シナリオ詳細
再現性東京202X:追求者の影
オープニング
●再現性東京202X:無尽蔵なる罪の影
平穏な日常が繰り広げられていた……筈の再現性東京。
ジャバーウォックの襲撃によって、街は破壊され、人々は平穏な生活からは切り離されてしまい、その日を生きる為に精一杯。
苦しさを口にしたり、その苦しさから逃れようと犯罪に手を染める人も居たり……と、平穏なる日常は、とうに遠く離れてしまっていた。
ただしかし、そんな荒れ果てた日常の中に於いても、どうにか出来る手はないのか……と足掻く稀有な人も、この再現性東京の中にはちらほらと出始めていて。
「……畜生が。こんな世界にしやがった奴を、俺は絶対に許さねえ……真実を探求し、必ずや前の日常を取り戻してやる……!!』
過去の平穏なる日常を取り戻したい……そんな一心で、瓦礫が散乱するこの世界で、あの怪異とは何だったのか、などの調査を進めるのは、年の頃20代位の青年男性。
何が彼をそこまで駆り立てているのかは分からない。
だが、その調査を進めていった結果、気づき始めたのは……この世界は怪異に包まれており、その怪異が世界を蝕んでいる、という事。
そしてその怪異が、都心の中で珍しく自然が残った小さな滝壺の辺りで集中的に起き始めている事を突き止めたのだ。
「ここに、絶対何かある筈……絶対、突き止めてやる……!」
拳を握りしめ、深夜の刻に気合いを入れてその滝へと訪れた彼。
人の影はなく、滝の落ちる音の他、全く音が鳴らない滝壺を調べていると……その滝の裏に洞窟のような物を発見。
「ここ、か……?」
ずぶ濡れになるのも厭わず、その洞窟の中に足を踏み入れた彼。
……そして、彼の目の前に現れたのは……何か祭壇の様なもの。
「こ、これは……も、もしかして……」
唇を噛みしめた彼……と、次の瞬間。
『……ウグゥゥウウ……!!』
彼を頭上から覆い隠す、黒い影。
「うわっ……な……っ!!」
その影から逃げる事は出来ず、彼はそのまま黒い影に覆い隠される。
……暫くはその影の中でジタバタと暴れていたが……段々とその勢いはなくなる……そして。
『……ク、クク……ククク……!!』
漆黒の影を纏いし青年の姿をした『何か』は、不遜な笑い声を上げるのであった。
●
「あ、みんなもう集まってたんだね! ほら、こっちこっち!」
綾敷・なじみは、カフェ・ローレットを偶然訪れていた君達に手をぶんぶんと振るって呼び寄せる。
そして集まった所には、『割れぬ鏡』水月・鏡禍(p3p008354)の姿。
「なじみさん、アツメテ頂き、ありがとうございます……そして、すいません、突然皆さんに集まって貰って……」
ぺこりと頭を下げる鏡禍になじみは。
「ううん! だって再現性東京の人が夜妖に憑かれたとなれば、そりゃあ解決しない訳にはいかないもんね! という訳で説明は鏡禍さんからして貰うでいいよね?」
「ええ……あの、再現性東京の惨状は、皆さんも知っての通りなのですが……この惨状を良しと思わず、調査を進めていた一般人の方が居た様なのです」
「どうも彼は、妖怪事件とかが起きていた場所をプロットして、集中的に事件が起きていた所を突き止めた様なんです。それだけで済めばまだ良かったのですが……どうも実際にこの場所に向かおうとしている様なのです」
「この場所には、僕も何か感じてて……かなり危険な気配が漂っています。彼を救うためには、僕の力だけでは足りないと思いまして……皆さんに、力を貸して欲しい、という訳です」
と鏡禍が言うと、それになじみは。
