シナリオ詳細
再現性アーカム:模造
オープニング
●1920年※※月※※日、アーカム
練達――探求都市国家アデプトには再現性東京と呼ばれる区画がある、イレギュラーズたる君達はこの場所の事をよく知っている筈だ。学校と称される施設が在り、旧き良き昭和の時代が流れ、バブルの象徴が蔓延り、1990の終末論が謳う、この世界を。少し前に崩壊してしまった再現性倫敦などは記憶に新しいだろうか。それならば、ここにひとつの可能性を創ってしまおう。とある旅人曰く。
――ヤグサハ、これはこれは、面白そうな技術じゃないかい。
――折角機会を得たんだから、再現しない方が勿体ないだろうさ。
コペルニクス的回転を纏った恐怖とは結局のところ娯楽に過ぎないのだ、と、局外者の群れが騒いでいた。鏡に映り込んだ、異常なまでの美貌が混沌を手招いている。
――では、歓迎のアイスクリームと謂うこうじゃないか。
――チーズスフレやチョコレートも添えてやろう。
我こそが神意、神意こそが我々。
駒形切妻屋根が列を為し、ミスカトニックの河沿いで遊んでいる。彼方に見えたのは大層ご立派な建築物で住民の口からはあそこは学び舎なんだと放たれている。ふと、目を横にやったならば破風窓の睥睨に魔女の嗜み、素晴らしき哉、この世界にもシアエナガが存在するのだ。ちちち、ちちち、可愛らしい鳴き声が耳朶を擽る。
――昔と少しも変わらぬ、伝説に満ちたアーカム!
――この神秘に引き籠もる事こそが至上の幸福なのだ。
いらっしゃい、アンタ、何処かで視た貌だね。夢の中で遭ったかい? それとも、不思議な方程式を解いてしまった口かい? まあいいさ、今日も明日も、※年だって寛いでくれよ。楽しみ給え、嗚呼、愉しみ給え……。
●カフェ・ローレット
どぶどぶとホイップクリームに侵されたカップが絶望していた。
オラボナ=ヒールド=テゴスに呼び出されたイレギュラーズ達はどうにも嫌な予感を覚えて仕方がない。
「Nyahahahaha!!! いや、貴様等。私の事は如何でも好いのだよ。重要なのはこの『練達』で『アーカム』を創ろうとしている輩が居たと謂う現実だ。まあ――今のところは特に問題は起きないだろう。それとも貴様は発狂するのが好きなのか? 止めはしない!」
真っ黒い、大きな『それ』は哄笑しつつ、ぐびりと冒涜的なものを丸呑みした。卓上に置かれた地図を指差したらにんまりと蠢く。
「再現性アーカム、1920年代の架空のアメリカとでも謂うべきか。旅人ならば解るかもしれん。今回の依頼はまあ、ただの娯楽だな。別に【脅威が存在しているワケ】ではないのだ。貴様が望まない限り! Nyahahahaha!!!」
腸から一冊の本がこぼれた、※※※※・※※※※※※・※※※※※――。
「肩の力を抜き給えよ、貴様。登場人物にでもなった気分で行き給え」
- 再現性アーカム:模造完了
- NM名にゃあら
- 種別カジュアル
- 難易度NORMAL
- 冒険終了日時2022年08月25日 22時05分
- 参加人数4/4人
- 相談7日
- 参加費100RC
参加者 : 4 人
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参加者一覧(4人)
リプレイ
●デウス・エクス・マキーナの散策
