PandoraPartyProject

シナリオ詳細

湯治とかなんとかいって顔の良いイレギュラーズを釣って温泉で煮込んで顔良出汁を取ればボロ儲けできるのでは?(リクエスト原文ママ)

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●湯治とかなんとかいって顔の良いイレギュラーズを釣って温泉で煮込んで顔良出汁を取ればボロ儲けできるのでは?(二回目)
「湯治とかなんとかいって顔の良いイレギュラーズを釣って温泉で煮込んで顔良出汁を取ればボロ儲けできるのでは?」(三回目)
 と、ローレットの出張所、喫茶スペースで突然なんか言い出したのは、そう、ヴェルミリオ=スケルトン=ファロ (p3p010147)さんである。スケさんは疲れていた。なんか最近、よく五右衛門風呂で煮だされる夢を見る。スケさんは骨なので、濃厚なダシが取れるかもしれない。何骨スープが採れるんですかこれ。ヤバくないですか?
「あー、良いあるな」
 そんなヤバい発言に、なんか「これから帰りにコスメ買いにいかね?」「ありよりのあり」とか言うギャルくらいのノリでOKを出したのが、李 黒龍 (p3p010263)である。黒龍はイケメンである。イケメンなのでダシをとられる側のはずだが、多分この時なんかつかれてたんだと思う。2月にギャルになったばかりだし。
「いや、これはビッグシノギの予感がしますぞ! 顔良しのダシと言えば、中国四千年の昔から伝わる伝説の栄養食――」
「中国なめてるあるか? いや、吾輩カオスシードだから、別に中国の出じゃないあるけど」
 こほんと咳払い。
「けど、仮にやるとして……ハイ・ルールとかどうするであるか」
「あー、やっぱり同士討ち判定になりますかな?」
 ふむふむ、とヴェルミリオ。黒龍は苦笑する。
「流石に身内を騙して、そいつの使った温泉の湯を売りさばこうとか言い出したら洒落にならんあるよ。普通に監視ものある」
「で、ありますなぁ~」
 はぁ、とヴェルミリオがため息をつく。
「いいアイデアだと思ったのですが!」
 そういう思考に到達するあたり、ヴェルミリオは本当に疲れているのだろう。それに相槌を打つ黒龍も多分なんか疲れている。
「個人的には、スケさんでダシとったらどんな味になるか気になる所あるが」
「ほ! じゃあ今度お風呂にでも行きますか!?」
「良いあるね~! 豊穣当たりの温泉とかどうあるか~?」
 ケタケタ笑いながら、二人は午後の貴重な休憩時間、ティータイムを過ごしている。ここまでなら、まぁ、よくあるちょっとした冗談、与太話で済む話である。
 だが!
 この時!
 ふたりの座るテーブルの下で、拮抗縛りされたまま転がっていた紳士がいたのである!
「デカイシノギの匂いがする……!」
 そう! 我らが紳士! 井さんだ!!
 井さんは、ウォーカーである。『井』みたいな形をした、『井』みたいな生き物であった。そして紳士であり、これまでローレットのイレギュラーズ達と共に、様々な活躍をしてきたのだ!
 その井さんが! テーブルの下にいた!
 あとは流れでお願いします。