「うんうん! 大した度胸の一般人さんだけど、無防備に怪異に脚を踏み込めば、取り憑かれちゃうのも当然だよね? それを指をくわえて見ている訳にはいかないし、みんなの力を合わせれば、取り憑かれた彼を何とか救出出来る、って思うんだ!」
そうニコッ、と笑みを浮かべると共に。
「夜妖が憑きたてだから、まだ人間の心が残っているかもしれない。そこに呼びかける事で、彼の取り憑きの進行度を抑える事が出来るかも知れない。みんなの声がパワーになるんだ! という訳で彼を助けてきて欲しい、って事で宜しく頼むね!!」
と、肩を叩いて送り出すのであった。
- 再現性東京202X:追求者の影完了
- GM名緋月燕
- 種別通常
- 難易度NORMAL
- 冒険終了日時2022年05月21日 22時05分
- 参加人数8/8人
- 相談7日
- 参加費100RC
参加者 : 8 人
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参加者一覧(8人)
リプレイ
●追う影と
極々平穏な日常が繰り広げられて……居た筈の、再現性東京。
ジャバーウォックの襲撃により一変してしまった日常の世界は、人々に生きる希望を半ば失わせてしまった。
絶望の日常……どうにかして生きながらえていく人々。
そんな一般人達の影をちらりと横目にしながら『こそどろ』エマ(p3p000257)が。
「ふぅん……この街も、すっかり荒れちゃってたんですねぇ……」
とぽつり零す。
そんな日常を繰り広げられているだけなら、イレギュラーズ達が手を出す必要は多くは無かった筈。
しかし……そんな日常を良しとせずに立ち上がる青年がいた。
彼はこの様な日常に反旗を翻そうと立ち上がり、今この再現性東京にて巻き起こる非日常な怪異の真実を突き止めようとしていたのである。
とは言え戦う力を持たない一般人が、その真実を追究しようとすれば……待ち構えるのは身の危険。
その情報を察知した『割れぬ鏡』水月・鏡禍(p3p008354)が。
「本当……一人ではどうにもならなさそうだったので、皆さんに集まって頂けて、心強いです」
胸をなで下ろした様に、ほっとした表情を浮かべる鏡禍。
そんな彼に『不死身の朱雀レッド』朱雀院・美南(p3p010615)が。
「いえいえ! いや、この青年、日常を讓る為に行動を起こすだなんて……その勇気には敬意をあらわすよね! でも、実力が伴わなければ蛮勇と化す。言い方は悪いけれど、正義の暴走の尻拭いをさせられる訳だ☆」
と天真爛漫な笑みで笑い飛ばす。
それに『点睛穿貫』囲 飛呂(p3p010030)と『無名偲・無意式の生徒』マニエラ・マギサ・メーヴィン(p3p002906)も。
「全くだよな。正義感とかは結構なんだけど、それで自分が死にそうになるって……それじゃ意味ないだろうに」
「ああ。好奇心は猫を殺すとは良く言うがな……既にこいつは、別のに取り憑かれてんじゃねぇか?」
「そうだよなぁ……一人きりでどうにかしようとするなって思うけど、他人を信じるのが怖かったりするのかもな? 信じたかった日常を、壊された直後なんだしよ」
それにエマもえひひ、と笑いながら。
「ええ、救出対象の彼、なかなか見込みアリですね。生きていればローレットの情報屋としてやっていけるのでは? なーんて、えひひ」
確かに彼に力があれば、この再現性東京にとって価値ある情報屋になっていたかもしれない。
とは言え今の現状からは、このままでは彼が死ぬ未来しか無い……だからこそ、人を助けたい鏡禍が急ぎ、皆を集めた訳である。
そんな彼の心意気に、ニヤリと笑みを浮かべた『『幻狼』灰色狼』ジェイク・夜乃(p3p001103)。
