シナリオ詳細
<13th retaliation>パン〇ラチオンを極めし者
オープニング
●無敵闘技者、参戦!
「ぬァーっはっはっはっは! 引っ↑かかっ↓た→なァー↑侵入者よ! 私がパ↑ン↓チラチオン↑(溜め)マスターであるゥ↓!」
なんかいきなりイントネーションに面倒くさい注記の入った声とともに、コーナーポストから謎の粘液を飛び散らせながら男が落下してくる。
……え、コーナーポスト?
俺らさっき大聖堂出て吹雪が出てきたな、アッあんなところに人形野郎がいるな! 呪物かな? そういう敵がいるって聞いた。なんだか眠くなってきた……クソッこの雪は仕組まれた罠だったのかZzzz....
「O↓f cour↑se!!」
めちゃくちゃ面倒くさいなこいつ。
つまりはここは夢の世界で、相手はリングじみた世界を構築した敵だということになる。ある意味階層主というか夢の主因というか。そういうアレであることは火を見るより明らかだ。
「覇竜の方でブラチラムドラゴンが出たからパンチラも出ると思ったら……! パンチラなのにパンクラチオンってどうなの?! パンモロだよね!」
皿倉 咲良(p3p009816)は以前の出来事から類推する相手の話をなんとはなしに情報屋にたれこんだ覚えがある。調査対象としてどうだろうと。言った記憶がある。だが、だからって調査成果がここで露見してもなにひとつ嬉しくない。思ってたんとえらく違う。
「悪いが隙だらけだな少女よ! はァー↑!」
中国拳法みたいなイントネーションとともに男、パンチラチオンマスターと名乗ったそれは咲良へと襲いかかる……!
●かはさておき
「うわぁこいつめちゃくちゃヌルヌルする! 攻撃が逸れた!?」
「ははははははは! イレギュラーズ諸↑君↓↓は少し滑らかさというかそういうものが足りないのかな? 足りないのだね? そう、この世界では『互いに肉体的ダメージを与えられない』! 私の役割は時間稼ぎなのでね、現実世界と同じ時間の流れるここで時間を適度に稼げば後はどうとでもなるのだ! 吹雪の中で命を落とす君達が待っているぞ! そう、肉体的にはダメージをうけない! 私はこの通りの格好、君達は恥じらう要素のオンパレードではないか! いけないなぁこれはいけない! 私に精神的損耗を強いるなんて夢のまた夢だな! 私のような共感性羞恥の強い男に何かしら恥ずかしい気持ちにさせてェ↓? その上で肉体的羞恥をかぶせてくるなんてェ↓? 無理だろうがなァ↑↑!!」
なんかこいつ対処法じみたことを自分からゲロった気がしない? 大丈夫
- <13th retaliation>パン〇ラチオンを極めし者完了
- GM名ふみの
- 種別通常
- 難易度NORMAL
- 冒険終了日時2022年05月03日 22時15分
- 参加人数8/8人
- 相談5日
- 参加費100RC
参加者 : 8 人
冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。
参加者一覧(8人)
リプレイ
●
「ンなァ~にがパンチラチオンじゃクソボケェ!」
「はぁ~全く長く生きているとロクなことがねえある。何が悲しくて我輩の様な顔が良くて罪深い色気を纏った爺が斯様な依頼に出向かねばならねえあるか」
「何がも何もォ↓? 我がパンチラチオンは天下無双ッ! 諸君の程↑度↑に合わせてこの! 私がッ! 出向いてやったのだよ甘ったれンなクソボケがァ!」
『最期に映した男』キドー(p3p000244)と『ギャル』李 黒龍(p3p010263)のキレと呆れの混じった非難に対し、パンチラチオンマスターは両手親指をガッて下に向けた。モザイクが入った。まあ彼らがこんな黒歴史品評会みたいな相手を倒さにゃならん状況に酷く不満を持つのは当然なのだが、多分君らが頭数に入ってたから必然的にネタのオーラに引き寄せられた可能性もあるよ。
「心のパンツ……パンチラ……なんだかよくわからないのです。闇市でいっぱい出たり、いっぱい編んだり、奪ったり……パンツ……とは……?」
