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シナリオ詳細

<竜想エリタージュ>酒蔵を巡る異形魚

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング


 地上の楽園、シレンツィオリゾート。
 静寂の青と呼ばれるようになり、豊穣との交流も始まったこの地は世界最大級のリゾート地として開拓、発展を始める。
 それももう2年が経ち、混沌でも徐々にその名を広めつつある。幻想や鉄帝、遠くはラサや天義などからも観光客が訪れるという。
 彼らの為にと企画されていたのはシレンツィオリゾート。
 しかし、それにはダガヌ海域に出現する『深海魔(ディープ・テラーズ)』の脅威を拭い去る必要があったのだが……。
「その深海に都があったって話さ」
 オリヴィア・ミラン(p3n000011)は竜宮城へと説明に訪れたイレギュラーズへと挨拶し、早速概要を離し始める。
 竜宮と呼ばれるこの都もまた深怪魔の脅威に脅かされており、数々の問題を抱えている。
 オリヴィアの受けた依頼もその一つというわけだ。

 依頼者は竜宮某所でバーを営む女性、イネッサ・レヴィヨンからのもの。
 取引先である酒造所の酒蔵付近に深怪魔が現れ、酒蔵所の人達が迷惑しているのだという。
「かなりの頻度で現れるようで、酒蔵に向かうところを襲われかけたって従業員もいたって話さ」
 酒造所の所長も取引先兼客として、イネッサも事態を重く見て解決に当たれそうな者を探している最中、情報収集にと訪れたオリヴィアを通じてローレットに依頼が入ったといった具合だ。
「大体、現れるのは異形と化した魚の姿をした深怪魔2体が青く長い体躯の虚滅種4体を引き連れているようだね」
 討伐はもちろんだが、酒蔵を守る必要がある。
 戦いとなれば、相手は意図的に暴れて破壊を試みる可能性もある。保護結界だけでなく、しっかりと相手を抑えて討伐に当たるべきだろう。
 オリヴィアは敵データを差し出しつつ、イレギュラーズ達へと最後にこう告げて。
「じゃ、アタシは先にバーに行ってるから頼んだよ」
 白い歯を見せ、オリヴィアは手を振って街の雑踏へと消えていったのだった。


 竜宮某所へと向かうイレギュラーズは程なく、問題の酒蔵へと到着する。
 さすがに敵影はなく、しばらくはその場で待つ形となる。
 それぞれの手段で身を潜め、討伐対象の出現を待っていると。
 …………。
 …………。
 頭上からゆっくりと現れる2体の異形の魚。
 大きく目が出て、全身が棘に覆われたそれはよくよく見ればカサゴを思わせた。
 そして、後ろからついてくる4体青い体躯の蛇。
 波を操りながら魚に付き従うそれらはなんとも不気味さも感じさせた。
 ともあれ、モンスターどもの目的がなんであれ、竜宮在住の人々に迷惑をかける輩を放置するわけにはいかない。
 イレギュラーズはそれらの接近に対し、討伐作戦を決行するのである。

GMコメント


 イレギュラーズの皆様こんにちは。GMのなちゅいです。
 <竜想エリタージュ>のシナリオをお届けいたします。

 海洋フェデリア島付近で起きている問題の解決にご協力を願います。

●目的
 ダガヌ海域の調査中に現れた敵勢力の撃破。

●敵:深怪魔&虚滅種
○深怪魔:ディープカサゴ×2体
 全長2m程度。深海に適応できるようになり、異形化したカサゴ。
 深怪魔と化したことで大きく目が飛び出し、全身が刺々しい見た目となっています。
 全方位へと棘を飛ばし、鋭いヒレを薙いでくるなど、魚とは思えぬ動きで強襲してきます。
 また、下記の虚滅種を力で従え、けしかけてくることも。

○虚滅種:シースネイク×4体
 こちらも全長は1.5~2m程度。
 深怪魔に操られる存在ではありますが、水色の肌を持つその体躯はどこか蛇というよりは亜竜を思わせる感もあります。
 その体躯での締め付け、鋭い牙での噛みつきの他、波を操る術を持ち、こちらの態勢を崩しつつダメージを与えてきます。

