PandoraPartyProject

シナリオ詳細

One day, Your day.

完了

参加者 : 4 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング


 うんと伸びをするのは午前七時半。低血圧のくせに改善する気は起きない。
 ぼさぼさの髪、働かない頭。開かない目をどうにかこじ開けようと善処しつつ大きな冷蔵庫から夕飯の残りを詰め込んだタッパを取り出して適当に摘んでいく。
 食べ終わった頃にはなんとか目も開いて七時と四十分。全部出したはずなのにいくつか空いていないタッパとかろうじて開けていたタッパに蓋をして、お皿に水をつけていく。こんなもの帰ってきてから洗えば良いのだ。
 洗濯機にパジャマを投げ込んで下着姿で歯磨きをして顔を洗う。保湿をしたら化粧をして、それからなんとかしてこの寝癖に言うことをきかせなければ!
 そうこうしているうちに七時と五十分。急いで着替えてストッキングを履いて、それからかばんを持って。カーテンを勢いよく開きながら充電器からスマートフォンを攫っていく。鍵を色々と入れている鍵箱で絡まったストラップをはがしながら家の鍵を連れて外へと走り出す。これが八時のこと。
 扉を開けた先が快晴なら空の青さに笑みを浮かべ、曇りならば眩しくないと安堵する。雨? あんなの最低だ、寝癖が戻ってしまう!
 そんなこんなで一日が始まる。貴方のなんてことない代わり映えのない一日はどんなものだろう?


「一日って、毎日繰り返すものもあれば違うこともあるわよね」
 ポルックスが笑った。金糸揺らし紅茶を一口。これが彼女の常なのだろうか。
「そうだね。例えば、いつもは紅茶の前にスコーンを食べるポルックスが今日は紅茶からだったり」
「ちょっと、意地悪はよしてよ!」
「ふふ、ついね」
 ティースタンドは三段。ちょっぴりかけたスコーンにたっぷりのジャムをのせて。
 紅茶にもジャムをとかすといいよ、もうお砂糖をたっぷりいれちゃったわ! なんて些細なやり取りは特別な日だけの特権。
「さてさて、紅茶もいいけど依頼の説明をしないとね」
「そうだったわ!」
 こほん、と咳払いをひとつ。ポルックスは微笑んだ。
「ってことでね。皆の一日を教えて欲しいの!」
「なんてこと無い一日でも。僕らみたいに特別な今日だけでもいいんだ。頼めないかな?」
 曰く。その物語にかけているのは人間が生きているという色。
 ありふれているような日常も。ちょっぴり贅沢な非日常も。何もかもが足りていないのだという。
「だからそう。その物語に教えてやってくれよ。どういうのが生活で、何が人生なのかって」
「ふふ、お礼はちょっぴり弾んじゃうかも。なんて、冗談だけどね」

NMコメント

 染です。学生時代はよく遅刻予備軍で通学路を毎日走っていました。
 定期的に皆さんの日常の解像度を高めたくなります。

●依頼内容
 あなたの一日を見せる

 特別な日でも、なんてことない日でも。
 どんな日でも構いません。あなたが過ごす一日を見せてください。

●世界観
 混沌によく似たどこか。
 だいたい混沌だと考えていただいて大丈夫です。

●プレイング
 朝から夜までの一日の行動をお書きください。なるべく字数は埋めて頂けると嬉しいです。
 休みの日でも、仕事がある日、特別な日でも構いません。ありふれた日常の1ページをお伝えいただければと思います。
 また、見られていることを意識するのではなく、あくまで日常を過ごすだけの依頼と捉えて頂ければ齟齬なくスムーズに、リプレイが紡げると思います。

 参考になればと前回のリプレイを持ってきました。
 https://rev1.reversion.jp/scenario/detail/5681
 こちらは全然見なくても大丈夫です。

●NPC
 当方の境界案内人でしたら、お呼びいただければ日常の一幕にお邪魔致します。

●サンプルプレイング
 今日はあのブランドの新しい服が出る日!
 目覚ましもちゃんとなってくれたし、今から買いに行こう。あー楽しみ!

