シナリオ詳細
パイナップルはお好きですか?
オープニング
●よくある鉄帝の光景
「スクランブルクロース!」
「合体コードA・C・B!」
鉄帝の空で三体の巨大メカがバリバリと放電しながら合体シークエンスに入っていく。
変形して、3つのマシンが合わさって……。
「ぐわー!」
爆発四散して、パイロットが何処かに脱出していく。どうやら今日もダメだったらしい。
そんないつも通りの光景を見ながら、男は鉄帝の道を歩く。
いつも通り、いつも通りだ。それが一番いい。
いつも通りに起きて、いつも通りに働いて。たまに旬のものとか、ちょっと美味しいものを食べる。
その程度の生活でいいのだ。
「……そういや今年はまだパイナップル食べてないな」
「パイナップルはお好きですか?」
「まあ、好きだなあ」
聞こえてきた声に、男はハッとするように振り向いて。
「う、うわあああああ!?」
「旬のパイナップルをご賞味ください!」
そこに立って……立って? とにかくそこにある巨大パイナップルに驚き数歩後退る。
しかし、そんな男に向かって巨大パイナップルの前面に小さなドアのようなものが開く。
「今月のジューシーサプライズ! パイナポー!」
「パイナポー!」
「パイナポー!」
「パイナポー!」
ザッザッザッ。足音を響かせ出てくる、足の生えたパイナップルたち。
そんなパイナップルたちは……男目掛けて、襲い掛かった……!
●食べたい時に食べたいよね
「鉄帝で今、無理矢理パイナップルを食わせる事件が頻発しているです」
『旅するグルメ辞典』チーサ・ナコック(p3n000201)は、集まった面々にそう切り出した。
連続パイナップル試食事件。そう名付けられたこの事件は、被害者が無理矢理パイナップルを食べさせられていることから名づけられた。
犯人は当初パイナップル過激派かと思われたが、実のところ鉄帝と練達の技術のハイブリットであることが発覚した。
ビッグパイナポー。そう呼ばれる巨大兵器が研究所から逃げ出したのだ。
ビッグパイナポー自体は古代文明の技術を応用した移動型食物製造プラントである……はずだった。
しかし担当者が「映える」機械操作をやり出した結果、色々と間違えて変なことになってしまったようだ。
勿論担当者は官憲に怒られているが、逃げ出したプラント自体はどうにもならない。
なんとかして破壊しておかなければいけないのだが……逃げ出したビッグパイナポーは、なんと残り4体いるのだという。
官憲が頑張って1体捕まえたところ担当者が「ふふふ……ビッグパイナポーは全部で5体! つまりあと4体いる……! 1体分の予算で5体作っちゃう私マジ天才!」とか言ってたので往復ビンタしたそうだが。
「つまり、残り4体のビッグパイナポーを捕まえるのが今回の仕事です」
おびき寄せるのは比較的簡単だろう。
パイナップルを如何に好きか、どれだけ食べたいか、そういうことを往来でアピールすればやってくるはずだ。
そうして出てきたら、ビッグパイナポーを捕えればいい。
「ま、人死にの出ない仕事です。バッチリこなしてくるといいのです」
- パイナップルはお好きですか?完了
- GM名天野ハザマ
- 種別通常
- 難易度NORMAL
- 冒険終了日時2022年07月22日 20時30分
- 参加人数8/8人
- 相談7日
- 参加費100RC
参加者 : 8 人
冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。
参加者一覧(8人)
リプレイ
●パイナップルに集いしものたち
「食物製造プラントを5つも作ってしまうなんてすごーいっす! 鉄帝の食糧事情が少しでも改善されたらいいなーっす」
「フルーツがたくさん出てきて切ったりしなくてもいい画期的な発明ではあるけど……自走機能とか光学迷彩とか自衛機能いる? 音声機能はまあパターンが少なくても使うヒトの癒しになってたらいいかな……?」
『赤々靴』レッド・ミハリル・アストルフォーン(p3p000395)の純粋な感想と『灰雪に舞う翼』アクセル・ソート・エクシル(p3p000649)の至極当然の感想は、どちらも正しい。
目的自体はマトモなのに、要らないものをガンガンつけるから変になる。いつもの鉄帝である。
しかも結果して癒しではなく嫌がらせになっている辺りも最高に鉄帝してると言えるだろう。
そう、連続パイナップル試食事件。
被害者が無理矢理パイナップルを食べさせられていることから名づけられたという経緯も事件名も、何処までも鉄帝している。
「美味しいなら美味しいでそれは勿論構わないし、食糧不足の解決の充てになるのならそれはもう素晴らしい手段なのだろう。でも無理矢理口に突っ込むのは何か違うんじゃないのかな??? というかさっき「兵器」つってなかったか……? そうならそれが目的だし違わないのか……? まぁいいや」
『白い影』ミリアム・リリーホワイト(p3p009882)のツッコミはまさにその通りであると言えるだろう。
たぶん設計時点から全部間違えてたんじゃないだろうか?
