シナリオ詳細
<光芒パルティーレ>青海の捕食者たち
オープニング
●
また、混沌に暑い季節が訪れる。
夏になれば、注目が集まるのは海洋だ。
かつては絶望の青とも言われ、恐ろしい魔物が無数生息しており、ことごとくこの海で行方が知れなくなってしまった。
だが、それも過去の話。この海域でイレギュラーズは冠位魔種、そして偉大なる竜種リヴァイアサンと激闘を繰り広げた後、イレギュラーズらは豊穣へと至り、絶望の青は静寂の青と名称が変わった。
人々にとっては、まだ知らないことも多い海。それだけに、興味を持つ者は混沌各地に存在する。
立地上、接している海洋、豊穣はもちろん、鉄帝や幻想、遠くはラサからもはるばる訪れ、船に乗ってフェデリア島へとやってくる。
「まあ、アタシらローレットもその一員と言えなくもないがな」
フェデリア島へとやってきたイレギュラーズに向け、オリヴィア・ミラン(p3n000011)が白い歯を見せる。
絶望の青での戦いの頃からすれば、豊穣や覇竜でもイレギュラーズとなる人々が現れている。
空も海も、視界に青が飛び込んでくるこの場所。
かつてのローレットの戦いも合わせ、皆様々な話題に思いを馳せつつ、今この時を満喫する。
こうして多くの人々が注目し、集まるフェデリア島の経済はこれ以上なく動き、主に海洋や豊穣の商人や貴族達。彼らに雇われる人々などにも恩恵が生まれ、かつてない好景気に見舞われている。
商人や貴族らはクルージングツアーなどを計画し、さらなる人々を呼び込む計画を立てていたのだが……。
「言ったろ。この海域はかつて絶望の青と呼ばれていたって」
海は恐ろしい場所。その認識をいつの間にか、商人や貴族達は失ってしまっていた。
【ダガヌ海域】と名付けられた三角形のエリア。
クルージングツアーを行うには避けて通れぬ海域なのだが、そこへ入った船が高確率で遭難、難破、行方不明になってしまうのだとか……。
クルージングツアーは主催となる人々にとっては一大事業。
それだけに、海域の安全確保が彼らにとって最大の懸念事項であり、必須事項でもあるのだ。
「そうした意向が先方からあるのだけど、まあ、アンタらにとっても悪い話じゃないだろ?」
ローレットとしても、このクルージングを心置きなく楽しみたい。
ならば、脅威は排除しておくべきだろう。
二つ返事で了承した面々は早速、船の手配など、出向の準備へと動き始めたのだった。
●
イレギュラーズの乗る船は程なくダガヌ海域へと至る。
三角形を描くその海は不気味なほどに静まり返っており、他の場所では聞こえてくる海鳥の声すらも聞こえてこない。
この海域で起こる海難事故の要因は一つではなさそうだ。
命からがら、逃げ帰った船の乗組員の情報によれば、大きな蛇であったり、幽霊船であったり、豊穣の妖怪であったり……。
だが、今回現れたのはいずれとも違い、……クリオネである。
クリオネといえば、流氷の天使とも称される生き物であるが、その実捕食状態が非常に恐ろしい姿をしたことで知られる。
この海で現れるクリオネは全長4mもの巨体を持っている。狂王種などと比べればやや小さいかもしれない。
しかしながら、常に捕食状態を維持しているその見た目は非常に禍々しい。一度遭遇すれば、ほぼ確実に死が約束されるとも言われ、リーパーの名が与えられて船乗りに恐れられている。
また、クリオネリーパーは灰色の体躯を持つイカを引き連れている。
それらは船体に穴を穿ち、海中へと落ちた乗組員を生きたまま捕食してしまうという。その為、このイカは悪魔と恐れられた。
まさに、青海の捕食者。
海中から襲い来るこの魔物達は間違いなくクルージング客にも襲い掛かるはずだ。
どのように襲ってくるか分からぬ魔物たち。
イレギュラーズもまた捕食されぬようそれらの討伐へと乗り出す。
- <光芒パルティーレ>青海の捕食者たち完了
- GM名なちゅい
- 種別通常
- 難易度NORMAL
- 冒険終了日時2022年07月19日 22時05分
- 参加人数8/8人
- 相談6日
- 参加費100RC
参加者 : 8 人
冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。
