PandoraPartyProject

シナリオ詳細

滅亡を願う暴徒

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング


 宗教団体セフィロト。
 シャイネンナハトの聖女を信仰対象としているらしいが、争いをやめない人類は滅ぶべきという終末思想を説くなんとも物騒な邪教である。
 教祖アイン・ソフ・オウルとセフィラと呼ばれる幹部達。
 ここしばらく各地で活動が活発になっており、少しずつ存在感を示すようになってきていた。
「その信徒達が最も得意としているのは、世論操作という話です」
 『穏やかな心』アクアベル・カルローネ(p3n000045)が天義の一都市リチュアに集まるイレギュラーズへと今回の依頼の説明を行う。

 一時、天義の上層部では保守派と革新派の確執が深まっていた。
 あわや国を二分する内戦に発展する寸前ではあったが、革新強硬派の失踪もあって事態は収束に向かう。
 ただ、セフィロトにとってこれは面白くない状況であったらしい。
「彼等は元の世界へと帰ることを悲願としています」
 旅人で構成されるこの団体はその願いだけを見ればある意味で純粋なのだろうが……、手段を選ばないのが問題だ。
 先の確執、対立もセフィラの1人、第五セフィラ『ゲブラー』の画策によるものであるらしい。
「『告死鳥』ロレンツォ・フォルトゥナート……この人は天義の滅亡を願っているそうです」
 そうなれば、無辜なる混沌をも滅亡へと近づけ、この世界から解放される。ロレンツォはそう考えているらしい。
 無論、混沌に住む民として、同じ旅人であっても混沌に生きる民として、彼等の所業を見過ごすわけにはいかない。
「直にこの街でテロリストが活動を始めるはずです」
 市民を装うその連中は、この街の重要産業である神具、祭具を作成する場の破壊を目論む。
 こうした箇所の破壊を行い、敢えて、上層部が保有する組織などを匂わせる証拠を残すことで天義内の対立を煽るのがテロリストの目的だ。
 加えて、テロリストにもそれぞれの思惑があるようだ。
「テロリストはセフィロトの信者の他、七剣星と呼ばれる暗殺者集団も力を貸しているようです」
 敵もこれ以上計画を失敗させたくないのだろう。自分達を制圧しようとする者へと徹底的に抵抗するはず。こちらも応戦してテロ行為を止めてしまいたい。
「総数は20体程度ですが、その編成まで割り出すことはできませんでした」
 テロリストもそれぞれの目的で行動しているはず。その動きには注意を払いつつ、撃退したい。
 また、なんといっても天義の街中での戦いとなる。住民の安全はもちろん、その住民の目もあり、下手に命を奪うわけにもいかない。
「考えることは多く、少し戦いづらい面もあるかと思いますが、最優先は街の安全です」
 ――皆様でしたら、穏便に解決できると信じています。
 アクアベルはそう説明を締めくくったのだった。

GMコメント

 イレギュラーズの皆様こんにちは。GMのなちゅいです。
 こちらは、るうGM企画<滅亡結社セフィロト>のシナリオです。
 皆様のご参加を願います。

●目的
 テロリストの撃退

●敵……テロリスト×20体
 一見すれば天義市民に扮して破壊活動を行う集団です。その実所属は2種に分かれていますが、その内訳は不明です。

◎宗教団体セフィロト
 終末思想を教義とする邪教。各地で暗躍しております。
 セフィロトの教義を広める為、争いを誘発することを主目的としています。

○ブルーノ・ハトルストーン
 テロを先導する上級信徒。直属の上司となる幹部は不明です。
 神聖術を使って天義にて神官職にもついていますが、呪術に関する研究を行い、かなり精通しております。
 戦闘にも呪術を使用し、嬉々としてそれを披露しようとします。

