シナリオ詳細
鉄帝ジャンケン大会~チョキがパーに勝つなんて、誰が決めた?~
オープニング
●
――ジャンケン。
皆さんもご存じだろう。グー、チョキ、パーの三種で勝敗を決めるシンプルなゲームだ。
何か決めごとをする時……例えば給食のプリンを争い求める時にこのゲームに興じた人も多いのではないだろうか――そして鉄帝国でもジャンケンは人気である。シンプルが故に奥深い、このジャンケンこそ至高であると……
そして今日も鉄帝首都スチールグラード郊外の一角ではジャンケン大会が開かれていて。
「じゃああ行くぞぉおおお!! さいしょーはグー!!」
――言うなり互いの拳と拳がぶつかりあった。
激しい衝撃。肉を振動させ、骨に伝わる絶大なる双撃だが――やがて。
「ッ、ぐぁあああッ!!」
「視えた! その隙、逃さんッッ!! じゃーんけん、ぽんっ!!」
苦悶の表情と共に片方が押し切られるものだ――
そこを逃さぬ。打ち勝った方が間髪入れずに紡ぐは、ジャンケンが一手。
掛け声と共に紡がれたソレは――『チョキ』だ。
ハサミを意味するジャンケンの一種。であれば行われるのはご存じ――斬撃である。
チョキの指先が対戦相手を袈裟斬り。鋭き一閃が放たれ、対戦相手を切り裂きて……
「甘いな。これで仕留めたとでも思ったか?」
「なっ!!? き、貴様それは……!! 『パー』だと!!?」
だが、相手の方が一歩上であった。
備えていたパーにてチョキの斬撃を受け止める――
馬鹿め、と。如何にチョキがハサミを意味していようとも……使い手がボンクラでは豚に真珠。使い手に力があってこそ、初めてチョキはチョキ、グーはグー、パーはパーとして存在しえるのだ――
チョキは確かにパーより強いかもしれない。
だがチョキであれば必ずパーに勝てるなど――誰が決めた?
「朽ち果てろ――チョキの信奉者如きがああああ!!」
直後に放たれるのは魔砲だ。
全てを貫く至高の一閃がチョキの斬撃を打ち砕き、パーの勝利を導かん――
「くっ……つぇえ! 奴ら、強すぎるぜ!!」
「くそー! これじゃあ今日のアイスが持っていかれちまう……!!」
さて。念のためもう一回言っておくとこれはジャンケン大会である。そう……グー、チョキ、パーを駆使し、最後まで立っていた者が優勝するジャンケン大会だ!! グーで殴り、チョキで斬撃を繰り出し、パーで何か、こう、魔力とかを放出する……!
この地域で昔からある由緒正しいジャンケンである。うん! なお今回の優勝商品は大量のアイスクリームです。最近熱くなってきたからね、うれしい!
――が。今大会はとても鉄帝ジャンケンが強い連中が参加していた。
一人は『グーシカ・ダサネー』。グーを至高と信じる武人。
一人は『チョ・キ・ダゼ』。チョキの斬撃は鉄をも切り裂く剣士。
一人は『パーコ・ソサイキョ』。パーの放出で全てを薙ぎ払う魔法使い。
彼らはチームとなりて大会に乗り込んできたのだが――あまりにも強かった。他の参加者を薙ぎ払う勢いだ。リングの上、数人がかりでジャンケンを挑んでいるというのに全て打ち倒されている――!!
