PandoraPartyProject

シナリオ詳細

幸せのウェディングドレスを着てみませんか?

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●ウェディングバトル
 ウィディングドレス。
 それは乙女の憧れ。
 男性にとっても、愛するものにそれを着てもらうのは一種の憧れになるだろう。
 そうならば、誰もが憧れる、と言っても過言ではあるまい。
 それを着た瞬間、誰もがその瞬間だけ、お姫様になれる。
 伴侶という王子と共に、人生というバージンロードを行くための、お姫様の正装。
 それがウェディングドレスである。
 そんな、ウェディングドレスを前にして――。

 コルネリア=フライフォーゲル (p3p009315)!
 小金井・正純 (p3p008000)!
 炎堂 焔 (p3p004727)!
 リア・クォーツ (p3p004937)!
 リディア・T・レオンハート (p3p008325)!
 アルテミア・フィルティス (p3p001981)!
 澄恋 (p3p009412)!
 ヴィリス (p3p009671)!

 以上八名は、渋い顔で頭を抱えていた!

 そう、今回の犠牲者は以上八名である!
「焔ァッ!!」
 がばり、と椅子から立ち上がり、叫ぶリア! 焔は反射的に、ぴょん、と近くにあった戸棚の上に飛び乗って、
「違うんだよ、ボクのせいじゃないんだよ~~~……今回は本当にボクのせいじゃないんだよ!?」
 と叫ぶのへ、リアが目をそらした。
「そうね、いつもの癖で叫んじゃったわ……ごめんなさい」
「いつもの癖……」
 ヴィリスが困惑したようにそういう。
「いつも……こんなやり取りを……?」
 そういうヴィリスの目の前には、一つのブーケと、八着のウェディングドレスがある。もう大体、皆も予想はついただろう。今回の依頼は、ウェディングドレスを着る依頼である。ウェディングドレス。良いよね。いろんなのがあると思うんだ。ちょっとエッチなのとか――。
「洗井さん、目を覚まして! ちょっとエッチなウェディングドレスは男性向け二次元作品の中にしか存在しないの!!」
 アルテミアが頭を抱える。詳しいな、経験者か?
「それはさておき、ええと、状況を整理するわ」
 こほん、とアルテミアが咳払い。
「まず……此処は練達、再現性東京。今回の依頼は、ウェディング式場に現れた夜妖の退治――」
 アルテミアが言うのへ、仲間達はこくこくと頷く。そう、よくある依頼である。
「ただし、夜妖は、『着ると婚期を逃すウェディングドレスを着て、持って居るとどんどんゆるふわ夢見がちガールになる呪いのブーケを持って居ないと倒せない』……! ここまでは! 間違いないんですよね!?」
 せめて間違いであってくれ、と言いたげなアルテミアに、リディアが死んだ魚みたいな目でこういった。
「間違いありません」
「焔ァ!!!」
 リアが叫ぶのへ、戸棚の上でふしゃーって言った焔が頭を振った。
「違うよ、ほんとにボクのせいじゃないんだよ!!」
「うん、あー、その。アタシのせいだわ」
 おずおずと手をあげるのは――コルネリアだ。視線が一点に集中する。コルネリアは目をそらしつつ、
「依頼持ってきたの……アタシだわ」
「そん、な」
 正純がうろたえたように言う。
「何故……なぜコルネリアさんがこんな依頼を?
 まさか、ウェディングドレスイラストができたテンションのまま、『ウェディングドレス着て戦う依頼とか面白くない? リクシナ出すか~』とか言うノリで依頼を探してしまったというのですか……!?」
「心が読めるのか……!?」
 ぐっ、と奥歯をかみしめるコルネリア視線が交差する。どうしようこれ、という空気が巻き起こるのへ、コルネリアが立ち上がった。
「だって……やりたくなるでしょ……!?」
「気持ちは分からなくもないよ」
 焔がうんうんと頷く。
「何故かしらね、あなたが言うと、こう、危険な感じがするわ」
 ヴィリスがそう言った。
「しかし……困りましたね」
 澄恋が、むぅ、と口を尖らせた。
「『ゆるふわ夢見がちガールになる呪いのブーケ』とやらはどうでもいいですが……『婚期が遅くなるウェディングドレス』は困ります。大変困ります。