『おかえりを言う為に』ニル(p3p009185)は、ぱんつというものがもう何なのかよく理解できなくなっていた。パンチラチオンとかいうアホ競技のプロを目の当たりにして、果たして何が理解できるというのか。もう何もわからない。見ろ、『あいの為に』ライ・リューゲ・マンソンジュ(p3p008702)なんて理解を放棄してビタミン剤に頼って脳を引っ掻き回して「傷が深い? わたくしが立ってるんだから深くなんてなかったんですよ」とか言わんばかりの狂気的な笑みをヘラヘラ浮かべ怖っ。こっっっわイッてんじゃんあれ。
「なんにもわかりません。共感性羞恥を相手に押し付けるとかそんな芸当はとてもとても」
「黒歴史を晒さないと勝てないとか、どれだけ底意地が悪いのこの敵!!」
「ってなんで褌派は不浄負けなんですか?! 少し濃い敵程度なら許せましたが褌派に対する差別では?!」
ビタミン剤を嚥下して人心地ついたライはへらっへら笑いながら自分にはそんなものありませんよって態度をしている。よいこのみんなはもう分かるね? こういうタイプはいきなり黒歴史を作り始めてMVP掻っ攫うような活躍を始めるやべーやつだってことを。でも『希望の魔法少女』マリア・ピースクラフト(p3p009690)はこのテのやべー敵の知識は乏しいしでも碌でもない過去はあるので相手を倒す見通しが立っているという、うん地獄かな? っていう。『神威雲雀』金枝 繁茂(p3p008917)が敵のアレさは脇において、褌はチラ通り越して不浄される(動詞)事実に異論を唱えているあたり、彼が褌派なのは確定的に明らかである。理不尽だ。
「いや確かに、ブラ〇ラムドラゴンがいたならそういうのいるかもしれないって言ったよ? 言ったけどこんな形で相対したくはなかったよ!!」
「『肉を切らせて骨を断つ』とはこのことですな! もっとも、スケさんは切らせる肉がないので結果的に致命傷ですぞ! ワッハッハッハー! ……ハァ」
覇竜で現れた明らか頭のネジ数本飛んでる亜竜をなんとか撃破した『正義の味方』皿倉 咲良(p3p009816)は、似たような亜竜が現れるのではないかと警戒を強めていた。まさかちょっと目を離した隙に深緑でこんなヤツが現れるなんて考えもしなかった。おのれナントカっていう調査スタッフ。『陽気な骸骨兵』ヴェルミリオ=スケルトン=ファロ(p3p010147)はそんな彼女の姿はさておき、調子コイてたんだろうなという過去が滲み出る素振り(悪い意味ではないが)を見せるあたりコミカル極まりない。
極まりないんだけれども絶対なにか一物もってるなっていう期待してはいけないタイプの期待感を漂わせていた。
……うんまああらためて並べ立ててもヤベぇ連中だ。異界のゴブリンに年齢不詳自称古物商妖艶ジジイに無垢食欲魔神に腹黒選手権暫定優勝シスターに魔法少女(30)に人格変遷極まりない鬼人種にズレ気味正義感暴走特急そして骨。ひとところに集めてはいけない類の連中が集まっちゃった感が凄い。
ところで黒龍、夢の世界なのをいいことにロングコートと顔覆うヴェールで現れてるのは何か意味でもアッ……。
●
「ヴッ……なんだその姿、黒龍お前……」
「ご存知……ないあるか!? 吾輩こそ、超加齢死ンデレラ、ヘイロンちゃんある!!」
割りとうわキツなことをしがちなキドーでも、流石にすべてキャストオフした黒龍の姿には思わずたじろいだ。パンチラチオンマスターは完全に虚を突かれた格好となり、足が止まる。そう、彼(彼女)はしゃなりしゃなりとしなを作って魅惑の黒タイツ脚線美中華ギャル姿で夢の世界に降り立ったのである。夢なんだからなんでもできるに決まってるだろ。
「ヴッッ……ワ……!」
「逃げるなァァァァ卑怯者ォォォォ! 逃げずに刮目しろォ! 吾輩はこのかっこうで夜の街を遊び回りギャル狙いの夜妖を退治したであるよ!」
なんかこの姿の黒龍、「cheerz(乾杯)」じゃなくて「恥悪ー死」っていってお湯割りのミニジョッキ掲げてそう。
「汝マジ卍〜☆」
「あああああああああああ」
精神的均衡を秒で崩して体調不良に陥った相手のパンツの紐をガッてしてパチンってするのは容易だった。誰だよこんな競技思いついたやつ。俺じゃねえんだ。どっか別の世界の先輩がこんなモン考えたんだよ。マジで。
「黒龍さん、骨は拾うね……アタシが恥をしのんで! 語ることで!」
ゴムを引っ張られ正気に戻ったパンチラチオンマスターは、続けて前進してくる咲良に飛びかからんとする。少なくとも外見出落ちではない、勝った!
