PandoraPartyProject

シナリオ詳細

パンジャンに乗り込んで宇宙を感じる依頼

完了

参加者 : 6 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●今から1000字に渡って文字による顔面パンチを繰り出すから耐えてね
「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!?」
 やあ皆、いま車輪状の物体に入れられて高速で転がされてるボクの名前はリコリス・ウォルハント・ローア(p3p009236)。略してリコリコ。
「リコリコではな――あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!?」
 ひょんなことから伝説の剣を抜いた途端トラックに撥ねられ異世界に幼女スライムとして転生したボクは魔導国を建国し居酒屋を開いたよ。
「息をするように嘘をつ――あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!?」
 あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!?
「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!?」
 あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!?
「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ぁぁぁあ゛んぁぁぁあ゛あ゛!?」
 あ゛ンあ゛あ゛あ゛あ゛ンあ゛ッあ゛ッあ゛ンあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ンあ゛ッあ゛ッー
「まって悲鳴でモーツァルトの春野憧れ奏でてる?」
 そうだよ。
「自分のモノローグと自分が会話するの普通におかしいんよ」
 それじゃあこうなった経緯をせつめいするね。
 それは――

 それは12歳になった夏のことだった。
 祖母のお見舞いにと母に連れられ病院へ行く。
 ボクにとって病院は飛行機のカプセルガチャが置いてある場所であって、あるいは知らない人に注射を打たれた場所であって、それ以上でもそれ以下でも無かった。
 だからアスファルトに落ちてる蝉を数えながら、まだ蝉が五月蝿くないてる日差しの下をやりすごす。そんなふうにすごすしかなかった。
 病室につくと、祖母はこちらに気がついて『いらっしゃいリコちゃん』と笑顔を向けた。
 祖母はいくつもの管に繋がれ、見たこともない機械が等間隔にビープ音を鳴らしながら画面に波形を作っている。
 祖母の顔は細く、そして頬はこけていた。目の下に隈がみえる。それでも笑顔を絶やさず祖母はいらっしゃいと、骨ばった手で手招きをしてくれた。
 ボクは母に後頭部をつつかれる形で形ばかりの会釈をして、黙って病室へ入る。すると、祖母が寝るベッドの脇にメロンが置いてあったのを見つけた。
 ボクはそれを見るやいなや『メロン食べたい! メロン食べたい!』と母の腕を引っ張り、祖母はそんなボクに優しく『いいよ、食べなさい』と声をかける。
 近くで見た祖母の手は皺のよった皮と形の浮き出た骨。そして太くて青く浮き出た血管でできていた。付け根のひび割れた爪でメロンを指さすと、『メロン大好きだもんね』と続けたのだ。
 ボクは得意満面になって『うん!』と返すと、早速もらったメロンにかぶりつく。

「まってこれ絶対今の状況に繋がる回想じゃない! あとこんな思い出ないんだけど!」
 リコリスは顔を( ‘ᾥ’ )ってするとそのままサイクロプス(突然のサイクロプス。弱点は目)に車輪もろとも激突しそして爆発した。

●上の文章を真剣に読んでしまった君。いい人生を過ごしてるな! できるだけ無駄を楽しんで生きていこうな!
 始まりはそう。幻想王国王都に昔からあるローレット酒場。本部であり酒場でありいつも形容しがたいイレギュラーズ(どうかしてるやつら)が集まってはどんちゃん騒ぎをする場所。
 ここにひとりの依頼人がやってきた。
 彼の名はネヴィル・プロシュート。笑顔の素敵な87歳。本業は小説家。副業は幻想王国海軍の退役兵(年金暮らし)。
 彼は美しい筆体でさらさらと自らの名をサインすると、受付カウンターの脇にちょこんと座ってストローカップからぶどうシェイクをずぞぞーってしてるリコリスを見た。
 そのまた横で( ‘ᾥ’ )もずぞぞーってしてた。
 ストローから口を離したリコリスが、口をωにしたままもきゅもきゅ喋り始める。
「Les coquilles d'écrevisses sont délicieuses(こんにちは。良い天気ですね)」
「そうだね」
 ネヴィルは優しく微笑み、そしてリコリスの頭を軽く二度、ぽんぽんと撫でるようにたたいた。
「Je veux vivre en faisant ce que je veux faire(ご依頼ですか?)」
「そうだよ」
「Avez-vous des bananes dans vos collations?(よければボクが受けましょうか)」
「それがいいね」
 ネヴィルは依頼書をかきあげると、その内容を写真付きでそっとリコリスに見せてきた。
「内容は兵器開発事業部の補佐。新兵器の試射だよ」
「Saito a quitté la maison à 40 kilomètres à l'heure. Deux heures plus tard, Tanaka poursuivait à 120 km/h. Combien de secondes faudra-t-il à deux personnes pour tomber amoureuses ?(それはいいですね!)」