「はは。まぁこういう、ちょいと向こう見ずな所はあるが、な、俺はこういう奴は嫌いじゃないぜ? いいだろう。この依頼は確かに引き受けた、ってな」
彼の言葉に、ありがとうございます……と頭を下げる鏡禍。
「僕は守る事は得意ですが……それ以上はそこまで得意ではありません。ですが……皆様の力があれば、百人力です。しっかりとお仕事をさせてもらいまして、正義感のある青年を必ず救ってみせましょう」
と鏡禍が言うと、うんうんと美南も頷きながら。
「そうだね! 助けを求める人が居るなら見捨てる事なんて出来ないもんね! 何たって僕は『悪の怪人』だからね♪」
悪の怪人だから、救いを求めている人を見捨てられない……というのにちょっと小首を傾げつつ、メーヴィンとエマが。
「まぁ、自業自得とも言えるけど、再現性のヒトにそれを言うのは馬の耳に念仏とやらだがな……」
「そうですねぇ……まぁ、何はさておき、生死を確認せねばですね……という訳で、あそこみたいですよ?」
指を差すのは、小さい滝壺。
都心近郊にこの様な滝壺があるというのも、ちょっと意外な光景ではある。
……そんな滝壺を遠目に見ながら『アラミサキ』荒御鋒・陵鳴(p3p010418)が。
「ふむ……確かに陰鬱たる気配がこの辺りには漂っている様だ。しかし立地上にはその様な要素は見られん。此処では如何なる事件が起きていたのか……調べておけたならば、祓うにも役立つやもしれんが……」
『アラミサキ』荒御鋒・陵鳴(p3p010418)が零すと、それに『ライカンスロープ』ミザリィ・メルヒェン(p3p010073)が。
「そうですね……ここに現れるのが、『獰猛なる闇狼』……ですか。ああ、ここにも狼が。どうして御伽噺に出てくる狼は悪役なのでしょう? どうしてこういう時に敵に回るのはいつも狼なのでしょう。ああ、本当に……嫌になりますね」
「……確かに夜妖に使役されているのが、黒狼だとは聞く。他の夜妖も、凡そ獣の姿をした者が多いと聞く。元となっているのが獣の霊……なのやもしれぬな」
「ええ……そうかもしれません。知性無く、周りの者を呪い殺すだけしか考えて居ないのかもしれません。何はともあれ……確実に夜妖は仕留めましょう」
少し違った意識を持ちつつも、憑きし夜妖を対峙する目的は同じ。
そして、イレギュラーズ達は……滝壺の裏に人知れず開いていた洞窟へと急ぐのであった。
●暗闇の影
「ここか……くそっ。滅茶苦茶暗いじゃねぇか……殆ど見えねえぞ? これ……」
と洞窟の中で、舌打ちをする青年。
その手には懐中電灯を握り、左へ、右へと光を揺らす。
……しかしながら、壁に何か刻まれている様な事はないし、何かを祀るロープがあるという事も無い。
むしろ外の滝壺に落ちる水の音がかなり大きく、煩いので、彼の一人ぼやく言葉も殆ど聞こえない様な状態。
「取りあえず、この辺りには何もなさそうだ。だけど……何だろう……何か、肌寒いな……」
彼は朧気に寒気を感じる……もう春も過ぎて、夏の足音も聞こえてきそうなこの時期なのに、だ。
「まぁいい……奥に進めば、何かあるだろ」
そう呟きながら、更に奧へと進んで行く……行き止まりの様な所へ行き着く。
そして……そこにあったのは、小さな祭壇。
ただ手入れはされていない様で……かなり寂れているような、そんな状態。
「これは……」
自然とそれに手を伸ばし、触れてしまう彼……次の瞬間、光を飲み込む漆黒の闇が拡大し、彼を飲み込んでしまう。
そして飲み込まれてしまった彼はバタン、とその場に倒れ込むと共に。
『……う、うぅぅ……』
くぐもった呻き声を上げながら、立ち上がる。
「あ、あそこに居ますね!!」
