シナリオ詳細
<深海メーディウム>また抱き上げてほしいから。
オープニング
●
潮風が2つの紫を靡かせる。
温かな日差しの下、ダガヌの海を行く船は今のところ航行に問題を持たない。
「正純さん、一緒に来てくださってありがとうございます」
「いえ、シンシアさんが心配でしたので。あの時のような怪物がまだいるかもしれませんから」
ぺこりと頭を下げるアメジストの少女、シンシア(p3n000249)に小金井・正純(p3p008000)は笑いかける。
「それでシンシアさん、今回の用事はどういったものなのですか?」
「ええっと……たしかべカラムの涙というエリアですね。
船を動かすにも苦労するぐらい海流の激しい場所みたいです……」
シンシアが言ったあたりで、船員が声をあげる。
どうやら、いよいよそのベカラムと呼ばれるエリアへと足を踏み入れるらしい。
気を引き締めた刹那――船がいきなり縦に揺れた。
「シンシアさん――――!」
咄嗟にマストにしがみついた正純が手を伸ばす。
それを取ろうと伸びたシンシアの手を何とか掴んだ。
その直後、再び身体が浮いた。
波によって縦に打ち上げられた船が、そのまま波によって下に落ちたのだ。
●
それからしばらく。
絶叫マシンさながらの海流が落ち着いたところで海洋軍人が船を一度停止させてくれた。
「はぁ、はぁ、はぁ……VDMさながらでしたね……大丈夫でしたか? シンシアさん……」
「は、はい……うぅ……私、意外とこういうの苦手なのかもしれません」
正純が問いかければ、シンシアが少ししんどそうな顔をしている。
「……少し船室で休みましょうか」
言葉少なに頷いたシンシアは、正純が差し伸べた手をそっと取って立ち上がった。
震える足が彼女の疲弊を如実に示していた。
木製の扉を開いて船室に入れば、そのままソファに寝かせてやる。
「たすけて」
「たすけて」
「ぼくたちを」
「たべちゃった」
「たべちゃった」
「ぼくたち、たすけて」
「へ?」
2人しかいない船室から聞こえたその音――あまたの人間の声を混ぜ合わせて駆け合わせた結果、言葉と言うのより音に近くなったそれ。
正純が顔を上げると、そこには極彩色の何か。
人型にも見えなくはないが、よくわからぬそれは。
「フリーパレット、というものでしょうか……」
フリーパレット。
たしか、死んだ個人あるいは団体の想いや未練が集まって構成される集合体――身もふたもないことを言えば幽霊とでもいうべきもの。
残念ながら、あくまで『思念の集合体』であって、個人とそのまま会話ができるわけではないらしいが。
「食べちゃった……って」
やや遅れてゆっくりとフリーパレットの方を向いたシンシアが問いかければ。
「シンシアさんは無理をなさらず……私がお話しを聞いておきます」
正純はそっと背中をさすってやってからフリーパレットの方を向きなおす。
「ぼくたち ぼくたちのふね 食べられた。
しずんじゃった このした ぼくたち みつけて
たすけて さむいよ」
「この下……」
船、食べられた――その発言が正しいのなら、水没船があるのだろう、この船の浮かぶこの下あたりに。
「分かりました。見つけてきます……だから、少しだけ待っていてください」
正純がそう言えば、それっきりフリーパレットはその場で動かない。
「正純さん、大丈夫ですか……?」
「何がです?」
「ええっと……その……たしか、貴女は……」
言い淀む少女にはどこか心配そうで。
食べられて沈んじゃった――つまりは水没船だ。
そして正純は――
- <深海メーディウム>また抱き上げてほしいから。完了
- GM名春野紅葉
- 種別通常
- 難易度NORMAL
- 冒険終了日時2022年09月05日 22時15分
- 参加人数8/8人
- 相談7日
- 参加費100RC
参加者 : 8 人
冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。
参加者一覧(8人)
リプレイ
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「沈没船の中に眠るご遺体……暗くて寒い場所から引き上げて差し上げたい、です」
小さくてを包むようにして握りしめる『ひだまりのまもりびと』メイ(p3p010703)がぽつりと。
(メイの大切なねーさまは、深い森の奥。自然に囲まれて穏やかに眠っている。
お船の人たちも、穏やかに眠れる場所に連れて行ってあげたい)
小さな手に思いを籠めて、メイは小さく。
「ん。頑張るね、ねーさま」
優しいねーさまの笑みに押されるように顔を上げた。
「これが宝探しであれば、気持ちも上向きで向かえるのですが。
……せめて、一人の取り残しもないように。みなさんを無事に送り届けたいものですね」
そういう『蒼騎雷電』イルミナ・ガードルーン(p3p001475)のカメラアイが水面を映す。
波をうつ海は穏やかで、それまでの苛烈な息を潜めつつある。
「……ふむ、まぁ、普通の人は水中では生きていけませんしねぇ。
この結果もやむなし、ですか。あまり気分のいい話でもありませんがね」
2人に答えたのは『不屈の障壁』ベーク・シー・ドリーム(p3p000209)である。
ベークのような海種であるならともかく、他の種族であればそれは難しい事だ。
「水の中ならオイラに任せとけ!ばっちり遺体を引き上げてきてやるぜー!
