シナリオ詳細
亜竜の素材は高品質!
オープニング
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『覇竜領域デザストル』へとローレットイレギュラーズが至り、しばらくが経つ。
イレギュラーズは亜竜種と交流。彼らの要望を叶えつつ、探索領域を広げ、覇竜の地に生息する亜竜や魔物達との交戦を重ねる。
それによって、得られるものも少なくない。食料としたり、亜竜種の生活の糧となったり、覇竜の生活においてそれらはほとんど無駄になることはない。
基本的に覇竜の地の生活は国内で完結している。
ただ、イレギュラーズの来訪によって、覇竜達は他国の物品も目にするようになり、そこに需要が生まれる。
「あまり量は多くないっすが、少しずつ交易ができるようになったのは大きいっす!」
『パサジールルメスの少女』リヴィエール・ルメス(p3n000038)は話を聞くイレギュラーズへとにこやかに告げる。
基本、パサジール・ルメスは覇竜へと立ち入ることができない。あまりに危険すぎて、踏み込むだけでも全滅を覚悟しなければならない状況だからだ。
それ故に、覇竜との交易においては、イレギュラーズの力を借りるか、直接亜竜種にラサとの国境付近まで来てもらい、荷物を渡す。
亜竜種達に引き渡す物品は様々だが、やはり近郊であるラサの者が多い。水分を含む植物、ラサの織物、衣服、金品をあしらった装飾品などだ。
他地域のものも頻度は低くなるが散見される。天義の神器、練達の機器、鉄帝の武器、幻想の贅沢品など。遠い海洋、豊穣の酒等の品は覇竜の地へと至るまでに交換されることも多い為極端に頻度が落ちる。
「とはいえ、亜竜種の皆さんにも交易品は好評で嬉しいっす」
もちろん、引き換えとなる品も覇竜からいただくことになる。
各地において、覇竜からもたらされた品は相応の希少価値がつく。
特に各国の富豪、有力者に好まれ、パサジール・ルメスとしても大きな利益をもたらすのだとか。
「そこで、皆さんにお願いがあるっす」
先日交易を行った際、リヴィエールが亜竜種達の要望を聞き、できるだけ多くを用意した。
その交換品として、できるだけ多くの素材を手早く用意してほしいとリヴィエールは話す。
「ある程度、大きな皮が沢山あればいいっすね」
後はオマケだが、牙は武器に使えるだろうし、肉は燻製にすれば珍味として珍重されるだろう。
それらを十分に満たせそうなのは、亜竜種達からもたらされた情報を元にすると、アビススネークの巣穴を叩いて素材をエルのが手っ取り早いそうだ。
サンプルをリヴィエールは見せてもらったが、素材は見た目も耐久力も優れており、十分各地の人々の要求を満たせるとのこと。
「とはいえ、皆さんには危険な依頼になると思うっす……」
虎穴に入らずんば虎子を得ずというば、無数の蛇型亜竜が潜む巣穴とて同じだろう。
ともあれ、情報を纏め、イレギュラーズは早速、数あるアビススネークの巣穴の一つへと赴く。
「無事を祈っているっすよ!」
近隣で仕事をしつつリヴィエールはイレギュラーズを待つそうだ。
忙しい彼女に見送られ、メンバー達は覇竜の地へと向かうのである。
●
フリアノンを経由し、メンバー達は覇竜の森へと向かう。
森の中にある洞穴の一つがアビススネークの巣穴となっているという情報を得た一行は早速、その穴へと突入することに。
巣穴の大きさは15m四方。高さも10m程度とやや小さい。
入口を除けば、壁には無数の穴が開いており、そこには多数のアビススネークが潜む。
奥にはやや大きめの穴が開かれ、そこには大物が幾体か潜んでおり、獲物が飛び込んでくれば小物と合わせて一気に食らいついてくる。
その数は数十、いや、100は超えると思われるが、さすがにその全てを討伐するのはメンバーとしても労力と報酬に見合わないし、何より全滅の危機すらありうる。
必要数だけ討伐、素材を回収して撤収したいところ。巣穴を出れば、さすがにアビススネーク達も深追いをしてくることはないだろう。
