母と幼い妹が革命派の施設で細々と暮らしている。「これも全部皇帝の野郎のせいだ」と悪態をつく彼の様子は、コルネリアが黙ってみているにはあまりに痛みがありすぎる。
「いいかい。銃を向ければ相手はビビる。撃たれりゃもっとビビる。そうやって銃の後ろにいるもんを護るんだよ。誰かでもいいし、自分自身でもいい」
「そうだ。武器は誰かを殺し奪うためだけにあるわけではない」
 様子を見に来た一嘉が立ち止まり、落ちた銃を拾って軽く様子を確かめてから、くるりと回してグリップ側を少年へと差し出した。
「身を守れ。未来に訪れるかも知れない不安を力によってはねのけろ。それが『強さ』だ」

 クラースナヤ・ズヴェズダー革命派には多くの難民が集まっている。
 新皇帝派の暴虐すぎる『政治体制』によって住処を追われるものが続出するためだ。多少村々が集まった所でなんの不安も拭えないとして、見るからに強大なギアバジリカの足元へと集まったのである。
「地元の消防団、愚連隊、元警察官……いいんじゃない? 多少訓練されてたり動けたりするなら、隊長を任せていいよ」
 簡単なプロフィールが書かれた資料に目を通したミルヴィが、革命派の僧兵たちに資料を手渡す。
 彼女がやろうとしているのは『民兵隊』の編成である。
 たとえば国民全員に徴兵制度のある国なんかでは全員が一度は訓練経験をもち、すごく乱暴に言えば国民全員が兵士といえなくもない。そんな中で特に訓練中に成績の良かった者は有事の際に行動隊長としてのランクを与えられ、その場に集まった民兵で部隊を編成し指示系統をスマートに伝達させることに役立つ。
 鉄帝国にそういう制度は特にないが、今からでも似たようなことはできるはずだ。
 訓練をしたなかで多少は動ける人間を隊長に据え、それをいくつかまとめた中隊長に革命派の僧兵たちをあてるという形で部隊の頭数を増強していくという具合である。
 といっても、彼らはつい最近やっと訓練を始めたような民間人である。実戦投入が可能なレベルの人間はごくごく僅かといったところだ。たとえば学校一クラス分の難民がやってきたら、その中に一人か二人が訓練すれば一兵卒程度の働きができる程度の確率である。
「それでも、やらないよりはマシだからね……」
 訓練を始めるよ! そう呼びかけると、隊長クラスの『民兵』たちが武器を手に取った。

GMコメント

 革命派に身を寄せた難民達を相手に戦闘訓練を行います。
 基本的にはOPで示したような素振りや射撃練習ですが、特に動けるようなヤツには実戦訓練を行ったり自分の培ってきた戦闘の勘所を教えたりといったことを、今回のプレイングでやっていきましょう。
 当然槍で突いたり銃を撃ったりばかりの世界ではないので、魔法や医術といった面でも訓練は必要になってくるはずです。自分の得意分野を活かしましょう。

 場所はギアバジリカの足元に広がっている難民キャンプからちょっと離れた、まあまあ広い場所です。

●特殊ドロップ『闘争信望』
 当シナリオでは参加者全員にアイテム『闘争信望』がドロップします。
 闘争信望は特定の勢力ギルドに所属していると使用でき、該当勢力の『勢力傾向』に影響を与える事が出来ます。
 https://rev1.reversion.jp/page/tetteidouran

  • <総軍鏖殺>どこかの誰かのためじゃなく完了
  • GM名黒筆墨汁
  • 種別通常
  • 難易度EASY
  • 冒険終了日時2022年10月24日 21時45分
  • 参加人数8/8人
  • 相談6日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

郷田 貴道(p3p000401)
竜拳
ヴァレーリヤ=ダニーロヴナ=マヤコフスカヤ(p3p001837)
願いの星
Tricky・Stars(p3p004734)
二人一役
ミルヴィ=カーソン(p3p005047)
剣閃飛鳥
マリア・レイシス(p3p006685)
雷光殲姫
一条 夢心地(p3p008344)
殿
コルネリア=フライフォーゲル(p3p009315)
慈悪の天秤
陰房・一嘉(p3p010848)
特異運命座標

