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シナリオ詳細

人魚の村に居座った海賊退治

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●人魚の娘の嘆き
 海に点在する島々の中には人魚の住む島がある。人に友好的な人魚もいれば、閉鎖的に生活を営む人魚もいる。種族は違えど個性があることは人間と変わらない。人と話すこともできるし、船が沈んだ時に気のいい人魚はおぼれた人を救うために動いたりもする。
 ここはそんな人と友好的な関係を築いてる人魚の島の一つだ。ただ、今はちょっと困ったことになっている。海賊に占拠されてしまったのだ。
 住民を追い出して連日飲めや歌えやの乱痴気騒ぎを繰り返し、私や他の若い人魚は酌婦として体を撫でまわされる。はっきり言って不快だがこの村の人魚は戦う術を持たずに中立と和平によって生きてきたから、海賊相手に事を荒立てることもできない。戦う術がないのに戦いを挑んだって犠牲者は増える一方で向こうには傷一つ負わせることができないに違いない。
 食料の備蓄も尽きてきたし男性の人魚たちは海賊船の補修や酒のつまみとなる海の幸を乱獲しろと命令されてろくに休むこともできずにいる。
 今は海の生物たちも私たちに同乗して絶滅しない程度に漁獲量として自らをささげてくれるがこれ以上居座られたら人魚の村も、周辺の海も取り返しのつかないことになってしまう。
 だから私は村人と相談してローレットに救援依頼を持ち込むことを決めたのだった。

●人魚の村を救え
「人魚のお嬢さんから救援要請が届きました。海賊退治です。非戦闘主義の村が丸々一つ占拠されてしまったそうで。嘆かわしいことです。海賊を名乗っていますが人間種で戦闘能力はそれほど高くありません。金銀財宝を山ほど抱え込んでいて、船の備蓄食料も十分なのに人魚の男性に漁業を強いているようですね。数は二十人ほどですがイレギュラーズの皆さんであればそれほど苦労せずに捕縛ないし殺害できるでしょう。できれば捕縛が望ましいです。遺体になると余罪を追及できませんし人魚の村が血で汚れることになります。
 海賊たちの獲物は片手銃が五人、あとは戦斧や片手剣、槍や銛といったものですね。注意してほしいのが海賊船にある火薬と大砲です。村一つ焼き討ちにできるほど大量に積んでありますので船に逃げ込まれると厄介ですよ」
 海賊を追い払ってくれたら海賊の持つ備蓄食料と海賊のために仕留めることを余儀なくされた新鮮な海鮮物でバーベキューを開いてくれるそうです、と職員は告げる。
「毎日大量に飲み食いはするのですがそれ以上に海の幸を取ってくるように強要されていて、生鮮食品が傷みそうなほど余っていることと、退治のお礼として皆さんにふるまいたいとのことです。人魚の皆さんと語らってみるいい機会でもあるかもしれません。何はともあれ、頼られたら全力を尽くさなければいけませんよね。よろしくお願いします」

GMコメント

海賊×20人の討伐
ならず者の集まりなので討伐自体はそれほど難しくありませんが船に逃げ込まれた場合火薬や大砲によって被害が広まる危険があります。

戦闘場所候補
波打ち際:一番広く見通しがよく、村に被害が出ませんが数の有利を生かし海賊が船に逃げ込んで村ともども焼き払おうとする危険があります

村の広場:そこそこ広く、海賊たちが宴会を繰り広げている建物に近いため襲撃は簡単ですが村の中心にあるため激戦になった場合村の建物に被害が出る可能性があります。

人魚
水中でも陸上でも生活できるためこの島の人魚たちは主に陸上で過ごしているようです。
一般的な島民の住居と似たような作りの建物が多く、中央に大きめの広場があります。
女性は酌婦として、男性は奴隷として海賊たちに虐げられています。
家の中には尾鰭を出して休むための海水を入れたプールのようなものが設けられています(家の中だけでなく村の各所にあります。破壊の許可を取れば戦闘に使用可能です)

海賊退治の後は海鮮を中心にしたバーベキューを楽しむことができます(比率的には半々を予定しています)
さくっと退治して宴会を楽しんでください。
建物や設備に破損があった場合修復を手伝うと人魚たちにとても喜ばれると思います。

皆様のご参加、プレイングをお待ちしております。

  • 人魚の村に居座った海賊退治完了
  • GM名秋月雅哉
  • 種別通常
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2018年08月17日 21時10分
  • 参加人数8/8人
  • 相談5日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

