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シナリオ詳細

海に捧げる祈りは永久に

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●海に捧げる祈りは永久に
 広大な海が広がる、ネオフロンティア海洋王国。
 首都リッツパークには当然、この海洋王国における中心的な港があり、この海の様々な噂話や事件、事故の話が集まる。
 ……そして、そんな話の中において特に取り沙汰されるのは、幽霊船の話と、幽霊船によって襲われ、帰らなくなってしまった船の話。
『まったく、今日も又幽霊船に襲われて帰って来なくなった奴がいる様だな……本当、この海域には幽霊船が多くて、嫌になっちまうなぁ……』
 とぼやくのは、海洋王国において交易船を営む『グロッグ』商船団の船長の一人。
 幽霊船は神出鬼没……大体深夜の刻に出るというのは共通しているものの、予測することは難しい。
 それに通商船という性質上、深夜の刻に出ないなんて言う対処手段を取ることも出来ないので、彼等は頭を悩ますしかない。
 ……とは言え、そんな状況が長い間続いている為に、何らかの対処がそろそろ必要なのは間違いない。
『いやぁ……誰かこの事態に対応する対処法を持って居る者は居ないのかなぁ……余りにもぼんやりとした形だが、何らかの手を打たんといかんなぁ……そうだ、何か案が無いか聴いて貰うとするかぁ?』
 今はまだ穏やかな海……しかし突如として牙を剥く海。
 そして……彼が選んだ道は、この海洋を訪れるイレギュラーズ達に、何か手を打って貰えないかというもの。
 漠然とした話だが、イレギュラーズ達ならきっと解決出来るのだろう……という期待と共に、彼はイレギュラーズ達へ依頼を回すのであった。


「ん……もう集まってたか。集まって貰い感謝するぜ」
 と、『黒猫の』ショウ(p3n00005)は、集まった君達へ軽く手をひらり上げる。
 そんな彼の横には、『にじいろ一番星』ルシア・アイリス・アップルトン(p3p009869)。
「今日はちっと、漠然とした依頼が来ててな……正直すぐに思いつかず、ここに居るルシアにもちょっと協力して貰ったんだ」
 と言いながら、一通の書簡を皆に見せるショウ。
 それを読み進めてみると、海洋王国の交易商船団の団長印と共に、イレギュラーズ達への依頼の文面が記されている。
 ただ、依頼の文面というのが……。
『ここ最近の幽霊船騒ぎに、私達も多数の被害を受けている。何かしらの対処を取りたいのだが、我等に戦う力はない。どうか、手を貸して貰えないだろうか?』
 と、幽霊船騒ぎを静めて欲しいと言う……漠然な話。
 それを見た君達が小首をかしげると、ショウは頷き。
「そう……どうにかして欲しい、ってのが今回の依頼な訳さ。それだけじゃ、こっちも手の取り様が無い訳で、ルシアにちょっと相談してみたのさ」
「そうなのですよ! やっぱり幽霊船の人達は、きっとなのですが弔いをされていないから、化けて出て来ていると思うのです! そこで、幽霊さん達をルシア達の手で、しっかりと弔って差し上げたいと思うのでして!」
 とルシアはその手に、英霊達を弔うお供え物を見せる。
 そしてショウも。
「ま、確かに幽霊達も弔われてないと、化けて出るってもんだ。という訳で、皆には船を出して、この通商船の通る主要ルートを巡り、幽霊船を弔って欲しい、って訳なのさ」
 フッ、と笑みを浮かべるショウ、ルシアもこくりと頷き。
「ルシア一人の力では、流石に全部は対処仕切れないのです。でも、皆さんと一緒に力を合わせれば、きっと大丈夫だと思うのです。宜しくお願いします、なのですよ!!」
 と、元気いっぱいに拳を振り上げるのであった。