リプレイ


「殿的存在として、民たちを導くのも麿に課せられた使命。
 うむ、うむ。大船に乗ったつもりで任せておくが良いぞ。
 なーーーっはっはっは!」
 身体をブリッジ寸前まで反らして高笑いする『殿』一条 夢心地(p3p008344)。
 軍事訓練を受けられると聞いて集まっていた難民たちは、その様子をどこか心配そうに眺めていた。
「大丈夫なのか? このひとで」
「ローレットのイレギュラーズらしいけど」
「ピンキリってきくしなあ、ローレット」
 こそこそ話す彼らに、夢心地がピーンと背筋を伸ばす姿勢になって顔を向ける。
「じゃが、一朝一夕に剣を極めることなぞ不可能。
 限られた時間で麿が教えることはふたつ……『素振り』と『心構え』じゃ」
「必殺技とか魔法とか教えてくれないのか?」
「ふむ……」
 夢心地は顎をさすると、藁を束ねて作った試し切り用の柱へ向かってのんびりと歩き始めた。
「素振りは初心者から達人に至るまで、非常に効果的な訓練方法になる。
 場所を問わず、自分一人でも行えるのが何より良い。
 然しながら、高いモチベーションでそれを行い続けるのは、ぱんぴ~には中々難しいもの。
 こんなことを何百、何千続けて、果たして意味があるのか? 強くなるのか? と懐疑的な者もいるじゃろ」
 なんてことのない。ただの歩行である。
 しかし、藁束が『間合い』に入ったその瞬間。
「キエエエエエエェェェェェッ!」
 殿オーラを突然発した夢心地はまるで流れるように『抜刀』の姿勢に入り、ごく簡単に剣を抜きそして斬った。
 恐るべきは、斬ったあとそのまま歩行の姿勢へもどり、主観時間でいえば『一歩あるいただけ』の時間とテンポで藁束の横を通り過ぎ、その頃には藁束は斜めに切断されていた。
 素人目には、あまりに自然で優雅な剣に、多少なりとも心得のある者には達人のそれに見えた。なぜなら、抜いてから斬るまでのテンポが短すぎるために、相手が斬るとわかっていても『防げない』のである。
「素振りの仕方を教えよう。じゃがそのまえに……ついて参れ」

 拳銃を、『慈悪の天秤』コルネリア=フライフォーゲル(p3p009315)は両手で包むように握った。
(家族を奪われ、住処を追われた怒りで手に取れたとしても、それが人を殺す道具なのだと、言葉で理解しているだけで心は分からない。
 その認識の誤差が戦場で判断を狂わせてしまう。そうして散った生命を目にして、隣の仲間に恐怖が伝播してしまっては、待つのは総崩れだろう。
 なればこそ兵隊として使うならば理解させないといけない。果たすべき事は打ち倒す事ではなく、生き残る事なのだと)
 夢心地の担当していた人々がやってくるのを確認すると、コルネリアは彼らに背を向けたまま、ゆっくりと天に銃を向ける。
 ある意味、誰でも見たことがあるような風景だ。
 しかしコルネリアが引き金をひくと、聞いたこともないほど激しい銃声があたりに響き渡った。
 あまりのことにびくりとすくみ、人によってはしりもちをつくほどの。
「コレが何かわかる? 指先一本で人を殺せる道具よ。これを――」
 スッと彼らに向けようとして、途中でとめる。
 それだけだというのに、難民たちは恐怖からかザッと飛び退いてしまった。
 向けられてすらいない銃口に、明確な『死』を感じたのだ。
 そんな中に、コルネリアがあのとき話しかけた少年の姿を見て、『覚えておきな』と心の中でつぶやいた。
 コルネリアは小さく笑うと、くるりと銃を反転させてホルスターへと収める。
「さ、かかってきな。アタシの担当は実戦訓練よ」
 顔を見合わせ、恐る恐るだが歩み出る男達。
 そのなかに、少年の姿は……あった。
 彼はもしかしたら、本当に前線に立とうとするかもしれない。
 それを止める義理も権利も、自分達にはない。
 だがせめて。
(ここでしっかりと覚えていきな。隣人と、仲間と生き残る為に。蓄えるのは一握りの技術と、何かを護りたいという心の強さだ)