どのようにこの亜竜の群れと対するか。
イレギュラーズは作戦を練り、亜竜の巣穴へと飛び込んでいくのである。
- 亜竜の素材は高品質!完了
- GM名なちゅい
- 種別通常
- 難易度NORMAL
- 冒険終了日時2022年06月24日 22時05分
- 参加人数8/8人
- 相談5日
- 参加費100RC
参加者 : 8 人
冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。
参加者一覧(8人)
リプレイ
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覇竜にやってきたイレギュラーズ一行。
これまであまりこの地に関わっていなかったという『蛮族令嬢』長谷部 朋子(p3p008321)だが、いつの間にか調査がこれ程進んでいることに驚く。
「交易までできるようになってるなんてすっごい進歩だよねー」
自身の領地がどうなっているのかすらも把握していない朋子だが、まいっかと気にする素振りも見せない。
「玉髄の方もひと段落しましたし、覇竜地域との交流がもっと栄えたら嬉しいです」
その中で、ドラネコと出会いやすくなるかもしれないと、『ためらいには勇気を』ユーフォニー(p3p010323)は期待に胸を膨らませるが、今は目先の依頼だ。
「交易のおかげで皆が豊かになるし、戦って狩る力が役に立つなら喜んで引き受けるよ」
『青き鋼の音色』イズマ・トーティス(p3p009471)も前向きにその依頼を受けていた。
「ほーん、竜! 巣穴!」
『月下の華月』月季(p3p010632)は目的の巣穴を前にアゲアゲで叫ぶ。
「今回のターゲットはアビススネークとかいう亜竜みたいだけど、竜の端くれの割には結構小物だね」
相手は基本1mもない小物で、大物でも3m程。巨躯の相手との交戦も多い朋子が見劣りするのも仕方ない。
だが、個々はそうでも、総数も分からぬ巣窟への突入。
「成程、ハイリスクハイリターンだな」
数で攻め来る相手に、イズマは強い警戒心を抱く。
「依頼された素材量は相当な量になると思うが、まぁ、多く喰らえばより報酬は弾むか……?」
『復讐の炎』ウルフィン ウルフ ロック(p3p009191)はリターンをより多くできるかと
「ヤミの導くままに……」
『闇』シッコク(p3p010498)はヤミイチこそ知らぬが、覇竜の外にある市場が楽しそうだったことを思い出して。
「お金はあるに越したことはないな……」
できるなら、多く狩って素材をより多く得ておきたい。
「要は巣穴に凸ってボコって追いはぎして、こっちが疲れ果てる前に逃げてまえ! って話でしょ?」
深いことはよー分からんけどと呟きながらも、月季がやることを端的に纏めれば、朋子もここのところ小難しい依頼が多かったことを思い返して。
「今回はわかりやすく素材狩り! 目当てのモンスターを倒して剥ぎ取りしまくるのはハンターの本領だよねー」
そこで、ユーフォニーが神妙な顔で一言。
「……でも。必要なこととはいえ他の生き物の生命を奪うこと。それだけはどんな依頼でも絶対忘れません」
狩りは相手を糧とする行為。今一度、メンバー達はそれを改めて認識し直す。
「いや、とくに何か買いたいと言うわけではないのだが……こう……」
どもりながらも、シッコクが叫ぶ。
「兎に角。この依頼はしっかり果たす! それだけだ!! うるさいぞ暗黒!!!」
どうやら、中二病真っただ中な彼女には何かが聞こえているらしいが、それはさておき。
「端くれでも竜は竜。亜竜が強いってのは知ってるし、油断大敵だ!」
相手は小柄でも、亜竜に違いない。朋子の主張に皆頷く。
「おけおけおけまる、バッチ任しとけってー話よ!」
月季はどんと胸を叩くものの。大口叩いた気もすると少し躊躇いはするが。
(ダメでもまぁ皆のこと頼ればいいでしょ、仲間だし! もちつもたれつ!)