●温泉魔人、ノ・ボセール
「いやぁ、温泉に招待してもらえるとは思いませんでしたなぁ」
「タイムリーな話あるねぇ」
 と、ヴェルミリオ、そして黒龍は言う。
 豊穣、温泉地。かつて変な爺さんが変な温泉を開業していたという呪われた地であるが、今は呪われた温泉もすっかり普通の温泉になり、まぁ普通の温泉になったので大丈夫です。
「いやぁ~~~~ローレットの皆さんにはいつもお世話になってますからねぇ~~~」
 と、井が、井の上の横棒の右と左をもにもにしながら言う。八名のイレギュラーズ達は、井に招待され、この豊穣の温泉地にやってきたのだ!
「早速ですが、是非是非皆さんで温泉に浸かってくださいよ~~~。
 混浴ですが、水着を着てるので問題なし! PPPは健全なゲームですからね!」
 ぴっ、と井の右上あたりの線をぴってする井。
「そうですな! さっそく入らせていただきましょう!」
 と、ヴェルミリオが言うので、皆はにこにこと頷いた。そのまま準備を済ませて、温泉に浸かる。
「いやぁ、依頼料がもらえて温泉に入れるとは、いい仕事あるね~」
 と、皆が肩まで温泉に浸かった瞬間!
「罠にはまったなイレギュラーズ!」
 と、井が両線の先をバーッてした!
「な、なんですと!?」
 ヴェルミリオが叫ぶ。
「くくく……僕はきいていたんですよ。
 「湯治とかなんとかいって顔の良いイレギュラーズを釣って温泉で煮込んで顔良出汁を取ればボロ儲けできるのでは?」(四回目)ってね!
 そう! そのシノギに! 僕は乗っかる! 皆さんは、既に湯船につかっている……このままダシをとらせてもらいますよ……!」
「くっ、やはり罠だったあるか! 井がこんな気前のいい話を持ってくるときは大体罠ある!」
 黒龍が温泉から飛び出そうとする――が、その行動を止める、巨大なぶよん、とした壁が!
「な――っ!?」
「くくく、皆さんは温泉から逃れることはできません! そう、この『温泉魔人、ノ・ボセール』が居る限りね!」
 気づけば、温泉の外周には、水の精霊だろうか? 半透明のぶよぶよした、水玉のような怪物が包囲している!
「温泉魔人、ノ・ボセール……?」
 首をかしげるヴェルミリオに、井はグハハって笑った。
「ノ・ボセールは、温泉でのぼせる人を見るのが大好きな精霊……。
 そう、つまり温泉でのぼせて、ほんのり上気した肌と脱力した体を見るのが大好きな精霊!
 あなた達には、ノ・ボセールののぼせビームを喰らって、なんやかんやで色っぽくのぼせながらダシをとられるのです!」
「な、なんて恐ろしい怪物あるか……!」
「ですが、この程度でスケさん達はダシをとられませんぞ!
 ノ・ボセールを倒し! 井殿を倒し! そして温泉を満喫して帰って寝ますぞ!」
 そういう事になった。
「くくく、やれるものならやってみるがいい! さぁ、ゆけノ・ボセール! 皆をのぼせさせてしまうのだ!」
 かくして、温泉での戦いが始まる!
 頑張れイレギュラーズ! 負けるなイレギュラーズ!
 負けたら色っぽくのぼせた所を井に凝視されて、あまつさえダシをとられて売られるぞ!

GMコメント

 お世話になっております。洗井落雲です。
 これはリクエストシナリオなので僕は悪くないです。

●成功条件
 温泉魔人ノ・ボセールを全滅させて井をていやーってした後温泉に入る。

●状況
 井がまたなんかたくらんでるので、ていやーしてください。
 ……というのもなんですので、ご説明します。
 皆さんは、井に招待されて、温泉へとやってきました。早速水着に着替えて温泉に……入った刹那、井は本性を現します。
 井の目的は、温泉魔人ノ・ボセールをけしかけ、皆さんをのぼせさせて、『上気した肌にぐったりとしたえっちなのぼせシーン』を堪能した後、温泉でダシをとって売る気です。
 そんなことをされては社会的生命の危機です! 止めなければなりません!
 というわけで、戦いましょう! 作戦戦闘エリアは温泉の中。特にペナルティはありません。ファイト!
 首尾よく倒せれば、普通に温泉を楽しめます。頑張れ!

●エネミーデータ
 温泉魔人ノ・ボセール ×4
 温泉魔人です。のぼせた人のことが大好きで、のぼせて上気した肌にぐったりと脱力した感じの絵を食い入るようにみます。
 温泉の東西南北を守護し、離脱しようとすると阻止してきます。なので、倒さなければなりません。
 温泉を利用した、神秘的な攻撃が得意です。温泉パンチ、温泉ビーム、温泉卵ランチャー、足湯クエイクなどなど、おなじみの温泉業ばかりですので、わざわざ説明する必要はないと思います!
 また、特殊スキルとして、以下の技を持ちます!
 
