シナリオ詳細
スナネコシャンプー大作戦
オープニング
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スナネコ、という存在をご存じだろうか。
スナネコとは砂漠地帯に生息するネコの事であり、砂漠に溶け込む様な白~茶色で毛並みが整えられているのが特徴的な個体だ。また、体長も一般的なネコと比べればかなり種として小さい傾向にあり……それが故にこそ愛らしいと人気も出ているのだとか。
しかし。彼らはあくまでも野生動物である。
気性は荒く、とてもペットなどには向いていると言えないのがスナネコだ――が。
「我が村には、些か特殊なスナネコの一種がおりましてな……
我々は『みーちゃん』と呼んでいるのですが。みーちゃんは人に懐いているのです。
その上とてもデカくて、まるっこい」
「ほうほう」
混沌の世であればこそ、いくらでも例外はあるものである。
ラサ西部に存在するタウパ村。小さいオアシスを中心に、穏やかに暮らしを続けているかの村には……他とは違うスナネコがいた。『みーちゃん』と親しまれているその個体は、非常に大きく丸っこく。そして人を恐れぬとても友好的な存在なのだとか。
いやそればかりではない――どうも話を聞いてみれば、みーちゃんは村の守り主でもあるとの事。
「以前、村に魔物が襲い掛かってきた際に、みーちゃんが魔物を撃退してくれたのです! ううっ、牙で威嚇して爪で魔物を薙ぎ倒すあの様……可愛らしさの中に気高さも秘められており、もう最高ですね。村人はみーちゃんをもふもふするのが日課になっています」
「もふもふ……! いや、しかしどうしてみーちゃんは其処まで人に友好的に?」
「ハッキリとはしないのですが、はるか昔に、小さなスナネコが怪我をして迷い込んできた事がありましてな……その時に怪我が治るまで治療した子が、もしかしたら今のみーちゃんなのではないかと……」
成程――みーちゃんは、昔の恩を返していると言った所なのだろうか?
みーちゃんは普段、村の中で日向ぼっこしながら穏やかに生活をしているらしい。人が触れても特に嫌がる事もなく……むしろ『なでて~?』と擦り寄ってくる事もあるのだとか。うぅ、かわいい。もふもふしたい。
「――で。それはそうと、我々を呼んだ理由は?」
「ええ。イレギュラーズの皆さんには、是非お願いしたい事があるのです。それは……」
が。みーちゃんの可愛さは十分に分かった――ものの。
一体なぜここにローレットが呼ばれたのかと、貴方達は尋ねるものだ。
然らば。村長らしき男性は眼を鋭くし……イレギュラーズへと小さな声を。
「――みーちゃんをシャンプーで洗ってほしいのです」
紡ぐものだ。
ネコのお風呂。それは存外重要な事である……ネコはグルーミングする習性により表面上は綺麗に見えるが――しかし、見えぬ部分に様々な汚れが溜まっていくもの。特に砂漠地帯のラサでは砂埃などが蓄積されていく事もある。
それがやがて病気の可能性を引き出す可能性もあれば、人と共に暮らすのであれば、時折綺麗にする事こそが肝要だ……しかし。
「しかしですね……! みーちゃんは、シャンプーが苦手なのです……!
というかバレたら逃げられます。三日ぐらい戻ってきません!!」
そう。猫は基本として水が苦手である!
だからこそ抵抗したり、か細く鳴いたりして抵抗を見せる個体が多いものだ。シャンプーの気配を感じた時点でベッドの下など狭い所に逃げ込む事もあるだろうか……
勿論、それでも小さいネコであれば強引に風呂場に連れ込む事も不可能ではない、が。
みーちゃんは大きな個体だ。弱い魔物であれば撃退出来る程の。
……そのみーちゃんに全力で逃げられれば村人ではどうしようもない。
「な、なるほど――だから我々に、と」
「ええ。今みーちゃんは、中央のオアシス近くで涼んでいると思います……オアシスの近くに建設してある、みーちゃん専用お風呂場まで連れ込んで、なんとかシャンプーしてあげてください……! バレると抵抗されるので、なるべくバレないようにお願いしますね……!」
「ていうかみーちゃん専用お風呂場って何?」
「まぁ元々は公衆浴場だった場所の再利用みたいな感じなのですが。
とりあえず密室状態じゃないと逃げられちゃいますからね……」
確かに。オアシスで強引に洗おうにも、密室でなければ逃げられてしまう可能性があるか……?
