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シナリオ詳細

手堅く地固めしましょう!

完了

参加者 : 9 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング


 『覇竜領域デザストル』。
 長らく、混沌にあって凶悪な生物が多く生息している為、忌避されていた土地であったが、ローレットイレギュラーズの活躍もあって少しずつ別の地方の混沌民との交流が始まっている。
 閉鎖的だった覇竜の民……亜竜種はイレギュラーズとの触れ合いで他地方に興味を示し、中にはイレギュラーズとなる者も出始めていた。
 一方で、他地方の民はさすがに凶悪な生物の対処が適わず、足を踏み入れようとする者は極めて少ない。
 それでも、覇竜に程近いラサのごく一部。そして、世界をまたにかける移動民族、パサジール・ルメスの民などは覇竜という新たなビジネススポットに注目していて。
「なかなか実にならないっすが、根気よくいくしかないっすね」
 『パサジールルメスの少女』リヴィエール・ルメス(p3n000038)にとっては、遅々として進まぬ状況と本音も漏らしつつ、前向きに対処をローレットへと願う。
 もちろん、彼女自身も最前線とは言えずとも、亜竜種の訪れるラサ南部の街へと足を運び、物品を提供するなど、覇竜の民に交易へと少しずつ興味を持たせられるよう働きかけは忘れない。
 リヴィエール達、交易に携わる者としては、交易路の開拓は是が非でも叶えta
いと願ってやまぬ事業である。
「一部開通したとはいえ、あたし達だけで移動できるには程遠い状況っすよね」
 リヴィエールが言う交易路は現状2本あるが、いずれも途中の集落、宿泊場で止まっており、その先へと伸びてはいない。
 その中継ポイントまででも魔物が現れる可能性は高いし、何かトラブルがあった場合に対処が難しいからだ。
「折角なんだし、より安全な交易をできる様に働きかけましょ!」
 紲 冥穣(p3p010472)の意見に、集まるイレギュラーズが同意する。
「交易の安全性を高めるための警らなどをしたいな」
「僕は作った橋を長く使えるための整備と道の整備をしたいですね」
 ジョージ・キングマン(p3p007332)や水月・鏡禍(p3p008354)もそれぞれ意見を出し、リヴィエールや行商人、覇竜の亜竜種達からも支持があり、今回の依頼へと至る。


 玉髄の路から少し外れた場所を進むことになる。
 ルートは前回と同じ。蛇行する川沿いの道を進んでいく。
 すでに橋が架かっている上、パサジール・ルメスの馬車は今回参加していない。
 それもあって、イレギュラーズも資材を持ち込むことができたし、開拓路や橋の整備に注力することができる。
 ただ、魔物、亜竜の存在は軽視できない。
 警らを行うメンバーもおり、それらの出現に目を光らせる。
 陸上を進むイレギュラーズを、水中から複数の亜竜達もまた獲物と見定めて瞳を輝かせていたのだった。

GMコメント

 イレギュラーズの皆様こんにちは。GMのなちゅいです。
 こちらは、紲 冥穣(p3p010472)さん、水月・鏡禍(p3p008354)さん、ジョージ・キングマン(p3p007332)さんのアフターアクションによるシナリオです。
 先へと進むシナリオも想定しておりますが、今回はこうした形でのシナリオとさせて頂きました。ご了承くださいませ。

 今回は前回の道程を巡りつつ、即席で作った3つの橋、加えて川沿いの道の整備を進めます。
 亜竜や魔物も出現しますので、手早く討伐or撃退も合わせて願います。

●目的
 開拓路の整備、魔物の討伐

●概要
 今回は数名のイレギュラーズの要望もあり、新たに開拓した覇竜の交易路……川沿いの道を馬車が通りやすいよう舗装、魔物が近づかぬよう警ら、事前対策しつつ、建造した3本の橋の補強を願います。
 (拙作「新たな交易路を開拓せよ!」参照)。
 玉髄の路と同じく川沿いの道。川が蛇行するせいで対岸に渡らねばならぬ場所3か所に橋が架かっています。
 手前2つは木製、奥1つは石製です。交易品をより多く運べるようかつ長く使用できるよう補強すると、交易する商人達に喜ばれるでしょう。
 途中、屯す亜竜を討伐が必須です。情報は下記参照。
 前回同様亜竜種の小規模集落へと到着できれば、依頼は完了です。

