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シナリオ詳細

<真・覇竜侵食>ブレーメンの殺戮楽団

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング


 仮面があった。左右で白と赤に分かれた仮面だ。
 目がのぞくためのシンプルな丸穴こそあるが、それ以外にはなんの工夫もされていないひどくさっぱりとした仮面だ。
 穴の向こうで、目が瞬きをした。
 人のような眼球だ。瞳孔に五つの菱で覆ったような模様が入っている、人間のようでいてそうでない、不気味な目だ。
 そんな目に、誰かが映っている。
 剣を手に斬りかかる亜竜種の姿だ。
 その映像はひどくスローに引き延ばされ、刃がやっと仮面をたたき割れるかという距離に近づいた所で――。
「遅っいなあ」
 ダルそうに、そいつは呟いた。

 キュンッという光が瞬くような音がしたかと思うと、亜竜種が大上段から振り下ろした剣は空振りし、地面をがつんと叩いていた。
「どこにいった!?」
 慌てて振り返る亜竜種。
 既に離れた場所に立っていた仮面の存在が、両手をだらんと下げて虚空を見上げていた。
 彼の両腕からは短剣のようなブレードが伸び、それが武器だと一目でわかる。
「なんだ、逃げるだけか? かかってこい」
「尸体在说话」
 挑発をする亜竜種に対して彼は一言だけ述べ、首をゆっくりと傾けた。
「は? なんつった。さっさ――ろ――」
 途中でろれつが回らず、亜竜種の頭が傾く。頬から上がズルッと斜めにずれ、そして転落した。
 周囲の亜竜種たちが一斉にドラゴンロアの魔法を発射。
 が、彼はその中をとてつもない速さで掻い潜り、全員を最初のひとりと同じ状態にしていった。
 彼こそが蟻帝種『第一世代』(アンティノア・ファースト)。
 コードネーム『ブレーメン』。


 情報屋からの話を、劉・紫琳(p3p010462)は深刻そうに聞いていた。
 最近そとで買ったハンバーガーショップ店員用コスプレ衣装という、なんともマニアックすぎる格好で。
「アダマンアントとは以前にも戦ったことがありましたが……そんな事になっていたのですね」
 膝に置いたアンチマテリアルライフルの銃身をそっと撫で、手元の報告書に目を落とす。
 アダマンアントとはここ最近覇竜領域にて大量発生したモンスターで、異常な速度での進化と増殖は各小集落にとって深刻な問題を及ぼしていた。
 それがなんと、喰らった人間の知識を獲得した蟻帝種『第一世代』(アンティノア・ファースト)という個体まで誕生させたというのだ。
 彼らは人間に近い形状へと育ち、知識を活用し高い戦闘能力をも持つという。
「そうだ。今回向かって貰うのは小集落セメルイダ。ブレーメンというアンティノア率いるアダマンアント部隊の撃滅が依頼内容だ」
 既に先遣隊はブレーメンに接触しており、高い回避性能ゆえに攻撃をあてられず、一方的に全滅させられたとある。
 なるほど、自分の出番というわけだ。
 すっかり紫琳は手になじみつつあるライフルのグリップを握りながら想像する。
「ブレーメンは近接戦闘に特化したアダマンアントを複数体引き連れている。ボス個体だけに気を取られて周りの兵隊に飲み込まれるなんてことには、ならないように注意しておけよ」
「ええ、問題ありません」
 赤いサンバイザーをついっとあげて、紫琳は眼鏡を光らせた。
「必ず仕留めてみせます。私達亜竜種の平和のためにも」

GMコメント

●オーダー
 アンティノア『ブレーメン』率いる部隊を襲撃。撃滅して下さい。
 ブレーメンたちは小集落セメルイダへと襲撃をかけ、なんとか現地の戦力によって抵抗している状態です。ですがこのままでは押し負けてしまうでしょう。特にブレーメンが突っ込んでいけば全滅は必至です。

●エネミー
・コードネーム『ブレーメン』
 両腕にアームブレードを備えた仮面のアンティノアです。
 非常に回避能力が高く、高い命中力と連携攻撃が必要になるでしょう。