「ふはははは! 俺たちに勝てる奴なんざやはりいないか!!」
「ふっ。大会のアイスは我々のモノですね……
先日のプリンも美味しかったですが、今宵のアイスは如何でしょうか」
「く、くそー! 連中舐めやがって……! こうなったら、彼らに来てもらうしかない!」
さすればリングの上で彼らは余裕の笑みを見せている――大した事のない大会だ、と。
おのれ! 彼らが強いのは良いが、舐めるのは許さん――! 故に。
「おぉ、イレギュラーズだ!! イレギュラーズが来てくれたぞ!!」
「頼む! 奴らに一矢報いてくれ、イレギュラーズ!!」
貴方達に依頼が舞い込んだのだ。このジャンケン大会で彼らを打ち倒してくれと――
場の熱狂は最高潮へと到達する。
リングの上には更に乱入者も現れ、四方八方に多くの戦士がやってくる有り様だ。
「ふっ。イレギュラーズとは面白い……! だが俺たちに勝てるかな?」
バトルロワイヤル・ジャンケン
――今。最強のジャンケン王を決める為の戦いが――始まる。
- 鉄帝ジャンケン大会~チョキがパーに勝つなんて、誰が決めた?~完了
- GM名茶零四
- 種別通常
- 難易度NORMAL
- 冒険終了日時2022年05月31日 22時05分
- 参加人数8/8人
- 相談7日
- 参加費100RC
参加者 : 8 人
冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。
参加者一覧(8人)
リプレイ
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じゃんけん。古来より物事を決める要素が一つ――
「……つっても流石の鉄帝って言うべきか、此処じゃなぜか殴り合いになってるけどよ。
まぁその辺りはご愛敬か。あんまり深く考えても仕方ねぇな」
「ガチ殴り合いのじゃんけんて物騒だなぁ、穏便にすめばいいのに」
なんとなし『侠骨の拳』亘理 義弘(p3p000398)は理解しつつ周囲を眺めるものである。そこいらから気迫が迸り、今にも爆発せん勢い。誰をどう殴りつけるか――その色に染まっているものだ。
故に『亜竜祓い』アンリ・マレー(p3p010423)は『やれやれ』とばかりに言を紡ぎ……ながらも装填は怠らない。だってもうどう考えても穏便には済まなさそうだし、ね。
「わたしは悲しいよ……ジャンケンとは本来、祈りであるのに。
それが……こんな、血みどろだなんて……」
同時。『赤い頭巾の断罪狼』Я・E・D(p3p009532)の心は悲しみに包まれていた。
ジャンケンとはそもそも掲げた拳にジャンケン力を宿らせ……相手の虚を見据え、真を見抜く心理戦の果てに神の微笑みを見るための儀式であるというのに。それが……こんな事になるなんて。
「負けないよ。絶対に……
わたしは、ジャンケニストの一人として正しきジャンケンを取り戻す――!」
「へっ。見た事もねぇ新参のジャンケニストが何かほざいてやがるぜ」
「ククッ。放っておきな、すぐに身の程を知るさ――」
強い決意。瞳の中に抱いた意思に偽りはないッ! 周囲ではЯ・E・Dを舐める様な声も聞こえてくるが……さて。思い知るのは一体どちらか。かくして始まるは最初の一声。
『さいしょは、グー!!』
もうその瞬間から戦いは始まっていた――
握った拳に力を貯める者。グーと見せかけパーで往く者。だが。
「さいしょはグー……だかなんだか知らねーが、油断し過ぎなんじゃねーのか。なぁ!!」
「がっ!? て、テメェこの小娘がぁ!」
最初の一手があると思うなよ――瞬時の行動に移したのは『餓狼』シオン・シズリー(p3p010236)だ。降り注ぐ鋼の驟雨が如き一撃が多くの者を貫く……これぞ完全なる奇襲。ジャンケンだろうが喧嘩なら『先手必勝』こそが至上だ! 油断してんじゃねーよ!
「――見るのです! これがルシアの……パーなのです!」
「ふふん。さぁ掛かってきたまえ! 真の虎は相手を選ばないよ……!!
尤も、虎に勝てる者なんているとは思えないけどね!!」
続けて『にじいろ一番星』ルシア・アイリス・アップルトン(p3p009869)の放った一撃は全てを貫くものだ。これこそが真なるパー……魔砲による一撃だが、彼女は最初のグーで力を貯めていたッ!
グーで物理を! そして貯めた力を神秘なるパーで放出する――完璧なるパーッ!
森羅万象を貫くルシアの魔砲が其処に在った――!
更には『雷光殲姫』マリア・レイシス(p3p006685)も跳躍する。
その指先が形成するのは――なにっ!?
「馬鹿な、なんだその手は!?」
「刮目する事だね! これぞレイシス家に伝わる最強の手……トラだよ!!」
それは両の手で紡がれる最強の手。
本来グーを出すべき所を両手をチョキにし、虎の爪に見立てた必殺技! 通称『トラ』で殴りかかる秘奥義である!!(適当) 昔、お姉ちゃんもよく使ってた気がする(うろ覚え)。二人してトラを出して喧嘩に成った様な、なってなかったような(めっちゃうろ覚え)。
なにはともあれ虎の威光により敵の活力を奪い取る奥義はマリアに挑まんとしていた者達を薙ぎ払っていた。グーだろうがチョキだろうがパーだろうが敵じゃないよ!
