PandoraPartyProject

シナリオ詳細

精霊馬レースしようぜ! お前キュウリ(なお機械部品取り付けOK)な!

完了

参加者 : 4 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●高速精霊馬を開発したい
「困った……人手が足りない」
 ごった返す無数の影を前に、頭を抱える女性が一人。
 黒地の記事に白い蝶と赤い曼殊沙華があしらわれた少し派手な柄の浴衣に。これまた真っ赤な柄の帯が揺れている。
 いわゆる「人間」が住む世界とはまた違った世界。
 この場にいる者たちは、基本的な見た目は人間と同じなのだが、影がなく身体が透けている。言わば「死者」である。
「なぁ、早くしてくれよ! 俺今年『初めて』なんだからさぁ」
「急いで帰って、可愛い孫の顔と成長をじいちゃんとして見守らんといかんのじゃ!」
 口々に帰宅願望を口にする死者たち。
 それもそのはず。この八月の半ばという時期は……お盆だ。
 死者たちが現世に帰ることができる、年に一回しかない楽しみ。現世の帰省ラッシュと同じようにこっちの世界でも色々人(?)がごった返すらしい。
 その死者のためのレンタカーともいえるものが「精霊馬」なのだが……。

「このままだと、数も馬力も足りん。最悪帰れぬ者も出てくるぞ」

 こういう時に必要になってくるものと言えば、技術開発と求人。
 時間がない分かなり突貫工事にはなってしまうが、致し方ない。

「そうだ、ついでにレースをやっといて馬力高いモノを優先して作れるようにするか。本当なら野菜が原料なのだが、この際機械部品を使ってもらっても構わん……至急、人員を手配しよう」

 死者の世界に機械部品とは、と思ったそこの皆様。
 細かいことをツッコんではいけない。いいね?

●なんでレースしようと思っちゃったんだよ
「うん、里帰りするのも一苦労、といったところかな」
 境界案内人カストルは今回の依頼主の求人を見て苦笑する。
 境界図書館には様々な世界についての情報がある。当然、お盆という文化についても例には漏れないだろう。
 精霊馬は本来早く帰るために胡瓜を使って馬を模したものを作るのだが……それにエンジンやギアなんかの武骨な何かがついてくるのもどうなのか、ということらしい。
 もっとも、依頼元からすれば急を要するということなので、致し方ないのかもしれないが。
「……にしても、レースまでする必要は……検証のためだから仕方ないかもしれないんだけど、さ」
 カストルは溜息を一つ吐いてイレギュラーズたちに向き直る。
「そういうわけで、君たちにはめちゃくちゃ速い精霊馬の開発をしてもらうよ。4人で1台を開発して量産してもよし、使い捨て想定で開発してもよし。要は、『早ければ何でもいい』ってこと。レースについては君たちが作った1台に対して、あっちの職員が作った3台がレースに臨むよ」
 気負わず気楽に行っておいでよ。そういうカストルの傍には胡瓜と割り箸で作られた一般的な精霊馬が置かれていた。

NMコメント

おはようございますこんにちはこんばんは。水野です。
お盆ですね。私はお盆の時にお供えされる落雁が小さいころ異様に好きでした。
さてさて、今回は精霊馬を題材にしたお話です。コーナーで差をつけていきましょう(?)

●舞台は?
 死者の世界です。とはいってもみんな身体が透けてて影がないだけであとは普通の人間と同じ見た目をしています。

●目標
 馬力の高い精霊馬を開発しましょう。
 →皆さんの開発した精霊馬は現場で大活躍の予定です。

●依頼人の女性について
 精霊馬の開発の現場責任者です。材料やらレースのコースやらはこの人に言えば大抵何でもそろいます。安心して開発に臨んでください。

●精霊馬の開発について
 野菜を何かしら使っていれば、あとは材料に金属部品を使おうがモータを取り付けようが、あとは魔法やらなんやらでスピードアップを図ろうが何しても構いません。
 また、複数回使うことを想定してもいいですし、使い捨ての想定で作ってもらっても構いません。