まぁいずれにせよやる事自体は単純だ。
一つ。みーちゃんにシャンプーの時間だとなるべく気付かせない事。
一つ。みーちゃんをなんとかかんとか洗いきる事。
一つ。みーちゃんを乾かす事……!
イレギュラーズは村の中央に存在するオアシスへと視線を向ける。
そこには、噂通り人間がもふもふ出来るぐらいのサイズがあり、とっても丸っこい――スナネコのみーちゃんが、ヘソ天しながら寝そべる姿が見えていたとか。
- スナネコシャンプー大作戦完了
- GM名茶零四
- 種別通常
- 難易度EASY
- 冒険終了日時2022年07月31日 22時05分
- 参加人数8/8人
- 相談5日
- 参加費100RC
参加者 : 8 人
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参加者一覧(8人)
リプレイ
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「ラサにスナネコは、まま見かけるわよねぇ。
この前もネフェルストの片隅で見かけた記憶が……
で、でもこんなに大きい個体までいるなんて――凄いわね」
「きゃー! 可愛いわー! ちょっぴり大きな(当社比)猫さんだわー!
もっふもふだわ――! きゃー! こんなの犯罪級だわ~!!」
んにゃ? とみーちゃんが振り向いた先にいたのは『青鋭の刃』エルス・ティーネ(p3p007325)と超絶ハイテンションたる『超合金おねーさん』ガイアドニス(p3p010327)であった。巨大スナネコの魅力たるや、あぁなんたる至高か……!
エルスも、ガイアドニスの様なもふもふ好きとは些か異なるが……麗しい『髪』に関しては見過ごせぬ所もある。故にこそシャンプーへの気持ちは積極的な訳だ――尤も、その気持ちをみーちゃんに悟られる訳にはいかないが。逃げられたら終わりだ……!
「シャンプーは気持ちいいものなのに勿体ない……サラサラツヤツヤふわふわになれるのに……特にサラツヤになった毛を撫でると、とってもサラサラしてて……ご、ごほんっ! ともかく……最初はバレないように、なのね!」
「――こんにちはみーちゃん。私はアッシュと言いまもふもふもふもふ」
「みーちゃんも子猫さんたちもこんにちはにゃ! にゃーにゃーにゃ? こっちはドラネコさんのミーちゃんとリーちゃんですにゃ。仲良くしてほしいですにゃ!」
故にこそ慎重に近付くエルス――に続いて『Le Chasseur.』アッシュ・ウィンター・チャイルド(p3p007834)はなるべく心を見せぬ様に注意しながら――挨拶代わりのもふもふタイムである。
えっ? 違うのです。これはまずは挨拶と共に仲良くなり信頼を得ることが成功の鍵と見ただけで……もふーもふふ~! アッシュがみーちゃんに埋まる程もふりを恍惚としていれば『誰かと手をつなぐための温度』ユーフォニー(p3p010323)はみーちゃんや、その周辺にいる子猫たちに声を掛けていた。
さすれば『にゃー』『にゃ~♪』と子猫たちもユーフォニーに駆け寄るもの。
彼女が連れてきたドラネコのミーフィアに、ファミリアーで使役せしリディアともじゃれ合えば……あぁなんたる至福の一時だろうか! にゃー、みーちゃんとミーちゃん、おんなじだにゃ♪
しかし――みーちゃん達は、まだ知らぬ。こよれりシャンプーされるとは露ほども……!
さぁとりあえず接近には成功したので誘導して行こうか……風呂場へと!
「おっきなスナネコ……もふもふ……もふもふ……。
……終わったらもっふもふしよう。うぅ、アッシュさんは飛び込んでるけど……
がまん……がまん……!!」
「あぁ――とりあえず誘導しねぇとなぁ。
これだけデケェ猫だ……一度抵抗されるとそう簡単には抑えておけねぇ。
とは言え、もう既に好物に関しては調べがついてんだよなぁ……!!」
眼前に聳えるもふもふ。思わず心が奪われてしまいそうな『いにしえと今の紡ぎ手』アリア・テリア(p3p007129)だが――必死に耐えてみーちゃんを誘導せんと試みるものである。幸いにしてレーヴェ・ブランク(p3p010731)の情報網がみーちゃんの弱点を突き止めてもいた――!