●NPC
○イネッサ・レヴィヨン
 今回の依頼者。竜宮某所にてバー「メル・プロフォンドール」を営むスタイルの良い海種女性。年齢不詳。
 艶っぽい見た目ながらも、安価で飲み物を提供してくれ、客の悩みを聞いてくれることもあって人気の女性。

○オリヴィア・ミラン
 依頼説明者。説明を終えてバーで待っています。
 どうやら酒が飲みたかった様子。事後、一緒に飲んでくれる人がいれば喜びます。

●状況
 今回はイネッサの店と取引している酒造の酒蔵付近に現れる深怪魔を討伐する必要があります。
 酒蔵は小屋程度の大きさで、敵の攻撃によって破壊される可能性がある為、護る必要があります。

 事後は彼女の店で憩いの一時を過ごすといいでしょう。
 バーはカクテル他、海洋、豊穣の酒、軽食も扱っています。
 20歳未満にはお酒の提供はできませんので、ノンアルコールドリンクで願います。

●特殊ルール『竜宮の波紋・改』
 この海域では乙姫メーア・ディーネ―の力をうけ、PCは戦闘力を向上させることができ、水中では呼吸が可能になります。水中行動スキルを持っている場合更に有利になります。
 竜宮城の聖防具に近い水着姿にのみ適用していましたが、竜宮幣が一定数集まったことでどんな服装でも加護を得ることができるようになりました。

●特殊ドロップ『竜宮幣』
 当シナリオでは参加者全員にアイテム『竜宮幣』がドロップします。
 竜宮幣を使用すると当シリーズ内で使える携行品アイテムと交換できます。
 https://rev1.reversion.jp/page/dragtip_yasasigyaru

●シレンツィオ・リゾート
 かつて絶望の青と呼ばれた海域において、決戦の場となった島です。
 現在は豊穣・海洋の貿易拠点として急速に発展し、半ばリゾート地の姿を見せています。
 多くの海洋・豊穣の富裕層や商人がバカンスに利用しています。また、二国の貿易に強くかかわる鉄帝国人や、幻想の裕福な貴族なども、様々な思惑でこの地に姿を現すことがあります。
 住民同士のささやかなトラブルこそあれど、大きな事件は発生しておらず、平和なリゾート地として、今は多くの金を生み出す重要都市となっています。
 https://rev1.reversion.jp/page/sirenzio

●情報精度
 このシナリオの情報精度はAです。
 想定外の事態は絶対に起こりません。

 それでは、よろしくお願いいたします。

  • <竜想エリタージュ>酒蔵を巡る異形魚完了
  • GM名なちゅい
  • 種別通常
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2022年09月12日 22時05分
  • 参加人数8/8人
  • 相談5日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

ベーク・シー・ドリーム(p3p000209)
防戦巧者
イリス・アトラクトス(p3p000883)
光鱗の姫
寒櫻院・史之(p3p002233)
冬結
シラス(p3p004421)
超える者
イズマ・トーティス(p3p009471)
青き鋼の音色
ナール・トバクスキー(p3p009590)
ろくでなし
綾辻・愛奈(p3p010320)
綺羅星の守護者
アンバー・タイラント(p3p010470)
亜竜祓い