ルアナ・テルフォード(p3p000291)
魔王と生きる勇者
マナ・ニール(p3p000350)
まほろばは隣に
フロウ・リバー(p3p000709)
夢に一途な
エクスマリア=カリブルヌス(p3p000787)
愛娘
アンナ・シャルロット・ミルフィール(p3p001701)
無限円舞
ヨルムンガンド(p3p002370)
暴食の守護竜
炎堂 焔(p3p004727)
炎の御子
ミルヴィ=カーソン(p3p005047)
剣閃飛鳥

リプレイ

●海賊退治開始
 そう広くはない人魚たちの住む村のある島に海賊船が横づけられている。海賊らしく大砲の砲門が並んでいて海賊気が掲げられているが全員宴会に赴いているのか見張りの気配はない。
「こちらとしては好都合だな。見張りがいないなら時間に少しゆとりができる。それにしても……弱肉強食のつもりか……? 戦いを好まない、武器を持たない者たちを相手にずいぶん好き勝手やっているみたいだな……!
 ここに奴等の居場所はないとその身に刻んでやろうじゃないか……」
『邂逅者』ヨルムンガンド(p3p002370)と『炎の御子』炎堂 焔(p3p004727)、そして 『遠き光』ルアナ・テルフォード(p3p000291)は船への工作のために仲間とは別行動で波打ち際にやってきていた。ここで戦闘をする予定だが、村一つ滅ぼすほどの大砲や火薬を頼りに船に逃げられては厄介だ。かといって宴会会場となっている村の広場で戦えば人魚たちや村に犠牲が出て心労を増やすことになるかもしれない。そう考えたイレギュラーたちは船を使うという選択肢をなくす、という戦術を思いついたのだった。
「人魚さんたちをいじめたり、食べ物を大事にしなかったりする海賊さんたちはこらしめてあげなきゃっ!」
「同感。友好的な人魚さんをひどい目に合わせるなんてまったくもー。悪い海賊さんは早々に蹴散らして、穏やかな暮らしを取り戻してあげなきゃ!」
 ルアナと焔が意気込みをあげてまずは船内へ。
 早く海賊を倒して人魚たちを助けてあげたいとは思うが宴会で船が手薄になるまで我慢するつもりだった焔。けれど連日連夜宴会に明け暮れているらしく待つまでもなく船は手薄だった。
「さ、兵器の類を使えなくしてやろう……!」
「うん! 悪いこといっぱいしてるみたいだし、年貢の納め時ってやつだね」
 ヨルムンガンドは船に乗り込み大砲の発射機構や固定部分をワールドイーターのギフトを用いて最小限で最大の被害が出るように食べて使用不能にしていく。
 焔とルアナは危険物を海に落としていった。まだ海賊たちが気づく気配はない。
 ヨルムンガンドが食べた砲台とは別の砲台の向きを変えたり、壊したりとすぐには使えないようにする。
「最近は鉄を食っても食べられるだけで美味しくはないな……早く美味しい料理をたらふく食べたいぞ……」
「そのためにも村に被害が出ないように気を付けて、でも急いで海賊さんたちを倒さなきゃだね」
「万が一仕掛けに気づいて船に乗り込まれて逃げられないように舵もだめにしてくるか。それがすんだらはしごを外して最後の大仕掛けだ」
「わかった、先に降りてるね」
 ヨルムンガンドとルアナ、焔はうなずき合い、ヨルムンガンドを残しは先に海賊船から降りてヨルムンガンドは舵を先ほど同様ギフトで食らって操舵不能にする。これで万が一船に乗り込まれても海に逃げることも大砲を打つこともできなくなったわけだ。
「さ、仕上げを頼む」
 手早く海賊船から降りてはしごを外し、焔に声をかけると焔はあらゆるものに火をつけられるがその火は幻で燃えることがない、また温かさくらいはあるが熱さまではない、かつてはあらゆるものを焼き尽くす神の炎だったギフトを船全体に使って船が燃え上がっているように見せかける。できる限り第炎上しているように見せかけたのは近づく気と船はもうだめだと思わせるためだ。燃えない炎なので焼け落ちないことで幻覚だと思わせないために戦闘に集中させて余裕をなくし、速攻で片を付ける必要がある。