 そして、今に至る。
「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!?」
 これは人力パンジャン。大きな車輪状の物体に爆弾を満載しロケットをつけて高速自転走行させて敵陣に突っ込ませれば勝ちじゃねというイカれた発想の兵器。
 どのくらいイカれてるかというと、うまく軌道を整えられないから人間を中に入れてうめーことバランスとらせようぜとネヴィルがパスティスがぶ飲みしながら言ったこと。
 あなたはこの物腰やさしいおじーちゃんにホイホイのせられ、『兵器の試射』をやらされることになったのである。
「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!?」

GMコメント

 ご覧の皆様はもうお気づきかと思いますが、このシナリオは無秩序と混沌でできています。この依頼に入るだけでもチャレンジなのにプレイングを書くのはもっと過酷なチャレンジとなるでしょう。けれどそんなマイナスに飛び込む自分でありたいなあ。

●オーダー
 パンジャンに詰め込まれてサイクロプス(突然のサイクロプス。弱点は目)に突っ込んでください。
 障害物はないほうがスッキリしてるかもしれないけど爆発と破壊が見たいので街中でやろうや。ネヴィルさんがパスティスがぶ飲みしながらそう言いました。
 住民は街から離れて遠くからみています。子供とかおじーちゃんとかが俺んちぶっ壊れたら楽しいだろーなーって言ってるので多分これぶっ壊していいやつだと思います。

  • パンジャンに乗り込んで宇宙を感じる依頼完了
  • GM名黒筆墨汁
  • 種別リクエスト
  • 難易度-
  • 冒険終了日時2022年08月23日 22時05分
  • 参加人数6/6人
  • 相談8日
  • 参加費150RC

参加者 : 6 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(6人)

ゴリョウ・クートン(p3p002081)
ディバイン・シールド
アッシュ・ウィンター・チャイルド(p3p007834)
Le Chasseur.
リコリス・ウォルハント・ローア(p3p009236)
花でいっぱいの
※参加確定済み※
ことはる(p3p010563)
かけだしのエイリアン
クウハ(p3p010695)
あいいろのおもい
灰燼 火群(p3p010778)
歩く禍焔

リプレイ


「なあ、これヤバイってわかるよな? 見ろよ俺の足、いまにも火ぃふきそうってかもうちょっと吹いてんだぞ? 爆弾の近くにたいまつ近づけるヤツがいるか? いないよな。火薬庫で煙草吸うやつもいないだろ? だから今すぐ俺をここから下ろs――ズアアアアアアアアアアアアアアアァァァァアアアア!?」
 いまドップラー効果おこして飛んでいった人、誰だかわかる? 『歩く禍焔』灰燼 火群(p3p010778)。
 石畳が美しい幻想王都の街並を折角だから想像してみて。並ぶガス灯と色とりどりの屋根が並ぶ家々。小鳥がパササッて通りを横切るように飛んでいって、すれ違うようにやってきた鳩が道の真ん中で立ち止まってこちらを見るそんな風景にハイ火群をドン!
「ア゛ッ!?」
 ギリで飛び立ち回避した鳩。飛び散る羽根。一瞬を切り取ると火群がジェットコースター初体験みたいな顔をして横向きに回転してる様がブレを通しておわかりになるとおもう。
 そう彼はいま、パンジャンドラムとかいうくそでか車輪に爆弾くくりつけてジェット噴射で転がせば相手に向かって走って行くんじゃねみたいな発想でできた兵器の中に四肢をくくりつける形で固定されていたのだ。
 そんなんで制御できるわけねえだろ中世の拷問だろって思うかも知れないけど、本当にこの方法で車輪を自由自在に操る人達がいるよ。ラートっていう国際大会も開かれた体操系のスポーツだよ。
「ア゛ア゛ア゛ッ!?」
 火群は美しい噴水広場へつっこみ噴水の縁を蹴って車輪を跳ね上げたかと思うと、たまたま出待ちしていたサイクロプスさんの目に激突した。
「目がー!?」
 サイクロプスってなんだとかこいつ喋るのかとかそういうのいいから、見てパンジャンが爆発して( ‘ᾥ’ )の形の花火が。