ファニー! シフォリィ! オイラ達でガンガン引き上げていくぞー!」
出番だとばかりに元気よく声をかけた『生イカが好き』ワモン・C・デルモンテ(p3p007195)が振り抜けば。
「おう、冷たい海の底に置いてけぼりは寂しいだろうしな」
頷く『スケルトンの』ファニー(p3p010255)は襟元を正してから静かなる海を見下ろした。
その視線が不定形のフリーパレットを見て微かに立ち止まったのはほんの一瞬の事である。
「フリーパレット達の言葉はどこか寂しいものですが、
せめて安らかになれるように送ってあげなくてはいけませんね……」
不定形のようでありながら定形を持つフリーパレットに視線を送る『白銀の戦乙女』シフォリィ・シリア・アルテロンド(p3p000174)は落ち着きを取り戻した水面を見下ろす。
「船と共に沈んでから、誰にも気づかれずにずっとここの冷たい水底に居たのね……
なら、知った私達が引き揚げて、皆を陸上に帰してあげないとね?」
常夏を思わせる船の上との違いを思って『銀青の戦乙女』アルテミア・フィルティス(p3p001981)はふと視線を巡らせる。
「そうですね……水没船の中でさぞや苦しく、さぞや無念であったでしょう。
一刻も早く見つけ、救い出さねばなりせん」
アルテミアに頷いたのは『燻る微熱』小金井・正純(p3p008000)だった。
「……ところで、正純さん」
だがアルテミアにはそれよりも気になることが合った。
「え? なんでしょう」
それは先程から小さく正純が震えていること。
「ホント大丈夫なの? 無理したらダメよ?」
とても正常な状態には見えないのだ。
「えぇ、本当に……ご無理はなさらないでください。
……震えてらっしゃりませんか」
アルテミアに頷いたのはシンシアである。
どこか少女の視線には心配そうなどこか優しい印象がある。
「ち、ちがいますよ、おふたりとも。
これは決して慣れない海の中に入るのが怖いとかではなく武者震いですから!
