シナリオ詳細
再現性東京XXXX:アイドルハザード
オープニング
●アイドルハザード
壁一面を埋めるように大きなアイドルポスターが掲示されている。
フリフリの衣装で歌って踊る、ステレオタイプなアイドルである。
ゼファー (p3p007625)とリースヒース (p3p009207)は無言かつ無表情でそれらを見てから、ゆっくりと視線を下へと下ろした。
壁に背を向け、そしてこちらを向いたBBAがいた。
おばあさんでもご老人でもご夫人でもなくババア(BBA)と表現して然るべきババアである。バリバリのパーマに皺の寄った顔をしたババアは両手をバチンと顔の前であわせ――。
「ハァイ! 桃色の恋心ォ! ドキドキのキス待ちタイム! キラキラの目が合って胸がキュンキュン胸キュンキュン!」
バッキバキのアイドルソングを絶叫のような声で歌い出し、奇怪なダンス(多分アイドルダンス)を始めた。
ババアが狂ったのではない。
強いて述べるならば……狂っているのは世界であった。
「キラッ☆ 全混沌のみんな~☆ クマゴロウちゃんだよ~☆」
横ピースでウィンクしながら乙女走りをする身の丈2mの巨漢がいた。
レイリー=シュタイン (p3p007270)とメイ=ルゥ (p3p007582)は全力疾走でショッピングモールの中央通りを走り抜け、追いかけてくるクマゴロウちゃん(45歳妻子持ちの大工)から逃げている。
「ハァ、ハァ……なぜこんなことに……!」
「そ、そ、そんなのわからないのですよ!」
始まりはそう。再現性東京のどっかでショッピングモールに取り残された一般人救出を依頼された彼女たちが、屋上からのダイナミックエントリーでモールへ訪れた時のこと。
街はあろうことかゾンビ(?)の集団に占拠されており、ウィルスによって感染した人々がガソリンスタンドを爆発させたり都市機能をぶっ壊したりとやりたい放題であった。
「見たところあんまり強そうなモンスターじゃないですよ」
「暴力で解決できるならそれにこしたことはありませんよ」
屋上に立ち上がるブランシュ=エルフレーム=リアルト (p3p010222)とハンナ・フォン・ルーデル (p3p010234)。
彼女らは受けた依頼を遂行すべくモールへと突入。一階のロビーフロアへと降りていった。
そこには老若男女が集まり、正面にある扉に椅子やテーブルを押しつけるようにしてバリケードをこしらえている所だった。
「ヘルちゃんが来たときにはもうこうなってたのだ」
「あれが生存者ってことなんでしょうか」
一足さきにフロアへ到着していたヘルミーネ・フォン・ニヴルヘイム (p3p010212)と猪市 きゐこ (p3p010262)は到着した仲間たちへと振り返る。
八人そろった仲間達。これだけの戦力があれば、ちょっと数が多いだけのゾンビ群れなどちょちょいのちょい(死語)である。
仲間達は頷き、そして歩きだそう――としたその時。
「私のチェリーちゃんはどこ!? ああっ、あんなところに!」
ババアが狂乱したように叫び走り出した。バリケードをいきなり解体しはじめ、僅かにあいた扉から顔を出す子犬を抱き上げる。
「「あっ」」
こういうときの定番『ババアを黙らせる』をしていなかったことに気付いたがもう遅い。僅かに開いたバリケードから津波のようにゾンビが押し寄せ、まず最初にババアへと食らいついた。
ンギャーという悲鳴の後。ゆらりと起き上がるババア。
その姿は……アイドルであった。
「「……!?」」
●いまから頭のネジを百個くらい外してほしい
必死の戦いであった。あらゆるスキルを使いつくし、武器や防具も取り落とした仲間達はちりぢりとなってモール内を逃げ続ける。
奴らにヤられれば、待っている未来はあのババアやクマゴロウちゃんと同じ……そう、アイドルである。
「なんでアイドル!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
たぶんここまで全員がずっと思っていたことを、レイリーが両手をグーにして地面をぶったたきながら叫んだ。
床に座り込んでゼーハーいってたメイは立ち上がり、キリッと赤い眼鏡をかける。インテリアピールである。
「聞いたことがあるですよ。これは……『Aウィルス』!」
「Aウィルス……」
「噛まれた人間はたちまち古典的なアイドルになって、非アイドルを探し出してはアイドルを増やし続ける怪アイドルと化すのですよ!」
