シナリオ詳細
きらきら、輝く
完了
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オープニング
・とある街中
よく晴れた日だった。秋らしい涼し気な空気の中、街に人々の声が響く。
「机ここでいいかな」
「椅子も持ってきた」
人々の行きかう広場に、テントが建てられ、机やいすが置かれていく。
「いい天気になったね」
「立ち寄ってくれる人、増えるかな」
机の上に置かれていくのは、煌びやかなアクセサリーや、レースがあしらわれたポーチ、異国調のデザインの小物たち。どれも広場に集まる人たちが心を込めて作った、手作りのものだ。
皆それぞれが自分の作ったものを机の上に並べて、用意した棚に置いて。誰かに見つけてもらえるように、手にとってもらえるように準備をしていく。
「これで良し、と」
この場所では、時折小さなイベントが行われる。ちょっとしたショーや、フリーマーケットなど、その内容はその時々によって違う。そして今回ここで行われているのは、ハンドメイド作家を集めた、ハンドメイド展だ。
いつも開催されるハンドメイド展は、広場の一角に現れた出店の集まりのような様子だったが、今回は今までのものより少し規模を大きくして開催されている。その分主催は張り切っているらしく、より多くの客を呼び込むため、宣伝活動にも力を入れているとのことだ。
「あれ、チラシ配りの人が突然休んだんじゃなかったっけ。あれどうなったの」
「なんか代わりの人見つけたらしいよ?」
「普通そんな急に見つかる?」
ひとまず見つかったならいいか。そう思うことにして、開始の時刻と共に皆が持ち場に戻る。一人でも多くの人が訪れてくれることを期待しながら。
・チラシ配り
「全然配り終わる気がしないんだけど」
チラシの束を抱えているのは、『茨の棘』アレン・ローゼンバーグ(p3p010096)だ。困ったなとでも言うように眉をひそめながら、アレンはチラシの束を見せびらかす。
「主催の人に頼まれたんだけど、一人で配り終わる量じゃないでしょ。どう考えてもさあ」
幻想のとある街。その一角で開かれるハンドメイド展。普段より規模を広げての開催に、主催は宣伝にも力を入れているらしい。
「僕、アクセサリーを見に来ただけなんだけどなあ」
チラシをたくさん主催は用意したが、チラシ配りを担当してうた人が突然休んだらしい。そうして偶々訪れたアレンにチラシ配りが頼まれたという。
「まあでも主催のひとに聞いてみたら、チラシ配りに手伝いの人を呼んでも良いってさ」
チラシ配りを手伝ったら、ハンドメイド展で使える値引き券を貰えるとのことだ。
「さっき会場覗いたら、綺麗なものがいろいろあったんだ。折角だから、配り終わったらそっちも見ていくといいと思うよ」
会場に並ぶのは、煌びやかなアクセサリーや可愛らしいポーチをはじめとする、様々な品。眺めれば気持ちが弾むようなものばかりだ。
「そんなわけだから、チラシ配り、手伝ってくれる?」
色違いの目を細めて、アレンはにっこりと笑った。
- きらきら、輝く完了
- NM名花籠しずく
- 種別カジュアル
- 難易度NORMAL
- 冒険終了日時2022年10月09日 22時00分
- 章数1章
- 総採用数12人
- 参加費50RC
第1章
第1章 第1節
「アレン、久しぶりだな。おいらでよければ手伝うぜ」
フーガが声をかけると、アレンがにこりと振り返る。
「ありがと。助かるよ」