GMコメント

 皆様、こんにちわ。緋月 燕(あけつき・つばめ)と申します。
 今回の依頼は、海洋王国の幽霊船達を鎮めるために海を巡る……という鎮魂の旅となります。

 ●成功条件
  海洋王国の通商船の主要ルートを巡り、幽霊船を沈める事です。

 ●情報精度
  このシナリオの情報精度はBです。
  依頼人の言葉や情報に嘘はありませんが、不明点もあります。

 ●周りの状況
   今回はずっと船の上が舞台です。
   皆様の船の供出が無ければ、この通商船団の船を供出しますので、そこはご安心下さい。
   通商船のルートをずっとトレースする形になるので、行程としては一週間かかる様です。
   特にその内2、3箇所が、頻繁に幽霊船の事故が起きているという場所になりますので、その場所でお供え物を捧げるという事になります。
   ただ、幽霊船達はまだ死を受け入れられない者達も居る様で……お供え物を受けると怨嗟の声と共に海底から現れ、襲い掛かってくるのもいます。
   そういった、生を諦めきれない幽霊船の船員達を倒すのも、今回の仕事となりますので宜しく御願いします。
   尚……幽霊船が出てくるのは、きまって深夜の刻の様です。

 ●討伐目標
  ・生を諦めきれない幽霊船の船員達
    深夜の刻、弔いを捧げられると怒りと共に襲い掛かってくる幽霊船の船員達です。
    その武器は様々で、剣、シミター、槍……と様々ではありますが、出てくる船員達はそれら武器の手練れの者達の様です。
    又、怒りにより怨恨の声が常に響きわたっているので、幽霊船の船員達が現れてからは戦場に常に『呪い』の効果が現れますので、ご注意下さい。
    ちなみに、幽霊なので殺さない限り、復活します。

 それでは、イレギュラーズの皆様、宜しくお願い致します。

  • 海に捧げる祈りは永久に完了
  • GM名緋月燕
  • 種別通常
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2022年05月22日 22時05分
  • 参加人数8/8人
  • 相談7日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

十夜 縁(p3p000099)
幻蒼海龍
ベーク・シー・ドリーム(p3p000209)
泳げベーク君
レッド(p3p000395)
赤々靴
十夜 蜻蛉(p3p002599)
暁月夜
クリストフ・セレスタン・ミィシェール(p3p006491)
ぷるぷるおじいちゃん
鵜来巣 冥夜(p3p008218)
無限ライダー2号
ジョシュア・セス・セルウィン(p3p009462)
ひとさじの勇気
ルシア・アイリス・アップルトン(p3p009869)
開幕を告げる星

