PandoraPartyProject

シナリオ詳細

幻想、秋の収穫祭!

完了

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング


 君たちは、食に感謝しているだろうか。
 日々誰かから出される食事。或いは誰かの、己の為に作る食事。
 其れに感謝していない者は……いない、と思いたい。
 食は私たちを活かす事も、殺す事も出来る、偉大な行為だ。
 人は食によって生き、食する事で時に死に到る。
 食は切り離せない。食しなければ、人は生きてはいけない。
 故に人は、今日も食によって生き延びられる事に感謝せねばならない。

 私は一つの魔法を使った。
 其れはいつ発芽するか判らない麦のようなものだ。
 百年後? 或いは、明日にもこの魔法が効力を発揮するかもしれない。
 何故このような面倒な真似をするのかというと、特に意味はない。
 ただ、出来れば私が死して――其れから魔法が発動すればよいと思う。

 食に感謝を。

 私が生きている間は、私が言おう。
 けれども、私が死に……其れを言うものが居なくなった時……
 そのような時にこそ、この魔法は意味を持って欲しいのだ。
 戦士諸君。
 どうか、食に感謝を。
 そうでなければ――もったいないおばけが出るぞ?



「と、これが数十年前に死んだ魔術師の手記なんだけど……出ちゃったんだよね、もったいないおばけが」
 グレモリー・グレモリー(p3n000074)がちょっと困ったように眉を下げた。
「この魔術師は常に“感謝”について説いていたんだって。生きている事、特に食事に感謝しろって色んな所で言っていて、まるで聖職者みたいだって評価だったよ。そしてこの手記を残して病で死んだ。――他の魔術師は、この魔術師ならば使用できる“魔法”は規模の小さいもの、放っておいても問題のないものだと判断していたんだけど……全然違った。幻想の街の一角、貴族の住宅街で“もったいないおばけ”が確認されたんだ」
 其れは霊感が無くても見える幽霊のようなものらしい。
 本当に、見た目は御伽噺のお化けなのだという。だが、其れが生き物に取り憑くと――急激な飢餓状態へと追い込む。死にはしないとはいえ、置き土産というには少し、タチが悪い。
「だから、止めてあげて欲しい。多分魔術師も其れが願いだと思う。魔術師が仕掛けた魔法を解きながら、食するってどういう事なのか、生きるってどういう事なのか考えて欲しい、そういう事だと僕は思う。――取り敢えず、干し肉とパンは用意したから持って行って。取り憑かれても、何かを食べれば何とかなると思うからね」

 でも、僕は思うんだ。
 痛め付けて「感謝しろ」って強制するんじゃ、本当の感謝は生まれないって。

 数年ローレットで情報屋を勤め、人々を見つめ続けてきた画家は、そう、ぽつりと零すのだった。

GMコメント

 こんにちは、奇古譚です。
 当初は秋のパン祭ってタイトルでした。ギリギリ。


●目標
 1)幻想の街に出現した“もったいないおばけ”を倒せ
 2)“もったいないおばけ”が落とした食材を活用して収穫祭を開こう

●立地
 皆さんご存じ、幻想の街の一角です。
 貴族が住居を構える一角です。恐らく魔法は故意にこの場所に仕掛けられていたのでしょう。
 “もったいないおばけ”は各所に出現し、一般の人々をはらぺこにしています。

●エネミー
 もったいないおばけ(核は色々)xたくさん

 嘗て魔術師が仕掛けた魔法により現れた「捨てられた食物の恨みが見える幽霊になったもの」です。
 基本的に攻撃してきませんが、近付いて人間や動物に取り憑き、はらぺこ状態にさせます。
 ですが、元々は“食べて貰いたかった”という願いが変じたものなので、殺すまではしません。会話は出来ませんが、其の意思を汲んで倒してあげて下さい。
 ぺちっと叩けばあっという間に倒れます。倒すとあら不思議、新鮮な食材に変わります。何に変わるかはプレイング内で指定して下さい。