リプレイ


 ダガヌ海域の海深く。
 見上げれば水面に移る陽の光、それに照らされて泳ぐ魚群。揺らめく視界に思わず酔いしれてしまう。
 メンバー達は一風変わった深海の都に他とは違った趣を感じて。
「海の底にある都とは風情があるのぅ」
 こういう風情のある所で呑むのはまた格別だろうと、『ろくでなし』ナール・トバクスキー(p3p009590)は期待していたのだが。
「……何? 仕事じゃと?」
 自身から酒を撮ったら何を残るのかと一時は拒否していたナールだったが、依頼内容を聞けば態度を一変。
「……ハァ! 酒蔵を襲う魔物じゃと! そういうことはもっと早う言え」
 他のメンバー達もまた依頼内容を聞いて様々な反応を示すが、酒を飲む者達が特にやる気を見せていて。
「よいお酒は得難いものです」
 例えば、醸造する時間、熟成させる時間、……それに楽しいお酒を提供させる場。
 『つまさきに光芒』綾辻・愛奈(p3p010320)の淡々とした語りを聞き、『若木』寒櫻院・史之(p3p002233)は拳を強く握って。
「酒蔵を守るなんてやる気でちゃうじゃん。待ってるのが酒盛りとあっちゃよけいにね」
「ふむ……深怪魔とかもお酒飲むんですね。どういう由来かは分かりませんが……」
 仲間達のやり取りを聞き、『不屈の障壁』ベーク・シー・ドリーム(p3p000209)は魔物の生態について考える。実際、深怪魔は酒を狙っているのだろうか……?
「ともあれ、深怪魔は倒す。酒蔵は守る。竜宮へは迷惑かけない。ついでに楽しく酒を酌み交わす」
 やることは簡単だと語気を強める史之は、やれるだけの技量が自分達にはあるはずだと皆に確認をとる。
「まぁ、とりあえず仕事ですし、頑張って倒しましょう」
 ベークは同意しながらも、ふと疑問を抱いて。
「……僕は飲めませんが、そんなに美味しいものなんですかね?」
「このナール・トバクスキー、酒とギャンブルのことなら身が張り裂けない程度には頑張るのじゃ」
 すぐさまナールが胸を叩くと、他にも、酒を愛する面々がこくりと頷く。
「好きな人はホントに好きよね、お酒」
 『光鱗の姫』イリス・アトラクトス(p3p000883)は深海の人々は酒造所を造るなんてと驚いていたのだが、それは仲間にも向けられていたようだ。
「竜宮の人達にとっても大切な場所だし、ちゃんと守らないとね」
「竜宮の地を荒らす不穏の輩……我が刃をもって相対すると致しましょう!」
 『せめて我が刃で』アンバー・タイラント(p3p010470)がイリスに同意し、魔物の討伐に意欲を示すのである。

 魔物に先んじて現場である酒蔵に到着したイレギュラーズ。
 保険にとアンバーが酒蔵に保護結界を展開するのを、『竜剣』シラス(p3p004421)は注視して。
「張り切っていこう」
 発光していたシラスは明かりで視界を確保しており、乙姫の力と水中行動によって動きはキレキレだ。
 程なくして、周囲を徘徊しているという魔物が頭上からゆっくりと現れる。
 …………。
 …………。
 深怪魔となった異形のディープカサゴ2体と、虚滅種である青い4体のシースネイク。
 それらはこの近辺を緩やかに泳ぎ、視線を巡らしている。
「ふむ、カサゴと海蛇となれば唐揚げ、煮付けと白焼きあたりが酒の肴によさそうじゃのぅ」
 ナールはこの後の酒の肴に思いを巡らすが、それらの視線は異様なまでに鋭く、力を持たぬ者達にとっては身を竦ませてしまうほど。
「これは確かに酒蔵に行きづらいな……」
 カサゴは生活範囲が狭いという話を思い出した『青き鋼の音色』イズマ・トーティス(p3p009471)は、それらの縄張りにされたのだろうかと推察して。
「酒蔵を保護しながら、奴等を討伐する必要があるな」
「方針としては、敵が酒造を破壊しないように足止めしつつ、シースネイクを先に倒して数を減らしつつ戦う感じね」
 イズマに合わせ、イリスがチームとしての作戦を確認する。
「とりあえず周囲に出来るだけ被害が出ても問題ないところで戦いたいですね」
 ベークは真・食材適正を発動して。
「じゃあ、ちょっと離れてもらいましょう」
 敵の注意を引きつつ、彼は魔物達を酒蔵から引き離そうとする。
「我が名はアンバー! アンバー・タイラント! 我が刃恐れぬならばかかってきなさい!」
 アンバーもまた、敵の注意を引こうと名乗りを上げるのだが。
「……それはそれとして」
 じっと相手を見つめるアンバーは、……カサゴ……酒造と呟いて。
「成程、干物にして熱燗に入れて骨酒にしてクイっと……いえ何でもありません……ふと脳裏に思い浮かんだだけです」
 ごくりと喉を鳴らすアンバーに、敵も食うつもりかと言わんばかりに大きな目をぎょろりと彼女へと向け、大きく口を開いて威嚇してくる。
 シャアアァァ……!
 青い蛇もまたとぐろを巻いて牙を剥く。今にも飛びかかってきそうな勢いだ。
「守り切りましょう。よいお酒の為に」
 仕掛けてくる敵を、愛奈は仲間と共に迎え撃つのである。


