シナリオ詳細
<Stahl Eroberung>湖の守護者再び
オープニング
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鉄帝上空に浮かぶ浮遊島アーカーシュ。
この探索はかなりの領域をカバーするに至り、ほとんど全ての領域へと調査の手が入った。
島内ではゴーレムも確保され、修繕した者もいたのだとか。
「アーカーシュの探索の後、ゴーレムを手懐けたのもいるって話さ」
『海賊淑女』オリヴィア・ミラン(p3n000011)は大きなゴーレムを連れたイレギュラーズをあちらこちらで目にしていたようで、皆の様子がとても微笑ましかったとのこと。
「ただ、同じくアーカーシュ攻略に当たっている鉄帝国軍はちょっときな臭いね……」
鉄帝国軍はローレットと協力してアーカーシュの探索を進めていたのだが、特務大佐パトリック・アネルの独断行動により、彼を中心とした特務派、それ以外の軍務はという大きな二つの派閥に分かれてしまったのだ。
イレギュラーズに敵対の意思を見せる特務派の動きは気になるが、ローレットとしてはアーカーシュの踏破を優先におきたい。
「そこで、エピトゥシ城の攻略へと臨みたい」
エピトゥシ城は、発見者のジェック・アーロン(p3p004755)によって命名された魔王城である。
とげとげしい黒曜石のような不思議な素材で出来たその城の内部は迷宮のようになっている。
「すでに帝国軍の事前調査が入っているが、どうやら、ここは古代獣などの製造プラントとなっていることが判明している」
これまでの古代獣との遭遇を考えれば、アーカーシュの民にとって脅威となるのは間違いなく、プラントの破壊は急務だ。
ただ、簡単にプラントを破壊出来ない。城には様々なトラップが仕掛けられている他、古代獣の姿も確認されているからだ。
「何が起こるか分からない魔窟さ。くれぐれも気を付けるんだよ」
オリヴィアは最後に念を押し、イレギュラーズを現地へと送り出すのである。
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迷宮のようになっているエピトゥシ城の一室。
奥に多数の研究器具や培養フラスコが立ち並ぶ中、そこで待ち受けていたのは、以前レリッカ付近の湖でイレギュラーズが遭遇した半魚人の姿をした古代獣マーマディアンだった。
全身を薄いゲル状の膜で覆う古代獣。
そいつは、以前の依頼で湖底の横穴へと逃げ去り、その横穴を崩してしまい、行方が知れない状況となっていた。
今、こいつがこの城にいるということは、湖底にあると思しき遺跡がエピトゥシ城と繋がっていることを示唆しているのだが……。
シャアアアアアアァァ……!
ゲコゲコォォ……。
ここまで来たかと言わんばかりに威嚇してくるマーマディアンの前に、カエルを思わせる小型の魔物ゲコガー6体が立ち並ぶ。
辺りにはゲル状の物質がこびりついており、これらが移動してこの部屋へと至っているのは明らかだ。
なお、イレギュラーズの至ったこの部屋の奥は別室として研究室となっている。
内部で培養されていると思われる古代獣……。ここでもマーマディアンは守護者として立ちはだかる。
部屋はそれなりの広さがあるものの、床、壁、天井とあちらこちらが凍り付いており、滑って転倒する恐れがある。
また、戦いが長引けば凍結しかねぬほどにこの部屋は寒い。できるなら手早く仕留め、奥にある研究室のフラスコを破壊したい。
シャアアアアアアアアァァッ!!
ゲコゲコオオオオォォ!!
