シナリオ詳細
炎の川辺とフレイムワイバニア
オープニング
●炎の川辺
覇竜領域の集落ペイトから南西に伸びる自然地下洞窟を通り抜けた先には、『炎の川辺』と呼ばれる場所がある。
そのエリアに到着したあなたは、顔面に吹き付けてくる熱気に思わず顔をしかめるだろう。
耐性を持っていたとしても避けられない暑さと、として圧力すら感じるほどにエリア内を流れる熱気。
地下洞窟を通る際に感じなかったのは特殊な空気の動きのせいか、それとも魔法的な作用か。
ともかく炎の川辺に達した時点で体中から汗が噴き出るような、例えるならサウナのような熱に満たされた空間に放り込まれることになった。
更に驚くべきは、ずっと向こうには赤く光る川のようなものが流れており、それがなんと溶岩(マグマ)だというのだ。いくら地下とはいえここまであからさまにマグマが流れている風景というのは異常だ。それこそ魔法的な何かなのだろうと、納得せざるを得ない。
高所からこぼれ落ちるように、小さな滝のように流れるマグマが凹凸のはげしい岩場の間を流れていき、小さく分岐する川のようにも見える。おかげで随分明るいのだが……。
「あそこに落ちたらタダではすまん。仮に火炎系統のBSを無効化する能力を持っていたとしても、熱によるダメージを逃れることはできないだろう。触れただけで死ぬということはないが、相当厄介なダメージ源であることは間違いないな」
そう説明したのはアルエというドラゴニア女性だった。
ペイトで生まれた水属性のドラゴニアであるという彼女は、ゆるく羽織ったジャケットとパンツスーツ。どこかデキる女風の眼鏡をかけているが、案内中にずっと干し肉を囓っていた。アルエはきりりと視線を向けると、曇りはじめた眼鏡をとってポケットへとしまった。どうやら伊達らしい。
「ローレットさん。この『炎の川辺』には頻繁に『フレイムワイバニア』というモンスターが出現する。
これから深く付き合っていくに当たって実力を試してやってほしいと里長から言われているんだが、私としてはワイバニア退治は丁度良い腕試しだと思っている」
フレイムワイバニアとは人型のシルエットをもつ亜竜で、常人(ドラゴニア)と比較して大柄な肉体と翼。ワニガメのような恐ろしい頭部や手足を持っている。
牙や爪による徒手格闘能力の恐ろしさは言うまでもなく、亜人系モンスターのように武器を作って扱うだけの知性を持っているというのが厄介なポイントだ。
「今回はより強力な個体を中心とした1グループを相手に戦って貰う。
フレイムワイバニアはドラゴニアを餌かなにかだと思っているくらいには話の通じない連中だ。遭遇したら確実に殺し合いになると思っておけ。
だが……私の考えではこちらが殺されるようなことにはならないと踏んでいるぞ。ローレットさんの戦闘能力は今までの案件で見せて貰っているが、この地域で生きていても問題無い程度には高いと出ているからな」
早速出てきたぞ、と広いマグマ川の対岸を指さすアルエ。
身の丈5mはあろうかという巨大なフレイムワイバニアと、それに付き従う3m前後のワイバニアがどすとすと歩き、たまたまその場を通りがかったワイバーンを巨石から掘り出したような両手剣で豪快に切断し殺していた。
勿論こちらにも気付いているのだろう。
数匹がこちらをにらみ付け、その中でもリーダーらしき個体がゴオウと吠えた。
常人であればすくみ上がってしまうような咆哮だが、アルエは腕組みをして不敵に笑う。
「さあ、見せてくれローレットさん。あなたたちの強さというものを」
- 炎の川辺とフレイムワイバニア完了
- GM名黒筆墨汁
- 種別通常
- 難易度NORMAL
- 冒険終了日時2022年03月26日 22時15分
- 参加人数8/8人
- 相談7日
- 参加費100RC
参加者 : 8 人
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参加者一覧(8人)
リプレイ
●
頬を流れる汗が、胸元を開いたシャツへと落ちる。そのまま胸の谷間へ流れていくが、気にしている暇も拭っている余裕もない。
とめどなく流れる額の汗を腕で払うようにして、『雪風』ゼファー(p3p007625)は『はあ』とため息をついた。
「バカみたいに深い山の奥に、死ぬほど寒い冬の雪原。果てが無く希望すら見えない大海原。
今まで色んなとこに行ってきましたけど……いや、此れは死ぬわ」