○セフィロト信者
 宗教団体セフィロト信者達であることを隠して
 主にハンマーやフレイルといった鈍器を使い、破壊活動を行います。

◎暗殺者集団七剣星配下
 中華系の出身世界では最凶の暗殺集団とされていた暗殺者の配下達。
 上記のセフィロト信者より明らかに格上の力量があります。
 こちらも破壊活動には鈍器を使いますが、対人戦では仕込み杖や毒針、ナックルダスターなどを使い、暗殺者として立ち回るようです。

●概要
 戦場となるのは、天義の一都市、神具、祭具製作で知られるリチュア。
 真昼間から、テロリストは製造工場、工房、作業場といった場所を襲撃しようとします。
 OPの情報から先手を取ることができます。
 街中での戦いとなる為、住民の避難と合わせて敵の破壊活動を食い止める必要があります。
 事後はもしかしたら、いい神具などの道具を見つけることができるかもしれません。

●情報精度
 このシナリオの情報精度はBです。
 依頼人の言葉や情報に嘘はありませんが、不明点もあります。

 それでは、よろしくお願いいたします。

  • 滅亡を願う暴徒完了
  • GM名なちゅい
  • 種別通常
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2022年05月22日 22時05分
  • 参加人数8/8人
  • 相談6日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

メルナ(p3p002292)
太陽は墜ちた
天之空・ミーナ(p3p005003)
貴女達の為に
カイン・レジスト(p3p008357)
数多異世界の冒険者
ライ・リューゲ・マンソンジュ(p3p008702)
あいの為に
フラーゴラ・トラモント(p3p008825)
星月を掬うひと
イルマ・クリムヒルト・リヒテンベルガー(p3p010125)
生来必殺
ヴュルガー(p3p010434)
フラッチェ
朱雀院・美南(p3p010615)
不死身の朱雀レッド

リプレイ


 聖教国ネメシスへと至ったイレギュラーズはその足でリチュアと呼ばれる都市へと向かう。
「やれやれ、最底辺のチンピラ共が小癪な真似を」
 身体を強化された元軍人女性、『含牙戴角』イルマ・クリムヒルト・リヒテンベルガー(p3p010125)が毒づく。
「この前はアドラステイアの一味と戦ったが、今度はセフィロトとかいう手合いか」
 クールで落ち着いた印象をした『フラッチェ』ヴュルガー(p3p010434)は天義が内戦状態にあるのかと考え、あまりに悪すぎる治安を指摘する。
 何せ、終末思想を持つセフィロト信者、及び協力者である暗殺者集団七剣星の配下達がテロを起こすというのだから、穏やかではない。
「ふふ……争いを止めない事が悪だなどと、全ての生命を否定するに近いですよ」
 聖職者の衣装を纏う『あいの為に』ライ・リューゲ・マンソンジュ(p3p008702)が淡々と説く。
「生命はすべからく争い他の命を奪い生きている……。優しい外観を繕っている者も、聖女と呼ばれようとも、大人も子供もすべからく」
「……まあ、終末思想なのに、やる事が破壊工作と扇動なんて小癪……と言うのはちょっと脳筋かな」
 ライの高説を聞きながら、小柄な黒髪の冒険者、『数多異世界の冒険者』カイン・レジスト(p3p008357)はあまりに単純かつ極端な思考と行動をするテロリストに呆れてしまう。
 そもそも、このセフィロトなる団体の考え方にも、皆あれこれと苦言を呈していて。
「帰りたいとかいう気持ちはわからんでもないんだがねぇ……手段が間違いなんだよな」
「無辜の民を戦禍に巻き込まんとするやり方は、気に入らないよね」
 見た目は黒髪の少女だが長寿の旅人である『黒花の希望』天之空・ミーナ(p3p005003)も多少の理解を示した上でセフィロトのやり方に異を唱えると、同じく旅人であるカインも同意して。
「帰りたいと願うのは至って普通の事だろうけど……その為に混沌を滅ぼすなんて」
 銀髪青目の『揺らぐ青の月』メルナ(p3p002292)もまた旅人だが、やはり彼らの主張のすべては受け入れられず。
「この世界の人達も、この世界で生きる決意をした旅人達もいるのに、そんな事は認められない」
 ……お兄ちゃんなら、きっとそう言う筈だから……!
 それは、メルナにとって最大の行動原理である。
「同じ悪の秘密結社っぽい組織とはいえ、一般人を巻き込むテロを敢行するなんて言語道断!」
 自称、悪の秘密結社に改造された『不死身の朱雀レッド』朱雀院・美南(p3p010615)もそのやり方に異を唱える。
「正義を倒すのなら正々堂々! が真の『悪』というものだよ☆」
「まったく……滅ぶのならひとりで滅べばいいのに、一般市民を巻き込むなんてなってないね……」
 狼の獣種少女、『星月を掬うひと』フラーゴラ・トラモント(p3p008825)もドライな態度ながらも、ぽつりと一言。
「おしおきしなきゃだね」
「すべき事は多く、此方の手は少ない。それでも失敗する訳には行かないよね!」
 カインの言葉に頷くメンバー達。
 程なく、目的地リチュアへと至り、すぐさま行動に移るのである。