「ほら、14~15歳ってさ、なんていうか、『恋多き者』じゃん。あたしもそうだったよ。だからさ、当時好きだった人に告白したわけ。……ラブレター、書いて、さ」
飛びかかり、その手が彼女の腹部にパンチかます直前でもみあげのあたりに指を絡めながら顔を僅かにそらして語る彼女の姿に膝をつく。
なおこの時点で女性陣(ライのぞく)は顔を覆い、男性陣は尊いものを見たように拝んでいた。戦えオメーら。
「その時、やっちゃったのよ。文面。──ポエム、書いたんよ」
あなたといる時間って
なんかわかんないけど
たのしくて、つらくても
がんばるそんなあなたの
すがたを見ると
きれいだなって、思うんだよね
「……ってさ」
黒龍、この時点で温度差で風邪をひく。
聞いてねえぞ。こんな純粋な黒歴史だなんて吾輩聞いてない。
「咲良さんが先鞭をつけてくださったなら私も詠まねば無作法というもの……聞いてください、『~あいの在処~†漆黒の堕天使ライ・リューゲ・マンソンジュ†』」
ライは恐る恐るパンツをぱっちんした咲良を受け容れるように腕を開き、ペンネームすら読み上げてみせた。
ドブの様なスラムで生きて来た身、羞恥なんて可愛らしい感情は残っていません
Love……それはまやかし、Money……これこそ力
偽りの世界と自分から目を背け、夜の街を彷徨う堕天使となるのです
この世界の言葉があいから始まるなんて欺瞞
Iの為だけを考えて、二人の相にはただ利害があるだけ
愛になんて満ちていない、哀しか生まないこの時代
藍に染まる空だけが私を癒す
「さぁ……」
「さぁではなく」
広げた腕、左側の肘を支点にして交通整理員のごとくグルグルと回転させながら即興ポエムを吟じてみせたライの姿に、イレギュラーズ一同は何が起きたのかという感じで心が支配されていた。今のは……いまのはまさか黒歴史を? ここで? 作ったのか?
「ハァ~~~~黒歴史ィ? パンモロどころかパンイチになるまで追い詰められた事なんざァ覚えてるだけで4回はあるが! その内1回は寒い寒いシャイネンナハトの夜にに海賊山賊のおっさん二人と凍死寸前じゃい! そのうち一人がギャグじゃなくマジな戦場で死んだ事によって、そんなふざけた出来事もかけがえの無い思い出にもなってしまった俺の気持ちが分かるか? 分っかんねェだろうなァ! 分かってたまるかゲロボケカス!!!」
キドーは今、ここは向かっていく場だとおもった。完全に硬直したライに同じく硬直した敵の姿は戦闘の均衡がガッチリ止まっていることを意味するわけで、今語った黒歴史……いや過去のリフレインだろうか。なんか笑い飛ばすに飛ばせなくなったエピソードと言う意味でまこと黒歴史にございってものを叫びながら突っ込んでいいた。パンイチで。
これなら負ける筈がない。ないんだ。俺が今一番黒歴史をうまく操れ
「パンチライアンス違反だ」
「えっ」
「パンチライアンス違反」
「お前露出してるじゃねえか!」
「かけがえの無い思い出を黒って呼ぶのはどうかとおもうんだ、私。涙拭きたまえよ」
パァン!