「怪アイドル……」
「矢も盾も尽き果てた今、ショッピングモールにあるテキトーなものをつかってアイドルたちを倒しつつ退路を確保するのですよ! 屋上に逃げて、ヘリ(ヘリだよ)の到着を待つのです!」
なるほどと頷くレイリー。
地上がアイドルに埋め尽くされている今、屋上からのヘリ以外に逃げ道はない。
生存者を救助とかそういう話はもう忘れてくれ。来るための理由作りのためでしかないから。
「わかった。必ず……生きて帰ろうね」
レイリーはメイとぎゅっと握手を交わすと、とりあえずオモチャ売り場に置いてあったプラスチックのバットと水鉄砲を手に取った。
迫るアイドルたちに、身構える。
「さあ、どこからでもかかってくるですよ!」
- 再現性東京XXXX:アイドルハザード完了
- GM名黒筆墨汁
- 種別リクエスト
- 難易度-
- 冒険終了日時2022年03月11日 22時05分
- 参加人数8/8人
- 相談8日
- 参加費---RC
参加者 : 8 人
冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。
参加者一覧(8人)
リプレイ
●ゾンビとアイドルの組み合わせってたぶん一万回くらいやってると思う
「ハッ!」
『白騎士』レイリー=シュタイン(p3p007270)が宇宙一格好いい声を出して飛び退き、綺麗なフロアタイルが並ぶ通路を転がる。
すぐさま起き上がり走り出すその背を、全員で一糸乱れぬ初恋ダンスを踊るゲートボールクラブのジジイたちが追いかけてくる。
「私が囮になるから上へ逃げて。大丈夫、私もエレベーターからいくわ」
仲間達にそう呼びかけると、レイリーはおもちゃ屋さんで買ってきたフリスビーをシュッて連続で投げると迫るジジイアイドルたちの顔面へとヒットさせていく。
「さぁ、私はここよ! 追い付ける者はいるかしら?」
両手に持ったフリスビーを世界一格好良く構えると、レイリーは走り出す。
それを追いかけるジジイアイドルたち。
がに股で走る赤黒チェックのミニスカート集団を唐突だけど想像してくれ。
「ああはならないわ……たまにきわどい格好はしてもスポーティーか清楚な要素で統一してきたんだから……」
チーンと音をたてて開くエレベーター。中身は無人。
スライディングで突入すると、すぐさま閉扉ボタンを連打した。ダンスしながら迫るジジイたちがすぐそこまでせまったところで、扉は閉ざされエレベーターが上へと動き出す。
レイリーは安堵のため息をついて立ち上がり、そして腕組みをして強く宣言した。
「わたしは絶対、アイドルになんてならない!」
そしてガパッと天井が開いた。
「……あっ」
チーンという音と共に、横ピースのレイリーが現れた。
「はーい! お転婆白竜姫のレイリーよー!」
白黒チェックのミニスカート。好きなのはお兄様。ファンは私の大好きな下僕!
「ねぇ、カワイイ下僕達。今日は私がMVPよ!! 私の歌に魅了され幸せになりなさい!」
どこからともなく沸いてきたジジイゾンビたちと共に初恋ダンスを踊りながら練り歩き、ウィンクしながらたてた二本指にキスをした。
「あら、貴女もアイドルでしょ、思い出させてあ・げ・る♪」
チュッと投げキスをするアイドルレイリーが、そこにはいた。
白い作業テーブルを前に、『雪風』ゼファー(p3p007625)はゆっくりと視線を巡らせる。
「だからこういう場面でペットを飼ってる婆さんは先に排除しとけって言ったのよ。
こういう場面では9割9分9厘トラブルメーカーなんですからね」
などと言いながら、棚からダクトテープを取り出し適当なアイテムをテーブルへと並べていく。ビッビッてテープを伸ばしたり貼ったりしていく音が聞こえたかと思うと――。
「リリファのふくらみとリリファのふくらみを組み合わせて……コンボ武器『虚無』!」
満足げな頷きと共に掲げたのは虚無であった。
虚無?
なんか謎のフラグが発動してエンディングテーマとスタッフロールが流れ始める。ずっと画面端に知らないひとの名前が流れていくなかで、ゼファーは固く拳を握りしめた。
「OK! つまり、武器には頼らず素手でなんとかしろってことね!」
オラァと言いながら扉を蹴破り、アイドルゾンビの群れへとドロップキックからのジャイアントスイングをかますゼファー。
「道を開けろオラッッッッッッ!!」
そしてゼファーは……!
