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シナリオ詳細

再現性群馬202X:頭文字L

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●再現性群馬202X:頭文字L
 説明しよう! ――リコリス・ウォルハント・ローア(p3p009236)が18歳を迎えてしまった。
 勘の鋭い者はソレが一体何を意味するのか、もう分かったかもしれない。

 そう……運転免許を取得出来る年齢である!!

「あああああ! リコリスさん、止めてください!! 前前前……あ”あ”あ”あ”あ”――!」
「うっひょ――!! いっくよ、これが慣性ドリフトだ――!!」
 練達某所の教習所にて――道を爆走しているのがリコリスだ。
 隣にいる教官は泡吹きかけてる。ギアを高速で幾度も切り替えて(意味があるのか不明)アクセル全開からギリギリの所でブレーキを踏んで車体をコントロール――もう数ミリ突っ込んでたら多分壁にぶち当たっていた領域を、しかしリコリスは恐れない。
 ていうか恐らく分かってない。彼女の運転スキルはブレーキとアクセルを踏み間違えて敵を轢き殺す程度の能力だぞ!! いえ――い!!
「ふぅ! 良い汗かいたね……! あっ、お師匠ー! ねぇねぇ今の見ててくれた!?」
「うんうん。リコリスさんは偉いね可愛いね」
「そうでしょそうでしょ! えへへ、お師匠に褒められたくて頑張ったんだ!(慣性ドリフトを)」
「うんうん。リコリスさんは偉いね可愛いね」
 そしてリコリスの強襲……間違えた。教習が終了して降りてきて、出迎えたのはリーディア・ノイ・ヴォルク(p3p008298)である――別名『リコリスさんはえらいね可愛いねbot』
 だめだこのお師匠。早くなんとかしないと……と、想いはするが。
 まぁこんな運転行って途中試験をパスする筈もないからリコリスが野に放たれる事も無い――

「わーいやったー! 一発合格だって――!! 次は実際の公道で最終テストだよ――!」

 筈が。な ぜ か リ コ リ ス に(最終試験への)合 格 判 定 が 出 た 。
 この世の終わりか? それとも『どこかで合格だした方が面白いと笑っている黒幕』でもいたのか――?
 いずれにせよ書類審査上は合格で間違いない。間違いだと言ってよ!
 ――そんなこんなでリコリスは最終審査に進む。
「お師匠―! 最終試験は夜中の山道を実際に走ってみるんだってー!」
「ほほう。きっとリコリスさんのドライビングテクニックが評価されたんだろうね」
 場所は再現性群馬の、とある山中……
 夜であるので当然真っ暗である。ライトを付けねばとても運転など出来ない――
 こんな場所で本当に最終テストが行われるのか?
 普通ならそういう疑問が湧いて然るべしだが、そこはリコリスと、ご覧の有り様のリーディアの提供でお送りしております。お察しください。
 ――かくして始まる最終試験。
 エンジン始動。ギア全開。はじめっからアクセルをベタ踏み――
 GO! と、したその時。
「待てェ――! この頭ポンコツのクソミソカスが――!! 今すぐ止まれ――!!
 其処のお花畑も思考放棄してないで止めろォ――!!」
「うんうん。リコリスさんは偉いね可愛いね」
「話聞け馬鹿共――!! 合格判定が出るのがおかしいとは思わないのか――!!」
 後方からなんか来た。それは、リコリスとは知古であるビンセントなる人物だ。
 彼は黒塗りのバイクに跨り、高速でリコリス車を追いかけている……同時に紡ぐ言葉は『そもそも全部おかしいだろ』という内容であった。免許の為の審査員はいないし、こんな暗闇の山道が最終テストなんてありえないだろう、と――
 しかし当のリコリスは慣性ドリフトと溝攻めにノリノリ。
 話が聞こえてるのかも定かではない! あぁビンセントの胃が痛んでいれ、ば。