リプレイ

●海の叫び
 広大な海が拡がる、ネオフロンティア海洋王国。
 首都リッツバークは当然ながらこの地域の中心地であり、大きな港には各地から様々な噂話や事件、事故の話が常に集まる。
 勿論事件事故についてはその真偽が確かめられたりする事はあるものの、噂話の大多数は真偽不明で根も葉も無さそうだと判断されてしまい、その真実が追究される事は殆ど無い。
 とは言え海洋に棲まい、仕事する商船団の者達はそれら話を簡単にすませる事も出来ない。
 今回の依頼は、そんなこの海洋の国で交易船の事業尾営む『グロッグ』商船団からの依頼。
『いやぁ……本当に困っていたんですよぉ。噂ですから海洋を警備する様な方々も、そんなの噂話だろう、って取り合ってくれませんでしたし……でも、イレギュラーズの皆様であれば、依頼を受けてくれるのでは無いか、と思い立った訳なのです。本当に、ありがとうございます……!』
 深く頭を下げる、グロッグ商船団の従業員。
 そんな彼の依頼を持ってきた『にじいろ一番星』ルシア・アイリス・アップルトン(p3p009869)も。
「いえいえなのですよ! 確かに幽霊騒ぎ、ルシアもイレギュラーズとしてやってて何度も幽霊船さんに遭遇していますですけれど、話す暇もなく襲い掛かってくるのでして! そーいうのは、ルシア達がしっかりと対処してくるのですよ!」
 勢い良く、従業員の言葉に返す彼女。
 そんな彼女の言葉を聞き流しながら、所有船の出港準備を整える『無限ライダー2号』鵜来巣 冥夜(p3p008218)。
「いやぁ……ホストクラブ経営にR.O.Oでの社長業に忙しい私ですが、本質は退魔士ですからね。こうやってたまには修祓をしないと腕がなまってしまいますからね」
 そんな冥夜の言葉に、『暁月夜』蜻蛉(p3p002599)が。
「そうなんやね? 冥夜さんは夜のお仕事をしていると聞いたんけど……退魔士なんやね?」
「ええ。まぁ……殆ど仕事はしていませんでしたから、知らないのも仕方ありません」
 苦笑する冥夜。
 まぁこのネオフロンティア海洋王国……海賊船あり、過去に海上での大戦もあり……海底に沈む船も多い。
 その結果、成仏仕切れずに夜な夜な姿を表す幽霊船と幽霊達はかなり多いのは、紛う事無き事実。
「それにしても、海洋に馴染みはありませんでしたが、どうもこの国は幽霊船などが多いらしいですね? どうすやれば……どうやった方が良いっすかね?」
 と『千紫万考』ジョシュア・セス・セルウィン(p3p009462)が言うと、それに『不屈の障壁』ベーク・シー・ドリーム(p3p000209)が。
「ええ……いやはや、今年も幽霊船の季節です。まぁ、年中通して出るんですが」
 苦笑し、更に『赤々靴』レッド・ミハリル・アストルフォーン(p3p000395)も。
「そうっすねー……幽霊船騒ぎを静めて欲しいって、これ、すんごい漠然とした依頼っすよね」
 頭をかき乱すレッドに、そうですね……と『ぷるぷるおじいちゃん』クリストフ・セレスタン・ミィシェール(p3p006491)が遠い目をしながら。
「幽霊達も死にたく無いでしょう。ただ……こんな形で生きていたいのでしょうか?」
 とぽつりこぼし、それに『幻蒼海龍』十夜 縁(p3p000099)は。
「まぁ……案外、弔われるために、余計に化けて出る数が増えるんじゃねぇかね?」
 と僅かに笑う。
 それに蜻蛉も。
「ええ、海は広いもんやし、まだまだ出逢うた事のないお船もあるのやろうけど、それと同じくらいに成仏出来てないお人もおるのやね……はよ見つけ出してあげんとね」
「そうだな……ま、冗談はさておきとして、確かに、何かしらのけじめは必要かもしれねぇな。奴さん方にとっても……生きているオレたちにとっても、よ」
 そんな二人の会話に、クリストフが。
「そうですね……これらは両立しないからこそ、我らが司祭が彼らを祓うのです」
 と言うと、ベーク、ジョシュアが。
「そうですね……安全のことを考えても、排除する方向になりますかねぇ。とは言っても、僕に出来る事は多くはありませんが。この海のためにも、ちょっとがんばりましょうか」
「ええ、とにかくこのままでは被害がでるばかりで終わりも見えません。私達の手で幽霊達を鎮めるとしましょう」
 と目を閉じ零し、そしてレッドと蜻蛉も。
「うん。お供えで弔ってあげようっすよ!」
「そうやね。うちも竜胆のお花を持ってきたんやけど……喜んで貰えるやろうか……」
「うん、喜んで貰えると思うっす! あー、後はそうっすね、やっぱり海に出て亡くなった者を慰めるには、気前の良い美味い酒が一番っすよね! あ、依頼主さん、酒蔵の酒瓶酒樽を一杯用意してくれっす! 酒一滴ちょっとじゃ幽霊船は成仏しないっすよー!!」
 ……少しばかり、曲解が混じっている気がしなくもないけれど……まぁ、海の漢達からすれば、航海から帰ってきたら一杯カッ喰らって寝るのも良くある話。
 ともあれ様々な弔いの準備を冥夜の船に満載し、イレギュラーズ達はリッツパークを発つのであった。