 はらぺこ→兎に角何か食べ物を食べなければいけないという焦燥感に駆られ、一定確率でそのターン行動不能になります

●情報精度
 このシナリオの情報精度はAです。
 想定外の事態は絶対に起こりません。


 此処まで読んで下さりありがとうございました。
 アドリブが多くなる傾向にあります。
 NGの方は明記して頂ければ、プレイング通りに描写致します。
 では、いってらっしゃい。

  • 幻想、秋の収穫祭!完了
  • GM名奇古譚
  • 種別ラリー
  • 難易度EASY
  • 冒険終了日時2022年09月18日 22時10分
  • 章数1章
  • 総採用数2人
  • 参加費50RC

第1章

第1章 第1節

ゴリョウ・クートン(p3p002081)
ディバイン・シールド


 「出張! 秋のゴリョウ亭!」

 ――と書かれた看板を掲げた屋台が、住宅街に出展されている。
 其の主は勿論、看板通りゴリョウである。
 何でこんなもの出したのかって? 理由は簡単。
 “もったいないおばけ”が出たからだ。“もったいないおばけ”が落とした食材を持ち込んでくれれば、其れを使って料理を作る、という趣旨なのである。

 食への感謝を思い知らせようとしている“もったいないおばけ”。
 けれども、食材しか落とさないというのは片手落ちだ。飢餓に任せてお腹を満たすだけの作業にしかならない。

 ――其れじゃあ、“食に感謝”とはいかねぇわな!

 という訳で、ゴリョウの出番なのである。
 お腹が減っている事すらスパイスにして、美味いもんを食べてこその人生だ。だからゴリョウは料理を作る。美味しいものをより美味しく食べてもらうために。

「さぁさ、持ってきな! あんたが感謝したくなるような、そんな一期一会の料理を作ってやらぁ!」

 まあ、味見ついでにゴリョウも食べちゃうのは……ご愛敬、という事で。

成否

成功


第1章 第2節

ノリア・ソーリア(p3p000062)
半透明の人魚


 ――感謝なんてされたって、失われた命は戻らない。

 ノリアはちょっぴり拗ねたように、そう思う。
 でも。
 どうせ命を奪われ、食糧となるのなら……せめて傷跡を残したい。
 ああ、食べたんだ。食べてしまったんだ、と思わせたい。
 其れがノリアの思う“美味しく食べて貰う”という事だった。

 この気持ちを判ってくれるのは、恐らく食べられる側であった“もったいないおばけ”達だけだろう。
 であれば……と、ノリアは勇気を振り絞って、己のつるんとした尻尾をちょっぴりだけ切り取る。
 特級天然海塩、そして彼らから取った生姜を添えれば、新鮮のれそれ小鉢の出来上がり。

「あの」
「ん?」

 そうして、ノリアは通りがかりの冒険者に言うのだ。
 これ、試食して下さいませんか……と。

 ――いとしのゴリョウさんもきっと、何処かでお料理しているかもしれないけれど……心配をかけてしまうかもしれないから、今日は敢えて別行動、ですの。

成否

成功


第1章 第3節

 人は食によって生き、食する事で時に死に到る。
 食は切り離せない。食しなければ、人は生きてはいけない。
 故に人は、今日も食によって生き延びられる事に感謝せねばならない。

 かつて魔術師はそう謳い、魔法を仕込んで世を去った。
 其の場所が最も“食の感謝から遠い”貴族の住宅街であったのは、果たして偶然だったのか。

 其れを証明できるものはもうないけれども――
 冒険者たちの奮闘により、“もったいないおばけ”は無事にただの食材となり。
 そして有志の手によって、新たな料理へと生まれ変わった。
 新たな料理は人々の飢えを癒し、そして笑顔を生み出す。

 そうしてこの一件の後、、貴族たちの間で流行った事がある。
 食事の前に一言、

「いただきます」

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