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シナリオ詳細

<深海メーディウム>虚ろなる残影

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●<深海メーディウム>虚ろなる残影
 シレンツィオ・リゾートは賑わっている。
 先の竜宮幣に関わる一連の公約や、サマーフェスティバルなど。
 人々に熱を灯す欠片が数多に煌めいていたからだ――しかし。
「ぐッ――! だ、だめだ沈むぞ! 逃げろ――!! 総員、退艦――!!」
 シレンツィオに纏わる問題は未だ残っていた。
 魔物達である。近頃、シレンツィオを騒がせている魔と言えば深怪魔(ディープ・テラーズ)と呼ばれる未知の者共……連中を追い払う事出来る神器の一片が、先述した竜宮幣であり、故にこそ集める事が重要であるとされていた。
 しかし。豊穣からシレンツィオへと向かっている船へと襲来した者達は『違った』
 いや魔物であるという枠組みでは間違いではないのだろう、が。
 その姿は――あまりにも――
「う、嘘だろう……? ありゃあまるで、伝説に聞く『竜神』じゃあ……!」
「神使達によって封じられたんじゃなかったのか!?」
「と、とにかく逃げろ! もう船は限界だ――!!」

 ――ォォオオオ――

 天に届くが如き唸り声。
 その姿はまるで――かの大竜、リヴァイアサンを思わせるが如くであったのだ。
 奴らは滅ぼす。海を我が物顔で通過せんとする無礼者達を。
 矮小なる者達よ。ここをどこと心得るか――
 直後。放たれるのは鋭き勢いを宿した波の力の一片。

 かつてリヴァイアサンが放った様な『海嘯』であったとか。


「――豊穣の船が魔物に襲われた?」
 そして後日。ローレットへと緊急の依頼が舞い込んだ。
 シレンツィオに向かう船が幾度か『竜』に襲われているのだという――
「……まさか。竜が出る筈がない。亜竜か何かの間違いだろう?」
「私もそう思います。しかし……襲った魔物達の姿は……
 まるで噂に伝え聞く竜神――其方の言葉ではリヴァイアサンの様な陽炎であったとか」
 まさか、と。また同じ言葉が漏れてしまった。
 そんな筈はない。イレギュラーズと死闘を繰り広げたかの滅海竜は未だ眠りに付いているのだ。目覚めた筈はない。故に偽物であろう……実際、話をもっと詳しく聞いてみれば、巨大にして神威を感じたリヴァイアサンとは似つかない程のサイズであるらしいし、それも複数体目撃されているという。
 間違いなく偽物だ――しかし。
 この海の主は元々、奴だ。
 その海でリヴァイアサンを模した個体が出現するとは……何かの前触れであろうか。
「いずれにせよシレンツィオに運ぶ荷があるのです。護衛して頂きたく」
「まぁそれは構わないが……ちなみにどの辺りでソイツらは出てくるんだ?」
「そうですね。地図の上だと――およそこの辺りでしょうか」
 と。依頼人がイレギュラーズへ指で示したのは。
 シレンツィオと豊穣の狭間の海域だ――
 待てよ? そう言えば、たしかこの辺りには……
「……聞いた話だと、亜竜種の隠れ里があった様な」
 なんと言ったか……あぁそうだ『天浮の里』だったか。
 リヴァイアサンを信仰するという亜竜種達の隠れ里。その付近の海域でリヴァイアサンの姿に似た魔物が……? なにやら無関係とは思えないが、しかし。今回に関しては海底にまで行く余裕はあるまい。まずは商船の護衛に専念するか。
 厳密には豊穣の船だけではなく、海洋にしろ、ラサや幻想にしろ――
 シレンツィオへと赴かんとする船が襲われている、と言う事だ。それは、まるで。
「海域を渡らんとする者達に……憤怒する様な声を聴いたという報告が挙がっています」
「……ますますリヴァイアサン『らしく』振舞うもんだな。魔物程度が」
 ――この海は我のモノである。
 ――立ち去るがいい小さき者共よ。
 ……そんな声が響いたともされている。
 事実か。それとも只の幻聴か。
 知らねども。そんな意志を宿す魔物達を指して……被害に遭った者達はこう呼称した。

 虚ろなる滅海竜の紛い物――虚滅種(ホロウクレスト)と。

GMコメント

●依頼達成条件
1:敵勢力の撃破。
2:護衛船『高富丸』が撃沈されない事。

 両方を達成してください。

●フィールド
 シレンツィオと豊穣の狭間に存在する『天浮の里』……の付近の海域です。
 時刻は夕方。灯りに関しては問題ないでしょう。
 風も穏やかです、が。後述する虚滅種が現れると天候が少し乱れてきます。

 商船を護衛し、彼らを撃退してください――!

