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シナリオ詳細

思い上がった連中を力でねじ伏せろ!

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●力こそ正義
 鉄帝……ゼシュテル鉄帝国。
 無辜なる混沌の『大陸』北部に位置するこの地は、機械生命体の末裔とされる『鉄騎種(オールドワン)』が主となって支配する地。
 ――武力こそ全て。
 鉄帝の人々は、血気盛んな国民性でも知られる。
 そんな考え方が支配する場所だからこそ、己の力をひけらかす連中は後を絶たない。
「おらおら、ドミンゴ・ムンギア様のお通りだ!」
 数人の男の後ろから胸を張って歩いてくるのは、身長2mはあろうかという大男。
 両腕が機械を思わせる構造となっているところから、鉄騎種に違いないだろう。
 大男ドミンゴは気分よさげに街を闊歩し、気に入った露店の物を手でつかんで懐に入れ、あるいは美味しそうと思えば勝手に食い散らかしていく。
 店主達もドミンゴの強さを知っているのか、歯向かう様子はないようだ。
「力さえあれば、何でも許される。改めてこの国に生まれてよかったと実感するぜ」
 この国において、強者は尊敬に値する対象である。
 だが、さすがに民衆へと好き勝手する者まで、人々が歓迎するはずもない。
 ただ己の力をひけらかす者には、より強い力を持った者による罰を。
 人々はそう信じながらも、荒くれ者どもが去っていくのをじっと耐えながら待つのである。

●力に溺れる愚か者に鉄槌を
 幻想のローレット。
 ここには最近、他国からの情報も多く入り、依頼が舞い込んでくることも珍しくない。
「鉄帝から、依頼を預かっているのです」
 あちらこちらを忙しなく駆け回り、情報や依頼を集めている『新米情報屋』ユリーカ・ユリカ(p3n000003)がイレギュラーズ達へと話しかける。
 鉄帝もイレギュラーズ達の力は認めており、自分達では手の回らぬ依頼をする為、あるいはイレギュラーズ達の力を見たいといった目的で依頼をもちかけてくるのだそうだ。
「それで、今回の依頼なのですが、荒くれもの達の討伐を願いたいのだそうです」
 10名規模の集団だが、鉄騎種のみで構成された荒くれ者達。
 そいつらが最近、国内の街で誤った力の使い方をしているという。
 これを国の軍事力で、鎮圧しようとするのはたやすい。
 だが、それだけに好き勝手やれば、国の軍事力と直接力比べができると勘違いする輩が増えてキリがない。
 そこで、鉄帝はイレギュラーズに頼むことを思いついたらしいのだ。
「イレギュラーズとしては、これ以上ない力の見せ場だと思うのですよ」
 ローレットとしては事件の解決、さらに鉄帝に力を見せ付ける事のできる機会。まさに一石二鳥である。
 さて、実際の状況だが、すでに、現状彼らが滞在している街は特定しているので、直接そちらに向かうことができる。
 敵はドミンゴ・ムンギアという男が自らの名前を強調して暴れているので、そいつと戦いたいと話せば向こうから勝手にやってきてくれるだろう。
「相手は自らの名前をあげようとするドミンゴという男に負けた人達が勝手についてくる形で、荒くれ者の集団になっているようなのです」
 鉄騎種であることを最大限に活かし、直接殴りかかってくるのがドミンゴの戦闘スタイル。
 距離を取る相手には拳で気合の一撃を放ち、空気を弾丸のように撃ち出してくるので注意したい。
 また、8人いる取り巻きはそれぞれ武器を持つ。
 ドミンゴと同じくナックルの他、ハンマー、ハルバード、斧と様々だが、基本は至近距離から中距離の攻撃を行う。
 脳筋な連中ということもあって、多少工夫した戦略があれば攻め崩すのはさほど難しくないと思われるが、そのパワーは侮れぬものがあるので油断は禁物だ。
「以上なのです。皆さんの活躍、期待しているのですよ!」
 にっこり笑うユリーカはイレギュラーズ達を和ませつつ、鉄帝へと送り出すのだった。