とはいえ、月季は自分から助けることには、少し、いや、かなり自信なさげな様子だった。
アビススネーク……混沌蛇の巣穴を前にした面々はすぐに突入……することはなく、慎重になって攻略を開始する。
「まずはファミリアーで偵察だねっ、いつもどおりっ」
『自在の名手』リリー・シャルラハ(p3p000955)はイズマと共にファミリアーを巣穴へと偵察に向かわせる。
「視線がすごいな」
弱暗視によってイズマは内部を見回し、壁の隙間に潜む獲物がこちらを見つめてくるのを感じる。……いや、獲物はこちら側か。
「出てくるよっ」
素早く飛び出してくる蛇の群れ。2人はすぐにファミリアーを退かせると、蛇は威嚇の構えを崩さぬまま壁の穴へと戻っていく。
大型と思われる個体は確認できない。それを確認した面々は手早く突入準備を整える。
「巣穴だから灯りが必要かな?」
『亜竜祓い』アンリ・マレー(p3p010423)の言葉を受け、イズマがカンテラを使う。
8人の視界を確保するにはそれでも狭いと判断し、ユーフォニーが直接発光することで光源を確保する。
そのユーフォニーはさらに広域俯瞰、ハイセンスによって可能な限り敵の動きを把握しようと努める。
「かすかに風を感じるね」
そこで、朋子が自然知識によってこの巣穴の構造を皆に伝えた。
小型が通り抜けられる程度の穴はいくつも開いているようだが、人が通れるものではない。
「普段から、狩りは小物に任せているようだな……」
シッコクは植物疎通によって、道中踏み荒らされた草や巣穴内で僅かに生え残った苔の声を聴く。
その際は数で獲物を襲うが、大型が姿を現すことは少ない。ただ、その体躯からか、この通路を通らねば外へと出入りができないらしい。
シャアアアァァ……。
奥へと至った面々は小型の混沌蛇が多数、壁の穴から現れたのを確認して。
「目的は、大物3体を含む30体の討伐、及びその素材の収集だったな」
改めて月季がすべきことを確認すると、それまで纏っていた衣をはぎ取ったロックがギフトによって人型から魔狼の姿へと変貌する。
すでに、ロックはバーストニトロによって、心臓と筋肉をトルクアップし、臨戦態勢だ。
自らの翼で少し浮かび上がるアンリ。その上にはイズマが飛ばすファミリアーの姿もある。
自身にプロトコル・ハデスで強化を行った彼はさらに魔術を使って広域の仲間達へと麻痺と毒への耐性を与えた。
「よし、行くぞ!」
シャアアアアアアァァァ……!
イズマの掛け声と同時に、多数の混沌蛇がメンバー達へと飛びかかってきたのだった。
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総じて小さな体躯だが、相手は亜竜。その魔窟とあらば、緊張感も高まるというもの。
シャアアアアアアッ!!
鎌首をもたげるアビススネークの群れ。
「だーらっしゃーい! 突撃、キミらの巣穴の中!」
そいつらを捕捉した月季はすぐさま速度を活かして鋼鉄の拳を打ち込んでいく。
敵陣突破の為に移動攻撃、ヒットアンドアウェイといった攻撃が使えればいいが、広さも高さも制限のある場所では難しい。
(やっぱり巣穴は狭いね。あまり無茶苦茶な動きはできそうにないかな)
手狭な戦場で立ち回らねばならぬ状況の中、月季は周囲の仲間から離れぬよう安全面重視で立ち回る。
シャアアアアッ。
食らいついてくる蛇の牙には毒がある。
相手の体力をすり減らす文字通りの毒はもちろん、麻痺成分まで含まれているのが厄介だ。
ただ、イズマは予め魔術によってその態勢を強める魔術を使用している。制限時間こそあるが、重ね掛けすればいい。
今はできるだけ多くの敵を捉え、鋼のグレイヴを大きく振るって。
