PandoraPartyProject

シナリオ詳細

そばとうどんとてってーと

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●筋肉が全てを解決する
 むかしじゃないあるところに。
 おそば屋さんとうどん屋さんがありました。
『おいらの蕎麦は鉄帝イチのできばえさ。闘技場のついでにたぐってってくんな!』
『おいどんのうどんは鉄帝でイチバンでごわす。食えば誰でも幸せになるでごわす!』
 力で競ってテッペンをとるお国柄がゆえか大体のお店が自分をその界隈でイチバンだと自負して猛進するのは鉄帝あるあるですが、今日はちょっぴり毛色が違いました。
『いんや……もしかしたらおいらの蕎麦はうどんよりウメェかもしれん。いや、美味い! 絶対うどんより美味い!』
『おいどんの作るうどんは蕎麦なんかよりずーっと美味いでごわす。100%中の120%でごわす!』
 鉄帝の商店街でこんな主張を始めたものだからさあ大変!
「蕎麦のが美味え!」
「うどんイズベストでごわす!」
 鉄帝蕎麦派と鉄帝うどん派が腕まくりをして商店街のあっちとこっちにずらりと並びます。
 腕自慢の男たちに女たち。見物人に野次馬に、飴売り籤売り賭け事屋まで乗り出しての大イベントになってしまいました。
 火事も喧嘩も鉄帝の花。ぶつかったなら腕っ節で決めちゃおうというのだから鉄帝の名は伊達じゃあございませんね。
 ですがひとつ。たった一つだけ問題があったのです。

「蕎麦派もうどん派も……イマイチ、キャラがよわいのです!」
 ドーンと両手でテーブルを叩く『新米情報屋』ユリーカ・ユリカ(p3n000003)。
 彼女の広げた依頼書には鉄帝にある総合商業街道がひとつ『クルップ商店街』の商工会長のサインと依頼内容が書かれていた。
 目を通そうとするイレギュラーズに被さるように身を乗り出すユリーカ。
「商工会長さんはこのイベントで大盛り上がりしたいのです! けど蕎麦派もうどん派も腕っ節はふつうだし、江戸っ子口調とごわす口調なこと以外これといった特徴もないし、その辺のふつーの人たちがわちゃわちゃするだけのイベントじゃあつまらないのです! ……と、言っているのです!」
 ばんばんとテーブルを叩くユリーカ。
「動かなければてこでも動かす。それが鉄帝魂なのです! つまりボクらに課せられた依頼内容は――」
 依頼書を掴んでたかーく翳す。
「『テコ入れ』なのです!!!!」

GMコメント

 やあ皆! 筋トレしてるかい!? 運動の後はココア味のプロテイン! ぼかぁM社のやつが大好きさ!
 今日の依頼は鉄帝依頼! 『ローレット? 魔種をぶん殴ったやつらだろ? いい筋肉してるぜ!』とばかりに歓迎ムードを出した彼らから普通に依頼が来るようになったみたいだ。
 ユリーカも言ってる通り、その内容はテコ入れさ!

【テコ入れ】
 鉄帝の蕎麦派とうどん派が予め決めた日時に集まり、どちらがトップオブ麺類かを決める戦いを始めます。当然ですが全員が武器を持って殴り合って最後に立ってた方が勝ちというルールです。常識ですね!
 ですがわりかしフツーの人ばっかりなのでイベントの面白みに欠けるってーことで、両派閥にナイショでテコ入れ人員を送り込むことにしました。
 皆さんはその人員となって、彼らのイベントを盛り上げちゃいましょう!

 すっごく簡単なプランを先に提案しておくと、PCさんたちが蕎麦派うどん派4人ずつに分かれて両派閥に参入。事前の打ち合わせ通りに白熱したぶつかり合いをして盛り上げるというのがあります。
 これはいっちばん簡単なやつなので、皆さんの特技や好みやキャラの強さを利用していっろんなプランを考えて見てください。
 例外的にどちらの派閥にも属さないって手も、ありかもしれませんよ!