「なんだありゃあ……!? アレはジャンケンなのか!!?」
「グーはチョキに勝ち、チョキはパーに勝ち、パーはグーに勝つ。
――そんな固定観念に囚われていたというのなら、最早勝敗は明らかですね」
いきなりに三竦み構造が壊された。周囲の動揺とざわめきは如何程であっただろうか――そんな空気を察した『想光を紡ぐ』マグタレーナ・マトカ・マハロヴァ(p3p009452)もまた踏み込むもの。
どれが強い? 最強議論?
そんなもの無意味無価値と証明する為、彼女が繰り出すは――二本立てだ。
グーにもパーにもチョキにもそれぞれの長所があり優劣などありはしないのです、きっと。故、なるかな。全ての手に等しく価値があると……それを証明する為の一手が。
「――これです」
L字を描く親指と人差し指がチョキ、折りたたんだ指がグー、空いた掌がパー。
究極の一手たりうる、秘境にだけ代々伝わるとされるジャンケンの手――!
――所謂『田舎チョキ』
「ぐああああそりゃズルだろおおお!!」
「ズル? 戦に卑怯などと言う言葉があるとでも――?」
かつて。己もこの手で子供達に負かされたものです……
歴史は繰り返す。そう人類は再び同じ過ちを繰り返すのだと――
マグタレーナは確信と田舎チョキと共に、数多の戦士を屠りに来たのであった。
●
元々ぶっ飛んでる大会だったが、かつてない程カオスな状況になりつつあるジャンケン大会――うどんと共にある『善なる饂飩屋台』御子神・天狐(p3p009798)の心境は如何なモノであっただろうか。
「さぁパーコさん! ルシアのパーと勝負なのでして!
――逃げるなんて事、まさかしないですよね! 魔砲使いとして失格なのですよ!」
「なんだとぉ……魔砲ジャンケニストを馬鹿にするというのか貴様ァ! 誰が逃げるか!」
ともあれ渦中において特にルシアは――パーの者達との勝負に勤しんでいた。
負けられない。魔砲使いとして、この戦いは負けられないのだと。
相性的にはチョキを出した方がいいのだろう――だが!
「ルシアは……ルシアの魔砲を信じるのでして!」
ここはあえてパーで行くのみ、だ!
これに勝利する事こそ意味がある。先のグー・パー増幅ルシア理論は、完璧なのでして!
え? 将来的にチョキはどうするのかって? ……えっと……その、うん。得意な人に任せるのです! そこも含めてルシアはさいきょーなのです!
「最初はグー! じゃんけん……パーッ!!」
「な、なに!!? これはぁあああ!!?」
「さらにはあいこで、追撃なのですよ――!」
そして放たれるは究極のパーだ。
グーで魔力を完全収束。神秘の力を強化し――詠唱を破棄して即魔砲ッ!
振るわれるルシアのパー魔砲は正に無双していた。彼女にとってはその一撃が自慢である事も要因の一つだ。ジャンケンにとって大事なのは……自分を信じる心でもあるのだから。自分を信じていれば、例えばパーがチョキに勝つことだって、必ずあるっ! あっ! もののついでにダメ押しの一撃も放つのです! えーいっ!
「ああ――間違いないな。相手がチョキだろうがパーだろうが関係ねぇ。
……俺はこのグーを信じてぶつかるのみだ」
そして。ルシアと同様に、ただ一つの手を信じているのは義弘もであった。
――彼はグーのみを出す。次もグーだ。勿論その次も、だ。
それは戦略、或いは戦術的な理由でなく。
「悪いが、これしか戦う術を知らん」
「ほう――面白い小僧だな。俺のグーを砕けるか?」
「さぁな。勝負なんてのは――試した後に初めて分かるもんだぜ」
ただ只管にグーを至高と信ずる為。
さすれば眼前に現れたグーの保持者と対峙する――分かる。相手も相当なグーの使い手だ。だが退く選択肢はないのだ。
五指を握りしめる。究極の圧が其処に集まり、大気が震えるかのよう……
「じゃん」
「けん」
――ぽんッ!