「だな……ちょっと前に、『混沌にも火山地帯ってあるのかねぇ』って呑気なことを言ってた自分を殴ってやりてえ気分だ」
酷い暑さだが、買ってきたアイテムのおかげでだいぶ気分は楽になった。
連れてきたワイバーンのジーヴァも、暑さに参っていそうな雰囲気だが戦うとなればしっかりやってくれそうに見える。
「あんたは平気なのか? 火の亜竜種なんだろう?」
「火の亜竜種でも暑いものは暑いのよ」
ぜえぜえいっていた『炎の剣』朱華(p3p010458)が、頭の上にひよこちゃんを置いて息をつく。なんでかわからないがひんやりした空気がおりてくるらしい。
「暑さにはそれなりに自身はあった心算だったけど、溶岩地帯はやっぱり辛いわね」
「しかし、ペイトも広いな。南西にこんな地下洞窟があったとは」
『紲家』紲 月色(p3p010447)がやれやれと行った様子で風景を眺めている。
こちらにまだ気付いていないのか、それとも脅威と見なさず無視しているのか、フレイムワイバニアの一団は倒したワイバーンの解体を始めていた。いたずらに殺すのではなく食うために殺していたのだろう。
「……溶岩地帯まであるとは、まったくドラゴニアの多彩さはとんでもないな」
肩をすくめる『特異運命座標』エーレン・キリエ(p3p009844)。
『半端者』ヴィクター・クロロック(p3p008362)は『そうだな』と生返事をしつつ、早く酒が飲みたいと心からの声で呟いた。
「この地域じゃ初めての依頼だが……しかしとんでもない熱さだな、こりゃ。もうだめ、しぬ……」
頭の中で冷えたビールを想像するヴィクター。
『おかえりを言う為に』ニル(p3p009185)がそっと溶岩の皮を覗き込んだ。
「おっこちたら大変、ですね。気をつけなくっちゃ」
もしもの時はお願いしますと、連れてきていた陸鮫ちゃんの背を撫でながら呼びかけるニル。陸鮫は鼻をつんとあげるような仕草でそれにこたえた。
各員、もしものときの復帰手段は用意しているようで。ゼファーはいまにもひからびそうな量産型ハイペリオン様を、エーレンはバックパックタイプの機械翼つきスラスターを。そしてマカライトは前述したワイバーンといった具合だ。
それは『人間の矜恃』ルーキス・ファウン(p3p008870)も同じで、陸鮫がどこかすました顔で彼の後ろをふよふよと泳いでいる。
懐に謎にひんやりしたひよこちゃんを仕込みながら、バンダナをいまいちどしめなおす。
「それにしても蒸し風呂状態ですね。長期戦になればこちらが不利です」
『過酷耐性』をもつかルーキスのように外付けで付与した者ばかりではない。長々と戦っていれば暑さにまけてへばってしまうだろう。
無論、そうした環境的不利の中でも戦えるかどうかを試されているのだろうが……。
「無様な姿を見せる訳にはいきません。それに……」
フレイムワイバニアたちがワイバーンの解体を途中でとめ、こちらに注意を向け始める。
彼らのことばは分からないが、なんとなく『餌が増えたからあれも持って帰ろう』と相談しているように見えた。
「このまま食べられるのは御免です。皆さんもそうでしょう?」
振り返ると、マカライトやゼファーたちが肩をすくめてかえしてきた。みな気持ちは一緒のようだ。
「では――!」
腰に下げた刀を抜き、ルーキスは走り出した。
溶岩が流れる大きな溝を勢いよく跳躍し、飛び越える。
●
世界は弱肉強食である。この有名な四字熟語は、単に強いものが弱いものを一方的に食うという意味だけが含まれているわけではない。
例え肉体的あるいは種族的に脆弱なものでも、相手を殺しさえすれば強者を喰らうことがある。例えば大きな昆虫を、小さなアリの群れが喰らうように。小ぶりな魚が大きな魚を毒で殺し、その骸を群れで喰らうように。
例え相手が脆弱なドラゴニアであったとしても、フレイムワイバニアは油断などしない。殺されれば、喰われるのは自分だと考えるからだ。
「――!」
ゴオウ、という咆哮をリーダーらしき大柄な個体があげる。
背の翼めいた部位を広げ、周囲のワイバニアたちが走り出した。
最初の衝突はやはりルーキスだ。
二刀流の刀を交差しぶつける彼に対し、フレイムワイバニアの石の両手剣が迎え撃つ。それも、大きな溶岩が流れる川の真上でだ。
衝撃は互いを弾き、ザッとルーキスは岩の上を滑る。
(飛び越えるのは容易だが、相手もそのタイミングを狙ってくるか。位置取りが難しくなってくるな……)
鋭い視線とは対照的に、冷静に状況を分析する。