その優しい目をやめてください!」
「…………」
「ええと、でも、その、海に入る時だけ手を繋いでいただいても?」
「はい。お任せください。ふふ」
「?」
「いえ、以前は私が手を引いてもらったなと」
零すように微笑んだシンシアがふるふると首を振る。
正純はシンシアの手を取った時の事を思い出して、納得したように手を取り、ゆっくりと海の中へ。
飛び込んだ船の下、あまり遠くはないのだろう海底はここからでも既に姿が見えている。
どこからか光が差しているらしく、沈没船の位置を確かめるのに時間はかからない。
それよりも問題はまるで船を守るように――あるいは船を塞ぐように泳ぐ6体のシャチのような存在。
「見つかっては大変ですね……固まって動きましょう」
「あそこに岩礁があるわ。出来る限り物陰伝いに移動できるところまで移動しましょう」
シフォリィに頷いたアルテミアが周囲を見渡せば、岩陰らしき物があった。
ひとりでに光るその岩は辺りが比較的明るい理由の一つであろうか。
「そんじゃあ、周囲の探査はオイラに任せてくれ!」
続けたのはワモンである。
センサーでも張り巡らせるように海水の動きに集中しているようだ。
「今のところ、気付かれてないみたいだぞ!」
ワモンの言葉にイレギュラーズは一斉に泳ぎ出す。
●
迂回を経て水没船へと至る道のりにおいてはシャチ型の深怪魔に気付かれることなくすんでいた。
「無事にたどりつけましたね……まずは遺体を優先しましょうか」
シフォリィは船体へと近づいていく。
商船を思わせる船はかなりの大きさがある。
船自体の破損の関係で外の光が差し込んでいる場所も多そうだ。
そのまま、破損した船体の方へと近づけば、小さな魚の群れがビュンと泳ぎ去って行った。
「どうやら魚の住処になっている部分のありそうですね……」
「ふむ、何事もなく見つかるといいのですが……」
辿り着いた水没船、ベークが小さく呟く。水没船の傷は深そうだ。
食べられたとフリーパレットが言っていただけあり、船底が食い破られたような跡が幾つかここからでも見える。
「まぁ、お願いもされたことですし、遺体は頑張って回収しましょう」
変化した状態のまま、泳いで船の中へと潜り込んだ。
「名前や写真など個人が特定出来るような物があれば優先して回収しましょう。
……どれだけ昔に沈んだかは分からないけれど、もしかしたら遺族が存命である可能性もあるからね」
「そうですね……個人の判別が難しくても遺品があればしかる人に渡るようにしたいですね」
アルテミアとイルミナは近しい判断の元、個人の特定しやすそうな遺品の回収も試みていた。
「ここ、暗そうですね! 暗視があって良かったです」
イルミナはそっと扉を開いた。
水に押されたように押し開かれた扉の向こうでしゃれこうべがひとつ。
「……やはり、個人の特定は難しそうです」
その有様に改めて予測が当たっていたことを理解して、イルミナは小さく息を吐いた。
アルテミアはその様子を見ながら思案する。
「イルミナさん。ここは頼めるかしら? 私は少しだけここを離れるわ」
「分かりました。おひとりで大丈夫ですか?」
「ええ、直ぐ終わるから」
言ってから、アルテミアはその場を後にすると帰り道とは異なる場所に向かってそそくさと歩いていく。
「ここなら陰になって気づきにくいでしょうし、この辺りが良いかしらね……」
存在する岩陰にこっそりと取り付けるは星夜ボンバー。
(効果はあっても一瞬でしょうけど、やってないよりはマシね)
取り付けた仕掛けを確かめてから、頭上を見上げる。
遊泳するシャチたちはまだ気づいた様子を見せない。
「うーん、ここ、立て付けがわるいな」
ワモンは船室へと入る入り口の一つで首を傾げていた。
何かが引っ掛かったのか、沈む際に壊れてしまったのか、その船室の扉は中々にかたかった。
「……おおっ? うぅん……なんかありそうな気がするな!」
透視してみればその向こう側は暗いながらも広い空間があるように見える。
立て付けの悪い扉をこじ開けるべく身体を大きく叩きつけた。
「……」
正純は見つけた遺体の方へとそっと手を合わせて祈りを捧げていた。
(貴方達に再び星の導きがありますように)
小さく祈りの言葉を紡いでから、そっとその遺骨を拾い上げる。
大人の物であろうそれを、そのまま回収していく。
「今から海の上にお連れするですよ。かえりましょうです」
メイは祈りを捧げていた遺体へとそっとそう告げ、顔を上げた所でその遺体が着ている服を見た。
「これは……ペン?」
首をかしげ、そっとペンを見てみれば持ち主らしい名前が彫られている。
「これは無くさないようにしないといけないのです!」
これさえあれば、引き上げた後に遺族を探すのはかなり楽になるだろう。
「怖かったよな、もう大丈夫だ」
ファニーは見つけた遺体を思わず抱き寄せていた。
子供の物であろうか、比較的小さな遺体は保護者であろう遺体に抱きしめられるようにしてそこにあった。
「ごめんな、俺様が肉付きなら温かみも感じられたかもしれねぇんだけどな」
思わず口を吐いた言葉に、思わず肩をすくめる。
「こういう時ばかりは、骨だけの自分の身体を憎むぜ」
浸りそうになった感傷から意識を取り戻すと、2体をそのまま運び出す。
●
「よーし、遺体や遺品の回収はばっちりだな!