●命の藻屑
 そしてリッツパークを発ち、数時間。
 空の陽射しは強く照りつけ、汗掻く程度。
 とは言え潮風は快く漂っており、目を閉じれば波に揉まれる音がざざぁ、ざざぁ……と。
「いやぁ……これはいい天気だぜ。こんな日には、ゆっくり眠っているのに限るな」
 と笑いながら、ごろんと甲板に寝転ぶ縁。
 それに冥夜も。
「そうですねぇ……ま、幽霊船が出てくるのは夜から深夜の刻と聞きますから、今の内はゆっくりのんびりしておいて下さいよ。この先ちょっと荒れ気味の所があるみたいですから、そこを越えたら私もゆっくり休みますから」
 と皆を促す。
「ほんと? 冥夜さんは、夜のお仕事してみえるからかしら。でも、ご無理は禁物やよ?」
「ははは、ありがとうございます……大丈夫です」
「という訳だ。ほら、蜻蛉ものんびりすれば良い。本当、これで幽霊の弔いだの何だのがなけりゃぁ、このまま酒でも呑んで転寝と洒落込みたかったんだがなぁ」
「もう……まぁ、そうやね」
 蜻蛉の言葉にひらひらと笑い返す冥夜と、手招きする縁。
 ……とは言え絶対に幽霊が昼に出て来ないとは限らないので、一応の警戒は行う必要が有る。
「その辺りは任せておいてください。後ろにはレッドさんの潜水艇もありますから、多分……大丈夫だと思います」
 冥夜の船にひっつくように、レッドのディープクルーザーPLMも追航。
 向かうは、幽霊船の噂が多い幾つかの海域。
 ……そして、空の陽射しが水平線上辺りまで落ちてきたその頃には、イレギュラーズ達の船も現場海域へと到着。
「んー……頻繁に事件が起きるのは、この辺りっすかね?」
 とレッドが小首をかしげる戸、それにルシアがこくりと頷く。
「そうなのでして! 噂話を聞く限り、何隻もの船がここで沈没して、その幽霊が出るってもっぱらの評判なのですよ!」
「了解しました。では……陽が落ちて周りが闇に包まれ始めたら、少しずつ、始めるとしましょう」
 とジョシュアは言うと共に、魔晶ジルコニアランプを甲板の中央におく。
 柔らかな明かりが周囲を包み込み……甲板は薄明かりの下に包まれる。
 そして、完全に陽が落ち、周りに船の気配も無くなる頃。
「さぁてと……んじゃそろそろ頃合いかねぇ? 皆、面倒だけど起きようや」
 むくりと立ち上がった縁が皆を誘うと共に、甲板から海を見下ろす。
 漆黒の海に押し寄せる波……ゆったりとした波に、不思議と……海に引き寄せられそうになる。
 そして、更に。
『……うぅぅ……』
 ほんの僅か、空耳かと聞き逃しそうな程の小さな声。
 僅かに聞こえたその声音に、肌身にぞぞぞぞ、と悪寒を感じる。
「ふむ……どうやら近くにいるようですね」
 目を細め、海を見据えるクリストフ。
 亡者の声の方向を、目を閉じ……探る。
「……あちらのようです」
 指を差した方向へ、船は移動。
 すると、海底の方から更に。
『ウォォォ……ウゥゥゥ……』
 先程よりもはっきりと、亡者の呼び声が聞こえてくる。
「間違いない……この辺りの様です」
「了解っす。それじゃー早速っすけど、お供え物のお酒を流し込むっすよ!」
 ニッとサムズアップした彼は、大量に積んだお供え用のお酒をドボドボッ、と海へ流し込む。
「安らかにお休みっす」
 そんなレッドに縁もははは、と笑いながら。
「そうだな。死後の世界ってのがどんなモンかは知らんが、酒はねぇだろうからよ」
 と同じく酒を海に注ぐ。
 一樽程の量を流し込んだら、更に蜻蛉は竜胆の花≪あなたの悲しみに寄り添う≫を、ジョシュアはプリザーブドフラワーを、そしてクリストフはお供え物の供物をそれぞれ海へと投げ込む。
「少しでも、この世への悲しみ、恨み、執着の念が薄らぎますように」
「彷徨える者達よ、その無念の荷をおろし、新たな船出を切りたまえ」