チラシを受け取り、人通りが多いところを教えてもらう。演奏をして注目を集めたらチラシも配りやすいかと思ったけれど、その両立は難しそうだから無難に配ることにした。だがしかし。
「近くでハンドメイド展やって――」
なかなか受け取ってくれない。
「手作りの品物が――」
受け取ってくれない。チラシ配りとは難しい。
断る人もいるし、鬱陶しいと言うような顔をする人もいる。それから微笑みながら早足で通り過ぎていかれるのが、心に刺さる。
こうなったら、仕方ない。一度頭をかいてから、フーガはすっと背筋を伸ばす。
近くを歩いている女性の元に歩み寄り、爽やかな微笑を浮かべる。ほんのり甘い声になるように気を配って、優しく挨拶。
「白い真珠の如く美しい奥様に似合う装飾、見つかるかもしれません。一人で行くのに戸惑うのであれば、私も付き添いましょうか」
甘い雰囲気で宣伝しつつビラ配りと思ったが、さすがにこれは恥ずかしい。言ったそばから頬と耳が熱くなってきた。恐る恐る女性の反応を見ると――。
「かわいい」
微笑みながらチラシを受け取ってくれた。
恥ずかしかったことはひとまず頭の片隅に追いやり、チラシを配り終えた後は店を回ることにした。親友たちへのお土産を探して、フーガは会場に足を踏み入れるのだった。
成否
成功
第1章 第2節
会場の前に来ると、青薔薇を模した小物が目に入った。太陽の光を受けて輝いているのがどこか印象的だ。
気分転換がてらハンドメイド展に来てみたが、こういった手作りのものはブランド物とは違う良さがある。家にあるものはブランド品ばかりだから、ゆっくり見て回りたいものだ。
チラシを配っている青年を見つけ、一枚貰おうとレイアが近づくと、彼がまだたくさんのチラシを抱えていることに気が付いた。この人がアレンか。
「私はレイアと申します。よければ簡単にですがお手伝いいたしましょうか?」
「いいの? よろしくね、レイア」
配れそうな枚数のチラシを受け取り、人の流れに沿って歩く。辺りを見回して、あまりハンドメイド展に興味がなさそうな男性に声をかけた。
「あの、ハンドメイド展がありますのでいかがでしょうか?」
上目遣いで、唇にゆるく弧を描かせて。ほんの少し恥ずかしそうに首を傾げると、男性は照れ臭そうに目を逸らした。効果てきめんだ。
「行ってみようかな」
差し出したチラシはあっさり受け取ってもらえた。そのチラシを手に会場を目指す彼の後姿を見ながら、レイアはぽつりと呟く。
「人妻なのにやってはいけなかった背徳感を感じますわ」
チラシを配り終え、レイアは会場に足を向ける。折角来たのだから、友達や夫のためのお土産を見てみたいものだ。
彼等の喜ぶ顔を思い浮かべて、レイアは数々の品を前に頭を悩ませるのだった。
成否
成功
第1章 第3節
何か良いものがないかと思ってハンドメイド展に来てみたが、チラシ配りはまだ苦労しているらしい。少しばかり手伝ってやろうと銀髪の青年に話しかけると、嬉しそうにチラシを渡された。
ハンドメイドの小物や装飾品なら、年頃の娘たちが興味を持ちそうなものだ。その辺りを狙って声をかけてみようかと、クウハは人混みの中を歩き出す。
「よォ、お嬢さん方」
軽い調子の声に、少女たちが振り向く。彼女たちにチラシを差し出しながら、クウハはゆるりと口角を上げた。
「ハンドメイド作品は他では見ない、珍しいデザインのものも多いんだ」
そういうものを持っていれば、周りの奴らにも自慢できるだろうな?