 改めて、リチュアは神を崇拝する天義にあって、祭事、神事に使われる道具を多く生産している。
 それらは工場、工房、作業場と多くの場所で多数の住民によって手掛けられており、彼等もまた敬虔なる天義の一員として、神の為、そしてその代行となって職務を遂行する人々の為に力を尽くして一つずつ道具を製作している。
 8名のイレギュラーズは3班に分けてそれぞれを重点的に警戒し、テロリストの早期発見、鎮圧に乗り出す。

 工場では主に大量生産の必要な物が製作される。加えて、メンテナンスを要する機器の整備、保守なども行う為、規模が大きくなるのだ。
 そちらへと向かったのはA班、メルナ、ミーナ、イルマの女性チームだ。
 いくつか大きな工場に目を付けた面々は、ミーナのコネクションを利用して巡回しながら不審人物の目撃証言がないか調査する。
「……思った通りだな」
 ミーナが事前に要注意対象と考えていたのは、工場をジロジロと眺める人物。地元民なら当たり前の存在であるはずの工場を眺める者が怪しくないはずもない。
(怪しまれないように『演技』もしっかりと……だね!)
 逆に自分が怪しまれないようにと、メルナは工場見学者を装って工場内部へ。
 初夏にも差し掛かろうかという時節だが、妙に着込んだ人などはメルナも要チェック。ただ、信者はともかく、暗殺者集団がわかりやすい見た目をしているとはメルナも思っていない。
(……あの人、それにあの人も)
 その感情を探れば、メルナにも見えてくる。
 市民に扮する信者のテロ行為実行に対する焦り、不安。
 暗殺者集団の底冷えするような殺意。
 メルナは見定めた者達の動きを警戒して。
(天啓に頼るまでもなかったな)
 さすがに工場の規模ならば、数名で動かねば大きな被害とはならない。
 だからこそ、そいつらはある程度固まって行動する。
「どんな信条を掲げようと所詮は烏合の衆」
 そいつらに向け、イルマが高らかに告げる。
「一匹残らず、その腐った性根を叩き潰してやろう」
 フードを被ったままの男を守る様に、信者が数人集まってフードの男の前に出る。
 どよめく工場関係者の中からメルナが殺気を感じる傍で、ミーナが目の前の不審者へと視線を向けて。
「ま、私には恨みも何もないがね、神として教えてやるとしますか。……死神だがね」
 高める魔力を霧氷魔として展開し、敵へと浴びせかけていった。