参加者一覧(8人)
リプレイ
●
海洋フェデリア島を出港するイレギュラーズ。
折角だからと、一行は大柄な白熊の姿をした『波濤の盾』エイヴァン=フルブス=グラキオール(p3p000072)の船を使って目的地を目指す。
「今夜はイカ焼き! そういうことだなっ」
捕食者どもを捕食することもイレギュラーズの仕事。
黒猫を連れた銀髪、やや色黒な肌をした『特異運命座標』岩倉・鈴音(p3p006119)はすました顔で鼻息を荒くする。
配下にイカを引き連れたのは死神の名を冠する巨大なクリオネの姿をした深怪魔。
薄氷の天使とも称されるクリオネだが、捕食時は一変する。今回の敵は後者の姿を維持しているそう。
「天使で死神、とはなぁ。まさしく私、じゃねーか」
元堕天使の元死神だという『常夜に潜むモノ』天之空・ミーナ(p3p005003)はそれを聞き、本家本元の力を見せてやろうとやる気を見せる。
「海の底にこんな連中がいたなんて海を庭にしていたアタシも知らなかったねぇ……」
水を司る精霊種、『大海に浮かぶ月』アウレリア=ネモピレマ(p3p009214)は自身が庭にしていたか分からないと突っ込まれて、そこは気分だけでもと行っておくとやる気が出るもんだと苦笑い。
「覇竜に居れば、力の及ばない相手などいくらでも居たからな」
覇竜フリアノン出身、小柄ながら大きな角が亜竜種と主張する『緋夜の魔竜』シャールカーニ・レーカ(p3p010392)は遠き故郷を思う。
美しい見た目をしていても、その実凶悪極まるなどということは不思議ではない。
だが、クリオネのように落差が激しいと、それはそれで違った意味で恐怖があるとレーカが思ったままを口にする。
「せいぜい捕食されんように気を付けねばなるまい」
そんなレーカの忠告に、白い角と翼をもつ亜竜種少年の『亜竜祓い』アンリ・マレー(p3p010423)、ピンクのツインテールの『希望の星』燦火=炯=フェネクス(p3p010488)も同意する。
「海洋は良い国なんだ。人々にはツアーもリゾートも楽しんでほしい」
領地をこの海洋に持つ音楽家『青き鋼の音色』イズマ・トーティス(p3p009471)はこれまでの想い出を振り返りながら。
「だから、それを妨げる敵は責任を持って必ず討伐する!」
これまで触れ合った人々の想いに応える為にも、彼は依頼完遂に強い意欲を見せるのである。
●
イレギュラーズを乗せたイルヴァンの船はやがてダガヌ海域へと差し掛かる。
メンバー達は早速、海中を漂っていると思われる敵を海上にまで引き寄せる作戦に出る。
「クリオネって頻繁に捕食するイメージないけど、そこはやはり魔物だからか」
今回討伐対象である狂王種、クリオネリーパーは常に捕食形態となっているということから、強い食欲があるのだろうとイズマは推察する。
それもあり、漁業スキルを使い、彼は予め魚群を捕獲していた。
「撒き餌ということだな」
操船を止めたエイヴァンが言うように、生態系に影響の出る量ではなく魚群一つ程度の規模。
「襲撃のタイミングさえはかれれば、準備や警戒もできるからな」
イズマを主導としてその魚を海中へと戻しつつ、敵の誘き寄せを行う。
そして、タイミングを同じくして、海中へと飛び込むメンバーも。
「そうときまれば、サマーバケーションってヤツをたのしむだけじゃい」
海へと飛び込んだ鈴音は海中をゆったり泳ぎ回ったり、海面上でぷかぷか浮かんだりして状況の変化を待つ。
「海は広いな大きいな」
鈴音は囮とは思えぬほどに、この状況を満喫していた。
同じく、敵の出現に備え、海中を泳ぐレーカだが。
(水中での行動の心得を聞いてはきたけれど……)
元々あまり水中が好きではないレーカ。慣れないのか、すぐにでも身体を乾かしたいとすら考えてしまう。
「まぁ、人を喰らう様な相手なら魚と一緒に入った方がうまいこと釣られてくれるかもしれないな」
エイヴァンが言うように、2人は囮役として放った魚群の動きに合わせて泳ぐ。
また、海面近くの空中で、ミーナやアンリが待機し、不意打ちを受けぬよう周囲の警戒に当たっていた。
(お魚とかにはあんまり近寄らない方がいいのかな?)