【アドリブ度】
 ロールプレイをよりお楽しみいただくため、リプレイにはキャラクターのアドリブ描写を用いることがございます。
 プレイングやステータスシートに『アドリブ歓迎』『アドリブなし』といった形でお書きくだされば、度合いに応じて対応いたします。ぜひぜひご利用くださいませ。

  • そばとうどんとてってーと完了
  • GM名黒筆墨汁
  • 種別通常
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2018年08月09日 21時55分
  • 参加人数8/8人
  • 相談7日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

レンジー(p3p000130)
帽子の中に夢が詰まってる
アクセル・ソート・エクシル(p3p000649)
灰雪に舞う翼
ミア・レイフィールド(p3p001321)
しまっちゃう猫ちゃん
河津 下呂左衛門(p3p001569)
武者ガエル
ヒグマゴーグ(p3p001987)
クマ怪人
Briga=Crocuta(p3p002861)
戦好きのハイエナ
西園寺 姫乃(p3p005034)
想拳
ちくわちゃん(p3p005218)
ご当地ゆるキャラ

リプレイ

●うどんとそばとてってーと、ろーれっと
「わたしは断然そば派だね!」
 木箱の上に乗った『大賢者』レンジー(p3p000130)は両手を腰に当て、ぐいっと胸を張ってみせた。
「細いツルツルとした麺の喉越し、鼻から抜けるそばの香り……うーん」
 目を瞑って蕎麦の風味を思い出す。
 場にいる鉄帝そば派たちも目を瞑ってそばの感覚を思い出した。
 そう、ここは鉄帝商店街の蕎麦屋。こたび行なわれた鉄帝そば派VSうどん派の戦いにおけるそば派総本山。ないしは本拠地であり城である。
 周囲には『空歌う笛の音』アクセル・ソート・エクシル(p3p000649)の仕立てで用意されたおそろいのハッピやハチマキを着用した者たちが『そばは、いいよね』とか呟いている。
「うどんは太すぎるし硬すぎるから、顎が疲れてしまうし、それ自体に香りも無いからね!」
「そーだそーだ!」
「やはりそばが一番! 冷やして、ざるでいただくのが最高だよ!」
「そーだそーだ!」
「うどんは糖質の塊だけれどね、そばは健康にもいいんだよ! 血液もさらさらになるしね!」
「そーだそーだ、レンジーのゆーとーりだ!」
 後ろでめっちゃ追従してくるアクセル。
 静かに椅子に座っていた『クマ怪人』ヒグマゴーグ(p3p001987)が、用意されたざる蕎麦をすすっとたぐる。
 小さな椀には小エビと大葉の天ぷら。揚げたて熱々ではなくあえてさましたものが半分ひたされ、さまして冷たいそばつゆにつけることを想定した絶妙な衣厚とサクサク具合。蕎麦と共に囓ったならば、その感動を味わうことができよう。
「今回は……そうだな。蕎麦の気分といったところか」
 頭に黒いはちまきをきゅっと締めるヒグマゴーグ。
 こんな言い方をすると怒られるかなと周りを見たが、『じゃあ俺も』みたいなノリではちまきを締める鉄帝ヤングたちがあった。ヘンな話だが、勝負事があるとどっちかについて白黒つけようってのがここいらでの粋。たとえうどんとそばどっちも好きな人でも、気分でどっちかにつくのだ。そういう意味ではヒグマゴーグとて例外ではない。
 盛り上がる本拠地(そば屋)の様子にまあまあと手を翳してみせる『武者ガエル』河津 下呂左衛門(p3p001569)。
「拙者も断然蕎麦でござる。つるりとした喉越しに、芳醇に香る蕎麦の風味が堪らぬ。鰹の出汁が効いたつゆに山葵を添えたざる蕎麦は、この季節の凉を彩るのに欠かせぬ食べ物でござろう」
「そーだそーだ!」
「新鮮な素材を使った天ぷらが絶品な天ざるがやはり王道でござろうが、暑い日に敢えて挑む鴨南蛮なども乙なものでござるな」
「そーだそーだ!」
「また、食後の蕎麦湯。胃腸を休めると同時に、栄養豊富で身体作りに効果的でござるよ」
「そーだそーだ、下呂左衛門のゆーとーりだ!」
 今度もめっちゃ追従してくるアクセル。
「蕎麦の麺をそのまま揚げて砂糖をまぶした菓子もあり、その可能性は……」
 語りがヒートアップしていく。
 蕎麦語りでアツくなった本拠地のそば派たちはロックフェスの観客ばりにどうかしちゃっており、蕎麦をこねる棒や長ネギを振り回し今にも蕎麦をうたんばかりだ。
 と、そこへ……若いそば派が店内へ転がり込んできた。
「てーへんだてーへんだ! うどん派がついに表に出やがったい!」
「なんだって?」
「拙者たちも急ぐでござる!」
 レンジーたちは扉をあけ、商店街へと飛び出していく。