「ヒャッハ~~! 獲物だ獲物だ~~~!!」
「ぶっ殺して仲間に引きずり込んでやるぜ~~~!!」

 更に追加で後方から何かが追いかけてきている――!
 それはバイクや車に乗った者達だ、が。気配が通常の人間のソレではない。
 ――夜妖か? もっと単純には幽霊か何かの類であろうと推察できる。
 この山で事故った魂が地縛霊として蔓延り、襲い掛かってきているのか……
 それも知っていてビンセントは止めにきたのかもしれない――が。
「くぅらええええー! 必殺のブラインド・アタックだ――!!」
「なっ! ライトを消すだと――こいつ正気か!!?」
 リ コ リ ス は 未 だ ノ リ ノ リ で あ っ た 。
 説明しよう! ブラインド・アタックとは真夜中にレースしている時に、自分の車のライトを消す必殺技だぞ! 真っ暗闇の中でライト消したらガチで見えなくなるので、対戦相手の動揺を誘えたりする可能性があるんだ! なおリコリスは別に何か考えている訳じゃなくて語呂の格好良さだけで使っているぞ! 皆は真夜中の公道とかで絶ッッッ対に真似しない様に気を付けようね!
 ――何はともあれリコリスの免許取得を邪魔する輩がいるのであれば容赦は出来ない。
「リコリスさんの大事な一日なんだ――邪魔しないで頂こうか」
「いや邪魔しろよお花畑ッ! こいつがこのまま免許取っていいと思ってるのか!」
「リコリスさんは偉くて可愛いから何も問題ない……!」
 リーディアは構える。こちらを追いかけてくる幽霊共を追い払う為に、銃を。
 真夜中の公道で、壮絶なレースと攻防が繰り広げられようと――していた。

GMコメント

 お待たせしました! リクエスト有難うございます!!!
 以下詳細か分からない詳細です!!

●依頼達成条件!
 免許取得を妨害しようとする幽霊共をぶちのめしましょう!

●フィールド
 練達に存在する、真夜中の山道です――『春奈山』と言うとか。
 一般人の類はいませんので気にせずドライブ出来ますね!
 灯りはありませんが、車のライトなどがあれば大丈夫でしょう。多分。

 山道は曲がりくねっていたりします。
 だからこそバイクや車の運転技術に優れる様な技能を宿していると、有利でしょう。

●幽霊が運転する車×6台
 なんかかつて無茶な運転で事故をしてしまった者達の幽体の様です。
 同じく仲間を増やさんとリスリス車に襲撃を仕掛けてきました。銃撃とかかましてきますが、こっちも思いっきり反撃してやりましょう。これが最近の運転免許最終試練だ――!!

●車orバイク
 皆さんは教習所より何故か車かバイクが貸し出されますので、それに騎乗(?)可能です。
 車の後部座席やバイクに同乗してもいいですので、必ず運転しなくてはならない訳ではありません。あ、でもリコリスさんは運転してください。自慢のドライビングテクニックが火を吹くと思うので。
 ご自身でなんらか類するアイテムを持ち込んでもOKです!

 リコリスさんやリーディアさん以外の方も免許取得最終試験に訪れたのかもしれませんし、或いは走り屋として偶然出会っちまったのかもしれませんね……理由はともあれ一緒に走りましょう。この山で……!

●ビンセント(味方?NPC)
 リコリスさんの知り合いです。あのバカ犬に運転免許が与えられてしまう(しかも何故か最終試験まで合格続き)と聞いて「これはおかしい。世も末か?」と超速で駆けつけてきました。リコリスさんを止めようとしますが、幽霊戦では多分味方してくれます。多分。

●不定の男
 リコリスさんの免許試験を面白がって、裏で色々動いて……いやもうドストレートに言うとリコリスさんに合格判定が出たのは彼の工作です。ついでに言うと幽霊たちがタイミングよく出てきたのも奴の仕業です。この野郎!!!!!!
 多分どこかで滅茶滅茶面白がりながら観察してます。リプレイに出るかは不明です。

●情報精度
 このシナリオの情報精度はLです。
 全ての情報はリコリスさんに聞いて下さい! よろしくお願いします!