再現性東京、その虚に内包された希望ヶ浜の光景をカメラ・アイに写し込んでみせた。魅入られたかの如くに羅列する、逸脱として夜妖の不定形具合が制御下に落とし混まれていく。彼方と此方に如何様な差が在るのかと、『蒼騎雷電』イルミナ・ガードルーン(p3p001475)はぐりんと頭を回し、先程まで捲っていた地図を反芻する。ああ、正直に言ってしまえば『よくわからなかった』のが現実だ。昔と少しも変わっていない伝説的なアーカム。そんな過去なんぞレコードには刻まれていないのだ。怪異的な妄想、アーティファクトじみた明滅、愈々、駒形切妻屋根に歩み寄る……オラボナさんからは別に、この街を創ろうとしている人を探せ、等と言われたわけではないですし――そうとも総ては散策のお話だ、シナリオ通りに沿っていれば兄弟など涌かない。
アイス・クリームを舐りながら昏々と予定を積んでいく。魔女の家の噂にちょっとした好奇心を覚えたが、成程、厭な予感とはこういう狭間にやってくるのだろう。代わりに思い付いたのは図書館での趣味嗜好、街の歴史なんかを紐解いてしまえば『愉しさ』見出せるに違いない。何せ、こんなにも美しい数多なのだ、ミスカトニックの河が身体の奥へと音、注いでくれる――戸口を前にしてぎぃ、と挨拶してみた。
隙間を忘れた棚の群れがオマエを歓迎していた。お目当ての歴史コーナーとやらは思った以上に近く、観光客向けに仕上がっている様子か。製作者のこだわりってやつが垣間見えたりするかもッスね。しかしオマエ、これは本当に架空なのか? 何処かで『視た』ような気がしてならない――ワクワクと表現すべきかドキドキと発狂すべきか。
神と人は無意識的に繋がりを持ちたがると賢者が呟いていた。異にさまよった歯車が油を知り、回転を始めている。この本のタイトルは何ッスかね――人類機械化計画、その全貌について――いやいや、真逆、歴史に関するとは思えない。これはSFか或いは怪異譚の皮に在るべきだ。じっとりと汗ばんでいる、すべすべとしたインクの染み……。
元の場所に戻すべきだ。記憶喪失に悩まされた教授ではないのだから。機体にはメンテナンスが必要だと、偉大なる……。
●B.L.Tサンド
頭を垂らしたのが『しろがねのほむら』冬宮・寒櫻院・睦月(p3p007900)なのか、暗闇なのか、塑れすらも曖昧なのはデジャヴとやらの仕業に違いない。壁の中に這入り込んだ、鼠の無い人貌がクツクツと嗤い駆けている。聞き間違いではないのかと頭を再び傾けたなら、正解、Nyahahaの甲高さが脳髄を掻き回す。どうしてかな、初めて会った気がしませんね。ずるりと覆い隠すかのように反芻したアーカム、ひとりよりふたりのほうがきっと『たのしい』と思ったのです。ええ、ええ、強制はしません、ふふ。こんなにも共生が似合う輩は知らないと真っ黒いものがプルプルと震えた。真逆、真逆、今度は倫敦ではないロンドンにも貌を晒し給えよ――不愉快にも嘲って魅せたロジャーズに乾杯のオンド、輪舞へと引っ張られるなら、誰かさんも来てほしかったのに――惨事に待ち合わせだとお手紙を出した、それで、森の奥の甲殻類には届いたのか?
旅行へ行くときはいつも胸がワクワクしますね。素敵な響きに導かれて、ボタボタと知らない土地を踏んでいく。解せない風俗に塗れながらも期待感をいっぱいに吸い込んでいく。相応しい肺臓を持っていた事に感謝しながら潮の加減を理解して、ああ、海の近くなのですね。それじゃあ此処は再現性※※※※※と謂う可能性も。兎も角、地図を見ながら波止場を散歩しましょう。ぶんらり、ぶらりと、何処かから、酔っ払い爺の歌声が聞こえる。そう謂えば小腹がすきました。サンドイッチでも食べませんか?