 ノ・ボセールビーム
  喰らうとのぼせ状態になる。なんか色っぽい感じに肌が上気して、脱力した感じになる。それ以外の効能はなし。

 恐ろしい技ですね! 喰らってください!

 井 ×1
  ノ・ボセールを倒した後適当にていやーってすれば倒せます。

 以上となります。
 それでは、皆様のご参加とプレイングをお待ちしております。

  • 湯治とかなんとかいって顔の良いイレギュラーズを釣って温泉で煮込んで顔良出汁を取ればボロ儲けできるのでは?(リクエスト原文ママ)完了
  • GM名洗井落雲
  • 種別リクエスト
  • 難易度-
  • 冒険終了日時2022年05月17日 22時05分
  • 参加人数8/8人
  • 相談8日
  • 参加費150RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

ヨゾラ・エアツェール・ヴァッペン(p3p000916)
【星空の友達】/不完全な願望器
ヨハン=レーム(p3p001117)
おチビの理解者
金枝 繁茂(p3p008917)
善悪の彼岸
ニル(p3p009185)
願い紡ぎ
ヴェルミリオ=スケルトン=ファロ(p3p010147)
陽気な骸骨兵
※参加確定済み※
李 黒龍(p3p010263)
二人は情侶?
※参加確定済み※
綾辻・愛奈(p3p010320)
綺羅星の守護者
リドニア・アルフェーネ(p3p010574)
たったひとつの純愛

リプレイ

●今回のあらすじ
 『希う魔道士』ヨゾラ・エアツェール・ヴァッペン(p3p000916)
 『Safety device』ヨハン=レーム(p3p001117)
 『メガネクラッシャー』金枝 繁茂(p3p008917)
 『陽だまりに佇んで』ニル(p3p009185)
 『陽気な骸骨兵』ヴェルミリオ=スケルトン=ファロ(p3p010147)
 『尸解老仙』李 黒龍(p3p010263)
 『亜竜祓い』綾辻・愛奈(p3p010320)
 『特異運命座標』リドニア・アルフェーネ(p3p010574)
 以上八名が温泉に入っているぞ!!!!