「ニルさん。防御の固い仲間と常に隣り合うように移動してください。ダメージを受けた方はできるだけ動かずにニルさんの遠距離治癒魔法を受けて下さい。下がる瞬間を狙われると痛い」
「なるほど……地の利は相手にあり、か」
エーレンは刀を未だ抜かず、ちらりとヴィクターに視線を送る。
「一番右のやつに攻撃する。援護を頼む」
「了解。『飛ぶ瞬間』を稼ぐわけだな?」
頷きながらも走り出すエーレン。
溶岩の溝を跳び越えるその一瞬。タイミングを合わせるかのようにワイバニアの一体が手斧を投擲――しようとしたところにヴィクターの『ヴェノムクラウド』が炸裂した。
はげしいダメージを与える魔法ではないが、相手の注意をそらすには充分だ。斧で扇ぐよううに毒の霧を払うその一瞬の間に溝を飛び越え転がったエーレンが、ワイバニアの足を鋭く切りつける。
そうしている間に、ニルはある程度足場の広い岩の縁部分へと移動。早速格闘し始めたエーレンのダメージをフォローするために治癒魔法のリンクを繋いだ。
ニルが両手を組み合わせて祈りの姿勢をとると同時に、ほんわかと心穏やかになる空気がうまれ、光の糸で接続されたエーレンへと流れ込んでいく。敵から受けたダメージを充分に補填できるだけの回復量だ……が、そこへ他のワイバニアたちが密集しなければの話だ。
マカライトとゼファーは互いに顔を見合わせる。
こういうとき、強力なヒーラーであるニルを落とされるとキツくなる。かといって誰も攻撃してこないのに自らの攻撃射程に敵が入らない位置で棒立ちするとそれだけチャンスロスを起こすことになるだろう。
ここは溶岩地帯。長々と戦闘を続ければ負けるのはこちらだ。となれば……。
「皆、提案がある。ニルの守りを朱華に任せられないか」
「んえ!?」
二度見してくる朱華。当然だ。朱華は火力にかなりのリソースをさくことでいっそ防御をすてたアタッカーである。守りには適していない。が、その一方で豊富なBS無効化能力と射程距離の長い攻撃手段を持っていた。敵陣に突っ込ませないことのメリットは充分にあるといってもいい。
なるほどという顔で槍を構えるゼファー。
「この戦闘だと、味方の戦線を維持するよりも敵に『どれだけ早く3割まで損耗させるか』が重要そうよね」
戦闘の鉄則だが、部隊の損耗が3割を超えると撤退戦になる。ワイバニアとて死ぬまで戦う義理などないのだから、その状態にいち早くもっていくのがこちら側の実質的な勝利条件となる。
ある意味、そのためになら味方の一人くらいは戦闘不能になっても問題は無いのだ。
味方のHPを高水準で維持することよりも、より高い火力を序盤から敵にぶつける陣形こそ正しいのだ。
「んー、おっけ! ニルくん? ニルちゃん? とにかく朱華に任せなさい!」
飛び出そうと構えていた朱華は翼をバッと羽ばたかせることで制動をかけ、後ろ側に滑るかのようなフォームでニルの手前へと陣取った。
ザンッと両足を地面に踏ん張りつつ、翼で前方へ羽ばたくかのように推進力をかけ――剣に炎の力を燃え上がらせた。
「――『灼炎剣・烈火』!」
大上段から振り下ろした斬撃は、まるでロケットランチャーでも放ったかのような衝撃と共に炎の矢となってワイバニアに突き刺さる。翼を羽ばたかせたのはそのまま自分が反動で後ろにひっくりかえらないためだ。
そして(提案したときには言わなかったが)朱華を今回後方に下げることにはもう一つメリットがある。
この『灼炎剣・烈火』の攻撃射程は一直線上に伸び、それをさけるためにワイバニアたちは横に広げるように飛び退いた。
その隙をつき、朱華の攻撃に寄り添うような形で一気に溶岩の溝を跳び越えて月色が飛び込んでいく。
ドラゴン・ロアで風を纏い、螺旋状に空気を穿ちミサイルのように飛びかかる。
「フリアノンの紲一族がひとり、月色。推して参る!」
先ほど炎の矢がささったワイバニアめがけ、ガンエッジによる強烈な斬撃をたたき込んだ。
「退くことは考えん。圧し斬る」
太い腕を翳し剣を受け止めたワイバニア。その腕へ強引に剣を押しつけ、そのまま切り落とした。
痛みによる悲鳴があがる。
(取り巻きどもを始末したら次はリーダーを――)
と、月色が考えたところでプレッシャーが彼に押し寄せた。
はるかに巨大なボディと巨大な剣。つまりはフレイムワイバニアのリーダー個体が襲いかかったのだ。
当然というべきか、手下が倒されるまで何もしないほどリーダーはこちらを侮ってはいないということだ。
踏み込む足も、振り込む腕も、他のフレイムワイバニアよりはるかに早い。
(巨体故に鈍重だと思ったが……!)
