PandoraPartyProject

シナリオ詳細

傍迷惑な求道者達

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●脳筋求道者の行き着く先
 鉄帝……ゼシュテル鉄帝国という国は、力こそ全てと考える者は多い。
 それというのは、国土の大半が厳しい環境に置かれたこの国においては、過酷な環境に適応する為の力、そして、強靭なる肉体が求められているからだ。
 強者というのは、それだけで羨望の眼差しを向けられる。だからこそ、力を手に入れる為に日々鍛錬する者も多い。

 鉄帝はその多くが機械生命体の末裔とされる、『鉄騎種(オールドワン)』達だ。
 とある街道付近にて活動する6人の求道者達もまた、腕や脚などが機械となった鉄騎種だった。
 筋骨逞しいその男達はこの周辺に現れるモンスターなどの駆除をしつつ、自分達の技量を磨いていたのだが……。
「我々は強くなった」
 そのリーダーは異形と化して街道で暴れる生物を駆除し終え、自分達の力を実感する。
「最近は、幻想のローレットに所属するイレギュラーズ達がかなりの腕を持つと聞く」
 是非とも手合わせしてみたいと考える彼らだが、生憎と出会う手段が分からぬ様子。
「ならばリーダー、この近辺を通りがかる者全員に戦いを挑めばよい」
「さすれば、いずれイレギュラーズと手合わせする機会もあろう」
「なるほど、名案だな」
 大きく首を縦に振って、メンバーに同意するリーダー。
 しかし、彼らはその後、行商人や『パサジール・ルメス』のキャラバンまで、誰彼かまわず勝負を挑んで迷惑をかけることとなってしまうのである……。

●パサジール・ルメスも困惑の事態
 混沌世界を移動するとある少数勢力、『パサジール・ルメス』。
 主要七か国を渡り歩く民達は各国を渡り歩き様々な情報を手に入れている。
 現状、彼らは海洋、鉄帝など、物資を運ぶキャラバンを編成しており、道中の護衛を依頼している状況だ。
 ここしばらく依頼を受けて、適正勢力を排除しているローレット。地ならしを行うには、うってつけの依頼と言える。
 『パサジール・ルメス』の物流強化にも一役買うことになるので、イレギュラーズは奮って参加されたし。

 幻想のローレット。
 そこに現われたのは、色黒な肌を持つディープシーの少女だった。
「こんにちはっす。今日は依頼をと思ってここに来たっすよ」
 彼女は、『パサジールルメスの少女』リヴィエール・ルメス(p3n000038)と名乗り、イレギュラーズ達に対しても丁寧に頭を下げる。
 まだまだ幼さを残す彼女。お気に入りのキャンディを口にしつつ依頼内容について話す。
「実は、『パサジール・ルメス』のキャラバンが鉄帝に向かう際、ちょっと困ったことになっているっす」
 なんでも、街道上に現れる鉄騎種の求道者が誰彼構わず、勝負を挑んでくるのだという。
 相手は名乗りを上げて勝負を挑んでは来るものの、その後しばらくは話に耳を貸すことなく戦い続けるそうだ。
 なんとも傍迷惑な求道者達だが、その目的はイレギュラーズと戦うことらしい。
 この為、一度イレギュラーズと交戦すれば、無関係な人々を襲うこともなくなるはずだと見られている。
「どうか、キミ達の力を貸してほしいっす!」
 リヴィエールの話を聞き、同意を見せたイレギュラーズ達は、幻想を発つ準備へと動き始める。
 それに、リヴィエールは嬉しそうに微笑んでみせたのだった。

GMコメント

 イレギュラーズの皆様、こんにちは。なちゅいと申します。

●目的
 全ての求道者達の撃破。

●敵……求道者×6体
 鍛錬のみを重点において活動しており、
 誰彼構わず喧嘩を吹っかけてくる迷惑な相手です。
 リーダーのみ身体が一回り大きく、やや他メンバーより力が強いようです。

 布陣は状況に応じて変更しますが、基本全員前のめりな形で攻めてきます。
 以下のスキルを使用します。
・我流武術……物至単・連
・気弾……神中単
・覇気砲……神遠貫
 (リーダーのみ、以下追加)
・連脚撃滅掌……物近範・ブレイク