 ええ、旦那様が今も私と結婚しようと手ぐすね引いて待っているはずですのに」
「逆ですよ! 婚期はこの際どうでもいいですよ! ゆるふわ夢見がちガールになる呪いの方が絶対にヤバいです!」
 リディアが机をばん、と叩いた。机の上に乗っていたブーケが落ちる。視線が集まった。
「……コルネリアさん、拾ってください」
 嫌そうな顔で、正純が言う。
「何で、アタシが」
「一応、依頼を持ってきたのですから、代表で」
 正純の言葉に、不承不承と言った様子でコルネリアがブーケを持ちあげる。そのまま、胸のあたりでブーケを抱いて、
「もう、皆、幸せのブーケを落としちゃだめだゾ☆ コルコルたちのぉ、大切なブーケなんだからぁ!」
 と、きゃるーん、とやりだしたので、全員が頭を抱えた。
「これですよ!? これ! 皆こうなるんですよ!!!???」
 リディアが涙目でそう言った。そう! これが呪いである! こういう感じになるのだ!!!
「……婚期が遅れる方が重要では……?」
 澄恋が、むぅ、と口を尖らせた。澄恋にとってはこの位、婚活でのキャラ変の範囲かもしれない。
「まずい……絶対にまずいわ。ただでさえ、最近の依頼は映像化されてローレットで誰でも見られるようになっているのに……!」
 アルテミアが深いため息をついた。そう、このきらきらした感じのキャラが、公開されてしまうのだ! しかも婚期が遅れるおまけつき!
「なんでみんな、悲しそうなの? コルネリア、泣いちゃうぅ」
 えーんえーん、とやり出したので、皆の間に沈痛な空気が漂う。ここで一番肝が据わっていたのは、リアだった。
「……やるしかないわね」
「そうだね、リアちゃん!」
 うんうんと戸棚の上の焔が言う。この二人は特に、肝が据わっている。
「確かに、ハイ・ルールがある以上、依頼を失敗する方向にはもって行けません。
 結局やらなければならないなら、さっさと済ませて、頭を殴って記憶喪失になるのが一番ですね……」
 正純が言うのへ、ヴィリスが戦慄したような表情を見せた。
「過酷ね……恐ろしい舞台だわ……」
「うーん、婚期が遅れる方が重大では……?」
 澄恋が小首をかしげる。
「どうやら、ブーケは長時間持ってはいられないみたいね。適度に別の相手に渡さなければならない。
 つまり、戦闘中にブーケトスをして、呪いを預けていく形になるわね」
 ヴィリスがそういうのへ、アルテミアが視線を伏せた。
「いやなブーケトスね……職場の同僚の結婚式に付き合いで嫌々参加して、特に興味もないのにブーケトスに参加されられて受け取ってしまった時のような気持……」
「所でぇ、コルコル、気づいちゃったんだけどぉ」
 きゃは、とコルネリアが笑う。
「この呪い、『後からブーケを受け取れば受け取るほど、呪いが重くなる』みたい!
 最後にブーケを受け取る人は大変ね!」
『は?』
 全員がきょとんした顔をした。それからすぐに、真っ青になる。
 つまり。
 ブーケトスを後から受け取れば受け取るほど、夢見がちふわふわガール描写がきつくなるって事だ!
「……という事は、最初にブーケを受け取った状態で戦闘を始めるのが一番被害が少ないということ……?」
 正純の言うのへ、リディアが頷いた。
「次善の策はは、次にブーケを受け取ることですね……。
 最後に受け取れば受け取るほど、描写がきつくなる……!」
「となれば……!」
 リアがじろり、と皆を見た。けん制するように、身構える。
 こうなっては、ブーケの争奪戦となってしまったのだ。最良は、最初にブーケを持つ。次善は、最初にブーケを受け取る。いや、とにかくさっさとブーケを受け取ってしまった方がいいのだ。となればこれは、あまりにも歪んで穢れてしまっているが、ブーケの奪い合いに間違いないのだ――。
 じわり、と緊張感が、辺りを支配する。まるで、本当のブーケトス前のように。その時、がらり、と控室の扉を開けて、男が一人入ってきた。
「あ、イレギュラーズさん達。お時間ですー」
 そう言って、がらり、と扉を閉めた。
 さぁ、戦いの時である!
 婚期の遅れるウェディングドレスを着て、呪いのブーケを奪い合って、夜妖をていやーってするのだ!!!