 魔物達はイレギュラーズに向けて飛びかかってくるが、急襲するイズマが先んじて真下から誘いの魔力を漂わせ、強く敵の気を引いて酒蔵から離すよう誘導する。
 シラスも固まって行動していた魔物達へと混沌の根源的な力を泥に変えて浴びせかける。相手の運命を漆黒に塗り潰すことで、敵の行動のミスを誘う。
 さらに、彼は術式による音を発し、相手の認知を狂わせて。
「かかって来いよ、雑魚野郎」
 正面に立ち、シラスは注意が散漫となっている魔物達に向けて指を鳴らす。
 言葉が通じるかどうか怪しかったが、相手がシラスに向かってくるところを見ると、効果はあったのだろう。
 …………!!
 全身の棘を放ってくるカサゴ。さらに鋭いヒレを凶器の如く薙ぎ払ってくる。まさに全身凶器となった深怪魔だ。
 イリスもまたそのカサゴ2体の抑えに向かう。
(乱戦になっている所にカサゴが突っ込んできて棘飛ばし等の範囲攻撃を仕掛けてくるのが第一の懸念事項ね)
 基本的にイリスはカサゴが怒り付与者の方へと向かわぬようしっかりブロックする。上手く仲間達が敵全員を抑えにかかっていた為、現状は酒蔵に注意を向けていた敵はいないようだ。
 加えて、魔法瓶に入った酒を煽ることで力を高めるナールがカサゴへと銃撃を放ち、足止めしつつ炎で焼き、的確な射撃で体力を削いていた。

 カサゴを抑えるメンバーが多い中、シースネイクへの攻撃も始まっていた。
 こちらは長い体躯を使うだけでなく、海中で波を操ってイレギュラーズへと浴びせかけ、態勢を崩してくる。
「これなら、シースネイクから討伐で良さそうかな」
 プロトコル・ハデスを使って能力向上をはかっていた史之は、カサゴの抑えが多いこともあり、シースネイクから攻撃を仕掛ける。
 ただ、シースネイクも纏めて引き付けているメンバーもいた為、史之は彼らを巻き込まぬように設定した空間内にいた敵を斬砕せんと刃を振るう。
 引き付け、攻撃を行う仲間達を、愛奈がバックアップする。
(今回のお仕事、シースネイクの体制不利BSが一番厄介に感じますから……警戒していきましょう)
 攻撃にも出られれば出たいところだが、愛奈は堅実に仲間達へとブレイクフィアーで恐怖を払拭させ、号令を発して仲間達の状態を万全なものへと近づけていく。
 その間にも、カサゴをある程度抑えたことで、シースネイクの東圧へとシフトするメンバー達も。
「纏めて蜂の巣じゃ」
 ナールはシースネイクが固まるところへ、弾丸の雨を降らす。
 それらから逃れる術はなく、青い蛇は頭上から降ってくる弾丸に身体を穿たれていた。
 そこに猛然と攻め入るのはアンバーだ。
「酒蔵には近寄らせません!」
 名乗りを上げるアンバーは敵の注意を引き続ける。
 戦術的な観点で戦場を俯瞰する彼女は、対巨大生物を主眼に製造された大薙刀「屠龍」のリーチの長さを活かし、敵を牽制する。
 ベークはカサゴへの抑えは十分とみて、シースネイク側の抑えへと回っていた。
「1対1なら、なんとか出来ませんかね。出来るといいんですが」
 淡い期待を抱きながらも、ベークは修復プロトコルと纏った魔王の力を維持したまま、眼前の蛇の気を引く。
 ある程度、敵を酒蔵から引き離したのを見計らい、イズマもシースネイクへと攻撃を始めていた。
 誘いの魔力で相手を抑える一方、イズマは敵複数に纏めて紫色をした終焉の帳を下ろす。
「さあ、ここからだ」
 後は体力の削り合い。相手を全て倒した方の勝利。
 勝利の美酒を味わうのはどちらか。