――ソリッドなブルーのタイトスーツ
――ネオンの様に煌めき揺らめく白のライン
――僅かに覗く肌にはメカチックなタトゥーシール
「そう、私こそがサイバー系アイドル、ゼファー!」
きゅぱりーんとサイバーなエフェクトが走るなか、ゼファーが銀色の爪で横ピースした。よく近未来感のある化粧させるとすぐ目元を銀色にするあれ何なの? 人類は数十年経つと銀メイクが流行るって確信でもあるの?
「オーケー、今宵は私が人生の迷い子の群れの寄る辺となってあげましょう
さあ、準備は良い?振り落とされない様について来なさいよ野郎共!!」
サイバーダンスでホールを練り歩くゼファー。
そのさまを……『葬送の剣と共に』リースヒース(p3p009207)は物陰に隠れたまま観察していた。
「死霊術寄りのゾンビが専門であってウィルス性のアイドルは専門ではないが、対処法は一緒だ。練達の映画で見た」
リースヒースが謎の木箱に隠れなおし、スッと両腕を翳す。そこにはめっちゃ大量のマスキングテープが巻かれていた。
「きゃーなにそれカーワーイーイー!」
「マジヤバー!」
「チョベリグー!」
屈強なおっさんたち(アイドル衣装)が腰をくねくねさせながらそれを見ていた。
「うむ、猫ちゃんのと蝶々のを腕にぐるぐる巻いてリボンも一杯巻いた防御スタイル。アイドルが可愛い物を攻撃できるはずがない」
今日一番のドヤァって顔(大体真顔)をするリースヒースがスッと立ち上がり、そこをどけぃとばかりに腕を振る。
「常人にこの防御を突破できるはずもない。サメアイドルでも現れなければな……!」
キリッとしたリースヒースの背後で木箱が開き、『アイドルシャーク(アルバトロス提供)』と書かれたサメがヌッて姿をみせた。
振り返るヒースリース。キラッ(牙)てするサメ。
「夜に――抱かれろ★」
宵闇の王子系プリンセス、リースヒースがフードコートのテーブルにへと飛び乗った。
黄色い声があがりまくる中、謎の黒いエフェクトが流れる。
「私はクールでダークな14才の心を忘れないアイドル――そう、ミッドナイト・プリンセス。
宵闇なのかミッドナイトなのかどっちかにしろなんて聞かせないよ? 後性別もね。アイドルの性別はアイドルさ――!
オタクと乙女の心をがっちりつかむ王子様系ドレスと涼しい流し目で、攻め攻めのライブを見せちゃおう、かな?」
ぴょんと飛び降り、バックダンサー(さっきのおっさんたちとサメ)たちを引き連れて踊り出す。
「さあ、私と一緒に果てない夜の輪舞(レビュー)へと赴こう! 漆黒の薔薇迷宮(ラビュリントス)に御身らを誘っちゃうぞ!」
倒したテーブルの影に隠れ一部始終を見ていた『呑まれない才能』ヘルミーネ・フォン・ニヴルヘイム(p3p010212)はサッと身を隠し、そしてゆっくりと首を振った。
「というか、何が悲しくてゾンビになってアイドルやんなくちゃいけねーのだ!
畜生! ヘルちゃんはこんな所に居られるか! さっさと逃げさせてもらうのだ!
仲間? こんな極限状態じゃどうせ信じられねーのだ! だから一人で行動するのだ!」
すちゃっと取り出したのは皆大好きシリコンスプレー。これに先端の長い着火器具(100円ライターを考案した会社が作ったらしいよ。総称して点火棒と呼ばれるよ)を合体させた秘密兵器が誕生していた。
「いくら疲れてるとはいえ、ヘルちゃんはこの中でも一番の反応&機動力の持ち主!だからそこら辺のゾンビに後れを取るなんてありえないのだ!
よしんば追い詰められてもスプレー缶で目つぶししてライターも使って簡易火炎放射器にして燃やしてやるのだ!」
バッと飛び出しアイドルゾンビたちにファイヤーするヘルミーネ。
「ヒャッハー! 燃えろ燃えろなのだー! わーはっはっはっ! ……は?」
豆知識。スプレー缶は耐熱性が低いので火に近づけると結構簡単に逝く。
「フフーン! 全国の下僕共! このヘルちゃんの為に集まってくれるなんて感心感心♪ でもまだまだ熱気が足りないわ! さあ! もっとヘルちゃんを求めて!」
露出度過多な巫女服風アイドル衣装を着たメスガキお色気担当アイドルがそこにはいた。
四つん這いになったハンバーグレストランの店長が踏みつけられている。
「ざぁこざぁこくそざこ売上☆ 半額にしないと客がこないなんて営業努力のかけらもないんだね☆」
飛びに星っていうかハートをつけながらぐいぐいすると、SNSでシズル感のあるメニューとそれを紹介する美人という組み合わせを毎日昼前と夕方にアップする作業をさせた。
「ほら、頑張れ♡頑張れ♡
うーん!ノッてきた―!いいわよ!下僕共!ご褒美をあげちゃう!
