シナリオ詳細
<Celeste et>ハンティング&キャンピング!
オープニング
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鉄帝国南部の町ノイスハウゼンの上空に発見された浮遊島「アーカーシュ」。
古の魔王の居城が存在するなど、様々な伝説があるこの島はかつて探索しようとした鉄帝国の調査隊が全滅したとも言われ、いつしか存在すら忘れられてしまっていたが……。
「なんでも、その調査隊は島に到着していたって話さ」
ノイスハウゼンへと集まるイレギュラーズ達へと、『海賊淑女』オリヴィア・ミラン(p3n000011)が説明を始める。
現在でも島は危険が多く、踏破できぬ状況とのこと。
ただ、そんな中でも調査隊は安全を確保した狭い領域にレリッカと呼ばれる村を作り、その子孫が暮らしている。
だが、その数も環境の厳しさから減少の一途をたどっていた。
それを伝えてくれたのは、レリッカからやってきた3人の少年少女だったという。
「鉄帝もこの知らせを受け、新たな調査隊を結成したのさ」
危険な地ということもあり、実績も力量も十分なローレットにも調査依頼が舞い込む。何せ、イレギュラーズは覇竜の地でワイヴァーンを手懐けた者もいるのだ。
この1件における鉄帝の派閥闘争も気になるところだが、それはさておき、依頼を受けたからにはしっかりとこなしたい。
「アタシらイレギュラーズの任務はこのアーカーシュの探索、地図の作製だな」
とはいえ、探索に当たっては危険な場所も多く、少しずつ探索領域を広げていきたいところ。
オリヴィアが依頼を受けたのは、とある湖付近の探索だ。
レリッカから程ない場所にある湖で、村民も釣り等に立ち寄ることもあるが、危険な生物も闊歩している為立ち寄る者はあまり多くないとのこと。
「この湖の近くで野営して、危険な古代獣を討伐してほしいのさ」
湖はただ湖と呼ばれているそうで、1周2~3キロ程度。
レリッカの民が安心してこの湖へと足を延ばせるようにしてほしいのと合わせ、どんな生物が生息しているのかを確かめたい。
湖の畔でキャンプを行う形となるだろうが、日中の間にレリッカの民から目撃証言のあった古代獣、スカーレットコンドル3体とワイズクラブ2体を討伐したい。
古代獣の生息域は不明だが、下手に交戦すれば別の古代獣から奇襲を受ける可能性もある。戦い方は自由だが、上手く対処して討伐に当たりたい。
夜はそれらを食料とすることもできるだろう。もっとも、古代獣は全て食べられるとは限らないが……。
「野営道具はレリッカの人達からも借りられる。好きなものを食べたいなら持ち込みも手さ」
夜は見張りを立てつつ、休息をとるといい。
古代獣も野生の獣。火を絶やさなければ、夜の間に襲ってくる可能性は低いだろう。
オリヴィアは纏めた古代獣の資料をイレギュラーズへと手渡してからこう続ける。
「鉄帝国内とはいえ、未知の地だ。油断するんじゃないよ」
そう締めくくったオリヴィアは、空へと舞うイレギュラーズを見送り、手を振るのだった。
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浮遊島アーカーシュ。
空を浮かぶこの島へと上陸したイレギュラーズは、レリッカの民と挨拶し、依頼のあった古代獣討伐を行うべく目的の湖へと向かう。
湖の周囲は林になっていて、日差しを防ぐこともできる。まだ暑さを感じるには早いことに加え、地上からの高さもあってか木陰は少しだけ寒さも感じる。
湖は見渡せるくらいの広さがある。水質は悪くないが、底の方までは見通すことができない。
さて、一泊二日の日程でこの湖にて野営を行うイレギュラーズ。
問題の古代獣をどうやっておびき寄せるかなどを考えつつ、メンバー達はこの湖の畔でテントを立ててから、野鳥を観察したり、釣りをしたりと過ごすのである。
- <Celeste et>ハンティング&キャンピング!完了