  • 再現性群馬202X:頭文字L完了
  • GM名茶零四
  • 種別リクエスト
  • 難易度-
  • 冒険終了日時2022年09月30日 22時25分
  • 参加人数8/8人
  • 相談8日
  • 参加費150RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

紫電・弍式・アレンツァー(p3p005453)
真打
リーディア・ノイ・ヴォルク(p3p008298)
氷の狼
※参加確定済み※
マッダラー=マッド=マッダラー(p3p008376)
涙を知る泥人形
観音打 至東(p3p008495)
リコリス・ウォルハント・ローア(p3p009236)
花でいっぱいの
※参加確定済み※
ノア=サス=ネクリム(p3p009625)
春色の砲撃
シャーラッシュ=ホー(p3p009832)
納骨堂の神
フロイント ハイン(p3p010570)
謳う死神

リプレイ


 やぁ、オレは『トライクの免許は異世界で取った』紫電・弍式・アレンツァー(p3p005453)。アンバーから「共同製作したこの子のテスト走行を群馬でお願いするっス!」と個人的なお願いを受けてここ、夜の春奈山へとやってきた。なのに……なんで……
「……現地に暴走する車がいて、その運転席にリコリスが乗ってるんだ!?
 嘘だろオイ……え? なに? 18歳だから免許取る? ……マジで言ってるん?」
「マジもマジだよあおーんおんおんおんあおーんぶおんぶおんぶおん!!
 いっくよお師匠――! 僕のドライビングスイミングテクニック見せてあげる!」
「ははは。リコリスさんは偉いね可愛いなぁ」
「頼むからお前ら一回頭ぶつけてくれ。豆腐でいいから」
 駄目だこの師弟――早く何とかしないと――
 紫電の眼差しの先には、もう絶好調な様子で運転席に座っている『お師匠が良い』リコリス・ウォルハント・ローア(p3p009236)と、そんな彼女を甘やかし続ける『赤頭巾の為に』リーディア・ノイ・ヴォルク(p3p008298)がいた。
 そんな二人を見据えながらバイクを駆って追跡していくビンセントの顔はげんなりしている――どうしたのビンセントおにーさん? 何か嫌な事でもあったの? とリコリスは純粋な瞳を向けてくるなぁ。お前じゃい。
 ――春奈の山に遠吠え響く。
 そう書けばなんかカッコイイ感じに聞こえない事もないけど、実際はリコリスとかいうわんこの暴走が行われているだけである! 見ろよ、あのいつもの( ‘ᾥ’ )顔! もうキメてやがるぜ! 喉の奥からエンジン音染みた遠吠えが響き渡る――!
 ――が。まこと残念な事に頭ぶっ飛んでるのは頭文字Lだけではなかったのである。
 リコリスが運転する(暴走)車の後方には――なんかやたら目立つ黒塗りの車――
 いや違うアレは……霊柩車!!?

「……ふむ。運転免許取得のために教習所に通っていましたが、最終試験でとんだ災難に巻き込まれてしまいました。まぁこれもまた、一つのご縁ですか――やむを得ません。速やかに幽霊達を殲滅し、合格判定の判子を押していただきましょう。えぇ。三途の果てまでお送りする方々が多すぎるので」

 それは『納骨堂の神』シャーラッシュ=ホー(p3p009832)が運転する霊柩車であった――! しかも派手な装飾付きたる宮型霊柩車だ! なんで、どうして!? どうして運転免許最終試験が霊柩車なの!!? なんの疑問もなかったのかホー! え、マニュアルはちゃんと読んできたからご心配なく……? 違うよそういう事じゃないよ!!
 ともあれマジである。霊柩車(MT仕様)が――春奈の山をドリフトしてる!
 霊柩車が溝走りしてやがる……これは夢か? そう思って目を擦りたくなる、が。
 そうはいかない。なぜならば……今宵はHARUNA frightening night……
 特別な夜なのだ。一人のwarriorが産声を上げる夜だと……
 『刹那一願』観音打 至東(p3p008495)は知っている。
「……祝福しましょう。今日と言う日を。さぁ……私の前だけは走らせないから、そのつもりでね」
 ギアチェンジ。今回はただの走り屋として、テールランプのレッドカーペットを引きに来たのだ――見せてあげましょう。スポーツタイプのミニツーシーターを駆りて、彼女は往く。まるで手慣れた道であるかのように。
 疾走する影は美しく春奈の山にライトの灯りを刻むのだ――まぁ此処までの登場人物誰一人法定速度なんて護ってないんですけどね!