●NPC
○リヴィエール・ルメス(p3n000038)
 現地まで案内はしてくれますが、戦いには参加しません。

●状況
 幻想から鉄帝に向かう街道上で、喧嘩を吹っかけてくる求道者達の撃破を願います。
 誰彼構わず力試しに襲ってくる連中ですが、彼らなりにラインはあるのか、奇襲はせずに名乗りを上げてから戦いを挑んできます。
 なお、最初3ターン程度は誰であろうと、相手の態勢は関係なく襲ってくるようです。
 また、イレギュラーズに対しては、決着がつくまで戦いを止めることはありません。

●情報確度
 A。想定外の事態(オープニングとこの補足情報に記されていない事)は絶対に起きません。

 それでは、よろしくお願いいたします。

  • 傍迷惑な求道者達完了
  • GM名なちゅい
  • 種別通常
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2018年08月28日 21時50分
  • 参加人数8/8人
  • 相談5日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

クロバ・フユツキ(p3p000145)
背負う者
琴葉・結(p3p001166)
魔剣使い
河津 下呂左衛門(p3p001569)
武者ガエル
ボルカノ=マルゴット(p3p001688)
ぽやぽや竜人
ミニュイ・ラ・シュエット(p3p002537)
救いの翼
久住・舞花(p3p005056)
氷月玲瓏
不動・醒鳴(p3p005513)
特異運命座標
アナスタシア(p3p006427)
コールドティア

リプレイ

●お望みとあらば名乗りを上げて
 依頼を受け、幻想を発つイレギュラーズ達。
 『パサジール・ルメス』の一員であるリヴィエール・ルメスに案内されながら、一行は無辜なる混沌の『大陸』の北部、鉄帝……ゼシュテル鉄帝国を目指す。
 旅人の青年、『特異運命座標』不動・醒鳴(p3p005513)は酒を入れた樽を積んだロバを連れ、『業に染まる哭刃』クロバ=ザ=ホロウメア(p3p000145) は愛車であるバイクで移動していたが、他メンバーは基本的にリヴィエールや仲間と共に語らいながら歩いていくこととなる。
「んもー! 会う手段がわからないからって、人に迷惑かけたらだめー! である!」
 身長3mと巨躯で筋肉隆々なれど、愛嬌のある語り口で『ぽやぽや竜人』ボルカノ=マルゴット(p3p001688)は怒りを露わにする。
 なんでも、今回の討伐対象である求道者達はイレギュラーズとの交戦を求めて、手当たり次第に街道を通る者に勝負を挑むそうなのだ。
「なるほど、迷惑な話ね」
 今回の1件について、黒い長髪の女剣士、『特異運命座標』久住・舞花(p3p005056)もまた素直な感想を口にする。
「……それとも、仕事になってこれはこれで有り難いというべきかしら?」
「私達も有り難いっすよ」
 リヴィエールもそんな風に相槌を打ち、にこやかに笑ってみせた。「武の高みを目指そうというその心意気は素晴らしいが、関係ない者まで巻き込むというのは感心せぬでござるな」
 ただ、相手の行いに、蛙の海種である『武者ガエル』河津 下呂左衛門(p3p001569)はないはずの眉を顰めて。
「修羅といえども、道を外せばただの外道でござるよ」
「求道者、ね。立場的にはオレも似たようなものだが……丁度いい」
 黒い翼の模様がついた赤いマフラーをつけたクロバもまた、強さに飢えている。
 だからこそ、求道者なる存在は彼にとって願ってもない相手だ。
「まあ、解り易いという点に関しては悪くありません。全員叩きのめせばよい、という事ですね」
 話が早いのは、舞花にとって助かるところ。
 これはこれで、良い修練の機会と舞花は割り切っていた。