- GM名なちゅい
- 種別通常
- 難易度NORMAL
- 冒険終了日時2022年05月16日 22時40分
- 参加人数8/8人
- 相談5日
- 参加費100RC
参加者 : 8 人
冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。
参加者一覧(8人)
リプレイ
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鉄帝上空に浮かぶ浮遊島「アーカーシュ」。
ワイバーン等を使い、イレギュラーズはその地へと上陸して。
「ひわ……、ここがアーカーシュ……。ほ、本当に空に島が浮いてるのね……」
『パープルハート』黒水・奈々美(p3p009198)は高所恐怖症らしく、その高さに身震いしてしまう。
「ね、寝てる間に島ごと地面にドーンなんてならないわよね……?」
ただ、そんな杞憂を抱いていたのは、奈々美だけだったようだ。
「みなさまとキャンプ! ニルはとってもとっても楽しみなのですよ」
「アーカーシュでキャンプか。こないだは空から俯瞰しただけだからな。今回はがっつりと調査するぞ!」
『陽だまりに佇んで』ニル(p3p009185)、『それいけ柔道オクトパス』コータ・ヤワン(p3p009732)も強い意欲をもってこの探索に臨む。
「アーカーシュでキャンプやってみたかったのよ」
未知の場所を探検しながら戦闘も出来る。『白騎士』レイリー=シュタイン(p3p007270)は一石三鳥と考え、事後も含めて準備万全だ。
準備といえば、『敗れた幻想の担い手』夢野 幸潮(p3p010573)もかなり力を入れており、なんとトラックを持ち込んできている。その中に、幸潮は仲間から預かった荷物、キャンプ用の機材などを載せていた。
「フハハッ……空の上じゃのー。我もついに進出してしもうたか……」
島から下、鉄帝の地を見下ろし、幸潮は感無量と言った様子だった。
そんな顔見知りの多い今回のメンバーを見回す『炉火の番人』オウェード=ランドマスター(p3p009184)。
「まだまだ見つかっていない秘境も多いじゃろう……」
それだけに、彼も努力せねばと考えていた。
「インドア派だからキャンプとかやった事無いんだけど大丈夫かしら……」
まるで不安を感じぬ仲間の姿に、奈々美は本音を吐露する。
この地には、おっかないモンスター……古代獣も存在する。寝ている間にキャンプごと持っていかれたりしないだろうかと気をもんで。
「えと…… と、とりあえずみんなもいるし死なない程度にがんばります……」
仲間達の存在もあり、彼女も前向きに依頼に臨むことにしたようだった。
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さて、一行は一度調査隊の子孫が住むレリッカ村へと立ち寄ってから、目的地へと向かう。
まだ満足に地図もないという話である為、レイリーが超方向感覚を活かして地図を作製しながら進む。
その際、彼女は特徴的な樹、岩など目を付け、目印も入れていた。
仲間達の横を、幸潮がトラックを運転して並走する。
目的地への道は林で、多少草が生え、根が地面から出てうねってはいるが、悪路というほどではなく、十分走行できていた。
メンバー後方からは奈々美がエネミーサーチを働かせ、周囲を警戒する。
古代獣を早期発見できるよう注意していた彼女。さすがに道中で現地民と遭遇することはなかったが、予めレリッカにて村人から獣がいそうな場所、林や湖の地形について多少情報を仕入れていた。
程なくして、林を出たメンバーの視界が開けて。
「湖ー!! でっけー水溜まりー! 水浴びしたら楽しそうだな!」
ギフトによって仔竜の姿をした『紲家のペット枠』熾煇(p3p010425)はワイバーンと一緒に遊べば楽しいと語るが、やはり古代獣の存在が引っかかる。
「あれは自然の生き物じゃないのか?」