GMコメント

●目的
荒くれ者達を懲らしめること。

●敵……荒くれ者一団
いずれも、鉄騎種(オールドワン)です。

○荒くれの大将、ドミンゴ・ムンギア
両腕が機械のようになった大男です。
鍛え上げた肉体に相当自身を持っており、
振るった拳で空気を衝撃波のように飛ばすことすらできます。
ナックルを装備し、以下のスキルを使用します。

・鉄拳粉砕(物至単・ブレイク)
・ローリングラリアット(物近範・防無)
・気合の一撃(神遠貫)

○荒くれ者達……8人
取り巻きとなる10代後半から20代の男性達。
いずれもドミンゴに倒され、その力に惹かれた男達です。
ハンマー×2、ナックル×2、ハルバード×3、斧×1
基本脳筋で、至近~中距離攻撃メインで攻めてきます。

●状況
鉄帝内の街を好き放題に暴れるドミンゴは取り巻きを従え、
強い者を探して力試ししております。
また、自らの力をひけらかし、ゆすりたかりの類も行っているようです。
事前に彼らの滞在している街は情報として仕入れる事ができる為、
直接そちらに向かって、戦いを挑むことが可能です。
基本的には街路などが交戦場所となるでしょう。

●情報確度
A。想定外の事態(オープニングとこの補足情報に記されていない事)は絶対に起きません。

それでは、よろしくお願いいたします。

  • 思い上がった連中を力でねじ伏せろ!完了
  • GM名なちゅい
  • 種別通常
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2018年08月21日 21時45分
  • 参加人数8/8人
  • 相談5日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

セララ(p3p000273)
魔法騎士
ヨハンナ=ベルンシュタイン(p3p000394)
祝呪反魂
石動 グヴァラ 凱(p3p001051)
ニル=エルサリス(p3p002400)
グリムペイン・ダカタール(p3p002887)
わるいおおかみさん
メル・ラーテ(p3p004228)
火砲少女
竜胆 碧(p3p004580)
叛逆の風
サイモン レクター(p3p006329)
パイセン

リプレイ

●社会の枠を出る者に強者の裁きを
 鉄帝、ゼシュテル鉄帝国という国は、鉄騎種の国。
 力こそ全てというこの国ですら、力を振り回す厄介者が蔓延っている。
「荒くれ者を懲らしめるんだお」
 小柄ながらも豊満な胸が目を引く、ニル=エルサリス(p3p002400)。
 彼女だけでなく、イレギュラーズ達は皆、その気概で鉄帝を訪れていた。
「弱肉強食を是とするなら、それよりも強い者に食われても仕方が無いという事になるのだけれど」
 それを聞いていた狼の獣種に酷似した男、『わるいおおかみさん』グリムペイン・ダカタール(p3p002887)は語る。
「これを良しとしないから、人間は社会という檻を作ったのにねえ」
 ――此処は実に、絶妙なバランスで成り立っているものだ。
 ダカタールは妙に得心して、さらに言葉を続ける。
「まあしかし、檻から出たいなら、恐ろしいモノに食べられても文句は言えまいな?」
 詰まるところ、社会の枠を外れようとするなら罰せられるということだろう。
「幾ら強かろうが、やりたい放題は通用しねぇって事か」
 男装した金銀オッドアイの女性、『死を呼ぶドクター』レイチェル=ヨハンナ=ベルンシュタイン(p3p000394)もまた、この国の在り方に納得して。
「……目には目を、歯には歯を、力には力を。ま、鉄帝のそんな所は嫌いじゃねぇぜ?」
 白衣を翻して、レイチェルは楽しげに笑う。
「力を振り翳す、無法者。其の対価を払うべき時が来た」
 大柄で強面の男、石動 グヴァラ 凱(p3p001051)は流れ者であればこそ、この街に現れる荒くれ者どもに対する取立人として相応しいと話す。
「愛と正義の魔法少女として悪者は放っておけないよ。平和はボクが守る!」
 意気揚々と語る仲間に続き、赤を貴重とした可愛らしい衣装を纏う『魔法騎士』セララ(p3p000273)が叫ぶ。
 今回、重い傷を押しての参加であるセララだが、気合は十分だ。
「今回はシンプルな仕事だな。わかりやすくていいぜ」
 陽光を克服した夜の住人、『吸血鬼を狩る吸血鬼』サイモン レクター(p3p006329)が言うように今回は暴れる連中を倒すだけでいいのだ。
「そんじゃ、さっさととっちめてくるか」
 彼の言葉に応じ、メンバー達は荒くれ者どもの捜索を開始するのである。