暴走がどうのこうの時点で足をつけた時点で「どうして……」な感じではある。
「成程、パイナップル……多汁でさわやかな酸味と甘みに富み、各種栄養価もそれなりに高い素晴らしい果物……それが食べ放題なんて素晴らしいのです! エリカは大好きですよ、食べ放題。パイナポーの事考えてたらお腹空いてきました……いやまあ、いっつも飢えてはいるのだけど」
「飢え……そういったものを解決するだけであれば素晴らしいのですけど。パイナップルというものを無理やり食べさせる機械なんて、不思議なものを発明するものですね………創作意欲は素晴らしいですが、迷惑をかけるのは問題です! しっかりとこの依頼を達成しましょうね!」
『名無しの暴食』エリカ・フェレライ(p3p010645)と『ゆめうさぎ』冬兎 スク(p3p010042)も頷きあうが、設計思想は素晴らしいのだ。全部台無しになっているだけで。
「連続パイナップル試食事件……これはとてもおいしい、いえ、おそろしい事件の予感がします。しっかりと気を引き締めて、お腹を空かせて挑みますね」
「大事だ」
「クソデカぱいなぽがその辺歩いてると聞いて。ぱいなぽパーティープロジェクトですわ! わたくしとフェレライ卿の料理スキルが輝きますわね。調理器具と紅茶を携えて出撃ですわ!」
『特異運命座標』佐倉・望乃(p3p010720)と『特異運命座標』ネル・ローゼンクランツ(p3p010690)、そして『自称・豪農お嬢様』フロラ・イーリス・ハスクヴァーナ(p3p010730)が頷きあうが、確かに考えようによってはパイナップル食べ放題なのだ。
「捜索は皆様とご一緒した方が良さそうですわね。畑からとれた猫にも手伝って貰いましょう。役に立つかは微妙ですわ」
フロラの横で畑からとれる猫がにゃーんと鳴くが……混沌がバラまかれ放題である。さておこう。
「みんな準備できたっす? そしたら呼び込むっすよ。せーの……」
ビッグパイナポーをおびき寄せる為の大作戦。それが今まさに、始まろうとしていた。
●おいでよビッグパイナポー
「美味しいパイナップルが沢山食べたいなーーっす!」
レッドの声が周囲に響く。さて、これで来るかどうか?
アクセルはしっかりと周囲を確認する。
「5mなら隠れるにしてもある程度のスペースがいるだろうし、見えなくてもいる可能性がある場所かの区別はつけられるはず。建物を崩して襲来するとかはさすがにないだろうしね」
なんか鉄帝ならありそうな気もするが、今回は大丈夫だろうとアクセルは判断して。
「暖かいところのフルーツなのもあって鉄帝みたいなところだとレアだよね! だからこそ食べたくなるなあ! あのバランスのいい甘みと酸味と香りをまた楽しみたいなあ! 皮をお皿にして屋外で食べるっていうのもいいなあ! 明るい黄色なのも綺麗でいいよね!」
そんな風に叫び、ビッグパイナポーをおびき寄せようとする。
まあ、確かにパイナップルは色も味もトロピカルでジューシーだ。そういったところはパイナップルの魅力だろう。
フルーツでありながら香りが強いのも魅力の1つと言える。
続けてエリカも皆さんビッグパイナポー達を誘き寄せる為にパイナポー愛をアピールし始める。
「エリカも今日の気分はすっごくパイナップルな気分なのです! 料理させて! そしてお腹いっぱいに食べたいのです! 求ム! ジューシーなパイナップル!! なのです!」
「この時期一番の果物と言えば、やはりパイナップルですよね。甘くてジューシーで、そのまま食べても美味しいですし、お料理に使っても良いですし。ただ、あの硬い皮を剥くのが結構大変なのですよね……一瞬で脱皮して一口サイズになって口の中に突っ込んできてくれるパイナップルがあれば最高なのですが」
エリカに望乃もそう続け、ネルも頷く。
「往来でぱいなぽ愛をアピールすればいいんですのね? わたくしの美声の出番ですわ。大きく息を吸って……」
仲間たちを見ながら、フロラも息をしっかり吸って声を張り上げる。
「困りましたわ〜〜〜〜!!!! 今すぐパイナップルを食べないと必須栄養素パイナポニウム不足で死んでしまいますわ〜〜〜〜〜!!!!! その辺にクソデカパイナップルが歩いていたりしませんの〜〜〜〜?????」
ちょっと何言ってるか分からないが、鉄帝だと有り得ない話ではないので通行人が「あー」と頷いている。
ちなみにスクはパイナップルを食べたことがないので仲間にアピールは任せているが……中々楽しそうな光景ではある。
そして、それはミリアムも同じであった。
「それにしてもパイナップルかー……そういや全く食べてないな。好きだと言おうにも味が分からなければ、どう伝えればいいものか分から――うわ出た」
「パイナップルはお好きですか?」
そう、ミリアムの……いや、仲間達の周囲に立っている4つのデカいパイナップル。間違いなくビッグパイナポーだ!