「……婚期が遅れる方が大変では……?」
 澄恋が、むぅ、と口を尖らせた。

GMコメント

 お世話になっております。洗井落雲です。
 ウェディングドレス。良いですよね。
 残念ながら僕には縁のないものなのですが、その憧れの気持ちは分かります。
 ソシャゲとかでも、ウェディングスキンがあるとテンションが上がるタイプです。
 或いは――僕は諦めているのかもしれません。僕の前には決して、ウェディングドレスを着てくれるような素敵な女性は現れないと。
 その憧れが、こうしてウェディングドレスを魅力的に魅せるのかもしれません。
 でも、いいのです。僕には、ウェディングドレスを着てシナリオに参加してくれる皆さんがいるのですから!!!!

 あ、これはリクシナなので僕は悪くないです。

●成功条件
 呪いのブーケを奪い合いながら婚期の遅れる呪いのウェディングドレスを着て、ウェディングドレス大好き夜妖をていやーってする。

●情報精度
 このシナリオの情報精度はAです。
 想定外の事態は絶対に起こりません。

●状況
 ウェディングドレスを着ていないと倒せない夜妖――。
 その討伐依頼を受けたコルネリアさんたちイレギュラーズ。
 しかし、この依頼できないといけないウェディングドレスは、『着ると婚期が遅くなる呪いのウェディングドレス』でした。
 加えて! 『持って居るとゆるふわ夢見がちガールになる呪いのブーケ』を持たなければ、夜妖は現れないのです!
 この呪いのブーケは、名前の通り『持っているとゆるふわ夢見がガールになる』という呪いがかけられています!
 呪いのブーケは、一定時間以上同一人物が持って居ることはできません。その為、次々と戦闘中にブーケトスをして、次の犠牲者に呪いを感染させる必要があります。
 また、この呪いは『後にブーケを受け取れば受け取るほど、描写がきつくなる』という性質も持って居ます。つまり、さっさとブーケを受け取ってしまった方が傷が浅いのです!
 さぁ、イレギュラーズ達よ! ブーケを奪い合い、ゆるふわ夢見がちガールになりながら、傷の浅いうちに夜妖を倒すのです!
 プレイングでは、ゆるふわ夢見がちガールになった時にやりたい事や、如何に相手を押しのけてブーケを奪うかなどをかいてください。夜妖との闘いはていやーとか書いておけばいいです。ちなみに最初のブーケは、適当なタイミングで式場スタッフが放り投げます。
 作戦決行タイミングは昼。場所は結婚式場で、教会の大聖堂のようなイメージです。

●エネミーデータ
 ウェディングドレスが大好きすぎて成仏できない幽霊、という設定の洗井落雲っぽい夜妖 ×8
  ウェディングドレスが大好きすぎて成仏できない幽霊、という設定のなんか洗井落雲っぽい夜妖です。
  呪いのウェディングドレスと、呪いのブーケを持っていなければ、そもそも戦えないのです。なんと恐ろしい。
  ウェディングドレスを着て、ブーケトスしながら適度にていやーってすれば倒せます。
  日頃の言いたいこととかを乗せてどうぞ。

 以上となります。
 それでは、皆さんのウェディング姿……一生の思い出にするからさ……。

  • 幸せのウェディングドレスを着てみませんか?完了
  • GM名洗井落雲
  • 種別リクエスト
  • 難易度-
  • 冒険終了日時2022年06月25日 22時05分
  • 参加人数8/8人
  • 相談8日
  • 参加費---RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

