PandoraPartyProject

シナリオ詳細

<Bloom*Bloom>花火、咲いて

完了

参加者 : 4 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング


「ねぇ、カナタ」
「はい、なんでしょう」
「あなた、花火って知ってる?」
「まぁ……人間の世界にあるものですからね」
 妖精界、王城。ごろごろとソファに寝転がりながら本を読んでいた妖精女王フローラは、彼女を護る魔法使いで騎士のカナタへと声をかける。
 人間の世界と妖精の世界が鏡合わせにできたこの世界は、妖精たちと人間たちが手を取り助け合うように暮らしているが、本質的なところの原理は同じようで違う。
 妖精たちの国には花が満ちている。花からとれるものが生活の基盤になっていたり食事に使われていたりすることもある。
 最近の依頼であるならば夢を見せてくれる花を茶葉にした紅茶。あれも妖精たちの世界に咲いた花を人間が加工したものだ。
 フローラは花の妖精である。春の花の妖精であるために今の時期の花は詳しくないだろうが、それでも女王だ。知識をつけたのだろう、カナタに笑ってみせた。
「海の中にね、花火になる花があるみたいなの」
「……というと?」
 水中に、火。
 なんとも対極的な組み合わせではあるが、しかし。
「泡に花びらが包まれているんだって。それを壊れないようにあつめて、花びらをとって掲げるの。そうすると花火になるんだって!」
「へぇ。相変わらず妖精の国には不思議なものがあるんですね」
「私達からしたら貴方達の世界のほうが不思議だけどね。それで、この花を今度のお祭りに使いたいなって思うの。採集にいかない?」
「……まぁ、良いかと思います」
「ふふ、ありがとう!」
 海に咲く花火の花。花びらをとれば海底でも花開くのだという。
 予算案がびっしり書かれた紙を裏紙にフローラが絵に書いた。
「こんなかんじ!」
「……それ、大事な紙なんですけど」
「え? まぁそんな日もあるわよ!」


「ってことで、皆に依頼を持ってきたよ」
 境界案内人でありフローラの護衛であるカナタ。彼は今日もまた依頼を持ってきた。
「今回の依頼は海底に咲く花火の原料となる花を摘みに行く感じだね。海藻とは違って本当に花らしいけど、受粉とかはどうなっているんだろうね」
 まぁ細かいことを気にしていては仕方ない。咳払いをひとつして、カナタは続ける。
「でね、その花なんだけど。花びらを海の中でとってしまえば海の中でも花火が見れるらしいんだ」
 まったくどうなっているのやら。妖精の世界はなんでもありだ、とつけたして。
「折角出し皆も行ってみない? 俺も気になってるんだよね、今回は」
 胃薬もいらなさそうな楽しめそうな依頼なんだと苦笑しつつ笑って。
 カナタは貴方達を海へと誘ったのだった。

NMコメント

 染です。
 花火、最近見てません。

●依頼内容
 花火華の採集

 中央部分がマナのかたまりとなっており、花びらをとることで花火のような光を放つことから花火華と呼ばれているそうです。
 海底にのみ咲いており、これをフローラは次のお祭りに使いたいようです。
 生態系を荒らさない程度に摘み、種をみつけたら持ち帰りましょう。

 花の色は様々で、花びらの色で花火の色が決まるようです。
 気になった人は花火華を開いてみるのも良いかもしれません。

●世界観
 魔法世界『ブルーム・ブルーム』。
 花と魔法で満ちた世界。魔法で文明が築かれています。
 基本的には物理攻撃よりも神秘攻撃がメインの世界です。
 また、ファンタジーな世界ですので、妖精やドラゴンなど、ありえない生物がいます。

●フルールについて
 フルールとは、花冠師のこと。
 魔法や魔術を使う人々のことを指し、この世界に住まう人々の半分は花冠師です。
 現地の人々はもちろん、異世界から来た人がフルールと呼ばれる場合もあります。
 また、フルールにはギルドがあり、各々所属している団体があるようです。

●NPC
・フローラ(ティターニア)
 妖精女王、花の妖精。若草色の髪が特徴で、桜色の髪留めが宝物。
 エルフのような長耳と少女のような凹凸の少ない身体。性格はお茶目でお転婆、然しながら王としての自覚も芽生えつつあります。
 水着です。

・カナタ
 花冠師ギルド『Flowers Flag』のギルドマスター。
 トップクラスの実力を持つ温厚な青年です。
 剣術を得意とし、フローラ達の護衛として腕を買われています。
 呼ばれたら出てきます。
 海の中をすいすい泳いでいます。

 以上、ご参加をお待ちしております。

  • <Bloom*Bloom>花火、咲いて完了
  • NM名
  • 種別ライブノベル
  • 難易度-
  • 冒険終了日時2022年09月11日 22時05分
  • 参加人数4/4人
  • 相談4日
  • 参加費100RC

参加者 : 4 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(4人)

ヨタカ・アストラルノヴァ(p3p000155)
楔断ちし者
ツリー・ロド(p3p000319)
ロストプライド
武器商人(p3p001107)
闇之雲
回言 世界(p3p007315)
狂言回し