●本編
「おーっほっほっほっほ!!
 顔の良いイレギュラーズの出汁を売り捌けば、今度の馬券の足しになりましてよ~~!!」
 ばさぁ、と湯船から立ち上がり、ど真ん中で高笑いをあげるリドニア。
「そうです! これはビッグビジネスになりますよ!」
 と、井が湯船の外でぎゅるんぎゅるん回転した……それを見ていたヨハンが、うげぇ、と声をあげた。
「はじめてみましたが……なんなんですかこいつ。そこはかとないアライグマの残り香を感じますが……」
 ヨハンがジト目で井を見るのへ、井はぎゅるぎゅる回転しながら言う。
「ふふふ……ヨハン・レームきゅん。君には顔良ダシをとられつつ、エッチな顔で『ぼ、ぼく、もうだめだよぉ……』ってなってもらう! ニルくんと一緒にね!!」
「井様……ワカサギ釣りの時にお会いした、井様……?」
「ふふふ……その節は大変お世話になりましたね……! 今回もお世話になります……!」
 ニルがそう言ったので、井は、ぺこり、と体を折り曲げた。
「いや、そうじゃなくて。
 ヴェルミリオと黒龍はどうなってもいい。
 僕だけは助けてくれ……いや、リドニアもどうなってもいいや……自業自得のオーラを感じる……」
 ヨハンがそういうのへ、「まぁ」とリドニアが声をあげる。
「何が自業自得なのですの!? 私のせいではありませんわ! 前評判抜群の万馬券だったのにシンボダイウラテイシップ(馬の名前)が馬群に沈むヘタレだったのが問題だったのですのよ!」
「しってる? 前評判抜群の馬って万馬券にならないんだわ」
「どうして……こんなことに……」
 愛奈がふらり、と倒れそうな様子で頭に手をやった。すでに温泉はホッカホカなので、じわじわとその肌に、頬に赤みがさしている。
「私はただ……温泉を楽しみ来ただけなのに……」
「温泉は楽しんでもらいます!」
 井が叫んだ。
「ただ、ちょっとエッチな感じでのぼせて欲しいのと、顔良ダシをとらせてもらいたいだけなのです!」
「そもそも、顔良ダシとはいったい何なのですか……?」
 愛奈が困惑した様子で尋ねる。解説をお願いします、黒龍さん。
「うん、顔の良いイレギュラーズを煮込んでとれるダシあるね……まさか実在していたとは……」
 わなわなと震え寝あがらいう黒龍だが、今回の件の発端の一人はこの人です。
「しかし! そう簡単にダシはとらせないあるよ! というか、人を煮込んでダシとるという発想がヤバいあるよ!
 それに吾輩やスケさん殿はともかく、いたいけな童や嬢ちゃんのあられもない姿を堪能する井とかいう奴、許せねえある!」
 今回の件の発端の一人はこの人です。びし、と指さす黒龍だが、井はぎゅるんぎゅるんと回転するのみである。
「ふむ……しかし、このままでは温泉から脱出できないのは確実」
 繁茂が言う。イレギュラーズ達の入っている温泉は、温泉魔人ノ・ボセールによって包囲されている。このよくわからん物体を倒さなければ、温泉から脱出することはできず――やがてはのぼせてダシをとられてしまうのだ! 恐ろしい!
「まずは、ノ・ボセールを倒すことを優先しつつ……井さん、お願いが」
「はい、何でしょう」
 井がぎゅるるって廻った。
「麺を……そうですね、中華麺がいいです。細麺と太麺を一通りに。用意してきてください。
 あと、温泉卵……は、ランチャーから射出されるらしいので、大丈夫ですね」
「え、麺?」
「はい、麺です。ああ、あと、水分も補給したいので、お水もたくさん用意してきてください」
「麺……なにかビッグビジネスの匂いがする……分かりました! もやしとかチャーシューとか醤油だれとかも買ってきます!」
 ぎゅおーん、と井が回転しながら去っていった。
「井ーさん、意外と素早いんだね……」
 ヨゾラが感心したように言う。お気に入りの、可愛らしくもどこか蠱惑的な水着。胸元の布が、ひらり、と温泉に湯気に踊った。
「えーと、とにかく。
 ここからは、温泉魔人をやっつければいいのかな?」
 んー、とヨゾラが小首をかしげる。ソウダヨ、とノ・ボセールたちが頷いた。
「でも、温泉で暴れちゃうと、温泉がダメになっちゃう……どうしたら!」
「任せてください。ニルが、結界をはります」
 にこにこと、ニルがその手を掲げる。すぅ、と澄んだ空気があたりを包み、保護の結界が張られたことを、イレギュラーズ達は知覚した。
「これで、温泉が壊れることはないのです」
「流石ですぞ、ニル殿!」
 ヴェルミリオがぱちぱちと手を叩いた。
「さぁ、ここからが本番ですぞ!
 湯治とかなんとか言われて温泉に釣られた挙げ句に出汁を取られかけるとは不覚! 黒龍殿とは冗談だよね〜って話していただけなのに! それに、湯治とかなんとかいって顔の良いイレギュラーズを釣って温泉で煮込んで顔良出汁を取ってボロ儲けしようと企むだけでなく、さらに顔が良いイレギュラーズのお色気シーンまで堪能しようなんて……厚かましいですぞ井殿! 魔人共々、成敗してくれる!」
 と、一息に言い放ったが、今回の件の発端の一人はこの人です。