彼女たちの反応を確認しながら、チラシに乗せられていた作品をひとつ指さす。
「特別なプレゼントにも打ってつけだ」
作品を見ているだけでも作家は喜ぶ。暇つぶしがてら、寄っていくのはどうだろう。
「退屈はしないと保証するぜ?」
少女たちが揃って頷き、それぞれがチラシを受け取ってくれた。
チラシを配り終え、自分も会場に足を向ける。
硝子のように透き通る小物や、繊細な細工のアクセサリーを眺めながら、お気に入りの可愛い奴のことを頭に思い浮かべた。プレゼントには何が良いだろう。
普段使いを考えると、控えめなデザインがいい。シンプルで可愛らしいネックレスがあればいいのだが。
そう思いながら覗いた店先で、クウハは一つの商品を手に取るのだった。
成否
成功
第1章 第4節
「アレン様、いかがないさいましたか?」
ヴィルメイズが声を掛けると、アレンが抱えているたくさんのチラシを見せてきた。なるほど、まだチラシがこれだけ残っているのか。
「私が飛行で空からばら撒いたほうがよろしいですかね?」
「それはごみになるからダメ」
一瞬で終わるから丁度いいと思ったのだが、残念、諦めよう。
アレンは通りすがりの人に愛想を振りまいているが、自分は地道に声をかけて配るのは性に合わない。舞と歌唱を披露して、集まった客にチラシを渡すことにしよう。これなら自分たちから配りに行かなくても良いし効率的だ。
実際に舞いはじめると、通りかかる人が足を止め始める。立ち止まった一人ひとりに笑みを見せながら歌を披露すると、歓声があがった。
気が付けば周囲に人だかりができ始めていて、置いていたチラシが一枚、また一枚と手に取られている。
「順調だね」
「夜花もございますので、まあ女性であれば皆受け取ってくださいますよ。私は美しいので」
「なるほど」
笑顔で頷くと、アレンに追加のチラシを渡された。
ショーが終わりチラシを配ると、予想通り早くなくなった。何人かにおひねりを貰ったので、そのお金で買い物をすることにする。
見つけたのはアイシングクッキーというもの。可愛らしい見た目に惹かれていたら、味もおいしいのだと教えてくれた。
食べるのが勿体ないと思いながら、ヴィルメイズはアイシングクッキーを眺めるのだった。
成否
成功
第1章 第5節
今日は天気が良くて、日なたはぽかぽかと温かい。お気に入りのねこねこかばんをかけて出掛けると、見知った顔に出会った。
「アレンさん、こんにちは」
クロエが今日はどうしたのかと尋ねると、彼はチラシ配りが終わらないのだと教えてくれた。そういうことなら手伝おうと、配れそうな分のチラシを受け取った。
ハンドメイド展なら子どもと一緒でも楽しめるだろうと思い、近くにいる親子にチラシを渡そうと歩み寄る。
「ハンドメイド展やってますよ。よかったらお子さんと見に行ってみてください」
ふわりと笑みを浮かべると、親子が目を輝かせながらチラシを見た。どうやら興味があるらしい。
差し出したチラシを親子が受け取った途端、ぶわりと風が吹きつけた。親子に渡すチラシは飛ばずに済んだが、抱えていたうちの何枚かが飛んで行ってしまった。
「あ、待ってくださーい!」
親子に会釈し、それからチラシを追って走り出す。アレンもチラシを拾ってくれたが、ちょっぴり恥ずかしくて顔が熱くなった。
なんとか配り終わってから、ハンドメイド展を見て回る。
髪に飾る可愛いリボンがあれば欲しいし、できれば二個セットのものが良い。そう思って店を巡っていると、リボンを使った装飾品たちを見つけた。
気になったのは二つ。秋らしいチェック柄のリボンと、淡い茶色と赤色の組み合わせのリボン。
どっちがいいかなぁと悩んでいるクロエを、お店の人が笑顔で見つめていた。
成否
成功
第1章 第6節
手作りの雑貨や小物はあたたかみがあって素敵だと思う。チラシ配りの手伝いが終わったら見て回りたいものだ。
受け取ったチラシたちを抱えて、望乃はそっと息を吐き出す。通りかかる子どもが多いときを見計らって、今度はゆっくりと息を吸う。
街に響き始めたのは、子どもたちが好きな童謡だ。柔らかな声とメロディーで紡がれる歌に、「歌のお姉さんがいる」と子どもたちがきゃっきゃっと騒ぐ。