それじゃあ運搬チームはなるたけ敵にみつからねーように気を付けながら引き上げるぜー!」
回収を終わらせたワモンが言えば。
「えぇ、そうですね。速く引き上げましょう」
シフォリィは頷生きつつ、顔を水面の方へ上げる。
どうやらまだ気づかれていないのか、シャチたちは頭上を回遊する。
(いえ、なんでしょうこの感じ……不自然な気がします)
「ワモンさん、エネミーサーチは本当に反応してませんか?」
「うん? 別に反応してないぜ!」
一応ワモンへと聞けば、首を傾げたワモンはそう返すと、シフォリィの方から視線を外してシャチ型深怪魔たちの方へ。
「多分まだ気づいてないんじゃ……」
言いつつ、ワモンもまた、不自然さに気付いた。
「うーん……なんだ? 取りあえず、もしも時は頼むぜ! 囮班のみんな!」
「あぁ、さっさと引き上げてやろう」
ファニーも頷いて、運搬班の3人は一斉に跳び出した。
その時だ。ファニーの頭蓋骨を響くような痛みが襲う。
それは攻撃の類ではなく――
「エコローケションか!」
ファニーが思わずそう言って、同時、ワモンが声をあげる。
「気づかれたみたいだぜ! っていうか、元々気付いてたみたいだなー!
オイラ達が獲物を取って動きが鈍るのを待ってたのか!」
エネミーサーチが警鐘を告げた。
「――行きます!」
シフォリィは自らの抱えられるだけの遺品と遺体を抱えるや、一気に速度を跳ね上げた。
跳ね上げられた圧倒的な機動力、竜宮の加護を用いたその超常的な加速力は止まることなくシャチたちを突っ切って海上めがけ飛んでいく。
ファニー、ワモンもそれに続けど、海底に存在する遺体の数はまだ少しある。
もう一往復は必要だろうか。
『キュゥイ! キュィ!』
深怪魔の声らしいものが響きだす。
「――このタイミングかしら」
同時、アルテミアは準備し終えていた爆弾を起爆する。
強烈な閃光と爆音、波が辺りに響き渡る。
それを受けて煽られたようになったシャチたちが一斉にそちら目掛けて混乱した右往左往した後、3匹が別れてそちらへと泳ぎ去る。
『キュゥゥィ!!』
爬虫類のような鱗を持つ一回り大きな深怪魔が声をあげる。
他の深怪魔たちを諭すような声に応じて、深怪魔たちの動きが落ち着いていく。
「いかせませんよ……全力で、足止めさせていただきます」
ベークは深怪魔たちの前へまで泳ぐと、自ら自らの身体に加護を降ろす。
それ同時に振りまかれたベークから漂う香りに深怪魔たちが明確に彼を『餌』と認識する。
「……いいんですけど、痛いのは痛いので数を減らせるならそれに越したことはないです。
皆さんお願いします」
殺到してくるシャチを一匹の鯛が誘導していく。
「はいっ! もうひと踏ん張りです!」
メイは言うと同時に魔術を引き起こす。
ベークを獲物と認識したらしきシャチたちの眼前を光が瞬いた。
それは破邪の光、瞬く聖光。
指輪を媒介にした温かな光がシャチたちに散りばめられる。
「ごめんなさい! でも、あの人たちの方にはいかせないのです!」
「シンシアさん、フォローお願いします!」
「はいっ!」
正純は弦を引き絞ると、竜宮の加護を降ろす。
「――今回はあなたがたに構ってはいられません」
放たれた矢は深怪魔たちの真下から一気に放たれる。
美しき鋼の楽団が奏でる演奏は苛烈に深怪魔の身体を穿ち、反撃の魔術が降り注ぐ。
けれど、それらはすべて、海の潮流に押し流され正純にまで到達することはない。
「今回は撤退までの時間を稼げさえすれば十分。
それなら――狙いは一つ!」
イルミナは一気に海中を跳び出した。
瞬く間に爬虫類のような鱗を持つソレの側面を取ると、テールム・アルムム・ルークスが駆動する。
美しき青のエネルギーを刃のように伸ばしていく。
「一気に攻め立てるッス!」
描くは青き閃光。多重に残像を生み、それらすべての軌跡が青く輝き映える。
海に溶けること無き青の輝きは三度に渡ってシャチの鱗を削りちぎる。
