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シナリオ詳細

<潮騒のヴェンタータ>お目当ての物は腹の中!

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング


 シレンツィオリゾートの一番街を中心に、『竜宮弊キャンペーン!』なる広告が流布される。それと同時に、各国の代表たちはギルド・ローレットにダガヌ海域に散らばった『竜宮幣(ドラグチップ)』を回収して欲しいという依頼を出した。その依頼を受けたイレギュラーズたちは、ダガヌ海域のとある無人島近くにやってきていた。
「へぇ、これが例の竜宮幣か。それで、これはどこで見つけたんだ?」
「実は皆が海の方を探している間、昼食作りをしようとまず釣りをしていたんですよ。それで、ある程度食べられそうな魚が釣れたので調理しようと捌いたら」
「見つけた、というわけか……物欲センサーでも働いてるのかね……」
 彼らが必死に探しても見つけられなかった竜宮幣を、このコックは釣りをして見つけたのだという。彼の目の前でするべきではないとは分かっていても、ついつい溜息をついてしまう。
「はは……物欲センサーには勝てませんからね……とりあえず、ご飯にしませんか? って、ああ!」
「な、なんだ!?
「その釣竿引いてます!」
「へ? あ、ああ!」
 コックに言われるまま、釣糸を引き上げる。その先には魚が一匹食いついていた。その魚をコックに渡すと、彼は礼を言いながら再び魚を捌き始める。
「――あれ?」
「どうした? って、これ……」
 三枚おろしにされた魚。その腹から、見覚えのあるコイン――竜宮幣が出てきたのだった。


「ちょっとこれを見てくれるかい?」
 そう言って『黒猫の』ショウ(p3n000005)が見せたのはコイン状の何かだ。とはいえ、それは貨幣というわけでもなさそうだ。
「実はこれ、ダガヌ海域の深海の都、そこに伝わる神器『玉匣』が壊された後にその力がコイン状になった物――『竜宮幣(ドラグチップ)』さ。今、各国のお偉いさん方が、競うようにして探して回収しているんだ」
 風の噂で聞いたことがある。壊れた神器『玉匣』を直すために、竜宮幣の回収をギルド・ローレットに依頼したんだとかなんだとか。
 探し物なら任せてほしい。そう意気込むイレギュラーズたち。ダガヌ海域、ということは、水中を探すことになるのだろうか。イレギュラーズたちは早速相談をし始めるが、それをショウが「ストップ、ストップ」と止めに入る。
「情報は最後まで聞くもんさ。この竜宮幣は、あるイレギュラーズから預かった物でね。そのイレギュラーズたちも君たち同様、この竜宮幣回収依頼を受けたんだよ。『ある無人島の近くに、この竜宮幣があるから探してくれ』ってね。でも、海中を探しても、海底を探しても一向に見つからない。けれどある場所で見つかったんだ」
 一体どこに? と尋ねるイレギュラーズ。
「ああ、それは――魚の腹の中さ」
 魚の腹の中……ということは、この竜宮幣を餌か何かだと思って食べてしまったのだろう。有り得なくはない話だ。ならば、その辺りの魚を一掃してから回収してしまえば良いじゃないか――そんな過激派みたいな提案をするイレギュラーズもいたが、ショウは首を横に振る。
「魚全員が竜宮幣を飲み込んでいるわけじゃない。沢山捕りすぎても持て余すだろう? それに、竜宮幣を飲み込んだ魚は、他より食い意地が張ってるんだろうからね。釣った方が見つかりやすいんじゃないかな」
 確かに、大量に捕ったところで売れるかどうかも分からない。それ以前に、フェデリア南島まで鮮度を保てる自信はない。
「ま、そういうわけだからさ。君たちにもその無人島へ行ってもらって、釣りをしてきて欲しいんだ。まぁ、海中に潜って銛突きとかしても良いけどね。あ、釣った魚は食べるなりなんなりして良いからさ」
 釣りに必要な道具や、無人島へ行くまでの船は貸してくれるらしい。少々荒れ気味のダガヌ海域とはいえ、海は海だ。各自、様々な思惑がある中、イレギュラーズたちは首を縦に振ったのだった。