一応と、アンリも魚の餌を撒いておくことで、誘き寄せに一役買おうとする。すでに海へと放った魚群がそれらを食べていたが、新たな魚がそこに集まってもいたようだ。
別段、魚を捕獲するという任務があるわけではない。
アンリは下手に魚を傷つけぬようそれを見守ることにしていた。
その状況がしばらく続くが、やがて深海方面から浮上してくる存在をイズマが察知する。
状況を見て、海中へと潜っていた彼は耳を澄ませ、音で海中の状況把握に務めていたのだ。
「……来る」
次の瞬間、頭部が鋭い槍のようになった灰色のイカが魚群へと突っ込んでくる。
魚群を捕食しようとする敵に対し、鈴音も巻き添えを喰らわぬようトビウオの如く飛んで避けてみせた。
「ンッフッフ♪ 許しませんよ、スクイド! お料理タイムですよ」
とはいえ、無傷とはいかなかったらしく、鈴音は傷の治療をしながら高らかに戦闘宣言する。
さらに、海底からもう一つ、浮上してくる巨大な影。
頭部の口を大きく開き、周囲の触手を揺らめかす巨大なクリオネの姿が。
「すくなくとも海の死神とか言われるかわいげのない連中に負けるわけにはいかないからね!」
敵の出現を受け、アウレリアは海へと飛び込んで。
「さあ、お灸すえてやるさね!」
優雅に泳ぐアウレリアは神秘の杖を携え、早速術式を展開すべく詠唱を始めるのである。
●
捕食者の来襲に、魚群は生存本能が働いたのか、蜘蛛の子を散らすように逃げていく。
灰色のイカ……スクイドデーモンも、逃がさじと墨を吐きかけてくる。
行き先を見失い、右往左往してしまう魚達。
それはイレギュラーズにとっても視界を奪われる行為。
だが、イズマはそれも想定して音と摂理の視によって、戦場全体の敵味方の位置、戦況を把握しようとしていた。
「魚はくれてやるが、俺達は食わせないよ」
まだ、海面からは少し距離がある。
イズマは強引に敵を浮上させようと海中で大きな海流を起こしてスクイドデーモンらを海面近くまで押し上げる。
エイヴァンはそれなら好都合と、そのまま海上に待機しているメンバーが攻撃できるようにと名乗りを上げて。
「どうした? 腹が減っているのだろう?」
物言わぬイカ達だが、触手を伸ばしてくるところをみると図星であるらしい。
船上のエイヴァンがイカを引き付けている間、ミーナは引付役となるメンバーが危険にさらされないか気を配る。
合わせて、ミーナは確実に数を減らせるようにと敵の体力の感知も行っていた。
「スクイドよ、イレギュラーズの胃袋に入ることこそ救いど。キッチキチにご飯詰めたる!」
ダジャレで敵を煽りつつ、鈴音は敵に捕まらないよう空中へと飛び上がって魔導書を広げる。
そして、霧氷魔を展開した鈴音は触手を伸ばすスクイドデーモン複数の体力を削いでいく。
「数は強みだからね」
とりあえずはスクイドデーモンを片付けようと、アウレリアも海中を泳いで敵の気を引き、神秘の杖から連なる雷撃を発して纏めて撃ち貫いていく。
(正直ねぇ、思いっきりざばーんとしてみたいんだけど)
海上での交戦となれば、船が狙われる危険がある。
とはいえ、仲間達も入れ替わり攻撃しており、アウレリアも巻き込みかねないと危惧する。
「満足に船を攻撃させたりなんかさせないさね」
攻撃のタイミングは慎重に。仲間の位置取りをアウレリアはしっかりと見定める。
その一人、アンリは空中から射撃を行い、海面近くまで浮上したスクイドデーモンをクロスボウで射抜いていく。
泳げるようにはなっているが、アンリは海には飛び込まずに応戦を続ける。