追ってきたシャチが食らいついてくる。
気の循環により傷を瞬く間に癒すと、食らいつかんとする深怪魔の顎を体捌きで受け流す。
「元気ですね……ですが僕も簡単に食べられるつもりはありませんよ……」
攻勢だけ考えたような深怪魔たちの攻撃は確かに痛くはあるものの、母なる海の加護――あるいは呪いとベークの誘導によりそれほどの傷には至らない。
運搬班が再び海上へ向かっていく。
それを見て、ベークは視線を周囲に向ける。
「そろそろ良いでしょうか……退きましょう」
『キュゥゥイ!』
深怪魔の声――追ってくるかと思えば、そんなことはなく彼らは海のどこかへと泳いで消えていく。
●
2往復を経たイレギュラーズはその後すぐに船を出してもらっていた。
ファニーはフリーパレットに近づいていた。
「痛かったよな。寒かったよな。もう大丈夫だ。安心しておやすみ」
そのまま、そっとその身体を抱きしめた。
「ありがとう」
「ありがとう」
「あたたかい」
「あたたかい?」
骨の身体、体温などあろうはずの無いファニーにそれを感じ取ったようにフリーパレットはそう言って、やがてほどけて行く。
後に残されたのは竜宮幣のみ。
「しかし、あの深怪魔はどうしたんッスかね?」
イルミナが首を傾げる。
明らかにあの深怪魔たちはまだまだ余裕があった。
「……まるで『遺体を奪われたら戦っていても意味がない』みたいな切り替え方だったッス」
それは『命令に忠実であり続ける』ロボットという存在が基礎に存在するイルミナだからこそ考えられる違和感だった。
「あの深怪魔には明確な命令系統がある……と言う事ですか?」
イルミナの呟きにシンシアが首をかしげてくる。
「そうっスね。その可能性はあるッス」
「あの者たちがシャチということを考えると群れのようなものがあることは不思議ではありませんが……」
正純はそう言いながら前回の事を振り返る。
そう言えば、あの時、あの深怪魔は別の魔物へと指示を飛ばしていた。
(つまり、彼らにはそう言った能力がそもそも備わっている、ということでしょうか……)
思案しながら、嫌な予感がするのだった。
フリーパレットと遺体へと祈りをささげたメイの視線にふと少女が映る。
(そういえば……あの人はねーさまと会ったことがあるんだっけ。
おねーさまのこと、落ち着いたら聞いてみよう)
そんな気配に気づいたのか、シンシアが振り返るのが見えた。
成否
成功
MVP
状態異常
なし
あとがき
おつかれさまでした、イレギュラーズ。
遺品は無事に遺族の下へと送り届けられたようです。
そして明らかに意図を持った動きを見せる深怪魔の思惑は一体……といったところで今回は終了です。
MVPはアルテミアさんへ。
爆弾を利用した時間稼ぎが無ければもう少し傷は増えていたでしょう。
GMコメント
こんばんは、春野紅葉です。
フリーパレットたちの遺体を見つけにいきましょう。
●オーダー
【1】水没船から遺体を引き上げる。
●フィールド
・海中
どこからか光の差す海、底の方に水没船が存在しています。
海面部と水没船の間、6体のシャチ型深怪魔が回遊するエリアがあります。
これらの深怪魔はスルーしても構いませんが、気付かれれば当然の如く襲われます。
非戦スキルなどを駆使して潜り抜けるか、或いは戦闘で潜り抜けてください。
・水没船
商船を思わせます。座礁の後と思しき傷や何かの生き物に壊されたような傷が見受けられます。
なお遺体は既に完全な白骨となっています。
遺品も見つかるかもしれません。
●エネミーデータ
・『冥府の渚』オルシヌス・オルカ〔プリム〕×1
シャチの姿ですが、どことなく爬虫類(あるいは竜)のような鱗を持つ深海魔です。
他のオルシヌス・オルカに比べて一回り程大きめであり、大きさに比例して知性も高そうです。
恐らくは群れ的な集団におけるリーダーです。