熾煇は外来種なのかと疑問も投げかけるが、危険な生物ならきちんと駆除していこうと仲間達へと促す。
「なるほどじゃな……」
移動の痕跡、獲物の捕食跡。
大きく頷くオウェードは早速周りを見回し、事前に聞いた情報と合わせて古代獣の居場所を探る。
できるならば新種の生物、動植物も発見したいところ。
ニルは保護結界を張って周囲を守ると同時に、2羽のファミリアーを羽ばたかせて様子も探る。
『魔法騎士』セララ(p3p000273)も視力の良さを生かし、温度視覚も加えて熱源を観察する。
鳥、動物、魚、花……ニルは見つけた物を逐一メモし、セララもそれらを効率重視で新発見できないかと探索していた。
コータや熾煇はワイバーンに乗り、湖を空から見て回る。
ここまで来る間もコータは猛獣使いの経験も生かしてタイニーワイバーンを駆っており、目印を日記帳に記す。
「後で地上探索している人達と照らし合わせたいな」
レイリーと合わせることで、地図の精度は高まることだろう。
熾煇もワイバーンに乗っていたが、ファミリアーでこの地のウサギを呼び出して索敵も行う。
「ん……?」
空から飛来してくる赤い物体。
それだけでない。湖の中からも何かが接近してきているのをファミリアーが察知している。
「うん、大丈夫!」
熾煇は同じく、古代獣の接近を察知したコータと共に、地上の仲間の元へと急ぐのである。
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地上でも、奈々美がいち早く古代獣の接近を察していて。
「く……来るわ……」
獲物と見定めたイレギュラーズを頭上から襲う3体のスカーレットコンドル……紅禿鷹。
そして、湖からも巨大な宿に隠れて近づく2体のワイズクラブ……宿借獣。
紅禿鷹の飛来を見て、じっと獲物を捕らえる機を見ていた宿借獣が動き出したということだろう。
「しかし、この地面……」
ニルは湖付近の地面にこびりつくゲル状の液体に疑念を抱くが、ともあれ目の前の古代獣を討伐する必要がある。
少し遅れて上空から戻ってきた熾煇が魔砲を発射し、両種1体ずつを纏めて穿つ。角度をつければ仲間を巻き込むことはないと、熾煇はさらなる一撃を準備する。
「動きを止めたいですね」
宿借獣はともかく、紅禿鷹はかなり素早い。ニルは気糸の斬撃を展開し、敵の体を縛り付けんとする。
クアアアアアアッ!!
ギラギラと目を輝かせた紅禿鷹が鋭い爪で掴みかかろうとするものの、そいつの前へとコータが躍り出る。
名乗りを上げるコータは敵の注意を引きながらも攻撃の機を窺い、敵の抑えに当たっていた。
敵の動きが少しでも止まれば、『セラフィム』のカードをインストールして変身したセララが雷光を纏った斬撃を紅禿鷹へと叩き込む。
どっしりとした体躯、かつ守りの硬そうな宿借獣よりは、紅禿鷹の方が倒しやすい相手と考えるのが自然だ。
「さぁ、私、レイリーシュタインが相手よ! かかってらっしゃい!」
大声で敵に宣戦布告するレイリーが宿借獣を1体ずつ引き付けるべく、槍を掲げる。
カタカタカタカタ……。
脚を動かし、叩きつけてくる2本の鋏。
その大きさもあって威力も相当なものだが、壁となるレイリーはしっかりとそれらを食い止めて見せる。
もう1体はオウェードが請け負う形だ。
「さあ来るがいい! この鎧はクチバシで貫く事は容易じゃないワイッ!」
見上げんばかりの体躯を持つ宿借獣。
対するオウェードは偉丈夫ではあるが、それでも古代獣からすれば獲物でしかなかっただろう。
激しく噴き出した水をオウェードへと浴びせかけ、宿借獣は彼に対してマウントをとろうとしていた。
「空を飛び回るコンドルみたいなのは、優先的に叩き落した方が良いと思う……」
いつものように後方に位置取っていた奈々美は戦場を見回しながらも、少し時間を使って詠唱する。
溜めたことで高まる魔力を、彼女は一気に解き放つ。
グゲエエエエエエッ!!