●敵戦力:虚滅種(ホロウクレスト)『ウムブラ=レ=ヴィ』×15体
 虚滅種と呼ばれる怪物たちです。
 なんとなくですが――その姿はかつての大竜リヴァイアサン……と似ている気がします。勿論『なんとなく』姿が似ているだけでリヴァイアサンそのものでは無いのは間違いありません。そもそも複数体確認されていますし、言うなれば姿を模した幻影でしょうか……

 小型が14体。大型が1体います。
 いずれも近場の船を落とさんと狂暴に襲い掛かってくる様子を見せています。攻撃方法としては鋭い牙や強靭な尻尾で敵を払ったり、波を押し寄せる様に操る『海嘯』なる技をも使用してきます。
 概ねどちらも似たような戦い方をしますが、大型の方が明らかに強いです。
 『海嘯』の範囲や威力も大型が上で貫通属性もあります。
 更には大型の海嘯は【麻痺】や【凍結系列】のBSを付与する事が在る模様です。ご注意を。

●護衛船『高富丸』
 豊穣よりシレンツィオ方面へと向かっている商船です。
 中型程度の船で、多くの荷を積んでいる様です。
 船自体に攻撃能力は無いようですので、可能な限り守ってあげてください。

●天浮の里
 海底に存在する亜竜種達の隠れ里です。
 本シナリオでは、天浮の里には赴かない為直接の関係は在りませんが……かの里ではリヴァイアサンを信仰しているとの事。その里の付近の海域でこのような魔物が出てくるとは、何か関係が在るのでしょうか……

●特殊ルール『竜宮の波紋・改』
 この海域では乙姫メーア・ディーネ―の力をうけ、PCは戦闘力を向上させることができます。
 竜宮城の聖防具に近い水着姿にのみ適用していましたが、竜宮幣が一定数集まったことでどんな服装でも加護を得ることができるようになりました。

●特殊ドロップ『竜宮幣』
 当シナリオでは参加者全員にアイテム『竜宮幣』がドロップします。
 このアイテムは使用することで『海洋・鉄帝・ラサ・豊穣』のうちいずれかに投票でき、その後も手元にアイテムが残ります。
 投票結果が集計された後は当シリーズ内で使える携行品アイテムとの引換券となります。
 ※期限内に投票されなかった場合でも同じくアイテム引換券となります

●情報精度
 このシナリオの情報精度はBです。
 依頼人の言葉や情報に嘘はありませんが、不明点もあります。

  • <深海メーディウム>虚ろなる残影完了
  • GM名茶零四
  • 種別通常
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2022年08月27日 22時05分
  • 参加人数8/8人
  • 相談7日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

エイヴァン=フルブス=グラキオール(p3p000072)
波濤の盾
フェルディン・T・レオンハート(p3p000215)
海淵の騎士
アクセル・ソート・エクシル(p3p000649)
灰雪に舞う翼
エレンシア=ウォルハリア=レスティーユ(p3p004881)
一ノ太刀
チェレンチィ(p3p008318)
暗殺流儀
ミヅハ・ソレイユ(p3p008648)
深き森の狩人
ユーフォニー(p3p010323)
ドラネコ配達便の恩返し
ガイアドニス(p3p010327)
超合金おねーさん