作戦を練るイレギュラーズへ、マーマディアン、ゲコガーは一斉に飛びかかってきたのだった。
- <Stahl Eroberung>湖の守護者再び完了
- GM名なちゅい
- 種別通常
- 難易度NORMAL
- 冒険終了日時2022年07月23日 22時05分
- 参加人数8/8人
- 相談6日
- 参加費100RC
参加者 : 8 人
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参加者一覧(8人)
リプレイ
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浮遊島アーカーシュの攻略も佳境に差し掛かっているが、今チームには初めて攻略に参加するメンバーもいて。
「初めての浮遊島で、面倒な事に巻き込まれちまったな」
『優しい絵画』ベルナルド=ヴァレンティーノ(p3p002941)はぼさぼさの頭を一掻き。
「まぁ……面倒くせぇ女を相手するよかよっぽどマシか」
含みを持たせた呟きをしつつ、先行する仲間達を追う。
やはりアーカーシュの攻略に参加経験のある者が多く、『星灯る水面へ』トスト・クェント(p3p009132)などは今回討伐対象の敵と一度交戦経験もある。
「前回逃したやつだからね……反省も含めてきっちり倒さないと」
「ふむ……」
『黒鉄守護』オウェード=ランドマスター(p3p009184)は直接の対面はないが、その痕跡らしきものがあったとは聞いていて。
(前に調査でキャンプしていた湖で半魚人が来ていたと言う話は報告書で見たが……)
まずはその姿を拝まねば始まらない。
現状の攻略対象、エピトゥシ城。
枝分かれする通路の中、メンバー達はとある部屋へと突入すると、一行が入るだけで室内に凍結トラップが展開された。
「ふえっ、ふえっ、ぶぇーーーーーーーくしょい!!! なんじゃ、このさむさむ部屋は……」
『殿』一条 夢心地(p3p008344)のくしゃみがひどく冷えた室内に響き渡る。
「誤作動している凍結トラップのおかげか極寒超越が効いてますね」
エステル(p3p007981)は移動要塞ギア・バジリカもを思い返す。
ゼシュテルの古代遺跡群の技術は不思議であり、一部では練達のそれを上回るものではと主観を語る。
部屋の向こうにはプラントの一つと思われる研究室が存在していたのだ。
「このような場所でも研究、一体どのような方が?」
エピトゥシ城に存在するプラントでは、誰が研究に携わっていたのか……。
「この罠だらけの城では研究するのも一苦労だと思いますが……」
「フラスコの制作目的や仕組みも気にはなるけど……それにしても寒っ。」
エステルの考察に、トストが相槌を打ちながら身震いする。
製造中の魔物を保管する為、室温を低くしているとも考えられるが……考察は後回し。
「フラスコを破壊するのじゃ」
「古代獣をぶっ倒して、それから……だね」
夢心地の意見に、『特異運命座標』岩倉・鈴音(p3p006119)が同意する。
「生き物を培養ですか……なんというかこう、命をこういう形で断つのは申し訳ない気持ちになります」
――彼等に罪はないはずなのに。
『守護者』水月・鏡禍(p3p008354)がしんみりしながら呟くとその空気をぶち壊すようにけたたましい鳴き声が。
ゲコゲコォォ……。
シャアアアアアアァァ……!
奥の部屋から現れる人物大のカエルを思わせる魔物ゲコガー複数と、その倍以上の体躯を持つ古代獣マーマディアンだ。
「やあやあ、先日ぶりだねぇ、マーマディアン君!」
『月夜の蒼』ルーキス・グリムゲルデ(p3p002535)は高らかに呼びかけ、挨拶を交わす。
「水先案内ご苦労、そしてさようならと言っておこうか」
前回、湖での遭遇、取り逃がした際はルーキスも参加していた。無論、彼女も今回はそうもいかぬと気合を入れて。
「きっちり倒して、今度こそ君との因縁は終わりにしたいところだね!」
マーマディアンも臨戦態勢にあり、今度こそ許さぬと言わんばかり。
配下のゲコガーも合わせて殺気立っており、マーマディアンを全力で支援する構えだ。
「フラスコの近くが寒い理由がまったくわかりませんね。魚くんとカエルが寒さに強いわけでもないのに」
プラントの傍にある凍結トラップ。そこにいる寒さが苦手と思われる生物……そんな鈴音の一言に、エステルが何か思い立つ。
「……もしや、ヴィーザルの寒地でも動ける水棲型魔獣の研究?」
これほどの技術を持つ文明を持つ遺跡が今このタイミングで動き出しているということは……。
ゲコゲコォォ……!!
シャアアアアアアァァ……!!
