シナリオ詳細
着物美人略奪犯、拘束術でえれーモン拘束してしまう
オープニング
●海上花火大会に海賊あらわる(あらすじ)
フェデリア海域近郊では、その海の美しさを活かし定期的に花火大会が開かれている。
無論、毎夜毎晩ではないため知らぬ者の方が普通だ。それくらいマイナーなものから大規模なものまで、多種多様なものが開かれている。
……と、なれば海賊集団・海乱鬼衆の手合いが狙わない道理もなく、日々各国の護衛達や海乱鬼衆との争いが繰り広げられる背景となっているわけで。
畢竟、それはローレットに依頼がくることに直結する。
今回ローレットに依頼してきたのは三カ国の比較的金銭に余裕があり、且つ富裕層と言い切れぬ程度の人々が乗る客船のオーナーからだ。彼によれば、就航先がそれなり大規模な花火大会を一望できるクルーズコースで、周辺軽微が適度に手が届きにくい区画なのだとか。それと、海乱鬼衆の中に最近巷を騒がせる妖術使いがいるらしい、とも。
怪しい術となれば、イレギュラーズの多様性に賭けるのが無難だ。
斯くして、依頼を受けた面々はオーナーの希望(と偽装工作)で浴衣姿でことに当たるわけだが……当たり前のように客船に近づいてきた海乱鬼衆へ、イレギュラーズ達も小型船で迎撃に当たる。
まあそういうどっちかっていうとヒロイックで、客船の人々は花火か戦いかを選べる贅沢なクルーズツアーになるはずだったのだが……。
●食らえ! 〇〇を拘束する妖術!
「やはり来たか、神使ども! 先生ェ! やっちまってくだせえ! こいつらを縛り上げ海にポイすりゃ先生への報酬はペイですぜ!」
「お前ら豊穣の人間のくせにやけに言葉遣いが現代的すぎないか?」
イレギュラーズ達はなんか古風なんだかラッパーなんだかわからない海乱鬼衆の話し方にひどく疑問に思った。だが、現れたのはどこかオリエンタルというより南アっぽい(再現性東京表現)魔術師の姿だった。じゃらじゃらと装飾がめんどくさいなこいつ。
「お前達はこの私の拘束術の前にひれ伏すことになる……これでそこいらを航海していた船から女どもを攫ってきたものよ……食らえ! この私の数十年かけて研究した――胸部拘束術!」
は?
「どうだ、女ども、そして恵体な男どもは胸が締め付けられ呼吸がままなるまい! そして女にとって胸とは急所! ここを狙ってしまえば大抵の男女は動けなくな、あれ……?」
魔術師はイレギュラーズ達を見た。まあ結構な割合で呼吸がアレして動けなくなっているが、一部の女性――なんというか控えめな体躯の娘達――が、自分の胸と周囲、魔術師を確認しながら数秒考えた。
「死なやオラァ!」
「私は悪くなかろうが!」
お前は海乱鬼衆じゃねーか!
- 着物美人略奪犯、拘束術でえれーモン拘束してしまう完了
- GM名ふみの
- 種別通常
- 難易度NORMAL
- 冒険終了日時2022年08月19日 21時50分
- 参加人数8/8人
- 相談5日
- 参加費100RC
参加者 : 8 人
冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。
参加者一覧(8人)
リプレイ
●ほんへ
「ぐぅ、ぐるしい……」
『太陽の翼』カイト・シャルラハ(p3p000684)は飛行種である。鳥類というのは、羽を動かす関係上胸と背中周りの筋肉が発達している。畢竟、そこが締め上げられたときの苦しみは筆舌に尽くしがたい。大きいので。
「胸部を狙われたらないすばでぃ超絶美少女のしにゃは苦しくて動けなくなっ……っぐ、おもったよりぐる゛じい゛……」
『可愛いもの好き』しにゃこ(p3p008456)は余裕たっぷりに自らのナイスバディっぷりでマウントを取ろうとし、しかし想像以上の苦しみに秒で余裕をなくしのたうち回る。なんというか、神経の図太さで仲間を煽り倒そうとした報いを開幕数秒で受けるあたり、彼女らしいといえば本当にそう。
なお、「胸はもっと潰した方が美しく映るのは百も承知なのですけれど……すっきりシルエットで肩も凝らない『リディアさんが』羨ましい……!」と道中マウントを取っていた『自然を想う心』エルシア・クレンオータ(p3p008209)は既に声もなく沈黙しており、魔術師もその姿に満足し指を鳴らしている。彼女は本当に戦闘不能なのか……?!