そうしてキドーはケツを叩かれた勢いで夢の領域ギリまで飛ばされ、その尊い隙を見逃さなかったライに2回くらいパンツゴムをパンされた。でかしたキドー。
「はずかしいこと……はずかしいこと……ええと、ええと。『はずかしい』は、服がとけたり、びやく? で体がぽかぽかするときのきもち……ですよね……?」
「……媚薬?」
ニルは仲間達の話を聞き、感情の機微を理解しようとして、咄嗟にそんな出来事が口をついて出ていた。繁茂は流石にオウム返しに返す。
「ニルはこの間……男の人が、裸で、ぶつかりあってるところを見て……なんだか、とってもとっても、そわそわ、したのです。……あれは、はずかしい、なのだとおもいます……」
情操教育が十分ではない秘宝種の恥じらいたっぷりな、しかし簡潔な言葉にさしものパンチラチオンマスターもグッて胸を抑えた。だが大きな隙を生むには至らない。かなりいい線いってたのだが。
「最近の黒歴史は、ちょっとした誘惑に負けて猫耳幼女になる薬を飲んでメイド喫茶で働いた事。いや、面白そうだなぁって興味本位で参加しましたし、やってる時はノリノリでしたけど、中身は成人した女性ですよ? 冷静になって客観的に自分がやった事を思い出してみたら、いい年して何をやってるんだ自分! ってなりません? ならないですか!?」
「なるほど、そういうのが『はずかしい』なのですね」
「あたしの体に恥じらうところなどありませんが!? ありませんが冷静になって考えたら……嗚呼もう!」
ニルの冷静な感想を前に、猫耳幼女(30)と化した過去を暴露する魔法少女の姿があった。キッ……ツ……。
斯くしてニルの隙を絶妙なタイミングで埋め合わせたアンナの功労により、パンチラチオンマスターは相討ち同然の形でまたパンツのゴムを引っ張られていた。
「これより語るは若さゆえの過ちでございます。あれは独り立ちしたばかりの頃……正直、数多くのダンジョンを踏破した上に不死身であったスケさんは天狗になっておりました」
胸に手を当てて現れたヴェルミリオは、しみじみと過去を語る。鼻がないのに天狗になれるんだな。
「駆け出しの冒険者たちを連れて、とあるダンジョンに挑んだのですぞ。声高らかに罠の仕組みを解説し、探索の際の豆知識など講釈を垂れておりました……つらい……気がつけば、宙に浮いていました……ええ、そうです。自分で解説した罠にひっかかりました! こんな単純な罠にかかる阿呆はいやしないとバカにした落とし穴に落ちました!! そんな阿呆がこちら!」
語ってる最中に辛さをありありと露出してくるヴェルミリオの姿には一同涙を禁じえない。だがその話は止まらず、とうとう彼のミスに到達する。不死身だからって罠の実演に入るの素晴らしい先例である。そのうえ骸骨触手プレイも披露したそうだ。まーニッチな話である。聞いてる側が膝から崩れ落ちる感じのやつだよ。
「最後は私ですか……フッ、ハッ……やられっぱなしではあなたが可哀想ですね。お相手しながら過去について話しましょうか」
繁茂はかなり複雑な事情をもつ者である。イレギュラーズになったばかりの頃は代替人格がいい感じに好きな人多そうなアレだったり、ちょっと再構築してからも希望ヶ浜の異空間で頭二つ在る異形から逃げるさなかで不用意に霊魂に触れようとして精神ちょっとやられたり、色々あった。それはともかく。
「喜ぶと思って全裸で自身の身体をお椀に見立ててお酒を注いではいどーぞ❤したり!
まったく交流がないのに文通をしようとしたり!!
依頼で温泉に入った時にセクシーシーンを提供したり!!!