黙々、立ち食いは行儀が悪いとホイップ・クリームが怒っていた。それでは座って食べましょう。もごもご、小さな船着き場に腰をおろして――オマエがおろした其処は円筒ではないのか――雄大で深い深い、海をぼんやりと。ぶらぶら脚が人のものではなくなりそうな予感。そう、パン屑に群がる可愛らしい小魚……あれは小魚なのか? 異厭、オマエが塑うと想うならば小魚だろうよ。ギルマン・ハウスの連中は現、お昼寝中だ。
フライング・ダッチマンの戯言と碑を抱くお魚さんを相手に大立ち回りだと、オマエは『伴侶』から聞いていた。忙しくて忙しくて、抱いてもくれない寂しさが、この群青に似ていて溜息が漏れる。それでも、海はよいものです。何が眠っているのか、愉しみで楽しみで、たまらないと謂うもの……うみねこのなく頃になったら帰りましょうか。
オマエ、此処で帰るとは勿体ないとは考えないのか。まだ赤き真実に囚われたくはないのですから――病的な暗渠に足元を掬われないよう、頭をコツン、と。
●ク・リトル・リトルの血縁
練達にアーカムを創るなど、ひどく浅はかで、冒涜的だと『納骨堂の神』シャーラッシュ=ホー(p3p009832)は腐敗を呑んだ。夜妖、真性、その他を孕み落とす結果になるだろうと、想像する事は容易い。重ねてこれを実行すると成ると『あれ』以外には思い付かないのだ。正直に謂ってしまえば忌々しい極まる、病的なほどに使いっ走りな無貌しか浮かばないのだ。人を揶揄うことや箱庭遊びが大好きな者の仕業なんでしょうね。ええ、間違いありませんとも。何せ『あれ』は壁の中の鼠の頭を触手でつつくのが趣味なのですから――もしかして君、ボクのファンじゃあないのかい、そんなに悪態吐いたって兵器しか出てこないよ――思考に這入ってこないでください、燃やしますよ。おお、怖い恐い。還ってくれないかこの暇神めが……。
深呼吸――折角のアーカム、全力で観光しないと愉しさ半減、何処か燥いだ遊園地ほどに目をやらなければ勿体ないか。何よりも今は『これといった問題が起きていない』のも事実、いや、さっきの横槍は隅に置いておくとして、お目当ての場所にずるり、行こうではないか。どうやら近場にある画廊で個展が開かれているようですね――おや、貴殿、お若いのに鑑賞とは勉強熱心ですね。インスタントキャリアでの溶け込みが活かされていく。そう、そうなんだよ、最近の連中はやれ絵具をぶち撒けて悪夢などと面白くも無い……。
忠実な再現で在るならば、オマエの望んでいた絵画も存在している筈だ。そう、伝説、御伽噺にも『出てこない』醜悪を模写した一枚。おや、噂をすれば――今回の目玉と紹介されたのは『食事をする食屍鬼』、オマエが最も『好いている』グロテスクだ。一度も共感されたことはないが、素晴らしいデッサンだと頷ける……。
この絵の作者はですね、作風から画家仲間に距離を置かれ、挙句には画壇から会員資格を剥奪されたと聞いています。画壇は彼を追放しましたが、私は彼を歓迎していますよ――おや。違いますね。私は彼を歓迎しますよ。ええ、気にしないでください。今のはただの独り言ですから――蒼々としていた誰かさんは早々苦早、何処へと失せていった。そう、忘れていただいて結構ですよ。忘れてくださった方が幸福です……。
ああ……時計をちらり、定めたならば『もうこんな時間』だ。楽しくて時が経つのもすっかり忘れていました。気付いたら近くには臭気塗れの腕、ゴツゴツとした地下の、盲々とする取り替え子――貴殿ももうお帰りなさい。そろそろお暇させていただきましょう。
捲り終えた聖書が絶えず、息を殺していた。
●悪魔の指先
真っ白いヴェールを剥がす前に、※※※※※の地下、悪魔に使役されている地獄の鳴き声を倣うと好い。極々とした方向を指差したならば、テケリ・リ、アルビノ鳥類が謳う。そんな支離滅裂とした世界観の事など端っから調べず、『挫けぬ魔弾』コヒナタ・セイ(p3p010738)は堂々とアーカムを歩んでいた。そう、世の中には『見てはいけないもの』がたくさん存在している。背後に聳える尖塔、横っ面に犇めく不可解な家、魔女の言辞が掛かった、暴力的な計算機――何もかもは見えていないのだ。望まない限り私は衣食住すらも頭の中から放り出すでしょう。基本的な諸々が前後左右へと放逐されていく。あれは子牛だ、※※※※へと運ばれていく仔牛だ、いよぅ兄弟、こんなところで何やってんだ。生憎と今日は碑が倒れちまってね……?