 手を合わせ、強く願いを捧げる。
 ……そんなイレギュラーズ達の弔いに、今迄静寂に包まれていたこの場が。
『……ウゥ……ウウウウ……』
 一際大きく、その呻き声が響きわたり……次の瞬間、イレギュラーズの左舷に突如、船が出現し、船から次々と海賊達が乗り込んでくる。
 そんな海賊幽霊達を一瞥すると、冥夜は。
「此度の霊は生を諦め切れていない様ですね。となると彼ら彼女等に、生きていた時の様に幸せな体験をさせるのが幸福な成仏に繋がるかと」
「……? それは、どうすれば?」
 小首を傾げるジョシュアに、冥夜は。
「勿論……それはこういう事ですよ。ようこそホストクラブ『シャーマナイト』海上支店へ! 忘れられない夢の時間をお捧げしましょう!」
 ギフトで作り出したシャンパンを振る舞いながら、持ち歌を声高らかに歌い躍る冥夜。
 対して幽霊達は……。
『ウウ……ヨコセ、イノチヲ……ヨコセェ……』
 その手にシミターを構え……次々と攻撃を開始。
 勿論そのターゲットは、一番目立つ動きをしている冥夜……左から、右からと次々と振り落として行く。
「おっとっと……この歓待がお気に召さないと言う事でしょうか? まぁ……暴れるような無粋な輩は客ではありませんから、とっととお帰り頂きましょう」
 もとよりその積もりだったかもしれないが、さらっと敵対宣言した冥夜は、まだ味方が居ない状態なので眩い光と共に黒雷で敵を包み、怒りを自分に引き寄せ、幽霊達は一層の猛攻撃を彼に向かって嗾けていく。
 ただ冥夜は直撃を受けないようにステップを踏み、大怪我にはならない様に立ち回る。
 そして幽霊達を一纏めにした所へ、ジョシュアが己の敏捷性を高めると共に、鋼の雨で幽霊達を一網打尽にする。
 その攻撃に、苦しみの呪怨が更に戦場に響きわたり、呪いがイレギュラーズ達の身を包む。
 だが、そんな仲間達を即座に蜻蛉が。
「皆さん、うちが必ず守る。だから、頑張って行ってきてな」
 と呪いを打ち消すように声高らかに言霊を響きわたらせる。
 そして縁とレッドの前衛二人が。
「サンキュ。ま、大盛況だことで……ま、妬む気持ちもわからんでもねぇがな」
「そうだね。まぁ呪詛ばかりだと暗いっすから、明るくしていこうっすよ♪」
 縁は敵を纏めて鮮血の乱撃を敵陣に突っ込みぶっ放す。
 一方レッドは、敵の動きを見極め、他と動きが違う奴を零距離から放つ極撃一発。
 ……そんなイレギュラーズ達の猛襲を受け、流石に幽霊と言えども、堪えきれずに崩れ墜ちて行く。
「ふむ……そこまで体力は無い様ですね。まぁ私はすぐ倒れてしまいますので、後ろから狙わせて頂きましょう」
 そうクリストフは敵、味方の動きを全て見た上で、己の最良な行動を弾き出す。
 自分自身に幾つもの強化を重ね掛けした上で、連なる幻撃で敵を纏めた雷鳴で敵を纏めて薙ぎ払い、しぶとく残る敵には光撃一閃にて、確実に葬り去る。
 そして、最後にベークが、甘い毒を敵に喰らわせる事で、必ず当たる毒を噛ませる。
 そんな怒濤の勢いで、一刻の間に、半数程度が既に消え失せてしまう状況。
 圧倒的不利な幽霊達だが……それでも。
『ウウ……イノチ、ヨコセ……ェ……』
 決して引き下がる事なく、イレギュラーズ達を恨みと共に攻撃する。
 ……そんな幽霊達に、クリストフとジョシュアは。
「最後の言葉を聞くことくらいはできます。思い残す事があれば、伝えたい事があればお聞きしましょう」
「そうですね。誰かに伝えたい言葉はありますか? 僕達が、必ず伝えます。さぁ……口を、開いて」
 死した幽霊達に向けて、そんな言葉を投げかける。
 そして……次々と幽霊達を倒していく、断末魔に。
『……アリ、ガトウ……』
 と……ほんの僅かではあるが、聞こえた様な気がした。