 柿の木の、セミの雄叫びひとしおの、やれややれやの、うち勝負。
 白いはちまき額にまいて、羽織りも白く袖をふり、さらしを巻いた『しまっちゃう猫ちゃん』ミア・レイフィールド(p3p001321)が行列の先頭を歩いていた。
「ミアは、おうどん派……なの」
 手には麺棒。足は裸足。今にもうどんを踏んでコシを出しそうないでたちで、彼女は進む。
「さむさむな冬……あったかおうどんは格別、にゃ」
「そーだそーだ☆」
「なにより……白い! そう、このミアそっくり、なの!」
「そーだそーだ☆」
「白は至高……て、おうどんが最強、なの!」
「そーだそーだ☆ ミアさんのゆーとーりだー☆」
 ミアにめっちゃ追従してくる『ご当地ゆるキャラ』ちくわちゃん(p3p005218)。
「麺類最強……決定戦なの!」
 ウラーと叫んで麺棒を振る『戦好きのハイエナ』Briga=Crocuta(p3p002861)。
「オマエらァ! より歯ごたえがイイのは!?」
「「うどん! うどん! うどん!」」
「喉越しがイイのは!?」
「「うどんだ! うどん! うどん!」」
「オレたちはうどんを愛しているか! うどん粉を愛しているか!」
「うどおおおおおおおおん!!!」
「てめェら、勝つぞォ!」
 雄叫びを上げて走り出す真っ白なうどん派。
 それに応じて走り出す真っ黒なそば派。
 ここだけみたらちょっとくろーず2っぽい。
 ある意味一番それっぽい服装をしてた『想拳』西園寺 姫乃(p3p005034)が冷静な目でその光景を眺めていた。
「麺類最強決定戦には興味あるけど……殴り合う必要はあったのかな? まいっか、今日はうどん派で、ガンガンいくぞ――っと!」
 白いはちまきをしめなおし、姫乃は走り出す。
 商店街のあっちとこっちから走り、一斉にぶつかるそば派とうどん派。
 それを眺める沢山の見物客。ビールを売る美女。ケバブを売る黒人。賭けチケットを売り始める人。
 今日も楽しい、鉄帝の日常風景が始まるのだ。

