PandoraPartyProject

シナリオ詳細

甘い薔薇

完了

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

・甘い薔薇を咲かせましょう

「薔薇は素敵よね。いつだって食べたくなるわ」
「本当よね。摘み取ってそのまま食べてしまいたいの」

 顔立ちのそっくりな、二人の少女がいた。ひとりの髪色は青、もうひとりは緑。その少女たちは咲き乱れる薔薇の前にしゃがみこみ、指先で薔薇をつついている。

「そろそろ食べごろかしら」
「まだ早いわよ」
「えー、待てないわ」

 青い髪の少女が、薔薇の花をぷつんと摘み取る。そうしてそれを口に含み、ゆっくりと咀嚼した。

「うーん。ちょっと早かった」
「だから言ったでしょう」
「もう少し甘くなるのを待つのが良いわね」

 苦かったとばかりに、少女が舌を出す。舌先に残った花弁が、少女の口の中を彩っている。

「どの薔薇なら熟しているかしら」
「あっちのはどう」

 少女たちがあちこちの薔薇を千切り、口に含んでいく。甘いものが見つかる度、きゃっきゃっと声が響く。

 ここで咲く薔薇は、不思議な魔法にかけられている。咲いたもの全てが、甘くなるのだ。
 花が開いたばかりのものは苦く、一番美しくなるときに、ようやく甘くなる。舌の上でとろけるような甘さのそれは、少女たちを魅了してやまない。
 少女たちは魔法に魅せられるがまま、この庭に薔薇を増やし、薔薇園にした。そうしてここは、甘い花が咲き乱れる場所になったのである。

「私たちだけで食べるのは勿体ないわ」
「誰か呼びましょう」
「薔薇でケーキを作るのもいいわね」
「花びらを浮かべた紅茶を用意しましょう」

 少女たちは夢を見る。甘い薔薇に魅了される人が現れることを。

「さ、準備しましょ」

 ぷつりと千切られた花弁は、少女の唇に消えた。


・甘いお茶会を開きましょう

「薔薇の花、食べたことあるかしら?」

 首を傾げたのは、境界案内人のカトレアだ。彼女はどんな味だったかしらと呟きながら、本を丁寧に抱える。

「二人の少女がね、とびきり甘い味のする薔薇を育てているんですって」

 そっくりな容姿の少女二人が作り上げた薔薇園は、不思議な魔法にかけられている。咲いた薔薇は一番美しくなるときに、その花弁を甘くさせるのだ。

「そのまま食べてもおいしいのだけれど、あの子たち、ケーキや甘い紅茶にしてごちそうしてくれるみたい」

 お茶会、自由に楽しむと良いわ。
 カトレアは本を抱えなおして、ふわりと微笑んだ。

NMコメント

 こんにちは、椿叶です。
 甘い味のする薔薇を食べるお話です。このラリーは一章構成になります。

世界観:
 咲いた薔薇全てが甘くなる魔法のかかった、とある薔薇園が舞台です。この薔薇園には様々な種類、色の薔薇が咲き乱れています。薔薇は一番美しく咲くときに一番甘くなり、花が開き始めたばかりのときには苦い味がします。とある少女二人が、この薔薇たちを大切に育てています。

目的:
 少女たちが開くお茶会で、甘い薔薇や薔薇で作られたお菓子や飲み物を楽しむことです。
 少女たちは自分たちが育てた薔薇を、誰かに味わってもらいたいと思っています。薔薇をそのまま食べたいと言えば、極上の薔薇を差し出してくれるでしょう。また、ケーキや紅茶が飲みたいと言えば、美しく飾り付けられたお菓子たちが運ばれてくることでしょう。
 彼女たちは、自分たちの薔薇を気に入ってくれるひとが現れるのを楽しみにしています。自由に甘味を味わってください。

少女たちについて:
 薔薇園を管理している双子の少女です。青い髪の少女の名前は「スノー」、緑の髪の少女は「エリナ」です。甘く育った薔薇が大好きで、よく摘み取っては食べています。
 自分たちの自慢の薔薇を誰かが気に入ってくれるのを、非常に楽しみにしています。おいしい、甘い。そう伝えるととても喜びます。

できること:
・薔薇を食べる
・薔薇のお菓子やお茶を味わう
・少女と対話する


サンプルプレイング:

 わあ、綺麗な薔薇ですね。本当に食べていいんですか……? わたし、薔薇、食べたことない……。
 本当に甘い。砂糖菓子みたいなのに、薔薇の香りがほんのり。おいしいですね。
 紅茶にしてくれるんですか? どんな味なんでしょう、楽しみです。


 食べたい薔薇の色、食べたいお菓子などに希望がありましたらプレイングに記載していただければと思います。記載がなければこちらで薔薇やお菓子を選ばせていただきます。
 よろしくお願いします。

  • 甘い薔薇完了
  • NM名花籠しずく
  • 種別ラリー(LN)
  • 難易度-
  • 冒険終了日時2022年04月26日 21時40分
  • 章数1章
  • 総採用数3人
  • 参加費50RC

第1章

第1章 第1節

夢野 幸潮(p3p010573)
敗れた幻想の担い手

 ローレットで噂を聞き、境界図書館とやらに足を運んでみたのがつい先ほどのこと。いくつも集う物語から自分が楽しめそうなものを探していたところ、カトレアと名乗る女に出会ったのだ。そうしてあれよあれよという間にお茶会に誘われ、今に至る。

 庭園に咲き乱れる数々の薔薇。赤や白など、様々な色のものが咲き乱れている。己の高貴さを誇っているような、愛らしさを映し出したようなその姿は、可憐と称するのに相応しい。