と後から突入為たエマらイレギュラーズ達が光を掲げた先に……漆黒に包まれた彼の姿。
『ウウ……グゥゥ……』
苦悶の呻き声を上げると共に、ギラリと鈍く光る瞳。
そんな彼にエマとジェイクが開口一番。
「あなたのような人を喪うのは惜しいでーす! 踏ん張ってくださーい! 負けないでーッ!!」
「そうだぞ! 街の人々を救いたいんだろ!! そのお前が夜妖に飲み込まれたら、今度は救いたかった者をお前が手を掛ける事になる! さあ、目を覚ませ!!」
と、滝壺に落ちる音よりも大きく、声を張り上げて彼に呼びかける。
そんなイレギュラーズ達の言葉に対し、青年は。
『ウウ……タスケ……テエ……ガ、ガァァアアア!!』
一瞬救いを求める言葉を零すものの、そのまま狂ったような絶叫を上げる。
そしてその絶叫に呼応するかの如く、彼を取り囲むように漆黒の闇からぼんやりと姿を表す狼達。
『ガルゥゥ!!』
まるで彼を守ると宣言するかのように、甲高い咆哮を上げると共に、即座に飛びかかり攻撃してくる。
「早速来たね! ほらほら、こっちこっち!!」
己の身体を光輝かし、視界確保と共に目立って狼の狙いを惹きつける美南。
彼女に向けて左から右から噛みつき攻撃を嗾けてくる一方で、更にもう一声鏡禍が彼に。
「あなたはこうやって暴れるためにここに来た訳ではないでしょう? 必ず、僕たちが助けますから、負けないで抗ってください!」
ギリギリ残る、彼の内なる人の心に呼びかける。
……そのおかげか、青年夜妖は攻撃にまでは至らない。
頭を抱え、苦悶の咆哮は上げ続ける……そんな彼を一瞥しながら陵鳴は。
「いやはや……好奇心も血気盛んも、其れ自体は悪くはないが、木乃伊取りが木乃伊と為ってはな」
と肩を竦める。
それに飛呂とミザリィ、メーヴィンが。
「ああ……ま、でも心の中では必死に抵抗している様だしな。時間が掛かれば話は別だが」
「そうですね……そんな彼を囲う狼、と……本当、嫌になります」
「そうだな。ま……何だ、ひとまず加減のいらない闇狼の方から倒していくぞ。青年は鏡禍、宜しく頼む」
頷く鏡禍、そして飛呂は己に摂理を見極めさせると共に、青年を除く形で鋼の驟雨を降り注がせる。
『グルゥアアア!!』
闇狼らは悲鳴を上げて一旦四散するも、その持ち前の素早さですぐに男を護る様に展開。
「チッ、やはりというか……中々に素早い奴らか」
と舌打ちするジェイクにメーヴィンが。
「そうだね。ま……なら圧倒的火力で殲滅すればいいんじゃないか? という訳で、更に行かせて貰うぜ!」
と言いつつ、自分自身へのプロトコルを組み込んだ上での蒼き一蹴で闇狼達を蹴り飛ばし、更に飛呂も暗視ゴーグルをガバッ、と被り、その視界内に捕らえた闇狼達をターゲット。
「ここか……よし、ぶっぱなすぜ!!」
と更なる鋼の雨で敵をぶち抜いていく。
そう後衛から次々と闇狼達に攻撃し、敵を攪乱する一方。
常に敵の動きを己の身体を発光させて視界確保している美南は、敢えて目立つように。
「フハハハ! 僕こそが悪の秘密結社『シュヴァルツァーミトス』所属、怪人『不死身の朱雀レッド』さ!! 狼君達、僕は逃げも隠れもしないよ! 全力で来るがいいさ!!」
と更なる名乗り口上で敵を惹きつけつつ、左へ右へと動き回る事で闇狼の中、彼の間近に居る輩を確実にブロック。
『グガァ!!』
邪魔するな、と言わんばかりに牙を剥く闇狼。
ガブリ、と深く腕に食らい付き、かなりのダメージを受けてしまう。
でも、美南は決して笑顔は崩さずに、ブロックを継続。
そして、その傷に対してはミザリィが即座に調和のメロディを奏でて、遅れなく回復を施す。