・アダマンアントアサシン×複数
 アダマンアントの中でも近接戦闘に優れた個体が集まっています。
 こちらの体力を大きく奪う攻撃方法や、防御を突破する攻撃方法など、こちらの陣形をかなり鋭く崩してきます。
 ブロック(マーク)役を切り替えながら後衛から射撃戦をしかける戦法が有利とされています。

●情報精度
 このシナリオの情報精度はBです。
 依頼人の言葉や情報に嘘はありませんが、不明点もあります。

  • <真・覇竜侵食>ブレーメンの殺戮楽団完了
  • GM名黒筆墨汁
  • 種別通常
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2022年07月07日 22時05分
  • 参加人数8/8人
  • 相談7日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

リリー・シャルラハ(p3p000955)
自在の名手
イグナート・エゴロヴィチ・レスキン(p3p002377)
業壊掌
黒水・奈々美(p3p009198)
パープルハート
Я・E・D(p3p009532)
赤い頭巾の魔砲狼
ユーフォニー(p3p010323)
ドラネコ配達便の恩返し
炎 練倒(p3p010353)
ノットプリズン
熾煇(p3p010425)
紲家のペット枠
劉・紫琳(p3p010462)
紫晶銃の司書竜

リプレイ

●寄せる波の如くに
「進化したアダマンアント、アンティノアですか……」
 赤いサンバイザーを被り直し、『紫晶銃の司書竜』劉・紫琳(p3p010462)は眼鏡越しに目を細めた。
 視線はライフルに備えた二倍率スコープ越しに、石壁に挟まれた道を見つめている。
 随分といかついライフルだ。対物ライフルの部類だろう。
 紫琳はそれを、もはや身体の一部にしているように見える。
「クイーンは中立、最低限の狩り、などと言ってはいますがそれだけで済ませるはずがないのは明白です。
 私たちが突破を許せば起こるのは殺戮、そして新たな『素材』の略奪でしょう」
 視線をスコープから外して周囲を確認すると、そこは石でできた二階建ての建物の屋上だった。
 向かいには同じような建物があり、その屋上にも仲間達がいる。
 ちらりと見下ろせば、侵攻をブロックする役割の『業壊掌』イグナート・エゴロヴィチ・レスキン(p3p002377)がひとりで道の真ん中に立っていた。
 イグナートはやる気十分な様子で準備運動(主にストレッチ)などをしている。
「私達はこの高所から射撃をすればいいんですよね?」
 『ためらいには勇気を』ユーフォニー(p3p010323)が屋上のへりから身を乗り出して、石壁に挟まれた道を見た。
 アダマンアントたちはこの道を通って進み、それを射撃によって駆逐するという作戦である。
 敵の目的は侵攻であり、その先にある略奪である。自分達を無視して進むメリットは特にないので少なからず戦闘にはなるだろうが、イグナートひとりでアダマンアント全員をブロックできるとはあまり思えない。序盤における射撃の素早さと確実さが勝敗を大きく分けることになるだろう。
 しかし――。
「何のために殺めたんですか。
 その行為は楽しいですか。
 私、多分怒ってます」
 独り言のようにつぶやいたユーフォニーに、隣でアサルトライフルを構えていた今井さんがちらりと視線だけを送ってくる。
「とにかく倒せば解決だよ。死んじゃえば、虫だってもう何もできない」
 『自在の名手』リリー・シャルラハ(p3p000955)がそれに答えるような形で声をあげた。いつも明るくポップな雰囲気のリリーにしてはかなりクールな発言だが、彼女がそういう気分になることもある……ということを、豊穣郷神逐戦役あたりから彼女を見ている仲間は知っている。ちなみにユーフォニーたちはそもそもそこまで彼女を知らないので、『そういう一面もあるのだな』程度の反応なのだが。
 ただ、空気は冷えたのだろう。話題を変えるように『赤い頭巾の断罪狼』Я・E・D(p3p009532)が口を開く。
「蟻帝種かぁ。アントとは何度か戦ってきたけど進化が早すぎるよ。でも、亜竜の人達を見捨てるっていう選択肢は無いしね。悪いけど滅ぼさせて貰うよ」
 そうですね、と紫琳たちが同意を示す。要はこれは、害虫駆除なのだ。
 ちょっと個体ごとのサイズが大きくて、ちょっと個体ごとの進化が早くて、ちょっと群体の数が膨大で、ちょっと一部の知恵が人間なみで、ちょっと放置すれば集落が全滅する程度の。
「共存が出来る種には、とても思えないしね」
 Я・E・Dは黒いオーラでできた袋のようなものからマスケット銃を取り出すと、道に向けて狙いをつけた。