「いよいよパイナップルパーティーですね」
望乃もそう気合を入れて。ビッグパイナポーから定型文らしき音声が響く。
「旬のパイナップルをご賞味ください!」
「ま、まぁ都合よく来てくれたことだしとりあえず味見から……」
「今月のジューシーサプライズ! パイナポー!」
「パイナポー!」
「パイナポー!」
「パイナポー!」
ビッグパイナポーの前面が開いて出てくる、無数のパイナップルたち。通常サイズなのはなんかこう、逆に怖い。足生えてるし。
そしてエリカは大量に来てくれたビッグパイナポー&パイナポー達に思わず舌なめずりしてしまう。
「これは食いがいのあるパイナップルです。じゃあ……いただきまーす」
邪悪な笑顔を浮かべるエリカにパイナポーたちが脱皮してそのジューシーな中身を自動分割させながらエリカの口の中に飛び込んでいく。
「ジュ、ジューシー!」
ギフトたる暴食権能「フェレライ」のおかげでお腹いっぱいになることはなく文字通り食べ放題だが……物凄くジューシーだ。
「きた! なんか沢山パイナポー引き連れてすぐ目の前に来たっす! それじゃあ早速いただきまー…もがああぁ!?」
(お口に殺到してきたー?! あ、味は……)
『『『ジュ、ジューシー!!』』
セリフも脳内もエコーさせているレッドも、パイナポーの味に驚愕している。
美味しい、美味しいのだ。
南国の採れたてパイナップルの如き美味しさ。それがこんな、アホみたいなもので作れてしまうとは!
真面目にやればもっと色んな可能性があったのではと思わざるを得ないが……。
「でもただ食べるだけじゃ飽きちゃいそうっす。さらに仲間が美味しく調理してくれれば沢山パイナポー食べれるっす」
「あー……むぐむぐ……んむっ!? んー!!」
一方のミリアムは位置が悪かったのか飛んできた1つを試食中に次々と顔に貼りついてきてしまう。
強制パイナップルパックである。明日のお肌がトゥルトゥルになるかもしれない。
しかしやられたミリアムは冗談ではない。「2つ以上同時に飛ばす理由は無いよね!? やはり兵器か……」などと呟いているし、スクも「うわあ……」と言ってしまう程度には惨状である。
しかしジューシー、ジューシーなのである……!
だがいつまでもパイナップルを食べているわけにもいかない。これは試食会ではなく討伐なのだから。
「まずは【式神使役】に使う紙をしゃぼんスプレーで綺麗にする。さぁ来い。次にこれで顔をブロック、食べ物が触れるから当然綺麗にしなきゃだよね? これが理由。そして……それを持って料理が得意な人の元へ行かせる。これを何回も繰り返せば……!」
すでにミリアムは反撃の準備を進め、他の面々も武器に手を伸ばしつつある。
そう、タイミングをはかってその辺のゴミ箱やらに隠れたフロラの出番が近い。
(皆様の攻撃で怯んでいる所でマイラブ斧ちゃんの出番ですわ……!)