さあ、わからせてあげる! 刮目して聞きなさい! 『逝かせて! マイヘヴン』」
……という具合に仲間がメスガキアイドル(要素が濃すぎて売り方に迷うやつ)になっているさまを見せつけられた『炎熱百計』猪市 きゐこ(p3p010262)は被っていた段ボールの中でカタカタ震えていた。
「何で何で何でなのよ!
噛まれるとアイドルになるゾンビってどういう経緯でそんなのが生まれるのよっ!
イヤァァァァァ! アイドルになりtonight!
というより絶対ならないからねっ! 馬鹿じゃないのっ!? 恥ずかしいっ!」
一通りじたばたしたあと、きゐこはスーパーマーケットフロアへと歩を進めていた。
「とりあえずみんなと合流して屋上を目指すのよ。そのためにはアイドルゾンビが近づけないようにあたりを火の海にして……」
棚からスッと手に取ったのは、オリーブオイルだった。
見つめること三秒。
きゅぽっと開いて地面にたらすと広がる速度のおそいことおそいこと。
あと案外知られてないけどこの手の油の引火率は結構低いのだ。ガソリンや航空燃料のソレとは比べものにならないのでもしサラダ油かぶって火だるまになろうとしてる人がいたらとめてあげようね。
「ええい! こうなったらその辺の良く分からない音が鳴る痛そうな杖で――!」
握りしめたきゐこの手から、『マジカルキューティーパワー!』という声が放たれた。
「ご存知ないのですか!? そう! 私こそ依頼からチャンスを掴み、スターの座を駆け上がっている……腹黒可愛い担当の超銀河鬼っ子アイドル、星影の美少女の猪市きゐこちゃんです!」
アイドルオッサンが叫ぶと同時にキラッ(牙)てしたきゐこがめっちゃごちゃごちゃした雑貨店から飛び出してきた。
「皆ー! 見に来てくれてありがとうだわー!
ふふ〜♪ 私の可愛さと歌で皆を超ハッピーのもえもえきゅん♪ にしてあげるわ♪」
手を振りウィンクしたきゐこ。
その様子をサービスカウンターの裏から『航空猟兵』ブランシュ=エルフレーム=リアルト(p3p010222)と『天空の魔王』ハンナ・フォン・ルーデル(p3p010234)が無言で見つめていた。
「想像もしたくありませんがあれに噛まれるとアイドルになってしまうようですね……
こんなところに長時間いるとこちらの正気までも侵食されそうです!」
「こんなところに長時間もいられるわけないですよ! ブランシュ達はさっさと屋上へと脱出させてもらいますですよ!」
二人は振り返り、吹き抜けになっている中央エリアを見つめた。
ここから飛行すれば最上階への天窓を突き破りいきなり屋上へとでることができるだろう。
「二人であればこの困難も乗り越えられます!」
抱き枕とマジカルステッキ(きゐこがやられた原因になったやつ)を握りしめてカウンターから飛び出すハンナ。
ブランシュもまたピコハンを両手に持ちカラーコーンを頭に被った完全処刑スタイルで飛び出していく。
「そう、ブランシュたちは空を飛べるのですよ! 何より航空猟兵として戦った証であり、いつも頼りになる相棒!いくらアイドルとは言え空は飛べないはずですよ!
