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シナリオ詳細

カースドタイフーン:エスケープ

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●瘴気渦
 その日はよく晴れた朝だった。
 幻想の東外れ山間に位置するミーディアス村の住人は、照りつける太陽の光に目を細めながら、平和を謳歌していた。
 楽しげに歌う少年少女達の声。仕事に精を出し笑顔を浮かべる大人達。茶を啜る老人がホッと幸せに包まれた吐息を漏らした。
 ――しかし。
「お、おい。なんだありゃ……」
 村人が声をあげる。指さした先、遠くに見えるはどす黒く螺旋を描きながら立ち上る風。最初は一本の線だった風は、時間がたつほどに太く大きくなり――竜巻を思わせる柱となった。
 あんなに晴れていた空、照りつける光を放つ太陽は暗雲によって遮られ、どこか甘く生臭い――腐敗臭を齎す暴風が村を襲う。
 犬や猫、家畜たちが暴れ出し、人々も吐き気を催す程の不快感を感じる。
 柱は――徐々に村へと近づいていた。
 一歩、また一歩。ゆっくり、ゆっくりと。
 知識持つ老人が言った。
「アレは……瘴気渦(カースドタイフーン)じゃ……」


「瘴気渦の発生が確認されたわ」
 慌ただしく依頼書を書き記す『黒耀の夢』リリィ=クロハネ(p3n000023)がイレギュラーズにそう告げた。
「カースドタイフーンってなんなんだ?」
「読んで字のごとく。呪われた台風ってところかしら。
 発生のメカニズムは不明。周囲の生物を低級な魔物に変化させる瘴気をばらまきながら進む暴風域よ。
 その中心はまるで瘴気の竜巻ね。螺旋に渦巻く柱が触れる物を飲み込み破壊し尽くすと言われているわ」
 ――言われている。その言葉に首を傾げる。
「ええ、そう。実際に破壊された事例が起こったことはないの。
 今まで瘴気渦が確認された場所は全て海上の上だったのよ。被害もなく数時間後には自然消滅するから問題視されてなかったってわけね」
 それが、今回幻想の東外れに出現したらしい。
 ゆっくりとした足取りで、山間の村――ミーディアス村に近づいている。
「貴方達にお願いしたいのは、村人の避難誘導とその警護になるわ」
 瘴気渦の影響で、近隣の森に生息していた動植物が低級の魔物となって村を襲っているらしい。
 周辺を治める貴族コルト・ミルース卿の兵は皆、瘴気渦の調査によって疲弊しており、対応ができないようだ。
「瘴気渦の方にも特異運命座標ちゃん達に動いて貰っているから、なんとかなるかもしれないけれど、万が一が起きてからでは遅いものね。
 魔物の相手をしながら大きな展望台のある近くの高台までの避難。大変だと思うけれど、よろしくお願いするわ」
 百名ほどの村人を護衛しながら展望台へ連れて行き、その後村に戻って逃げ遅れた者がいないか確認、村へと進入する魔物達の処理。
 やることは山積みだが、一つずつこなしていくしか無いだろう。
 リリィから依頼書を受け取ったイレギュラーズは、早速手順を確認することにした――。

GMコメント

 こんにちは。澤見夜行(さわみ・やこう)です。
 台風の季節です。
 村人達の避難を手伝い、暴れる魔物達を倒しましょう。

●依頼達成条件
 村人百人の安全確保

●情報確度
 情報確度はAです。
 想定外の事態は起きません。

●瘴気渦について
 周囲の動植物を低級な魔物に変化させる瘴気が暴風域となって渦巻いています。
 魔物達は瘴気の影響を受けて暴れ狂っているので注意が必要です。

 ・カースドウインド
 (神特レ特)全体範囲・常時呪い、不吉、乱れの効果

 瘴気渦は避難開始から二十分後に村に到達する見込みです。

■魔物達
 低耐久な魔物達です。
 毒、火炎、出血のいずれかを付与する攻撃をしてきます。
 強くはないですが、数が多いので注意が必要です。
 
●リリィのメモ
 まずは村人の避難が優先ね。高台へ連れて行きましょう。片道五分といったところだわ。
 次に村の探索と魔物達の掃討ね。魔物達はどんどんでてくるわ。長期戦になるかもしれないから注意してね。
 連絡手段があれば避難と掃討を手分けできるかもしれないわね。