●レースについて
 イレギュラーズの皆さんが作った精霊馬1台に対して、職員の作ったものが3台レースに臨みます。計4台でレース1回分です。
(例)
 イレギュラーズが合計2台精霊馬を作った場合、レースは二回行われます。
 この時、イレギュラーズの精霊馬が同じレースで走ることはありません。

●サンプルプレイング
「胡瓜がめちゃくちゃ速いらしいからやっぱり基本に忠実に原料は胡瓜で。あとは乗り心地とハンドリングを強化したいから、シートとハンドルとエンジンつけちゃえ」

「空気抵抗を減らすために、ゴボウを使ってみた。使い捨て想定だからゴボウのお尻の方にジェットでもつけてみようか」

それでは、思い思いの精霊馬を作って現世まで駆け抜けていきましょう!
皆様のご参加を心よりお待ちしております。

  • 精霊馬レースしようぜ! お前キュウリ(なお機械部品取り付けOK)な!完了
  • NM名水野弥生
  • 種別ライブノベル
  • 難易度-
  • 冒険終了日時2022年08月17日 22時20分
  • 参加人数4/4人
  • 相談7日
  • 参加費100RC

参加者 : 4 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(4人)

回言 世界(p3p007315)
狂言回し
リースヒース(p3p009207)
黒のステイルメイト
エーレン・キリエ(p3p009844)
特異運命座標
柊木 涼花(p3p010038)
灯したい、火を