●抑霊の先に
 そして、その後も幾度かの幽霊船達との遭遇と討伐、弔いを経たイレギュラーズ。
 ……一週間ほどの鎮魂の航海を追え、リッツパークがイレギュラーズ達の視界に映る。
「いや、本当に皆さんお疲れ様なのでして! あともう少しで終わりなのですよ!」
 羽根をパタパタさせながら仲間達を労うルシア。
 そして……鎮魂を捧げし海を振り返りながら、ベークが。
「しかしまぁ……なんだってこう、幽霊船がいくつも出て来るんですかねぇ……?」
 と小首を傾げると、それにクリストフが。
「そうですね……彼らも死にたく無い何かがあったはずなのです。出来れば……それを叶えてあげたいものでしたが……」
 悲しげに零す一言……そして縁も。
「……あの日、一歩間違えれば、俺も「そう」なっていたんだろうな。この海洋のあの大戦を経験した者は、誰もが綱渡りだったんだろうさ」
 苦笑と共に、自嘲気味に肩を竦める縁……それにベークが。
「そうだねぇ……確かにあの戦いはかなり厳しい戦いだったもんだしねぇ……」
 遠い目をし、あの大戦を思い浮かべる彼。
 アクエリアから少し離れた『絶望の青』……いや、今では『静寂の青』と呼ばれし所の海戦は、イレギュラーズ達も加わった大戦。
 もう、その大戦は過去の話だと言う海洋の人々は多いけれど、イレギュラーズ達に取っては心深くに刻まれている出来事であった。
 ……だからこそ、今この海洋でイレギュラーズとして活動出来ているのも、その経験があっての延長線上のこと。
「何にせよ……おやすみなさい、良い夢を。この海は、きっとあなた方のような方々も、静かに眠れますから……」
 とベークの言葉に、蜻蛉は頷き、そして最後の一輪の竜胆の花を海に投げ入れ。
「……どうか安らかに。もう、一つの場所に縛られる事なく、魂が自由に旅立てますように……今度は良き旅路……航海が出来ますように」
 と、鎮魂の願いを大海に向けて捧げる。
 そして……港に船を着岸させると共に、冥夜はニコッと笑いながら。
「本当、皆様お疲れ様でした! さぁ、酒もまだ残っていますし、パリピな宴を再開するとしましょう!」
 と、船に残る酒を盛大に振る舞うのであった。

成否

成功

MVP

鵜来巣 冥夜(p3p008218)
無限ライダー2号

状態異常

なし

あとがき

海洋依頼にご参加頂き、ありがとうございました。
幽霊達は海の底で苦しんでいたのでしょう……そして、偶然訪れた船に救いを求めていたのかもしれません。
そんな幽霊達を弔って頂き、ありがとうございました……!

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