ルーキスが邪魔をしようと飛び込むが、他のワイバニアがぶつかってくることで阻害された。歯がみし、声をあげ――ることはなかった。
ルーキスの横を勢いよく駆け抜け、ゼファーが地面にガツンと槍を突き立てる。棒高跳びの容量で跳躍すると、ワイバニアの投げた手斧すら飛び越える高度をとって溝をとびこえた。
「こんなトコでよろしく元気にやってる連中ですもの。
さぞやタフで、元気が有り余ってることでしょう。
成程、腕試しには持ってこいってワケだわ?」
ニヤリと笑い、そして手にしていた槍にいっぱいの遠心力をのせてリーダー個体の『腕』に叩きつけた。
支点を作られたことでぐねんと軌道を曲げた剣は月色の眼前をかすめていく。
一方で周囲のワイバニアたちがゼファーへと一斉に襲いかかった。
巨大な石でできた棍棒がゼファーの頭部に直撃し、血を流させる――が、ゼファーの表情はニヤリと笑ったままだった。
ジャラ――という鎖の音。それが聞こえたと同時にゼファーは転がるようにその場から離脱。残されたワイバニアたちを、無数に分裂した氷の鎖が襲った。
「暑気払いには丁度良いと思わないか?」
マカライトは地面につけていた手を離し、そしてヒュウと口笛を吹いた。
後方から飛んでくる黒い鎖模様の入ったワイバーン、ジーヴァ。
その背に跳躍によって飛び乗ると、槍に鎖を高密度で巻き付け巨大な棍棒へと変えた。
先ほど棍棒をふるったワイバニアめがけて叩きつけ。吹き飛ばす。転がったワイバニアはそのまま溶岩へと転落していった。
「――!?」
焦ったような表情で振り返るリーダー個体。
マカライトはそれで『確信』した。
「なるほど、お前達は持っていないんだな。溶岩からの復帰手段を」
ワイバニアの背には翼のようなものがあったので多少の飛行能力はあるだろうと踏んでいたが、どうやらこの翼はニワトリのそれのように飛行能力を持たないものらしい。せいぜいが『ゆっくり落ちる能力』といった所か。
歯を食いしばるワイバニアリーダー。それが怒りの表情だとすぐに分かる。
集中攻撃をさけるため、今度こそワイバニアを破り急接近をかけるルーキス。
リーダーの巨大な剣が叩きつけられ、ルーキスはクロスした剣でそれを防御――しつつも派手に吹き飛ばされた。
「帰ったら冷たいビールを沢山あげるからな。焼き鮫にならない様、何とか踏ん張ってくれよ!」
だがそのまま溶岩に落ちることはない。素早く割り込んだ陸鮫を『足場』にして蹴ると、ルーキスは岩場へ復帰して走り出す。
「一斉攻撃のチャンスです!」
ルーキスの剣がワイバニアリーダーへとたたき込まれる。
その後方へ、ゼファーは身体を大きく傾けながらカーブをかけて走り込む。
後方へ振り払うように剣を繰り出すワイバニアリーダー。ゼファーは槍でそれを防御し――つつ、同じくゼファーの後ろに回り込んでいた量産型ハイペリオン様に支えさせた。
「ほらほら気合い入れて! 落ちたら焼き鳥よ!」
「ペリー!?」
バタバタする量産型ハイペリオン様。ゼファーはそれを壁にしつつも、思い切り槍を投擲した。
「鳴神抜刀流、霧江詠蓮だ。こちらの都合で申し訳ないが、静かになってもらうぞ」
エーレン、ヴィクター、そしてニルまでもが集まり一斉攻撃を開始。
剣と魔法が派手に集中するなか、ワイバニアリーダーは剣を振り回しエーレンたちをはねのける。
先述したが、この段階になればもはや味方の損耗を気にしている場合ではない。
数の利を活かし一気に畳みかける時だ。
「すまねぇ、後は頼む。おぢさん貧弱なんだわ!」