リプレイ


 リヴァイアサンの影――? まさかそんな筈はないと『海淵の騎士』フェルディン・T・レオンハート(p3p000215)は思考を巡らせるものだ。かの竜は……確かに封じられた筈であり、それは今も尚変わっていない筈だ。
「……そう。数々の、犠牲の上で……だけれどもこの気配は……一体どういう事だ?」
「やれやれリヴァイアサンに似た幻影、か――思い出すねぇ、あの時の戦の事を。まさか今更想像させるような連中が出てくるとは思ってなかったし、あんまいい思い出でもねぇが」
 同時。フェルディンと共に船の行く先を見据えるのは『竜穿刃』エレンシア=ウォルハリア=レスティーユ(p3p004881)である。彼女もまた『かつての戦い』を思い起こす者であれば――かの激闘は時が過ぎても尚、鮮明に思い出せるものだ。
 ……と、その時。彼女らの視界の果てに見える天候が、少し怪しくなってきた。
 敵の襲来の合図か――? そう思いて準備を進めるイレギュラーズ達。
「まぁまぁまぁ! でも大丈夫よ! 何が出てきても、おねーさん達神使いが、みんなをお守りするのだわ! と言う訳で――じゃじゃーん! 用意したわ、小型船よ! これで先行して、襲ってくる子達に立ち向かいましょうか!」
「ま、なにはともあれまずは船を護り切らないといけないしね――
 オイラ達で航路の安全を確保しに行くとしようか」
 故に『超合金おねーさん』ガイアドニス(p3p010327)が準備していた小型船に乗りて、高富丸より先行するものだ。操舵を行う一人が『灰雪に舞う翼』アクセル・ソート・エクシル(p3p000649)であり、彼の巧みな技術があらば荒波が訪れようとも問題ない。
 ……それにしても リヴァイアサンみたいな姿に、リヴァイアサンみたいな攻撃を放ってくる連中がいるとは。関係がないなら強すぎるし、関係があるのなら――それはそれで確かに不穏。
「虚滅種……ですか。ふむ……リヴァイアサンは眠りについているとはいえ、無関係という訳にもいかない感じなんですかねぇ……近くに何やらリヴァイアサンを信仰する亜竜種の里もあるという話ですし……なんとも、一体どこからどう発生したのか」
「と言ってもやる事自体は大して変わらんな。話が通じない分、海賊より厄介だが。お引き取り願えないのであれば無理やりにでも沈んでもらうだけだ――普通の魔物と対処方法は特別変じねぇさ。いつも通りにやるだけだ」
 そうですね――と『夜を斬る』チェレンチィ(p3p008318)は『波濤の盾』エイヴァン=フルブス=グラキオール(p3p000072)の言に同意するものだ。虚滅種(ホロウクレスト)なる存在に気になる所はあるが……商船の護衛が最優先には違いない。
 仲間の船に乗りて往こう。周辺の状況を注意しつつ、いつ敵が現れてもよい様に。
 ……それにしてもリヴァイアサン、か。
「……私がこの世界に来るずっと前にイレギュラーズが倒したという大きな竜、の事ですよね。虚滅種は姿や振る舞いまで似ていると……本物そのものではないんでしょうけれど、やっぱり気にはなりますね」
「ああ――っと。噂をすればなんとやら、だな」
 そしてかの大竜を見た事がない『ドラネコ配達便の恩返し』ユーフォニー(p3p010323)が思考を巡らせていれ――ば。『ヤドリギの矢』ミヅハ・ソレイユ(p3p008648)が『連中』の気配を感じ取るものだ。
 ――虚滅種。ウムブラ=レ=ヴィ……『リヴァイアサンの影』ってトコかな?
 見据えた視界の先より大量に近づいてくる水飛沫も確認できれ、ば。
「……なるほどね。ま、俺はリヴァイアサンは直に見たことはないんだけど、雰囲気や姿形だけは竜っぽい……のかな。うーん、でもやっぱりどこか違う様な気がするなぁ。只のトカゲな気がしないでもない」
 ミヅハが思考の狭間に思い浮かべるは練達に押し寄せてきた竜種が一体の姿だ。
 ――威圧感がない。竜に在って然るべきの、プレッシャーとも言うべきモノが。
 アレは只の魔物だ。或いはデカいトカゲと言ってしまおうか――
 まぁ、いい。
 連中が此方へと敵意を持って近付いてくるなら迎撃するだけだと――彼は弓を引き絞るものだった。