依頼でそれが目的なのにつまんなーい♡とか依頼の相談でせんぱい❤と小悪魔ぶったり!!!!
触手風呂で触手まみれになったり触手を赤ちゃん扱いして触手のご機嫌をとったり!!!!!
浮いてることに気付かずそりゃあいろいろいろいろやってましたよ! 主にハンモが!!!!!」
だらしない体と強靭なイレギュラーズとしての実力を兼ね備え、男×男の畑の人々に新鮮な肥料を提供し続けたハンモに乾杯。
「それを知った私の気持ちを述べよ!!! おらッ!!!」
「ああああああ夢世界壊れちゃう!!!!!」
●
「ハァ、ハァ……なんて連中だ、この私の究極最強完全無欠のパンチラチオン空間をこんな早く攻略するなんっ……貴様ァ! 許さんぞ貴様ァ!」
「先程の恥ずかしさに比べれば、何ほどのものでもないでしょう。ぱんつを見せる程度、ちょろいもんです」
パンチラチオンマスターは現実に戻って早々、調子をゴリっと崩した原因としてライを敵と、悪と断じ攻撃を仕掛けにいく。それが彼女に誘導された結果だとは到底気付くまい。アレが悪いのだと思っている時間が、人間楽だという最悪すぎる陥穽。
「うァァァァァ!! わすれて、聞かなかったことにしてぇ!!」
「今日の雷は特別に痛いですよ! 轟け豪雷コレクトサンダー!」
前後不覚に陥ったそれは、横合いから突っ込んできて爆発とともに吹雪をドーム状に溶かす炎に巻き込まれるとは予想外だった。咲良の渾身の一撃で縫い留められ、続くマリアの雷撃に直撃を受けたザマは、先程までのウザいイントネーションなどなかったことになっている。
「みなさまの、『はずかしい』を忘れさせるために、早くばたんきゅーってしてもらうのです」
「……シテ、コロシテ……」
ニルの気糸で次なる逃げ場を奪われたパンチラチオンマスターは、その隙を逃すまいと飛びかかったヴェルミリオの剣戟をなんとかぬめりで捌こうとした、したのだが、すでに白骨死体のヴェルミリオが殺せというアンバランスさにクスッとしてしまった。馬鹿め罠だよそれは。
「恥ずかし、死にたい……いや死にたくはない……思い出させたお前が死ねッ!!!」
「汝マジ万死~☆」
繁茂は『この姿』になってから激情的な所作はそう多く見せていない。つまり『ハンモちゃん』時代についてどれだけの思いがあるか、という裏返しでもある。これは完全に相手が悪い。そんなもん思い出さなきゃ勝てないんだから。え、黒龍? もう現実に戻って尚ギャルってるこいつがこんなしてるだけで攻撃の合間にみんな乾いた笑顔で精神的均衡を保ってるのよ。……キドー? 夢で晒した無様の成果として起き上がれないまま悶絶してるから戦闘不能ってことでいいと思う。
「こんな、こんな馬鹿な話が、あってたまるか……!」
「せめて派手に消し飛んで、私達の心の慰めになりなさい」
這々の体で逃げ出そうとしたパンチラチオンマスターだったが、逃げられる筈がなかった。頑張ってもどうにもならない時は全然普通に存在する。ライに頭部を撃ち抜かれ、人形に戻ったそれにはもう語る言葉は残されていまい。
「みなさま大丈夫ですか? あの、ええと……痛かったり苦しかったりなら、ニル、回復します!」
「もぅマヂ無理……黒歴史の上塗りある……痛いとかじゃなくてもう遺体ある……」
「ハァ、ハァ……痛い、もう今までやってきた全てが報いになるこの状況が痛い……!」
ニルは仲間達がのたうち回り苦しむ姿に、治療が必要だと判断した。したんだけど、それではどうにもならなさそう。黒龍と繁茂の精神的ダメージが得に。
「どのお話も、ニルはとってもとっても素敵だと思ったのですけど」
「忘れ……忘れてっ……」
ニルの無意識の追い打ちに、顔を覆って止めに入る咲良。若い頃の苦労は買ってでもしろとはいうが、恥はかかなくてもいいのだ。その恥辱察するにあまりある。