苦笑し飛び退くヴィクターにかわり、ニルはそれまでため込んでいた魔力を拳に込めた。
ちいさい拳が、しかし莫大なパワーに包まれる。
「えいっ!」
繰り出されたパンチに、フレイムワイバニアリーダーは思いきり吹き飛ばされた。
そして、ニルが前に出るということは朱華も前に出るといこと。
月色が回り込むようにワイバニアの首を掴み地面にドンと押しつけたタイミングで、飛びかかった朱華の剣が思い切りワイバニアリーダーの胸に突き刺さった。
「竜の顎よ、敵を喰らいなさい」
剣を突き立てたそばから炎の力を流し込む。内側から爆発するように広がる熱にワイバニアリーダーが吠える。月色は抵抗するそれを押さえ込むように顔面を剣の柄で殴りつけた。
「もう一息だ、トドメをさせ!」
呼びかけに答えたのはマカライトだった。
「任せろ。それと二人とも、危ないからどいていろ」
マカライトは槍を地面に突き立て、己の魔力を流し込む。
するとワイバニアリーダーの倒れた地面から大量の氷の鎖が飛び出し、縛り付けたかと思うとその身体を包み込んでしまった。最後に『鎖でできた槍』が中央から突き立つことでワイバニアリーダーを貫き、その動きを完全に止める。
「これで官僚……だな」
「ああ、帰ってビールが飲みたい」
ため息と共につぶやくヴィクターに、誰もが似たような同意を示した。
成否
成功
MVP
なし
状態異常
なし
あとがき
――mission complete
GMコメント
●オーダーと今回の背景
ローレットは前人未踏のここ覇竜領域へと到達し、フリアノン・ペイト・ウェスタの三集落を中心にドラゴニアたちと友誼をかわすこととなった。
めでたくイレギュラーズとして召喚されたドラゴニアと共に新たなる体制をとりはじめたローレットは、『これからもやっていけることを示すため』として覇竜トライアルが継続されているのである。
内容はきわめてシンプル。覇竜領域の亜竜集落から発行される様々な依頼に対して、ローレットが冒険者ギルド的に請け負っていくというものだ。
今回はそんな中でも分かりやすく、放置すれば洞窟を通って集落に危険を及ぼすであろうフレイムワイバニアというモンスターの一団を倒すというものであった。
●フィールドとエネミーデータ
場所は『炎の川辺』と呼ばれる魔法的な溶岩地帯です。
凹凸のはげしい岩場に所々マグマが流れており、高所から滝のように落ちる早大なマグマも見ることが出来ます。明るく、そして暑い場所です。
熱気ゆえに『過酷体制』を初めとする非戦スキルを持たない場合APやHP等が時間経過で減少することがあります。(これには【火炎耐性】などのBS無効化能力は含まれません)
また、マグマへ転落すると大きなダメージを負ってしまうため、最低限の飛行能力や転落に際しての復帰手段を持っておくとよいでしょう。(転落からの復帰程度であれば簡易飛行や媒体飛行でも良いものとします)
敵となるのはフレイムワイバニアというモンスターの一団です。
人型に近い亜竜モンスターで、剣や斧、棍棒といった武器を用いて戦闘を行います。
全員『過酷耐性』スキルと『BS緩和1』『火炎鎧100』『HP鎧100』のパッシブ能力を持っています。
リーダー個体の能力は測定できていませんが、これよりも更に強力なものだと思われます。
●情報精度
このシナリオの情報精度はBです。
依頼人の言葉や情報に嘘はありませんが、不明点もあります。
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