一層強く鳴いた敵はこちらの態勢が整うのを待たずに飛びかかってくる。
「感傷に浸っている場合ではないですね」
今は襲ってくる敵をやっつけるのが先決と鏡禍はオウェードと共にマーマディアンの方へと向かう。
「動きづらいし、早く終わらせよう!」
トストも手早く戦いを終わらせるべく、敵陣へと飛び込んでいくのである。
●
研究室の手前にある大部屋で、イレギュラーズへと襲い来るのは古代獣マーマディアン。
これを倒さねば、奥の培養フラスコも破壊できない。
フシャアアアアア!
躍りかかってきたマーマディアン……半魚人は早速、水大砲をこちらへと撃ち込んできた。
辛くも逃れたオウェードは態勢を整え直して。
「奇襲とはやるのうッ! しかし、これから巻き返すんじゃよ……」
着地した半魚人へと、オウェードは高い防御を活かして破壊力へと転化し、強く殴り掛かって動きを止めようとする。
なにせこの凍結トラップの中だ。イレギュラーズ達にとっても速く倒してしまいたい状況である。
(敵は寒さに強いと思うが、ゲルを纏ってるのは気になる……乾かす目的ならこの場所で乾かせれるのかね?)
戦う間も、オウェードは戦略眼を働かせ、テレパスによって仲間達へと考察について伝える。
(どうでしょうか……)
その返答は一緒になって抑えを行う鏡禍が主に行う。
足元がひどく滑る為、できるだけ凍っていない場所に位置取る鏡禍はしっかりと地面を踏みしめて相手の気を引く。
相手が爪て自分達を薙ぎ払ってくるのを確認せれば、闘争心を高めた鏡禍はその攻撃を堪えてから竜撃の一手で護りの薄いヒレへと打撃を打ち込む。
半魚人を2人が抑えている間に、残るメンバーはゲコガーの討伐へと回って。
「カエルと半魚人をとっとと片付けて、熱々のうどんでも食べにゆくぞえ」
こんなところに長居はできぬと、夢心地はゲコゲコ五月蠅いゲコガーの掃討へと当たる。
とはいえ、この部屋自体は厄介だが、ゲコガー達はさほど警戒すべき相手出ないと彼は見て。
「小細工を弄するよりは、真っ向から一気に蹴散らすのが早いじゃろ」
相手もこちらを飲み込もうと大きく口を開いてくるが、どちらが捕食者か分からせてやろうと、夢心地が発したのは黒顎魔王。
大きな黒い顎に食らいつかれた相手もじたばたと抵抗して粘液弾を撒き散らすが、簡単には逃れられない。
「序盤で数的有利を作り出せさえすれば、罠による多少のトラブルは些細な問題に過ぎぬ」
夢心地はそう言うが、エステルは周囲を見回して。
「トラップを止める手段はあるのでしょうか」
部屋に入った地点でトラップは発動していたが、エステルはその解除方法を模索しながらも、不可視の刃を飛ばしてゲコガーを切り裂く。
ゲコオオオオォォ!
