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シナリオ詳細

<Stahl Gebrull>武人は機将の動力に

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング


 鉄帝国南部の街ノイスハウゼン上空に現れた、伝説の浮遊島アーカーシュ。
 この地へと百年前に至った第一次探索隊の子孫が鉄帝へと降りてきたことでその存在が明らかになった。
 鉄帝国はイレギュラーズと協力することで、子孫の住むレリッカを拠点としてアーカーシュの探索を進めていた。
 この浮遊島には、超古代には高度な精霊都市が存在したことが判明し、順調に調査は進む。
 しかし、その最中、鉄帝の調査団に不和が生じる。
 特務大佐パトリック・アネルは特務派という派閥をつくり、軍務派とは異なる行動をとり始めたのだ。
「鉄帝国は最終制圧の為、鋼の進撃(Stahl Eroberung)作戦を決行したのさ」
 集まるイレギュラーズに、『海賊淑女』オリヴィア・ミラン(p3n000011)が現状について簡単に振り返る。
 その作戦によって、『ショコラ・ドングリス遺跡』と、魔王城『エピトゥシ城』の制圧を行うことになったのだが、魔種となったパトリックは部隊を率いてイレギュラーズに攻撃を仕掛けていた。
 これを撃退したかに見えたが、パトリックは遺跡の奥でアーカーシュにおける最高権限(システム・メタトロン)を掌握してしまった。
 アーカーシュから放たれる超高温のエネルギー砲。それはラトラナジュの火と称されるもの。
 その砲撃は巨大なクレーターを作り出す。これが街に放たれればひとたまりもないだろう。
『私はパトリック・アネル、鉄帝国の次期皇帝となる男だ!』
 彼は無数の古代決戦兵器を展開しつつ、帝都スチールグラードへの進撃を宣言。
 これを止めるべく、『鋼の咆哮(Stahl gebrull)』作戦が開始されたのだ。

 さて、パトリックを抑える為には、展開される古代兵器をどうにかせねばならない。
 降下してくる多数のゴーレムが地上へと至る前にその機能を止めてしまいたいところ。
「アンタらにはワイバーンを駆ってこれらを撃退してほしいのさ」
 オリヴィアが撃破を願うのは、天空機将アルトラアームズを中心とした小隊だ。
 ハイアームズ1体と武装の異なるセレストアームズ3体がおり、それら全てを叩く必要がある。
 それらの情報を提示しつつ、オリヴィアが唸る。
「しかし、アルトラアームズのエンジン……」
 それは、人の魂とある。
 果たして誰の魂を利用したのか。
「…………」
 マルク・シリング(p3p001309)は話を聞きながら、先日の依頼で対した特務派軍人の小隊長を思い出す。
 できるなら、今度は共闘したいものだったが……。
 そうは考えつつも、マルクは胸をざわつきを抑えられずにいたのだった。


 少し時を遡る。
 先の作戦において、イレギュラーズを止めるよう命を受けていた小隊長パッセ。
 それを成し遂げられぬまま、彼は上司であるパトリックの元へと戻っていた。
「申し訳、ありません……」
 深く頭を下げる鉄騎種の青年。
 彼とて、数々の戦いを潜り抜けており、刀や銃の扱いはもちろん、鉄騎種として機械となった四肢で数々の敵を叩き潰してきた。
 そんな彼がここにきて迷いを抱く。
 このタイミングで同胞やイレギュラーズと敵対する理由は何か。
 先日対峙したイレギュラーズもそのまま従っていていいのかと問いかけていたではないか。
 ……しかし、パッセは小さく頭を振る。
(いや、一回の兵卒である私達にそのような詮索は不要)
 軍人はただ駒として、作戦を敢行する為最善を尽くすだけ。
 パッセが他の特務派軍人と話す機会があればまだ違ったかもしれない。
 だが、彼はそうせず、パトリックへと直に進言することを選んでしまった。
「パッセ……貴様に新たな命令を下す」
 全ての進言を聞き入れぬパトリックが下した命。それは、天空機将のエンジンとなること。
「そ、それは……!」
 抵抗しようとするパッセだったが、彼はパトリックに心酔する軍人らによって強引に捕まれ、いずこかへと連行されていったのだった。