リプレイ

●何しても良いって言ったけどさ
「死者の魂が現世に帰る、か。混沌とは異なる考え方ではあるが、これも霊たちの為とあらば、一肌脱ごう」
 それが安らぎになるのならと、『葬送の剣と共に』リースヒース(p3p009207)は精霊馬開発に励む職員を横目に呟く。死者とは近しい者である彼には、思うところもあるのだろう。
「……さすがの俺も死後の民の面倒を見るのは初めてだが……そうだな。特急で家族の元へ里帰りできるように、何とかがんばってみよう」
 頑張るぞと『特異運命座標』エーレン・キリエ(p3p009844)意気込みを見せた。安心してほしい、死者の面倒を見るなんて機会は基本的に早々ない。
「さて、生真面目な人間なら食べ物で遊ぶなと怒ったりもするだろうが……。生憎そんな優等生だったことなんて一度もないんでな。遠慮なく楽しませてもらおう」
「そうですね……! 楽しい楽しい工作とレースの時間です! 最速の精霊馬を皆で作り上げましょう!」
 『奏でる言の葉』柊木涼花(p3p010038)が意気揚々とガッツポーズを取る傍で、『貧乏籤』回言世界(p3p007315)が頷いた。普通なら食べ物で遊ぶというのは勿論よろしくはないのだが、今回は死者が現世に帰還するために必要なことだ。
「……まあ正直ツッコミどころが多すぎて物凄く色々言いたい気分ではあるが」
 世界が周りのメンバーに聞こえるかどうかくらいの小声で呟いた時、今回の依頼人である主任と呼ばれた女性がイレギュラーズたちの前に現れた。
「今回は工数も少ない中で呼び立ててしまって申し訳ない。必要な材料については取り揃えてはいるつもりだが、足りないものは遠慮なく声をかけてくれ。手配しよう」
「ありがとうございます……! しかし、どうしましょうか、一人1台作るのがいいのか、それともみんなで1台作った方がいいのか……」
 諸々手配をしてくれるとはいえ、どうすれば効率的な開発になるのか。涼花が皆に問いかけると沈黙が流れる。求められるのは数と馬力。一人でやるよりもチームで取り組んだ方が案は沢山出るのだろうが、その分数は限られてくる。
 どうしたものかと考え込んでいる中で、沈黙を破ったのはリースヒースだった。
「私は思うのだ。車が数台あったのが一1になって更に火力を増してはならない法はない」
「なるほどな。2つの方向性から開発を試みる、というわけか。大人数を高い火力で運ぶことも、少ない人数をそれなりの火力で運ぶこともできる。大は小を兼ねると言うし、その案は良いと思うぞ」
 エーレンが頷く。提示していた要件として細かい条件は詰められていなかったし、主任もそれについては親指を立てて快諾している。
「その上で、だ」
「……? まだ何かあるのか?」
 世界が怪訝な顔をしてみているが、主任が快諾したのを確認してリースヒースは説明を続ける。
「ならば、合体変形してしまってもよいのではないか……メカに」
「メカ?」
 どうも彼は練達でそういう知識を仕入れてきてしまったらしい。
 何言ってんだ、というツッコむ世界をよそに早口で説明を続ける。
「あの世とこの世の間にはさまざまな危険があるだろう。ならば、少々……戦闘機能も付けていいのではないかと私は思うのだ」
「待て、戦闘機能をつける必要はあるのか?」
 世界に続いてエーレンがツッコミに回る。
 冷静に考えれば必要ないが、そこは主任が一瞬考えこんでGoサインを出した。
「……そこは、わかるよ。ロマンだからね」
「ロマンってだけで通しちゃってますけど大丈夫なんですか」
 その快諾にリースヒース以外の面々は驚いている。涼花に至っては思わずを上げた。
 とはいえ、やるべき仕事はやらねばならない。エーレンは一つ咳ばらいしてリースヒースに必要なパーツを訪ねた。
「主任が良しと言っているのであれば、その方向で進めてみよう。変形合体に必要なパーツを教えてくれるか?」
「取り急ぎ、運転席、タイヤ、ウィングブースター、あとは客車といったところか」
 合わせて4つ。一人1つずつで分担できそうだ。
「それじゃあ、私は運転席を。常日頃からギターを弾いて鍛えてきた手先の器用さには自信がありますから、精一杯がんばります!」
 楽しみです、と涼花は小さく、それでいて自信を見せるように笑う。
「じゃあ俺は、タイヤを引き受けよう。一つ案があるんだ」
 仕方ないな、と世界は半ば呆れた笑みを浮かべながら材料を受取りに向かう。
「であれば私は客車を。きっといいものを組み上げてくれようぞ」
 ヒースは機嫌よさそうにスキップしながら模造紙に図面を起こし始めた。
「となると、残りはウィングブースターか。やれるだけのことはやろう」
 最後にウィングブースターをエーレンが引き受ける。周りの職員たちに手を分からないことは聞きつつ、材料の選定からスタート。
 前代未聞の「変形合体精霊馬」の制作が始まった。