悲鳴にも近い叫びを上げる紅禿鷹だが、まだまだ戦意は衰えておらず、翼を広げてイレギュラーズを威嚇してくる。
(世界より生を賜うとは世界の定めし法則に倣う事に他ならぬ。ならば与えられしこの命に価値などなく、我在るべきは"虚栄世界"に相違なし)
そこで、幸潮は何を思ったか、万年筆を自らの心臓付近に突きさす。
「──なんてな。唯の口上さ。気にすんな」
ケラケラと笑うその体は全身に罅が入っていて。
紅禿鷹もその異様さに戸惑いを見せていたが、幸潮はその隙を逃さず万年筆を操りつつ絶望の海を歌う。
冷ややかエフェクトが空中を躍る中、響き渡る旋律が古代獣達の体を瞬く間に蝕んでいた。
古代獣は群れをなして襲ってくれば恐ろしい相手だっただろう。
ただ、今回現れた紅禿鷹と宿借獣は共闘をするわけでもなく、ただ自分達の強さを示し、獲物を仕留めようとしてくるのみ。
その立ち回りに注意するレイリーは敵の攻撃を盾で受け止め、槍を振るってその動きを食い止める。
「この程度の相手、私の敵ではないわ!」
林の木々、湖から距離をとって古代獣を引きつけるレイリー。それは、近辺にいるはずの無害な野鳥などの生物を巻き込まぬようにという配慮だ。
クエエエエエッ!!
やすやすと仕留められると考えていたであろう紅禿鷹だが、苛立ちげに翼を羽ばたかせて鋭い爪やくちばしを突き出すも、思うように攻撃できない。
コータはそれらを受け流し、衝術によってカウンターを打ち込み、大きく敵を吹き飛ばす。
紅禿鷹の態勢が崩れたところで、幸潮がさらに歌う。
「堕ちよ」
紅禿鷹の動きをさらに奪った幸潮は、そのうちの1体を見定めて。
「焼却ぅーっ!」
次の瞬間、紅禿鷹の体が大きく燃え上がり、地面へと墜ちていった。
宿仮獣を抑えていたオウェードだったが、敵が弱っていると判断すれば一気に勝負を決めにかかる。
全身をボロボロにしていた紅禿鷹は空中を旋回し、オウェードを強襲しようとするが、彼はその一撃こそ待っていて。
「これしきで、ワシを倒せるとは思わぬことじゃ」
片手斧を振り上げて敵を真下から切り上げたオウェードは、落下してくる敵目掛けて更なる一撃を見舞う。
全身を真っ二つに切り裂かれた紅禿鷹はもはや叫ぶことすらままならなかった。
仲間を失った紅禿鷹は激しく憤る。
クケエエエエエッ!
そいつは一直線に熾煇へと飛び、瞬く間に彼の意識を奪ってしまう。
熾煇がパンドラを使う間に、紅禿鷹は続いて遠方にいた奈々美目掛けて一気に距離を詰める。
思わぬ敵の動きに奈々美も対処できずにそのクチバシに穿たれてしまった。
奈々美もまた運命の力を縋っていたところ、コータが敵の動きを受け流して。
「盾や鎧が無くても、鍛えた体と技があれば獣の鉤爪だって怖くないんだぜ!」
急いで体勢を立て直した奈々美が高めた魔力を撃ち放つ。
「魔法少女だから魔法振り回すのは当たり前よね……♪」
見事に風穴を穿った禿鷹を墜とし、奈々美は一息つくのだった。
宿借獣は硬いヤドのおかげで効果的な攻撃を与えるのが難しくはあったが、ニルはそんな硬い相手に神秘の力で対する。
使用しすぎると披露してしまう。だからこそ、ニルはここぞというタイミングで敵の正面から極撃を打ち込む。
「今です!」
相手していたレイリーも仲間の状態に気を配りつつ、神威の一撃で敵の巨体を穿つ。
しばらく宿借獣は脚をばたつかせていたが、それも程なく完全に止まってしまった。
残る1体はオウェードが主に気を引いていたが、傷つく仲間を庇っていたことで攻勢がやや削がれていた。
「敵が村人を狙って来た油断を思い出したワイ……」
このまま新手が出なければよいが、油断は禁物。
オウェードが盾となり続ける間、コータが飛び込んで宿借獣の鋏による切りかかりを食い止めていた。
その動きは直線。ならばコータは積極的に受け止める。
「後は崩すだけだ! トドメは頼んだぜ!」
ここぞと飛び出すセララは再び天雷を愛用の聖剣で受け止め、一気に振り下ろす。
その巨体を駆け巡る雷撃に耐えられず、宿借獣は潰れるようにその動きを止めてしまったのだった。