 鉄帝への街道を進む一行の前に、筋骨逞しい6人の鉄騎種達が現れる。
「我々は鉄帝の求道者なり。いざ、勝負!」
 一回り体格の大きいリーダーが叫び、皆一様にイレギュラーズ達目掛けて襲いかかってくる。
「皆さん、お願いするっす!」
 リヴィエールの呼びかけに応じて、イレギュラーズ達は前に出る。
「拙者、『武者ガエル』河津 下呂左衛門と申す。いざ勝負でござる!」
 相手の飛び道具を警戒し、下呂左衛門は距離をはかりつつ名乗りを上げる。
 次々に名乗りを上げ、近づいてくる求道者達。
 ウェーブのかかった銀の長髪と蒼い瞳を持つ少女、『コールドティア』アナスタシア(p3p006427)も呆れを隠さない。
「戦いたいなら、ローレットに直接来たら良かったのではないでしょうか?」
 ローレットに来れば、イレギュラーズ達がたくさん集まっている。
 迷惑をかけている自覚はあるのですかと問うアナスタシアだったが。
「イレギュラーズだぞ、全力で当たれ!」
 肝心の呼び掛け内容を耳にしていない相手に、アナスタシアは1つ嘆息して。
「ないなら、救いようがないですね」
 『応報の翼』ミニュイ・ラ・シュエット(p3p002537)もまた、求道者達の態度に思いっきり呆れて。
「……バカなの? これは少しキツめにぶっても許される」
 彼女は仲間を巻き込むことも考慮し、先んじて両翼を広げて歌を歌い始める。
 冷たい破滅の歌姫であるミニュイの歌声は聞く者を魅了し、冷たい呪いで体力を奪ってしまう。
 ただ、求道者の半数は意に介することなく向かってくる。
「我輩、脳筋嫌いじゃないけど、そういうのは良くないと思うの!」
 ボルカノが求道者達へと呼びかけるが、相手はまるで聞く耳を持たない。
「いざ出撃ー! 反省して貰うであるから、お覚悟ー!」
 すぐさま応戦の為に、彼は超大型のド級火器「FF・フリークス」の砲口を相手へと突きつける。
 メンバー達は次々に、戦闘態勢へと入って。
「お望みとの事ですので、我らローレット。手合せさせていただくとしましょう」
 己の残魔刀に手をかける舞花。
「死神、クロバ=ザ=ホロウメア。――アンタらを、斬る」
 クロバもまた名乗り返し、刀に手をかけて求道者1人へと仕掛けていくのである。