海が不得手なことも無関係ではないだろうが、制圧攻勢で攻め立てたいこともあったし、水中の衝撃を考えるとSADボマーを打ち込む爆発は怖いとアンリは判断していたのだ。
思ったよりは余裕もあり、フリーオフェンスでアンリは一気にスクイドデーモンを制圧せんと、どこからかともなく降り注ぐ砲弾を浴びせかける。
(干物にすれば、酒の肴になるのだろうか)
砲弾の雨が止んですぐ、レーカは展開する障壁を使って敵を薙ぎ払う。
仲間の攻撃も受け続けている敵は触手を振り回し、墨を吐きかけるが、レーカは聖骸闘衣の効力で視界と機動力を確保し、再度敵陣へと攻撃を仕掛ける。
スクイドデーモンとイレギュラーズの攻防に巻き込まれぬようにと、逃げ回る魚群。
「…………」
それらを飲み込むように大きく口を開く巨大な物体が勢いよく浮上してくる。
「現れたな」
そいつの動きもイズマはすでに把握済み。
「クリオネを料理する……よく知らんが海洋か練達ならばレシピがあることだろう!」
そうと決まればせっせと回復だと鈴音がすかさず、前線で戦うメンバーの気力を回復しようと天使の歌声を響かせる。
直後、触手をうねらせて周囲の生物を丸ごと飲み込まんとするクリオネリーパーは不気味な姿をイレギュラーズへと見せつけ、なおも己の存在をアピールするように黒いオーラを解き放つのである。
●
深怪魔の抵抗は激しく、思った以上にタフな相手とあり、なかなか切り崩すのが難しい。
エイヴァンは船上から敵の引き付けを続け、合間に接敵して凍波の大盾で殴り掛かり、さらに斧砲を叩き込んでいく。
膂力のすさまじい一撃に、スクイドデーモンは体液をぶちまけて苦しんでいたが、しっかりと彼を触手で捕らえて食らいついてこようとする。
身体深くへとくいこむ敵の牙。加えて、海面近くへと浮き上がっていたクリオネリーパーの黒きオーラが前線メンバーを襲う。
「く……」
耐えるエイヴァンは脂肪の燃焼効率を上げて心身を活性化させて気力を維持しつつ、体力の限界を感じるまではスクイドデーモンへの攻撃を続ける。
仲間達が敵の気を引く間、イズマは1体ずつスクイドデーモンへと舞踏を披露する。
ここまでイレギュラーズへと攻撃的な態度をとっていたスクイドデーモンだが、彼に魅了された敵は何を思ったか味方目掛けて突撃を始める。
クリオネリーパーには効果がなかったが、混乱を始めるスクイドデーモン。
イカの怪物に絡まれながらも鈴音は防御しながら耐え、敵の隙をついて距離をとる。
息つく彼女は調和の力を賦活のそれへと転化し、受けた傷を塞いでいたようだ。
その間に、イレギュラーズはスクイドデーモンを切り崩すべく攻勢を強めて。
仲間達が距離をとっていたタイミングを皆ミーナは全てのスクイドデーモンを捕らえて霧氷魔で包み込む。
エネミースキャンで敵の体力をある程度把握していたミーナだ。
これで一気に押し切ろうとミーナが攻撃を集中させると、スクイドデーモン2体の体が凍り付き、完全に動きを止めて海面に浮かんでいた。
続き、レーカが1体を追い込む。
広範囲へとクリオネリーパーが放ってくる黒いオーラ。さらに鋭く突き出してくる触手。
それらの攻撃で瞬く間に体力を削がれるレーカは自己修復を行い、体勢を立て直してすぐに高い防御力を活かした攻めで激しく障壁を叩き込み、スクイドデーモンの殴り倒して息の根を止めてしまった。
相手を魅了していたイズマもスクイドデーモンが仲間を襲っている1体を魔空間に呑み込む。
「最後のクリオネリーパー、確実に仕留めるぞ!」