GMコメント

 イレギュラーズの皆様こんにちは。GMのなちゅいです。
 今回はマルク・シリング(p3p001309)さんのアフターアクションによるシナリオですが、残念ながら共闘は叶わぬ状況となってしまいました。
 浮遊島『アーカーシュ』の機能を掌握し、鉄帝へと宣戦布告するパトリック大佐。
 憤怒の魔種となった彼は進言する部下の意見にも耳を貸さず、逆に兵器へと転用して騎兵の一部としてしまいました。
 悲しき兵器となり果てた彼を救う手立ては皆無。新たな被害を生み出す前にこの場で終わらせていただきますよう願います。

●状況
 場所はアーカーシュ地上部の上空。
 パトリックの起動した超兵器が多数飛ぶ中、これらを破壊することが目的です。
 なお、空中での戦いとなることもあり、飛行手段が必須です。自前のワイバーンがなく飛行スキルもない方はこのクエスト限定でワイバーンを借りることが可能です。
 パンドラ復活は問題ありませんが、戦闘不能(ワイバーン含む)は戦闘から強制離脱となりますので予めご了承下さい。

●敵×5体
 全長3~5mほど。いずれもアーカーシュ遺跡深部に眠る古代の防衛兵器。ジェット機能を所持しており、飛行可能です。

〇アルトラアームズ(天空機将)×1体
 パトリックによって機動させられており、そのエンジンとして人の魂が利用されます。今回の場合は、現状について思うことを進言したパッサ小隊長を利用したようです。
 ハルバードを武器として所持する他、ビーム薙ぎ払い、連装ビーム砲、機関砲と隙のない武装で攻め立ててきます。

○ハイアームズ(天空闘騎)×1体
 下記のセレストアームズよりも戦闘特化の個体です。こちらは別動力で動いているようですが、詳細は不明です。
 格闘戦に優れ、四肢を伸ばして殴りかかる他、相手に絡めて電流を流して動きを止めることも。
 また超高熱の細いビームを発してくることもあり、油断なりません。

○セレストアームズ(天空機兵)×3体
 以下が各1体ずつ登場。
 「<Stahl Eroberung>立体は巡り合う」で登場する個体が飛行能力を得ただけで機体差はほとんどありません。

・斧タイプ……力強い近接攻撃を得意としています。
・槍タイプ……素早い突撃と得意としています。
・機関銃タイプ……遠距離攻撃を得意としています。

●情報精度
 このシナリオの情報精度はBです。
 依頼人の言葉や情報に嘘はありませんが、不明点もあります。

 それでは、よろしくお願いいたします。

  • <Stahl Gebrull>武人は機将の動力に完了
  • GM名なちゅい
  • 種別通常
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2022年08月31日 22時06分
  • 参加人数8/8人
  • 相談7日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

セララ(p3p000273)
魔法騎士
レッド・ミハリル・アストルフォーン(p3p000395)
赤々靴
マルク・シリング(p3p001309)
浮遊島の大使
フルール プリュニエ(p3p002501)
夢語る李花
ルクト・ナード(p3p007354)
蒼空の眼
日車・迅(p3p007500)
疾風迅狼
祝音・猫乃見・来探(p3p009413)
祈光のシュネー
秦・鈴花(p3p010358)
秦の倉庫守