 通路を挟んで反対側。
 こちらにも射撃能力のある面々が集まっている。
 『パープルハート』黒水・奈々美(p3p009198)はマジカルステッキの『A Purple'sHeart』をかちゃかちゃと弄りながら、取り出したパープル&ホワイトのパーツを組み替えながらカスタムを行っていた。
 ロッド部分をのばし、オプションとなる側面グリップをとりつけ、まるでスナイパーライフルのように構えると同じくオプションのハート型アイアンサイトを立ち上げる。
「ねえ奈々美、これだと取れ高少なくない? もっとこうフリフリ動いたりするさあ、あるいは胸を地面に押しつける感じの姿勢でア゛ッ!?」
 ついでにバンピアをつかまえロープで柱にくくりつけ、盾代わりに屋上の縁に置いた。
「これでよし……それにしても、うぅ。あ、あたし虫嫌いなのよ。
 自分と同じぐらいの大きさのアリなんて、想像するだけで滅入ってきちゃう……」
 ブレーメンという単語を聞くと、元いた世界に伝わる童話を思い出す。なんか動物が肩車して鳴く話だった気がする。
「動物? 肩車? 何故だ? 高さを稼ぎたいのであるか?」
 殆ど独り言みたいにいっていた話を、どうやら『ノットプリズン』炎 練倒(p3p010353)は聞いていたらしい。話に加わってくる。
「えっと、なんだっけ……おどろかすため?」
「まあ、動物が肩車をして迫ってきたら驚くが……ちなみにどんな動物なのだ?」
「え、覚えてない……猫、犬……猿、雉?」
「雉?」
「しってる。それももたろう」
 『紲家のペット枠』熾煇(p3p010425)が『鬼退治の話だよね』と言いだした。
「なるほど肩車して威嚇を。それで鬼を……」
「アレ? そんな話だったかしら……?」
 ひとりで混乱し始めた奈々美をよそに、熾煇が話をブレーメンへと戻す。
「あのブレーメンっていうアンティノア。他のよりすっごく強そうだな。多分、頭も凄く良いぞ。きちんと作戦立てて動かないとやばいなー?」
「話し合いが通じる相手でもなさそうであるな。
 この覇竜の新たな住人にして吾輩達の敵……。
 クイーンは今だけの少しの狩りであるとのことであるが、仮にそうだったとして今後自然災害や流行り病等で蟻帝種の人口が減った時にその度に吾輩達亜竜種を襲うことは想像に難くあるまい」
 極端に(そして色々な障害を無視して)考えるなら、アンティノアたちが亜竜種の住処を奪い肉や知識を奪い、いずれ集落群の支配者層に取って代わるという未来だって想像できる。あの六竜や強大な亜竜たちがそうした支配シフトシナリオを放っておくとは思えないのでそこまでの事は起きないだろうが、いずれにせよ自分達が脅かされているのは間違いない。
「亜竜種を蟻帝種へ変更する秘術がなければこの地の新たな住人として共に歩む道もあったかもであるな。今更言っても栓なきことではあるがな」
 練倒はため息をつき、そして立ち上がった。
 いつでも炎のブレスを放ち、アダマンアントの群れを迎え撃てるように。