「まあ、お客さんだわ」
「早速お茶会しましょ」

 きゃらきゃらと笑う少女たちが、ぷつんと薔薇を摘み取る。

 そうか。茶会、茶会か。
 この花達の前で、この姿は如何なものだろうか。そんな疑問が浮かんで、幸潮は万年筆を手に取る。そうして、白いロリィタを身に纏う少女に自身を変えてみせた。

「あら、かわいいわね」

 スカートの裾を恭しくつまんで、白の少女はお辞儀をする。

「ふふ、ありがとうございます」
「さ、薔薇からどうぞ」

 お皿の上に載せられた赤薔薇は、瑞々しい輝きを放っている。指先でそれを摘まんで、口の中に入れると、蕩けるような甘さが広がった。差し出された紅茶も蜜を混ぜたように甘く、思わず頬を押さえた。

「病みつきになってしまいそうです。よければ、おすすめのスイーツもいただけませんか?」

 白の少女の一言に、少女たちは嬉しそうに笑った。
 そうしてテーブルに用意されたケーキもまた、極上の甘さを誇るのだった。

成否

成功


第1章 第2節

チャロロ・コレシピ・アシタ(p3p000188)
炎の守護者

「こんなにきれいに咲き誇った薔薇、ほんとに食べちゃっていいのかな?」

 ひとつは黄色、ひとつは白、ひとつは赤。それぞれの薔薇が己の美しさや可憐さを示すように、その花弁を艶やかに広げている。棘に触れないように花をつつきながら、チャロロは少女たちに語り掛けた。

「甘い薔薇なんて、なんだかロマンチックだね」
「そうね。素敵でしょう?」
「食べて御覧なさい。きっと好きになるわ」

 少女たちに勧められるまま、赤い薔薇をひとつ摘む。指の間で鮮やかな色を放つそれを、口の中に運んだ。

「わぁ、ほんとにあまーい!」

 砂糖菓子を思わすほど、心地よい甘さ。しかし砂糖菓子にしては随分食感が柔らかく、華やかな香りがふわりと広がる。

「気に入ってくれてよかったわ」

 くすりと笑う少女に、チャロロもまた笑いかける。

「もっと食べたいけど、このへんのはまだ早いかな」
「ん、それは少し早いわ。でもそれくらいの苦さも悪くないの」

 少女が花びらを千切るのに倣い、花びらを摘まむ。舌の上に載せられたそれは、確かに少し苦い。だけどチョコレートのような味わいで、また一枚と食べたくなる。

「美味しいでしょ」
「とっておきのお菓子と紅茶も召し上がれ」

 少女たちが笑みを浮かべ、薔薇の花が添えられたケーキや、花弁が練り込まれた焼き菓子、薔薇の香りが漂う紅茶を運んでくる。可愛らしく華やかなそれらはとても美味しそうで、これから開かれるお茶会が楽しみになった。

成否

成功


第1章 第3節

ジョシュア・セス・セルウィン(p3p009462)
月夜の魔法使い

 カトレアに勧められてここに来たが、こんなにたくさんの薔薇を見るのは初めてだった。赤や白、ピンクをはじめとする薔薇があちこちで花を開かせ、ジョシュアの視線を誘う。

「綺麗に咲かせるのは大変ではありませんか」

 薔薇は育てるのが難しいそうだから。そう伝えると、少女たちは首を振った。

「大変だけど、そんなこと忘れちゃうの」
「咲いた後が楽しみだもの」

 薔薇を愛おしそうに撫でる彼女たちに、ジョシュアはなるほどと頷く。分かるような気がした。

 少女たちの指さす薔薇を一枚千切り、そっと口に運ぶ。すると馨しい香りと共に、蜜のような味が舌の上に広がった。思わず息が零れる。

「あの、この薔薇を使った紅茶も、飲んでみたいのですが」

 良いでしょうか。そう聞く前に、少女たちは歓声を上げて庭の薔薇を摘んでいく。

「特別に淹れ方を教えてあげるわ」
「花の量とか、コツとかもよろしければ」
「勿論教えてあげる」

 淹れたてのお茶の上に花をそのまま浮かべてもいいのだけれど、茶葉に香りを移してもいいのよ。

 少女の言葉と共に、ふわりとした香りの紅茶がカップに注がれる。鮮やかな色のそれに、花弁が数枚、はらりと落とされる。

「召し上がれ」
「ありがとうございます。いただきます」

 見た目も艶やかなそれは、味もまた華やかだった。真っすぐで心地よい甘さに、思わず頬が緩む。こういう紅茶は、好きだ。

 美味しい。そう伝えると、少女たちは嬉しそうに笑った。

成否

成功


第1章 第4節

「みんな喜んでくれたわね」
「美味しかったって。嬉しいわね」

 空になったお皿、ほのかに甘い香りが残るティーポッド。それをひとつひとつ眺めながら、少女たちはにっこりと笑う。
 楽しい楽しいお茶会は、これでおしまい。終わってしまうのは寂しいけれど、薔薇を気に入ってくれた人たちがいるのなら、それで良い。

 あと一枚だけと花弁を食みながら、少女は庭を眺める。薔薇に添えられた思い出と、思い出を彩る薔薇。どれも、大切なものだ。

 ここに来てくれたひとにも、そうじゃないひとにも、またこの薔薇を食べさせてあげられるときが来るだろうか。その時には、また違うお菓子やお茶をご馳走したいものだ。

 薔薇に指先で触れながら、少女たちは微笑む。来てくれてありがとう、と。

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