GMコメント

 初めまして、こんにちは、こんばんは。萩野千鳥です。
 早速ですが簡単に説明致します。

●目的
 魚が食べてしまった竜宮幣の回収。

●地形
 良い感じの岩場があったり、良い感じの崖があったりする無人島です。
 海は少々荒れていますが、釣りができない程ではありません。

●敵
『物欲センサー』
 欲しい時に来ない。欲しくない時に来る。何故なのか。

●特殊ルール『竜宮の波紋』
 この海域では乙姫メーア・ディーネーによる竜宮の加護をうけ、水着姿のPCは戦闘力を向上させることができます。
 また防具に何をつけていても、イラストかプレイングで指定されていれば水着姿であると判定するものとします。

●特殊ドロップ『竜宮幣』
 当シナリオでは参加者全員にアイテム『竜宮幣』がドロップします。
 このアイテムは使用することで『海洋・鉄帝・ラサ・豊穣』のうちいずれかに投票でき、その後も手元にアイテムが残ります。
 投票結果が集計された後は当シリーズ内で使える携行品アイテムとの引換券となります。
 ※期限内に投票されなかった場合でも同じくアイテム引換券となります

●情報精度
 このシナリオの情報精度はAです。
 想定外の事態は絶対に起こりません。

 以上です。どうぞ宜しくお願いします!

  • <潮騒のヴェンタータ>お目当ての物は腹の中!完了
  • GM名萩野千鳥
  • 種別通常
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2022年08月04日 22時10分
  • 参加人数8/8人
  • 相談7日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

ノリア・ソーリア(p3p000062)
半透明の人魚
アクセル・ソート・エクシル(p3p000649)
灰雪に舞う翼
スティア・エイル・ヴァークライト(p3p001034)
天義の聖女
武器商人(p3p001107)
闇之雲
アルテミア・フィルティス(p3p001981)
銀青の戦乙女
Tricky・Stars(p3p004734)
二人一役
裂(p3p009967)
大海を知るもの
囲 飛呂(p3p010030)
君の為に

リプレイ

●漁師と商人
 ダガヌ海域にぽつんと浮かぶ無人島。その無人島にイレギュラーズたちが降り立った。事前に魚の腹から竜宮幣を見つけたという者から話を聞いていた『大海を知るもの』裂(p3p009967)は、それらの情報と自身の知識を照らし合わせ釣り場へと向かった。
「おや、漁師の旦那もここで釣りをするのかい?」
「武器商人か。いや、俺はその少し先に行こうと思っていたが」
 パッと見で魚が来るのにはあまり適さないであろう浅瀬に、『闇之雲』武器商人(p3p001107)は今まさに撒き餌を撒こうとしていた。竜宮幣を飲み込んだ魚がぎりぎり来れるか来れないか……そんな釣り場だ。漁師という立ち場から見ると、首を傾げたくなる。
「まぁ、漁師の旦那が不思議に思うのは当然だろうね。けど、今回の魚は竜宮幣を食べてしまうくらい食い意地が張っているらしいじゃないか。普通の魚だったら、こんなところにまでは来ないだろう」
「あくまで、狙うのは食い意地の張った奴だけ、ってことか」
「そういうことだよ」
 どうやら、何も考えていないという訳ではないらしい。裂は感心しながら、武器商人が餌を撒くのを見守った。
「ま、釣れると良いな」
「お互いね」
 武器商人が釣竿を片手に、ひらひらと手を振りながら裂を見送った。
 裂は予定していた釣り場に到着すると、準備していた撒き餌を撒く。座るのに丁度良い岩場を見つけると、そこに座り釣糸を垂らした。
(漁をするのに『物欲センサー』なんざ気にしてられねぇ。結局は、『ちゃんと釣れる場所で釣れるように釣ってるか』だけだ)
 やれることはやった。あとは、しばらく待つのみだ。