リプレイ


 鉄帝上空に浮かぶ浮遊島アーカーシュ。
 その地上部、さらに上空に向け、イレギュラーズは飛翔する。
「……初めての空の戦いで緊張っす」
 『赤々靴』レッド・ミハリル・アストルフォーン(p3p000395)は跨るタイニーワイバーンへと「よろしくねっす」と挨拶して優しく撫でると、心地よさげに鳴いて応えてくれた。
 なお、今回のメンバーの多くはその身一つで浮遊する。
 例えば、『蒼空』ルクト・ナード(p3p007354)は従来の仕事でも空戦を行っており、今回も己の翼……「【偽翼】タイプJⅡ」で挑む。
「飛行戦闘は地上と違って色々と面倒ですので、なるべく落ちないようにしないと」
 『夢語る李花』フルール プリュニエ(p3p002501)もまたその身一つで飛行していたが、視線の先のマルク・シリング(p3p001309)は飛空探査艇を操縦する。
 そのマルクは身に着ける「いと白き太陽の翼」によって、周囲の仲間達が空中でも自在に飛び回ることができるようアシストし、さらにこれからの戦いでマルクは仲間と息を合わせて攻撃できるよう備えている。
(マルクおにーさんに合わせて動くことになりそうだし、離れすぎないようにしなくては)
 飛行しながらの戦いによるデメリットもマルクが軽減してくれる為、フルールは彼の飛空調査艇の傍を飛ぶよう心掛ける。
 上昇を続けるメンバー達は程なく、それらを捕捉する。
「早く全てを壊して先陣を切ろうーっす!」
 迎え討つは、大きく空を速く飛び回る古代兵器とレッドは気合を入れるも、どこからか何かが聞こえて。
「……? ヒトの声のようなものが聞こえなかったっすか?」
 レッドが仲間達に問いかけるが、皆険しい顔で改めて耳を澄ます。
 た……け……。
 一隊を率いるアルトラアームズから響いてくるそれは駆動音によるものか、エンジンの魂の叫びか……。
「アルトラアームズ……その燃料には贄が必要だと聞く」
「あのゴーレムの動力が、人……」
 その上で動く戦闘用の兵器だと、ルクトは把握している。それを聞き、鈴花が刹那悲壮感を漂わせる。
「……気に入らないな」
 そこで、ルクトはぼそりと本音を漏らした。
「セレストアームズの動力に人の魂? 精霊を動力に、というのは聞きましたし、あり得なくもないのでしょうか?」
 アームズを破壊すれば、魂はどうなるのだろうかとフルールは疑問を呈す。
 少なくとも、動力源となった者を止めれば、生き返ることはない。
「何方の魂かは分かりませんが、信じて付き従った結果が燃料とされる事とは……悲しいことですね」
「特務派の誰かはわからないっすけど、魔種の操り人形のままというのも哀れっす」
 『疾風迅狼』日車・迅(p3p007500)は面識のない相手とはいえ、忠義を尽くしたはずの相手からのあんまりな仕打ちに小さく首を振る。レッドもまた知らぬ相手に、憐みを見せていた。
「パッサ小隊長さん……できれば人である内に会いたかった」
 助けることができなくてごめんなさいと、『祈光のシュネー』祝音・猫乃見・来探(p3p009413)もまた見知らぬ相手ではあったが、助けられなかったこと、助ける術が自分にないことを詫びる。
「パッセさん、貴方は敵であっても尊敬に値する軍人だった」
 一方で、この場で唯一面識のあるマルクが出会った際の印象を語る。敵にするには惜しい人物だった印象だったが……。
「その命が、こんな形で使い捨てられて良いはずがない……!」
「覚悟の上であればいいのですが、そうでないのなら……いえ、これ以上はやめましょう」
 憤りを見せるマルクに同調する迅だったが、もう確かめようもないことだとすぐに首を振る。
「これ以上苦しみを増やさないようにする事だけを考えましょう」
「きちんと壊してしまって、囚われた魂を解放して差し上げないといけませんね」
「……せめて、終わらせるよ。苦しいのが長いの、きっといやだと思うから……」
 迅の主張に、フルール、祝音がアルトラアームズ破壊に静かな闘志を燃やすと、敵との距離を詰めつつ戦闘態勢をとる。
 目標捕捉、破壊……。
 こちらに狙いを定めた敵もまた、それぞれの機体が散開して攻撃に適した位置取りをし始める。
「アーカーシュの皆を守るため、そして鉄帝の首都への攻撃を防ぐため。アームズ達はここで撃破するよ!」
 『魔法騎士』セララ(p3p000273)が意気込みを大声で語ると、皆頷く。
 戻せる手立てがないなら、アタシ達ができるのはちゃんと眠らせてあげること。鈴花は静かに告げてから声を荒げる。
「空でアタシに喧嘩売ったこと、後悔させてやるんだから!」
「彼の尊厳の為に、安らかな眠りのために。必ず、あれを倒そう」
 マルクは仲間との連鎖攻撃に備えると、起点となるべく準備を整えていた迅が傭兵風米粉タコスを食べ終えて。
「あの方を早めに楽にしてあげられるよう、全力で拳を振るいます!」
 そのマルクと連携し、迅は仲間達の反応側を引っ張り上げるべく立ち回り始めるのである。