「どうか、お互いに忘れましょう。この依頼の記録は封印指定です!」
「平穏は訪れました……この記憶が薄れれば皆さんの心の安寧も訪れるでしょう……」
ヴェルミリオが仲間達に言い含める傍らで、マリアは心からのドヤ顔と決めポーズでもう大丈夫と言い切った。残念ながら、今回の動向について記録がまるっと残るという事実を彼女はまだ知らない。そして、即席で恥をかいたライが枕に顔を埋めるのは早くて今晩である。
成否
成功
MVP
状態異常
あとがき
恥の多い人生を送ってきた皆さんはいい感じにこう。
……こう、強く生きて。
GMコメント
●成功条件
『パンチラチオンマスター』の撃破
●パンチラチオンマスター(現実)
名前は適当にプレイングで省略しましょう。文字数食うでしょ。
謎の闘技「パンチラチオン」を修めた男……と、いう妄想をなにかのきっかけに開花させた人形です。
『常夜の王子』ゲーラスの配下にあたる呪物、という扱いになり、内部には深緑で昏倒している誰かの魂が入っています。
恐らくは魂(武術の達人)+呪物(なにかそういうコンセプトだったと思われる等身大成人男性人形)の化学反応があったのだと思われます。
なお、夢の世界から帰還後に普通に戦っても防御技術(『捌き』の的確さや表面のぬめり)や命中(パンチラ精度)の高さが厄介な敵です。あとターン制限が地味にクソ面倒くさい。
●パンチラチオンマスター(夢世界)
物凄く強い成人男性。筋骨隆々、全身になぜか油じみたぬめりを帯び、流水のような動きで翻弄し、パンチラを強いてきます。男性の場合ズボンずりさげによるパンモロ、ふんどし派は不浄負けだ。
なお夢の世界の主である以上は彼の戦い方が全てであり彼に『正攻法では』勝てません。パンイチだからチラリもなにもねえもんだ。
ならどうすればいいのか?
彼の『心のパンツ』をちらりさせればいいのです。具体的には共感性羞恥が非常に強いためそこを突きます。
どうやって?
そう、その身に帯びたる恥ずかしい出来事を各々暴露しつつ相手にすきが生まれたところでそのパンツを引っ張って離せばこう、ちょっと痛いです。
ぬめりと体捌きでこういい感じに無敵感を出している彼にとって急所の近くを触られるのはある種の敗北宣言。『心のパンツ』、つまり相手の精神的強度をゴリゴリ削り取っていけばいずれ勝利にたどり着くのです。
……本当に何いってんのか分かりゃしねえな。
●重要な注意事項
このシナリオでは皆さんの恥を大なり小なり晒さないと敵が弱体化しないし夢の世界からの脱出も遅れます。
遅れると後述の茨があるので全滅の危険がぐぐっと上がります。NORMALでもね。
恥じらうものなどなにもない! とか言いつつさらっと言ったことが一般的に恥ずかちィ~~とかだと攻撃力が高いかもしれませんが無理やりそういうエピソードを生やすくらいなら最初から恥ずかしかった思い出話をしつつ中腰で組み合う姿勢を見せるのが吉。「我完璧だからそういうのないんで!」とか言った日にはそれが恥ずかしエピソードと化すぞ。胸に手を当てて考えろ、それでいいのかを。
●情報精度
このシナリオの情報精度はBです。
依頼人の言葉や情報に嘘はありませんが、不明点もあります。
●『茨咎の呪い』
大樹ファルカウを中心に広がっている何らかの呪いです。
イレギュラーズ軍勢はこの呪いの影響によりターン経過により解除不可の【麻痺系列】BS相応のバッドステータスが付与されます。
(【麻痺系列】BS『相応』のバッドステータスです。麻痺系列『そのもの』ではないですので、麻痺耐性などでは防げません。)
25ターンが経過した時点で急速に呪いが進行し【100%の確率でそのターンの能動行動が行えなくなる。(受動防御は可能)】となります。
Tweet