●想定戦闘地域とその他
 山間の村中、高台へ向かう林の中での戦闘になります。
 木々が生えていますが、戦闘は問題なく行えます。その他目に付く障害物はなく戦闘に支障はでないでしょう。
 天候は暗雲。午前十時ですが陽の光が届きません。
 そのほか、有用そうなスキルには色々なボーナスがつきます。

 皆様の素晴らしいプレイングをお待ちしています。
 宜しくお願いいたします。 

  • カースドタイフーン:エスケープLv:5以下完了
  • GM名澤見夜行
  • 種別通常
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2018年08月09日 22時10分
  • 参加人数8/8人
  • 相談7日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧 (8人)

秋宮・史之(p3p002233)
若木
浅木 礼久(p3p002524)
海賊淑女に愛をこめて
イーディス=フィニー(p3p005419)
翡翠の霊性
アニーヤ・マルコフスカヤ(p3p006056)
鋼鉄の村娘
ユゥリアリア=アミザラッド=メリルナート(p3p006108)
氷雪の歌姫
ノエル(p3p006243)
昏き森の
瑞泉・咲夜(p3p006271)
ユイ・シズキ(p3p006278)
流転の閃華

リプレイ

●瘴気に包まれた村
 ミーディアス村に到着したイレギュラーズが目にするのは、天を突く黒き螺旋の柱。
 周囲の木々を薙ぎ倒しながらゆっくりと村へと進むそれに、圧倒的な力を感じる。
「時間はあまりないみたいだね。急いで避難を手伝おう」
 柱の様子を見て呟いた『特異運命座標』秋宮・史之(p3p002233)の言葉に、他の七人が頷く。
「そうですね。それに周りを見てください」
「ふん、わらわらと出てきやがったな」
 『探索者』浅木 礼久(p3p002524) の声に釣られて周囲を見渡せば、瘴気に犯された動物のなれの果て――魔物達が村へと近づこうとしているのがわかる。
  イーディス=フィニー(p3p005419) は拳を叩き力を込めると、魔物達に敵意を向ける。
「それでは早速行動を開始しましょう。ユゥリアリアさんは手はず通り村の北――高台側の出入口に向かってください」
「了解ですわー。皆様も誘導お願いしますわねー」
 『鋼鉄の村娘』アニーヤ・マルコフスカヤ(p3p006056)がそう言うと、『特異運命座標』ユゥリアリア=アミザラッド=メリルナート(p3p006108)は用意した松明を取り出し、村の北側へ向け駆けていく。
「瘴気の影響か、やはり暗いですね」
「それに気持ち悪くなるくらい、イヤな臭いだね」
 サイバーゴーグル着用する『昏き森の』ノエル(p3p006243)の隣に並ぶ、瑞泉・咲夜(p3p006271)が鼻を摘まむ。
 咲夜の言うように瘴気の臭いは甘い腐敗臭だ。息をしているだけで気分が悪くなってくる。
 長時間この場に留まることはあまり良いとは言えないだろう。瘴気渦も迫ってきている。素早く高台へと避難することが求められていた。
「それじゃいきましょ。村の人たちがパニックにならんようにしませんと」
 『特異運命座標』ユイ・シズキ(p3p006278)の言葉を合図に、イレギュラーズは散り散りに村の中へと走って行った。