そのタイミングは、もうすぐだ。
「もうお腹いっぱいになってきたっす……」
レッドはそう言いながら、近くに居るアクセルを手招きする。
「へい! お口あーんするっすよ……ほらあーんっす! モガぁあ!!」
『『『ジュ、ジューシー!』』』
アクセルも含めてジューシーの顔になるが、そろそろ倒し時である。
「さあて、そろそろ大人しく博士の元に帰るっす」
「被害報告から分かってたけどちょっと量がヤバいよね。それが4体分だけど」
ケプッとお腹いっぱいになりながらもレッドのフルルーンブラスターとアクセルの神気閃光が放たれる。
そしてスクのスーパーノヴァも炸裂し、ビッグパイナポーを一機破壊する。
「長引いてしまうとパイナップルの攻撃が多くなってしまいますし、パイナポーも増えてしまいますからね。ボク自身範囲攻撃もないのでパイナポーが生み出される数もできるだけ少なくさせないと後処理も大変そうですし……」
そう、結局パイナポーは今も出ているが……そこはエリカが大活躍している。
「タンクとして、何よりフェレライ(暴食)として前に出て只管パイナップルを食べ放題踊り食いするのです! ん~~♪ ジュ―シーでいいパイナップルなのです! もっと食べさせろなのです!」
名乗り口上をあげながら前に出るエリカだが、なんとしてでももっともっと食べてやるという気迫すら感じる姿だ。
「まだまだまだ! こんなものでエリカの飢えを満たせると思っているのです? 移動型食物製造プラントなんでしょ?もっともっともっともっともっともっと寄越すのです!」
そしてその隙を狙いネルの攻撃が、そして望乃の衝撃の青が放たれる。
次々とビッグパイナポーが倒れていく中、拳中心に戦っていたフロラがついにゴミ箱から飛び出す。
「突撃!!! お前が晩ごはんですわ!!!!」
放った一撃は、ついに最後のビッグパイナポーを破壊して。
「見事収穫ですわ!」
そんな決め台詞じみた台詞すら放たれる。これで仕事は終わり……なのだが。
転がっていたパイナポーを1つ持ち上げて、スクが微笑む。
「そうそう、これが終わったらパイナップル料理を食べてみたいと思っていたんですよ! まぁ戦闘中に無理やり食べさせられている分でも良いのですが、やっぱりちゃんと食べてみたいですしね?」
「それならパーティーですわ!」
スクにフロラも同意して、エリカもパイナポーを拾う。
「なら余ったパイナポー達を使い、パイナップル料理を作るのです。パイナップルは肉料理と相性いいのでメインとしてポークソテーのパイナップルソースや豚バラとパイナップル甘辛炒めを。おやつにパイナップルジュースや油で揚げて水分を飛ばしたパイナップルチップを作って……それでも余ったらジャムにしたり、果汁を利用したビール風のアルコール飲料を作ったりするのです」
「わたくしは、ぱいなぽピザと酢豚を作りますわ。苦手な人はごめんあそばせ! パフェなんかも作りたいですわね!」
そうして出来上がっていく料理はどれも美味しくて。
エリカが「エリカはもっと食べれましたけどね」と頼りになることを言っていたのが印象的な……そんな、パイナップルまみれの一日であった。
成否
成功
MVP
状態異常
なし
あとがき
沖縄で食べたパイナップルがずっと印象に残っています
GMコメント
パイナップル食べ放題。そんな仕事です。
鉄帝の町を駆け巡り、ビッグパイナポーをおびき出し、やっつけましょう。
パイナップル愛をアピールすれば寄ってきます。
●ビッグパイナポー×4
全長5mの光学迷彩搭載の移動型食物製造プラント。
体内から生物兵器「パイナポー」を進撃させます。
また、自己防衛装置として「攻撃型パイナップル(手榴弾)」をバラまきます。
会話パターンはそんなに多くないみたいです。
●パイナポー×たくさん
ビッグパイナポーが製造するパイナップルサイズの足の生えたパイナップル。
ターゲットに向けて軽快なステップで走り寄り、一瞬で脱皮し一口サイズになって口の中に突っ込んできます。
何らかの手段で口元を防御していた場合は顔面に貼りついてきます。たぶん大人しく食べたほうがいいです。
味自体は「ジュ、ジューシー!」と叫びたくなるくらいには美味しいみたいです。
●情報精度
このシナリオの情報精度はAです。
想定外の事態は絶対に起こりません。
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