その最終兵器の一つが、そう。
「そーれ、ふりふり~! あそ~れふりふり~みーちゃん此方、猫じゃらしのある方へ~!」
「みーちゃん、ほら猫じゃらしよ〜
私達は遊びに来たの、だから一緒に楽しめるといいのだけれど〜?
さぁこっちにおい……きゃああ~!? み、みーちゃんが飛び込んでき、わふ!」
アリアやエルスが振るう――猫じゃらしである!
やっぱり猫はコレに弱い。みーちゃんも例外ではないのだ……ただ、想像以上に効果があったのか、みーちゃんがその巨大毛玉の儘に――飛び込んできた! 更にはみーちゃんの子供達も同様なのか、目の前でフリフリされれば『どこいくのー?』『ぼくもつれてってー?』と付いてくる。か、かわいい……! ダメです、先にイレギュラーズがダウンしてしまいそう。
「それからこの、鰹節……? みたいな塊もだな。みーちゃんがよく噛んでるらしいぜ」
「ふむふむ。ワームの干し肉もありますけど、お口に合うかにゃ? こっちのミーちゃんはとっても大好きですにゃ。それから猫じゃらし、鈴、ロープ、小枝……遊べるものをたくさん持ってきたんですにゃ。ほ~らこっちですにゃ!」
しかし皆強靭な精神と、猫になりうる精神をもってして耐える(?)ものだ。
レーヴェはよく食べている物で釣りつつ、ユーフォニーもまたこっそり、こっそりと誘導して行く。ふふふ。更にはドラネコに成りきるセットで猫の気持ちになれば……準備は万全にゃ! みんなで一緒にもふもふにゃ〜!
とはいえ矢継ぎ早に仕掛けて行ってはわざとらしく見える……つまり勘付かれるのではないかとレーヴェは慎重に事を勧めるものである。同道する仲間の出方を待ち、一拍置いてからみーちゃんらの口元に鰹節を寄せていき。
「ふふっみーちゃんさん。本心を隠しても無駄ですよ……みーちゃんさんが鳴けば、喋っていることは私には筒抜けというわけです。われながらかんぺきな……みーちゃんさんがいる手前では口を開けないことに気づきました。困りました、致命的な欠陥です――どうしましょう。とりあえずもふって落ち着きますね」
そしてアッシュ。なんだか今日はもう、もふもふに屈してしまっている……!!
みーちゃんらと意志を交わす術がある事によって猫らとの交流は簡単にできる訳だが……交流出来過ぎて屈してしまいそうな境目に彼女はいるのである……! 頑張れアッシュ! 負けるなアッシュ! 快か不快かが分かるように動いて、屈さぬようには気を付け……ああ、アッシュがみーちゃんに埋まってる!
「可愛い可愛い、あぁホントに可愛いわぁ~! うふふふふ~!!」
そして――ガイアドニスが畳みかける様にみーちゃん撫で撫でタイムに入るもの。
存分にみーちゃんの毛並みを楽しみながら……さすればみーちゃんも喉を鳴らして甘え始めるものだ。だから少しずつ、少しずつ誘導して行く。抱き上げくるくる回り、大はしゃぎする振り……振り? をしながら。ゆっくりと風呂場へと――
「んにゃ?」
「――ごめんね。でもこれも必要な事なんだ……だから」
然らば『分かってね』と、紡いだのはアリアだ。
――いつの間にやらみーちゃん達は建物の中に入っている……! ハッ! 此処はお風呂場だ!! とみーちゃんが気付いた時には時すでに遅し。中ではもう既にシャンプーの準備が出来ているのである――!
さて。誘導は一応うまく行ったわけだが。
しかしある意味で本番は此処からなのかもしれなかった……
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第二ラウンドにして本番。風呂場では更に別の猫たる――
『じゃいあんとねこ』陰陽丸(p3p007356)が待ち構えていた――!
『キミはここでボクたちと一緒に洗われるのです!