アルテミア・フィルティス(p3p001981)
銀青の戦乙女
炎堂 焔(p3p004727)
炎の御子
リア・クォーツ(p3p004937)
願いの先
小金井・正純(p3p008000)
ただの女
リディア・T・レオンハート(p3p008325)
勇往邁進
コルネリア=フライフォーゲル(p3p009315)
慈悪の天秤
耀 澄恋(p3p009412)
六道の底からあなたを想う
ヴィリス(p3p009671)
黒靴のバレリーヌ

リプレイ

●イントゥ・ザ・ウェデイング
 そんなわけで、点呼はじめます。

 『プロメテウスの恋焔』アルテミア・フィルティス(p3p001981)さん。
 『炎の御子』炎堂 焔(p3p004727)さん。
 『願いの先』リア・クォーツ(p3p004937)さん。
 『燻る微熱』小金井・正純(p3p008000)さん。
 『勇往邁進』リディア・T・レオンハート(p3p008325)さん。
 『慈悪の天秤』コルネリア=フライフォーゲル(p3p009315)さん。
 『花嫁キャノン』澄恋(p3p009412)さん。
 『黒靴のバレリーヌ』ヴィリス(p3p009671)さん。

 ちゃんと全員いますね。ちゃんと全員ウェディングドレス着ていますね。よろしい。

「ねぇ、こういうのって私の仕事じゃないと思うのだけれど??? 」
 と、車椅子に座ったヴィリスがそういう。もちろんウェディングドレス姿だ。ヴェールから覗く仮面故に表情は見えないが、恐らく困惑に眉を曲げているに違いあるまい。
「そうですよ!! どおじで私がごんな依頼に゛!!」
 リディアも頭を抱えている。
「おかしい、晴着姿の美女達のあらあらウフフな眼福依頼だと思っていましたのに……。
 婚期が遅れるとか聞いてないのですけれど……!?」
 と、澄恋がむむむむ、と唸った。
「リディア様やヴィリス様はお若いので然程気にしないかもしれませんが。
 わたしとかわたしとかわたしとか、あとコルネリア様にとっては死活問題なのです……!」
 そういう澄恋に、コルネリアが「えっ、アタシも?」って顔をした。
「アアアタシは結婚なんて気にしてなななななないけどぉ?」
 露骨にうろたえるコルネリアから、仲間達は目をそらす。
「めちゃくちゃ帰りたい。」
 正純が深くため息をつきながらそう呟く。鍵括弧の中に句読点があるのは、誤字ではなくて言い切りの強調の意図であるがさておき、正純はぐらり、とメンバーを眺めてみる。
(ピンチの似合う姫騎士、邪悪な火種、よく燃えるシスター、アブノーマル姫騎士、悪(笑)、角嫁、ヴィリスさんは、婚期を気にした人の代わりでしょうけど。
 どちらにせよろくな結末が見えない)
 言葉には出さず、諦観の表情でそう胸中で呟く正純。が、正純の嘆息は、他のものにも届いたのだろう。リアはうんざりした様子を見せつつ、頭に手をやって髪を弄った。
「あー……はいはい。(諦めの境地のリア)
 焔と夜妖とアライグマだもんね、そういう事だってあるわ。(この手の仕事に慣れているリア)