「敵の数が多くとも、その大半を行動不能にしてやる……!」
切り裂くと同時に、イズマは混沌蛇の行動を封じてしまう。その数はおよそ半数近く。飛び出してくる蛇の数が2,30程度と考えれば手数を削ぐことができるのは大きい。
また、イズマに続く形でメンバーが攻撃に出る。
「傷の多い物は商品価値が下がるだろうしな……」
素材として活かすならば、攻撃の仕方でうまく捌かねばならないとロックは思考する。
素材として重要な皮、つまり胴体を傷づけぬよう、頭を一刀の下で切り離そうと試み、ロックは狙った一体の首を骨の槍【狂骨】で見事に跳ね飛ばす。
「修行の一環だと思えば面白いかもしれんな」
この戦いに価値を見出すロックは獣の口を吊り上げ、さらなる一撃を別の混沌蛇へと見舞っていく。
リリーやユーフォニーもまたイズマに続いて攻撃に出ていた。
「パサジール・ルメスの皆にいい素材を届けるためにも、頑張らなくちゃねっ」
魔道銃から呪いの魔弾を放っていたリリーは、それを喰らって硬直した相手へとなおも銃口を向けて。
「大事な素材だから出来るだけ皮は傷つけたくないけど……」
今は連携を考えつつ、効率よく狩っていきたいところ。リリーは追撃でさらに銃弾を撃ち込み、とどめを刺す。
別方向では、ユーフォニーが魔砲を放出していて。
「ありがとうございます。では、私も」
こちらのダメージを最小限にすべく、ユーフォニーはイズマから続けて仲間と共に攻撃を集中し、仕留めにかかる。
「6、7……」
討伐した混沌蛇の数をカウント。ユーフォニーは自分にできることを精一杯頑張る。
唯一、アンリだけは巣穴の中央部まで低空飛行し、クロスボウから光の柱を混沌蛇へと撃ち込んでいた。
時折、壁の穴からダイレクトに飛びかかってくる蛇もいたが、アンリは狙いすまして空中でそれを撃ち落とす。
仲間達は密集しており、狭い巣穴の中で仲間を巻き込んではいけないと、アンリは個別に敵を狙っていたのだ。
「そろそろ、回収に回ろうかな?」
合間を見て地面へと素材の回収、運搬に当たろうと考えるアンリだったが、巣穴の奥にある大きな穴から瞳を輝かせた大型が現れたのに気づく。
シャアアアアアアアッ!!
そいつの前へと、闘争心をむき出しにした朋子が進み出て身構える。
「あたしが抑えて見せる!」
戦いが始まってからしばらく、多くの小型の気を引いていた朋子。
防戦名人である彼女はイズマの支援も相まり、ほとんど毒を気にすることなく攻撃を受け続ける。
噛みつきに尻尾の叩きつけ。
その数は非常に多いが、チーム1の防御技術を持つ朋子だ。よほどのことがない限りは大丈夫と大型にも対していた。
シャアアアアア!!
相手にとってはそんな朋子も獲物という認識しかなかっただろうが、思った以上に頑丈な相手に、大型も少し怯んでしまう。
「この程度の物理火力なら、余裕で耐えられる!」
身構えていた朋子は大声で吠えて自らの存在をアピールし、新手も含めた混沌蛇の気を強く引く。
その少し後ろで、シッコクは仲間達の戦いぶりを注視していて。
(やはり、仲間達の方がこの手の狩りはうまいな……)
鍛錬が足りていないことを自認しているシッコクだが、自身の体内を巡る闇の力を使えば、援護できると胸を張る。
天使の声を響かせたシッコクは仲間の傷を塞ぎながらも、ソリッド・シナジーを高火力の月季やユーフォニーへと振りまき、討伐数を増やすのに一役買っていた。
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シッコクも予め想定していたが、耐久しながらも長期戦を余儀なくされるイレギュラーズ。
何せ、相手は再現なく増援が現れる。
シャアアアアアアアアッ!