もっと歌ってという子どもたちのリクエストに応えていると、ちょっとした人だかりができていた。今が丁度いいと、望乃は抱えていたチラシを一人ひとりに差し出す。
「ここは、キラキラとワクワクが詰まった夢の国。よいこのみんなも、世界に一つだけの宝物を探しに行ってみませんか?」
宝の地図はこのチラシ。是非親御さんもご一緒に。そう微笑めば、明るい声でその場が包まれた。
チラシ配りを頑張った後は、秋の小物を探しに会場に向かう。
まず見つけたのは上品なブローチ。次に目についた花の飾りのついたネックレスはあの人に似合いそうに思える。
次の店で見つけた手織りのストールはあの人に似合いそうで、ブレスレットはあの人が好きそうなデザイン。様々なデザインの小物を見ては、望乃は表情を輝かせる。
気が付けば自分の買い物よりも、友達へのお土産探しの方が楽しくなってきてしまった。そう思いながら望乃は、小物の一つひとつを丁寧に眺めるのだった。
成否
成功
第1章 第7節
街中で出会ったのは、困った顔をした青年だった。
「チラシ配り、頼んでいい?」
この私に、広告を配れと? そんな思いが頭をよぎるが、困っている者の助けになれるのなら構わない。青年に差し出された広告を受け取り、ルブラットは人が行き交う場所に歩き出した。
人混みの中に紛れるも、さあ、どうするべきか。自分が声を掛けても広告を渡せるとは思えない。顎に手を当てて悩んでいると、ある解決策を思いついた。
「エーグル、君がこれを配りたまえ」
話しかけると、木馬のエーグルはこてんと首を傾げる。リボンや花で包まれた愛らしい容姿の彼女だ。ただ広告を咥えているだけで、瞬く間に配り切れてしまうだろう。そう説明すると、彼女は分かったと言うように頷いた。
「では、先に失礼する。またここで会おう」
ちらりと振り返れば、子どもや若い女性を中心に、エーグルの周りに人が集まりはじめている。この様子だとすぐに配り終わりそうだが、さすがに仕事を押し付けてしまったという自覚はある。後で一際美味しいお菓子を給与しなければ。それから、彼女に似合うような装飾品も探してみよう。
何がいいか迷ってしまったが、会場でルブラットが気になったのは、天然石とリボンを組み合わせたアクセサリーだった。可憐さと上品さを兼ね備えたそれらは、エーグルの容姿を引き立ててくれるだろう。
薄桃色を基調としたペンダントを買い、ルブラットはその場を後にするのだった。
成否
成功
第1章 第8節
よく晴れた日だった。祝音が街中をのんびり歩いていると、ハンドメイド展のチラシ配りを手伝ってほしいと頼まれた。
「僕も頑張るよ。みゃー」
チラシを配れそうな分だけ受け取り、広場から少し離れた辺りまで歩いてみる。自分が歩けるくらいの範囲ならきっと、チラシを受け取ってくれた人も行きやすいだろう。
「ここから少し行った広場で、ハンドメイド展やってます」
色んな品物あるから、見てみませんかー。みゃー。
チラシを配り始めてすぐ、真っ白な毛の猫が通りかかった。
「猫さん……。猫さんいる、可愛い!」
手をふりながら近づくと、猫がちらりとこちらを向く。
「猫さん、ハンドメイド展とかどうかな……」
話しかけるも、猫はふいとそっぽを向いて、とことこ走っていってしまった。もう少し可愛がりたかったものである。
その後チラシ配りを続けるも、なかなか受け取ってくれない。しょんぼりだ。でも、チラシを受けとって、会場に行ってみると言ってくれる人がいると、心がぽかぽかする。
練達でも元の世界でも、チラシを配っている人は見たことあるけれど、受け取ってくれたほうが嬉しいのだ。実際にやってみてよく分かった。
今度見かけたら、受け取るだけはしてみようかな。そう思いながら祝音は残りのチラシを配りはじめた。
チラシを配り終わって、ハンドメイド展に足を運ぶ。可愛い猫さんの作品があれば買ってみようと、色々な店をのんびり眺めるのだった。
成否
成功
第1章 第9節
訪れた街中では、ハンドメイド展が開催されているらしい。面白そうだし、覗いてみようか。
向かう途中でチラシ配りを手伝えば値引き券がもらえると聞き、それならばとチラシを何枚か受け取った。