更に陵鳴、エマの二人からも、狼に向けて。
「早々に退場仕ろう。此方の目的は彼の青年であるが故に」
「そうですねぇ……こう見えても私、機動力が強みなもんで、ひひひ」
陵鳴はどっしりと構えて、狼共を纏めて薙ぎ払う鋭利な乱撃の一閃をバッサバッサと斬りかかる。
一方のエマは遊撃隊が如く、洞窟の壁を活用しその乱撃から漏れた闇狼を確実に一匹ずつ仕留める。
……そう、仲間達が闇狼の足止めを行い最中、常に鏡禍は青年の状況を観察。
彼に向けて、彼のココロに何度も何度も語りかけながら、彼が暴れるまで何度も何度も闘争心を震い上がらせる事で、いつでも動けるように準備を整えていく。
そんなイレギュラーズ達の動きで、、闇狼を先に仕留めていく作戦。
一匹、また一匹……と敵が沈んで行く一方、夜妖に引っ張られつつある青年は……攻撃はしないものの、呪怨を込めた苦しみの叫び声で戦場に呪いを振りまき続ける。
ただ、呪いの効果をくっと耐え続ける事で、戦況を一気に変えるまでには至ることは無い。
そして、闇狼を討ち始めてから十数分。
残り数体まで闇狼を仕留めていき、残る敵は後数匹。
「良し。後闇狼も数匹だ……一気に行くぜ!」
とジェイクの号令一下、残りし闇狼達を集中砲火。
漂う呪いは常にメーヴィンが休む事無く回復を繰り返し、バッドステータスを残さないようにする。
そして……青年を守る闇狼の盾にも綻びが生じたその瞬間。
「さぁ、ルートは空いた様だぜ! 皆、一気に仕掛けるぞ!」
と飛呂の言葉に皆頷き、闇狼達の狭間を素早く駆け抜ける。
『ウウ……!!』
と、そんなイレギュラーズ達から距離を取るように、ちょっと後ずさりする彼。
しかし、瞬く間に後方にジェイクが回り込み、退路を封鎖。
前も後ろも足止めされた彼へ……鏡禍が。
「もう、大丈夫です。貴方をこれ以上苦しめたりはしません……だから、大人しく、して下さい」
と一言を紡ぎ、そして応じるようジェイクの不殺の一撃が撃ち放たれ……彼は苦悶からの絶叫の後に、その場に崩れ墜ちるのであった。
●拾われる命
そして……狼達を全て倒して小一時間。
『……ぅ……ぅ……ん……』
冷たい岩肌に転がった青年が、ぼんやりながら意識を取り戻す。
『……? あれ……ここは……? おれは……確か……ここに妖異があるって……思って……ええっと……』
まだ完全に目は覚めていない模様。
更に、服は傷だらけで、身体の節々も悲鳴を上げている。
『……いててて……なんだよ、くそっ……』
その痛みに顔をしかめつつ、周りを見渡すと……そこには、イレギュラーズ達の姿。
「……目、醒めましたか? お体は、大丈夫ですか?」
鏡禍が心配そうな表情で声を掛けると、彼は。
『だ……大丈夫だけど……なんだよ、あんたらは……?』
流石に人気の無い、こんな洞窟だから他に人は来ないはず。
不意に気を失い……そして目を覚ましたら、8人が周りに居て……声を掛けてきたとなると、不信感を持つのも仕方ないだろう。
そんな彼の言葉に、陵鳴が。
「キミは、ここに何しに来た? 怪異を調べに来たのか?」
と問い掛けると、段々と意識もはっきりしてきた様で。
『……ああ、その通りさ。この世は何だ? 突然天災の様なのが訪れて、よくわからんうちに街は破壊された。報道機関は天災だと繰り返しているが、そんな訳ねえだろう?』
「そうか……調査能力は確かな様だな。だが……キミに戦う力は無い。キミは襲われ、オレ達が助けた……事の次第だ」
陵鳴の言葉に、周りの仲間達が頷く。
そして彼も…靄に包まれたような記憶の中から、何となく……そうだったような、と思い始める。
その表情を読み解きながら、美南が。