「くっ……む、胸が……!? おのれ、卑怯な……ですが、このような拘束術に身を封じられようとも、決して屈しな――ん?」
「苦し――あれ……いえ、わたしはお胸よりもふとももが自慢ですので、お胸拘束術の影響は少ないのです。決して、お胸が少ないわけでは無いのです。お胸が少ないわけでは無いのですよ。大事なことなので2回言います。いやぁ、ふとももを拘束する術でしたら危なかったですねー」
「……はぁ、胸が大きいと拘束される、と。これを活用して女を攫ってきた、と」
「何の問題もありませんわね。このまま倒しますわ」
魔術師の拘束呪文はなんて卑怯なんだ! 『勇往邁進』リディア・T・レオンハート(p3p008325)なんてとっても苦しんで、いやちっともだな。はい。
『友人/死神』フロイント ハイン(p3p010570)は秘宝種なので正確には性別がないが、そこはかとなく女性体である。そして『特異運命座標』佐倉・望乃(p3p010720)は凄いこう。強がりがすごい。
『夢先案内人』リドニア・アルフェーネ(p3p010574)はお嬢様然とした立ち振舞で、今の状況をあえて無視しようとした。
「拙者は鍛えてはいるものの人並みの体型故に少々息苦しい程度で済んでいるが、女性陣はさも苦しいで御座……」
「殺すぞ」
「ちょっと腹が立ってきました」
「ふとももが自慢なので別にいいですけど少しいらっときましたねー」
「…………」
「なるほど格差が、いや、そうじゃなくてリディア? 違うで御座るよ?」
恐らく地雷をふませて墓穴を掘らせればローレット・イレギュラーズでも一二を争う『刀身不屈』咲々宮 幻介(p3p001387)は、今日この日も持たざる者四名を一斉に敵に回した。彼は割と大真面目に、口にしたいことをぽろりと口にすることで仲間の地雷を踏み抜き時々胸キュンポイントを踏んづけている感がある。こいつそろそろ逆鱗の上でタップダンスする癖治らねえかな。
「男のとりさんでも苦しいのだ、リドニアや望乃といった女性なんてもっと……あれ? どうしてそんな元気なわけ? 結構辛くねこれ? 俺の鍛錬が足りないのか????」
「……――ふ、ふふふ……はーっはっはっ!」
無知なカイトが追撃をかましてしまったのをきっかけに、沈黙を守っていたリディアがおもむろに笑い出した。いよいよもっておかしくなってしまったかとド失礼なことを考える幻介に、にたりと笑みを向ける。
「どうやら私にはあまり効果がないようですねぇ! そりゃそうですよ、私ってば不調を寄せ付けない体質ですから! そう――不調を寄せ付けない体質ですからッ!!」
自慢げなリディアの叫びだが、非常に哀愁漂うものであった。なんだろう、悲しい自慢するのやめてもらっていいですか?
「エルシア、しゃにこ、幻介、鳥。お前らは犠牲になってもらう。この野郎共囮にして私は殺戮の限りを尽くしますわ」
「何ですか? 僕はアレが小さいからそういった資格はないと? 僕みたいな貧相で粗末な体つきの奴に女性性は見いだせないと?」
「……急所を狙っていいのは、急所を狙われる覚悟がある者だけです」
リドニア、ハイン、望乃の3人はリディアの言葉に続き、各々殺意満点な言葉とともに得物を構える。悲しいかな、この戦いの目的の方向性が変わってきたぞ!