「フウ……死ぬかと思ったぜ」
「むしろ今のでなんで死なないんですか?」
 なんかやり遂げた顔で汗を拭う火群に、『Le Chasseur.』アッシュ・ウィンター・チャイルド(p3p007834)が真顔で問いかけた。
「あと、ローレットに入って最初のマトモな仕事がこれで本当によかったんですか?」
「やめろ。一生言われそうだ」
 目元を覆って首を振る火群。目を背けたい事実から逃げたっていうのは本当にそうなんだけど、マジで目を背けたのは今日自分につくかもしれない称号のことじゃなくて、いまアッシュが大車輪にくくりつけられて逆さになってるって事実であった。
 火群が大の字かつ横向きに固定されたのなら、アッシュは車輪の内側に背中を貼り付けるみたいにして固定されていた。
「なにいろんなパターン試そうとしてるんですか」
「だって実験じゃし」
「反論の難しい妄言を言うのやめてください」
 横でいい笑顔して見てたネヴィル・プロシュート。肩書きは兵器開発プロデューサー。
「此れも幻想王国の未来に役立つことであるならばと、そう思い、仕事を引き受けたのですが……」
「役に立つよ?」
「…………」
 まことに? って目でプロシュートPを眼帯した片目で見るアッシュ。はいここ今週の『アニメで見たい表情』。
「わたしの元いた世界も、皆様の世界も、異なる歴史を紡ぎ、異なる文化と思想を形成しました同じ世界など、一つもありません
 ですが、其の遍く世界に、剣や銃という共通した概念、武器が存在しているのです
 武器に限らず、思想や文化にも何らかの共通したフレームがあるのです。
 ならば、パンジャンドラムも同じ理屈で、あらゆる世界に生まれるべくして生まれたと……」
 アッシュは瞬きを二回してからさっきの真顔で続けた。
「考えられるわけないじゃないですか頭がおかしいです」
「兵器開発にパラダイムシフトはつきものだよね」
「あの、降りてもい――」
 ジュッて音をたててジェットが点火。アッシュをのせた(くくりつけた)車輪は火を噴きながら斜面をかけあがりぽい~んとジャンプしたかと思うと赤い煉瓦の屋根が並ぶうつくし~い街並を一件ずつ丁寧にゴッてやりながら連続バウンドして最終的にはいサイクロプス。
「目がー!?」
 その後アッシュはもうワンバウンドしてから民家の屋根をつきやぶり派手に爆ぜた。

「『パンジャンに乗り込んで宇宙を感じる依頼』……宇宙といえばエイリアン、そう、はるの出番でっすね! コスモがはるに輝けと告げているのでっす!」
 ばけもんがばけもんに乗っていた。
 ごめん間違えた。
 『かけだしのエイリアン』ことはる(p3p010563)が全ての腕と足を車輪に固定された状態でゆーっくり転がってきていた。
 そう彼の名前は小峠 春生。略してことはる。
 どこにでもいるごく普通の日本人。だけと普通とちょっと違うところがあるとしたら、いまなんかエイリアンみたくなってる所かな。
「このパンジャンドラムは宇宙船……よし! スーパー・ノヴァ号と名付けるのでっす!」
 読者諸兄の中に、タコが船の舵輪にぴったり貼り付いた状態をみたことがる方はおられようか。ことはるのボディはなんていうか頭からタコみてーな足が伸びててその足全部を目一杯伸ばして車輪に等間隔になるように貼り付けられていた。火群ともアッシュとも違う角度の取り付け方である。
「いいね。ある意味今日で一番上手くいきそう」
「ほんとうでっすか!?」
 ネヴィルPがサムズアップするので、ことはるはうれしそうに頭(頭なのこれ?)をぽよんぽよんさせた。
「立派な一等星になろうねスーパー・ノヴァ号! 発進!」
 近くの人に点火してもらってもんのすごい勢いで走って行くパンジャン。
 パンジャンに入って運転したことある人ならわかると思うんだけど――ねえあるよね自動車教習所のS字クランクをパンジャンでまっすぐ破壊しながら突っ切って備え付けのガソリンスタンド吹き飛ばしたよね。オートマ、マニュアル、パンジャンて免許証に書いてあるよね。
「大地を抉れ!スーパー・ノヴァ号!これがはるたちのPPP(パンジャンドラムパーティープロジェクト)でっす!!」
 うおーと言いながら突っ込んでいったことはるは謎の蛇行をみせたかと思うと民家の壁を駆け上がりジャッと炎の轍をのこしながら跳躍。ハッと見上げたサイクロプスに車輪とタコ状の影がかかる。
「目がー!?」