●ラッシュ
 うーんと背伸びをして、イグナートは前方へと目をやる。
 アダマンアントの集団がこちらに迫ってくる風景が、この場所からよく見えた。
 両サイドが石の壁で覆われていると先に述べたが、厳密には洞窟にあいた穴とそれを補強する石壁だ。
 これ以外に通るべき道はなく、もし無理にでも他に道を作るなら穴を掘るしかなくなる。アダマンアントが捨て身の集団突撃戦術を得意としているとはいえ、敵陣でいきなり穴を掘り始めることの無防備さを知らないわけではないはずだ。
 必然、この道をまっすぐやってくることになる。
 背伸び状態からゆっくりと腕を下ろし、身体をあえて弛緩させるイグナート。
「ブレーメンをオレが抑えて、その間に他のアダマンアントたちをセンメツする……って作戦だったよね」
 メリットは勿論、ブレーメンという敵主力を後衛にまで浸透させないことでこちらの総合攻撃力を維持できるということ。デメリットは、ブロック要員がイグナートひとりしかいないため他のアダマンアントの後衛への浸透を許すということだ。
 とはいえ、彼らも近接攻撃手段を有していないわけではないし、無理に遠距離戦を維持するために引き撃ちなどすれば後方の集落への危険が増えるのみならずイグナートを孤立させるリスクも持ってしまう。そこはある程度飲み込んで混戦状態を受け入れる必要があるだろう。
 最も警戒すべきなのは、ブレーメンがイグナートを倒しきることが難しいと早々に判断し、アダマンアントの一体にはりつかせるなどしてイグナートのブロックをすり抜けてしまうことだ。攻撃力に偏重したことで防御に乏しいメンバーが多い。ブレーメンが飛び込んで範囲攻撃など繰り出せば、早々に作戦は崩壊してしまうだろう。
 もう一つの警戒は、イグナートにアダマンアントが集中することで頑丈な防衛力をもった彼が速攻で潰されることだろう。『名乗り口上』のスキルによって【怒り】を付与することでアダマンアントの攻撃手段を限定する狙いはあるが……実はこれが一番ありうる危険であった。
 今回の作戦においては、イグナートは『敵を集めすぎない』ことが勝敗を分ける鍵になるだろうからだ。ここに高すぎるEXF能力や攻撃無効化スキル、あるいは体力を大幅に回復するレア携行品といった手札があればこの手も使えたのかもしれないが……。
「ま、やれるだけやってみよう!」
 イグナートが構えると同時に、無数のアダマンアントが飛びかかる。
 『名乗り口上』に乗った敵と、そもそもイグナートを狙った敵だろう。そこにブレーメンは含まれていないようで、イグナートを無視して先へ進もうとしている。
「おっと」
 素早く横移動しブレーメンの行く手を塞ぐと、イグナートは彼の仮面へと拳を繰り出した。
「言葉は通じる? キミはなんでココをシュウゲキしたんだ? ちょっと意志が通じるようなら喋ってみてくれないかな?」
 挑発ついでに問いかけてみると、ブレーメンはイグナートの拳をかるがるとかわしてため息をついた。
「……だるいな」
 次に何を言うのかとおもえば、ブレーメンは『死んでよ』とだけ言ってイグナートにブレードを繰り出してきた。
 飛び退きつつガード。そこへ前足の二本をブレードにしたアダマンアントアサシンが二体とびかかり、イグナートを足止めしようとブレードを繰り出してくる。
 その辺の雑魚敵であれば一方的にボコボコにできるくらいの命中・回避能力をもつイグナートだが、こうも連続攻撃をくらうと容易には避けきれない。
 と、そこへ激しい銃撃が浴びせられた。

「射撃開始。目標、アダマンアントアサシン」
 紫琳の号令にあわせて、射撃可能範囲に入ったアダマンアントたちめがけて一斉に打ちまくり始めた。
 紫琳の対物ライフルが火を噴き、防御しようと翳したアダマンアントのブレードをもろとも破壊しその装甲へ弾をめりこませる。
 更に今井さんの放つライフルの連射が浴びせられ、ユーフォニーは必要なタイミングでイグナートを治癒できるように魔法の準備詠唱をはかった。
(集落の人がもう誰も傷つかないように。きっとできます。ためらいには勇気を。みなさんの為に!)
 現状、イグナートが落とされると作戦は失敗だ。更には、イグナートを『攻撃に巻き込んで』もいけない。彼に密集する敵を、基本的には単体向けの射撃攻撃で潰していくことになるのだ。
「Я・E・Dさん、リリーさん!」
 ユーフォニーが呼びかけると、Я・E・Dは『まかせて』と呟いて黒いオーラを拡大させた。
 背後から無数のマスケット銃が現れ、その全てが糸で操った人形のように動きアダマンアントへと向いた。
 頭上の一発が発射された瞬間にマスケットの列が回転し、次の銃が発砲。更に回転して発砲。巨大なリボルバー式弾倉あるいはガトリングガンのように連射を始めたЯ・E・Dは、迫るアダマンアントたちを一直線に撃ち抜き始めた。
 一方でリリーは『DFCA47Wolfstal改』を構えると得意のバレットコンボを繰り出した。
 『セカンド・カースド・バレット』→『リトル・スタンピード』→『カースド・バレット』という得意のコンボだ。
 半数ほどをイグナートが受け持ち、残る半分も両サイドの高所に陣取る舞台が殲滅していくこの流れで、無理に集団を狙う必要はなさそうだ。
 しかし……。
「徐々に近づいてきてるよ。気をつけて!」
「問題ないよ」
 その時はね、とワインの入った瓶を取り出し、Я・E・Dが小首をかしげた。敵だけを燃やす呪いの炎が、その中には詰まっているらしい。