 深怪魔と虚滅種の複合隊を相手にするイレギュラーズ。
「敵に付け入る隙を与えなければ、我々の勝利は揺るがないでしょう」
 愛奈が堅実な立ち回りをと号令を発する中、カサゴが顎で使うシースネイク討伐が徐々に加速する。
 シラスは携行品「やわらかい思い出」を使い、増やした残像で敵をねじ伏せる。激しい殴打を叩き込まれた蛇は力なく水中に浮かび始めた。
 シースネイクの討伐に皆が加わったことで、史之も仲間を巻き込むと判断して攻撃パターンを変える。
 牙を剥く1体に狙いを定めた史之は暗殺術で攻め立てる。
 喉元に一撃を食らわせた彼は頭に追撃を見舞い、再起不能へと陥らせた。
 近場では、アンバーが蛇へと接近戦を仕掛けていた。
 高い攻撃力を持って、攻め立てるアンバーの刃が大きく開いた敵の口内へと埋め込まれる。
 目を見開いたのも僅かのこと。そいつもまたうな垂れるようにして水中を漂い始めた。
 残る1体はベークが抑える。
 仲間達の援護もあり、彼は内気と外気の両方を使って自らの傷の修復を行い、攻撃にも打って出る。
 甘い香りを漂わせるベーク。蛇は彼に向けて食らいつこうとしたのだが、噛みついたのは甘い物体。だが、それは身体を蝕む毒であり、その身を侵された蛇は苦しみ悶えて果てていった。

 引き連れてきたシースネイクが全て倒され、ディープカサゴも少なからず動揺していたようだ。
 カサゴ達はいきり立ち、全方向へと棘をばら撒く。
 メンバー達カサゴを抑えてはいたものの、棘の一部は酒蔵にも飛んでいて。
「儂の酒は絶対にダメにさせないのじゃー!」
 全力で撃ち落としにかかるナールだが、そこに躍りかかってきたカサゴのヒレを受け、ナールは刹那意識が途切れかけたが、パンドラを使って持ち直す。
 とはいえ、彼の傷は浅くなく、愛奈が天使の力で癒しに当たっていた。
 その間、イリスがカサゴをブロックしようと立ち回る。激しく暴れる敵の攻撃にさらされ、イリスは絶気昂を使って立て直しをはかる。
 ベークもカサゴの抑えへと動くが、激しく暴れる敵の抑えで深く傷つき、『シャンパン・ゴールド!』で自身の傷を塞いでいた。
「おさけ だいじ」
 史之もまた、酒蔵の防衛へと回っていて。
「見た目が悪くても凹まなくていいよ、煮付けにしたらみな同じだし」
 酒蔵を庇いつつ、防御を固めた史之が敵を煽る。
 素早くヒレを振るってきたカサゴに対し、彼は奥の手とばかりに水中高くへと蹴り上げる。
 抵抗できなくなった敵目掛け、シラスが一気に迫って連撃を繰り出す。
 自己記録に挑戦と切り刻むシラスの横、イズマが迫る。
「その飛び出た目玉を潰してやろう」
 イズマはその目を高熱で焼き払う。
 苦しみ悶えたカサゴだったが、程なく力尽きてしまった。
 …………!!
 もう1体に焦りが見え始めるが、メンバー達が気を引いていたこともあってこの場から離れることに気が回らなかったようだ。
 持ち直したナールがそいつへと再び弾丸の雨を降らすと、敵の数が減ったことで愛奈も攻勢に打って出ており、魔弾を撃ち込んでカサゴの気力、魔力を大きく奪い取る。
「棘をバラまかれるのはいやらしいですからね」
 思いっきり暴れていたカサゴは力を使い果たしかけていたようで、直接攻撃を行う頻度が高まっていた。
 そんな敵をイリスが勢いよくぶつかって注意を引く横から、アンバーが頭、喉、腹部を一気に貫いて敵を追い込み、相手の全身を一気に捌く。
 …………。
 これにはディープカサゴも耐えることができず、ぐったりとうな垂れて動かなくなったのだった。