 放たれるは宙を穿つ一筋の矢。
 ミヅハの一撃を皮切りに事態は一気に動き出す――虚滅種達はイレギュラーズの数を上回っており、その数をもってして此方を押しつぶさんとする動きを見せるものだ。矢が着弾し、血飛沫舞う個体がいようとも恐れずに。
「よーし、行くぞ――! 気を付けるけど、振り落とされない様には気を付けといてね!」
「後方の高富丸と直線には成らない様に――此方で引きつけましょう」
「あぁ、連中の力がどの程度かまだ未知数だ……気を引き締めて行こう!」
 オイラに任せとけー! と、アクセルはチェレンチィやフェルディンに応える様に船の舵を切るものだ。気を付けるべきは敵が放ってくるであろう海嘯の類……特に巨大な個体が放ってくる一撃が、後方の商船を巻き込まぬ様に立ち回らせる。
 同時。チェレンチィらも船の動きに合わせつつ攻撃を開始。
 周囲を俯瞰する様な視点と共に――さすれば敵の動きがよく見えるものだ。敵が如何に進もうとしているか。どこを狙わんとしているか……故にチェレンチィは空を飛翔しつつ、敵らを引き付けんと立ち回る。
 フェルディンは素早くアクセルへと、船に危険な攻撃が来ているか否かの声を飛ばし、注意を促しつつ。やはり敵の攻勢を後方へと向けさせまいと、己も動こうか。後方の高富丸へと往かせぬ為に。
「さ、おねーさん達も追っ払ってきましょうか――!
 ほら! おねーさんは此処よ! 食べれるものなら食べてみなさーい!」
「さぁ、って。後は奴さんがどれだけの力を持ってるもんかねぇ」
 そしてその動きはガイアドニスやエイヴァンも務めるものだ。
 連中の気を引く様に誘導し、そのまま撃も成そうか――
 特に厄介そうな大型を確認出来ればソレを中心に。エイヴァンの一撃が連中に血飛沫舞わして。
「はっ、話には聞いてたからどんなもんかと思ってたがよ……姿形も力もあの大海竜には遠く及ばねぇ! その程度かよ! 纏めて薙ぎ払ってやるぜ!」
「っても数が多いな……まずは数を減らしてやらねえと動き辛い事この上ねぇ!」
 更に続け様にエレンシアやミヅハの撃が降り注ぐ。
 エイヴァンらが引き付けた敵をエレンシアは纏めて狙うのだ。其の一撃は次元を消し飛ばすが如く……空間諸共敵を叩き潰し斬砕さんとする――かの竜の名を騙らんとする愚か者共を。同時にミヅハも矢の雨を降らせ、連中を狙い穿つものだ。
 その一撃は敵のみを正確に捉える鋼の驟雨。
 数が多いが故にこそ効果もまた大きくなるものだ――さすれば。
『ギィィ……! ガ、ァ――!!』
「……! 来ますか、しかしそうはさせませんよ……!
 船も、命も、何も奪わせません……! 必ず護り通して見せます!!」
 痛みに歪んだ声を出し、虚滅種達も反撃の一手を紡がんとする。
 船諸共叩き潰さんと突進する者や、波を操りて砲撃とせん者――
 故にこそユーフォニーは素早く動き熱砂の砂嵐を顕現せしめよう。
 虚滅種らの動きを潰す様に。あぁ誰一人として犠牲を出させてなるものか!
『――――!!』
「まだ来るぞ――動き続けろ! 集中攻撃されれば、流石に船もどうなるか分かんねぇぞ!」
「うぉぉ――! この程度で、オイラの船に当てる事が出来ると思うなよ――!」
 それでも強引に紡ぐ一撃が船を襲わんとする――故にこそエイヴァンは声を張り上げつつ、絶対零度の冰砲撃にて敵を叩きのめすものだ。続けてアクセルも可能な限り敵の攻撃を躱さんと常に船を動かし続ける。
 ――直後、放たれた海嘯が海上に着弾すれば巨大な水柱が生じた。
 揺らぐ船体。成程、こんなモノが直撃すれば商船も轟沈するか……イレギュラーズ達に直撃しても同様であろう。リヴァイアサンそのものでは無いとはいえ――やはり侮る訳にもいかない様だ。
「うんうん、それじゃあ――今度はおねーさんの舵輪捌きを魅せてあげるのだわ!
 アクセルくん、交代しましょ! アクセルくんは思う存分、あのトカゲを殴るのよ!」
「オッケー! 今度はオイラが攻撃の番だぜー!」
「まずは小型から削って行こう――! 大型の奴は、やはり堅い上に手強いぞ!」
 故にこそイレギュラーズ達は巧みに動き続ける。ガイアドニスがアクセルと操舵を変わり、さすればアクセルは魔術を振るいて不可避の雹を降り注がせるものだ――引き付けられた者達を纏めて狙い、打ちのめしていく。
 それでも身じろぎせぬ大型の虚滅種が在らば……やはり、とフェルディンは声を飛ばす。
 小型から先に狙う様にと――光柱を紡ぎ、敵を討ちながら。
 ……間近で見ればやはりどこか、リヴァイアサンと似ている様な気もする。勿論サイズや戦闘力に関してはお話にならないぐらいの違いがあるものだ――が。『なんとなく』雰囲気がどこか、似ている気がするのだ。
 一体全体彼らはどこから現れたのか。それとも『何者か』の意図でもあるのか。
「……見過ごせないな」
 小さく呟くフェルディン。
 吶喊してくる虚滅種の一撃を受け止め、返しの斬撃を放ちながら――思考を巡らせるものであった。