 しばらく時間が経過し、武器商人の釣竿がくいっくいっと引かれる。魚がかかったらしい。
「竜宮幣を食べた魚だったら良いんだけどね……っと!」
 慣れない釣りで多少苦戦したが、武器商人は見事魚を釣り上げた。中型のその魚は、しっかりと腹が膨れているように見える。
「随分と食欲旺盛に見えるけれども、さて……」
 武器商人は、釣り上げた魚が竜宮幣を飲み込んでいないか確認する。捌いている途中、ローレットで見たコイン状の物が出てきた――竜宮幣だ。武器商人は竜宮幣回収すると、そのまま魚の内臓を取り出し氷締めにする。
「最近は番や息子に料理をしてあげるのが楽しくてねぇ。釣った魚も消費せよとのお達しだし、試作品の練習台になっておくれね」
 死んだ魚にそう話しかけながら、武器商人は再び釣竿を振るった。一方その頃、裂の方は――
「よっ……と、これで六匹目か?」
 事前に情報収集していたのと漁師の知識が合わさり、釣糸には魚が良く掛かっていた。しかし、その全てが竜宮幣を飲み込んでいるという訳ではなかった。裂は釣り上げた魚の腹を触る。そこに固い感触はない。すぐに海へと帰してやる。
「とりあえず、一個は回収できたが……」
 二匹目を釣り上げた際に回収したものだ。しかし、それ以降竜宮幣を飲み込んだ魚には巡り合えていない。どうやら、この辺りは元々魚自体の数が多いらしい。
(もう少し釣って、皆に情報共有でもするか)
 ある程度、数を釣らなくてはならない。となると、どこで釣れて、どこで釣れないのかは重要な情報だ。裂はもう一度釣糸を垂らしながら、魚を待った。

●鷹とメカ
 事前に効率よく釣るための知識は付けた。『灰雪に舞う翼』アクセル・ソート・エクシル(p3p000649)は、メカ子ロリババアとツナ缶海賊団陸上拠点メカピバラを釣れて、皆とは少し離れて釣り場を探した。
(物欲センサーって本当に強敵だよね。こういう時は、特殊な信仰で引くのを祈る手もあるけど、今回は試行回数を増やす方向でいくよ!)
 今回は時間を消費するだけで、懐は消費しない。思う存分数を回せる。メカ子ロリババアもメカピバラも、釣り上げるところまではできないかもしれないが、それはアクセル自身のスピードでどうにかする予定だ。
「この辺りが良いかな?」
 そこは、この島の海流が合わさったような場所だ。丁度他の人たちもいない。これで他のヒトが竜宮幣を手に入れるところを見なくて済む。いや、決してそれだけが理由ではないのだが、それだけが理由ではないが、やはり悔しい思いをしながら釣りをしても楽しくない。
(目的は楽しむことじゃないけど、必要以上傷つくのも違うからね……)
 アクセルはそう自分自身を納得させながら、釣竿を用意し海へと釣糸を垂らす。釣り餌に選んだのは、大き目のワームだ。コイン状の竜宮幣を飲み込んだとなると、それなりの大きさの魚であるはずだ。大物狙いで釣りを始めた。

 しばらく時間が経つと、メカ子ロリババアの釣竿に反応があった。アクセルは自身の釣竿を固定し、すぐさま駆け寄り釣り上げようとする。
「ぐぬぬ……!」
 釣竿が重い。これは大物の予感がする。ゆっくりと、確実に引き寄せる。
「よーし、これで!」
 最後は一気に引き上げ、魚を釣り上げる。予想通り、魚は随分と大きかった。この大きさならば、竜宮幣も飲み込めるだろう。アクセルは魚の腹を切り開く。すると、中からきらりと光る固形物が。それを慎重に取りだす。
「竜宮幣だ!」
 竜宮幣を手に喜ぶアクセル。メカ子ロリババアとメカピバラも喜んでいる気がする。その最中にアクセルの釣竿にもヒットする。急いで触れるが、先程のような重みはない。あっさりと釣り上げると、まだ成長途中なのかまだ小さい魚が釣れた。しかし、今回は大物狙いである。アクセルは釣り針をとってやると、「大きくなってからまた会おうね」と言いながらあっさりと海へと帰した。
「さて、もっと釣らないとね」
 先程釣った魚を焼きながら、アクセルは再び釣りへと戻って行った。