 工房は錫杖や彫像などの他、工芸品等も手掛ける。師弟関係の中で物品を製作することが多い場所だ。
 性質上、工場よりも数は多いが、工房は材料調達の都合もあってある程度集まる地域が存在する。
 工房地帯を巡るのはB班、カイン、美南ペアだ。
「この工房を守る為にも、よろしく頼むよ♪」
 美南は危険が近づいていることを伝えて一時避難するよう人々に伝える。
 数々の危機を救ったイレギュラーズだ。人々も素直に従ってくれるのはありがたい。
 カインもまた直感を信じて避難を呼びかける。聞き分けの良い人ばかりなのは助かるところ。
「あれは……」
 工房では知名度の高い親方等が狙われる傾向にある。中心となる者が不在となれば、その工房が立ち行かなくなることを見越しているのだろう。
「ん……」
 鈍器は隠し持てば目立つ。カインはそれを発見すると、美南も攻撃的、破壊的な感情を察知すれば、程なくしてそいつらが本性を現して武器を振り上げようとする。
 それを美南は見逃さず、職人を守る様に前に出て。
「卑怯者達には少しだけ痛い目を見てもらおうか! それが怪人たる僕の務めさ♪」
 自分達の動きが筒抜けだったことに、テロリスト達も驚き戸惑っていた。

 作業場は比較的小規模人数で製造に携わる人々の空間。
 装飾用の細工の他、天義有力者の絵画も手掛けることがある。精巧さを要求される物は個人で製作を行うことも多々ある。注文が多く集まるのは技量が高く、知名度の高い職人だ。
 こちらには、C班、フラーゴラ、ライ、ヴュルガーが当たって。
 何より面倒なのは、作業場は自室と兼用だったり、個室を別所に借りていたりとあちらこちらに散開している。
 数は多いが、フラーゴラは地図、そして作業場とその周辺を瞬間記憶で頭に叩き込み、同班メンバーと共有する。
「ええ、ええ、争いを鎮めたい……それ自体は素晴らしい事ですとも」
 目を付けた作業場内及び近辺の人々へ、ライは優しく敬虔なるシスターを演じ、本心と異なる言葉で説く。
「皆様、近隣の家屋より火災の知らせです」
 ライは適当に彼らを言いくるめ、安全の為と近場の広場まで一時避難を促していた。
 ヴュルガーは飛行して高いところから街を見下ろす。貰った情報と実際の地理を照らし合わせ、何かあった時確実に最短ルートで迎えるように備える。
(暴力に依存する小規模の反体制集団はたいてい自己アピールを重視する)
 自分達の主張ありきな暴徒達が動き出す前に、あぶり出せれば……。
 人々の避難を進めるフラーゴラは、救助の遅れている住民を援助しつつ、周囲の人々の服装もチェックする。
 ボディチェックのようなものと考えるフラーゴラだが、一般市民を装ってどんな風に隠し持とうが、殴打武器は目立つ。
「なんか、セフィロトだか七剣星とかいうクソ雑魚チンピラなめくじ集団が付け火して空き巣を働いてるようです。どなたか見てませんか?」
 ヴュルガーへと害意が向けば、敢えて煽った本人にとっても思惑通り。
「そいつだ」
 そこで、飛来するヴュルガーが指し示し、かつフラーゴラも武器の所有を確認していたこともあり、ライがそいつへと言い放つ。
「今この戦いは、お前たちがさっさとくたばればすぐに鎮まるんですけどね」
「くそっ!」
 信者達はすぐさま、取り出した武器を振り回し出したのだった。