……そう、何故かボクもいっしょに……どうして……どうしてボクも……』
が、なんか悲しそうである。この世の終わりかの様な絶望と共にある様だ……
ボクたち猫族は毛づくろいを欠かさないので正直入らなくてもいいのでは……
不満気に尻尾を何度も床に叩きつけてささやかな抗議。だけどもう陰陽丸も含めて逃げれないぞ――シャンプーの準備に関しては既に水着状態で万全たる『特異運命座標』四(p3p010736)が整えているのだから。
「みーちゃんほどの大きさのスナネコを洗うとなると、かなりの重労働にして過酷な状況になるかもしれんからもな……泡はもう少し用意しておくか。もしかしたらこれでも足りないかもしれん……」
「――あ! みーちゃんさん、逃げないでください! 大丈夫ですよ!」
「んにゃ~~~!!」
『無駄ですよ! 出口はボクが塞ぎますから――むぁあ、猫パンチしてくるとは! この、この! ちょっと発散させてあげましょうか!』
「陰陽丸君、逃がしちゃダメよ! おねーさんも手伝うわ~!
いいのかしら~? いいのかしら~~? みーちゃんが逃げちゃうと、その分陰陽丸くんやドラネコさん達が洗われちゃうのだわ~」
『ええ!? みーちゃんが居なくなってもボクは確定!!?』
同時。みーちゃんも猛抗議して風呂場から逃走せんとする――!
が、落ち着いて下さいと説得するのはアッシュだ。清潔に保つことこそが毛並みを正常に、そして長持ちさせる秘訣云々かんぬん……更には陰陽丸が出口を塞ぐようにみーちゃんの行動を阻害。
が。みーちゃんは『どいてよ~!』と言わんばかりに出口を塞ぐ陰陽丸とガイアドニスにアタックだ。ガイアドニスが言いくるめんと、言を用いるが……陰陽丸とみーちゃん。巨体猫同士の様は正に猫同士のじゃれ合いと言うに相応しく、激しい! でもこれも可愛いわね! うん!
「ふぅ。ネコを洗うのは初めてだが……まあ何とかなるだろう。スラムのガキと似たようなものだ。連中もお湯ぶっかけられると暴れる生き物の類だからな――そら。大人しくしていればまた鰹節をくれてやるから、少しばかり我慢する事だ」
「濡れるの嫌よね……ごめんなさいみーちゃん。でも終わったらサラサラツヤツヤふわふわになれるのよ〜! 子猫ちゃん達もきっと喜ぶわ! ね? あら……貴方達も一緒にシャンプーする?」
「にゃにゃ~! んにゃにゃ~~!」
「みんな一緒に連れて行ってあげようねえ? だいじょーぶ。こわくないよ~」
さすれば続きざまにレーヴェやエルス、アリアも参戦するものである。風呂嫌いの猫と言えど、この状況ならばどうとでもなろうと……レーヴェは我慢して洗われた後のご褒美を示唆しつつ、エルスは足元でちょろちょろ騒ぐ子猫たちも抱き上げ。アリアはみーちゃんや子猫たちを宥めようか。
水をいきなりかけたりはせず、湿ったタオルなどで何とかならないか模索するものだ。
――しかし汚れが溜まっていたのか弾く弾く……!
四が盛大に作ってくれた、大量のきめ細かいシャンプーの泡を使っても尚に、だ……!
「なんだこれは……暫くシャンプーをしていなかったんだろうか? くっ。まぁいい、やはり足から少しずつ洗っていくとするか……指の間など汚れがたまっているかもしれんからな。この肉球も……うむ……素晴らしい弾力……うむ……なんたる至高な……はっ。これがみーちゃんの魔力か……!?」
「水遊び、みんなで遊べばこわくにゃい、にゃ! 泡を投げて遊ぶのにゃ!