強靭な牙と膂力を駆使した戦闘を基本とする一方、魔術的な能力を持ちます。
高いHP、物神攻、命中を持ちます。
半面、意外と守りについてはあまり強力ではありません。
【毒】系列、【出血】系列、【痺れ】系列、【混乱】、【呪殺】などのBSを用います。
またその牙には【必殺】属性が加わる時もあります。
・『冥府の先行者』オルシヌス・オルカ×5
シャチ型深怪魔です。
全体的なフォルムは空から見た時、水面に映るであろう範囲は水面のような深い青、
海底から見上げた時に見える範囲は煌く陽光の如き白で構成されています。
普通のシャチと異なるのは鮫のような肌と鼻先の一本角。
高いHPとAP、物神攻、EXAを持ちます。
半面、意外と守りについてはあまり強力ではありません。
【毒】系列、【痺れ】系列、【呪い】、【混乱】、【狂気】、【呪縛】、【呪殺】などのBSを用います。
また、その肌から【反】を持っていると考えられます。
●友軍データ
・シンシア
イレギュラーズです。
皆さんより若干ながら力量不足ではありますが、戦力として十分程度です。
怒り付与が可能な抵抗型反タンクです。上手く使ってあげましょう。
●特殊ルール『海中戦闘』
当シナリオでは完全な海中での戦闘となります。
後述特殊ルールの他、水中戦闘などの非戦スキルがあれば判定に上方修正が加わります。
無い場合のペナルティはありません。
●特殊ルール『三次元戦闘』
当シナリオは完全な海の中での戦いのため、
三次元的な戦闘時に特殊なスキルを持つ必要はないものとします。
逆に言えば、敵も三次元的に攻撃してきます、ご注意を。
例:敵の上の方から見下ろすように攻撃する、真下の位置から攻撃する、など
●特殊ルール『竜宮の波紋・改』
この海域では乙姫メーア・ディーネ―の力をうけ、PCは戦闘力を向上させることができます。
竜宮城の聖防具に近い水着姿にのみ適用していましたが、竜宮幣が一定数集まったことでどんな服装でも加護を得ることができるようになりました。
●特殊ドロップ『竜宮幣』
当シナリオでは参加者全員にアイテム『竜宮幣』がドロップします。
このアイテムは使用することで『海洋・鉄帝・ラサ・豊穣』のうちいずれかに投票でき、その後も手元にアイテムが残ります。
投票結果が集計された後は当シリーズ内で使える携行品アイテムとの引換券となります。
※期限内に投票されなかった場合でも同じくアイテム引換券となります
●シレンツィオ・リゾート
かつて絶望の青と呼ばれた海域において、決戦の場となった島です。
現在は豊穣・海洋の貿易拠点として急速に発展し、半ばリゾート地の姿を見せています。
多くの海洋・豊穣の富裕層や商人がバカンスに利用しています。また、二国の貿易に強くかかわる鉄帝国人や、幻想の裕福な貴族なども、様々な思惑でこの地に姿を現すことがあります。
住民同士のささやかなトラブルこそあれど、大きな事件は発生しておらず、平和なリゾート地として、今は多くの金を生み出す重要都市となっています。
https://rev1.reversion.jp/page/sirenzio
●フリーパレット
カラフルな見た目をした、海に漂う思念の集合体です。
シレンツィオを中心にいくつも出現しており、総称してフリーパレットと呼ばれています。
調査したところ霊魂の一種であるらしく、竜宮幣に対して磁石の砂鉄の如く思念がくっついて実体化しているようです。
幽霊だとされいますが故人が持っているような記憶や人格は有していません。
口調や一人称も個体によってバラバラで、それぞれの個体は『願い事』をもっています。
この願い事を叶えてやることで思念が成仏し、竜宮幣をドロップします。
●情報精度
このシナリオの情報精度はBです。
依頼人の言葉や情報に嘘はありませんが、不明点もあります。
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