●暴れる荒くれ者ども
 イレギュラーズ一行は街へと向かい、荒くれ者の出現場所などについて情報収集を始める。
「なー、おっちゃん! オレらドミンゴって奴と戦いてーんだけど、何処にいるか知らね?」
 男勝りなミツアナグマの獣人、『黒白の傭兵』メル・ラーテ(p3p004228)が酒場のマスターへと大声で尋ねる。
 悪評はかなりのもので、マスターもその被害者らしい。
「誰か動いたんだお」
 ラーテが話を聞くうちに、ニルが酒場に入って注文していた客の1人が急に外へと出て行ったのに気付いていた。
「……腕っぷしに自信があって、大将サンと一発殴り合いたい奴らが居るんだ」
 レイチェルは酒場の外で、相手を誘き寄せる為に吹聴していく。
 もちろん、レイチェルもその一員なのだが、生憎と拳と拳で戦うには分が悪いと本人も自認しており、得意な魔術で勝負を考えている。
「ま、嘘も方便だろ?」
「違いないな」
 路地裏で屯す日陰者達へと、声をかけていた凱がこちらへとやってくる。
 後は開けた場が用意できれば文句ないが、警邏の者がいないかと凱が見回すも、なかなか都合よく捕まらない。
「皆、あいつを追うんだぬ!」
 そこで、ニルは逃げる一人の男を追う途中で見つけた仲間へと声をかけ、仲間と合流していく。
「どうやら、網にかかったみてぇだな」
「ええ」
 サイモンの言葉に、ダカタールが首を振る。
「簡潔なのは良い事だ。少々趣は無いが、要らぬ群衆に割く手間も時間もないのだよ」
 皮肉めいた一言を呟き、彼もまたその後を追う。
 丁度、通りの向こうから、我が物顔でやってくる荒くれ者の一団がおり、逃げる男が合流した。
「てめぇか、このドミンゴ・ムンギアと戦いたいというバカな奴は!?」
 名乗りを上げた大将はすぐさま殴り倒そうとする勢いだが、ニルも一歩も引かずにその鉄騎種の大男を見上げて。
「力自慢のクセに、子供一人を寄ってたかって攻撃するの?」
 子供を装うニルの後ろから、仲間数人とサイモンが追いついて。
「アンタがドミンゴか」
 彼は狭い場所でなく、思いっきり暴れられそうな場所でやり合いたいと話を持ちかけると、敵も手狭な通りが気になったようで。
「ふん、ならのってやろう。どうせ勝つのは俺だがな!」
 駆けつけるイレギュラーズ達はうまくいったとほくそ笑み、近辺の住人に広場の場所を案内してもらうのである。

 街角の一角、空き地となった場所でイレギュラーズ達と荒くれ者一団が相対する。
「成程アレが王様か。猿山の上で裸とは大層御苦労な事だな」
 いかにも脳筋な荒くれ者達を、ダカタールは見回して。
「ユグドラシルで首でも括れば、叡智が身に付くんじゃないか?」
 彼が意図する言葉すら理解せず、相手はこちらを見下すように下卑た笑いを浮かべる。
「……全てが力で何とかなれば良かったのでありますがね。そういうわけにも、いかないんですよ」
 驕った態度の鉄騎種達へ、同じ鉄騎種の『叛逆の風』竜胆 碧(p3p004580)が諭す。
「実際そうなら、こういう事にはならないでありましょう?」
 同種の碧ですらも、相手にとっては見下す対象でしかない。
 だからこそ、碧も淡々と呼びかけを続けて。
「我も一応、鉄騎でありますので。喧嘩を売りに来た、でありますよ。買いますよね?」
「無論、勝つ戦いを買わないわけがない」
 大将ドミンゴの余裕の態度に、取り巻きどもも態度を大きくして武器を取り出し、イレギュラーズ達を威嚇してくる。
「おい、テメーら力で何でも捩じ伏せようってんなら、逆に捩じ伏せられる覚悟も出来てるってーこったよなぁ?」
「それじゃあ行こうじゃないか、鬼退治……いや、この場合はただの猿狩りかな?」
 ラーデ、ダカタールが相手を煽るが、まるで反応しない。それだけ、自分達の力に自身があるのだろう。
「ボクは聖剣騎士団団長、魔法騎士セララだ!」
 そこで、セララが高らかに名乗りを上げる。
「ドミンゴ! キミを倒してこの街に平和を取り戻す!」
「御託はいい。やろうぜ」
 剣を差し向けた彼女が挑発すると、にやりと白い歯を見せたドミンゴが拳を鳴らす。
 もはや、言葉は要らないと判断した凱が告げる。
「……制圧を、開始、する」
 機械鎧を纏った彼はオーラの刀身を出現させた剣と武装を内蔵した盾を手にし、向かい来る荒くれ者どもを迎え撃つのだった。