●温泉魔人大決戦
 飛び交う温泉パンチ! 温泉ビーム! そう、皆ご存じの温泉技なので詳細は省くが、とにかく強烈な温泉の温泉が温泉する! 温泉の温泉に、イレギュラーズ達は翻弄されるが、しかしこちらも歴戦の温泉イレギュラーズだ! 温泉の温泉を温泉して抗戦する!!
「ははーん、洗井落雲、もう自分でも何書いてるか分かってないな?」
 と、ヨハンがそう言いながらせめてものコーパス・C・キャロルで応戦する。だが、温泉の前にはコーパス・C・キャロルとて無力なのだ……。
「しってた」
 ヨハンが諦めた様子でそういう。べちゃり、と温泉卵がヨハンの身体に着弾した。ランチャーである。白濁した液体が、ヨハンの胸のあたりからへそに向って、とろぅりとたれ落ちた。白い肌を、濁った白い液体が穢して
「やめろやめろ! 白身を白濁した液体って書くな!」
 ヨハンがうんざりした様子で叫ぶ。
「いけませんね。温泉卵ランチャー……おそらく洗井落雲は何も考えずに攻撃に設定したはずですが、いざリプレイを描き始めた時に『紅潮した体に白濁した液体は大変よろしくないのでは』と気づいたのでは……?」
 繁茂が戦慄した様子で告げる。はい。
「これはいけません……絵面が不味い。特に女子には不味い。いや、男子にも不味いのですがとにかく不味い! ええ、温泉卵は可能な限り、身体以外で受け止めましょう」
「……ですが、どうやって温泉卵ランチャーの攻撃から、身を守ればいいのでしょう……?」
 愛奈がそういう。ほのかに上気した肌は、すでにのぼせかけていることを現していた。すでに戦闘は中盤ほどに差し掛かっており、多くのイレギュラーズ達が疲労の様子を見せていた。のぼせ状態になってしまっては、本来のスペックを活用することができない!(今決めた)。むぅ、と繁茂が唸る。温泉……身を隠すような場所もない。
「ひとまず……温泉には桶があります。それを使って受け止めるのは……?」
 繁茂が閃いたように言うのへ、
「なるほど! 確かに、温泉には最強防具の桶があるよね!」
 ヨゾラがうんうんと頷く。白い肌に、ほんのりと染まる赤い頬。のぼせていた。その顔に温泉卵ランチャーが飛んできたので、
「いけません!」
 と、繁茂が身をはって受け止めた。
「繁茂様……!」
 ニルが心配げに声をあげる。ニルもすでに、その肌、頬は紅潮し、はう、はう、と熱い息を吐いていた(のぼせています)。この状況で白濁の液を被るのは大変に危険だ。
「大丈夫です……全てのセンシティブは、この私が受け止めましょう……それで満足ですか、井さん!」
「ただいまーっ!」
 ぎゅるる、と近所のお店の袋に麺とかチャーシューとかかってきた井が、温泉にやってくる。
「そうですね! 正直リプレイ書きながら『温泉卵が当たったらヤバいのでは?』って思いついてしまった自分に正直ちょっと引いています!
 そろそろ色んな方面から怒られそうな気がするので、繁茂さんには頑張っていただきたい!」
「ふふ……守っていきましょう……PPPのコンプライアンスを……!」