「集団で動く事の生存性と言うのは、覚えて貰えたと思う。
 では押し負け、仲間の数が減った時は?
 その時は仲間に合流できるまで、逃げてしまって構わない。
 名誉の戦死で、誰も守れなかった者と、嘲笑われようとも、生きて守るべき者を守れた者。
 ここに志願した皆なら、どちらを選ぶか等、聞くだけ無粋だろう」
 コルネリアたちの実戦訓練に回されるその手前。『特異運命座標』陰房・一嘉(p3p010848)たちによって戦い方の基礎がレクチャーされていた。
 訓練というより、これは『練習の練習』と言うべきだろう。
「盾と言うと、防ぐ物と言う認識だろう。
 だからと言って、その通りにだけする必要はない。
 扱う盾の大きさにもよるが、手にした盾で相手を殴るのも有だ。
 バックラーの様な小型の盾なら、鍔迫り合いをしている時にパンチの要領で殴れば、相手の虚をつける。
 中、大型の盾なら、体を隠すように構え、助走をつけ体重を乗せて体当たりしても良い。
 相手が転倒すれば、それだけで一方的な攻撃、或いは逃亡、どちらの機会も生まれる。
 もし武器が壊れたり、奪われたりした時の対策だと思い、頭の隅にでも留めて置い欲しい。
 そして、相手も同じように攻撃して来るかも知れない事も――」
 今行っているのは『盾の使い方』であり、それを何度も何度も反復して身体に覚えさせることでやっと防御術になるというものだ。
 バックラーを突き出すように構え、槍をもう一方の手で持つ男がいる。三十台の末といったところだろう。
 一嘉は彼の前に立ち、棍棒でおもむろに盾を殴りつけた。
 握りと構えが甘いせいだろう。盾が変な方向にまがり、男の体勢が崩れてしまう。盾が下がり、がら空きになった頭に一嘉がぽんと片手を乗せる。
「これが済んだら実戦訓練だ。今教えた盾の使い方を怠れば、すぐに飛ばされると思っておけ」


「ド素人の訓練か、まあ色々と制限はあるが……ノープロブレム。
 要するに、エクササイズ(当社比)くらいに手加減すれば良いだけだ!
 ブートキャンプの時間だ、新兵の訓練だからマジの意味だなHAHAHA!!
 短期間で成果を求められる以上、「多少」の苦労はしてもらうが……構わないよな?」
 素人に対しては夢心地たちによる基礎的なレクチャーが行われたが、ある程度戦闘経験のある者やそもそもガッツのある者は、『喰鋭の拳』郷田 貴道(p3p000401)によって(わりと物理的に)専用の訓練場に連れてこられていた。
 知る人ぞ知る貴道ブートキャンプ(という名の地獄)である。
「戦場で足を止めれば、動きを止めれば、思考を止めればイコール死だ。
 極限状態であっても命を捨てる言い訳にはならない。
 何を言おうと何をしようと、死んだらジエンド。ユー達はそこまでだ。
 ユー達には、疲れ果てる経験、疲れてもなお動く為の訓練を行う。
 経験しているのとしていないのとでは、その時の動きが大きく変わるだろう。
 なに、ミーに任せてくれれば良い、難しい事は何もない」
 難民キャンプの北にある森。その中をマラソンすることになった訓練生たち……の後ろから、よおく通る声で貴道が『HAHAHAHAHAHAHAHAHA!!!!!』と笑った。
「ただ、ミーが後ろからユー達を攻撃しながら追い回すだけだからなぁ!」
 ボッと木の幹を殴りつける。それだけで丸く穴が開き、木が倒れていった。
 それを見た訓練生が「こんなの聞いてない!」と言いながら必死に走り続ける。
「別に止まってもいいぜ! ああ、止まっても構わないさ! 死にたかったらだけどな、HAHAHA!!!
 オラオラオラぁ、どうしたどうしたぁ!! 止まったら挽き肉になっちまうぞ!
 止まるなぁ、止まったら死ぬぞぉ! ミーがぶっ殺すぞぉ、HAHAHA!」