小型が大勢倒される状況もあってか、大型もさらに1体が加わり、激しい戦いが続く。
「数に押し潰されてたまるか!」
次々現れる混沌蛇に、イズマは纏めてグレイヴを薙ぎ払い、討伐数を増やす。
序盤から、基本的なチームの戦略は変わらず、イズマを起点として攻撃を重ねる。
彼を意識しつつ攻撃を行うメンバーの傍ら、月季はつかず離れずといった立ち位置で攻撃を繰り返していたが、奥から出てきた3体目の大型が大きく口を開いてくる。
「また大型が来たよ!」
それを察して飛び退いた月季だったが、そこへ壁から小型が数体現れ、一気に食らいつかれてしまって。
「へるぷ、へーるぷ!」
大きく手を振る月季の状況に気付き、シッコクは彼女を中心に天使の歌を響かせる。
ただ、シッコクの方にも蛇が近寄ってきたこともあり、彼女も蹴りを連打することで相手を蹴り倒す一幕もあった。
前線の朋子を始め、皆多数の蛇に絡まれて徐々に傷ついていたことで、ユーフォニーもさながら天使の救済を思わせる光を放って仲間を癒す。
「ソーちゃん、回収した分、よろしくね……!」
すでにアンリが素材の運び出しを始めていたが、ユーフォニーは大きなドラネコロボットのソアに運搬を託す。
「あんまり傷つけたりしないでね!」
リリーも素材運びをワイバーンのリョクに託す。巣穴にはギリギリ入れる大きさとあって、メンバーから受け取った素材を外へと運び出す任を請け負う。
「……あ、これはしっかり聞いてくれるんだ。……ホントわからないのっ」
やんちゃな性格らしく、リリーも手を焼いているようだが、今回は素直に聞いてくれたこともあってリリーも戦いに専念できそうだ。
シャアアアアッ!
飛びかかってくる手負いの小型。周囲にはそいつと大型を含めて数体の混沌蛇の姿がある。
ユーフォニーは範囲攻撃の用意はあったが、仲間同士密に立ち回る状況では使うわけにはいかないと使用しない。
気力の持つ限り、魔砲を発射するユーフォニー。その一撃がまた手前の蛇の動きを完全に止める。
「15……」
ユーフォニーはカウントを1つ増やしたが、現状全てが小型。
とはいえ、メンバーは大型もしっかりと捕捉して攻撃を仕掛けてはいる。
「大きいからには本気出していかないとねっ」
それまで小型へと呪いの弾丸と通常弾を交代で放っていたリリーは、大型を相手するに当たって一つ技を追加する。
リリーの射撃は一見すれば滅茶苦茶な軌道を描くが、計算された一撃は相手の不意を突き、調子を落としてしまう。
仲間達の攻撃が重なる中、リリーはさらなる呪いの弾丸を撃ち込み、トドメに通常弾を叩き込む。
卒倒する大型はどうと音を立てて巣穴の地面へと倒れこんだ。
混沌蛇を少しずつ倒しているのは間違いないが、いくら倒しても倒している敵の数は減らない。
壁の穴には隙あらば獲物を喰らおうとする混沌蛇がまだまだ潜んでいるのを、アンリは肌で感じる。
上手く敵の異常攻撃に対抗し、連携して対する仲間達を尻目に、アンリは壁に向けてクロスボウを撃ち込んで牽制しつつ、素材の運搬を進める。
「クカカカッ……大物は我の出番だな」
その仲間の1人、ロックは傷の深まりを感じながらも、突撃を続けて槍を振るい、鋭い突きで大型を攻め立てていた。
不死身に近いタフネスを見せつけるロックだが、全身から血を流しつつもその痛みを力に変えて。
「さぁ、喰ワセロッ!」
一度大きく猛り、吠えたロックは加速し、相手の脳天を叩き割る。
脳漿を吹き出しながらも、大型は目から光を失って崩れ落ちていく。
長引く戦いは確実にメンバーのリソースを削る。
限界に近付きつつある面々。
吠えて相手を牽制していた朋子も披露の蓄積は隠せない。
それだけ敵の数が多すぎることもあったが、やはり相手は亜竜。思ったよりも一撃あたりの攻撃力は高いのだろう。
さらに闘争心を燃え上がらせる朋子。その彼女の傷、気力をシッコクが癒す。
限界も近くなってきている状況の中で、ユーフォニーの魔砲が3体目の大型の体を穿つ。
シャアアァァ……。
「これで、32。大型も3体目です……!」
「今だ、逃げるぞ!」
その討伐を確認したユーフォニーの一言を受け、イズマが撤退の号令をかけ、強い匂いを放つよう調合した薬を巣穴の奥へと噴射する。
一般に、蛇は嗅覚が鋭いという。
シャアアアァァ……!!