痛みに悶える敵はエステルへと舌を絡め付けてくる。
だが、エステルはすぐさま光翼を羽ばたかせ、敵の身を切り裂く光刃を放ちながら拘束から逃れていた。
この寒さの中でも素早く動き回るゲコガーを後方から見回していたベルナルドはトラップ対策として低空飛行していた。
ベルナルドはゲコガーだけでなく半魚人も捉えて。
「纏めて食らえ!」
次の瞬間、室内に巻き起こる熱砂の嵐が片っ端から敵の動きを止めていく。
その破壊力は抜群だが、次は仲間を巻き込みかねない。
(やはり、乱戦は避けられんか)
敵の思惑にハマらぬようベルナルドは聖骸闘衣を纏い、神気に攻撃を切り替えてゲコガーをメインに体力を削る。
イレギュラーズ側の体力管理は鈴音の役割だ。
「回復は切らさないぞ。レッツ回復っ」
目指すは短期決戦。鈴音はトラップを懸念して浮遊し、室内に天使の歌を響かせていく。
なお、彼女は敵の動きにも気を配っていて。
「うん、あっちも滑ってるね」
凍結トラップは敵にもしっかり作用しており、ゲコガーなどは時折足を滑らせて転倒している。
もっとも、半魚人にはほとんど効果がなかったようだが、身体を覆うゲル状の物質に何か対策法があるのだろうか。
「悪あがきもそこまで」
転倒していたゲコガーを中心に、ルーキスが敵陣を纏めて汚れた泥で覆いつくす。
漆黒の泥に塗れたゲコガーはじたばたもがいていたが、敵へと近づいていたトストが多量の水を呼び起こす。
「敵の粘液を流して、相手の利を削ることはできないかな?」
半魚人の体を覆う物質を洗い流せれば。トストはそう考えながらも敵陣を一気に水で押し流す。
それに流されたゲコガー1体の体力が尽きていたが、地面を流れる水が凍り付いていたようだ。
「おっと、滑りやすくなってしまったかな」
彼はこれ以上の環境悪化を恐れ、攻撃手段を変えていた。
●
素早く飛びかかってくる古代獣マーマディアンは身体を包むゲル状の物質を洗い流されてもすぐに自らそれを発して身体を包み、弱体化する様子はほとんど見られない。
メンバーの回復へと当たる鈴音は浮遊しながら、凍結トラップで耐性を崩す仲間達の危機を払う。
シャアアアアアアアアアアッ!!
半魚人は彼女を敵視して、ほぼノーモーションで水ブレスを放ってくる。
「聞いた通り確かに素早いッ! 間に合えッ!」
戦場を俯瞰していたオウェードはすかさず飛び込んで鈴音を庇い、防御を集中させてそのブレスを受け止めた。
鏡禍は足場を踏みしめ、跳躍しようとする半魚人をしっかりマークして前進を防ぐ。
少しでもタイミングがずれれば、それだけで半魚人は動き回ってしまう。
「これ以上、好きにはさせません!」
再び声を荒げた鏡禍は自分の方へと攻撃させるよう強く半魚人の気を引くと、敵は物凄い形相で彼女を威嚇してきていた。
鏡禍も防御を固め、次なる攻撃に備える。
その間に、オウェードがバックハンドで半魚人へと拳を叩きつける。
不敵な笑みを浮かべる彼に、半魚人は忌々しげに唇を震わせていた。
満足に立ち回れぬ配下のゲコガー達を、イレギュラーズは順調に攻め立てる。
後方に位置どったまま、ベルナルドはゲコガーの群れへと纏めて輝かせた神気で灼き払う。
続けざまに、ルーキスが範囲型魔術師の本領とばかりに攻撃へと出る。
彼女が空中に浮き出た魔術円を異形の左腕で突き刺すと、ゲコガー達の傍に口を開く深淵が敵へと直接何かを呼びかける。
……ゲ、ゲコオオォォ。
戦慄するゲコガー2体が泡を吹いて仰向けに倒れてしまう傍、なんとか耐えた残りのうち1体へと、夢心地が黒い顎を食らいつかせる。
鋭い牙がゲコガーの体を噛み砕き、そいつを絶命へと追い込む。
一気に仲間を倒されたゲコガー達が膨張してエステルを丸呑みしようと舌を伸ばすが、彼女はすかさず絶対不可視の刃を飛ばしてゲコガー1体の首を飛ばす。
最後の一匹は飛び退いて半魚人の方へと向かおうとするが、すでにトストが行く先へと回り込んでいて。
「膨張したら格好の的じゃないか」
術式を展開するトストは魔光飛ばす。勿論、狙うは膨らむ腹だ。
「君たちも寒さが得意そうには見えないけどね。とっとと眠ってくれよ!」
トストの呼びかけはもうそのゲコガーには聞こえておらず、飛び出しかねぬ程に目を見開いて崩れ落ちていった。
「今日という今日は年貢の納め時って奴だよ、大人しくしてもらおうかな」
全てのゲコガーを倒したところで、ルーキスは改めて因縁の相手へと言い放つ。
シャアアアアアアアアアアァァ!!