●どんぶりなき戦い
「「そおおおい!」」
 お互いの頭にどんぶりを逆さに叩き付け合う鉄帝そば派と鉄帝うどん派。
 その横では豪快なジャンプによって飛び込む男が麺棒でうどん派を殴り倒し、そのまた横では屈強なドロップキックでそば派が蹴り倒される。
 麺斬り包丁をぶつけあい、無数に起きる火花の群れ。鍔迫り合ってにらみ合い、歯噛みする二人の店主。
 レンジーやBrigaたちによってたきつけられた彼らは鉄帝の血が騒ぐままに大乱闘を始めたのだ。
 観客たちもヒャッホーといってビールやソーセージを翳している。
 鉄帝ルールはシンプルだ。強い奴が偉いやつ。勝った奴が正しいやつ。ゆえに、戦いは『いいこと』なのだ!
「負けていられないよ! マジックロープ!」
 レンジーはゆでた蕎麦を放ってうどん派の首に巻き付けた。
「まだまだ! ソーンバインド!」
 更に蕎麦を鞭のように叩き付ける。
 どうでもいいけどソーンバインドってスキルの中で一番字面がソバっぽい。
「ぐ、ぐあああああ! なんていう蕎麦の香りだ!」
「このままではうどん派が蕎麦を好きになっちまう!」
「そうは……させないの!」
 瓦屋根から飛び立つミア。
 ジェットパックとサイバーゴーグルと麺罪符を装備したミアはめんつゆをジェット噴射しながら飛行すると、そば派たちに向かって大量の唐揚げを機関銃で乱射しら。
「ぎゃああああああ!」
「無節操なまでの油もの! これに合うのはうどんか白米しかなくなってしまう!」
「まけるなみんな! 反撃だ!」
「たたかえたたかえー☆」
 アクセルとちくわちゃんが妙にふにゃふにゃした麺棒で殴り合う。
「皆、私に続きな!」
 姫乃は『饂飩!』て筆で書かれた特攻服めいたヤツを羽織り、そば派たちへと突撃していく。
「勢いでおされるソバ派ではないでござるよ!」
 背中に『蕎麦!』て筆で書かれたハッピを羽織った下呂左衛門がカウンター突撃。
 下呂左衛門と姫乃の拳が真正面から激突し、その頭上を無数の袋爆弾が飛び交う。あちこちでそば粉とうどん粉ば爆散し、空と大地を白黒でまぜてゆく。
「やっぱりあのツルツルとした喉越しと噛みごたえは蕎麦には無い利点だよね! それに、色んな具材とも組み合わせて楽しむことも出来る! 例えば、カレーうどんとかは聞くけれど、カレー蕎麦とかあまり聞かないし! それが何よりの証拠!」
「カレー蕎麦くらいあるでござる! そちらこそ蕎麦焼酎はあるのに饂飩焼酎はないでござる!」
「つくればある!」
「こちらもおなじこと!」
 額を岩のごとくぶつけ合う二人。
 Brigaは長く切ったうどんを振り回し、くるひとくるひと片っ端から殴り飛ばしていった。
「うどんをこねるように! 腰を入れて打つべし! 打つべし!! 打つべし!!! オマエらも続け!」
「うどんを打つべし!」
 対するはヒグマゴーグ。
「ぬるいわ! かたい蕎麦生地を練るような重い一撃をくらえ!」
 ヒグマゴーグはうどん派のファイターをアッパーカットで殴り飛ばすと、蕎麦を切るための包丁をダブルで握り、空中をざくざくと切り始めた。
 うどん派の持っていたこねたてのうどん粉が細く切り裂かれて落ちる。
「この太さではもはや麦切り、二度とうどんは名乗れまい!」
「チッ……あいつ、やるな……」
 すらりとうどん包丁を取り出すBriga。
 ヒグマゴーグと向き合い、互いの中心点から円周ラインをゆっくりとすり足で歩く。
 目を見開くは同時。
 包丁の鋭い切れ味が、互いの持っていたそば粉とうどん粉のふくろを切り裂く。
 舞い散る粉。振り返る二人。
 もう一太刀が交わされる。