●敵
○亜竜……アームドウイング×4体
 ヒレの代わりに太い腕と背にヒレが大きく変形した翼を持つ巨大な川魚のような亜竜。
 短時間ですが、飛翔も可能なようで、空中から攻め立ててくることも。
 ドルフィンアタック、つかみかかり、ウォーターガン、アクアスプラッシュといった持ち前の体と水を合わせた攻撃を使います。

●NPC
〇リヴィエール・ルメス(&パサジール・ルメスの民)
 パサジール・ルメス所属。情報屋。
 今回は不参加ですが、次回の交易遠征の為街道整備についてはしっかりと情報を得ています。
 
●情報精度
 このシナリオの情報精度はAです。
 想定外の事態は絶対に起こりません。

 それでは、よろしくお願いいたします。

  • 手堅く地固めしましょう!完了
  • GM名なちゅい
  • 種別通常
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2022年10月24日 22時05分
  • 参加人数9/9人
  • 相談6日
  • 参加費100RC

参加者 : 9 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(9人)

リリー・シャルラハ(p3p000955)
自在の名手
ジョージ・キングマン(p3p007332)
絶海
メーコ・メープル(p3p008206)
ふわふわめぇめぇ
鏡禍・A・水月(p3p008354)
鏡花の盾
ライオリット・ベンダバール(p3p010380)
青の疾風譚
紲 煌氷(p3p010443)
紲家
紲 冥穣(p3p010472)
紲の魔女
フロイント ハイン(p3p010570)
謳う死神
月季(p3p010632)
黒き流星

リプレイ


 ラサから覇竜へ。
 イレギュラーズは複数の馬車を引き、前回通った開拓路を目指す。
「富は土地から生まれるという重農主義も悪くはないですが、富は交易から生まれる重商主義の方が僕は好きです」
 人と人との触れ合いにこそドラマがあると、『友人/死神』フロイント ハイン(p3p010570)は語る。
 その交易の為、ラサ、覇竜間の道を整備するのだが。
「今日は橋や道の舗装と共に近づいてくる魔物たちの退治の依頼みたいですめぇ」
 『ふわふわめぇめぇ』メーコ・メープル(p3p008206)の一言もあり、メンバー達が開拓路の整備、魔物の討伐と今回の作業予定を確認する。
「せっかく皆さんと頑張って作った橋ですからね」
 『守護者』水月・鏡禍(p3p008354)は完成した開拓路を沢山使ってほしいからこそ、長く使えるよう整備したいと語った。
「前回も通った道ですから慣れたものですよ」
 鏡禍に続き、メンバー達も口を開いて。
「地固め、整備……やらなきゃいけない事、だよねっ」
「メーコは建築関係の知識はないですが、護衛と体力仕事を主に頑張ろうと思いますめぇ」
 リリーは今回の依頼が必要であることを主張すると、普段から牧場で作業しているという『自在の名手』リリー・シャルラハ(p3p000955)は力仕事がそれなりに得意だと意気込みを見せる。
「前回同様、領地から馬車で資材を持ち込みました」
「最近領地を運営し始めたので、少しばかりっスが物資を用意したっス」
「そちら資材の運搬はドレイクチャリオッツに任せてある」
 鏡禍の資材はそのまま彼の馬車で。また、『青の疾風譚』ライオリット・ベンダバール(p3p010380)が持ち込んだ資材は『絶海』ジョージ・キングマン(p3p007332)の馬車へと積まれてある。なお、ジョージは道を踏み固める為に丸太など別途道具を用意していたようだ。
「いいわね、交易路が順調に整備されてる気がして嬉しいわ!」
 少しずつ開拓されていく道に、『紲の魔女』紲 冥穣(p3p010472)がテンションを高めて。
「覇竜支部長のアタシとしてもデータが集まって助かっちゃう」
 そういうわけだからと、冥穣は孫の『紲家』紲 煌氷(p3p010443)の方へと向いて。
「煌氷、キリキリ働いてもらうわよ!」
「道の整備だけなら問題はなかったんだけど……」
 煌氷は作業自体に抵抗があるわけではない。だが、亜竜の邪魔が入るとなれば話は別。
「……都合が悪いなぁ。それでもやるしかない、か」
 何と言っても、爺さんがあれだけ張り切っていれば、自分も無価値は無価値なりに何とかしてみせると呟いた。
「しっかりしなさい!」
 そんな彼の背を、冥穣が叩く。
 孫達の中でも優秀であり、自分に似ている煌氷を一番気にかけているからだ。
「あ~……? 難しいことはよくわからーん」
 そこで、眉根を寄せて呟いた『黒き流星』月季(p3p010632)に皆から笑いが起こる。
 亜竜種にとって、これまでなかった考え方もあるだろうから、そうした反応も致し方ないことだ。
「……まぁいいや、要は道を……こう……いい感じにすればいいんでしょ?」
「とにかく、しっかりやろっか。……覇竜の為にもねっ」
 うんうんと頷くリリーの呼びかけに、冥穣、月季は応じて。
「張り切っていくわよ!」
「じゃあ、みんなでがんばろーってことで! わたし? う~ん……うん!」
 何をするのか把握が十分ではない月季をそのままに、メンバー達は早速舗装が必要そうな川沿いの道を目の当たりにするのである。