 以上となります。
 皆様のご参加をお待ちしております。

  • One day, Your day.完了
  • NM名
  • 種別ライブノベル
  • 難易度-
  • 冒険終了日時2022年09月25日 22時20分
  • 参加人数4/4人
  • 相談5日
  • 参加費100RC

参加者 : 4 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(4人)

ネーヴェ(p3p007199)
星に想いを
ライ・ガネット(p3p008854)
カーバンクル(元人間)
明晴 伊春(p3p010433)
陽の燈のもと
玄野 壱和(p3p010806)
ねこ

リプレイ

●覚醒/ log in
 ――意識の覚醒/log in。
 見慣れぬ天井に思わず頭を抱える。
 昨日までの記憶を想起/loadし、ふぁとあくびをひとつ。『ねこのうつわ』玄野 壱和(p3p010806)の朝が来た。
(そういや昨日の依頼主の計らいで依頼後にそのまま宿屋に泊まったんだっケ)
 主の目覚めに呼応する様に傍らの[たま]がアイドリング状態に移行する。うんと伸びをすればようやく身体も目覚めしゃきっとする。とはいえまだ足元がままならない。
 定まらない思考を直すように、宿屋が置いてくれた軽い朝食を口にする。スープとバゲットだった。柔らかな野菜の風味とやや固くなったパンをかじる。そこそこ。
 特に今日は依頼も無い。部屋も依頼主が数日キープしてくれている様子だし今日一日フリーという訳だ。さて、何をしようかと考えるが、考えるまでもなく最初から何をしようかなんて決めている。
(まとまった時間もあるし昼間は[ねこ]の調律/maintenanceでもするカ)
 [ねこ]を封紙している符を取り出し[たま]の触手を通して接続/accessを実行する。
 混沌肯定の影響で発生した文字化け、虫食いを解れた糸を直す様に結んで、ほどいて、編み込んで。元のかたちに書き込んでいく、単調作業。
 完全とまではいかないが主な機能は稼働する位まで修復出来たところで、それの名前を[繝帙え繝ゥ繧]――改め[ほうらい]と名付けることに。
 くぃ、と伸びをした頃には昼が来る。けれどその作業を中断するつもりもなく。そうして気がつけば、夜が来る。

 屋根裏。頬をくすぐる風は秋の色に染まり、ややつめたさを帯びている。
 ――この街の人々は昼も夜も活気に溢れている。
 ぼんやりと辺りを見渡していれば、気配にでも惹かれたのか街中の猫が集まってきていたので頭をなでてやりながら会話する。
 と言っても[ねこ]を通して彼らの言語パターンを疑似的に再現しているだけではあるのだが。
(傍から見たら単なる鳴き声の合唱にしか見えないだろうナ)
 にゃんにゃん。にゃーん。猫の集会。他愛も無い噂話からゴシップまで。こういうときに猫と話せるのは便利なのだ。
「明日はローレットにでも行って面白そうな依頼が無いか確認にでも行くカ」
 あくび。そしてベッドに身体を投げ出して。
 ――ベッドに潜り意識を落とす/log out。

●もふもふせんせいはいつだってかわいい!
 『カーバンクル(元人間)』ライ・ガネット(p3p008854)は普段希望ヶ浜で保健室の先生として働いていて、学園に近いアパートに住んでいる。もちろんペット飼育化。
 見た目が特殊で街に行きづらいので必要な物は通販で買っているようで。そういえばお肉を切らしていたのだったかと冷凍の鶏肉をカートへぽちり。

 朝は6時頃に起床。今の体に合った動物用のベッドから目覚めてぼんやりと伸びをする。いつだったか使っていたベッドはこれよりも大きかったのに。
 朝食にはトーストと適当に解凍した冷凍食品を食べて目をさます。体的にはペットフードも食べられるのだけれど、やっぱり人間だった経歴としてはややつらいので食べていない。
 着替える必要はないので寝癖を整えてお弁当の準備を。
 ロボット掃除機のスイッチを入れてもそもそと学校へと向かっていく。

 学校では基本保健室で待機。誰も来なければそれが一番なのだけれどもやっぱり退屈ではある。
「せんせー……」
「ん。体調悪い?」
「うん。入っていいっすか?」
「いいよ。そこ座って」
 肉球は柔らかいものの爪で怪我させるかもしれないのでそれを防ぐために手袋をつけて応対を。熱を測ってもらい、記録シートにメモをして。親御さんへの連絡や担任との相談も。
 そんな慌ただしい時間も終わりが来て休み時間になる。
「せんせー!!!」
「おいおい、保健室は遊び場じゃないぞ」
「そんな見た目で言われても」
「今日も会いに来ました!」
 もふもふと触られるのは嫌いではないけどやや恥ずかしい。
 その後も事務作業をかたかたとすすめて、夜になれば家に直帰する。
 家事ロボットにお風呂を溜めておいてもらい、帰ったら一目散にお風呂へとつかる。
 冷凍食品で用意した夕食を片付けてその後は眠るまで冒険小説を読む。眠くなったらそのまま本を閉じて眠る。
 穏やかで和気あいあいとした一日。それがライの一日だ。