 アーカーシュ上空で、アームズ一隊とイレギュラーズの光線が始まる。
 イレギュラーズは迅、マルクを中心にある程度固まった位置取りで布陣していて。
「それじゃ、先に……。とっても美味しいドーナツだよ。10秒で食べてね」
 セララは迅へとおやつ……ボンデリングドーナツを差し出して食べるよう促す。
「タコス食べたばかりなんだが……」
 連続しての食事に迅も戸惑いながらもそれを完食する。
 かきこんで食べただけの効果は余りあり、反応速度に能率を高め、万全な状態で交戦に臨む。
「美味しい上に強いからドーナツは最強無敵のお菓子だよね」
 胸を張るセララは彼の強化を見届け、アームズへの攻撃を開始する。
 他メンバー達は彼らの準備が整うのを待つが、2人が攻勢に出るまでは素早い。
 接敵してくるアームズ一隊が布陣を整えきる前に、攻撃の起点となるメンバーが攻め込む。
「まずは、斧の機体から狙いましょう」
 迅は高めた速度で相手が攻撃態勢に入る前に強襲する。
 敵の真下へと潜り込み、一気にそいつを頭上へと迅が跳ね上げれば、ニンジャインストールを自らに施したセララは圧倒的火力のセララブレイクを叩き込む。
 ピーガガッ。
 多少挙動に影響があったようだが、やはり機兵とあってなかなかに頑丈だ。
 マルクがやや後方からケイオスタイドを使い、この世界の根源的な力を泥と化して浴びせかける。
 その後、メンバー達から立て続けに攻撃が浴びせかけられる中、レッドは改めて、彼女にとってお気に入りの国、鉄帝を護る為に頑張るぞーっすと気合を入れて。
「パトリック………いいえ魔種、敵の凶行を打ち破るにもまずはこの戦いを制していかないとっす!」
 相手の挙動はすでにギクシャクしている。
 こちらの攻撃の間隙に斧を振り下ろしたところで、レッドが魔導具インヴィディア・デライヴから精神力を弾丸と化して撃ち込む。
 その直後、鈴花も仕掛けていて。
「空中戦は下手すると被弾して落ちかねないからね。速攻でボス以外を仕留めるわ!」
 その考えもあって、彼女は空中を動き回りながら、同じく動き回る仲間達を支援できる位置につく。
 鈴花は敢えてチームの作戦である連鎖行動には乗らず、タイミングを見て攻撃に出る。
 空中から360度攻撃できるこの状況。敵は水平方向に狙うだけでなく、その分味方を巻き込む可能性も減る。
「いくわよ、巻き込まれないでちょうだいね!」
 破滅の楔を突き出し、鈴花は膨大な魔力を弾丸として撃ちだすと、弾丸は斧の機兵だけでなく、次なる優先撃破対象である槍の機兵までも貫いていた。

 イレギュラーズは流れるようにマルクの連鎖行動によって皆が素早い迅と合わせてアームズらへと攻撃を仕掛ける。
 敵もメンバーへと手痛い一撃を繰り出してくる。特にアルストアームズは空中でもジェットを噴射させて自由自在に動き、ハルバードを振るってくる。
 たす……けて……。
 至近まで接近すれば、声ははっきりと聞こえた。
 皆時折、アルストアームズを気掛けながらも、取り巻きの討伐を急ぐ。
 変わらず、手数で攻める迅、相手の回避を減衰させるべくセララが仕掛けた直後にマルクが続く。
 再びマルクが顕現した泥は多くのアームズへと浴びせかかり、ダメージと合わせて運気を大きく下げる。
 戦いは能力もさることながら、運がない者は戦場であっさりと命を落とすとも言われる。
 運気の低下した槍機兵は明らかに大振りした攻撃で態勢を崩すなど、動きに精彩さを欠いてしまう。
 相手の状況を見て、ルクトは複数の敵を捕捉し、多連装ミサイルポッドを展開して。
「好きには立ち回らせんぞ」
 炸裂するミサイルは敵を足止めし、さらに引火させてその体を燃やす。それによって、ルクトは敵の連携を断ちやすくしていた。
「僕も続くよ」
 仲間達が態勢を崩していないか、逐一チェックしていた祝音も連携を切らさぬよう魔術を組み上げる。
 発動させた術は気糸が鋭い刃となって敵の体へと食い込む。
 いかに相手が鋼鉄とおぼしき身体をもった機兵であれど関係ない。祝音の気糸はやすやすとその体を切り裂き、その傷口からエネルギーと思しき何かを空中へと放出させる。
 複数の機兵が体勢を崩す中、フルールもまた複数を穿てる位置から紅蓮の鳳凰を放つ。
 すると、槍機兵が煙を噴き出し、浮力を失って落下していく。
「まだ敵は3体います。このまま行きましょう」
 敵の落下を見届けたフルールが仲間に呼びかける。次なる敵は機関銃を武装として持つ機兵だ。