 さて、ジョージの馬車で運ぶ資材を使い、早速地面の凹凸がひどいポイントから舗装することに。
「一応、情報網を通じて、前回の行程については聞いておいた」
 船乗りが潮の流れを読むように、商材を積んだ馬車の扱いは、砂の民に勝るものはない。
 そう考えていたジョージは予め、パサジール・ルメスの民から聞いた話を受け、馬車のハマりやすい箇所、商人として不安を覚えた大きく岩が突き出す見通しの悪い箇所などはチェックしていた。
「こういうものは、先達の知識を借りるのが確実だ」
 資材に制約のあった前回はできなかった補強、舗装方法についてもジョージは情報も得ており、活用できそうだ。
「いよ~し、やってやるぜぇ~! ……ワタシなんかやることある……?」
 意気込んだものの、何をしていいのか分からぬ月季。
 そんな彼女に示すように、メーコは仲間の馬車からに運びを行う。
「メーコなりに頑張ってみますめぇ」
 舗装や補強といった作業の知識はメーコも十分でないらしく、そうした作業は教えてもらいながらとのこと。月季もそれに倣って手伝い始め、早速道の掃除からスタートする。
「まずは舗装作業からですかね」
「そうね。でも、流石にアタシたちがやるには大規模すぎるわ」
 鏡禍の意見に冥穣は同意こそするが、全てはできないからこそポイントを絞って作業を行うことに。
「舗装が必要なほど荒れていたり、ぬかるみやすかったりする道優先ね」
 亜竜の通り道や雨風の侵食などで荒れた場所には砂利を含む土を埋め込み、川の水面との距離が近くぬかるむ場所は多く盛り土を行う。
 後は、ジョージらが持ち込んだ丸太、馬車などを使って均していく。
「時間的に、締固めぐらいが無難っスね」
 限られた時間内、一通り踏破したい状況もあり、ライオリットは個々での作業は限界があることを指摘する。
「地味に大変だし、……お手伝いをお願いしようかしら」
 そこで、冥穣は土の精霊を呼び出し、道を均す為の手数として使役していた。
 地道な作業を繰り返さねばならぬが、後々を考えれば地固めは大切だ。
 また、作業や移動の合間はメンバー達も魔物の出現には気を配る。
「亜竜の痕跡……今後の警らに活かせそうですね」
 鏡禍は通り道となる場所はかかさずメモをとる。
 元々ジョージが得ていた情報を元に、メンバー達は効率よく動けるよう伝達網を敷き、移動、または作業を行う。
 川沿いの道を見渡す程度に飛ぶのは、リリーのファミリアーのうち1体。低空を飛ばせたもう1体と合わせて。
「電源要らずの監視カメラの完成だよっ」
 監視はもちろん、実際に舗装した道で馬車を移動して異常ないかもリリーは注視する。
「んー、大丈夫じゃないかなっ」
 小柄なリリーは低空を飛ぶファミリアーも行使して舗装した道の凹凸が小さいことなど、しっかりと確認していた。
 リリーは合わせて、傍にいるワイバーンのリョクを優しく撫でて。
「帰ったらご飯だから頑張って」
 リョクは小さく主に鳴いて応える。
 その間、今度は上空からの警護をと月季が空を舞って周囲を見回していた。