その掛け声と共に放たれる神速の一閃が激突した。
激しき衝突音。衝撃波が生じる程の激突は――しかし、義弘が更に一歩踏み込んだ。
「なッ……にぃ!」
「驚くなよ。分かってるだろう? ジャンケンに一番必要なのは……相性じゃねぇ」
気合いだ。
例え骨が砕けようとも相手を打ち破る気概こそが勝利を齎す。
全身の膂力が雷撃と共に。
拳を打ち抜けば――ジャンケンをしていた相手が場外に至るほど吹き飛んで。
「ハッ。こいつは負けてられねぇな……! オイ。チョキの使い手野郎はいねぇのか!
チョキが最強だってんなら証明してみせなよ!
まぁ尤もそんな軽い攻撃じゃ、大したことないだろうがよ!」
「――聞き捨てなりませんね。年若い小娘如きに、チョキの魅力は分かりませんか」
さすればパー、グーと来れば次はチョキの対決だ。
名乗り上げる様に注目を浴びたシオンが――チョキを制さんとしているのである。
「薄っぺらい言葉吐いてないで掛かってこいよ。
あぁそれとも。チョキってのは口先野郎って意味があったかな――?」
「おのれ、その安い挑発……思い知らせて差し上げますよ!」
刹那。相手の男が居合のチョキを繰り出してきた――が。
シオンは一歩上を行っていた。
「はっ。甘いな……ご丁寧に敵が『ソレ』で戦ってくれるとでも思ったか?」
「な、に――」
「喰らいな! これが俺の『グー』だ!!」
全てを予見していたシオンはタイミングをずらし、チョキを躱す。
頬を掠める感触――が。潜り込んだシオンは握りこんだ拳でアッパーショット。
「ハッ。スラム育ちにルールなんて期待する方が間違ってるぜ……そっちはお上品なこったな!」
「ぐあああ! き、貴様……!」
連続する。相手の急所を見極め、力任せに。
態勢を立て直す暇すら与えずに圧勝するのだッ――あぁいいんだぜ? どうしても怖いなら。
「他の『手』を使ったって――よッ! じゃあアイスは諦めて帰りな!」
まぁ。逆転の一手を残してやる気もないし。
万一殴り合いになったなら、それこそそうそう負けやしねーんだけどな!
蹴りを入れる。その顎先に――意識を刈り取る様な、一撃を抉りこませた。
「他の『手』かぁ……パー以外の手だと、そう言えばアレがあるよね」
刹那。シオンの言より一つの思考を導き出したのはアンリだ。
それは『蜥蜴』パーに勝ち、グーとチョキには負ける……或いは『ピストル』もあるだろうか。ああでもこの前お父さんがお母さんに出して『ハイ無敵だから勝ちましたー! 勝ち~~!』とか言った後、物理的に締め上げられて床タップしてたなぁ。
「……あんまり強く見えないよなぁ。やっぱり『蜥蜴』で行こうかなぁ」
「何をブツブツと言っていやがる! 俺とジャンケンしやがれ――グーッ!!」
「おっと。そうはいかないよ!」
刹那。アンリを襲い来る敵影。
さすれば思考よりも手が先に動いた。蜥蜴はドラゴニアの象徴――つまり。
「ドラゴニアが使うなら……きっと補正が掛かる筈!」
吹き飛ばす。愚かにも向かって来た素人ジャンケニストを。
空を飛翔しグーは躱して。自由なる攻勢と共に――光柱を放つものだ。
確実に戦っていこう。空中に居れば装填の暇もある物だ……無論、パーの襲撃にだけは気を付けておくが!
●
さて。今更説明する必要はないだろうが――Я・E・Dはジャンケニストである。
であればこそ素人相手に拳を使うなどプロのジャンケニスト失格だと、Я・E・Dは自覚してるものだ……しかし。
「正しきジャンケン道を鉄帝の民に判らせるためには……仕方がない、よね」
「あぁ? テメ――な、なんだこの気迫は……!?」
今こそ導こう。ジャンケニストの礼儀を知らぬ鉄帝の民よ。
――所詮、グー・チョキ・パーは片手しか使わない素人でも使える初心者向けの技だ。
そんな領域で満足している者達など、そもそも争い合う土俵にすら上がっていない。
「今こそ見せてあげる。『本物』ってヤツをね――
わたしの固有技である防御不可能な全ての技を飲み込む究極の一手を」
「馬鹿な! 固有技だと!!?」
「固有技は習得に十年は掛かると言われている奥義……アイツ、何者だ!!?」
ざわめく浅いジャンケニスト達。
彼らを放っておいてЯ・E・Dは天へと舞うものだ――
これはあまりの威力に禁じ手となっている技。地上からでは打てぬ、ジャンケン秘奥義。
「ジャーンケーン……右手でパー!! 左手でもパー!!」
重ねた両手でジャンケン闘気力を圧縮し放つこの技。
素人が迂闊に真似をすれば両手が弾けて再起不能になるとすら言われている――
竜の顎を形取るように見えるためこう呼ばれる……すなわちッ!