●脳筋ならではのごり押し戦法
 その攻撃方法は異なるが、いずれも鉄騎種として生まれ持ったその体を活かし、力で攻め来る荒くれ者達。
 それらを抑えつつ戦うイレギュラーズ達は、うまく彼らを広い場所に誘い出してから戦うことに成功していた。
「周辺への被害もそうだが……」
 期せずして、凱は仲間が整えたこの環境を確認する。
 遠目で、こちらを注視しているのは、鉄帝の民だ。
 無法者の跋扈もあって、街の治安が乱れている状況。
 直接被害に遭った者は鬱憤も溜まっており、イレギュラーズの勝利を願っていることだろう。
「分り易い場で、分り易い方法で叩き潰したとなれば。他の悪党も多少は大人しく、被害者の溜飲も下がるか」
 ともあれ、まずはこの勘違いした目の前の悪党を倒す必要があると凱は考える。
「まぁ、お膳立ては上々か」
 後は全力でねじ伏せるのみ。
 レイチェルも同じことを考え、得意とする魔術を展開する。
「ククク……、純粋な闘争も嫌いじゃあ無いぜ。血が滾るからなァ」
「土手っ腹に風穴開けられてーヤツから、さっさとかかって来いよ!!」
 ラーテが相手を挑発すると、荒くれ者達が武器を振り上げる。
「どりゃあああっ!」
 ナックル装着のドミンゴなどは、直接拳を振り上げてきていた。
 そのドミンゴの前に立ち塞がるは、セララだ。
「皆が荒くれ者を倒し終えるまで、ボクが抑えきる!」
 大柄な相手へと接敵する彼女は、相手を見上げて。
「ドミンゴ! キミは何でその力を悪事に使うんだ!」
「力を自分が思うように使って何が悪い!」
 まずは鉄拳粉砕と、ドミンゴはセララの体を殴りつけてくる。
 己の力を誇示するだけあって、その一撃はかなりの威力。
 衝撃を受けた彼女は僅かに怯むが、なおも毅然とした態度で相手を見つめて。
「弱者を助けるため。あるいは平和を守るために。それが正しい力の使い方だよ!」
 そう告げ、セララは自身の正義の心を、左右の手に持つ聖剣ラグナロクと聖剣イチゴショートへと宿す。
「キミが暴力に溺れているなら……その性根、叩き直す! 行くよ!」
 狙うは、相手の生身部分である胴。
 十字に切り裂かれたその連撃にも、ドミンゴはにやりと笑って。
「上等だ、もっとかかってこい!」
 粗野で乱暴な相手だが、ドミンゴも楽しさを感じていたようだ。
 他メンバーは、取り巻きの殲滅へと当たる。
 レイチェルは距離を取り、かつ仲間と密集するのを避けて立ち回っていた。
 荒くれ者どもはほぼ近場の相手を殴りかかり、あるいは切り裂いてきている。
 相手が距離を詰めてくるまでに、レイチェルは相手の足元に術式を展開していく。
 『ケーニッヒヴォルフ=ハウリング』 。
 緋色の魔術式を展開する彼女は、相手の足元から闇を噴出させ、狼の牙の如く相手の体を引き裂いていく。
 こちらも、相手から適度に距離を保つラーテ。
 自由なる攻勢を始める態勢を取ってから、ラーテは拳銃「サウザント・ワン」に体内の気を集中させる。
「喧嘩はいいがな。カタギに迷惑かけんじゃねぇよ!」
 ラーナが発射した一発は光柱となり、相手の体を灼いていく。
 されど、取り巻きもドミンゴに従うとはいえ、力で相手をねじ伏せる連中だ。そう簡単に倒れてはくれない。
「食らえええ!!」
 さて、攻めくる相手は前線に到達し、前に立つニルやサイモンを襲う。
「大人しくするお」
 ニルは戦いにおいても調子を崩すことなく、大きな胸を弾ませて回転し始め、自らを中心として暴風域を巻き起こす。
 バカ正直に突っ込んできた荒くれ者達はその嵐に巻き込まれ、体を裂かれて苦しみ悶えていた。
 だが、相手も脳筋ではあれ、危険を察知するのには長けている。
 難を逃れた敵をサイモンが狙う。
「だりゃあああっ!」
 ただ、相手もハンマーを振り上げて仕掛けてくる。
 サイモンはそいつへと魔眼で催眠をかけようと試みるが、気丈に抵抗した相手はハンマーで彼を殴り倒してしまう。
「ただの脳筋じゃなかったか」
 頭から血を流す彼は己の血を舐めとり、手加減なしの全力で相手へと組みかかっていく。
(元より語るべき場ではない、叩き伏せる場)
 凱は迫り来る相手に向け、死骸楯を展開する。
 無機質な死骸の肉片で己の鎧の隙間を埋め、凱は手にする盾で相手を押し込むように殴りつけていった。
 その前列のメンバーより、僅かに距離を取る碧。
 彼女は攻撃には加わらず、SPD……スペシャル・ポーション・ディフェンスを使って仲間の癒しへと当たっていく。
 相手の攻撃の威力は脅威だ。回復は手厚く、かつ備えるに越したことはない。
「我が相手、でありますよ」
 仲間の盾として、碧は相手を抑えることも忘れない。
 そして、ダカタールは荒くれ者達の能力をある程度察知しつつ、戦いに当たる。
 どうやら、ドミンゴが貫通威力のある空気の弾丸を放つこともあるとのこと。
 仲間と盾一列に並ばぬよう意識しつつ、ダカタール魔力を無数の弾丸に変えてガトリングガンのように発射し、弾幕を張っていく。
 それを受け、ついに意識を失う取り巻きが出始めていた。