「あ、あんた達は一体? 今村は大変なことになっておるんじゃ、旅人を歓迎することはできんのじゃが……」
「あぁ、わかってるよ。俺達は特異運命座標――イレギュラーズだ。領主さまの依頼でな、あんた達村の連中を避難させにきたんだ」
 村の老人にそうイーディスは告げると、瘴気渦の危険性を知らせ、北にある高台へと避難する計画を教えた。
「そ、そりゃ助かる。すぐにばあさんと一緒に行こう」
「と、その前に……じいさんはそこから動くな! 魔物のお出ましだ!」
 イーディスの視線の先、兎が変異した魔物が躍り出る。低級な魔物。イレギュラーズに取ってみれば対した相手ではないが、老人にとっては危険な相手だ。
「いくぜ!」
 両手に仕込まれた高等呪印を輝かせ、先手を打つ。力を込めた足で大地を蹴り一気に肉薄すると息もつかせぬ格闘戦で魔物を大地に叩き伏せる。その力を前に魔物はなすすべなく倒れた。
「よし。じいさん、急ぎな。直に魔物がどんどん押し寄せてくるぞ」
「ひ、ひぇぇ……すぐばあさんを呼んでくるわい!」
 家の中に駆け込む老人を見送りイーディスは周囲に視線を巡らせた。魔物達が、ぞくぞくと現れてくる。
「さぁどんどん来な!!」
 栄光の手を輝かせるイーディスの気合いが響き渡った。
「さぁ、皆さんここですわよー」
 松明を振りながら村の北出入口で村人達を集めるのはメリルナートだ。
 続々と集まってくる村人達をまとめながら、人数が揃うのを待つ。
「特異運命座標さんや……、儂らは儂らの村は大丈夫なんじゃろうか……」
 心配そうにそう話しかける村長。メリルナートは安心させるように言う。
「高台の展望施設へと避難すれば大丈夫ですわー。それに瘴気渦の方も私達の仲間が対処していますわー。きっと大丈夫。今は高台へ避難する事を優先致しましょー」
 メリルナートの優しい声が混乱のただ中にある村人達の不安を紛れさせる。一人、また一人と増えていく村人達の数を数えながら、目立つように松明を振るう。
 集まった村人達が、互いに声を掛け合い無事を確認し、避難の時を待ち続けていた。
 現在集合した人数は五十人。後、半数を待つ。
「さぁ皆、北の入口に向かってください! そこに私達の仲間がいます! それを目印に!」
「みんな慌てんと松明を持った人の所に集まってな。何か困ったことがあったらウチらに声かけて」
 村を駆け、そう呼びかけるのはノエルとユイだ。多くの村人がその声に導かれメリルナートの待つ北の入り口に向かう。
 ハイセンスと直感による、超能力めいた集中力が魔物に怯え隠れている村人達を見つけ出し、助けることが出来る。非戦スキルを十全に活用していると言えた。
「ユイさん、南側から魔物一体来ます!」
「了解です。ウチが対応します」
 ノエルの呼びかけにユイが即座に反応する。
 腰溜めにして構えると、スラリと刀を抜き放つ。大きく口を開けた鹿を思わせる魔物が、ユイに襲いかかる。
 剥き出しの牙による噛み付きを刀で受け止め、受け流す。体位を入れ替え、側面を取ると、大きく踏み込み一刀の元に切り伏せた。断末魔を上げ魔物は動かなくなる。
「ふぅ……」
 大きく息を吐き出すと、すぐに耳を澄まして、助けを呼ぶ声を探す。そうして感知すれば、ノエルに伝え、二人で走り出した。
 史之と礼久も村を奔走していた。
「緊急事態です! 今すぐ松明を持ったイレギュラーズの所まで集まってください!」
 史之の演説めいた声が響く。よく通る声に家の中に隠れていた村人が顔をだし、事態の説明を聞き、すぐに飛び出してくる。
 魔物に襲われ怪我をしている女性もいた。史之は村の男性に手伝ってもらい、運んで貰うように伝える。
 誠実に話しかける史之の言葉に、村人達はすぐに信用を寄せ、自ら手伝いを買って出た。
 逃げ遅れた人を捜索しながら、声を掛けるのは礼久だ。
「皆さん高台への移動を行なってください。
 走らず、落ち着いて避難し、前の人を押さないようにご協力をお願いします。
 なにか困ったことがあれば近くにいるイレギュラーズに相談してください。対処します」
 史之と同様に誠実に、緊急事態であることを告げ、避難を促す。
 召喚される以前の世界――その時の記憶を頼りに避難誘導を行う。弱気な自分ではダメだと、それではディープシーの海賊……あの人に追いつけない。心に火を入れ行動に移していった。
 村人達も進んで協力し、迅速な避難誘導が行われた。
「こっちの方はもう大丈夫かな」
「そうですね。まだ東側は誘導が行えてないはずです。すぐに向かいましょう」
 二人は魔物を蹴散らしながら、進む。
「このあたりの家はもう避難済みですね。そろそろ集合場所に向かいましょうか」
 アニーヤの言葉に、村の子供と手を繋ぐ咲夜が頷いた。
 二人の担当場所は粗方調べ尽くした。隠れて出てこないということも考えられるが、まずは今把握できている人たちだけでも避難させなければならない。
「お姉ちゃん……怖いよ……」
「大丈夫……大丈夫だ。何のために私達がいると思う?」
 寄り添い頭を撫で不安を拭っていく咲夜。子供達が安心できるように、とびきりの笑顔を見せ言葉をかける。
 それは、自分に言い聞かせる言葉でもある。自身の無力を、不運を呪う彼女は、どうか、今だけはと心に願った。
「行かせません――ッ!!」
 アニーヤの射撃が魔物を撃ち貫く。倒れる魔物の屍を超えて次の魔物が現れる。
「魔物達の相手は私達だ! ……守ってみせる」
 咲夜とアニーヤ。二人は村人達を守りながら、集合場所へと急ぐ。