「――『竜闘気砲』だよ!!」
言い放った、直後。誰も手に届かぬ天より――破式魔砲が放たれた。
両手を使えば片手の二倍の威力。2×2で四倍の威力を齎す絶技だ――
それは全てを薙いでいく。下らぬジャンケニストから、順に。
……真のジャンケニストとして、紛い物の粛清もまたЯ・E・Dの役目なのだ――
「『最初はグー』既にこの段階から戦いが始まっているのは――お分かりですね?」
そして。天より降り注ぐジャンケニストの裁きの中で、マグタレーナは佇んでいた。
その立ち姿に恐れはない。既に距離の調整は済ませているのだから。
「クク。何を余裕ぶっているのですか……一人で複数人に勝てるとでも?」
「ええ――勿論。それが『ジャンケン』というものでしょう?」
行きます、と。相手の疑問符が尽きぬうちに駆け抜ける――!
彼女の戦術は実に単純明快だ。それは……
チョ・キにはゼロ距離より放つ極撃の――グーを。
グーシカがちかくにいれば縦横無尽に操る呪鎖たる――パーを。
そして――パーコには万物を切り裂く魔光の――チョキを。
田舎チョキと共に三竦みを最大限に利用してやる。え? ズルじゃないかって?
「いいえズルではないですよ――?
むしろ相性を重視するじゃんけんの正道に立ち返っていますね?
これこそが古式由来のじゃんけんなのです。お分かりでしょうか?」
「ぐぅぅ!! お、おのれ、このような……このような事が……!!」
「おや。退かれるおつもりですか――? しかし」
そして。怯んだ敵があらば彼女は紡ぐものだ。
ジャンケンは必ずしも三つの手だけではない……全ての手を超越するものもあるのだ。つまりは。
「トラですね? 全ての者の活力を奪い、次なる手を出させない……勝ちをもぎ取る手」
ですよねマリアさん? 多分、きっと?
トラの秘密はマリアさんが知っておるわとばかりに視線を向けるマグタレーナ。
そこには――尋常ならざる気迫を纏ったマリアがいて――
「よくぞ逃げずに私の前へ出て来たね……! いいだろう!
虎は如何なる相手にも手を抜かない。全身全霊を持って――お相手させてもらうよ!」
「いや別に来た訳じゃなくて偶然」
問答無用! 雷装深紅……彼女が紅き雷撃を纏いしその姿は正に全力の象徴である。
――さぁ。夜のじゃんけんグランギニョルを始めようか。
「はぁ、はぁ! 俺は、俺はやられねぇぞ……こんな奴にぃ!」
恐怖。それを抱いたジャンケニストに最早勝利は無い。
だけれども虎は許そう。そう、最初は――トラぁ!!!!!
「ぐぁ!!? お、おい、最初の一手はグー……」
「はっ? 勝負はもうこの段階から始まっているんだよ――! ヴァリューシャも言っていた! 騙される方が悪いのだと! ヴァリューシャに財布を預けたら、すなわちそれはもうヴァリューシャのモノ! それと同じでじゃんけんは戦争だ! 卑怯だとか甘っちょろいことを言うんじゃあないよ!」
う~んヴァリューシャ無罪! とにかくマリアは全力を此処に注ぐものだ。機先を制した彼女はそのままの勢いに連続攻撃を繰り出す――その勢いたるや、どの手を紡ごうとも流れを取り戻させぬ勢いだ。ガードの上からでも活力を削り切って見せる――! APを0にすれば私の勝ちだ!
「ひぃぃぃい! 妖怪じゃ……妖怪AP置いてけじゃ!」
「くそー! だが虎の爪ってんなら……グーで対抗出来る筈!!」
「な、なにぃ! 此処でグーだとぉ!!」
「は、はは! 虎が怯んだぞ!! 未だ逆襲を――ぐあああ!?」
うるせー! しらねー! AP置いていけ!!