●という地獄の前段階です(倒置法)
「どーですかしにゃのお清楚浴衣! 激しく動いてぽろりしても下は水着を着ているので安全! ついでに海に落ちても大丈夫! すぐ泳げちゃいます! ……今ちょっと危ないんですけど人混みとかが!」
「浴衣を着るのは初めてですが、なかなかに良いものですね」
しにゃこと望乃は甲板から周囲を警戒しながら、人いきれのなかを進む。船が出港して暫く、徐々に花火を期待して甲板にあがってきた人が増えてきた時間帯だ。つまり、彼等彼女らは今、無防備であるということ。
「私、あまり色々な服を着る事はしないのですよね。勿論、同じ服を着続けるという意味ではなくて同じようなデザインのものを選びがちという話なのですけれど、別にこれでないと嫌という訳でもなくて、単に冒険する勇気が出ないだけ。特に……下半身の線が出る服なんて、恥ずかしいじゃありませんか!」
「上も下もかよ救えねえな」
そういう主張にぴったりフィットな服、それこそが着物である……そういわんばかりのエルシアの格好は、しかし本来の肉体ほど胸が強調されていない。どうやら胸の下に詰め物をすることで均衡を保ち、肩がずり落ちないようにしているらしい。情報屋からエルシアとしにゃこが配られていた気がするが気のせいかもしれない(OP外情報)。なお、その発言に「下半身にも自信あり」と認識したリドニアが戦う前から闇をつのらせている。戻ってこい。
「ヒャッハァー!」
「そこの船ェ! 止まれ止まれえ! ここに来たってことは俺達に奪われるって分かってるってことだよなァ!?」
と、盛り上がり始めた甲板に向けて投げかけられたのは海乱鬼衆達の声であった。予想できていたとはいえ、周到に準備したのだろう、それなり数を揃えている。
乗組員が気を利かせたのか、すかさず繰り出される小型船……カイトの『紅鷹丸』だ。素早く乗り移ったイレギュラーズは浴衣姿ながらも堂々と立ちはだかった。
「俺達の海で人々を攫おうなんて悪い奴らだ! 俺達が相手になるぜ!」
「来ましたね海乱鬼衆! 見せてやりましょうとも、私達の――この海のように深い絆を!」
「面妖な出で立ちの者を連れているで御座るな。だが、騙されまい。拙者がお相手致そう」
カイト、リディア、そして幻介が現れた連中に次々と啖呵を切るなか、ハインは過去の報告書と相手を矯めつ眇めつし、魔術師の存在に引っかかっていた。凄く嫌な予感がする。
「女性客に狼藉を働きたいと。これは許し難いですね。早々に倒してしまいましょう」
「先生ェー! 先生ェェーーーー! こいつらですぜェ、女漁りを邪魔する連中は!」
「女漁りとは人聞きが悪い。婚活と呼べ」
「なにその会話……なに……?」
なんだか記憶にところどころ混線が起きていると、リディアは思った。
こんな会話があっただろうか? こんな男だっただろうか? いや、それより何より。
「誰だ今リディアルゴンつったの」
「誰も……言って……ねぇよぉ……」
「人を疑うのは悪い癖で御座るよリディア」
「そろそろ黙ってないといい加減ムキャるぞ」
再度時間を戻して。
苦しそうに胸を上下させる(縛られててできない)カイトが異論を唱えるが、幻介はまだギリ大丈夫そうだ。まだ舞えるなこいつは。
「小さい人も需要はあるので気にしないでください! しにゃは可愛いと思いますよ!」
「まだ息があるな」
「ヒィッ!?」
リドニアの圧の強い語尾に思わず縮み上がるしにゃこだったが、煽るからだぞ。
「……まず最初に断っておきますと、僕は何とも思っていません」
ハインはきっぱりと一言告げる。さっき腹が立ったといったが、大丈夫のようだ。
「ごめんなさい、嘘をつきました。凄く腹が立ちます。秘宝種は男性でも女性でもありませんが、同時に男性でも女性でもあるのです……それが何ですか? 僕はアレが小さいからそういった資格はないと?」
「ハインが凄く怒っている……そうだよな! 鍛えてないって言いがかりをつけられるのは……辛いもんな!」
ハインは真剣に性別というものと向き合っており、それは秘宝種という存在に対する宿命のようなものだ。それを聞こえよがしに冒涜されたのは許しがたいのだろう。だろうが、カイトはこれっぽっちも理解していなかったらしい。「胸の大きさ=大胸筋の分厚さ」と認識していた彼は、ハインが鍛錬不足だといわれ怒っているものと信じていた。純粋さって怖いよな。
「うー縛られるこの感じ、調理されそうな鳥の気分ですごくやだ。だから海洋のとりさんとしてせめてこの息苦しさは……!」
「この程度、しにゃは大丈……っだあい! 大丈夫じゃないですだずげでぐだざい゛」
カイトはなんとか不調だけは克服しようと必死に術式を練り上げ、しにゃこも倒れてばかりではいられぬとラブリーパラソルを伏せた状態で構え、弾丸を海賊達にばらまいていく。