●高台へ
 村の北、入り口には大勢の村人が集まっていた。
「人数は……九十七。残り三人……」
「仕方ありません。事前に決めたとおり、残りは私と秋宮さんで残って探します」
 ノエルと史之が頷く。
 メリルナートは二人に村長から尋ね聞いた残りの村人についての情報を伝える。それは子供三人組だそうだ。仲が良くいつも一緒に遊んでいるらしい。
「ウチの子達……クルゼとダート、それにミウを……どうか、お願いです。無事に連れてきてください」
 村人が頭を下げて懇願する。ノエルと史之は安心させるように声を掛け、三人がよく遊んでいるという、村のはずれの馬小屋へと向けて駆け出した。
「史之、ノエル! まだ残っている奴等の事は頼んだ!」
 その後ろ姿にイーディスが声を投げかけ、メリルナートに合図を送る。
 頷くメリルナートが手にしたホラ貝を鳴らした。低くよく通る音が村に響き渡る。
「……急ぎましょう」
「皆さん、高台へ向けて移動します! バラけないように注意してしっかりついてきてください!」
 村人九十七人を六人で取り囲み、瘴気の風の中、移動を開始した。
 高台まではそう遠くない道のりだ。小規模な林の中は獣道となっているが、それなりに広く、子供でも迷うこと無く高台へと向かえる。
 ただ、今回に限って言えば、そう都合良く進めるわけではなかった。
「東側、魔物が近づいて居る! 二体だ!」
「北からも来ています! こっちは三体!」
「北は俺が行く! ユイ、ユゥリアリア! 東の援護だ! アニーヤはこっちの援護を頼む!」
 メンバーの中では比較的戦闘経験値の高いイーディスが指示を飛ばし仲間と連携を取る。
 一体一体はそう強くない魔物だが、同時に多数でてくることでその対応に追われ、さしものイレギュラーズといえど、無傷というわけには行かなかった。
 また、周囲を支配している瘴気風が、体勢を崩すように纏わり付き、不吉を呼び込む。負わなくても良い傷を負いながら、それでもしっかりとした役割分担の甲斐もあり、村人
に怪我人を出すこと無く、高台の頂上、展望施設のある広場へとでた。
「皆さん、ありがとう。私達はここで瘴気渦が収まるのを待とうと思います。
 どうか、まだ村にいるであろう子供達を……どうか、お願い致します」
 村長が頭を下げる。そんな村長の肩を叩き、イレギュラーズは「任せてくれ」と力強く声を掛けた。
「二人……子供達も含めれば五人が心配やわぁ。急ぎましょ」
「そうですね。――瘴気渦もだいぶ近づいてきています。急ぐに越したことはないでしょう」
 アニーヤが視線を村の方へと送る。村の先、天高く伸びる瘴気の竜巻は、もう目と鼻の先まで近づいていた。
 六人は武器を持つ手に力を入れると、今一度村へと向かうために、林へと飛び込んでいった。