●おもひで
 目が覚めるのは、いつも朝陽が昇る頃。
 一番の早起きである『陽の燈のもと』明晴 伊春(p3p010433)は、とてとてと渡り廊下を歩いて寝汚い兄を起こす仕事を果たす。
 着飾るのに忙しそうな姉達を遠巻きから眺めながら、自分も鏡台の前に立って身支度を整える。
 髪をまとめて。服を着て。それから、角のお手入れ。だいたい十五分。
 武道の稽古に励みながら太陽が登るのを見守って。満足したら朝餉までおじいさまの工房に浸っては兄さまの面を作ったり。
 母さまのお手伝いもして。朝餉のご飯を食べ終えたら、自然を相手に遊んでいる。そんな子供だった。

 兄さまの手を引っ張って釣りをして。大物が釣れたら夕餉に出してもらったり。
 きらきら煌めく水面に飛び込んで川遊びをしたり。石切をして、水面を跳ねる数を数えてみたり。
 一番高い木の上から見下ろす故郷の景色が何よりも特別だった。平凡な街ではあったけれど、それでも。美しいところにうまれたものだと、感動する。下で慌てふためく兄をなだめながら、
 日が暮れるまで彼方此方を歩いて、桔梗の花を持って帰ったり。両手いっぱいに花を。兄には魚を持ってもらって。
 父にたくさんの釣果を見せると、兄さまとわたし、髪の毛がぐしゃぐしゃになるまで撫でてもらったりなんかもして。
 夕餉は家族みんなで揃って『いただきます。』、眠るときは兄さまにくっついて眠っていた。

 ――幸せだった、な。

 今も朝早く起きるわ。寝る時は、昔より遅くなったかな。
 朝から夜まで、もうずっと一人で過ごしているけれど。
 どうしても寂しさが押し寄せてきた時は、鬼面を抱えて眠るのよ。
 時々、昔のことを夢に見られるから。

 夜の闇はいつだって優しい。無条件に。
 だから辛くなる。どうして、どうして、どうして――
 もう嘆いたって、悲しんだって。何も返ってはこないのに。
 朝が来る。そして、夜が来る。
 もう頭をなでてくれた大きな掌が髪をすくこともない。
 自分の名を呼んでくれるひとも此処には居ない。
 その事実がひどく苦しい。故郷は、未だ遠い。

●未だ、枯れぬ思慕
 泣きながら、目が覚める。この夜も、何度も繰り返して、うとうとしただけ。
 頭がぼんやりとぼやけて、熱い。そんな感覚とともに『ただひとつのオーロラ』ネーヴェ(p3p007199)の朝はやってくる。
(昨日は、絢様からもらった飴を、舐めなかったから。ひどく疲れた心のまま、朝が来る)
 とは言っても、窓の外には落ちかけた月だけ。まだ朝日も昇らない。
 足が動かないので。
 そんな言い訳。眠れない理由なんて他にあるのに。
(それで普通の方と、同じくらいだもの)
 うんしょ、と重い義足を引っ張って身支度をして。
 義足をつけて、身支度をして。それから、腫れた目元は濡らした手巾で冷やして。
 お気に入りの、付喪神が宿っている櫛で髪をといていく。
(この櫛で梳ると、今だけは、少し気持ちが落ち着くような……気の所為、かしら)
 お化粧は顔色の悪さを隠すように。そうでないと、また彼が心配してしまうから。

 足の傷痕も隠れるくらいの、スカートを履いて。
(…ほら、ちょうど良い時間)
 散歩に出かける。今日は、店の並ぶ大通りまで。歩行訓練でもあり、元気だと。平気なのだと己を騙す。
 特に買い物を、するわけではなく。運動ついでに、周りを見て楽しむ……楽しんでいる、フリをする
 本当はあまり楽しくは、なくて。売り物に、あまり興味もなくて。
 何をしても、あの人のことを思い出してしまうから。己の手に伝わった、あの感触が蘇るから。
 それでも、ずっと引きこもっていたら、それこそ調子を崩してしまうし。
 少しでも、人目があった方が演技をしなければと。……落ち着いていられるのだ。

 疲れてしまったから近くの公園へ。
 ベンチに腰掛けて、ほうと景色を見る。そうしてようやく、秋色に気がつく。
 はらはらと葉が落ちる。木々から緑が消え失せる。
 そういえば周りのひとは長袖だったか。風が寒いような気がする。
(あの人を殺したのは、夏の前だったのに。それだけ、時間が経っているのに)

 わたくし――すすめない、ままだわ。

 ――ネーヴェ。

 ああ、そうだ。
 いつだって。あなたがわたくしを呼ぶ声が耳を撫でて。
 忘れることを許してくれなくて。
 そのたびに、目頭が熱くなって。
 そのたびに、鼻の奥がつんとなって。
 彼を、思うのだ。

成否

成功

状態異常

なし

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