 ほら、さっさとやる事やって始末するわよ。(仕事人のリア)」
 見事に覚悟を決めているのは、流石再現性コスプレ同好会か。
「そんな妙な団体に所属したつもりはないからね!?」
「リアちゃんももう諦めなよー」
 焔が笑いながら言う。
「みんなも、ほら、受けちゃったものは仕方ないんだし、お仕事頑張ろうよ
 この手の夜妖が出てくる依頼なんていっぱいあるんだから、今更でしょ!」
 その手の依頼の大半に焔がかかわってないか? というような視線を皆がむけるが、焔は特に気にした様子はない。
「特に今回なんか、名指しで洗井落雲っぽいって書いてあるし、日頃の怨みも兼ねて皮を剥いでお鍋にしようよ!」
「そうね……まったく、あのアライグマ許せねぇ……!」
 ぐっ、とコルネリアが言うのへ、アルテミアが胡乱気な表情を向けた。
「この依頼持ってきたの、コルネリアさんでしょ……?」
 コルネリアが目をそらしたのへ、アルテミアが嘆息する。
「ホント、こんな依頼を持ってきて……恨むわよコルネリアさんッ!!
 兎にも角にも早急に夜妖を討滅して、(私達の)被害が拡大する前に終わらせるわよ!
 それと、私は別に経験者じゃないわよ!!!
 ……確かにウェディング水着っていうのは着せられた事あるけれどッ」
「えっ、ウェディング水着?」
 えっ、ウェディング水着?
 と、リディアと洗井落雲が反応するのへ、アルテミアはわたわたと手を振った。
「何でもないわ! 忘れて!?」
 アルテミアがそう叫んだ刹那、控室の扉がノックされた。アルテミアが「どうぞ」と返事をすると、式場の男性スタッフが現れて、
「ああ、準備はよさそうですね。では、現場までお願いします。
 えーと、ブーケは……私が持ち運びますね。最初にトスする必要がありますし」
 そういうと、嫌そうに、とても嫌そうに、男性スタッフは呪いのブーケを持ち上げた。
「ふふ、もーらっちゃった♡
 これで私も花嫁さん、素敵な旦那様が見つかると良いなぁ……♡」
 男性スタッフが呪いにかかったのを見て、仲間達は渋い顔をした。これが呪いの効果である。
「ほんとはブーケ独り占めしたいけどぉ、スタッフも仕事だからぁ、トスするね?
 じゃ、現場へレッツゴー♪」
 そう言ってスキップで歩き出すスタッフの後ろを、渋い顔をした八名の花嫁がついていく。
「ここが地獄ね」
 ヴィリスが言う。こんな気持ちになったのは、奴隷時代以来かもしんない。
「ブーケだけれど、最初にコルネリアに渡すのでいい?」
 ヴィリスが言うのへ、仲間達は頷く。コルネリアが驚いた表情を見せた。
「え、いいの? あれ、後から持てば持つほどヤバい事になるわよ?」
「いいわよ、コルネリアさんが最初で」
 アルテミアがにこやかに笑った。
「しょうじきああなるのは嫌だけど……うん、仕事だしね。
 それに、コルネリアさんが最初がふさわしいと思う」
 アルテミアの言葉に、仲間達はうんうんと頷く。コルネリアが笑顔を浮かべた。
「そ、そう? 何かわかんないけど、せっかくだし好意は受け取っておくわぁ」
 コルネリアの言葉に、仲間達はにこやかな笑顔を返すのであった。