 天義の都市リチュアにて活動していたテロリスト。
 それらを抑えるイレギュラーズの作戦は功を奏し、上手く釣り出せたようだ。

 工場は規模もあって、関係者も多数いる。
「回復と援護は任せるね、二人共!」
 イルマが彼らの避難を進める間に、名乗りを上げるメルナが身体を張る。
「「はあああああっ!!」」
 フレイルやハンマーを振り回して殴り掛かってくる信者。その姿はとてもではないが、一般市民とは思えぬ姿だ。
 向かい来る信者からの殴打を受けるメルナをミーナが癒す。
 初手こそ、ミーナは氷の術式を敵陣へと浴びせていたが、しばらく防戦メインとなる為、イルマの癒しへと回る。
「今は耐えるぞ」
 自分を含めた回復支援を行うミーナは号令も出して敵の攻撃をやり過ごす。
 フードの男は間違いなく先導する上級信徒ブルーノだろうが、敵も人目を気にしてか、まだ神聖術による信者の強化に当たっていた。
 それだけに、信者の攻撃も油断ならない。
 また表に現れている敵の数が4人と少ない。
「奇襲には気を付けて」
 メルナは皆に警戒を促しつつ、強化された鈍器の一撃を丁寧に受け止めていた。
 少しすれば、工場から関係者が出たことで、イルマも参戦する。
「愚かなテロリスト共には厳しい罰を受けてもらう」
 暴力と恐怖によって人々を支配せんとする輩はイルマにとって終生の敵。
 距離をとるイルマは信者達を狙撃し、的確な狙いでその意識を奪おうとする。
「終末思想とやらを信じるのは勝手だがな、無関係の他人を巻き込む奴はゲス野郎だ」
「……ふん」
 フードの男がそこで鼻を鳴らし、本格的に呪術の詠唱を始めてくる。
 それに合わせるかのように、物陰から現れた暗殺者……七剣星配下の者達が動き出すのだった。

 とある作業場の近辺にて、テロリスト達が動き出す。
「いくぞ、全てはこの世界が悪いのだ」
 我らは被害者だと、信者らは自分勝手な主張を行い、イレギュラーズ目掛けて攻撃を仕掛ける。
 ここでは暗殺者も一緒になって襲う。最初、4人だった敵は7人にまで増えていた。
 その多くが積極的に前に出るライへと集まるが、本人にとって深まる傷は望むところ。
(予め、回復の必要がないことは伝達済みです)
 平和の祈りを捧げ、ライはしばらくテロリスト達のターゲットになり続ける。
 何せ、街中での戦いだ。最優先は人々が狙われないように立ち回る必要がある。
 構えたライフルを連射し、敵へと降り注がせるヴュルガー。
 テロリストらが住民を盾にせぬように。接近を試みるだけでも、彼は即座に狙撃し、牽制する。
「くっ……!」
 殴打武器を持つ相手は信者だが、それをサポートするように暗殺者は動く。対人戦となれば、彼らは得意の暗器を利用してくる為、正体はわかりやすい。
 そいつの視線がヴュルガー以外に向いたところで気配を消していたフラーゴラが奇襲をかける。
 明らかに敵意を抱いたテロリストを、フラーゴラは魔弾で撃ち抜く。
 一度穿たれれば、魔弾はテロリストの体を侵し、内部から動きを阻害する。
 当然、敵はフラーゴラも警戒して殴り掛かってくるが、彼女はさほど意にも介さず。
「呪術使いはこの場にいないようだね」
 今は市民や仲間に攻撃を向かわせないことが優先と判断し、フラーゴラはタンクとなって攻撃を引き付ける。
 傷の深まるライから徐々に攻撃を引き付けるウエイトを高め、彼女は相手の殴打、暗器による攻撃を受けつつ、その攻撃を瞬間記憶して。
「……見切ったよ」
 敵の癖を把握したフラーゴラはそれを逆手に取り、極小の炎乱と散らす。さながら、花吹雪にも見えるその一撃を浴びた信者は膝から崩れ落ちてしまう。
 それでも、敵の数の方が多いという状況はしばらく変わらなかったが、十分に復讐の力を高めたライがロザリオに祈りを捧げ、魔力でできた50口径の祈りを撃ち込んで倒してしまう。
 そうなれば、劣勢を察した暗殺者はあっさりと姿を消してしまい、残るは信者のみ。
 フラーゴラは市民を混乱させぬよう神聖の光で1体を沈黙させていたが、ヴュルガーは遠距離攻撃で敵の太ももを撃ち抜いて。
「大人しくしてもらおう」
 観念したのか、その信者は両手を上げていた。