●求道者達の暴走を止めろ!
 大柄で見事に鍛え上げられた肉体を持つ鉄騎種の求道者達。
 彼らはその力を存分に、現れたイレギュラーズ達へと見せ付けようと、自分達独自の我流武術を繰り出し、さらに己の体内を巡る気を撃ち放ってくる。
 いずれもその力は脅威だが、長い銀髪をポニーテールとした『魔剣使い』琴葉・結(p3p001166)は敢えてその中のリーダーの抑えを担当する。
「こう見えて、時間稼ぎは得意なのよね」
 他の仲間に被害が及ばぬよう、結はアクロバティックに戦場となる街道を立ち回る。
 相手の拳や蹴りを受けながらも、彼女は飛行技術を生かしてリーダーをかく乱していた。
 さらに、結は相手の背後から飛び込んで。
「イヒヒヒヒ! トロいんだよデカブツが!」 
 魔剣ズィーガーが煽る言葉と共に、彼女は相手へとオーラソードで一太刀浴びせる。
 予想以上の手ごたえに、鍛えられた筋肉の硬さを実感する結だったが。
「でもまぁ、それはそれとして。――別に、倒してしまっても構わないのでしょう?」
 どこかで聞いたようなフラグを伴う一言と共にその場から離脱し、結は次なる相手の攻撃に備えていた。
 取り巻きとなる求道者の相手を他メンバー達も開始していた。
 名乗りを上げた下呂左衛門は、自身に集まる2人が何も武器を持たずに襲い来るのを注視して、闘気によって東洋風の武者鎧を形成し、身の守りを固めていく。
(懐に潜られぬようにせねば)
 仲間には、ボルカノ、ミニュイといった遠距離攻撃を得意とするメンバーもいる。
 後方にいるボルカノは仲間の抑える求道者を、全力で的確に狙い撃つ。
「だって、殴り合いとか怖いであるし……」
 本音も漏らしつつボルカノは求道者達の動きに合わせて移動し、距離を保って銃弾を発射し続ける。
 そんなボルカノの援護を受けながら、下呂左衛門は襲い来る敵を引き付け、防御を固めていた。
 一方、ミニュイは取り巻き1人を相手取り、自らの翼で攻防合わせた立ち回りを行い、取り巻きを攻め立てる。
 術式を込めた彼女の技は、相手へと徐々に痺れを与えていく。
 しかしながら、相手が放つ覇気砲の威力は凄まじく、貫通力のある一撃にミニュイは相手の力量の高さを実感する。
 ミニュイだけでなく、フリーになっている相手には、醒鳴が向かう。
 彼はある程度乱戦になるよう意識して、他取り巻きと戦うメンバーの近くで戦うよう意識する。
「行こうぜ。俺達が負けるはずはない」
 その上で、防御態勢を取る醒鳴は歌声を響かせ、近場の仲間達の士気を高めていた。
 殴りかかってきた求道者に対し、彼は待たせたなと言わんばかりに反撃し、拳による殴打を食らわせていく。
 舞花もまた1人を請け負い、求道者のリーダーから離れるよう移動してから交戦する。
 というのも、リーダーは強力な近距離範囲攻撃を持っているからだ。
 そいつを抑える結も離れるよう意識しており、舞花は比較的仲間達の傍で交戦する。
 相手の動きを追うようにして斬魔刀で斬りかかり、舞花は目の前の相手に痺れを与えていた。
 そんな中、アナスタシアは自身なさげに立ち回りを続け、仲間達のサポートへと当たっていく。
 相手を魔眼で見つめるが、さすがに戦闘中では相手も気を張っているのか、思ったような効果が見られない。
(この中では凄く弱い部類ですし……、真っ先に狙われて倒されてしまうのではないでしょうか……?)
 ある程度抑えとなるメンバーからは距離を取りつつ、彼女は魔力を高めてからの魔力弾で支援攻撃を行う。
 その度にダイヤモンドダストのような幻影を纏うアナスタシアは、体感温度が下がる為か震えながら戦っていたようだ。
 クロバは下呂左衛門が引きつけていた1体を狙う。
「アンタらの得た力とオレの持つ力、どちらが上かを競わせてもらおう」
 彼は挑発を交えつつ、戦場を立ち回る。
 貫通力の高い覇気砲で他求道者を巻き込むように意識しながらも相手へと攻撃を集中し、魔力を解放して左腕を異形変化させていく。
 黑き禍々しい魔力を纏い、繰り出される獣の如き一撃。
 さすがの求道者も表情をこわばらせながらも、クロバの魔爪で薙ぎ払われることとなる。
「負けぬ。我らの鍛錬はこの程度で屈する程度のものではないはずだ!」
 だが、相手も全力で覇気砲を発射していく。
 身構えるクロバがそれに撃ち貫かれ、その背後にいたアナスタシアも巻き添えになるように一撃を浴びてしまっていた。
(皆さんに迷惑をかけないようにしなくては)
 ふらふらになりながらも、アナスタシアは仲間の助けとなるべく魔力弾を発射し続けるのだった。