 梯子は外した後念のため壊しておいた。
 炎上するように見える船に気づき海賊たちがざわめきだすと『夢に一途な』フロウ・リバー(p3p000709)をはじめとする海賊への強襲班が広場に姿を現して誘導を開始するために挑発をしかけだす。
「海賊は海洋で様々な意味を持ちますが……調子に乗りすぎですよ。ローレットのイレギュラーズとして依頼を受け、貴方たちを成敗しにきました」
 海洋生まれとしては様々な事情に配慮するべきだが今回の件に情状酌量の余地はないと判断したフロウはその点においてのみ、気楽だと内心で考えた。
「ローレットだとぉ……? 船に火ぃつけやがったのは手前らか!」
「皆殺しにしてやる!」
 大きな帽子をかぶり、暗い色の金髪を炎のように揺らめかせながら『神話殺しの御伽噺』エクスマリア=カリブルヌス(p3p000787)が浜辺に向かって走り出す。幼い少女だが髪の毛は揺らめいた後挑発するように海賊たちを招く動きを見せた。
「ガキが……なめやがって!」
「持たざる者から搾取をして馬鹿騒ぎ……と。ある意味とてもならず者らしいけれど、気分のいいものではないわね。まぁ、そういう気分の悪い敵のほうが遠慮なく倒せるかしら」
 仲間と並走しながら『カースドデストラクション』アンナ・シャルロット・ミルフィール(p3p001701)は言葉で海賊たちの頭に血を上らせる。
「抵抗もできない人たち痛めつけて……くそったれ海賊どもめ……! アタシたちが一泡吹かせてやる!」
『寄り添う風』ミルヴィ=カーソン(p3p005047)が海賊たちの所業を唾棄すべきものだと言いたげに険しい顔で断罪しながら駆け抜ければ波辺はもうすぐそこ。
「村の方々にひどいことをするなんて到底許されることではありません……戦えない私ですが、仲間の皆さまと協力して海賊を懲らしめます」
 攻撃する術を持たない代わりに癒しの能力に特化した 『まほろばを求めて』マナ・ニール(p3p000350)がこぶしを握り締めて振り返ると燃え上がる船に愕然とする海賊たちとイレギュラーズ八人が対峙する形になる。
「あなたたちの悪行は今日でおしまいだよ! 悪いことする人はルアナがやっつけちゃうんだから!」
 ルアナが堂々と名乗りを上げて自分自身を鼓舞して戦意を高め、これから始まる戦いに備える。
「……制圧して……人魚のみんなを、助ける……お前たちは、ここで終わり」
 エクスマリアの髪が人魚に対する暴虐を怒るように再び炎のように揺らめいた。
「野郎ども、やっちまえ!」
 片手銃を手にした海賊が号令をかけると海賊たちがイレギュラーズの首級をあげようと一斉に襲い掛かる。
「やられるのは貴方たちですよ」
 フロウが水棲の魔獣の皮を使って作られた扱いやすい小型の盾を構えて近接するついでに己の魔力を弾丸に代えて海賊の一人に放つ。
 先制を取られてわずかに取り乱した様子の海賊たちに戦意に満ちたルアナが並んでいた海賊たちめがけて居合一閃。放たれた刃は紫電とともに海賊を薙ぎ払い、雷によって攻撃を受けた海賊たちの体をしびれさせる。
 エクスマリアは体を紙で足場に固定し反動を御せていることを確認すると熱狂し荒れ狂う鋼の怪物、あらゆる敵を撃滅する超弩級兵装で戦いを開始した。
 アンナは黒いオーラを武器にまとわせた後軽やかに高く跳躍、頭上へと回り込むと回転しながら斬りつける。武器からは常にオーラが零れ落ちて軌道上を黒い羽根が舞うようだった。
 水晶でできた細剣の煌めく美しさとオーラのこぼれる黒い羽根に似た軌跡の不吉さに海賊たちの足並みが乱れる。