さ~こっちに来るにゃ~♪ あっわあっわ・もっこもっこ・楽しいにゃ~♪」
「ぱぱと一緒にきれいきれいしましょうね。はい、ばんざーい。
ん? ぱぱをいじめたりはしていませんから、安心してくださいね」
それでも諦めぬ四が暴れんとするみーちゃんを必死に洗いて……途中で肉球の誘惑に負けそうになり掛けるが……ともあれユーフォニーも参戦。服の下に、夏の為の水着を着込んで来ていた彼女に隙は無い。淡い蒼の水着が映える映える――
そのまま彼女はみーちゃんや子猫たちを、もこもこにしようか。
アッシュも加わりて子猫たちも全身を洗えば『みゃ~』『おねえちゃんやめて~』と言う様な弱い抵抗を子猫たちがしてくる。が、そんな様子も可愛いものだ……更に続けざまユーフォニーが連れてきたミーちゃんとリーちゃんもシャンプーに巻き込む。ふふ。こっちの子達はシャンプー大好きにゃね~♪
「みーちゃんより小さくて洗いやすいな。お前たちも父と共に綺麗になるといい。
……ニャーニャーと可愛いな。だがこちらも仕事だ。手を止めるわけにはいかん、許せ。
一度洗えば、暫くはそのままで行けるからな。一時の辛抱だ」
『そんにゃ~』と、四の言動にテンションが下がる子猫たち。
けどこれで子猫たちは何とかなりそうだ――あとは最大の難関たるみーちゃんの方か。みーちゃんは未だ抵抗を続けている……! んみゃ~~~!! みゃみゃみゃ~~! ぐるるる、ケキャ~~!!
『こら、今更逃げられると思うてか。ボクも、ボクも洗われてるんだからもう少し我慢しましょう……!! もう少し! もう少ししたら、洗って乾かすタイムに入りますから! このおフロ(じごく)をのりきりましょう!!』
「ほら。子猫たちの方が聞き分けが良かったぞ。
そら、捕まえた。大人しく観念して洗われな。これ以上抵抗しても長引くだけだぞ」
鳴き声もかすれた感じの声になって来て、みーちゃんも疲れ始めてきたのだろうか? ともあれこれがチャンスだと、陰陽丸は自らも現れつつみーちゃんを取り押さえるものである……然らば子猫達の仕上げに取り掛かっているレーヴェもまた、みーちゃんに言を紡ぐもの。
屈強に耐えていた汚れも大分落ち、泡だらけになっている。
あと一歩だと諭すように――さすれば。
「ええ――自分が平気であったとしても、触れ合う人々や、貴方のお子さんが良くないかもしれないのです。ゆえに、今日は涙を呑んで耐えていただきたいのです。これは決して洗った毛並みをモフりたいからでは……」
「あらあらおねーさんはモフりたいわ! その為にももう少しね――!
陰陽丸君やドラネコさん達も一緒に仕上げましょ!」
『いやあの、ボクはもうそろそろいいんじゃ……ダメですか、あ、ハイ』
みーちゃんらを洗いながら、これよりの未来を想像するアッシュ。
陰陽丸達を含めて纏めて丸洗いするガイアドニスらがスパートをかけ――
今ぞ最後の水を投じる。泡を落として、さぁ後は乾かすだけだ!
「ごしごししましょうね~みーちゃ~ん~♪ ふんふんふ~ん♪
大丈夫だよ~♪ これで最後だよ~大人しくしてればすぐ終わるからね~♪」
「この気候ならすぐ乾きそうな気もするが……いやしかし濡れた状態で放置してはまた汚れがつきそうだな。櫛で毛を梳かそうか。もしかすれば。シャンプーで落としきれなかった汚れも少しは落ちるかもしれない……」
然らばアリアは鼻歌と共に更にみーちゃんを宥めつつ布で拭き始めるものだ。それでも『むすーっ』とした表情のみーちゃんだが、四が櫛を用いれば気持ちいいのか表情が段々と和らいできて……
「しっかり乾かして優しくブラッシングにゃ。お風呂は楽しい時間なのにゃ!
分かったかにゃ? ちょーっとビックリするだけでホントはお風呂は気持ちいいにゃ!」
『偶にはシャンプーもいいものですよ…………タブン……
分かる。分かりますよその表情の意味は。うん。だってやっぱ苦手ですもんね』
『んにゃ~にゃににゃ~』
畳みかける様にユーフォニーもみーちゃんらを乾かさんとして。
そして愚痴を言いたそうなみーちゃんに賛同するのは、陰陽丸だ……しかし。同じ猫として気持ちはよく分かると――共に励まし合い、じごくを乗り切った! 遂に乾ききれ、ば!
「ほら、サラサラツヤツヤふわふわになれたわ! うんうん最初の頃はもふもふで、あれはあれで良いものだったけれど……今はサラツヤも追加されて、輝いてるわね! ふふっ。スッキリしてくれてたら嬉しいのだけれどっ」
「おわった――!! すーはーすーはー!!