●というわけで
「じゃあ皆、配置についたかな~♪」
 きっついスタッフがそういうのへ、皆嫌そうな顔をした。式場のチャペル。本来は神聖な結婚式が行われるであろうそこは、今日この場において地獄の顕現となっている。
「えーと、最初はコルコルに投げていいのかなぁ?」
「誰がコルコルだよ」
 コルネリアが嫌そうに言いつつ、頷いた。
「えーい、トース♡」
 スタッフがブーケを投げる――刹那、巻き起こる悪寒! 夜妖の気配! 現れたのは、なんか洗井落雲っぽい感じの夜
「死ねぇ!!! 洗井落雲!!!!!!」
 描写の真っ最中に響く声! リアの握り込んだ拳が解き放たれ、洗井落雲が一匹吹っ飛んだ!
「はぁ、はぁ……やったか!?」
 リアがぎろり、とにらみつける。壁に突き刺さった洗井落雲が昇天!!
「リアリア、こわーい♡」
 コルコルがブーケを抱えながら、ぷぅ、と頬を膨らませた。「げっ」って顔をするリア。
「コルコルブーケをと〜っぴ!
 みなさんごめんなさいねぇ、コルコルが先にゴォルインしちゃった♡
 みんなぁ〜これ欲しいのぉ〜?
 だったらぁ、アタシから奪い取ることね〜♡ 」
 軽やかにスキップするコルネリア! リアが頭を抱えた。
「私もああなるの……!?」
「それは避けられないよ、リアちゃん!」
 焔が頷く。
「そうね、ここからが本当の戦いの始まりよ」
 アルテミアがごくり、とつばを飲み込む。
「初手はコルネリアさん……そこからブーケ争奪戦が始まる……!」
 リディアが頷く。
「婚期……!」
 澄恋も力強く頷いた。
「さて、ここからは本気を出させてもらいますよ」
 正純がスカートのすそを容赦なく破いた。
「ウェディングドレス……ついぞ着ることはないと思っていましたが。
 お仕事とはいえ、悪い気はしません。
 が、これは命がけのお仕事なので」
「そうね。悪いけれど、私も本気で行かせてもらうわ?」
 ヴィリスが頷き――コルネリアがぴょん、と飛び跳ねた。
「コルコルからぁ、幸せをおすそ分け~」
 ブーケの呪いにより、トスが開始される――同時! 女たちは動いた!
「悪いわね、貰ったわ」
 ヴィリスがエンジンでもついているのか、という勢いで車いすを発進! 他の女どもをぶっちぎってスタートを切る! シンプルに速い! 何せヴィリスの反応は151! コルネリアに次ぐ数字である!
「シンプルに反応勝負にされては、わたしは不利なのでは?」
 むぅ、と澄恋が唸る。澄恋の反応は-3であった。その横を、凄い唸りをあげて駆け抜ける車椅子! ついでに洗井落雲が轢殺!!!
 ぱし、とブーケを受け取ったヴィリス――その口元が、とろけるように緩んだ!
「あぁ、私とパ・ド・ドゥを踊ってくださる方はどこにいるのかしら~♪」
 車椅子をくるり、と回転させ、その手を差し出し、胸に手をやり、歌ように踊るように――。
「みゅ、ミュージカル……!」
 正純が驚愕の声をあげる。突如始まった一人舞台!
「ありのままこの仮面の奥も見通してくださる方――。
 きっと歌劇のように熱烈で運命的な出会いが私を待っているはず~♪」
 くるり、くるり、と回る歌姫。車輪の下で洗井落雲がぎりぎりになっていた。
「くそ、なんかあたりまでメルヘンになってきた!!」
 リアが叫ぶ。果たして呪いの効果だろうか。舞台装置のように踊る小物たち!
「うけとって、次の幸せへ~♪」
 ヴィリスがぽい、とブーケを放り投げる。まずい、初期段階であのノリ、より後に受け取ったら死んでしまう!!
「うおおお、貰ったぁ!」
 リアが飛び込む――が、同時に飛び込んできた焔が、リアの身体に抱き着いた!
「うわぁ! 普段こんな長いスカート履かないから急いだら裾を踏んで転んじゃった!
 でも転んだ先に柔らかいクッションがあって助か……って、リアちゃん!
 倒れた時に引っ張っちゃってドレスが脱げかけちゃってる! ご、ごめんね!(状況説明)」
「焔ァ!! やめろひっぱるな、胸が! 胸がはだける!!」
 てぇてぇ二人がわちゃわ茶やっているのを尻目に、これ幸いと駆けだすリディア!
「ここはほら、一番若輩であるこの私が! この身を呈して先手を引き受けますから!
 先輩達はドドンと後ろにお控え下さい!
 いやいやいや!
 ここは私に譲って下さいよ、譲れ!
 嫌だああああ、後半になると何を口走るか分かんないからやだああああああ!!」
 雄叫びをあげながら疾走するリディア――だが、非情なる正純がすとん、とそのスカートのすそを踏みつけた。
「あ、失礼」