討伐すべき最後の敵、半魚人マーマディアンはそれを耳にしながらも、障害となるオウェードや鏡禍を鋭い爪で引き裂こうとし、食らいかかって牙で噛み砕こうとする。
傷が深まってくる鏡禍は絶気昂で自らを癒し、防御を固めて戦線を維持する。
狡賢さすら感じさせるこの古代獣。何より、前回不利を悟って追撃できぬようにと落盤を起こして逃げたことが大きい。
(この状況に至った時点で人数差は作れておるゆえ、包囲を固めた上でボコれば問題なしじゃな)
夢心地のその意志はオウェードのテレパスによって全員に伝えられる。
その間に、夢心地も一気に仕留めたいと殺人権の極意をその身に宿し、妖刀による三連撃で斬りかかる。
それでも、相手はあまり疲弊した様子を見せない。かなりのタフネスを持っているようだ。
それは全身を覆うベル上の物質が防御を高めていることも大きいのだろう。
「これも仕事なんでな。悪く思うなよ?」
ベルナルドもゲルを剥いでしまえば、十全な状態にはならないだろうと、全身に攻撃が当たる様に火力を活かして神気を浴びせかける。
足場の確保を気にかけるエステルは可能な限り動き回り、不可視の刃を放って着実に古代獣へとダメージを与えていたのだが……。
シャアアアアアアアッ!!
敵の射線上に飛び出てしまう形となったエステルへ、半魚人は猛然と水大砲を浴びせかけ、さらに鋭い爪で切り裂いてきた。
流れる様な攻撃に追い込まれ、エステルは消えかけた意識を僅かなパンドラによって繋ぎ止め、光翼を広げて距離をとる。
後は自らの調和の力で体力回復を行うことで、エステルは態勢を立て直す。チームの回復役となる鈴音も一時重ねて回復に当たる。
その間、トストは半魚人へと魔光を浴びせて痺れを与えつつ、呪術によってその動きを止めるよう攻め立てていたのだが、半魚人は幾分動きに精細さを欠いてなおメンバー達に激しく攻撃を繰り返す。
「そう言えば報告書には半魚人がトスト殿の霧氷魔を食らってたそうじゃな……もしかすると……これは賭けじゃが……」
「オーケィ、乗りますよ。……凍り付かせてやるよ、何度でもね!」
自らの提案に乗ったトストの協力を得て、オウェードが半魚人を凍結トラップの発動箇所へと誘導して。
シャアアアアッ……!?
上手く立ち回って回避することも多かった半魚人だが、ここにきて盛大に足を滑らかす。
ダメ押しにと、トストが霧氷魔で半魚人を閉ざすと、目に見えて敵の動きが鈍り始める。
「名前通り大食いなのが玉に瑕だよねぇ」
その玉……宝石は彼女の魔力を大量に得て、仮初の剣へと凝華する。
「手加減も容赦もしないとも、こいつできっちり狩られてくれたまえ!」
攻撃を集中させ、ルーキスはその剣をマーマディアンの肉体へと叩きつけていく。
シャアアァァ…………。
さすがに苦しそうな表情で悶え始めた半魚人はその場から跳躍して逃れようとするが、ベルナルドが凍結トラップを発火させ、多量の水蒸気を発生させて敵の視界を塞ぐ。
「おいこら逃がさないって言ったでしょー?」
ルーキスの呼びかけを受け、鈴音が仲間達の殺る気スイッチをMAXにすべく士気を高めれば、オウェードが跳躍から落ちてくる勢いを利用して片手斧を振りあげてその体を裂く。
地面へと転がる半魚人はまたも転倒したところで鏡禍が再度名乗りを上げて注意を引く。
こちらを睨みつける半魚人を仕留めるべく、夢心地が妖刀で、エステルが大剣で、トストが呪術で畳みかける。
「特異運命座標に二度、同じ手が使えると思うなよ」
さらに、肉薄したベルナルドがその手に生み出した虚無の剣で敵の胸部を深く貫く。
シャアアアァァ…………。
最後まで手足をばたつかせていた古代獣マーマディアンはそのまま果てていったのだった。
●
古代獣を倒したイレギュラーズ一行は奥の研究室へ。
「しかしまあ、ろくでもない施設が眠ってたね」