後はその全身を圧縮し、串刺しにする。
そのまま火にかければうまそうなイカ串になるかもしれないが、今は残る強敵クリオネリーパーを討伐せねばならない。
「………………」
引きつれていたスクイドリーパーが全て倒され、クリオネリーパーは激しくイレギュラーズを威嚇してくる。
声帯がないからか、鳴き声は聞こえてこないが、その異様な見た目は大の大人ですらも震え上がる程に恐ろしい。
そいつは海上にまで口の周囲から伸びる触手でメンバー達を捕らえようとする。
危機を感じたアンリはそいつ目掛けてオーラキャノンを打ち込んでいたが、思わぬ方向から伸びてきた触手に対応できず、その身を絡めとられてしまう。
メンバー達もアンリを助けようと攻撃を続け、アンリ自身も触手から抜け出ようと抵抗するが、全身を包む黒いオーラに体力を奪われてしまい、がっくりとうな垂れてしまった。
捕まったままの仲間を助けるべく、レーカはこれまで同様に防御攻勢によって巨躯のクリオネの体へと打撃を打ち込む。
イズマも次の瞬間、敵の触手に捉えられてしまうが、その口目掛けて鋼の細剣を突き出した。
「触手で捕えた側も動けないはずだから……逃がさないぞ!」
口内を穿たれたクリオネリーパーは痛みもあって思わず触手をばたつかせ、アンリやイズマを離してしまう。
「こっちだ」
船からエイヴァンが相手を煽り、触手もオーラも引き付ける。
その威力は思った以上で、スクイドデーモンの猛攻にも耐えていた彼もさすがに内気と外気の双方を高めて体力回復に当たっていた。
重ねて、鈴音もエイヴァンへと祝福をもたらしていると、クリオネリーパーが一層暴れて。
「………………」
巨躯もあって海面近くでクリオネリーパーが滅茶苦茶に触手を振り回すと、穏やかだった海にも激しい荒波が立ち、船も大きく煽られることとなる。
少し遅れて参戦したクリオネリーパーだが、イレギュラーズがスクイドデーモンを攻撃する余波は少なからず受けており、その全身は傷ついている。
ミーナは頭上からそれを狙い、霧氷魔で包み込む。
少しでも相手の体が凍り付けばこちらのもの。神秘的破壊力を一点に集約したミーナは敵へと近づき、思いっきり死神の大鎌で死神の名を持つ怪物の命を刈り取らんとする。
「……………………!!」
だが、敵もしぶとく全身から黒きオーラを発する。
自在に展開するそれはスクイドデーモンの墨とは比べ物にはならず、あっという間に対する者の体力を奪いつくす。
至近にいたミーナもこれにはたまらず退避する。自身や仲間の体力を見て、サンクチュアリによる支援に動いていた。
「青海の捕食者とはよくいったものだけどね。アンタたちみたいなイカやクリオネみたいなのだけが捕食者だとは思わない方がいいよ」
交戦していたアウレリアはオーラに包まれながらも一切臆せず、水流でできた無数の茨によってその体を絡めとり、凍り付かせる。
「………………!!」
動けなくなったクリオネリーパーはなおも触手をばたつかせてアウレリアによる拘束を解こうとするが、その度に体へと凍った茨が突き刺さる。
「強者だって食べる人間の強さは舐めちゃいけないのさ。いつ倒される側がひっくり返るかわからないからね!」
気分よく語るアウレリアへとクリオネリーパーが黒いオーラを飛ばしてくるが、それが最後の抵抗。
アウレリアが歌う声がクリオネリーパーの体を包み込み、少しずつ呪いが浸食していく。
それはかつてのこの海……絶望の青とも称された海を歌ったもの。