深淵を覗く者は、深淵の目を知って異ながら、不意に落としてしまうものだ。隠蔽策に拘り尽くして自ら坐している死体と成り果てる。そうとも、違和感が働き過ぎているのだ。惰性で在ろうと努力してもついつい、美味そうな匂いに攫われる。あれは夜鷹の嗤い声か? 集るようなウィップ・アーウィルに魂を啄まれる……。
危ない橋は渡らないよーっ、と。軸合わせが難しくなればなるほどに、最早、鴉は嘴を紡ぐ他ない。キャラクター性を追いかけたとして、オマエ、主人公にそのような楽園が有ると思ったのか。ん……今何か、横切ったような――臭い物に蓋をしていたのがいけなかった、それこそ、旧支配者の接近に気付ける唯一の……。
樽状の何かしらを転がした所以は結局のところオマエの気紛れでしかなかった。いやまったくオカシナ展開だとは考えられないか。ここは確か再現性アーカム、アメリカ、マサチューセッツ州、セイレム近辺の類なのだ。それがナントカピムの冒険だなんて。ハッハ、真逆、マサカ、ボクのヘラヘラじゃああるまいし――種籾、肩にひっついてあっちが正しい道なんだと高原をさすらう。オイオイ、当てるべき場所をもう少し絞ってくれないか『悪魔』さんヨ――クスクスやかましいゼリー状の不可視の吸血鬼……。
序章で悪魔に撃たれるなんて真っ平だ。
流転するが儘。
ノースサイド……ダウンタウン……イーストタウン……。
リバー……フレンチ・ヒル……。
成否
成功
MVP
なし
状態異常
なし
NMコメント
にゃあらです。
再現性アーカム、その他。
このシナリオは基本的に『PC一人での描写』を予定しています。
●再現性アメリカ1920、マサチューセッツ州、アーカム
再現性東京を視て真似したくなった何者かが『創った』街です。
1920年代とはしていますが色々な『時代』が混在しています。
あなたが思った事こそが再現性アーカムで起きた事となります。
何かを『望まない』限りこのシナリオは平和に終わります。
●目標
再現性アーカム観光。
正気で戻ってくる事。
大学やらもぐり酒場やら街の散策やらが出来ます。
大学には図書館もあるそうです。
その他、思いつく限り。
●狂気
あなたが望むのであれば『正気ではない』出来事に巻き込まれる事も可能です。
ここは再現性アーカム、魔女や化け物、神の類が蔓延っている『場合』もあります。
●サンプルプレイング
旅人A
「これは――嘘だろ? アーカム? フィクションがこんな形で出来るとは驚きだね。取り敢えずアイスクリームでも貰おうか」
アイスを食べながら街を散策します。
たくさんの猫が寄って来たらミルクのお裾分け。
「妙な事には首を突っ込まないよ。まだ俺は正気でいたいからね」
純種B
「私は図書館に行くわよ。なんだか面白そうな本が見つかりそう。すみません、そこの司書さん。魔術に関する本はないかしら? ない? 本当に――?」
さっきあそこのおじさんが妙な顔して私の事見てたのよね。なんだか怪しいわ。ちょっと追跡してみましょう。
あら、図書館の奥に隠された部屋があるなんて素敵じゃない。こっそり近づいて鍵を開けるわよ。
まあまあ、何かしらこの本。死霊秘宝ですって。
――いや、嘘よ。こんなの嘘に決まってるわ。
でも、確かめてみないと勿体ないわよね……?
●情報精度
このシナリオの情報精度はLです。
情報精度は低めで、不測の事態が起きる可能性があります。
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