●作って走らそ
 まずは運転席。涼花は手先の器用さを活かして着々と運転席の制作に取り掛かっていた。
「材料は胡瓜を使いたいと思います! あとは変形のギミックが入るので、爪楊枝やアルミホイル、プラスチックで補強して……あとは、安全にも気を付けたいから、シートベルトは必須ですね。安全第一!」
 練達で走る電車をモチーフに、一つ一つのパーツを丁寧に組み上げていく。本当に工作道具だけで作ったのかと思えるくらい精巧なシフトレバーやハンドルが顔をのぞかせている。
「あとは、勇壮のマーチが流れるようにカーステレオも搭載して……うん、よし、これなら早く走れそうです!」
 音楽が好きな彼女のこだわりは、少しでも早く走るために気持ちを上げる、という点にも目が向けられている。
 次にウィングブースター。
「彩のアクセントになり、剛性のある野菜……よし、人参だな」
 ある程度の強度を必要とするという前提のもと、変形合体という性質上エーレンはあるこだわりを持って制作に取り掛かっていた。切出しとパーツの組立てたあと、そこには大きめの少し凝ったフォルムの二輪バイクがそこにあった。
「こいつの真価は、仲間と共に走るときにこそ発揮されるんだ。なお、安全性にも配慮しているぞ」
 図面の細かい部分を指し示しながら、蝶番によって縦に展開して運転席と接合することでロケットブースターが現れより加速を促すこと、縦に分割された後輪部分をブースターの左右両端部分に配置することでフラついてコースの壁に接触した時でもこれがクッション兼ローラーとなることを分かりやすく説明している。
「つまり、余程真正面から壁に突っ込まない限り、迅速確実スリリングな里帰りを提供するというわけだな」
 そんなスリリングな里帰りの走行に欠かせないタイヤを、世界は変わった方向で作ろうとする。
「ボディは小豆・砂糖・コーンスターチ・塩・水あめの5種類を素材にしたアイスを作るぞ」
 小豆は野菜にカウントするとして、中々見た目は野菜に見えないわけだが。
「タイヤは回転焼き……大判焼き?呼び方はなんでもいいだろう?ともかくそれを2つ付ける。あとは座る部分にマシュマロを、ハンドルやその他細かい部分は飴細工で仕上げて完成だ」
 野菜というよりもはやスイーツと化しているこの精霊馬を、世界は「sweet nightmare」と名付けた。
「甘そうな見た目とは裏腹に結構なモンスターマシンだ。コーナーどころか直線で差をつけてくれるぜ、知らんけど」
 そうして魔法でコーティングされた世界のタイヤ部分は、かなりの強度を誇っている。
 ただそれ歯折れない? 大丈夫そ?
 そして肝心のボディ部分を、リースヒースはカボチャで作っていた。
 まずこだわったのは乗り心地だ。リラクゼーションシート、そして戦場を把握するフルモニターも完備し、そしてもしもの衝突に備えて内部にふかふかのシートがこさえられている。フルモニターについては、何もなければ映画も見放題、ゲームもやりたい放題という至れり尽くせりっぷり。
 勿論、速度を出すためのこだわりも。所々に切れ込みを入れ、空気抵抗を少なくする方向で調整されている。
「……むう、どちらかというと、これは、……ハロウィンだな?」
 頭を抱えながらあとは足が欲しいと言いながら、その代わりになるジェットも作り上げる。

 そして迎えたレース本番。
 他の職員が作った牛蒡、葱、大根の精霊馬が並ぶ中、変形合体によって明らかにサイズ感の違う精霊馬がそこにはあった。
 合体を終えると、最後にリースヒースが仕込んでいたフィニッシュのビームがまばゆくレース会場を照らす。単純に試運転の会場なのだが、明らかに異質な精霊馬がそこにあることであたりはどよめきに包まれた。

「そ、それでは、試運転レースに参りましょう……3、2、1、Go!」

 スタートの合図が切られ同時にそれぞれの精霊馬が駆け出していく。
 彼らの作った精霊馬にくらいついてきているのは、意外にも大根で作られたものだった。
 空気抵抗も少なく、太さゆえの安定感もあるのだろうか追いつけ追い越せの攻防を繰り返している。
「いっけぇぇっ!! まけるなぁぁぁぁっ!!」
 自分たちが作った精霊馬への想いが強かったのか、涼花はいつもの彼女からは想像もつかないほど声を張って全力で応援している。
 そんな彼女の心からの声援か、はたまた爆音で流れている勇壮のマーチのおかげか……わずかに運転席部分がゴールラインを先に追い越していた。判定映像を見ても、文句なしの優勝だ。
「やった……やりましたぁっ……!」
 一生懸命な応援と、皆で頑張ったことが結果として最高の形で実を結んだことで、涼花は思わず涙を流した。

 後日、この精霊馬はある時は小回りを利かせて小さな田舎の家まで、またある時は大人数を載せて多くの親戚が集まる大きな家まで多くの死者たちを無事送り届けることができたという。
 

成否

成功

状態異常

なし

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