「んぎゃあ!!」
 リディアが派手にすっころぶ――その先方にいたのはアルテミアだ! リディアがヘッドスライディングの形でアルテミアに着地! そのままてぇてぇことをする!!
「ちょ、ま、待ちなさい! ドレスを引っ張るんじゃっ!!
 スカート裂けちゃうし胸が零れて見えちゃうからッ!!」
 アルテミアが叫ぶ! おお、みよ! これが醜き女地獄である! そんななか、一番に出遅れたが故に被害を免れたのは澄恋だった。澄恋が両手を掲げると、その手のなかにぽん、とブーケが収まる。
「こちとら常に夢見て旦那様作ってるんです、ブーケの効果なんてへっちゃらだゾ♡
 旦那様もきゅるんとなってますかねー?」
  \蜉ゥ縺代※/
「旦那様もご機嫌♡ このままウェディング、しちゃう~~~?」
 うふふ、と笑う澄恋がぽん、と何かを放り投げる。
「貰いました! このタイミングならまだ傷は浅いはず!!」
 正純が飛び込み――だが、澄恋が放り投げたのは、熱中症対策に持ち込んでいた経口補水液だ! 口がちゃんと締まっていなかった経口補水液は、正純の頭上で零れ落ち、正純のウェディングドレスを濡らす! そり衣装から覗く、正純の柔肌――濡れる花嫁っていいよね。
「殺すぞ洗井落雲!!」
 正純がずだん、と足を踏みしめた! たまたま足下にいた洗井落雲が爆発四散!!
「それよりブーケは!?」
 焔とてぇてぇしていたリアが叫ぶ。もうこうなっては何が何でも、ブーケを先に取るしかない! だが、これも運命のいたずらか。放り投げられていたブーケは、アルテミアとリディアの下に!
「譲ってくださいよ先輩!!!!」
「いやよ! 絶対酷いことになるもの!!」
 醜き女の争い声がこだまする。先に手を伸ばしたのは、アルテミアだ!
「キャッチ――ふふ、テミア、取っちゃったぁ♡」
 うふふ、とアルテミアが微笑む。
「御免ね、リディアちゃん。でもでも、テミアも、はやく結婚したくてぇ。
 これで、素敵な王子様が迎えに来てくれるはずよ♡
 赤い屋根のお家で、たくさんの子供たちと、おっきな白い犬と一緒に暮らすの♪
 素敵な旦那様、あなたは今どこにいるの……?」
 夢見がちな瞳でそういうアルテミア。眼前できつい光景を繰り広げられたリディアのパンドラがごりって削れる音がした。
「ひっ……いや、こんな……こんな化け物になりたくない……!」
 リディアが恐怖に表情を引きつらせる。アルテミアは笑った。
「もう、あなたもこうなるんだゾ☆ ほら、幸せのおすそ分けぇ♡」
 ぐい、とブーケを押し付けられるリディア!
「いや、いや! こんな化け物になりたくない! 私、私、うおおお、の、呪いが何だって言うんですか!
 そんなものに私の精神力は決して屈し――ないんだゾ☆(即堕ち)」
「ああ、堕ちた!!」
 澄恋が叫ぶ。リディアはゆっくりと立ち上がると、くるり、とミュージカル風に回転しつつ、歌った。
「ららら~素敵な王子様~♪
 あなたはどこにいるの~? リディアの下に、はやく来て? そして優しく抱き上げて~~」
「まって、私もあんな感じだったの?」
 ヴィリスの言葉に、皆が目をそらした。パンドラがごりって削れる音がした。
「も、もう終わりですよ……皆化け物になるんです……!」
 正純が頭を抱える。このシナリオゾンビパンデミックシナリオかなんかだっけ?
「それじゃあ、皆も一緒に幸せになろうねぇ~♪」
 リディアがブーケを放り投げる。呪いのブーケを。
「こうなったら、少しでも早く終わらせますからねッ!」
 正純が駆けた。リアと焔はまだ絡まった服が取り外せうにてぇてぇしている!
「焔ァ! 予想通りだけど完全に出遅れたじゃない!」
 リアが叫ぶ――その最中、正純はブーケを手に取った。そのまま座り込んだ。
「みなさん、争うのはやめましょう?
 私たちが身を包んでるのは幸せな結婚をする花嫁が身に纏う衣装ですよ!
 幸せな結婚なんて、きゃっ! 恥ずかしい(///)」
 きゃっ、きゃっ、と顔を赤らめながら、頬に手をやって頭を振る正純!
「でもでも、私、今同棲してる彼がいて。今度起業するんだって、お金貸してって。
 だから私、結婚資金に貯めてた貯金をあげたの♡ 彼、がんばるって何度も言ってくれて~」
「違う奴下りてるよ、正純ちゃん!」
「意外と変な男に捕まるタイプなの!? 正純……!?」
 焔とリアが叫ぶ。
「もう、彼のこと変な男って言わないで! リアちゃんも、これ受け取って~♪」
 放り投げたブーケ――それをリアが、反射的に受け取った。