 と、こう言った具合に戦闘能力……というより生存能力が鍛えられていくわけだが、なにもそればかりをレクチャーしているわけではない。
「私の願いを聞いてほしい。
 君達は今日、多少なりとも戦う術を身に付けることになる。
 その力をどうか奪う為でなく、守る為に使って欲しい。
 自分の命、家族、財産なんでもいい。守る為に!
 私は力に呑まれた者を大勢見てきた。君達がそうならないことを祈る」
 『雷光殲姫』マリア・レイシス(p3p006685)は台に上って演説を行うと、ぴょんと訓練生たちの前に飛び降りた。
「まず白兵戦は最後の手段だ。
 基本的には戦闘は避ける。
 避けられないなら武器を用いて戦う。だが弾が切れたら?矢が尽きたら?敵に接近されたら? そんな時頼れるのは己の肉体だけだ。
 付け焼き刃の技術など役には立たない」
 『きをつけ』の姿勢をとっていた訓練生の胸に指を当て、『逃げてごらん?』と囁きかける。
 腕をはらおうとするその動きを先読みして別の腕で払い、飛び退こうとした動きを見てから超高速で詰め寄りまた胸に指をあてる。
「故にこの場で教えるのは一点のみ。急所を狙え。
 喉、眼球、金的など鍛えるのは難しい。村人相手だと油断した相手なら容易に決まるだろう」
 マリアは己の両目を指さし、ここだよと冷徹な声を発した。
 ここ最近はあまり出していない、『かつてのマリア』の声音であった。
「戦うのは本当に最後の最後の選択肢だからね? それは忘れないでおくれ」
 さて、そろそろかな。
 マリアが振り返ると、『祈りの先』ヴァレーリヤ=ダニーロヴナ=マヤコフスカヤ(p3p001837)と『二人一役』Tricky・Stars(p3p004734)がそれぞれ訓練ヤードへとやってきた。
「有難うマリィ。ここからは、罠や防衛陣地の設置・修理の訓練を行いますわ。
 敵の攻撃を遅らせられれば、それだけ準備や援軍の到着に必要な時間を稼げますものね」
 ニュートラルな状態ならば、『敵の殺しかたじゃないの?』と不満を漏らしたところだろうが、マリアの話の後だ。これが『直接的な戦いから逃れるための手段』であることを理解したのだろう。
 運び込まれたスコップや設置型トラップを手に取った。
「今からレクチャーするのは見通しの悪い場所、物資等の相手が欲しがる物の陰、休憩に適した場所等、どこに設置すれば発見され難いか……座学が多くなりますけれど、実際に設置するなら迅速さがモノを言いますわ。たとえばバリケードや塹壕の作成ですわね」
 早速やってみましょうと鉄条網の展開方法や土嚢の作り方並べ方。塹壕の堀りかたと固め方。
 そういったものを一通り教え、そして実践させるということをくり返した。
「ほらほら、急いで急いで!新皇帝派はお行儀よく待ってくれませんわよ!」
 そんな中で、次第に戦いよりも工作向きな人間が見えてくる。
 そしてもう少しふるいにかければ、医術や救護に向いている人間も。
「軍医さんがいる場所の見分け方、止血の仕方、包帯の巻き方、お薬の使い方。
 早く対処できれば、これだけできっと救える命が増えるはずでございますわ。
 その辺りは……」
 振り返ると、Tricky Stars(稔サイド)が小さく手をかざして前に出た。
「色々と思うところはあるだろう。俺も正直気は進まない。
 しかし、こうなってしまった以上仕方ない。何とか全員で生き残る方法を考えよう。
 そこで俺がレクチャーするのは、応急処置だ」
 試しにとヴァレーリヤやマリアに『負傷者』を演じてもらい、実際の動きをしてみせる。
「敵との戦闘中に負傷した場合、もしくは負傷した仲間が居た場合どうするか。
 ひとまず動ける者は後方へ。そうでない者は引きずって安全地帯まで連れて行く。
 意識確認、軌道と呼吸確保、骨折の有無の確認、それから止血。
 骨折している箇所があれば治療及び搬送は慎重に。神経を傷つける可能性がある。
 脱衣させ、呼吸を楽にさせる。
 肝心なのは止血だ。これが生死を左右する。傷口を清潔な布で圧迫、止血。固定用のバンドなどがあればなお良い……と、ここまでが基本だな」
 戦場では治癒スキルの有無を気にしてしまいがちだが、生死をわけるのはなんだかんだで医術であったりする。
 才能や『レベル』に関係なく共有でき、実行できる。それが技術というものであり、この世界でも通用する生存術だ。
「次に、ヒーラーとして動ける者が居たら治癒の魔法を教えよう。
 治癒術さえあれば自分も仲間も安心、という訳ではない。
 想定外のことはいくつも起こるから油断しないように。
 敵は俺達のような支援役を優先して狙ってくることもある。仲間と同時に自分の状態にも気を配ること」
 Tricky Stars(稔サイド)は手をかざし、仮想負傷者であるマリアに治癒魔法をかけ……ている間に背後に回り込んだヴァレーリヤのメイスを転がって回避した。
「術は威力がすべてではない。タイミング、対象、そしてリソース配分。覚えるべきことは山のようにある。治癒術の心得のある者は、これから俺の座学に付き合って貰おう」