よーし、頑張るぞ。そう意気込んで、ヨゾラは人混みの中で声を上げる。
「ハンドメイド展開催中! 可愛い物面白い物、沢山あるよー!」
道行く人に声をかけて、チラシを配っていけばと思っていたけれど、これが案外難しい。受け取ってくれない人や避ける人が結構多いのだ。用事もある人もいるだろうし、仕方ないといえばそうなのだが、これではチラシ配りが終わりそうにない。
癒しを求めて、猫が通りかからないかとチラシを配りつつも足元をちらちら見てしまう。そうしてしばらくすると、真っ白の猫が通りかかった。毛がふわふわしていて、とても可愛い。
しゃがみこんで猫に声をかけるも、さすがにチラシは受け取ってくれない。だが、可愛い猫の癒し効果は抜群だ。チラシ配りを頑張ろうという気力が、どんどん湧き上がってくる。
頑張るぞともう一度声に出し、ヨゾラは再び笑顔でチラシを配るのだった。
チラシ配りをやっと終えて、その足でハンドメイド展に行ってみる。会場を歩いていると、可愛い猫のあみぐるみや、綺麗な夜空をイメージしたアクセサリーなど、色々なモチーフの手作りの品が目に入った。
気に入ったものがあれば買ってみようと、ヨゾラは色々なお店を巡り始めた。
成否
成功
第1章 第10節
手作りとは良い物だと思う。大衆向けに量産されたものとはまた違う魅力があるのだから。
折角ハンドメイド展の近くまできたのだ、後でゆっくり見ていきたいものだ。
チラシ配りを手伝えば値引き券も貰えるというし、まずは頑張ってチラシを配り歩くとするか。そう思い天狐は青年からチラシを受け取った。
普通にチラシを配り歩くのも良いが、せっかくならうどんを売り歩きながら配ろうか。料理もある意味ハンドメイドなのだ。イベントの趣旨から外れているわけではない。それに、このうどんに出会った人がうどんの美味しさに目覚めてくれるのなら、うどんを信仰する身としては嬉しい。チラシを配れて布教もできるのなら一石二鳥だ。
「近くでハンドメイド展をやっておるぞ。それから、美味しいうどんはどうかの」
うどんを載せた荷台を引いていると、釣られた子どもたちが集まってきた。子どもたちの要望に答え、ぶっかけうどんやざるうどんを出しながらチラシを渡していると、チラシはあっという間になくなった。
タイミングをみてうどんの提供を切り上げ、ハンドメイド展に向かう。良さげな小物があればと思い店を巡ると、ある店が天狐の目を釘付けにした。
「うどんではないか」
食べ物をイメージしたキーホルダーを売っている店だった。樹脂粘土で作っているらしいが、机に並べられている商品の半分はうどんである。
店主と握手を交わし、天狐はうどんのキーホルダーを購入した。
成否
成功
第1章 第11節
手を貸してほしい。銀髪の青年に頼まれて、セスはゆっくりと頷いた。
それが依頼なら、断る理由はなかった。
「呼び込みに使いたいので、売り物を先に購入してよろしいでしょうか」
商業知識によると、実物を見せながらの宣伝で効果を上げられるとのことだ。そう伝えると、アレンは頷いてくれた。
「売ってるもの伝えると喜ばれそうだね」
先に会場をぐるりと回り、おおよその商品の種類を確認。海洋風の小物入れを購入し、その中に煌びやかな装飾品を数点入れる。最後にアレン用に薔薇のブローチを買って、通りに戻った。
「アレン様はこちらをお使いください」
「わ、ありがとう」
実際に身に着けることで、良い宣伝になるだろう。華やかなデザインのものを選んだから、人の目にもつくはずだ。
小物入れを見やすいように持ち、セスもチラシを配り始める。
「異国の意匠をしたものもありますよ。御部屋の飾りにいかがでしょう」
セスの宣伝に、足を止める人は多かった。この小物入れは装飾品入れや裁縫道具入れなどといった使い方もできると伝えると、笑顔でチラシを受け取ってくれるのだった。
「セス、チラシ配りありがとね」
チラシ配りが終わった後。アレンにブローチは差し上げると伝えると、彼は驚いたように首を傾げた。
「揃いの意匠もありましたよ。お気に召しましたら売上に貢献なさるのも良いかと」
セスの言葉に彼は嬉しそうに頷き、お揃いにしなくちゃと笑みを浮かべた。