この場の古代獣を討伐したメンバー達。
ニルの発見した液体は気になったが、新手が現れる様子はない。
「ニルは、パイを持ってきたのですよ」
仲間を癒すニルは、小腹が空いたメンバーへとパイを分け与えつつも、討伐した古代獣を見上げる。
「ところで……コンドルやクラブは、おいしいのでしょうか?」
討伐した獣もまた糧となる。大きなヤドや赤い羽根をレリッカへと持ち帰る気でいる仲間達をニルは興味深そうに見つめていた。
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襲撃してきた古代獣を全て討伐したイレギュラーズは、ある程度の安全を確保して……。
「キャンプだーーーー!」
叫ぶレイリーはテントを設営して野営の準備を進める。
「働かざる者なんとやら、だしね」
「雑用がんばります……」
主として雑用を請け負うコータや奈々美もその手伝いを行っていた。
その最中、戦闘中の罅がすっかり塞がっていた幸潮がギフトの万年室を使い、完成したテントを含むキャンプ地に迷彩を施す。なお、ここまで物資を運んできたトラックも同様の処置を施して発見し辛くしていた。
その間、探索を進めるメンバーも。
索敵時と同様に熾煇やセララは自然へと触れる傍ら、熾煇や幸潮が湖へと関心を抱いて。
「こんなこともあろうかと……持ってきておいた♡」
幸潮は用意してきたのは高性能ルアーにエフェクトを載せてひらひらと水中を動かす。
「俺も水浴びしたーい!」
ワイバーンにも水浴びするよう促す熾煇は水の中へと潜っていき、何か面白いものがないかと探す。
何も発見できないことをさほど気にすることなく、熾煇は水浴びを楽しんでいたのだが。
「ぬぉぉぉぁぁ助けてぇぇぇ」
突然、何かに水中へと引っ張られる幸潮。
湖の中に何かいたのは間違いなさそうだが、幸潮はルアーを回収できたものの、その正体を確認できず仕舞いだったようである。
設営を終えてからしばらく、仲間と共にバードウオッチングや遺跡の捜索を行っていたが、日が暮れるのは早い。
「カレーを作るぞー」
「カレーは楽しみね……。キャンプといえばカレーな所あるしね……。ふひ……」
レイリーが幸潮の拾ってきた木の実を割ると、奈々美もまたにやけながら人参やジャガイモの皮をむき始める。
「キャンプといえばカレー! なのですね」
ニルもそんな仲間の様子に合わせ、果物にナイフを入れていた。
幸潮はというと、石窯で飯盒炊爨の用意をしていたのだが。
(やっべちょっと焦がした まぁいいか……)
少しばかりご飯を焦がした幸潮だが、それをばれないようにと誤魔化す。
ここぞと成果を発揮したのはセララだ。
食べられる野草図鑑を片手に捜索した野草をサラダにし、見たことのない赤いリボンを思わせる野草もとりあえず食べてみようと彼女は口にする。
「世界で一番最初にこの新発見の野草を食べた人になれるからね」
その味はほんのりと甘く、新感覚の味。セララは嬉しそうにその野草を持ち帰ることにしていた。
続いて、コータが火を起こして鍋にかけた湯へと、セララが使っていたのは仲間達の仕込んだ古代獣の肉だ。
「サバイバルしてる感があっていいよね」
彼女は持ち込んだ肉、古代獣の肉とカレー鍋を2つに分けて仲間達が気兼ねなく食べられるようしていた。
「「いただきます!」」
両手を合わせてあいさつすると皆早速カレーを口にし、これぞサバイバルの醍醐味とばかりに笑顔を浮かべる。
「んんーっ、美味い! コンドルとかヤドカリもお腹いっぱい食べられるな!」
熾煇はにこにことどちらの鍋も食し、ワイバーンにも分け与える。余った肉はレリッカへと持ち帰ることにしていた。
「辛さがもう少し欲しいのう」
オウェードは香辛料を貰って自身の皿へと振りかける。
自分好みの辛いカレーと持ち込んだ甘いコーラ。オウェードにとってはこの上ない贅沢だ。
1人酒を嗜むレイリーも、おつまみを摘まみ、至福の一時といった様子。
セララは野外用紅茶満喫セットで淹れた美味しい紅茶と共に、カレーの味を堪能していた。