●マアナゴの子と蛇神の子
「物欲センサー……出ないレア素材……周回……」
『点睛穿貫』囲 飛呂(p3p010030)は、めまいがしたのか軽く頭を抑えながら海に思いを馳せる。その様子を隣で見ていた『半透明の人魚』ノリア・ソーリア(p3p000062)は、悟ったように続けた。
「敵が、物欲センサーだと、いうのなら……のぞめば釣れず、こばめば釣れる……」
「そう、だよな……拒めば来る、か……いや、このままだと海のどこで出しちゃうか分かんないし、もっとデカい魚に食われるかもしれないもんな。四の五の言わずに釣ろう。とりあえず、撒き餌ってのやってみるか」
 飛呂は、事前に裂から基本的な釣りの仕方を教わっていた。その内容を思い出しながら、撒き餌の準備を始めた。とはいえ、相手は竜宮幣を食べてしまう程食い意地の張った魚である。撒き餌はオキアミをメインに集魚力のあるさなぎ粉を混ぜて使う。
「よし。これを撒いてっと……そういや、ノリアさんは釣竿使わないで、どうやって釣るつもりなんだ?」
「魚がなぜ、竜宮幣を、食べるのか……それは、海のなかできらきら光る、ちいさな魚に見えるからですの。つまり――」
「つまり?」
「魚をたべる、肉食魚……わたしの、天敵ですの!!」
「なる、ほど……?」
 ノリアはそう言いながら、飛呂が撒き餌を撒いた辺りから少し離れた場所へと飛び込む。動かない魚を捕まえるのは簡単だが、動いている魚を捕まえるのはディープシーのノリアでも難しい。自身のしっぽを囮に使い、食いついた魚を捕まえるつもりらしい。当の本人は「ねがわくば、魚たちが、わたしのかわりに、皆様の釣針のほうに、食いつきますように……」と願いながら、恐る恐る泳いでいる。どうやら、しっぽを使って釣りをするのは本意ではないようだ。
 その様子を見ながら、飛呂も釣糸を海に投げ入れる。しかし、なかなか釣れない。海側に影が落ちないように気を付けながら、魚がかかるのを待つ。段々焦れったくなるが、その時は海を眺めれば良い。飛呂はそう思いながら海の方に視線を移すと、ばしゃばしゃっと不自然に波立つ場所がある。
「うぅ……! やっぱり、こういうときに限って、みんな、わたしにばかり、群がってくるんですの!!」
 ノリアの尻尾に噛み付いている魚たち。飛呂は慌てて、大物用の魚の網をノリアの方に向ける。
「これに掴まれ! 目標の魚かはわかんねぇけど、掛かったなら釣ってやる!」
 極限まで棒を伸ばした魚の網にノリアはしがみつき、そのまま引き上げられる。尻尾には三匹ほどの魚が食いついていた。それらを引き離しながら、飛呂はノリアに声をかける。
「大丈夫か?」
「だ、大丈夫ですの……」
 ノリアに休憩をするよう勧め、飛呂は釣れた(?)魚を仲間たちの元へと持っていった。