 やがて、メンバー達は橋の補強作業にも取り掛かり始める。
 とりわけ、木製である手前2つの橋は頑丈な鉄製で行う。月季は植物の声を聴き、蔓草などを使って木々を強く縛り付けるなども行っていたようだ。
「基礎の部分をしっかりさせたら頑丈になるでしょうから」
 鏡禍が言うことも確かだしジョージや冥穣も同意していたが、それだけではなさそうだ。
「水の侵食する力は侮れません、木製ともなれば猶更です」
「木に関しては腐食もないか確認するか、無いに越したことはないけどね」
 即席で拵えた橋なら、かなり傷んでいる箇所もあるはずだとハインが指摘すると、煌氷が破損、脆弱性といったものがないかと皆で調べることを提案する。
 とりわけ、橋の維持には基礎となる橋脚。ここの補強は必須と考えるハインはライオリットの鍛冶技術で補強を行う。
「全力を尽くすっスよ!」
 ここも工兵として腕の見せ所と、ライオリットはハインの指示と合わせて存分に腕を振るう。
 全体の進行を管理すると冥穣と共に、リトルワイバーンを高く飛ばす煌氷が全容をチェックする。
「亜竜や魔物が橋に関わらないとも限らないし……向こう側の環境も把握しておけば、全員が渡った時にスムーズに仕事を進められるからな」
 警戒を仲間へと引き継ぐと、煌氷は仲間達から資材を分けてもらい、渡った先で補強作業を進める。
 そうした作業も程なく終わり、また道の舗装を行いつつ2つ目の木製の橋も補強を始めることに。
 幾度か同じ工程を繰り返せば、メンバー達の効率も上がる。
 まだ先もあることから、手早く作業を進めるのだが……。
「んんっ?」
 ファミリアーで監視をしていたリリーが上流から泳いでくる何かを捕捉していた。
 それらは3つ目の石製の橋を飛び越え、こちらへと接近してくる。
「お知らせですめぇ」
 メーコは作業を一時中断し、鐘を鳴らして皆に敵襲を伝達していく。
「およ、お客さんじゃん。盛大に歓迎してやろうぜ!」
 仲間からの知らせに気付いた月季が見たのは、亜竜アームドウイング。ヒレを腕と化し、上ビレを翼に変化させた進化種だ。
 そいつは魚でありながら短時間のみ空をも飛び、他種族を捕食するのだ。
 すぐさま、リョクへと乗ったリリーは空へと飛びあがっていく。
「亜竜とは言え、魚なら魚らしく水の中で大人しくしていてほしいっスね」
「しかし、実りある商売を邪魔する厄介者はどの世界にも存在するものです」
 作業を強制停止せざるを得ない状況にライオリットもハインも嘆息しつつ。
「あなた達に恨みはありませんが、排除させていただきます!」
 仲間と共に武器を抜き、ハインは巨大な魚の姿をした亜竜と対するのである。


 獲物を求めてイレギュラーズへと襲い来るアームドウイングの数は4体。
 谷底を流れる川は決して幅が広くなく、そいつらが2体並ぶだけで精一杯だ。
 だからこそ、他2体が宙を飛ぶことで固まり、行動していたようだ。
「飛行戦闘は危険がつきものだからソッコーで空の勝負は決めたいよね」
 その宙の2体の片割れを狙い、一気に月季が肉薄し、勢いのままに攻め入る。
 そして、敵のマウントをとった月季は地面に叩き落とそうとするが、固まる敵は太い腕で彼女を掴みかかろうとし、尻尾を叩きつけてきた。
 それらの集中攻撃を警戒し、月季は一旦距離をとる。
「なんか飛べるっていうのが釈然としないっスが、ガンガン行くっスよ!」
 亜竜種のライオリットも飛べはするが、腑に落ちぬ思いを抱きながらも突撃戦術で攻め入る。
 纏まって移動していた亜竜達を空間ごと斬砕せんと、ライオリットは軍刀で切りかかっていく。
 攻撃を受けながらも亜竜達は前進し、布陣するイレギュラーズへと強襲した。
「恨みはないが、この縄張りは譲ってもらうぞ!」
 相手を引き付けるべく、大声で叫ぶジョージ。
 鏡禍もまた手にする手鏡から薄紫色の妖気を放つことで、敵の注意を引く。
 そうして、彼は少しずつ馬車や橋から離れる様に移動することで、被害の軽減をはかる。
 引き付け役となるジョージや鏡禍へとアームドウイングどもは俊敏性を活かしつつ、膂力も伴う攻撃を仕掛ける。その威力はさすが覇竜棲息の生物といったところ。
 引付役を、しばらくはメーコとハイン、冥穣が支える形だ。
「後ろから支えますめぇ」
 にこにこと笑みを浮かべるメーコは布陣が安定するまで、個別に癒しをもたらす。
 ハインもやはり突出すれば袋叩きになる可能性が高いと踏む。
 現状は敵の数も多い。ハインもまた光の祝福で傷つくメンバーを包み込み、その傷を塞ぐなど後方からの支援に徹する。
 冥穣はというと号令をかけて仲間達を鼓舞し、合間に敵の体力を削ろうと魔光で狙撃して動きを鈍らせていく。
「もう少し橋からずれた場所へと引きつけたいが……」
 煌氷は仲間達が誘導しているのを把握しつつも、暴れる敵を抑えるべく閃光を浴びせかけた。
 神聖の光は覇竜の地に棲まう亜竜にも効果覿面。光に灼かれて苦しそうに口をパクパクさせている。
「数が少ないから、一体一体しっかり弱体化させていくよっ」
 思う通りに敵が動かぬよう、ワイバーンで宙を舞うリリーは川に半身を浸からせたままの2体へと堕天の輝きを浴びせかけ、さらに別の1体を呪いの弾丸で撃ち抜いたのだった。