「皆とお話。楽しい!」
「まだ、お代わりあります」
皆でわいわい作り、緋を囲んで一緒に食べるカレーが、ニルは大好き。
美味しいと絶賛する皆の顔に、ニルは喜びを見出していた。
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食事を楽しんだ後は、見張りをしつつ休むことに。
「今日は疲れて気持ちよく寝られるなー!」
子供の熾煇は早く就寝し、他メンバーは交替で夜の見張り。熾煇も早朝にその役を担う予定だ。
「よ、夜の密林とかめちゃくちゃ怖そうね…… オバケとかでないかしら……」
夜更かしは得意とのことで、奈々美が最初にニル、セララと火を囲む。
ニルは眠らないとのことで、他メンバーと語らいながら朝まで火の番をするのだそうだ。
しばらくすると、メンバーが変わる。
コーラ片手にバードウォッチをするオウェードが幸潮に釣果を尋ねていたが、残念ながらボウズに終わったらしい。
コータはというと、眠気が来ないようにと今回の探索成果や戦いについて語る。
「もっと奥地まで行けば、何か見つかるかな?」
まだまだ駆け出しと自認するコータは、少しでも仲間達から多くを学ぼうとしていたようだ。
夜も更けてきて、メンバーが変わる間、ニルは暗視で周囲を見通す。
「夜だけしか見られないものも、あるでしょうか?」
湖や林で何かが瞬いているようにも見える。それらを調べれば、何か見つかるだろうか。
「あんまり火から離れるわけにもね」
夜は危険なことも多いが、直に熾煇も目を覚ますだろう。
レイリーは動かず火の番を続け、自然の中でしばらくニルと語らうのだった。
成否
成功
MVP
状態異常
なし
あとがき
リプレイ、公開です。
MVPは討伐にアシストを幾度も行った貴方へ。
また、お一方に植物命名権を付与させていただきました。
今回、新手の古代獣が姿を現すことはありませんでしたが、別種の何かが生息しているのは間違いなさそうです。更なる探索で発見できるかもしれません。
今回はご参加、ありがとうございました!
GMコメント
イレギュラーズの皆様こんにちは。GMのなちゅいです。
伝説の浮遊島『アーカーシュ』の探索、合わせて危険な生物の討伐を願います。
●目的
野鳥の保護及び古代獣の討伐
●状況
アーカーシュ傍にある湖の探検を願います。
湖付近で野営をして野鳥ウオッチングや釣りなどに興じつつ、襲い来る凶暴な古代獣討伐を願います。
もしかしたら道の生物が発見できるかもしれません。
●敵……古代獣(エルディアン)
古代の凶悪なモンスターの総称です。
現状レリッカの村民から出されている討伐依頼は下記2種。ただし、他にも出現する可能性がある為、油断は禁物です。
〇スカーレットコンドル(略称:紅禿鷹)×3体
全長3mほどの真っ赤な猛禽類。
急降下しての掴みかかり、クチバシ。羽ばたきによる態勢崩し、旋回して力を増すなど、一気に距離を詰めてからの直接攻撃を得意とします。
〇ワイズクラブ(略称:宿借獣)×2体
巨大なヤド込みで全長4mほど。
2本の鋏を使って叩きつけてきり、斬りかかったりするほか、強烈な水ブレスを放ってくることもあります。
●特殊ルール『新発見命名権』
浮遊島アーカーシュシナリオ<Celeste et>では、新たな動植物、森や湖に遺跡、魔物等を発見出来ることがあります。
発見者には『命名権』があたえられます。
※命名は公序良俗等の観点からマスタリングされる場合があります。
特に名前を決めない場合は、発見者にちなんだ名が冠されます。
※ユリーカ草、リーヌシュカの実など。
命名権は放棄してもかまいません。
※放棄した場合には、何も起りません。
●情報精度
このシナリオの情報精度はCです。
情報精度は低めで、不測の事態が起きる可能性があります。
それでは、よろしくお願いいたします。
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