●魔薔薇と海中花火
「たまにはこういう、ゆっくりできる依頼もありねぇ」
 釣りに丁度良さそうな場所を見つけた『銀青の戦乙女』アルテミア・フィルティス(p3p001981)は、予め持ってきていた網と木材を使ってそれなりの大きさの籠網を作り上げた。先程、飛呂とノリアの二人から、魚を捌く代わりにいくつか切り身を貰った。その切り身に匂いの強い練り餌を混ぜ、深い岩場の底に設置する。
「あとはしばらく待つだけね。その間は、っと」
 籠網のある場所から少し離れ、釣竿を取り出し疑似餌を付けて海に糸を垂らす。ちょいちょいと、動かしながらのんびり魚が来るのを待つ。しかし、魚が来る気配はない。一応、竜宮幣の色によく似たものを使ってみたのだが、それでも来ないようだ。
「うーん、なかなか来ないわねぇ……こうなったら」
 釣竿を上げ、先程の籠網で使った練り餌の余りを、そのまま撒き餌として撒く。数分も経てば、その餌に釣られて魚たちが集まってきた。アルテミアは『星夜ボンバー』に重りを取り付けると、それをそのまま魚たちの集まる海へと投げ入れた。ぽちゃんと入水する音がしたかと思うと、ドンッという大きな爆発音と共に海中から星のような光が溢れだした。まるでダイナマイト漁のようではあるが、実際は何の害もない、安全かつ確実に派手な音と光を出すパーティグッズなので問題はない。何かが崩れるわけでもないので環境に優しい。そんな星夜ボンバーの爆音と光に集まっていた魚たちは気絶し、ぷかぷかと海面に浮いてきた。
「ええっと……この子は流石に飲み込めないわね。この子は……」
 竜宮幣はそれなりの大きさがある。小さい魚が飲み込めるような物ではない。アルテミアは選別しながら、大きな魚だけを捕っていく。小さな魚たちは、しばらくすると気絶から回復したのか、慌てて海中へと戻って行った。それを見届けた後、アルテミアは設置した籠網を見に行った。
「こっちもちゃんと掛かっているわね」
 籠網の中にも、しっかり魚は掛かっていた。その中から、先程と同じように小さな魚を返し、大きな魚だけを回収する。
「さぁて、捕まえた中に竜宮幣はあるかしら?」
 それなりの数を捕まえたつもりではある。この中の一匹でも良いから竜宮幣を飲み込んでたら良いな、という淡い期待を抱きながら、アルテミアは捕った魚を捌き始めた。

●聖職者と二重人格の天使
「うーん……竜宮幣って美味しいのかな? それとも餌に似ているだけなのかな?」
『純白の聖乙女』スティア・エイル・ヴァークライト(p3p001034)はそう疑問に思いながらも、一時的に借りている竜宮幣を疑似餌として釣竿へと括りつけていた。ダメ元で借りれないかと交渉した結果、後で必ず返すことを条件に貸してくれたのだ。これで、竜宮幣を食べた魚をピンポイントで釣ろうという作戦である。
(釣りには忍耐力が肝心って聞いたこともあるし、急いては事を仕損じるって言うしね! リラックス、リラックス……)
 釣れそうだな、という直感を信じ、スティアはのんびりと釣りを始めた。多少荒れているとはいえ、夏にぴったりなロケーションではある。釣った後、皆で料理をして楽しむ予定もある。どんな魚料理にしようか。そんなことを考えながら景色を眺めていると、海鳥が集まるごつごつとした岩場に一人の男性――『二人一役』Tricky・Stars(p3p004734)が立っているのが見えた。今日は稔の姿らしい。
『舐めてんの? 釣りとかマジ余裕だから! ま、稔はのんびりしながら待ってな。お前の代わりに虚くんが皆が腹いっぱいになるぐらいのデカイ魚釣ってやるからさ』
「なるほど、大した自信だ。これは期待出来そうだなー。俺が魚だったら、絶対お前の所には行かないけどな」
『はぁ~? 見てろよ、大物釣ってやるからよ』
 完全に棒読みの稔に対して、内心で叫ぶ虚。外見は稔だが、虚が主導権を握っているらしい。先に釣りを始めていた裂の情報を他の人たちに共有しながらも、自分たちも活用する。竜宮幣の代わりとなるきらきら光るルアー。それに加えて、匂いの強い餌を吊り下げて釣糸を垂らす。
『いやー、大物釣れちゃうかもなー? 真夏のスペシャルドラマ『ウツロ』……良いね。海を泳ぐ怪魚、その戦いの軌跡……なーんちゃって』
「そんな妄想をすると、魚も逃げるんじゃないか?」
『じゃあ、物欲無さそうな天使サマの羽根を使わせてもらうぜ。ありがとな!』
「許可した覚えはないが……、っ!」
 一見すると自分で自分の羽根を毟っている虚と稔。虚は毟った羽根を海へとばら撒いた。すると、何かの餌に間違えたのか、魚が寄ってきている。その上、垂らした釣糸を引いている。
「……嘘だろ」
 そう言いながらも、魚を釣り上げる。そこそこ大きい魚だ。少なくとも、竜宮幣なら飲み込める程度の。稔は納得できないまま、釣り針から外し魚を捌き始めた。
「だ、大丈夫、なのかな?」
 スティアは一連の様子を見て、つい口に出して行ってしまった。声ははっきりとは聞こえていないが、急に羽根を毟ったり、表情の変化であまり大丈夫そうには見えない。しかし、そんな心配をよそに、スティアの持つ釣竿がくいっと引かれ、その感触が手に伝わる。
「食いついた!」
 先程まで意識が完全に魚とは別方向に向いていたからだろうか。魚が掛かったであろう釣竿をぐっと引き上げる。そこには、竜宮幣を食べようと食いついた魚が一匹掛かっていた。釣り針から外して、その場で手早く三枚下ろしにする。
「……あった!」
 捌いた魚の腹から、きらきらと輝く竜宮幣を見つけ出した。この調子で回収していこう。スティアは再び竜宮幣のついた釣糸を海へと垂らした。