 目を見合わせるアームドウイング達は仕掛けてくるのは、さらなる猛攻。
 メンバーの布陣はうまく機能し始め、敵を引き付けつつ抑える。
 そうなれば、メーコも回復をそこそこに、戦場の状況に意識を向けて敵の強襲に気を配って。
「……めぇ?」
 メーコは何かに気付き、カランカランと激しく鐘を鳴らす。
 それまで固まっていた敵が個別に行動を始め、1体が横から後方のメンバーを強襲しようとしたのだ。
 メーコはそれを察し、掴みかかる敵の攻撃を受け止める。
「手が空いたらこちらに加勢してもらう程度で、それまではメーコにお任せくださいめぇ」
 その間に、空中の2体へとメンバーの攻撃が集中する。
 冥穣が魔光で照らしたことで痺れた相手に、ハインが大鎌を振るって不可視の斬撃による追撃をかける。
「なら、早めに勝負付けられるようにがんばろーってことで!」
 飛行戦闘が危険がつきものだということもあり、月季は手早く片づけようと勢いをつけて亜竜に切りかかり、再び距離をとる。
 次第に動きが鈍ってきた亜竜は下流へ逃れようとするが、別の敵を速力で貫いていたライオリットがそれを許さず追いすがった。
「邪魔者を野放しにするわけにはいかないっスからね」
 大きく離れた敵1体目掛け、ライオリットは軍刀を一閃させる。
 有無を言わさずライオリットに命を断ち切られた敵は川へと落ち、岩陰に引っかかってぷかりと水面に浮かんでいた。
「よし、そのまま……」
 闘争心を燃え上がらせた鏡禍は水中の1体を引き付けたまま、相手の隙をついて幻想を穿つ力で攻め立てる。
 敵の火力はかなりのものだが、イレギュラーズも余裕をもって対処する鏡禍は仲間を庇うことも想定していたが、その必要はなさそうだ。
 冷静に戦況に対処する冥穣は仲間達の攻撃を浴び続けて異常に苛まれる亜竜へと邪悪な怨霊をけしかける。
 亜竜はじたばたと暴れるが、執拗に縋りつく怨霊を振り払うことができず、岸に乗り上げるように力尽きた。

 亜竜2体を倒し、イレギュラーズ達にも少しずつ余裕が出てきたことで、今度はメーコの引き付ける敵へとメンバーが集まっていく。
 リリーは1体と空中戦を繰り広げる。
 抑え役がしっかりと食い止める敵へ、リリーは乱射撃を撃ち込んで思う通りに動かせない。
 そこで、敵が口から発射するウォーターガン。
 危ないと感じたリリーはガジェットで緊急回避する。
「こっちだ」
 また、水砲を発した亜竜をジョージが名乗りを上げて引きつける。彼はそのまま防御を攻撃に転じて渾身の一撃を打ち込む。
「リョク、頑張ってねっ?」
 態勢を立て直したリリーは、リョクを駆ってそのまま相手の頭を撃ち抜き、その頭部を弾け飛ばす。
 頭部を失った亜竜は岸に落ち、動かなくなってしまった。
 残る1体は仲間が倒されたことに怒り狂い、牙を剥きだして激しく殴り掛かってくる。
「もう一息だ。動きさえ鈍らせれば」
 煌氷は感情のままに殴り掛かってくる敵を絶対的冷気で凍り付かす。
 動きが鈍ったところで、ハインがここぞと前に出た。
 詠唱を始めたハインは己の神秘の力をフルに活かし、亜竜の体を中心にごく僅かの範囲で創世の光を再現する。
「……Urknall」
 それは、小さくはあったが、確かにビッグバンを引き起こす。
 体内を破壊された亜竜は完全に目から光を失い、ゆっくりと川底へと沈んでいったのだった。