●おわり
「あたし、リア♡ 夢見る乙女21才♪
 今日は憧れの、ガブリエルさまのお家にいるの♪
 なんで、って? それはもちろん……ウェディングのため♡
 みてみて、みんな死んだ魚みたいな目で祝福してくれてる♪
 あたしとガブリエルさまは、身分違いの恋だけれど……。
 あたしのために、ガブリエルさまは、全て投げ出してくれるって言ってくれたの☆
 あたし、ガブリエルさまと、幸せになります♡
 リアァ、海の見える丘に、小さくて可愛らしいお家をたてたいの。
 豪華じゃなくていいわ。つつましやかな生活でも、全然大丈夫。
 だって、ガブリエルさま、あなたの愛があれば……リアは、いつでも幸せなんだから。
 それで、子供は女の子と、男の子が欲しいなぁ☆ って、こどもなんて、キャーーッ☆
 もう、恥ずかしいよぅ♡」
「り、リアちゃん……」
 焔が絶望の表情を浮かべた。見たことのない友の姿は、焔に恐怖を覚えさせた。友を壊したブーケが、ゆっくりと、焔に迫る。迫る。迫る。迫った。受け取った。
「わぁ、これでボクも素敵なお嫁さんなんだね♡
 えへへ、小さいころからあこがれてたんだぁ。
 学校だと、なりたい職業ってアンケートに、ずっとお嫁さんって書いてたから先生に怒られたりしてね。えへっ♡
 王子様ぁ、焔の王子さまはどこにいるのかな? はやく迎えてに来てほしいなぁ。
 素敵な白い馬に乗って、眠るボクに口づけしてくれる、そんな素敵な王子様♡
 ボクもいっぱいいっぱい、素敵なお嫁さんになれるように頑張るね!
 結婚情報誌もたくさん買ったし、お料理も一生懸命勉強したの☆
 婚姻届けも、いつも懐に忍ばせてるよ、えへへ☆」

「きっつ……」
 コルネリアが死んだ魚のような目でそう言った。
 全ての洗井落雲みたいな夜妖は、この時討伐されていた。終わったのだ。この悪夢のようなシナリオが、ここに。
「よし……もう全部忘れて帰りましょ」
 コルネリアがそう言った刹那――ぽん、と投げられたブーケが、コルネリアの元へと跳んできた。
「え」
 反射的に、コルネリアがそれを受け取る。受け取った。
「きゃるーん☆ コルコルだぞぉ♡ これでこのシナリオはお終い♡
 画面の前の皆もぉ、素敵な王子様、見つけてね♡
 そうそう、皆のために、コルコルがいつも実践してる恋愛テクニック、教えるからね? ちゃんときいていくんだゾー☆
 まず、やっぱりお料理よね、コルコルはぁ、毎日未来のダーリンのことを思って、料理の練習しているの。卵焼きとかね。今日は失敗しちゃったけど、愛情を込めれ

成否

成功

MVP

なし

状態異常

炎堂 焔(p3p004727)[重傷]
炎の御子
リア・クォーツ(p3p004937)[重傷]
願いの先
コルネリア=フライフォーゲル(p3p009315)[重傷]
慈悪の天秤

あとがき

 ハッピーウェディング♡

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