「おらあああっ!!」
 両腕を広げて激しく回転する荒くれの大将、ドミンゴ。
 そいつのローリングラリアットは範囲もさることながら、相手に触れるだけでも一撃で卒倒させる威力がある。
 セララはそれをうまく避けようとし、体勢を低くして。
「回転攻撃ってのは、足下がお留守になるんだよ」
 大振りであるからこそ、避けやすいのは事実。
 彼女は相手の足元目掛け、スライディングを繰り出す。
 だが、思ったより重心の相手したドミンゴは足を蹴られてなお、しっかりとセララの前に立ち塞がっていた。
「甘いな、姉ちゃん」
 跳躍して避けようとするが間に合わず、彼女は相手の鉄拳をもろに食らってしまう。
「ボクは……悪者なんかには負けない! 絶対に!」
 それでもセララはパンドラを使って薄れ掛けた意識を繋ぎ止め、相手へと睨みを利かして立ち続けていた。
 イレギュラーズは順調に攻め立てているようにも見えたが、脳筋な荒くれ者達はこの後、底力を見せて己の力を見せ付ける。
 力任せに殴りつけるということは、それだけの威力を伴う。
 対策なしに前線に立てば、それだけで瞬く間に体力を奪われてしまいかねない。
 1体を倒したニルだったが、取り巻きに脳天を叩かれ、一度は昏倒しかけていた。
 その運命を回避したニルは踏みとどまってから、そいつへと憎悪の爪牙を振りかざし、その命までも断ち切っていく。
 同じく、サイモン。
 シンプルに相手へと組み技を仕掛けては行くものの、数人でかかられると苦しい。
 1人の対応に集中している傍ら、相手のこぶしがクリーンヒットしてしまい、サイモンは地を這ってしまった。
 さらに、後のメンバーを狙おうとする敵目掛け、凱が迫る。
「はあっ!」
 気合と共に発した凱の一喝は、相手を吹き飛ばすほどの威力を持つ。
「一応、殺さぬ様にはしているが……」
 相手も殺す気で襲ってきている。
 不可抗力はやむを得ないと割り切り、凱は次なる取り巻きを相手にし始めていた。
 それでも、一時前線が崩れ、後へと攻め入る取り巻きの姿も。
 やむを得ず、ラーテが近づいてくるそいつに対して抑えに当たる。
 だが、相手の獲物は斧。
 そいつが振り下ろす刃はあまりに重く、ラーテはパンドラに頼って抵抗を見せることになる。
「やりやがったな?」
 にやりと微笑んだラーテはCQCで相手を押し倒し、脳天から地面へと叩き落として昏倒させていった。
 気付けば、取り巻きは全員が地を這っていた。
「後は、ドミンゴだったか鳥だか猿だかの相手だな。……手間をかけさせてくれるなよ」
 ダカタールは大将目掛け、自らの精神力を弾丸に変えて撃ち出す。
「喰い散らかしには要注意、だ」
「ぬうっ、役立たずどもが……」
 弾丸を受けたドミンゴは、取り巻きが全員倒されたことを悟った。
 それは、残りのイレギュラーズ達全てを1人で相手にすることである。
「接近戦は避けられそうだなァ」
 相手と距離を保ち、戦い続けていたレイチェルは、うまく威力のある一撃からは逃れていた様子。
 気力の続く限りレイチェルは見えない悪意を放ち、ドミンゴの体を苛んでいく。
 そして、仲間のカバーと回復に当たり続ける碧。
「最後まで油断は禁物でありますので、堅実に攻めて行きましょう」
 この場で最も危険な状況にあるセララを庇い、彼女へとSPDを投与する。
「力とは何も、一つではないであります!」
 相手を屈服させるだけが力ではない。守る為の力だってあると碧は主張し、ドミンゴへと身構える。
 その後ろから、セララがドミンゴへと攻め入った。
「ボクの背には、街の平和がかかっているんだ!」
 できるだけ自身に注意を向けるとセララは大声を上げ、両手の聖剣で幾度目かの十字の斬撃を見舞っていく。
 ――一念岩をも通す。
 彼女の強い意志はついに、ドミンゴの強さをも砕く。
「な、にいぃ……っ」
 血飛沫を上げたそいつはようやく意識を失い、地面へと崩れ去る。
 その直後、鉄帝の民から大きな声援がこの場へと飛び交い始めたのだった。