『メタル・カオス・ワイバーン、バイクモードに移行します』

 そしてまた一人。法定速度なんてブッチ切る存在なのは――『メタルカオス・ライダー』ノア=サス=ネクリム(p3p009625)だ。機械仕掛けのワイバーンが駆動音を響かせ、その身を変じさせる。変形機構搭載型・亜竜機体。果てに至るはバイクが化身かッ――! 男の子の夢!
『コードネーム、メタル・カオス・アクセル変形完了致しました』
「よし――飛ばすわよ。まずはともかく目の前の幽霊共、ね……」
 まぁ乗ってるのは女性なんですが! ノアはヘッドライトで夜道を照らしながら、夜道の風を切り裂く様に――往く! 何はともあれ、付いてくる幽霊共を殲滅しなければリコリスちゃんの運転免許がままならないのだと――!
「ふっ……成程。教習に強襲という凶行を暴走する闘争と呼ぶのなら。
 それに応じた礼儀もあって然るべし――いいだろう」
 と、その時。まーた何か変な言を述べる輩が一人増えたと思ったら『死と泥の果より』マッダラー=マッド=マッダラー(p3p008376)ですよ! なぁに? 互いに掲げた|誇り《pride》に|跨り《ride》して、Do Liveとしゃれこもうって――? やかましいわ! ていうか君達ルビはらめぇ! リプレイには使えないの! 面白いからそのまま載せよ!

 ――この日の為に『一番いい車』を頼んできました――!

 更に。刹那に駆けてゆくのは『友人/死神』フロイント ハイン(p3p010570)の乗車する車である――が。な、なんだアレは!!? 凄まじいスピードで駆け抜けていったぞ!!
 それもそのはず。ハインの人脈(知らない練達の人)が『そんな車で大丈夫か?』と尋ねてきて、最高の走力を持った車を用意してくれたのだから――何言ってるか分かんないと思うが、全部事実なんだ。受け入れるんだ。ただ、まぁ。ハインにとっても誤算だったのは。