 見事に爆発することはる。そして律儀に三人くらい死んでるサイクロプス。
 『悪戯幽霊』クウハ(p3p010695)はそんな中にあって……。
「ハッ、面白え!」
 楽しんじゃうタイプのいかれた野郎だった(この場合褒め言葉である)。
「合法的に破壊活動出来んなら、やらない選択肢はねェよな!
 住民共も壊して欲しがってんだろ?
 なら尚更やるしかねェ!」
「とんでもねえヤツが来ちまったな」
 まだくくりつけられてない『黒豚系オーク』ゴリョウ・クートン(p3p002081)が顔をクシャッてしながらクウハをまぶしそうに見た。
「誰が一番破壊活動出来るか競争しようぜ!」
「いやおめえさん競争って」
「スコアは壊したもののトータル金額でいい?」
 ボードにさらさらと数字を書き始めるネヴィルP。横で電卓叩き始めるバズーカ博士。二度見するゴリョウ。
「やっぱ一枚噛んでるんじゃねえかバズーカ博士!」
「むしろなぜ噛んでいないと?」
「誇るな! いかれ野郎だって言われてんだぞ!(この場合は褒め言葉ではない)」
「話が早えぜ! おい、サイクロプス!オマエ審判役だからな!あっさり死ぬなよ!
 無駄にデカい目玉かっぴらいて良く見とけ!!」
 こっちはこっちでボルテージがあがりまくったクウハ。
 彼はあえて車輪の内側にこう……なに? 這いつくばるような姿勢? でパンジャンに両手だけを固定されていた。
 マット運動でいうところの倒立前転の動きで車輪を走らせ始めると、ゆるやかに転がり始めたパンジャンを手元のスイッチで点火させた。
「よし、俺はあの一番デカい建物狙うぜ!」
「いやそういう実験じゃ――」
「オラァ!」
 クウハは初速マックスで吹っ飛ぶとパンジャンを斜めに回転させ、途中からネズミ花火のように跳ね回ったかと思うとすげー豪華な時計塔に突っ込んだ。内側をガガガガガンッて跳ね回るような音がしたかと思うと、どういう理屈か頂上の鐘があるところから飛び出した。ゴイーンて鐘を鳴らしながら。そして塔をぶっ壊しながら。
「どうだオラ! ハイスコアだろ! じゃあこのままサイクロプスに――あっやべ」
 普通じゃ絶対ありえない動きをした反動か、フッと意識をうしなったクウハはそのままフリスビーみたいに回転して空へと跳んでいき……。
 キランと星になった。
 青空に浮かぶクウハの笑顔。