食らいたまえよ! 我が必殺の連撃を!!!
もう我慢できなくなったマリアは遂に蹴撃を解禁する。これこそが本来の彼女の戦闘型。手(足)は通称『猛虎』の名で呼ばれるのだ――いいかい! 魂に刻んで今日は家に帰るんだよ! 私は虎!
追い詰められていく。全てのジャンケニストが。そして一掃されていく。
「つ、強すぎる――! なんだこいつらは――!!」
恐れ戦く他参加者達。最早リングの上にはイレギュラーズしか残っておらず……
「もう終わりか? じゃあこのアイスは俺達のモノだな――
って訳で参加したヤツ全員に配るからよ。全員で食おうぜ?
俺は甘辛両刀でな、甘いもんにも目がねぇのさ。ありがたく頂かせてもらおうか」
「さ。それじゃあジャンケンレクチャーと行こうか。
正しいジャンケンは両手を使うものだよ――鉄帝の人にも是非覚えてほしいね」
故にこそ。優勝の証であるアイスを義弘は手にするものだ。
だが独り占めはしない。参加者皆と共に、輪を広げるものだ……
そして戦いが終わればこそЯ・E・Dは両手ジャンケンを教示する。
これこそが真なるジャンケンだと。
正しいジャンケンを学んで――正しくジャンケンをしようと。
「……ところでよ。ジャンケンってホントにこういうのだったか?」
だけど最後にシオンは微かに疑問の言を――零すものだった。
ジャンケンって……こんなに激しかったっけ? っと!
成否
成功
MVP
状態異常
なし
あとがき
じゃーんけーんぽん!!【グー】 うふふ。
と言う訳でありがとうございました!!
MVPはまさかのジャンケニストだった貴方に。
GMコメント
ジャンケンってこういうものだった気がする(おめめぐるぐる
以下詳細です!!
●依頼達成条件
鉄帝ジャンケンに……勝利せよ!!
●フィールド
鉄帝首都スチールグラードの郊外にある広場です。
今日はここでジャンケン大会が開かれていました――まぁ普通の『ジャンケン』ではないのですが! ルールは後述しますが、とにかく皆さんはこのジャンケン大会を荒らしている一団を倒し……優勝してください!!
●戦闘ルール
ぶっちゃけジャンケンという名の殴り合いです!!
ただしこのジャンケン大会フィールドでは謎の効果があるらしく、下記の手を宣言して攻撃を繰り出すと特別な効果が生み出されます。
・さいしょはグー!
最初の掛け声にして副行動タイミングです。この時に攻撃してもOKですよ!
・グー
『至』の攻撃を放つと、最終ダメージが何故か増加します。
同時に『相手の手』に勝っていると、更にダメージが二倍になります。
・チョキ
『近~中』の攻撃を放つと、最終ダメージが何故か増加します。
同時に『相手の手』に勝っていると、更にダメージが二倍になります。
・パー
『遠~超遠』の攻撃を放つと、最終ダメージが何故か増加します。
同時に『相手の手』に勝っていると、更にダメージが二倍になります。
・???
実は他に、なんらかの手を宣言して放つとダメージが増えたりする効果があるとかないとか――貴方の地域では特別なジャンケンの手とかありませんでしたか? 最強の手とかありましたよね?
●敵戦力
●グーシカ・ダサネー
己が拳を信じ、グーでのみ戦い続けてきた戦士です。
物理攻撃力に優れており、例え敵が何の手を出そうと彼は粉砕するでしょう――!
●チョ・キ・ダゼ
己が刃を信じ、チョキでのみ戦い続けてきた玄人です。
手数に優れており、凄まじい速さの斬撃でジャンケンに勝利します。
●パーコ・ソサイキョ
己がパーを信じ、敵を翻弄し続けてきた人物です。
神秘攻撃に優れており、多くの人物を纏めて薙ぎ払う事が出来ます。
●その他の挑戦者達×たくさん
イレギュラーズが来た事によって熱が高まった事により乱入して来た者達です。
あんまり強くはないですが、ジャンケンの王を目指して戦います。うーん流石鉄帝!
●情報精度
このシナリオの情報精度はJAN/KENです。
ジャンケンってこういうものですよね!! よろしくお願いします!!
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