 繁茂がぐっ、と頷いた。
「繁茂君……ありがとう! これで心置きなくのぼせられるんだね……!」
 ヨゾラが言う。いや、それもどうかと思うが、心置きなくのぼせられるは間違いない。
 ありがとう、繁茂。ありがとう、繁茂。おかげでPPPのコンプライアンスは守られた。
「いえ……繁茂殿だけに全てのセンシティブを押し付けるわけにはいきませんぞ……!」
「ヴェルミリオさん……!」
「そう、スケさんなら……たとえ白濁した所で『大丈夫? カルシウムとけてない?』って言われるだけで済みますぞ!
 そう! スケさんはいわばおセンシティブキラー……この身、洗井殿の考えた策略などはすべて打ち返して見せる所存……!
 想像してみせください!
 温泉卵ランチャーを顔面に受けてもスケさんなら問題なし!
 温泉卵ランチャーを身体に受けてもスケさんなら問題なし!
 すなわち――スケさん、間違いなくMVP――!」
「やるあるね、スケさん……!」
 黒龍がごくり、と唸った。
「吾輩も死体だし、白濁した所で『大丈夫? ちょっとエンバーミング失敗した?』となる所あるが……いや、下手にイケメンあるから、それはそれでヤバいある。昨今はコンプラに厳しいあるからな……でも、そこをすべて解決できるある……スケルトン、恐るべしあるよ……!」
「なんでもいいのですけれど」
 リドニアが、ぶくぶくと温泉につかりながら言った。その顔は、普段の白さを引き立たせるように紅潮し、のぼせてとろんとした目が、いよいよ限界であることを如実に表していた。
「そろそろ皆さん限界ですわよ……?」
 確かに……例えばヨゾラなどは、湯船の縁に座り込んで、はう、と熱い息を吐いている。紅潮する白い肌は美しい。
「……あぁ、暑い……くらっとする……」
「ヨゾラ様も、なのです……? ニルも、ニルも……ほわってするのです……」
 その隣に、おもわず湯船にて弛緩し、はぁ、と熱い吐息を吐くニルの姿もあった。
「まずいですね……あそこに温泉卵ランチャーを着弾させてみなさい」
「間違いなく、PPPのレーティングが上がるあるな……!」
 繁茂の言葉に、黒龍が頷く。
「……レーティングが上がるのはいけません。書店でも売り場が奥の方になってしまいますから……」
 顔を赤らめながら(のぼせているので)愛奈が頷く。そう、今彼らはセンシティブガーディアンだった。ガーディアンズ・オブ・センシティブだった。彼らが戦わなければ、立ち上がらなければ、PPPのコンプライアンスが破壊されてしまう――!
「行きますぞ、皆様! 守りましょう、PPPを! スケさん達の手で!」
 おう、と仲間達は頷いた。想いは一つ。愛するPPPを守るために――!
「突撃ーっ!」
 スケさんの号令の下、仲間達は突撃した! 迎え撃つノ・ボセール! 決死の戦いが今、始まろうとしていた――。
「なんだこれ」
 ヨハンがぼんやりとそう呟いた。
「自分にもよくわかりませんね!」
 井がぎゅるる、って回った。