●そばとうどんとてってーと……ちくわと!?
 戦いの中で倒れる同志たち。報復に重なる報復。ふくれあがる戦場の暴力。あと売れまくる黒ビールとソーセージ。
 互いのファイターたちが倒れ、戦場ががらんとした、その頃のこと……。
 突如屋根の上から声がした。
「はーっはっはっはっはっは!」
 そう。アクセルの高笑いだ。
 一体何をと見上げる人々に、アクセルはそば派のハッピを脱いで見せる。
「うどんも蕎麦もちくわの下、ちくわの台になる存在にすぎない」
「なんだってぃ!?」
「聞き捨てならんでごわす!」
「君はそば派ではなかったのか? ……まさか!」
 ハッとして目を見開くレンジー。
 アクセルは不敵に笑うと、盾につけていた『そば』のステッカーを勢いよくはがした。裏から現われたのは、そう……ちくわのゆるきゃら、『ちくわちゃん』ステッカーだ!
「思い知らせてあげよう、このSCR(セイントちくわレプリカ)の力で!」
「ちくわイズゆにばーーーーーーーーーーす☆」
 天高く跳躍するちくわちゃん。
 そのまごう事なきちくわ的姿に、人々は思わず見とれた。あとソーセージのついでに焼きちくわが売れた。
「見ろ、奴が持ってるのは麺棒じゃない。ちくわだ!」
「私は両陣営の上に立つ者……そう、うどんも蕎麦も、どちらも等しくちくわの添え物だもの!」
「そんな……ちくわんは、仲間だと思ってたのに……」
 ぐらりとよろめくミアを、姫乃ががしりと支えた。
「認めるしか無い。奴は……うどん派を裏切ったんだ……!」
 実はラーメンのほうが好きだけど、とは口に出さない姫乃である。ぶっちゃけ両陣営のそば派うどん派にもラーメン派やパスタ派が混じってるので今更でもある。
 そんな世界の残酷さをうどんのように噛みしめて、姫乃は拳を握りしめた。
 と、その時!
「グマハハハ、何がちくわだ! 頭から喰ってくれる!」
 着地してカワイイポーズをとっているちくわちゃんにヒグマゴーグが襲いかかった。
 ちくわちゃんを押し倒し、がぶがぶと噛みついていく。
「所詮はちくわ。この程度の……ぐ、ぐあっ、ぐあああああああああ!」
「なんだ!?」
 突如として頭を押さえ苦しみ出すヒグマゴーグ。
 彼はよろよろと混乱したように歩き、木箱に突っ込むようにして倒れた。
「い、一体、なにが起こった、の……」
 不安うずまく静寂。
 それはほんの一秒ほどで破られた。
 そう、当のヒグマゴーグによって。
「チクワハハハハハハ!!」
 ちくわのかぶり物をしたヒグマゴーグが、高笑いをして立ち上がったでは無いか。
「ちくわの力は素晴らしい……! 俺はちくわパワーにより、ちくわ熊怪人チクワゴーグとなった! ちくわ大明神の意思に従い、うどんも蕎麦も等しくちくわに詰めてくれよう!」
「くっ、ちくわ面に呑まれたか……!」
「まずいでござる、このままではほかのそば派たちもちくわの餌食に……」
 焦り身構えるレンジーや下呂左衛門たち。
「いいぞちくわ熊怪人! そば派もうどん派も、みんなちくわ派にしてしまうんだ!」
 アクセルは高笑いをあげながら、というかヒャッハーとか叫びながらちくわミサイルを打ちまくった。己が魔力をちくわに変え対象に撃ち放ちます。(スキル説明をコピペしそこないました)
 さらに近づく敵にはちくわ弾にちくわ放出。ちくわを放ちます。魔的な力を純粋なちくわとして放出します。
 ちくわを喰わされた人たちは次々と『ちくわしかもってねえ』しか言わなくなり、まるでゾンビのように立ち上がる。そば派もうどん派もだ。
「世界は……麺類は、ちくわのおふとんでしかないの……?」
「くっ……」
 悔しげに目を瞑る姫乃。
 そんな時、Brigaが突如として火を噴いた。