 そこから比較的近い工房でも、テロリストとイレギュラーズが交戦する。
「フハハハ! 僕こそが悪の秘密結社『シュヴァルツァーミトス』が所属、怪人『不死身の朱雀レッド』さ!」
 美南は偽善を謳う連中に悪の鉄槌をと敵陣に特攻する。
 暗殺者の姿もちらほらあったが、美南は構わず炎を撒き散らしていた。
 血を滾らせて力を高めるカインはそんな中、美南に関心を示さず破壊活動を行おうとする敵から神気を浴びせて無力化を狙う。
「逃がしはしないよ」
 カインは素早く動く暗殺者の挙動を把握しつつ、そちらへと優先して攻撃する。
 瞬く光に焼かれた敵は歯噛みして毒針を吹き出すが、カインは自ら号令を紡ぐことでそれを瞬時に打ち消してしまう。
「カイン君には指一本触れさせないさ☆」
 それ以上は攻撃させぬと美南はそちらの暗殺者へと特攻して。
「うおおおお! あっちぃぃぃ!!!」
 賢者を名乗りそうな誰かを思わせる叫びを上げた美南はそいつの体を焦がす。
「体力は少なくなっているから気を付けて」
「勿論! 無駄な殺生は流儀に反するからね☆」
 思いもしないイレギュラーズによる鎮圧手段に、さすがの暗殺者達も素早く身を引くしかなかった。
 残る信者は4人。彼らもまたカインと美南の鮮やかな手並みになすすべなく投降していた。

 工場での戦いが最も苛烈な状況となっていたが、それはセフィロト上級信徒であるブルーノ・ハトルストーンの存在が大きい。
「折角だから、一度は実戦で試さねばな……!」
 フードを被ったそいつは薄暗い光を放ってくる。
 相手にこの上ない苦痛を与える呪術。やはり、メルナがそれを受け止める形となるが、審判の一撃で抵抗しつつ立て直しをはかり、加えてミーナが号令を上げてメルナを万全な状態へと戻す。
 また、イルマは跳躍し、工場の機器をたどって高い場所から敵を狙う。
「人類は滅ぶべきと言うのなら命など惜しくあるまい? ならば、地獄など生温い。ムショの中で一生この世の地獄を味わうんだな?」
 彼女の銃弾は的確に信者を倒すが、慈悲を与えた一撃で急所を外すあたりはさすがだ。
 だが、単騎で飛び回る彼女を、暗殺者も見過ごしはしない。
 2人がかりで奇襲をかけた敵が彼女を切り倒して卒倒させ、その勢いでメルナやミーナの攻略にも移る。
 ただ、そこに工房、作業場からメンバーが駆け付けてくれば状況が変わる。
「……失敗か」
 一つ溜息をついたフードの男は暗殺者から渡された煙幕を使い、その場から姿を消したのだった。


 一通りテロリストを退ければ、イレギュラーズは巻き込まれた人々の救助活動へと移る。
 メンバー達が敵の活動より早く発見できたこともあって、被害は軽微で済んだ。ただ、その間物品の生産は止まっていたし、テロの対象となったことを知った人々は不安を覚えてしまう。
「使い方教えて」
 フラーゴラは神具を手に取って世間話をすることで、彼らの気を紛らわせようとする。
 なお、神具にはヴュルガーや美南も興味を示し、もらえないかと交渉していた。なお、この場にあったのは、皿や容器、香炉とミサなどに使うものらしい。
 また、テロリストを捕らえたカインは縄で縛り付け、武力解除させて無力化する。
「本拠地を吐いてもらおうか。喋らなくてもいいけど、私は拷問得意だぞ?」
 ミーナは信者達へと大鎌を抜いてプレッシャーをかける。
 なにせ、ミーナは死神であり、元暗殺者。尋問はお手の物だ。

 リチュアでのテロ行為は未然に防ぐことはできたが、セフィロトの活動はこれからも続くはず。
 イレギュラーズはしばらく、この団体の動向に注意を払うことになるだろう。

成否

成功

MVP

メルナ(p3p002292)
太陽は墜ちた

状態異常

なし

あとがき

 リプレイ、公開です。
 MVPは工場で敵の攻撃の引きつけに当たっていた貴方へ。工房で特攻していた貴方にも称号をお送りさせていただきます。
 今回はご参加、ありがとうございました。

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