●スケさんラーメン新発売
 戦いは終わった。
 ノ・ボセールをすべて倒したガーディアンズ・オブ・センシティブ……いや、ローレットのイレギュラーズ達は、井をぼこぼこにした後、こうしてしっかりと温泉に浸かっているのである。
「ん……ようやく、落ち着けますね……」
 愛奈がそう言って、くぅ、と腕を伸ばした。程よい暖かさの温泉は、先ほどの戦いの疲れを、瞬く間に癒してくれるかのようだった。
「さておき……反省していますか? 井さん、ヴェルミリオさん、黒龍さん」
『はい……』
 と、井とヴェルミリオと黒龍が、隣の温泉に浸かりながら、正座していた。
「よいですか。お金を稼ごうとするのを否定はしません。が。手段を考えなさい。
 ヒトを傷つけるのは良くありません。
 ……のぼせるだけと言いましたか?
 いいですか入浴中ののぼせの症状というのは脱水症状を手始めに失神や不整脈や……」
 しっかりと説教を受ける三人。
「いや、井はともかく、吾輩はのぼせの方はノータッチで」
 そう黒龍が言うが、
「きいて! いますか!」
 と、愛奈が珍しく強い剣幕で怒るので、三人はしゅん、となった。
「えーと、まぁ。そのくらいでいいんじゃないですかね」
 ヨハンが言う。
「なんというか……これくらいなら、まぁ、ローレットではよくある事みたいですし」
「よくあるんですか? こんなことが?」
 愛奈が驚いた様子を見せた。よくある事なのだ。
「さて、らーめんも茹でないとね~♪」
 と、温泉場にガスコンロを持ち込んで、大火力でばーっと面を茹でるヨゾラ。
「えーと、そう言えば、何で麺を?」
 と、井が尋ねるのへ、ヨゾラは、んー、と口元に手を当てて、言った。
「それはこれからのおたのしみ! じゃあ、繁茂君!」
「はい、お任せを」
「え? 何でスケさん達の入ってる温泉に向かって、焔華皇扇をぶち込んでいるんですぞ?」
 と、ヴェルミリオが尋ねた通り、繁茂は強烈な火炎のスキルを、温泉に叩き込んでいた。ぐつぐつと温泉がその温度をあげ、徐々に徐々に、暑く、熱く、なっていく。
「決まっていますわ! ダシをとるんですのよ!」
 と、水着で仁王立ちをしているリドニアが、「おーっほっほほ」と高笑いをした!
「ダシ!? その設定生きてたの!?」
 ヨハンが驚いた様子を見せる。
「ダシ……つまり、この三人でダシを……?」
 愛奈も、さすがに驚いた顔を見せたが、
「……でも、やっぱりよくある事なのでしょうか……?」
 と、小首をかしげた。
「いや、さすがに温泉で煮られてダシとられたイレギュラーズは稀なんじゃないですかね?」
 ヨハンが諦めた様子で呟いた。
「大丈夫ですわ! プレイングにはちゃんと、ハイ・ルール順守、と書いてありますので! このプレイングが採用されたという事は、ローレット的にもオールオッケーって事ですわ!」
 リドニアが高笑いをする。まぁ、依頼を失敗させようとしているわけではないですし、お互いのプレイングでしっかりそういうふうに話し合って決めたことは察知できるので、今回はOKです(メタ的な話)。
「洗井落雲! やめろある! Okとか言うな! 吾輩も煮られてるあるよ!?」
 黒龍が叫び声をあげる!
「大丈夫です、ラーメンスープも、豚骨の他にネギやショウガ、ニンニクなども入れるでしょう?」
 繁茂がそういうのへ、黒龍は頭を振った。
「吾輩は香味野菜じゃねぇあるよ!!!! いくら火炎無効があるからって煮られて平気なわけないあるよ!!」
「そ、そうですぞ! あとほら、衛生的な問題とか大丈夫なのですかな!?」
「えっと、ニルは、ちゃんと煮沸消毒? するからへいき、って聞きました」
 ニルがにこっ、と笑った。
「ヴェルミリオ様、皆のおいしいになれるのは、とっても、とってもいい事なのです。
 よかったですね」
 純粋な笑顔で、にぱー、っと笑われたので、ヴェルミリオも何も言えなくなってしまった。そうこうしている間にも、ぐつぐつ、ぐつぐつと温泉の音頭が上がっていく。
「……スケさん、正直吾輩、スケさんでダシをとったらどんな味になるかなー、って考えたこと、今謝るあるな」
「吾輩こそ、変なリクエスト思いついて、申し訳ありませんぞ……」
 二人が、遠い目をしながら、そう言った。その隣で、井が逆さまになって湯船に沈んでいる。多分死んだんじゃないの?
「おーっほっほほ! これで名物が生まれて、私の懐も潤うというものですわ!
 次の重賞レースは前評判抜群の万馬券に全額投資ですわよー!!」
 リドニアが高笑いをする。
「だから、前評判抜群の馬って万馬券にならないんですよ」
 ヨハンが諦めた様子でそう言った。
 次第に温泉から良い匂いがし始めて、黒龍とヴェルミリオが段々と死んだ顔になっていく。麺の茹でられたにおいが鼻孔をくすぐり、
「きっと、素敵なおいしいができるのです」
 と、ニルがにこにこと微笑んでいる。
 愛奈も困惑はしていたが、しかし徐々に出来上がるおいしそうなラーメンの匂いに、ぐぅ、とお腹を鳴らしていた。
 やがて出来上がったスープに、醤油だれを混ぜ込み、細麺を入れて、もやしとチャーシュー、温泉卵でトッピングする。温泉に、香ばしいらーめのんのかおりが立ち上り、ヴェルミリオと黒龍が死んだような顔をした。
「たのしい温泉、おいしいスケ麺、ニルはとってもとっても「おいしい」です」
 ニルがそういうのへ、仲間達もにこにこと笑いながら、出来たラーメンを楽しくすするのでした。
 美味しかったです。
 完。

成否

成功

MVP

金枝 繁茂(p3p008917)
善悪の彼岸

状態異常

ヴェルミリオ=スケルトン=ファロ(p3p010147)[重傷]
陽気な骸骨兵
李 黒龍(p3p010263)[重傷]
二人は情侶?

あとがき

 僕もラーメン食べに行きました。

PAGETOPPAGEBOTTOM