「……ヒーローになりたければ、まずは人に頼ることから始めないと。善美一人で抱えてもそれは蛮勇さ☆」
ニコッと笑う美南に鏡禍も。
「そうです。その正義感は素敵ですが……一人で走るのはほどほどに。さもないと……今度は本当に、命を失ってしまうかもしれません」
真剣な表情で言う鏡禍……戸惑う彼。
「ともあれ、今回は無事で良かったですね? 取りあえず、今日の所は帰った方がいいよ?」
「そうですね……肩を貸しますから。ほら、掴んで下さい」
と鏡禍が彼に肩を貸し……否応なく彼を洞窟から退出させる。
そして……彼が退出した後の洞窟で、メーヴィンと飛呂が設置物等を細かく調査。
ぽつんと置かれた祭壇を一思いに破壊し、後はめにつくものも全て破壊。
「……これで良し……でしょうか?」
「ああ……ま、後は少し経過観察だな。何かあれば、また事件が起きるだろうさ」
「そうですね……」
ミザリィとジェイクの言葉の通り、何かを祀っていたのか、それとも召喚しようとしていたのかは分からない。
だが……今すぐに何かが起きるという雰囲気も無い。
何も怒らない事を祈りつつ……残るイレギュラーズ達も、その場を後にするのであった。
成否
成功
MVP
状態異常
なし
あとがき
再現性東京依頼に参加頂き、ありがとうございました!
彼の真実を追究する姿勢は、ある意味今の再現性東京を変える切掛だったのかもしれません……ね。
GMコメント
皆様、こんにちわ。緋月 燕(あけつき・つばめ)と申します。
今回は怪異の調査を進めていってしまい、夜妖に取り憑かれてしまった青年の救出依頼となります。
●成功条件
滝壺の裏に向かい、夜妖に取り憑かれた青年を救出する事です。
●情報精度
このシナリオの情報精度はBです。
依頼人の言葉や情報に嘘はありませんが、不明点もあります。
●周りの状況
都内近郊の小さな滝壺が舞台です。(イメージとしては都内の大規模な公演に「払沢の滝」みたいなのがある感じです)
この滝壺の裏には洞窟があり、そこには夜妖が根城にしている場所があります。
青年はここに足を踏み入れてしまい、夜妖に取り憑かれてしまいます。
皆様がとうちゃくするのは取り憑かれてほんの少し経った頃なので、夜妖化しつつある状態です。
このまま放置すれば彼は夜妖と化してしまい、人を殺す事だけしか考え無くなるでしょう。
辛うじてまだ人の心が残っている状態なので、彼の心に呼びかけて足止めした上で、彼を倒す事が必要となります。
尚、滝壺の裏故他の人が足を踏み入れる事はありません。ただ滝の音がかなり大きいので、声で意思疎通をしようとすると結構大変かもしれません。
●討伐目標
・この事態をよしとしない『怪異調査の青年』の夜妖
半ば夜妖に取り憑かれてしまっている青年です。
夜妖の影響により、その爪は鋭く、長く生えておりそれで切り裂く攻撃を行います。
又、苦しみの叫びを上げることで、イレギュラーズの皆さんに呪いのバッドステータスを範囲付与してきます。
体力はそこまでおおくありませんので、一思いに倒すのならそこまで難しくはないでしょう……ただ、今回は彼を救出する必要があるので、出来る限り不殺にする様御願いします。
・夜妖に使役されし『獰猛なる闇狼』達
夜妖によって召喚される狼です。
知能は無く、ただ目の前の相手を喰らう事しか考えません。
攻撃力と素早さに秀でており、主人である青年夜妖を護る様に戦います。
それでは、イレギュラーズの皆様、宜しくお願い致します。
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