それを構成する一員だった可能性が高いクリオネリーパーだが、アウレリアの歌による呪いで満たされた体は徐々に動きが鈍くなり、やがてその命が絶えてしまう。
死神とも呼ばれた深怪魔だったが、その死に様は流氷の天使と称されたクリオネと思わせるほど穏やかで可愛らしさすら感じさせたのだった。
●
深怪魔を討伐して。
戦いに勝利して充実感を得た鈴音だが、程よい倦怠感もあって。
「海で動き回るのはハードワークだ。終わったらメシ、フロ、ネル! だな」
「その前に、身体を乾かしておきたいな」
海水によってべとつきも感じるレーカは、一度身体を洗い流して身体を乾かしたいと本音を口にしていた。
また、討伐した深怪魔について、ミーナが疑念を抱く。
「にしても、こいつらって二年前の時にはいたっけか?」
ここにきて急に現れた深怪魔の存在がおかしな話だと語るミーナは一人くらいは詳しい人がいるだろうと、死骸の一部を持ち帰って海洋の研究者などに当たることにしていた。
それもあって、死骸は持ち帰るのだが、調理して食べてみたいとイズマが考える一方で、エイヴァンは敬遠気味。
「まぁ、イカの方はまだ見た目的にも何とかなる……か?」
観光資源として使えるならいいが、船を沈める一因とあれば悩みどころと彼は唸る。
一度、メンバー達を港へと降ろした後、この海域で沈んだ船や海況調査を行おうとエイヴァンは考える。
安全な航行ができるように努めるのも自分達の役目。
海に潜む怪物だけでなく、岩礁などの地形、時化などの気象状況といった様々な要因はあるだろうが、クルージングが無事に刊行できるようエイヴァンは自ら航行することで安全の確保に努めるのである。
成否
成功
MVP
状態異常
あとがき
リプレイ、公開です。
MVPはクリオネリーパーにとどめを刺した貴方へ。
余談ですが、コリコリした食感がなかなかイケるらしいですよ。
今回はご参加ありがとうございました!
GMコメント
イレギュラーズの皆様こんにちは。GMのなちゅいです。
海洋フェデリア島付近で起きている問題の解決にご協力を願います。
●目的
ダガヌ海域の調査中に現れた敵勢力の撃破。
●敵:深怪魔×5体
○クリオネリーパー×1体
天使に例えられるクリオネですが、死神の名を冠したこの個体は常に捕食状態の恐ろしい姿をしております。
全長は4m程と一般種と比べると比較にならない程巨大な体躯を持ち、常に周囲を威嚇しながら海中を浮かんでおります。
頭部から伸ばす触手を使って相手を捕らえたり、貫いて捕獲したり、纏った黒いオーラで相手を弱らせたりと死神を感じさせる攻撃を仕掛けてきます。
○スクイドデーモン×4体
全長2m程で、灰色のイカを思わせる生物。
鋭い頭部を活かして突進してくる他、漆黒の墨、触手で相手を捕らえてからの捕食等を行います。
●状況
今回の舞台はダガヌ海域の海中、もしくは海上です。
基本的にフェデリア島で小型船を借りるか、自前の船を使って向かうことになります。
この海域を行く船が沈められるという被害があり、その一員となっているのが今回討伐対象となる深怪魔です。
敵は基本的に海中を動き回りますが、水上に浮かぶ獲物を捕らえる為に浮上することがあります。この為、主戦場は海中となるでしょう。
戦場となる海域には棲息している小魚群などが泳ぐ姿もあります。敵にとっては食料となり、海洋や鉄帝、豊穣の民にとっても漁業の対象です。これらをどう扱うかは皆様次第です。
●情報精度
このシナリオの情報精度はAです。
想定外の事態は絶対に起こりません。
それでは、よろしくお願いいたします。
Tweet