「バンバン怪物製造している感じだな」
呆れるルーキスに神妙な顔でそれを見つめる鈴音。
現状、研究は止まっていると思われるが、フラスコ内には両生類を思わせる不気味な物体がいくつも。
「培養フラスコってのはグロテスクで戴けねえ」
「なぜこんな気味悪いものを創ってしまうのか、まったく理解がっできぬ!」
昔の人が化け物を量産する目的を訝しむベルナルド。憤慨する夢心地は、せめて美人のおねえちゃん軍団を創るのであれば一向に構わぬと主張するが、それはそれでと皆苦笑してしまう。
「魔物を増産する施設ってのも魔術師として興味はあるんだけどなぁ」
「壊すのはもったいないけど、依頼だから仕方ないね」
それらの施設が無くなることを惜しむルーキス、鈴音だったが、早速それらの破壊へと乗り出す。
ストレスかかった戦いの代償にと、鈴音は一度始めれば思いっきりフラスコを破壊する。夢心地もまた容赦なくバッキバキのボッコボコに破壊していく。
その際、ルーキスは取りこぼしが無いようにと破壊した数をカウントしていた。
「にしても、今回の古代獣は賢かったのう……」
本音を漏らすオウェードは破壊の途中でマーマディアンのことを思い返すと、トストが小さく唸って。
「浮遊島の古代獣全てがここで生まれた……ってわけではないよねたぶん」
他にもプラントは存在するのかなという彼の疑問はほぼ間違いないだろう。
「古代の人の考えなど何かわかればいいのですが」
鏡禍はある程度フラスコを壊したところで研究資料の持ち帰りを提案すると、記録や物品などを回収していく。
「流石は後詰めの城じゃな……」
「これだけの技術です。この浮遊島がヴィーザル地方やゼシュテルの害になるのでしたら、私は……」
オウェードもエステルも、この城だけでなく、島全体の存在にすら危機感を抱いていたようだった。
成否
成功
MVP
状態異常
なし
あとがき
リプレイ、公開です。
MVPは凍結トラップを逆に利用して強敵撃破に役立てた貴方へ。
今回はご参加、ありがとうございました!
GMコメント
イレギュラーズの皆様こんにちは。GMのなちゅいです。
現状、浮遊島『アーカーシュ』の制覇をと力を入れており、エピトゥシ城へと突入しております。
そこに現れたのは、湖底にあると思われる遺跡を護っていたはずの古代獣。今度こそ討伐し、古代獣を培養していたと思われるフラスコの破壊を願います。
●目的
古代獣マーマディアンの撃破、及び培養フラスコの破壊。
●状況
アーカーシュ、エピトゥシ城になぜか以前湖を探索している最中に遭遇した古代獣の存在が確認されております。
エピトゥシ城の制覇を行うに当たり、研究室の手前で待ち伏せていたこの古代獣とその配下の討伐を行う必要があります。
また、戦場となる小部屋には凍結トラップが仕掛けられており、転倒して体勢を乱し、戦いが長引けば凍結してしまう可能性もあります。
●敵
〇古代獣:マーマディアン(略称;半魚人)×1体
<チェチェロの夢へ>遺跡に棲まう半魚に登場。
全長4m。全身に灰色の鱗を纏う半魚人。
陸上では、全身が乾かぬようにする為か、薄いゲル状の膜の様なもので覆われています。
攻撃は水中と変わらず、遠距離から水ブレスや水大砲を。近距離からは鋭い爪や食らいつきと大柄な見た目以上の俊敏さで攻めてきます。
○ゲコガー×6体
全長1.5mほど。マーマディアンが陸上で行動するときのオトモとして従えているようです。
粘液弾に舌叩きつけ、舌絡め付け。膨張して自分よりも大きな相手すらも丸呑みしようとしてくることもあります。
●情報精度
このシナリオの情報精度はBです。
依頼人の言葉や情報に嘘はありませんが、不明点もあります。
それでは、よろしくお願いいたします。
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