リディアはその間、油断ならぬ構えで魔術師を追いつつ、朗々たる名乗り上げによって敵の耳目を引き付けていた。船を前方から襲撃したことで戦力が微妙に集中していたことも彼等のガバだが、それはそれとして魔術師は範囲を避けていた。クッソずる賢い。
まあ彼等も諸々あって海賊に堕しているのだろうからそれなり戦闘経験もあるしなんやかんやあっても強い筈だ。
「女性を狙うなんて許せませんよ! 略奪だってさせません……波ァ!」
望乃の魔砲がリディアに近づこうとした数名を薙ぎ払い、ついで船に取り付いた者達を蹴散らした。まだ息がある。
「おシバき回してやりますわよコラ。虫って無駄にしぶといから最後まで潰してやらないといけませんわね。何を? 決まってるだろこの色狂いのスカタン共が。あーなんだか鳥白湯が飲みたい気分ですわー」
「ヒィッ! とりさんは食用じゃないぞ!」
「流石に食材っぽさを醸し出しながらそれは無理があ……あ? リディア? リディアさん?」
敵をしばき倒して回りながら、リドニアは不穏な言葉を乱発していた。仲間をなんとかして一発殴れねえかな、ハイルールの範疇で。まあ勿論無理なんだけども。そんな圧に負けかけたカイトは仲間達のサポートをしているからギリ大丈夫だろう。そう感じた幻介の腕をうったのは誰あろうリディアであった。
「幻介さん、『お付き合い』いただけますよね?」
「拙者、聡いのでもうどうするか全部分かっちゃったで御座るよ……ズバリ、拙者を盾にしてあの火線砲の中に突っ込むつもりなので御座ろう?」
そう。
今その時も、肋骨とパンドラを犠牲に立ち上がったエルシアがもう一歩骨が折れるのが先か戦闘不能になるのが先かのチキンレースで火線砲をぶっ放している。ダメージBSなくてよかったなマジで。
リディアは敵をひきつけつつ、あの炎に飛び込もうというのだ。
「エルシアさーん! 私ごと、やれぇぇぇっ!」
「……どうしてリディアさん、目の前に飛び出してらっしゃったんですか! いえそれより何よrグハッ」
「(俺の)エルシアーっ!?」
3ヶ月半越しのプレイング回収ヨシ!
というわけで、聖堂守護神たるリディアは火線砲に身を晒したことで焦げるし幻介はギャグ漫画みたいなパーマになるしエルシアは肋骨が折れた。
「グッ……ハ……これでは拘束術が保てぬ……!」
「女性の急所を狙ってくるのでしたら、男の急所を狙われたって文句は言えませんよね?」
「粗末なのはテメーのアレだということを、今から嫌と言うほど思い知らせてあげましょう」
拘束術をどうにもできなくなった魔術師が船の上に倒れ込むと、その両サイドにハインと望乃が立ちぎらついた視線を向けた。
嗚呼これは……今までの報いであろうか。
「海乱鬼衆はこんな小娘一匹拐かせないくらい雑魚な大人達ばかりなんですかぁー!?」
しにゃこが残党狩りついでに挑発をぶちかまし、背景で完全復活を果たしたカイトが獅子奮迅の大活躍を見せる裏で。
魔術師は、男じゃなくなってしまった。
成否
成功
MVP
状態異常
あとがき
煽る方も受ける方も全力のど付き漫才みたいなリプレイでしたね。あとタマヒュンダイレクトアタックは筆者にもくるからやめてくれください。
GMコメント
※注意
このシナリオは別に装備とかそういうものがそのままでも「浴衣姿で戦う」ってさえ書いておけば大体OKです。
また、イラストないし外見特徴(ステータスシート)が状態異常に大きな影響を与えますのでご注意下さい。
なおこのシナリオのIQ値は地の底に触れているので、インテリゲンチャなRPのしたい方のキャラ崩壊は免れません。
●成功条件
海乱鬼衆の全滅
●失敗条件
一定以上の略奪や殺人を許してしまう
●海乱鬼衆×20、魔術師×1
いくつかの船に分乗して客船にとりつこうとしています。
弓や厚みのある刀で武装しています。連携はそこそこでき、魔術師を逃がすように動きます。ぶっちゃけ魔術師は逃してもしゃーないよなって雰囲気があります。
魔術師は前述の魔術以外にもオールラウンドに使え、神秘攻撃力と機動・回避が高めです。軽業めいて船を飛び移れます。
総じてほうっておくと船に取り付き客船から女性客を略奪しようとします。
●拘束術(魔術師を倒すか離脱されるまで解除不可・低IQ注意)
おむねがおっきいひとは【窒息系列】をはじめとして色々BSをうけるよ! でも防技がちょっとだけあがるよ! 不公平だね!
そうでもないひとはとくになにもおきないよ! だから早くアレを〇せ。
●戦場
シレンツィオ・リゾート近郊、海上。
一応なんですけど客船の護衛が依頼内容なので注意しましょう。
●情報精度
このシナリオの情報精度はBです。
依頼人の言葉や情報に嘘はありませんが、不明点もあります。
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