 機関銃を乱射させてくる機兵は唯一遠距離攻撃を主体とするアームズ。格上2体は遠近使い分けて攻撃することもあり、距離をとろうとするのが印象的である。
 それもあって、機兵を狙おうとすると、ハイアームズ、アルトラアームズ2体が邪魔をしてくるのが鬱陶しい。
 そこで、鈴花がそれらの引き付けに当たって。
「ほらほら、撃ち落としてみなさいよ!」
 鈴花は防御に難を抱えるも、その分反撃によるダメージも大きいと想定して準備をしてきている。
 脆いと自認する鈴花だが、そこは仲間が落ちぬようにと想定して準備してきたメンバー達だ。
 祝音、マルクが福音をもたらすことで、鈴花の傷が深くならぬよう癒しをもたらす。
 おかげで、鈴花も気兼ねなく敵を引きつけていた。
 時を同じくして、ルクトが主武装「神鳴神威」で機関銃の機兵を狙い撃つ。
「空戦用に機動性能はかなり高めたからな」
 10発程度しか撃てないが、その間に仕留めればいいこと。ルクトは敵に突撃しつつ、スピードを乗せた雷撃の一撃を見舞う。
 ピーガガッ、ガ……。
 強力な雷撃を全身に駆け巡らせ、回路が焼け付いた機兵は墜ちていく。
 ブロオオオオオム。
 機兵が全て墜ちても、格上のアームズ2体はなおも交戦を続ける。
 ハイアームズ……天空闘騎はすでに墜ちた3体よりも強力な攻撃を仕掛ける。
 四肢を長く伸ばして叩きつけてくる闘騎はイレギュラーズの範囲攻撃を喰らってなお、四肢を絡めて電流を放つなど、柔軟な戦いができるのはさすが戦闘特化個体というべきか。
 だが、イレギュラーズの戦法は変わらず、速攻で相手を叩き伏せるもの。多少闘騎の性能が高く、傍にさらなる格上のアームズがいたとしても、数の劣勢を覆すことができず。
「思考回路を更に狂わせてあげるっすよ!」
 相手が満足に動けぬよう仲間が攻撃しているが、レッドも合わせるように敵に向けて終焉の帳を下ろす。
 ブロ、ブロロロロロ……。
 こちらも他の機兵と同様に機能不全を起こしたのか、傷口から黒煙を上げ始め、高度を下げる速度を速めていた。
 これで残るはアルトラアームズのみ。
 たす……けて……、た……すけ……て……。
 何度も聞いていると、その内部から響いてくる声が聞き取ることができるように。
 とはいえ、繰り出してくる攻撃はハルバードだけでなく、連装ビーム砲や機関砲と広範囲に高威力の砲撃を放ってくる。パトリックが部下を犠牲にしてまで機動させたのはそれだけの戦力を備えていたからに他ならない。
「動きを止めねばなりませんね」
 自由にさせていると、それだけでこちらが撃墜される可能性が高まると、迅はその巨体を真下から強く跳ね上げ、続けざまに連撃を浴びせかけることで相手の機動力を削ぐ。
「今です。一気に行きましょう」
 マルクもまた仲間達へと号令を発しつつ、他のアームズ同様に泥を浴びせかけていく。
 こんな兵器を放置するわけにはいかない。兵器としては間違いなく、その運命を漆黒に塗り替えて葬り去るべき。
 だが、強引に魂をエンジンとさせられたパッセ小隊長は別だ。
「パトリックは鉄帝の首都を砲撃しようとしてるんだ」
 セララは聖剣を構え、そのパッセへと呼びかけを行う。
「もしキミに意識が残ってるならお願い! パトリックを止めるために協力して」
 その刃に空から落ちてくる雷を聖剣の刃に受け止め、セララはアルトラアームズへと切りかかりながらさらに呼びかける。
「鉄帝の皆を守るために!」
 雷光を纏ったセララの斬撃がアルトラアームズへと浴びせかけられる。
 …………。
 刹那、声が止まった気もしたが、機体はなおも砲弾を放ってくる。
「動力は胸部でしょうか。それなら……」
 身体が無事とは限らないとは、フルールも分かっている。それでも、無事ならきちんと戻してあげたい。
(……できるでしょうか)
 僅かな間、躊躇してしまうフルール。
 ただ、ここまでうまくいっている仲間達の作戦を成功させる為と我に返り、神秘的破壊力を一点に集約して渾身の一撃を叩き込む。
 神秘力を重点できるとはいえ、かなりの力を要するフルルンブラスターも、フルールはこれだけの戦いで幾度か使用している。
 た……す……けて……。
 それでも、アルトラアームズは止まらない。
 前線で立ち回るメンバー達へと長く発射してビーム砲を薙ぎ払い、イレギュラーズの体を焼き、切り裂かんとしてくる。
「大丈夫だいじょうぶ、もう少しの辛抱っす!」
 レッドは太陽を背にする位置で敵に目眩しを計った後、騎乗するワイバーンを元気づけつつ応援歌で癒し支える。
「誰も倒れさせたくない……回復は怠らないよ、みゃー!」
 祝音は傷が深まる仲間達の手当てに尽力し、聖体頌歌を響かせる。
「……苦しかったね。君をこんな風にした奴の思惑になんて従わないよ」
 同時に、祝音はパッセへと呼び掛ける。呼び声を発していないのがせめてもの救いか。
 状態を立て直したレッドはアルストアームズにも紫色の帳を下ろし、その機体に不吉と終わりを伝える。無論、内部の魂を解放するためだ。
「もういいから、ゆっくり眠りなさい」
 続けて、鈴花が黒い顎をけしかけて食らいつかせる。
 ついにアルストアームズも動きが鈍ってきていたが、銃砲を構えてきたこともあり、再度攻撃の起点となるメンバー達が動く。
(もう起動できないよう……確実に、墜とす)
 気力が厳しくなっていた迅は拳による突きを正面から叩き込み、ルクトがせめて楽にしてやろうとスピードを乗せた雷撃を繰り出す。
「……それがせめてもの弔いになるだろう?」
「せめて、安らかに眠ってほしい」
 マルクもまたここぞと一点集中させた神秘の極撃をアームズの腹部へと与えた。
 空中へと幾つもの轟音がこだました後、アルストアームズは。
 たす、かっ、た……。
 そんな言葉を残し、徐々に堕ち始める。
 すかさず、鈴花は精霊疎通で風の精霊に力を借り、胸部のコアらしき場所を掴む。
「地面に叩きつけられたら、きっと中にいた魂も痛いもの」
 それ以外の場所が落下していくのを認め、迅は最後まで見届けられたと安堵するのだった。