 護衛対象である高富丸の被害は軽微であった――と言うよりもほとんどないと言っていい。イレギュラーズ達が小型船にて先行し、そして多くの人数をもってして敵の注意を引き付けんとしたのが大きな要因であろう。
 どちらか片方だけであれば高富丸に近寄れた敵個体もいたかもしれない。
 しかし徹底した動きこそが連中をイレギュラーズへと集中させる事に成功していた――
 勿論。数で勝る虚滅種を一挙に引き寄せれば、圧倒して楽とはいかないが。
「右舷から来るぞ――! 衝突コースだ! 衝撃に備えとけ!!」
「左舷からは『海嘯』が来ます――! 回避を!!」
 まるで次々と押し寄せてくる波の様に。
 虚滅種達はイレギュラーズ――ひいては彼らが乗る小型船に襲い掛かってきていた。味方と連携し、敵の数を減らさんと奮闘せしエレンシアの刹那の隙を突いて突進してくる敵もいれば。味方を治癒せしユーフォニーが見据えた先には力を貯めているであろう大型個体の姿も見える――
 直後に生じるは巨大な衝撃音。船体が大きく揺らぐも止む無しの攻勢か――しかし。
「連中も無敵じゃねぇ……! 数は着実に減ってきてる!!
 もう暫くの辛抱だぜ――獲物の息は必ず切れる。その時が狩り時だ!!」
「ま、最悪の場合は泳いででも仕留めに行ってやるさ。見てろよトカゲ共」
 ミヅハの射撃に、エイヴァンの攻勢が敵に放たれれば、力なく海に沈んで往く虚滅種も出始めるものだ。戦闘初期よりも明らかに数は減っており……このまま減らし続ける事が叶えば、やがて立場は逆転する。
 それまであと一歩踏みとどまる事が肝要だと。さすれば。
「どちらが限度を迎えるのが先か……試してみましょうか?
 さぁ――ボクと貴方達、はたしてどちらがこの海を駆けるに相応しいか!」
『――!!』
 チェレンチィが雷撃の如く――瞬くものだ。
 薙いでいく。小型の個体を中心に。そして見据えるのは……最も巨大な個体へと、だ。
 ――これだけが厄介だ。放たれる海嘯はやはり小型と比べて別格の威力がある。
 故に危険な動きが在らばすぐさま警告の声を出し続けてきた。
 ……が、そろそろ良いだろうと。
 小型の数も減り始めれば、奴めに集中的に――攻勢を仕掛けても!
「ホロウクレスト……正体も知りたい所だけど。今は悠長にはしてられないよね!」
「えぇ! 船員さん達にも『必ず護る』って約束してきたし――
 おねーさん、しっかりと役目を果たさないといけないわ!!」
 そして続け様アクセルは更に小形の個体共を、敵のみを焼く光をもってして薙ぎ払うものである。それでも突進してくる敵に苦しめられる事もあるが――ガイアドニスも壁として加われば、倒れるまでには至らぬ。
「ふふふ! いざとなったら泳げばいいだけだもの!
 さぁさぁ次はどの子かしら!? おねーさんが全部受け止めてあげるわ!」
 自らは泳ぎも得意だからと――どこまでもガイアドニスは笑顔の儘に在り続ける。
 例え小型船が沈もうとも、ガイアドニスは自らに力があり続ける限り立ち向かうだろう。
 高富丸は……いや、この海域そのものが儚く小さな命たる人間達が紡ぎあげた地。
 健気で愛しい。そんな子らの前で己が倒れてなろうものか!
 故にこそガイアドニスは守護する。あぁ、なにもかも愛おしくてたまらないから!
「――ッ! 敵の陣形に乱れが生じ始めたぞ……!
 今だ! 敵の頭目を打ち倒し――趨勢を此方に引き寄せよう!!」
 そして。数多の攻勢を弾き続けたイレギュラーズ達は遂に勝機を見据える。
 小型をまた一体打ち倒したフェルディンが、敵の攻勢に穴が生じたことを素早く察知したのだ。つまり――虚滅種の数がイレギュラーズ達を下回り始めたのである。こうなってしまえば戦局は一気に傾ける事も不可能ではない。
 ――今ぞ最も強き大型のウムブラ=レ=ヴィを滅する時。
 フェルディンが近場の敵を斬り捨て、ミヅハの放つ矢の嵐が道を切り拓かん。されば敵の撃を反射せしめるエイヴァンが大型の眼前にて立ち回りながら巨斧を振るい。更には巨体の身をエレンシアの一撃が削り行く。
「どうだ? 『本物』はこの程度じゃ揺らぎもしなかったぜ――やっぱ偽物はダメだな」
「今です……! 畳みかけましょう……!」
 さすればエレンシアの一撃に――虚滅種は痛みを訴えるかのような悲鳴を挙げるもの。
 直後にはユーフォニーが世界を世界で包まんとする。
 それは彼女の一手。万華鏡の如き彩波模様が数多を覆う――それでも、最後の抵抗のつもりか虚滅種は激しく身じろぐものだ。故にこそアクセルの治癒術が皆へと振るわれ……そして。
「これにて仕舞とさせて頂きましょう――
 ええ、到着まできっちりとお守りしませんといけないので」
 チェレンチィが往く。
 放つ雷撃。雷鳴の如く轟くその一閃が――虚滅種の命を、刈り取った。