●力を求める者の集まる国
 イレギュラーズ達は荒くれ者どもを捕らえ、確認する。
 残念ながら、全員が生存とはいかなかったが、大将ドミンゴを含め6人を武装解除した上で縛りつけていく。
「事情聴取でもします?」
 仲間へと問いかける碧だが、率先して何か聞きたいというメンバーはいないようだ。
「更正の余地があるかないかは、見ておいた方がいいかもしれないでありますね」
 碧はそうして仲間と交替で荒くれ者どもを監視するが、彼らは鉄帝において目をつけられている厄介者だ。依頼主である鉄帝へと突き出すことになるだろう。
「……力を、試したく、ば。下らぬ、事などせず……。呼べ、相手になる」
「チッ……」
 力なきものは弱者でしかない。
 だからこそ、地を這ったドミンゴも不服こそあれ、抵抗しようとはしない。
「にしても、この国の風習はわかりやすくていいな、気に入った」
 戦いで倒れたサイモンではあったが、小細工なしで敵とぶつかって解決できるスタンスの仕事はやりやすいから助かると、本音を漏らしていた。
 その周囲では、街の住民がイレギュラーズ達へと喝采を送る。
 人々へとセララはギフトで作った漫画を配り、イレギュラーズの宣伝をしていく。
「これからもよろしくね!」
 彼女は楽しげに、自分達の存在を鉄帝でアピールしていくのだった。

成否

成功

MVP

セララ(p3p000273)
魔法騎士

状態異常

なし

あとがき

リプレイ、公開です。
不殺を気がけたこともあり、ほとんどが生存した荒くれ者どもも、井戸の中のカワズだと自覚したことでしょう。
MVPは重傷にもかかわらず、果敢に大将へと挑んだあなたへ。
今回は荒くれ者の討伐、お疲れ様でした。

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