「UNAUFHALTBARER ANSTURM!(意訳:止まんねええええええ!)」

 後日、ハインは語ってくれた――まさか善良な(知らない)人が用意してくれたソレが、アクセルを踏んで二秒で超速に達するモンスターマシンだとは思いませんでした、と。


 ぶっ飛ばす。皆してぶっ飛ばしていく。ブレーキ? なにそれ美味しいの?
 ともすれば追いかけてくるヤンキー幽霊共を置いていかんばかりに――
「……と、言う訳にも行きませんか。流石に彼らも追いすがってくるようです――
 ならば、此方も相応の対応をするべきでしょう」
 が。バックミラーで彼らの姿を確認したのはホーである。
 シートベルト着用。しっかりと締めるその姿、正にお手本の様である……暗闇満ちる道先へ、ライトをハイビーム。更に自らも発光して煌めけば――光り輝く霊柩車『天国直通便』の完成である。わぁ。光り輝いて無敵感のあるBGMもなんだか幻聴で聞こえてくる気がするぞ~!
 そして再度アクセル全開。幸いにしてこの時間に春奈山に一般人はいないのだ――故にこそフルスピードで参りましょう。今こそ霊柩車のスペックをフル発揮する機会です。巧みにハンドルを切りつつ、曲がりくねった道でドリフト(霊柩車で)かましながら、連中に横付けしてやる――!
「では、ごきげんよう。ふむ、こうでしょうかね」
「ヒ、ヒャッハ――!?」
 直後に放つのは死者を正しき地へと葬る術式だ――正に天上からの迎えが如く。
 もののついでに霊柩車の重心を利用して後方をブチ当て一気に幽霊車の態勢を崩してやろうか。ははは――私が一ヶ月真面目に教習所に通った成果が発揮できましたね。うんうん。
「UNBEUGSAMER WILLE! Fuuuuu!(意訳:俺は止まらねえからよ……!)」
 同時。ハインの駆る『ガーベラ』と名付けられた車は疾走――いや爆走する。
 春奈の道を。タイヤのゴムが焼ける音を周囲に撒き散らし限界を乗り越えながら! 喰らい付いてこれるか幽霊共――生前のお前達が乗り越せなかった世界に――! まぁハインもこの領域の速度はコレが初めてなんですけどね!
「NAMUAMI・DABU・THU!(意訳:地獄に落ちな!)」
 同時。ハインは鎌を振るいてヤンキー共を襲撃。その歩みを淀ませる一撃をもってして――レースそのものの敗北感すら与えんとしているのだ――!
「ていうかマジで思うんだけど誰だよ暴走名古屋走りわんこ《リコリス》に合格出したの!? 性格的に暴走するのわかってたろうに誰が止めなかったのか!? しかもなんでこんな薄暗いをブチ超えてるこんな時間に試験するんだよ!!」
「ふむ……確かに。リコリスさんの栄えある最終試験だというのに、観客はおろか試験監督すらいないのは妙極まるな……彼女の雄姿は万人の瞳に焼き刻まれて然るべきだというのに……解せん」
「アッダメだ。これLycorisちゃん全肯定botになってる。もうこうなったらどうしようもねえわ」
 そしてこっちはこっちで駄目だ、相変わらずリーディアには話が通じない! 本日のツッコミ役の紫電さんが過労死しちゃうよぉ! でもだからと言って嘆いていても状況は改善しないので……
「オレ達でどうにかするしかない……
 行こうヴィルキュラス、不本意だが、これがお前の初陣だ!
 春奈の山に、お前の名前を刻んでやれッ――!」
 やむなく彼女はV.I.L.Q.L.A.S.を駆りて往く。
 暴走するリコリディの前へ往き、事故らせぬ為に先導車として動くのだ――勿論お師匠に健気な瞳を向けている彼女が、紫電を瞳に捉える所かそもそも前向いて運転してるかも定かではないが――そこまで気を回すと紫電の負担が重すぎるので考えない事にしよう! 同時に、妨害してくる幽霊を全霊もってして切りつけれ、ば。
「リコリスさん、もう少し右にハンドルを入れてくれ。ああ、いい子だ。
 これほど精度の高い運転が出来るなんて、もう立派な一人の走り屋だね」
「すごいや……ボク、隣にお師匠が居てくれているだけでなんでも出来ちゃいそうだよ……最高の気分だよお師匠! 今ならボク、空だって飛べちゃいそう!! びゅ~~~ん! まくるぞ〜っ!」
 ハハッ。リコリスは( ‘ᾥ’ )でもやってるのかな? 彼女は只管にアクセルべた踏みして更に加速し、更にリーディアは紫電の斬り捨てた幽霊へと追撃の一手を仕掛けるものである。運転手の頭を狙ってワン・ショット。このお師匠、攻撃してる時はカッコいいな……
 ともあれリコリスの辞書に( ‘ᾥ’ )の文字は在ってもブレーキの文字はない――! 故に。
「待ちやがれヒャッハー! 此処は俺らの山だぞ~!」
「もー! 折角のボクの免許取得を兼ねたお師匠とのドライブデートを邪魔するだなんて、人として終わってるね! え? アレは幽霊? 既に人生が終了済み? ――ならボクがここできっちり地獄に送ってあげるっ!! お駄賃三銭置いてってね――!!」
 邪魔してくる馬鹿共(幽霊車)を煽り散らす運転しながら、インコース目一杯にハンドルを切る。舗装されたアスファルトだけが道だなんて、誰が言ったの?
「山肌の崖だって――立派な道だよ!!」
「ヒャッハ~! 俺達が言うのも何だが――頭おかしいんじゃねぇの!!?」
「失礼な。こんなリコリスさんに対し、そんな言動を紡ぐとは……見逃せん。さすがにライフルじゃミラー越しにはキツイが……まあ体を乗り出したら同じかな。仕留める事さえ出来れば、なんでも同じだろう――氷の狼の遠吠えを聞くといい」
 そのまま山肌走りだ――! 思わず幽霊がツッコミ入れるものだが、不遜すぎる輩だったのでリーディアがヘッドショットキルしました。このお師匠……リコリスに甘すぎるッ!
「ふふ。流石ねリコリスさん。でも――前は譲らないわよ」
 が。至東も続くものである――何の躊躇もなく至東は自らこそが前であると、初の春奈山の道(※山肌)へとアクセル踏み込む。彼女の車に同乗者はいない……デッドウェイトの無い、究極の状態に余剰はいらないのだ。
 そしてこれまでに走り込んだYOKOHAMAのカーブが、HAKONEの峠が、WAN-GANのストレートが彼女に最適解を囁いてくれるのだ――何を恐れよう事があろうか。
 再び車道へと至れば慣性ドリフト全開。
 車体が導かれてゆくと同時にwindowを開けば身を乗り出しGhost Carへと一撃一閃。されば連中の車体が大きく爆散し――そのまま至東はwindow closeして直線ルートへと入っていくものだ。そう、まるで何事も無かったかのように。
「あら度胸試し? なら、私達も負けてられないわね。ねぇ――そこの幽霊さん? あの急カーブまでの直線をお互い全力で飛ばして、先にハンドルを切った方が負けよ。いいわよね? わかりやすいでしょ? そ・れ・に……貴方が勝ったら貴方の車で一緒に相乗りしてあげるわ♡ 幽霊と相乗りなんて、貴重な体験だし?」
「ひゃっは~! 良いだろう面白いぜ~! 二言はねぇだろうな~~!」
 更にはノアもウィンク一つ。幽霊たちを引き付け、始まるは――チキンレース!
 報酬は自らの身であると……燃え盛るは死者の魂か、それとも強欲たる業か。
 しかし。
「魔砲ブースト、点火!」
「なッ――こ、こいつ本気かよぉ~!?」
 直後に紡がれるはノアの秘策。あぁ負けるつもりなど毛頭あろうか!
 魔砲の一閃を後方へと薙ぎ、その反動で加速しながらカーブへと往く――!
 曲がる。曲がるのだ。ガードレールギリギリまで突き進め。
 臆す事こそ敗北の証左。故に、彼女は死線を見極め――亜竜を即座に飛翔形態へ!