 魔物を全て討伐すれば、メンバー達はイネッサの店「メル・プロフォンドール」へと報告と合わせ、ご馳走になることに。
「ようやく酒にありつけるわい」
「戦士にも休息は必要ですからね……」
 ナールに続き、そういうアンバーもすぐに素直になって、ディープカサゴを見て無償に豊穣産の清酒が呑みたくなったとのこと。
「……あの深怪魔独特の何かの特殊能力か何かなのでしょうか?」
 真顔で答えたアンバーは視線を逸らす。
「討伐お疲れ様。助かったわ」
 イネッサは笑顔でカウンターに座った大人のイレギュラーズへと酒を振舞う。
 史之は勝利を意味するカクテル、ウイニングランを。ナールはというと、アンバーと共に豊穣の清酒を口にしていた。
「酒よりノンアルコールな俺だが、その前に……」
 イズマはバーの調理場を借りて食材適性を付与したディープカサゴの調理を行う。
 豊穣の酒で酒蒸しし、完成した料理をイズマが皆に提供すると。
「へえ、なかなかいけるじゃないか」
 これにはすっかりほろ酔いのオリヴィアもご満悦。他のメンバーにも概ね好評だったようだ。
「……うーん。お酒飲めないんですよね」
「私はまだ未成年なので、ジュースかなぁ」
 ベーク、イリスには、ミルクセーキ。ややシナモンの香りの効いた甘い飲み物は戦いの疲れを癒してくれる。
「お子様で悪いな、何か飲み物作ってくれ」
 そんなシラスには、冷たいノンアルコールカクテルをイネッサは振舞ってくれる。
 カシスシロップにオレンジジュースを加えたノンアルコールカシスオレンジ。これなら、格好つくとイネッサは気遣ってくれた。味もフルーティー感があり、シラスも満足していたようだ。
 またソフトドリンクを飲んでいた面々は軽食もオーダーしていて。
「海老が好きなんですよ……………………はっ、僕はたい焼きでも、食後のデザートでもありませんよ!?」
 つまみに、デザートにとベークの外見は酒飲みたちにいじられていたようである。
「ええ、たっくさん飲みましょう」
 愛奈は勧められる酒を口にし、カウンターでオリヴィアとグラスを組み交わしつつ沢山語らう。
 まだまだ海洋について知らないことも多い旅人の愛奈。
 イネッサがバーで様々な客を相手にしていること。今はイレギュラーズの来訪で繁盛していること。
 オリヴィアは情報屋として各地を巡っており、各地の事件について話していた。
「今は天義や鉄帝と遠い場所の事件も多いからね。海洋の酒が恋しいよ」
 そこに、提供された料理をペロリと平らげていたシラスも加わる。
「俺さ、母親が酒浸りで滅茶苦茶だったから、正直言ってガキの頃から酒自体が嫌いだったんだ」
 最近はそうでもないようだが、大抵の人は楽しくやれてるというのが分かってきたとシラスは話す。
「来年には俺も飲める歳になるから、嗜み程度には覚えておかないとって今は思ってるよ。そん時は飲み方を教えてくれよな」
 快く応じるイネッサ。同じく頷くオリヴィアの隣には、史之が座って。
「オリヴィアさんと話をするのはなにげに初めてだね」
 彼は、寒櫻院・史之、冬宮の物だと名乗る。物は所有物の意味とのことらしいが、話すと長くなるというか、のろけになりそうだからと話を掘り下げることはなかった。なんでも、次回の楽しみにとっておきたいとのこと。
「へえ、楽しみにしているよ」
 色恋沙汰と察したオリヴィアはにやけて酒を煽っていた。
「私も是非聞きたいですね」
 仲間達の話にも、愛奈は年甲斐もなくはしゃいで見せる。
 依頼後で、時間はたっぷりとある。イネッサの行為もあり、イレギュラーズは遅くまで店内で語らっていたのだった。

成否

成功

MVP

アンバー・タイラント(p3p010470)
亜竜祓い

状態異常

ナール・トバクスキー(p3p009590)[重傷]
ろくでなし

あとがき

 リプレイ、公開です。
 MVPは敵の抑え、討伐と活躍を見せたあなたへ。
 今回はご参加ありがとうございました。

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