あ~これだよこれこれ、これが猫吸いの醍醐味だよね……あ~幸せ……」
エルスやアリアが歓喜し――更にアリアはみーちゃんに文字通り、飛び込む。
そして盛大に猫を吸う……! もう我慢できないとばかりに。
さすれば至福の感触に瞼が閉じられ……
「うむ。子猫達も含めて綺麗になったな――これでよし、だ」
「やれやれ、よく頑張ったな。さ、約束通りご褒美だ――存分に喰いな」
「みー! んにゃにゃ~!」
そして四も満足げな表情を微かに浮かべながら、みーちゃんや子猫達を見守り。
レーヴェはみーちゃんに、持ってきていた好物の残りをあげよう。さすればまるで腹を空かせていたかのようにかぶり付くもの……お風呂で疲れたのだろうか。微かに撫でて落ち着かせてやれ、ば。
『ふぅ。なにはともあれ、一件落着ですね』
同時。陰陽丸は、護符より生じる風にて快適に毛を乾かしている状態であった。
コレがあれば砂漠の熱気があってもへっちゃらである。ない人はたいへんだなーボク暑いの苦手なのでこの風(ごふ)がはずせないんですよーにゃふふふ。と、含み笑う陰陽丸……の護符を、こっそりと子猫達が悪戯で剥がさんとする。
あ、やめて。それを剥がされると熱気がボクに! あ、返して~~!!
「義理堅いみーちゃんさん――これからもどうか健康で、村と共に在ってくださいね」
そして。最後にアッシュがサラモフになったみーちゃんへと語り掛ける。
猫さんとは自由気儘なイメージが付き纏いがちだが……斯様に義理堅い猫もいるものなのですね、と。
そんな猫さんだからこそ健康でいてほしい。これからも、ずっと、ずっとと――
……離れるのが惜しいのか、みーちゃんの毛並みに埋まりながら、アッシュは言を紡ぐのであった。
成否
成功
MVP
状態異常
なし
あとがき
にゃ~~~にゃにゃにゃにゃ~~~!!
依頼お疲れ様でしたイレギュラーズ! ありがとうございました!!
GMコメント
∩(^ΦωΦ^)∩ニャー
ご縁があればよろしくお願いします!
●依頼達成条件
スナネコのみーちゃんをお風呂に入れましょう!
●フィールド
ラサ西部に存在するタウパ村が舞台です。
小さい街ですが、普段はスナネコのみーちゃんと共に穏やかに暮らしているんだとか。中央にはオアシスがあり、更にその近くにはみーちゃん専用お風呂場も存在しています。お風呂場にまでなんとか連れ込めれば密室状態になるので、洗いやすくなるでしょう。
●スナネコの『みーちゃん』
砂漠に生息するネコの一種です。
みーちゃんと呼ばれる個体は、人間が思いっきりもふもふ出来るぐらいのサイズがあります。でもいざという時は魔物とも戦えるぐらい気高く村の守り主として可愛がられ……もとい、崇められています。
スナネコはあまり人に懐かないと言われていますが、みーちゃんは例外であり撫でられるのも大変好きです。でもお風呂は嫌いみたいです。お風呂の気配を感じるとめっちゃ抵抗してきますし、一度姿を見失うと三日は帰ってきません。
でも抵抗と言っても人間の事は大好きなので、軽いネコパンチしてくるぐらいです。あとはか細い声で鳴いたりして同情を誘ってなんとか逃亡の隙を見つけんとしてきます……ダメですよ? みーちゃんの誘惑に屈しちゃ……! 洗ってあげてくださいね!
その他、やっぱりネコなので猫じゃらしとか、そういうモノにも弱いです。
みーちゃんの気をなんとか引いて、シャンプーしてあげて下さい……!
●みーちゃんの子供達
実はみーちゃんには子供達もいて、みーちゃんの近くにいます。
一般的なスナネコサイズで小さいです。かわいい。子供達をシャンプーする必要性は(依頼としては)ありませんが、ついでに入れてあげてもいいかもしれません。なお、みーちゃんをお風呂に入れると『ぱぱをいじめるなー』と、てしてししてきます。かわいい。
●情報精度
このシナリオの情報精度はAです。
想定外の事態は絶対に起こりませんにゃー。
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