 ……やがて、全ての虚滅種を討ち果たせば天候も回復しつつあった。
 虚滅種ウムブラ=レ=ヴィ。リヴァイアサンの様な気配を醸し出す個体、か。
「大海竜リヴァイアサンの幻影……には程遠かったな。
 ま、これでもう大丈夫だろうよ。シレンツィオの方に向かおうぜ」
「あぁ――つっても、暫くまだ護送は続けた方が良いだろうな
 また何時襲われるような状況も発生しかねん。
 これで全部終わり……とも限らねぇからな」
「んー確かに。リヴァイアサンとは違うからこそ、また出てくる可能性ありそうだよね……とりあえず、船の進路はそうだね、シレンツィオに向けようか!」
 然らばエレンシアは、かつての戦いには遠く及ばぬと懐かしい感覚を思い起こすものだ。
 やはり連中はリヴァイアサンなどではないのだと……まぁいずれにせよエイヴァンの言う通り、今暫くは警戒を続けておこうか。ひとまず見える範囲では片したが、他にも魔物が襲い掛かってこないとは限らぬ故。
 高富丸と再び合流した小型船はアクセル操舵の下、随伴する様に進路をシレンツィオへと向ける――
「……あの個体達は何を怒っていたのでしょうか? 危害を加えたつもりは無かったのですが……船で通過するのも良くなかったのでしょうか。それとも何か別の要因が……?」
「さてな――昔はリヴァイアサンがこの辺りを支配してたから、我が物顔で通ろうとする人間に怒ってる……って所か? 幻影だったからか、肉とか死骸が残らなかったのは残念だな――でも話を聞く限り『偶然リヴァイアサンに似た影が出てきた』ってカンジはしないな」
「おねーさんもそう思うわね! ま、今はお船を護れたから良しとしましょ!!」
 そして先の魔物を思い起こし、ユーフォニーは首を傾げ、ミヅハやガイアドニスは戦闘のあった方角をゆっくりと眺めるものだ……恐らく、連中は枠組みとしては『只の魔物』ではあるのだろう。ただ、その精神に何者の干渉も無いとまでは……限らなさそうだ、と思えば。ミヅハは、手が空いた時にまた手がかりになりそうな物でも探してみようかと思案を巡らせて。

 ……――あの威容、確かにリヴァイアサンを想起させるものだった。

 同時。虚滅種にやはり思考を向けるのはフェルディンもであった。
 偽物であるのは間違いない。だが、威容は。あの雰囲気だけは確かに似通ってもいた。
「ふむ……天浮の里、か……あまり彼女に心労をかけたくはないが」
 少し調べてみる価値は、十分にありそうだね。
 フェルディンは視線を向ける。この近くにあるとされる『その地』の方角へと――
 己が脳裏に過った『彼女』に関わりがあるかもしれぬと思えばこそ。
 決して放置は……出来なさそうであったから。

成否

成功

MVP

ガイアドニス(p3p010327)
超合金おねーさん

状態異常

なし

あとがき

 依頼、お疲れさまでしたイレギュラーズ!
 妖しげな気配を醸し出す魔は、はたして……
 ひとまず商船のしっかりと守る事が叶いました。ありがとうございました!!

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