「――飛べない車に乗ってるのなら夜道は安全運転に限るわ」

 覚えておくことね。もしも来世があるのなら、と。
 曲がり切れずガードレールに果てていく幽霊たちへと――視線紡ぐものだ。
「男の魂たるバイクの扱いを仕損じるとは……
 どうやら彼らは不運《ハードラック》と|踊る《ダンス》っちまった様だな」
 さすればマッダラーは――幽霊よりも命知らずな泥人形の走法は――超常の領域に到達している。ぶっ飛ばす、と思った時には既に行動しているのである。泥だけに|狂気全開《マッドマックス》! アクセルは最初からフルスロットル! 安全第一にかっとばす。アクセル全開 か っ と ば す !!
 そして仕掛けるはout.in.outのタイミング……相手車に|乗り込む《in》んだ。
「な――なにしやがるこの野郎!!?」
「ふっ。もう手遅れだ……
 『待』っていたぞ、この瞬間(とき)をな……さぁ導きの儘に進むといい」
 ゴースト・ドライブ。いやゴースト『に』ドライブが正確だろうか。
 こんな無茶な乗り方、一歩間違えれば幽霊車の操縦を奪えずマッダラーも爆散していたかもしれない――しかしマッダラーは確かに感じていた――そう。ニチアサの主役の力を、だ。
 この感覚が続いている限りマッダラーに爆散の未来は無いッ!
 幽霊ヤンキーを殴りつけ車の制御を奪い取らんとすれば、他の幽霊車に突っ込ませて進ぜよう。突貫しうる勢いの儘に、行っけー!
「うわああああ!」
「オイ! 良いのかこの倒し方! ていうかお前らマジ……マジ無茶苦茶な運転しかしねぇ連中ばっかりじゃねぇか! イレギュラーズって大丈夫か色々と!!?」
「……おや、なんだいビンセント君。
 お前らに倫理観はないのか、とでも? ふふ、おかしな事を言うね」
 と。斯様に幽霊共をハジキ飛ばしていけば思わずビンセントもツッコミ入れるものである――が。リコリスの運転を誉め続けるリーディアは微笑みながら彼へと言を紡ぐものだ。