 求道者達は自らが追い求める力を試すべく、鍛え上げた技でイレギュラーズ達へと襲い掛かる。
「ほらほら、当てられるものなら当ててみなさい!」
 リーダーを抑える結は仲間が加勢に来るまでの時間を稼ぐべく、宙返りしてから連続攻撃を食らわせていく。
「さすがは、イレギュラーズ……!」
 唸るリーダーだが、単純な力であれば、明らかに彼のほうが格上と言えた。
 それだけに、相手の回し蹴り2連からの掌底が結の体力を奪い去ってしまう。
 ただ、彼女はその運命を拒絶する。
「まだよ! まだ……終わるわけにはいかないのよ! 力を寄こしなさいズィーガー!」
「ヒヒ、次はねえからな!」
 そんな魔剣の呼びかけを耳にした結は再び、宙を舞う。
 少し距離を置くイレギュラーズ達は、求道者達を徐々に追い込んでいた。
 相手の気弾を受けた舞花だったが、そのまま接近して相手の間合いへと踏み込む。
 舞花は斬魔刀を一閃させ、見事に相手の体を切り伏せてしまう。
 ミニュイはボルカノの銃弾による支援を受けつつ、相手を攻め崩していた。
 翼を操る独特な格闘術に、求道者も戸惑いを見せながらの応戦。
 大きく羽ばたかせた翼によってミニュイが相手の態勢を大きく崩すと、ボルカノの放った弾丸は相手の顔面にヒットし、卒倒させてしまう。
 クロバも順調に相手を攻めていた。
 この後のリーダーとの戦いに備えて若干温存しつつ、彼は素早い踏み込みから「黒陽刀」の突きを食らわせる。
 相手の放つ気弾の隙を見計らい、クロバは「ディバイダー・ヴォルフ」を合わせて二刀流とし、求道者めがけて正確な斬撃を浴びせかけていく。
 噴き出す鮮血はまるで、桜花の如く。
 求道者は白目を向き、意識を失ってしまう。
 そんな中、アナスタシアは激しく息をしていた。
 能力的には確かに、他メンバーと叶わぬ部分もある。
 だが、戦闘での立ち回りにもう一歩踏み込んだ部分があれば、仲間達をより助けることができたかもしれない。
 ――少しでも皆の助けに。
 そんな願いも虚しく、醒鳴の相手にしていた求道者が発した覇気砲に射抜かれ、アナスタシアはぐったりと地面に倒れてしまう。
 しかし、彼女は気弾によって、相手を弱らせてくれていた。
 醒鳴は相手に自分を抜かさせないよう気を引きつつ、コンビネーションで求道者を殴り倒したのである。
 下呂左衛門が1体を抑え続けていたが、射撃に斬撃と仲間の援護が来れば一転して攻勢に出て。
「チャンスを逃す理由はないな」
 大太刀「龍神丸」を抜いた下呂左衛門は相手へと近づき、求道者の厚い筋肉を見事に切り裂き、一刀の下に沈めてみせた。
 これで残るは……。
「後は貴方だけです。一応聞いておきますが、降参の意思は?」
 舞花が問いかけるが、リーダーは豪快に笑って。
「降参するくらいなら、お前らに倒されるほうがまだいい」
 全力で戦い、相手を打ち倒せるなら良し。
 されど、道を追い求める彼らに後退の2文字はないのだ。
「まあ、しないでしょうね」
 分かっていたとばかりに仕掛ける舞花は防御の構えを取りつつ、斬魔刀の刃を一閃させる。
 続き、深呼吸していた醒鳴が抑えていた結の代わりに前へと出て。
「代わるぜ。無理すんな、後ろで治してな」
「まだ、やれるわ……でも、少しだけ前線を任せてあげるわ」
 素直には言葉に出さぬ結もかなりボロボロになっており、実際は助けに船と言った状態だった。
「やらせはせんぞ!」
 そんな中でも、猛然と攻めて来る求道者リーダー。
 オーラの縄で相手の動きを止めようとしていたミニュイがリーダーによる渾身の連撃を浴びてしまう。
 何とか抑えようとしたミニュイは翼を弾かれ、直接胴へと連打を浴びて地面へと倒れてしまった。
「まだだ、お前達を全て倒すまで、止まるわけにはいかん!」
 怒号を上げるリーダーはなおも、イレギュラーズ達へと襲い来る。
「オレもアンタらと同類、強さに飢えた獣さ!!」
 そいつへと、クロバが左腕の魔爪を叩きつけながら言い放つ。
「負けられない理由があってな――その誰彼構わず喧嘩を売る傍迷惑な考えごと、お前らの欲望を喰い殺す!!」
 相手の命を刈り取らんと、狂気を思わせる執念をもって、彼はさながら獣のように刃を振るう。
「早撃ちで防御を貫いちゃうのである!」
 さらに、ボルカノが残る気力を振り絞って弾丸をリーダーへと撃ち込む。
「悪い脳筋には負けられない!」
 距離を維持し続けるのは、ボルカノが直接の殴り合いをしたくはない為だ。
(あまり近づきたくはないでござるが……)
 こちらも接近されたくない下呂左衛門。
 彼は変化を解除される可能性のあるリーダーの連撃を食らいたくなかったのだ。
 だが、こちらも2人倒れており、残るメンバーもかなり傷ついて来ている。
 仲間達が畳み掛けていることもあり、下呂左衛門は時間差で仕掛けていく。
 よく見れば、リーダーの体にもかなり傷が増えており、致命傷も幾つか見受けられた。
「そんな状況でも戦うのであれば、むしろ敬服するでござるよ」
 ただ、立っているなら、追い詰めるまで。
 下呂左衛門は握る龍神丸の刃を相手の体へと切り捨てる……が、リーダーはなおも倒れない。
 そこで仕掛ける結が狙うは、相手の足、腰、そして、首。
 彼女は宙を舞うように踊り、オーラソードで幾度もリーダーの体に切りかかっていった。
「ここ、までか……」
 ついに、闘争心が消えた求道者リーダー。
 しかしながら彼は満足気な表情で、街道上へと伏していったのだった。