「今の俺は空気が読める」
 ゴリョウはそう呟きながら、パンジャンの中心で丸くなっていた。
 車輪でいうなら軸の部分に棒を通して、そこにくるんってしがみついてる状態である。
 招惹誘導の準備動作って言った方がわかるかな?
「やめろ! 招惹誘導をここから大の字に広がる動きってミームを広げようとするな!」
 ゴリョウはそんなこといいながら、手元のレバーを引いて車輪からぱっこんとよくしなる竹みてーな素材の棒を展開した。
「俺のパンジャンはただのパンジャンじゃねえ。
 しなりのある棒を利用しその場で空転させることで空力を生んで浮かせ、棒のしなりを利用してパンジャンをジャンプさせる。――無推進式棒高跳びパンジャンドラムだ」
 何言ってんだろうって思った人は『ステアリング式ロケット棒高跳びパンジャンドラム』でググろう。本当にあるから。
 実はこれと似たような投石兵器が紀元前200年くらいにあってカルタゴ兵が城攻めに使ってたよ。嘘だよ。
「跳べぃ! パンジャン!」
 パンジャンに着火。狙い通りびょいーんと撥ねたパンジャンは空中で激しく回転したかと思うと、ハッと見上げたサイクロプスの顔面にドン。
 大爆発を起こしたその風景を背に、ゴリョウは拳と片膝を美しい街の石畳につけるスーパーヒーロー着地を決めた。
「膝ァ……ッ!」
 前にやった時より地面が固かったせいで片膝と拳がイッた。
「あと……『手軽に空飛ぶパンジャンを量産できるわけだ』て解説しようとしたンだが、さっきクウハが星になったせいであんま飛ばねえみたいに見えるのすげえ悔しいな。今からでも両面推進で飛ぶか?」
「おちついて。もうなんか新しい兵器ができはじめてる」
 『お師匠が良い』リコリス・ウォルハント・ローア(p3p009236)がパンジャンの上で言った。
 両手で顎肘をついて寝そべって、両足をぱたんぱたんってしてるリコリス( ‘ᾥ’ )である。
「オメェさん……その状態のまま走り出したらこれまでの奴らと比べものにならんくらい酷い目にあわねえか?」
「えっ?」
 ジュッて火を吹き始めるロケット。
 回り出すパンジャン。
 読者諸兄の中に中世初期の魔女裁判にかけられた方いる? 『拷問の車輪』っていうのあるんだけど今のリコリスは大体それ。固定面が背か腹かの違い。
 ちなみに水車責めっていう江戸時代の拷問は火群がやられてたやつね。
「ピイイイイイアアアアアアアアアアアアアア!?」
 すごい勢いで回転していくリコリスの脳裏にはつい昨日の記憶がよぎっていた。

『いや〜さすがボク! 強くて獰猛でカッコいい武器の名手として名が知れ渡ってるってことだよねっ!』
 シェイクをストローでずごごーって吸いきった後、ほっぺをもちもちしたリコリスはほうっと頬を赤らめ、虚空をうっとりと見つめた。
『だったらこの新兵器の動作テスト、喜んで参加しなくちゃ!』

「こなくそがあああああ!!!」
 地面に大量に( ‘ᾥ’ )型のスタンプをつけながら走って行くパンジャン。
「こうなったらとことん兵器としての性能をフルに見せつけてやる!
 やってやろうじゃねえかよぉ! P(anjandrum)P(arty)P(roject)!!」
 地面をセェイってぶったたくと、リコリス on the パンジャンはオシャレなカフェへ突入。反対側からきゃらめるふらぺちーのを手にチューチューしながら飛び出してきたリコリス on the パンジャンがそのまま畑へGO。
 ボボボッて畑を耕すと両手ににんじんとジャガイモを持って畑の反対側から飛び出してきた。
「オメェさんだけ表現がカートゥーンなんだよ」
 真顔でツッコミをいれるゴリョウをよそに、リコリスはサイクロプスへ突進。
「サイクロプスさんそこどいてーーー!!
 いやどかないでじっとしてーーー!!
 このパンジャンが目に入らぬか(物理)ぁーーーーーっ!!!」
 オラァっていいながらパンジャンは謎のジャンプをみせ、サイクロプスへ突っ込んでいった。
 お空を回転するパンジャン。その表面に張り付いたリコリス。
 見上げるゴリョウの顔は( ‘ᾥ’ )となり。
 民家から顔を出したアッシュの顔も( ‘ᾥ’ )となり。
 噴水から顔を出したことはると火群の顔も( ‘ᾥ’ )となり。
 お空のクウハ(まだいた)も( ‘ᾥ’ )の顔をしてリコリスを見守った。
 そして……。
「目がー!?」

 兵器開発チームは今回の結果にいたく満足し、六通り全部のパンジャンが実戦投入されることに決定したそうである。
 部下たちからのクーデターで上司がくくりつけられる未来が見えたが、リコリスたちは( ‘ᾥ’ )の顔で忘れることにした。

成否

成功

MVP

なし

状態異常

なし

あとがき

( ‘ᾥ’ )

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