 同じように識別型範囲攻撃手段を持っていた練倒。
 彼はあえてファイヤーブレスを放射しながらあえて高所よりダイブ。
「スゥーパァーインテリジェンスドラゴォーニアの実力、見るのである!」
 ズンと着地した練倒は、自ら突っ込んできた彼に警戒しつつもブレードを構えたアダマンアントたちめがけて赤い電撃を解き放った。
 電撃、あるいは電熱。火花すらちる放射をうけたアダマンアントたちがまとめて感電したところで、熾煇は高所から『紅焔撃』を放ちまくった。
 魔力を纏った爪や牙からエネルギーが飛び、感電し抵抗力が弱まったアダマンアントたちが次々と炎をあげる。
「俺、許せないぞ。食うためじゃない殺しは、絶対にやったら駄目なんだぞ!」
 それでもブレードを壁に突き立てるようにしてぐいぐいと昇ってくるアダマンアントたち。熾煇は高所から『魔砲』を放つことでその先頭のアダマンアントを撃退、転落。後続へとぶつけていく。
「下手な鉄砲も数撃ちゃ当たるって……ふひ……」
 奈々美はライフルのように構えたステッキを構えると、壁をよじ登ろうとしてくるアダマンアントへと狙いを付けた。
 小声でかつ早口で詠唱した『Sloth』の発展魔法を発動。
 ステッキ先端にチャージされたハート型のエネルギーを光線として発射し、アダマンアントたちをまとめて突き通す威力で解き放たれた。
「いいよ奈々美! 撮れ高あるよ! けどできればバックファイアの風圧でこうスカートがウ゛ワ゛アアアアア!?」
 えいっと呟いて盾(バンピア)を蹴り落とす奈々美。
 そこにアダマンアントが群がっている間に、熾煇と奈々美は魔力をぽこぽこたたき込みまくった。

 苦戦を強いられた。そうとしか言いようがない。
 ブレーメンによる連撃をうけながら、イグナートはそれを防御し、かつブロックし続ける必要に迫られていた。『名乗り口上』の張り直しや、得意の握力を活用した攻撃をする暇がない。
「身を守るだけ?」
「ここでは、チョット持ち味を出せなくってね」
 イグナートの腹に、今度こそブレーメンのブレードが突き刺さった――が、イグナートの表情に絶望の色はない。
「けど、なんとか役目は果たせたみたいだね」
 直後、ブレーメンに無数の弾丸が浴びせられる。
 今井さんの連射とリリーのカースド・バレット、更にはЯ・E・Dによるマスケット弾だ。
 その場から消えるほどのスピードで回避するブレーメン。
 イグナートが振り返ると、火炎瓶でアダマンアントたちを燃やしたЯ・E・Dは、イグナートへ手を振った。
「こっちはもう大丈夫だよ」
「こっちもである」
 練倒がブレス放射によってアダマンアントをなぎ払い、親指をたてた。
「……おっと」
 対して、ブレーメンは小声でそうとだけ言った。
 奈々美の魔法が浴びせられ、熾煇の魔法もまた浴びせられる。
 よけきれなかったのか、ブレーメンは両手のブレードで魔力を直接振り払う。
 なんとか受けきった――かに見えたところで。
「貴方がどれだけ疾く動こうとも、私の弾丸は必ず撃ち抜きます」
 ズドン、という砲音と共にブレーメンの首から上がなくなった。
 高所より身を乗り出した姿勢の紫琳が、サンバイザーを脱いで額の汗を拭う。
「当たってしまえば、なんてことはありませんでしたね」

成否

成功

MVP

Я・E・D(p3p009532)
赤い頭巾の魔砲狼

状態異常

なし

あとがき

 ――mission complete

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