●逃げ遅れた者を探して
 六人が高台へと向かっている最中、史之とノエルは残された子供達三人を探して村を走っていた。
 村人達から聞いた情報では子供達は村の外れにある馬小屋をよく遊び場にしているらしい。
 直接そこへ向かいながらも、物陰や、人が隠れられそうな場所を確認していく。
「クルゼくん! ダートくん! ミウちゃん!」
 史之が声をあげ、探していることを知らせながら走る。
「――ッ! 邪魔です!」
 飛び出てきた魔物に向け、ノエルが即座に射撃する。正確な狙いをつけた弾丸が、魔物頭を吹き飛ばし息の根を止めた。
 二人は感じていた。徐々に魔物が増えてきていることに。それは瘴気渦が近づいてきたことに起因しているのか。疑問はあるが確かめる術は今は持たない。
 馬小屋にたどり着いた二人が、声を上げながら、馬小屋へと侵入する。
 取り残された馬達が怯えているようだった。
「……! 奥です。藁の中!」
 ハイセンスによって藁の中で身じろぎする何かの音を聞き取ったノエルが指さす。史之が急いで駆け寄ると、藁の中で怯えるように震えている三人の子供を見つけた。
「ひぃ、お、お願い、食べないで!」
「ごめんなさい! ごめんなさい!」
「ひっく……うぅ……ぐすっ……」
 クルゼが祈り、ダートが謝る。ミウは瞳から涙を流し泣いていた。
「よかった。三人とも無事だね。……俺達はイレギュラーズ。君達を助けに来たんだ」
「秋宮さん、急ぎましょう……魔物達が迫ってきています」
 二人の安堵した表情に目をぱちくりさせた子供達三人は、その後落ち着いて事情を聞く。そして村人達がすでに高台へ向かったことを聞き、この場にいるのは危ないと言うことを知った。
「俺達が高台まで連れて行くよ。さあ立って」
 史之とノエルに手を引かれ馬小屋の藁の中から出てくる三人。傷はなく問題なく歩けるようだったので、一安心というところだ。
 馬小屋の外にはすでに数体の魔物が餌を探して彷徨っていた。もしかしたら馬の臭いを嗅ぎ付け、喰らいにきたのかもしれない。
 史之とノエルはこの場に留まることの危険性を承知していた。故に、即座に飛び出し、魔物達を排除する。史之が前衛で敵を押さえ、ノエルが後方から援護する形だ。
「皆、落ち着いて付いてくるんだ。慌てなくていいからね」
「はぐれないようにしっかり手を繋いでいきましょう」
 馬小屋周辺の魔物を排除した史之とノエルは子供達にそう告げると、子供達が付いてこれる速度で――小走りに高台へ向けて走り出した。
 危惧していた通り、魔物の数が増えている。
 子供達を守りながら進むのはかなり難しく、とにかく一点突破で前方の敵を薙ぎ払いながら進んでいく。
 しかし、村の北側入口に辿り着く頃には、かなりの手傷を負った状態で、魔物に取り囲まれてしまうのだった。
(どうする……この数、さすがに二人では捌ききれない……)
(せめて子供達だけでも守り切らなければいけません)
 ジリジリと迫る魔物達。村の側の森で暮らしていた無害な動物の面影はなく、獰猛に、人の肉を求めていた。
 唸り声を上げながら迫る魔物の攻撃を防ぎ、武器を振るって薙ぎ払う。一体だけなら良いが、それが次々と連続に、同時に襲い来る。
 子供達を守るように立つ二人はその攻撃を幾度となく受けることとなり、ついにはパンドラに縋り付くこととなった。
「お兄さん……お姉さん……」
 子供達の心配そうな顔が視界に映る。負けられないと強く奮起した。
 武器を持つ手に力を込めて魔物達を薙ぎ払い、撃ち貫く。まだ戦えるのだと、強く誇示すれば、魔物達は怖じ気づくように一歩後退した。
 その時、横合いから援護が届く。不意の出来事に視線を巡らせれば、そこには高台から戻ってきた仲間達の姿があった。
「間に合いましたわねー」
「待っていてください。すぐに片付けますから」
 メリルナートと礼久が声を上げながら攻撃を放つ。そうして楔が打ち込まれるとイーディスと咲夜が穿たれた魔物の群れに突撃する。
「いくぞ――ラァッ!!」
「合わせる――!」
 二人のコンビネーションによる拳が、魔物を叩き伏せていく。
「負けられへんね」
「援護します」
 ユイが刀を一閃し、その後ろからアニーヤが射撃で援護していった。
「よし、これなら!」
「もう少しの辛抱です。すぐに高台へ――家族の元へ向かえますよ」
 史之とノエルも戦いに参加し、魔物達を掃討していく。
 二人と子供達を取り囲んでいた魔物達は、そうして数分持たずに打ち倒され、合流したイレギュラーズは、再度高台へ向け走り出した。
 現れる魔物は、物の数ではなかった――。