●勝負の後は有意義な語らいを
 求道者達を全員倒し、イレギュラーズ一行は皆、戦意をなくした求道者達を諭すことになる。
「こういうこと! 繰り返されたら! 困るので!」
 ボルカノが声を荒げて彼らを叱りつけ、ローレットの連絡先を教える。
 そばでは、悪態づく魔剣ズィーガーを結が抑え付けていた様だ。
「迷惑な連中ではあるが、根っからの悪人とも思えぬ」
 下呂左衛門はさらに、求道者達がどのようにして鍛えてきたのか興味を抱いていたようで、ゆっくり語らい、有意義な話をしたいと話す。
「いや、今日のように拳を交えた方が早いでござるか?」
「『ラド・バウ』の存在でも、教えてあげればいいでしょ」
 ゼシュテル鉄帝国の誇る大闘技場『ラド・バウ』でなら、彼らも自らの力を惜しみなく発揮することができるはずと目を覚ましたミニュイは語る。
 なお、アナスタシアは絶対安静で、リヴィエールが手当てに当たっている。
 そこで、醒鳴はここまで運んできた樽から注いだ酒を、求道者達へと振る舞う。
 その上で改めて、求道者達がどれだけ行商人やパサジール・ルメスへと迷惑をかけたのか、醒鳴は人心掌握術と扇動を使ってこう語る。
「一般人に迷惑かけっぱなしってーのは、ちーっとどうかと思うぜ」
「ぬうっ……」
 強さを追及する余り、他人のことまで頭が回ってなかったことに彼らも気付き、膝を突く。
 決して、彼らに害を及ぼすつもりなどないのだ。
「この人達一応、モンスターの駆除とか行ってたんだよね」
 ミニュイが言うことも事実。
 彼らにとっては力試しだったのだろうが、活動の手が止まると街道利用者がモンスターに襲われる可能性も彼女は示唆する。
「黙ってこのままこの場所で、他人に迷惑かけず鍛錬に励んでもらうのが良いかな」
「詫びに、この辺りを通る行商の護衛をやって誠意を示したらどうよと、俺は思うのだがな」
 ミニュイとは別に、醒鳴が求道者達に別の方法で奉仕すべきと促す。
 なお、商人達へのコネは、ローレットのイレギュラーズへのコネにもなると醒鳴は合わせてリーダーへと囁いていた。
 多少酒に酔ってはいたが、求道者達は真顔で強さの追及と償いの活動の両面を行うべきだと話し合う。
 その上で、メンバー達は彼らの鍛錬方法などについて尋ね、今後の参考にしていたようだ。
 仲間達の提案もあり、クロバは己のギフトで求道者達の強さへの渇望を喰い殺そうとも考えていたが、これでは安易にその気持ちをなくすことはできなさそうである。
「……今だ遠いな、あいつ等の強さってのには」
 その上で、彼はそんな風に己の戦いを見つめ直すのだった。

成否

成功

MVP

琴葉・結(p3p001166)
魔剣使い

状態異常

アナスタシア(p3p006427)[重傷]
コールドティア

あとがき

お世話になります。なちゅいです。
リプレイが完成しましたので、お送りします。今回もよろしくお願いいたします。

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