リプレイ


「悪いな。俺はもう今年は別の所で花火をやっちまったから正直そこまで乗り気じゃないんだ。集めさせるんなら他の奴等をあたってくれ」
「じゃあなんでここまで来たんだよ」
「え? じゃあなんで来たのかって? そりゃもう海と言ったらこの時期は水着美女がセットだろ」
 くいと眼鏡を押し上げてほくそ笑むは『貧乏籤』回言 世界(p3p007315)。
「まあ妖精にそうそうナイスバディなねーちゃんがいるとは思わんが……」
「……世界? どうしたの?」←何も知らない一般通過フローラ
「ああいや、こっちの話だ。成長に期待してる。とはいえ一緒に来たイレギュラーズに1人くらいは美女が……ああ、そいういえばこの世界の常連はだいたい性別不明だったな」
「……」
「じゃあせめて人間の世界からなんかいい感じの女性とか連れてこれない? ギルマスなら人脈も広いし余裕だろ? ほらちゃんと俺も花火華の採集頑張るからさ」
「キレそう」←混沌芸
「まぁ流石にカナタに期待した俺が馬鹿だったか。すまんすまん」
「合コンをしに来たんじゃないだろ!!」
 カナタがキレるのをやれやれと肩をすくめながら海につかっていく。流石につるぺた女王はかわいくは見えないのだ。残念。
 ぶつぶつ現状に関する不満を述べながらその辺に咲いた花火華とやらを集めていく。
「……ところで、女王様は花火を知ってるなら人間世界からそれを取り寄せるだけでよかったんじゃないか? そしたらわざわざこんな苦労をしなくても済んだような」
「あら、貿易は難しいのよ世界。私だけに益があったってしかたないでしょう? それなら此方の世界で仕えるものを探し出すのも、国王たる勤めなのよ」
「へぇ。案外しっかり女王してるじゃないか」
「ふふ、でしょう!」
 なんてことない会話。なんてことない作業。
 それにしたって世界が彼等にとって良き友人であることに変わりはない。ぶつくさぼやきながらもなんだかんだしっかり作業をする世界にカナタは肩をすくめて笑って。
「そういえばカナタ」
「ん?」
「花の色で花火の色が変わるらしいが、形で花火の種類が変わったりもしないのか?」
「ああ、確かに。俺も知らないんだよな……」
「線香花火とかあれば面白そうだし、空いた時間で試してみようぜ。俺、花を細長くする」
「じゃあ俺は四角にしてみるかな……」
 二人のちょっとした好奇心はまだまだ終わることはなさそうで。


「海の花火の採集承った、フローラ様、また比較用に普通の花火もご用意しました、数も用意しましたので、必要ならお祭りに使用くださいませ、勿論花火は防水対策しておりますのでご安心ください」
「へぇ、凄いのね!」
「他にもご要望があれば言ってください、クラフトは勿論の事、鑑定、交渉、教導…後期間限定で誘惑、調香が使えます。今は大抵の事が出来ますのでフローラ様のお望みのままに…」
「なんでもできちゃうのね! じゃあ後でなにかおねだりしちゃいましょ、ふふ!」
 フローラの一歩後ろを泳ぐ『カースド妖精鎌』サイズ(p3p000319)はうなずいた。
(祭りの予算案とかの祭りの雑務処理もしておいた。なに俺も修理専門だが、商業知識ある商売妖精だでよかった。最適化や不具合発見を海底に行く前にダブルワークでサッと済ませておいてよかった……俺がいる時くらいはフローラ様の苦手な仕事は減らしとかないとね…仕事で共にいる時間が減るのはもったいないですし)
 フローラ以上に働き者なサイズはこれでもかとフローラを甘やかす。おかげで今フローラは手放しで海を楽しめているのだけれど。
 一生懸命準備して鍛錬した技術を使い手早く花火華を採取していくサイズ。勿論、生態系を崩さないように。
「…まあ、ただ採取だけだとすぐに終わるな…かといって採取した花を使うのはダメだな…祭りで使う用だし」
「サイズ、もう暇になっちゃったかしら。まぁ何も持ってきてないから、仕方ないかしら。もう少し深くまで行ってみる?」
 うーんと考えるサイズを不安げに見守るフローラ。
(後は…調香で空気に香り付けして楽しむとか?空気のバリア内だと香りが逃げなくて、調香の効果を楽しむのに丁度いいかもな、色んな種類の香りを作った瓶を用意するか…勿論リセット用の香りも忘れないようにしたら……いけるかな)
 うん、とうなずいたサイズ。
「すみませんフローラ様。少しだけ空気で試したいことがあるので、近付いて頂いても?」
「サイズが試したいならきっと楽しいことよね。勿論!」
 ふんわりと近寄ったフローラの空気に花の香をつける。
「わ、陸でしかしないはずなのに花の匂いがするわ!」
「はい……においを調香して海中でも楽しめるようにしてみました。こうすれば海の中でも色んな匂いが楽しめるかと思って」
「素敵な技術ね。これがあれば風の匂いも感じられるもの。ありがと、サイズ!」
「満足して頂けて何よりです、フローラ様」