 亜竜アームドウイングを全て討伐し、イレギュラーズは橋の補強作業を再開する。
 2つ目の橋も詰めの作業となっていたこともあり、程なく完了した。
「後は……あれだな」
 ジョージは情報に加え、先程倒したばかりの亜竜を見つめ、これらが食料になるのではないかと話す。
 見た目も川魚といった姿をした相手だ。大味だが、塩漬けにすれば保存食にもなりそうである。
「活用法があれば、集落の特産にもなりそうだ」
 幾度かの道路の補修、2つの橋の補強でメンバー達の馬車もかなり積載する荷物が減っていた。
 血抜きして小分けにすれば、集落まで運搬はできる。メンバー達は馬車に詰めるだけ詰め込み、先へと進む。
 2~3つ目の橋区間は舗装の不要な場所が比較的多かったことから、移動がメインとなる。
 それもあって、先んじて煌氷が3つ目、石製の橋へと向かって作業を進めていた。
「思っていた通り、空を飛べる分、地上を走るより早く着くことができたよ」
 先行していた煌氷は道中に怪しいポイントがないかともチェックしてくれており、メンバー達が気づきにくい窪みなども数か所挙げてくれた。
 こちらも数人が戻って簡単にだが舗装、均し作業を完了させた。
 もちろん、石橋の補強作業も進行する。
 こちらも鉄板を仕込んだり、鉄を使った橋脚強化といった作業は行うものの、木製と比べれば腐食がない分作業量は少なく済む。
「こちらは終わったよ」
 手早く煌氷は向こう岸の補強を終えたことを、仲間達へと報告していた。
「この状況は交易の第一歩に過ぎません。しかしながら、その第一歩こそが重要なのです」
 そこで、ハインが作業を進めながら徐に語る。
「一歩目が間違った方向に進んでしまっていれば、そのまま突き進んでしまうのが人間のサガです」
 今まで労力をかけてきたやり方が間違っていたと知った時、全てをかなぐり捨ててまで別の道を探せる者はそう多くない。
 仲間達は作業しながら、あるいは作業の手を止め、ハインの主張に耳を傾ける。
「よって、この大事な礎(いしずえ)に傷が入らないよう、僕は念入りに橋を精査し。それを修繕したいと思います」
 この橋が最後。数もこなし、戦闘もあって集中力も落ちてきている。メンバー達は改めて各々の役割を果たすべく気を入れ直していた。

 少しして、手前側の橋脚も鉄が差し込まれた上から鉄で覆われ、作業も完了した。
「あとは何か必要な物はあるっスかね?」
 3つの橋の補強はできたことで、移動はかなり楽になったが、亜竜などが襲ってくる状況に変わりがないことをライオリットが指摘する。
「川からこうも亜竜が襲ってくるとなると、川にトラップ仕掛けたくなりますね」
 鏡禍もそう言うものの、橋を襲えなくなるような名案を思いつくことができない。
 匂い袋を使って敵を追い払う案なども出たが、管理が大変そうだ。上手い対策があれば、橋の維持も楽になるかもしれないが……。
「ともあれ、橋の補強、道の舗装方法についてはこの先の集落民に伝えておきたいな」
 この手の知識は集落でも使えるはずだとジョージは語る。新たにもたらされる知識が無駄になることはないだろう。
「覇竜のこれからの為に、いっぱいいっぱい頑張るよっ。えいえいおー!」
 リリーに掛け声に応じるメンバー達はそのまま、中継地となる集落へと向かっていくのである。

成否

成功

MVP

ライオリット・ベンダバール(p3p010380)
青の疾風譚

状態異常

なし

あとがき

 リプレイ、公開です。
 MVPは道の舗装、橋の補強、戦闘と活躍を見せたあなたへ。
 次回はまた先へと道を開拓できればと考えております。
 今回はご参加、ありがとうございました!

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