●瘴気渦
「嗚呼……三人ともよく無事で――!」
 高台へ辿り着くと、子供達の親が涙目に出迎えた。
「お兄さんとお姉さんが助けてくれたんだ!」
「お兄さん達すごい強かったんだぜ!」
「お姉さんたちかっこよかった!」
 子供達がイレギュラーズの活躍を大人達に渾々と聞かせる。目を輝かせ、憧れを感じさせるしゃべりに、大人達も感心して聞き入った。
「皆さん、本当にありがとうございます。村を代表してお礼を言わせてください」
 村長がイレギュラーズの元を訪れ、頭を下げる。
「いえ、皆さんが無事でよかったです」
「ま、仕事だしな。気にすんな」
 たいしたことはしていない、とイレギュラーズが謙遜して返せば、村長を含め村人達は皆もう一度イレギュラーズに感謝した。
「……村人はなんとかなりましたけど、村の方が心配ですわねー」
「確かにそうですね」
 メリルナートの言葉に、アニーヤが頷く。展望施設から村を見下ろせば、村のすぐ側まで迫った瘴気渦が見える。
 瘴気渦の対処に向かったあちらのイレギュラーズはどうなったのだろうか。事態の展開を見守るしかできないイレギュラーズだった。
 事前に聞かされていた村への到達時間が迫る。じっくりと、その様子を観察する。
「皆見て! あれウチらのお仲間違いますか?」
 ユイの指さした先。村の入口で瘴気渦に攻撃を加えるイレギュラーズの姿が見える。
 そして――。
「あっ! 瘴気が弾けて――!」
 瘴気渦が何か衝撃を受けたように大きく歪む。そして、内に溜まった瘴気を吐き出すように広げ、速度を増しながら村へと突撃する――!
 間に合わなかったのか? そう疑問が浮かぶより先に、村の入口の柵を破壊した瘴気渦は、一瞬にしてその濃密な瘴気を霧散させて……。
「消えた……」
「終わった……?」
 言葉通り、一瞬にして、その存在を消し去った。
 まるで何も無かったかのように瘴気が霧散していく。
 あっけないようだが危機は去ったのだ。
 その光景を見ていたイレギュラーズは、村が無事だったことに安堵しつつ、自分達もいつかあの柱ような大物の対処に向かうときがあるかもしれないと、来たるべきその日に向けて心構えた。
 薄れゆく瘴気の残滓が空気に溶け、空を覆う暗雲はその身に切れ間を覗かせて。
 陽の光が地上へと降りていった――。

成否

成功

MVP

なし

状態異常

なし

あとがき

澤見夜行です。
結果詳細はリプレイをご覧ください。

プレイングはとても良く、問題なく依頼成功となりました。
欲を言えば、班を分けた際の連絡手段が欲しかったかもしれませんね!

何はともあれお疲れ様でした。
次の依頼も頑張ってください!

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