 依頼を聞いただけでうっとりしてしまいそうだった。ぽやぽやと表情を緩ませるのは『楔断ちし者』ヨタカ・アストラルノヴァ(p3p000155)。
「海の中で大輪を咲かせると言う花火華……なんて美しくロマンチックなのだろう……」
「花火の華とは風情があっていいし、海底に咲く花はさぞかし綺麗だろうねぇ。何より、そんな光景を小鳥と一緒に拝めるのが最高だね」
 そんなヨタカの頬を撫でる『闇之雲』武器商人(p3p001107)。手を繋ぎ、指を絡め、キスを落とし。水の中ですらも二人は分かたれることはない。
 揃いのアオザイ、ひらりと揺れる裾はまるで人魚のよう。もっとも、恋をしたって愛し合ったって悲劇にはならないのだけれど。
 水中で動くのは得意じゃない。ヨタカが言わずとも武器商人は知っている。だから手をつなぐ。それだけで、二人はひとつのように進むことが出来る。
「……紫月、これは」
「ふふ、おまえが喜ぶことならこれくらいはね」
 きらりと輝く紫陽花のブレスレットは水中をも自由にかける翼を与えるようで。けれど、ブレスレットにご執心ではきっと隣の愛しい人は拗ねてしまう。華奢な指先から伝わる魔力に目を細めた。
 溺れないように。怖がらないように。それから、もっといろいろなものを見られるように。水中を降りるときに掌を差し出してくれた武器商人の優しさを思い出す。……好きだなぁ、なんて、言わずもがな。ますます恋に落ちていく。
 これじゃあ不安だと用意しておいたブレスレットもいらなかったかもしれない、なんて。
「一等お似合いだよ。紫陽花は我(アタシ)も好きな花だからね」
「本当……? なら、よかった」
 ヨタカの髪を撫でる武器商人。くすぐったそうにヨタカは目を細めた。
(…暫くは、水中での二人の時間を見守ってくれよ…?)
 感謝を伝えながらもそっと撫でてやればきらりと瞬き。まるで呼応するようにブレスレットはヨタカの腕で輝いた。
「小鳥、ほら。あそこで綺麗な色の魚が泳いでるよ」
「わ、ほんとだ……あれは、この世界だけの、魚?」
「ふふ、どうだろうね。後で女王様に聞いてみても良いかもしれない……うんと楽しんだあとで、ね」
「うん。まだしばらくは、いいかな」

 ――早めに見つかっても良いのだけれど…その、紫月と長く一緒にいたいから…敢えてゆっくり探そうかな……?

 ヨタカのひそかな企みに気付かぬ筈もなく。絡み合った指先、武器商人が指し示す方角は群生地を遠回りする方向。
「ね。小鳥、こっちだろう?」
 にぃ、と笑った武器商人が指差したのは、二人でみた地図とはまったく真逆の反対方向。
 だけれども、デートをするならそれくらいの長さが良い。早く終わってしまうのは面白くないし、それに、ちょっと遠回りをしたって怒られないだろうから。
「……ふふ。うん、そうだね、紫月」
 だってそう、時間は沢山残されているのだから。
 魚を見て、水面を照らすひかりを見て。海の中でくるくると踊ってみたり、魚たちの後を追いかけてみたり。それだけでも随分と楽しいのだけれど。
「わぁ……紫月……!」
「うん。綺麗だね、小鳥」
 混沌には咲かない花。それが海の中で、風もないのに揺れている。
 幻想的な光景に瞳を輝かせるヨタカ。それをみて武器商人も笑みを浮かべる。嗚呼、愛しい。
「紫月っ、もっとあっちまで見てみよう…?」
「勿論。一緒に見て、それから詰んでみよう」
 様々な色があるけれど。やっぱり愛しい人の色だけはなお一層目を引いてしまうものだ。気がつけば掌の中には互いの色の花が多くなっていたことに気づく。……嗚呼、染められているなぁ、なんて、笑ってしまう。
「赤と黄色の花も綺麗だこと。お前の瞳と一緒だね」
「俺は……紫の花が好き。紫月の色だから」
 花びらをふぅ、と海中に泳がせれば、くるくると揺れながら火花を散らす。けして大きくはないけれど、誰かを傷付けることもない優しい光。
「わ、わ、凄い…! 海の中で見る花火…綺麗だねぇ…」
「うん、とっても。こんなものがあるとはねぇ」
「ラスにも見せてあげたかったなぁ…」
「本当に。あの子へのお土産に、花火華の種を少し持って帰れないか後で女王様に相談してみようかなァ」
 勿論断られるはずもなく、むしろ素敵だとはしゃいだフローラに沢山持たされたのは二時間後の話。
 風もなく音もない。ただ愛しい人の声だけが響いてくる空間とは、なんて不思議で満ちているのだろうか。
 勿論家族三人で暮らし、ゆっくりしている時間だって好きなのだけれど、二人だけのデートもやっぱり特別だ。なんてったって、キスをするのにも人目を気にする必要はないから。
 武器商人とヨタカ。
 二人のデートだけは、まだまだ終わりそうにはなかった。

成否

成功

状態異常

なし

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