 全てのアームズを討伐することはできたが、イレギュラーズは神妙な顔をしたまま新たな作業を始める。
「アルトラアームズの起動手段は魂だと言うが、それをどうやって抽出しているのか。他のアームズの動力も不明だな」
 ルクトは疑問点を挙げ、それらが少しでもわかればとアームズの残骸について回収、調査を進めることに。
「……体は、残っているのかな」
 祝音は遺体が残っていないかと捜索すると、アルトラアームズのコクピットの残骸らしき所にそれらしき姿が確認できた。
「魂がどうなっているのか分かりませんが……安らかに眠れますように」
 祈りを捧げるメンバー達。
 最後の相手が我々で良かったと思ってもらえれば、そんな想いを迅は吐露する。
 その後、祝音は遺体を鉄帝国に弔ってもらうよう希望したいと口にする。
「遺族にさ、届けてあげたいんだ」
 浮遊島へと落下したアルトラアームズの残骸から、パッセの遺品となる物がないかとマルクは探す。
 機体の内部から、発見された軍人の階級章。それは最後まで彼が軍人であったことを示すもの。
 ただ、すでにその階級は2段階上がっており、それだけでもパトリックの思惑が感じられる。
「命を道具のように使うなんて、赦せませんよ」
 さすがにやりすぎたパトリックに、フルールは静かな怒りを燃え上がらせる。
「彼の魂を、癒せたら……」
 ――奇跡が起こせたなら、可能だろうか。
 悲しみに包まれた祝音の言葉に何も言うことができぬまま、メンバー達は事後作業を進めていくのだった。

成否

成功

MVP

マルク・シリング(p3p001309)
浮遊島の大使

状態異常

なし

あとがき

 リプレイ、公開です。
 MVPは連鎖攻撃に、仲間の飛行ペナルティ軽減と貢献度の高かったあなたへ。
 今回はご参加、ありがとうございました。

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