「敵が強くっても五人で対処するんだよ! ほらっ! 前の人が攻撃受けた瞬間、死角から敵を突く!」
 『暁の剣姫』ミルヴィ=カーソン(p3p005047)は当初の予定に少し手を加え、チームで戦う方法を訓練していた。
 集まったメンバーがそれぞれの得意分野を教えることで訓練生たちの向き不向きが見えてくる。
 ミルヴィは彼らをおおまかにカテゴライズし、バランスがとれるように『役割』を与えてチームを組むことを教えた。
 特にミルヴィが目を光らせたのはリーダーシップを発揮できる訓練生だ。
 元消防員、暴走族のヘッド、レイダーから更正した者。出自も技能もさまざまだが、よく観察してみればわかるものだ。
 そんななかでミルヴィが気付いたのは、革命派には『つまはじき者』が集まりやすいということだった。
 難民の受け入れをしているのはなにも革命派だけではない。
 例えばラド・バウ独立区は都市部の難民をあつめてシェルターを作っているし、南部軍は補給路を確保するために民間人も取り入れている。帝政派や北辰連合は言わずもがなで、アーカーシュに至っては移動する難民受け入れ施設のようなものだ。
 それでも革命派を頼る人間の中には、普通では受け入れてはくれないような人間……それこそ元レイダーや犯罪者たちがそれなりにいるのだった。
 これは革命派、もといクラースナヤ・ズヴェズダーが本当の意味で『弱者救済』を行おうとしていることの表れだろう。彼らが救うのは弱者であり、善悪や正義はそのうしろについてくるものなのだ。
「ま、この際前科は問わないよ。一緒に戦えるなら仲間だし、そもそも生き残れなきゃ意味が無いしね」

 こうして、革命派に身を寄せた難民達の訓練メニューが完成していった。
 彼らはこれからも訓練を続け、中には武器を取って新皇帝派や多くの敵たちと戦おうとする者が現れるだろう。
 そうなったとき彼らが命を散らしてしまわぬよう。
 今日という日が、あるのだった。

成否

成功

MVP

なし

状態異常

なし

あとがき

 ――mission complete
 ――革命派に軍事力+10のボーナスが加わりました

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