成否
成功
第1章 第12節
軽い小物を買いに来ただけなのに、気が付いたらチラシ配りをすることになっていた。値引き券にひかれたのはあるが、何とも不思議なことになったものだ。
とりあえず旅人の人とかに「お土産にいかがかしら」と配っていくことにして、アンナは人混みの中を進み始めた。
「ハンドメイド展、やってるわよ」
通りかかる人にチラシを配りつつ、顔見知りの姿を探す。見知らぬ人に配るのは難しいが、知り合いなら受け取ってくれる可能性は高い。
幻想にいるのも長い。知り合いも何人かはいるだろうと周囲を見渡していると、顔見知りが通りかかった。
アンナが差し出したチラシに、その人物は首を傾げた。そこまで興味はないと表情に出ている。
「受け取ってくれないかしら? くれるわよね?」
強気ににっこり笑顔で、ぐいっと押し付けると、その知り合いはひとまずチラシを受け取ってくれた。
値引き券のためなのだ。悪く思わないでほしい。
チラシ配りを終えて値引き券を貰い、ハンドメイド展に足を運ぶ。動物系の小物を主に見ていこうと、会場の端から歩いていく。
まず見つけたのはテディベア。それから兎の耳が可愛らしいポーチ。ああ、それからこのアヒルのひざ掛けもキュートだ。
気になったものはどんどん買っていこう。可愛い物とは一度一会。ハンドメイドの品なら、それこそもう次はないのかもしれないのだ。
次第に可愛い物が自分の周りに溢れてきて、幸せな気持ちになった。
成否
成功
第1章 第13節
「ハンドメイド展?」
「うん。綺麗なアクセサリーとか、小物とか、いろいろあるよ」
「それなら行ってみようかな」
差し出したチラシが、相手の手に渡る。たくさん抱えていたはずのチラシたちの、最後の一枚。
相手を見送って、アレンは思わず息を吐きだした。ようやく終わった。
最初、ひどく分厚い紙の束を渡されたときはどうしようかと思ったが、手伝ってくれた人たちがいたおかげで、随分と早く終わらせることができた。
「チラシ配り、終わったよ」
主催を見つけて声をかけると、その人はぱっと表情を明るくした。
「それはよかった。本当にありがとう」
聞けば、宣伝が功を奏して、会場にはとても多くの人が訪れているという。
自分たちの努力が報われたのであれば嬉しい。それに、綺麗な作品たちが多くの人に見てもらえるのであれば何よりだ。
「じゃ、僕も遊びに来た側に戻るね。欲しいもの、あるし」
主催にひらひらと手を振り、アレンもまた店の並ぶ場所に向かう。
欲しいもの、気になっていたもの。大切な人にあげたいもの。それらを探して、多くの店を巡るのだった。
NMコメント
こんにちは。椿叶です。
ハンドメイド展のチラシ配りを手伝って、それから買い物をする話です。
目的:
チラシ配りのお手伝いをしてください。イベント当日にチラシ配りをするはずだったのですが、その担当の人がお休みになってしまったので、チラシ配りが通りすがりのイレギュラーズに任されてしまいました。彼曰く「一人じゃ終わらない量」とのことなので、お手伝いを呼んでも良いことになりました。
チラシは一人で配り切れる量が渡されます。お手伝いをしてくれた方にはハンドメイド展で使える値引き券がもらえますので、その後は自由に買い物を楽しんでください。
状況:
場所は幻想のとある街中です。小さなイベントが開催できるような広場で、普段より少し規模を大きくしてハンドメイド展が行われています。
何人ものハンドメイド作家が集まり、手作りの作品を店に並べています。皆、誰かが作品に興味を持ってくれること、手に取ってくれることを楽しみにしています。
サンプルプレイング:
あらあら。急に休みがでちゃったの? 大変だねえ……。放っておけないから手伝ってあげよっと。
……っていうのは建前で、実はハンドメイド作品みにいきたいだけなんだけどね。こういうの好きなんだ、楽しみ。よし、チラシ配りから頑張ろうっと。
見てみたい商品があればプレイングに記載していただければと思います。
よろしくお願いします。
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