「捕縛のほうが望ましいっていう依頼と、個人的主義で殺生はしない! 余罪を追及されてすべてを悔い改めろ!」
 動揺を隠せない海賊たちを見てミルヴィが舞を舞う。たやすく犠牲者の注意を惹くその舞いの中、情欲を込めた魔性の瞳でのぞき込めば海賊たちは衝動にあらがえず彼女を襲い始めた。
「――おいで、抱きしめてあげる」
 そして仲間に目配せすると声を張り上げる。
「今! アタシごと撃って! 上手くかわすから!」
 味方に剣を振って合図し、範囲攻撃をしかける仲間とミルヴィの回避行動がほんのわずかずれたとき、ミルヴィは自身を護る盾を作り上げる奇跡を編み上げた。直撃していれば少なからず負傷してマナの癒しを必要としていただろうが盾はミルヴィだけを攻撃から守り、霧散していく。
 マナは圧倒的な声援で仲間の行動力を回復し、攻撃を受けて傷ついた仲間の負傷が酷ければ柔らかな癒しの光で味方を包み込んで戦線が崩壊しないように縁の下の力持ちとして尽力していたが今回は回復が必要ないとみてひどい手傷を負った仲間がいないかと視線を張り巡らせる。
リーダー格と思われる片手銃を持った海賊がフレイの眉間めがけて銃弾を連射するのにあわせて手下の海賊が彼が逃れられないように取り囲んだ。
「くっ……」
 避けるにはスペースが足りず、スペースを作るには時間が足りない。故に、彼はとっさに小さな奇跡を願う。それが届いた証として淡い光が弾丸を受け止め、停止させる。
「これはお返しです。返品は不要ですよ」
 逃げ場をなくすために取り囲んでいた海賊たちを逆に自分の間合いにいる格好の敵としてフレイは反撃を繰り出す。
「ラ・ピュセル!」
 戦乙女の加護をその身に纏いヨルムンガンドが異形の腕を振りかざす。
 かつてこの腕の一振りで山は砕け、地は避け、世界は悲鳴を上げたというが海賊たちが昏倒させられるにとどめられているのは依頼の内容が捕縛を重視してほしいということだったからだろう。海賊たちは辛くも命拾いをしたということだ。もっとも余罪を追及し終わった後彼らに待つ刑罰がいかほどのものかはわからないが。
 村人を人質に取って形勢逆転でも図ろうとしたのか、村に向かって逃げ出す海賊を焔は見逃さなかった。回り込むように動いて数人の海賊に向けて炎でできた爆弾を作って投げつけて足止めをする。
「往生際が悪いぞ!」
 ミルヴィがやぶれかぶれで攻撃してきた海賊の足を曲刀で薙ぎ払って動きを封じる。
「悪いな……お前たちも船も終わりだ。無抵抗なものを虐げ……食べ物を粗末に扱ったお前たちは竜の標的になってしまったからなぁ!」
 戦闘開始前の意気軒高ぶりが嘘のように右往左往する海賊をヨルムンガンドが蹴りで無力化し、まだあきらめきれずにしゃにむに突っ込んでくる海賊たちも次々とイレギュラーズに鎮圧されていく。倍以上の人数を相手にしながら誰一人殺さず、完全なる戦線離脱をしなければいけないような傷を負わずに勝利したのは仲間との連携を大事にし、癒し手であるマナが適切な回復をし、踏んできた場数と義侠心の差だろうか。
 連行するときに逃げ出されないように人魚たちから借り受けた荒縄で海賊たちを数珠つなぎにする前に荒縄を切って逃げ出されないように入念に身体検査を行う。
 そして捕縛した海賊たちを全員昏倒させ、焔が使っていたギフトの効果を消し去った後、砂浜は足跡で荒れてはいたが人魚の村への被害は抑えた状態で戦闘は収束したのだった。
 これから先はねぎらいと、海賊たちが過剰に獲らせた戦線食品が傷む前に食べきってほしいという人魚たちの要望で海鮮バーベキューが開かれることになっている。
 イレギュラーズたちは海賊たちが当分目を覚ませないほど深く昏倒していることを確認した後戦果の報告とご相伴に預かりに村へと歩き出したのだった。