●釣った魚はスタッフ(イレギュラーズ)が美味しく頂きました。
「よーし、こんなもんか?」
「おおきい魚たちは、だいたい捕まえたと思いますの」
 裂とノリアが、釣った魚を眺めながらそう言い合った。
「これって、刺身でもいける? 釣ってる途中は焼き魚にして食べたけど……」
「試しにさっき食べてみたけど、問題なさそうだったよ。やっぱり、刺身もなめろうも、新鮮だからこそ美味しいよねぇ」
「それ以外にも、フライにしても、ムニエルにしても……あっ、海鮮丼も良いよね!」
「あー、良いな……俺は魚につられて依頼来たわけじゃないからな、本当だからな」
「そういうことにしてやるよ。ああ、そうだ。持ち帰りたいなら言えよ? 血抜きしとくし、干物にすれば数日持つからな」
 イレギュラーズたちは魚を捌きながら、時々出てくる竜宮幣を回収しながら料理を楽しむ。アルテミアが下味をつけた魚を葉で包み、焚火の下に埋めて蒸し焼きにした料理を作ったり、武器商人があら汁を作ったり……料理出来る者たちはそれぞれ、様々な魚料理を振る舞った。
「さ、そろそろいい具合だし、掘り起こして食べましょう!」
 先程、アルテミアが仕込んだ料理が完成したようだ。皆、美味しく頂いく。
「うまー! やっぱ干物も持って帰ろうかな……」
『同感だぜ。これ、美味いな!』
「それは否定しない」
 飛呂も稔も美味しそうに食べる。そうしている内に、日もそろそろ傾き始める。
「忘れ物はねぇか? 特に竜宮幣!」
「ばっちりだよ!」
 アクセルは回収した竜宮幣を淹れた袋を掲げる。一応、中身を確認したが問題はない。これで任務完了だ。目的の物は回収し、美味しい魚も食べ、イレギュラーズたちは満足そうな表情を浮かべながら帰って行った。

成否

成功

MVP

裂(p3p009967)
大海を知るもの

状態異常

ノリア・ソーリア(p3p000062)[重傷]
半透明の人魚

あとがき

お疲れ様でした。
竜宮幣はしっかり回収できました。
ご参加頂き、ありがとうございました!

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