明らかに混沌蛇達が怯んだところで、イズマが入口へと退避すると、ユーフォニーもそれに続く。
大型の死骸を運んで身を引くアンリも、自律自走式の爆弾を投げ込んでから仲間を追う。
「さっさと撤退! 私はそんなに燃費よくないしね!」
月季もこれ以上は必要ないとみて後退すれば、最後まで報酬を増やすことを考えてもう1体小型を仕留めたロックがここまでかと判断し、殿となって巣穴を後にしたのだった。
●
蛇の巣穴から脱出したイレギュラーズは、入手した素材を運ぶ。
フリアノンを経由し、覇竜を出てラサへ。
覇竜に程近い集落に滞在していたリヴィエールと一行は落ち合う。
「ドラネコ配達便です。リヴィエールさん、お待たせしました!」
「待ってたっす!」
ユーフォニーが笑顔で素材を引き渡すと、リヴィエールを始め、パサジール・ルメスの面々が感嘆しつつそれらを見つめる。
「混沌蛇……確かに良い素材だな」
イズマが勧めるように、それらは数多く取れる割に良質の素材。
ただ、それ以上に現状では希少な覇竜産素材というのが大きく、他地域の人々には付加価値がつくのだ。
「今回は助かったっす。またお願いするっす」
「覇竜との交易が盛んになる事を期待してるよ!」
礼を告げるリヴィエール達。イズマは危険地帯である覇竜と物流が密になることを願うのである。
成否
成功
MVP
状態異常
なし
あとがき
リプレイ、公開です。
MVPは連携攻撃の起点となり、撤収の際にも号令をかけた貴方へとお送りします。
今回はご参加、ありがとうございました!
GMコメント
イレギュラーズの皆様こんにちは。GMのなちゅいです。
リヴィエールの要望に応えて建設される交易品の積み下ろし場。他国の品が少しずつ集まる中、交換された物品は混沌でも好評なようで、そうした素材が欲しいとの要望がありました。
リヴィエールらパサジール・ルメスの要望に応えていただきますよう願います。
●成功条件
亜竜、蛇竜アビススネーク、大物3体を含む30体の討伐、素材の収集。
●概要
混沌各地で亜竜素材の需要が高まっています。
これを受け、素材を調達すべく亜竜の討伐を行います。
今回は多量の需要を満たすべく、亜竜、アビススネークの生息地域である巣穴へと突っ込み、必要数を掃討して皮、牙、肉といった素材の収拾を回収、脱出というミッションです。
●敵……亜竜:アビススネーク(略称:混沌蛇)×無数
大物は全長3mほど。小物は50cmから1mほど。
巣穴へと突入する為、ほぼ再現なく現れます。
ある程度の需要を満たす為には、大物3体を含んで小物30体ほど倒す必要があります。皮の大きさなどもあり、大物素材を小物での代替はできません。
いずれも麻痺、毒など状態異常を付与してくる可能性があります。
大物は食らいつき、締め上げ、飲み込み、尻尾。
小物は食らいつき、尻尾といった攻撃手段を使います。
●NPC
〇リヴィエール・ルメス
今回の依頼人。パサジール・ルメス所属。情報屋もしています。
覇竜との繋がりができたことで、新たな交易路ができそうだとうきうきしている反面、自分の足で覇竜の地へと踏み込めぬ状況に歯がゆさも感じています。
彼女は別の仕事も兼ね、ラサ南部の集落に待機しているそうなので、そこまで素材を届けるとよいでしょう。
●情報精度
このシナリオの情報精度はBです。
依頼人の言葉や情報に嘘はありませんが、不明点もあります。
それでは、よろしくお願いいたします。
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