●戦いの後で
 人魚たちの村は目立つほどではないが酔った海賊が示威行為のために暴れたのか少し荒れていたのでルアナの提案で修復や、掃除をする暇もなく働かされていたため滞っていたらしい清掃を済ませた後、解放された人魚たちの感謝の言葉を受け取って海鮮バーベキューが開催された。
「海の恵みに感謝して、おいしくいただくよ! お残しはなしで、ちゃんと食べるのが礼儀だもんね。あ、これもおいしいよ。よかったらどうかな?」
 網で焼いた魚介類の香ばしいにおいをかぎながらルミナがせっかくの縁で一緒に仕事をしているのだから楽しい時間を過ごしたいと仲間たちに進めて回る。飲み物をもらってくるときはほかの人に何がいいか聞くことも忘れない気の回しぶりに仲間も知らずと打ち解けた雰囲気になっていく。
「いままで大変な思いをされたでしょう……私たちをねぎらってくれるのは大変うれしいですが……村の皆さんのバーベキューを楽しんでください。村の方々の笑顔が私にとっては何よりの報酬ですから……」
 補修の後に怪我をした人魚たちの手当てをして尊敬の目で見られているマナが村人たちにもバーベキューを進めると恩人の言葉はできるかぎり感謝の意を持って受け止めたい人魚たちがおずおずと食事を始める。働かされて休む間もなく、いつ海賊たちが牙をむくかわからず心身ともに疲弊しきっていて、自分たちが食べる分の食料を満足に得ることもできなかったらしい人魚たちも海賊から解放されたことを実感し始めると次第に笑顔を取り戻し、村での楽しい思い出やこの村特有の行事について語り始めた。
「皆様もお疲れさまでした。戦えない私でしたが、少しはお役に立てたでしょうか?」
 皆をねぎらうマナの問いに彼女の回復術に助けられた仲間たちはもちろん、傷をいやしてもらった人魚たちもありがとう、助かったよ、とお礼を言った。
「人並み程度に食べられるならそれで十分ですが……海賊たちはずいぶんとたくさん乱獲させたようですね。たまにはおかわりもいいでしょうか」
 フロウは塩漬けなどにしてもまだ余るならおかわりさせてもらおう、と大きな海老を一匹皿に盛る。
 エクスマリアは髪の毛先を喜びでパタつかせながら話しかけられれば無表情で淡々とした口調ながらも自分の言葉で会話を返した。
 そしてヨルムンガンドと一緒にバーベキューを楽しむ。
「大きな魚だ。ヨル、一緒に食べよう」
「確かに大きいな。それにおいしい」
「うむ、美味い。……一緒ながらになおさらに」
 無表情だが喜んでいることは彼女の髪の動き方の特性を知っているものなら理解できる喜びを発露させながら自分をエクスマリアと呼ぶヨルムンガンドに少しだけ首をかしげた。
「マリア、でいい。親しいものは、そう呼ぶものが多い」
「そうか、ではマリア、村の人たちも交えて……海賊なんかより盛大に、そして楽しくみんなで盛り上がろうじゃないか……! 食べる時は豪快に、だ。鉄は食べられるだけで美味しくなかったからな、バーベキューは楽しみにしていたんだぁ……ふふ……残さず全部食べてやるからなぁ……!」
「……そういえばやるのは初めてね。自分で焼いてすぐ食べるってなんだか変な感じ。おいしいけれど」
 アンナはバーベキューは初めてだったらしく少し戸惑ったが開放的な空気と仲間たちの楽しげな声に穏やかな気持ちでバーベキューに参加。あらゆるものを美味しく食べることのできるギフトで傷んでいるからと捨てられそうになった食材も大丈夫だから焼いてくれ、といって犠牲になってくれた命を無駄にせず美味しくいただいていた。
「お魚や貝やエビ、おいしそうな海の幸がいっぱいだ! こんなにおいしいものがダメにならなくて本当に良かった。命をいただくんだから、無駄になんてしたらダメだよね」
 焔が食べごろの魚介類はないかと網の上を見まわし、発見。
「この辺、もう食べられそうだね。それじゃあ、いっただっきまーす! うーん、やっぱり獲れたての魚は美味しいなぁ。海洋は海の幸が、新鮮なうちに手に入るよね」
 ミルヴィは一通り食べた後は歌や踊りが好きな人魚はいないかと声をかけて宴会中に演奏と一緒に披露する。
 彼女が作った塩だれのソースとレモンは海鮮との相性抜群で仲間から歌と踊りとともどもに好評を博した。
 そうして楽しく語らい、思うさま食べて村人たちの心を解きほぐした後でイレギュラーズたちは浜辺に転がしておいた海賊たちを引き連れて裁判にかけるため人魚の村を去っていったのだった。
 楽しい時間をありがとう、海賊を退治してくれてありがとう、人魚たちの感謝の声はイレギュラーズの背中が見えなくなっても途絶えることなく続いていた。

成否

成功

MVP

炎堂 焔(p3p004727)
炎の御子

状態異常

なし

あとがき

ギフトはいろいろなものがあるのだなぁ、と新人GMとして毎度シートを楽しく拝見させていただいています。
このギフトあったら便利だろうなぁ、とかあ、このギフトほしいなぁ、とか思いつつ今回も楽しんで書かせていただきました。
ご参加いただいた皆様にも楽しんでいただければこれ以上ない喜びなのですがいかがだったでしょうか。
海が舞台ということで海賊たちが出てきましたが船の出番がなかったので船に乗った海賊とのカーチェイスならぬ……船での追いかけっこのようなシナリオもいつか出してみたいものです。

素敵なプレイングありがとうございました。またご縁がありましたらお会いしましょう。

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