 ――人殺しに(われら)に倫理を求める方がおかしいだろう?
 ――いや俺そんな人に宿りし業的な壮大な話、してねぇんだけどぉぉぉ!?

 駄目であるこのbot、倫理観は明後日の方向に自分で吹っ飛ばしやがったな!!?
 混乱するビンセント。でもとりあえず生き残りの幽霊が襲い掛かって来たので、諸々の怒りやらなんやら複雑な感情を拳で叩きつけてやりました。てへ。
 ともあれレースは遂に終盤へと向かう。
 リコリスとマッダラーは暴走。ノアは飛翔形態で空中へと馳せながら、幽霊が運転する来る前の上に荒々しく着地し――そのまま魔砲で吹っ飛ばしてやろうか。光の果てへと導いてやれば駄目押しとばかりに煌めくホーの霊柩車が追突一閃。重量で押しつぶす!
「やはり霊柩車は輿分の重量が至高ですね――全部押し返せます。流石と言うべきでしょうか。霊柩車はこのような事態を想定してこのような造りになっているのでしょうかね……」
 ホーにとっての宮型霊柩車とはなんなのだろうか。ともあれ斯様な様子をリーディアがライフル越しに見据えれば、最早敵影が全て潰えたのを確認。邪魔立てする幽霊共は全て吹き飛ばして――彼らは見事、秋奈の山を制したのであった。
 …………さて。でもどうしようねこの騒ぎ。
 なんか秋奈の山のあちこちで爆散した被害があるんだけど。
「イレギュラーズのみんな安心して! 損害賠償とかもみ消しとかそういう面倒な後処理はビンセントおにーさんが全部やってくれるって! だからもう一走り行こうよ! 次はさー秋奈……ぎゃんっ!」
 ( ;ᾥ; )ビンセントおにーさんに拳骨された~! ぴええ~~~!
 泣くリコリス。どうして? どうしてあんなにキル数を稼いだのに――え? 免許ってキル数が多いほど得点が高くなるとかじゃないの? ――お前、運転免許をFPSゲームの成績表かなにかと勘違いしてる?
 何はともあれ。これで運転免許は(多分)発行される事であろう。
 ……その業務処理上の手続きには。今、リコリス車のトランクに、紫電によって詰め込まれているニヤニヤ顔たる『謎の男』が関わっているかは――さておいて。

「UNAUFHALTSAME GEWALT!
(意訳:お前らも、止まるんじゃねえぞ……! これからが、俺達の道だぜっ!!)」

 直後にはハインが全霊の走行にて街の方へと繰り出していく。
 ――ガーベラの花言葉は『希望』
 希望の花が、夜の街を疾走する。地上の星々たりうる街へとハインは駆けるのだ。
 車は急には止まれない――あっ。なんかに衝突する様な音が、街の方から響き渡った気がした。

成否

成功

MVP

シャーラッシュ=ホー(p3p009832)
納骨堂の神

状態異常

なし

あとがき

 ぶぉーんぶおんぶおんぶぉぉぉぉん!!
 春奈の山に新たな歴史が、また一ページ……!!

 ありがとうございました!!

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