 酒をふいてライターでチャッてやるやつである。ついでに偶然居合わせたギターバンドが急にメタルを演奏し始めた。
「落ち着けェ! 気にすンな、うどんが最強だって事は変わらねェ! そばもちくわも纏めてぶっ飛ばして、オレ達の、うどんの色に染めてやれ!!」
「そ、そうだ……」
「うどんが至高であり最強だって見せつけてやれェ!!!」
「そうだー!」
 たちあがるうどん派たち。
「わたしたちそば派も負けていないよ! 立つんだそば派!」
「皆の者、我に続けー!」
 下呂左衛門は蕎麦ガエル変化を施し、ちくわ派たちへと飛びかかる。自らの闘気によって蕎麦風の武者鎧を形成し、身の守りを固めます。どのへんが蕎麦風かっていうと、かぶとの角のとこです。
「てやんでえ! そばがちくわに負けてちゃ、麺類の面目丸つぶれだぜ!」
「おいどんのうどんはちくわのよりも太い心をもっているでごわす!」
 うおーと叫んで飛びかかるダブル店長。
 ちくわちゃんは不敵に笑うと、その二人を頭から放つちくわフラワーによって打ち払った。鮮やかなちくわが対象を襲います。
「「グワーッ!!」」
 火花を散らして吹き飛ぶダブル店長。
 駆け寄るそば派とうどん派たち。
 ちくわちゃんはご当地名物ちくわダンス(夏のちくわ音頭バージョン)を優雅に踊りながら両派閥を挑発しはじめた。
「麺類の力はその程度みたいだね。これからは二人ともちくわ屋さんを始めるといいよ。めんつゆに蒸したちくわをつけて食べるんだよ!」
 それはそれで美味しそうだけども。
 傷つき倒れそうになったそば店長。
 だがそれを、レンジーと下呂左衛門が支えた。
「大丈夫、そばはまけないよ!」
「風味の強さをみせてやるでござる!」
 一方で、うどん店長をミアや姫乃たちが支えた。
「うどんみたいな……太い麺こそ、パワー。火力は正義…なの!」
「えっ、あっ、うん私もそう思う!」
「うどんのコシを見せてやろうぜェ!」
「「応……!!」」
 ダブル店長が立ち上がった。
「ケケーッ! ここを通りたかったらオイラたちちくわ四天王を倒していくんだね!」
「ちくわちゃん大明神には指一本触れさせぬわ!」
「二人しかいないじゃーん!」
「へぶう!?」
 蟷螂拳みたいな構えで飛びかかるアクセルをパンチで沈める姫乃。
 バッグからねこちゃんヘッドみたいな可愛い爆弾を取り出してぽいぽい投げるミア。レンジーがヒグマゴーグを蕎麦で縛る。
 ヒグマゴーグは笑いながら爆発に巻き込まれていった。
「ちくわちゃん大明神に栄光あれー!」
「最後は貴殿だけでござる!」
「覚悟しやがれェ!」
 下呂左衛門、Briga、そしてダブル店長が包丁で斬りかかる。
 そう、そば包丁もうどん包丁も、実は同じ麺包丁。
 ちくわちゃんはフッと笑うと、その場に膝を突いた。
「どっちも……美味しいよね……ばたり」
 自分でばたりって言いながら倒れるちくわちゃん。
 そば店長とうどん店長は互いの顔を見合い、そして握手を交わした。
「ちくわの下では同じ麺。たしかに……蕎麦も、美味いでごす」
「うちの蕎麦はうめえが、あんたのうどんも……うめえと思うぜ」
 わき上がる拍手、さっきまでそばだうどんだちくわだって言ってた連中も立ち上がって拍手をはじめ、みんなビールで乾杯した。
 そう。これは鉄帝の日常風景。
 今日もそばとうどんがよく売れた。

成否

成功

MVP

ちくわちゃん(p3p005218)
ご当地ゆるキャラ

状態異常

なし

あとがき

 なんだろうこのいいはなしは。
 結果の緩急とオチを全てもっていったちくわちゃんのおかげといっても過言では無いので、ここはMVPを差し上げます。

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