これでブランシュたちはクールに去るですよ。おさらばー!」
手すり前でアイドルライブかましていた男子高校生アイドルグループに手持ちの武器(?)をガッて叩きつけてから、二人は勢いよく吹き抜けへと飛びだした。
飛行装備を起動して真上へ一直線に飛び上が――ること一秒ほど。
『充電がきれかかっています。省電力モードに切り替えますか?』
「なにスマホみたいなこといってるですよ!?」
プスンと音をたててきれる飛行装備。
ブランシュは素早くハンナの両足をがって掴んだ。
「ちょっ!? ま!? なにするんですか!? す、スカートだったら中が見えますからその開き方はちょっと!」
「畜生ハンナさんアンタも道連れですよ!!!!!」
「何故!?」
あー! と言いながら転落していく二人。
そして吹き抜けフロアの一階にて……。
「みんな~~! ブランシュの登場ですよ~~! 二階席まで、キッチリ見てますよ!」
「待っててくれた?みんなの愛しのミリタリーアイドルっ!ハンナちゃんだよ~☆ミ」
軍服にどうかしちゃった魔改造を施したフリル衣装で登場したハンナと、ピンクのフリフリでがっつりカワイイ系アイドルとして登場するブランシュ。
「メカ兼幼女枠のおてんばアイドル。ときめき♡ブランシュ!ただいま参上!
性別なしだけど見ての通りの女子型アンドロイド!好きなだけガチ恋しても良いですよ……?」
「今日も私の歌と踊りでみんなのハートを撃ち抜いちゃうぞっ☆ミ」
二人はそれぞれの二本指を互いの唇にチュッてさせると、それを観客(?)に向けて放った。
百合営業をするもキスまではしないアイドルの信念を感じる芳醇で豊かな味わいです。SNSでキスを披露するよりよくみると後ろで手を握りあっているような隠された百合に想像力がかきたてられ生きる希望が湧くものです。(アイドルソムリエの言葉)
「それじゃあ一曲目いっくよ~! 『恋の弾丸』!」
「次は『キラキラワンダーランド』ですよ!」
仲間達が次々とアイドルとなっていく中、『シティガール』メイ=ルゥ(p3p007582)は慎重に行動していた。
CDショップから出てきたメイは扇状にシャッと開いたCDを手裏剣みたいにしゅっしゅと投げてアイドルゾンビBBA84(平均年齢84歳の意味)を牽制した。
「メイは元々アイドル好きなので実質ノーダメージなのですよ。挨拶してるときもメイだけほとんど素だったのですよ!」
今日は一人勝ちですよという顔でニヤァっとするメイ。
CDについていた握手券をついでにシュッシュと手裏剣すると、鼓笛隊風の衣装をきたアイドルのポスターを広げまじまじと見つめていた。
「あーこれいいですね。メイ、これ着たいのですよ!」
とかいいながらてくてく階段をフツーに上りフツーに屋上にやってきてフツーにジェットパック(可愛いチェック柄リュックサックタイプ)の紐を引っ張って起動させると、シュゴーって音をたてて空へと飛び上がった。
「皆さんがアイドル化する前にこの資料をお届けしなければ!!
あとアイドルな皆さんの姿をaPhoneで撮影するですよ!
あ、メイの分もちゃんと自撮りしなければ!
出会った皆さんにもちゃーんとお見せするのですよ!」
今日のメイは完璧なのですよ! と言いながら――キャプコーンと書かれたヘリがメイへ直撃した。
花火のあがる空。
スマホで自撮りしながらステージへとあがるメイ。
集まってくるのはレイリー、ゼファー、リースヒース、ヘルミーネ、ブランシュ、ハンナ、きゐこ。
全員集合でぞれぞれのポーズをとると、サイリウムの海に微笑みながらマイクを握った。
「それでは聞いて下さい、ローレットガールズで――『ミリ残しパンドラは凶器!』」
●ハッ!?
「「夢か!?」」
お泊まり女子会の朝、一斉に起き上がる八人。
彼女たちの枕元には、『アイドルハザード☆』と書かれたビデオテープ(ビデオテープだよ)が置かれていた。
成否
成功
MVP
なし
状態異常
なし
あとがき
ビデオはあとでみんなで見ようね!
GMコメント
いまから無茶振りを連発するので受け止めてください。
いきますよー
まず皆さんはショッピングモール(ジャ〇コ的なところ)に閉じ込められています。閉じ込められているったら閉じ込められているのです。
そしてアイドルゾンビに囲まれています。アイドルゾンビです。いますぐ脳裏にうかべた老若男女の群れにおそろいのアイドル衣装を着せてください。
あと皆さんは囲まれています。絶体絶命のピンチです。仲間ともはぐれ、ギリギリ二人組になれてるかどうかって程度の散り具合です。
更には皆さんは武器もスキルも使い果たしなんでかしらないけど補充もされないので、モールに置いてあるテキトーなものを使ってこのアイドルゾンビたちをポコパン殴って突破してください。ここであえて痛そうなものやマジで武器になりそうなものを選ばずに、パンケーキや子供用自転車(補助輪つき)やファンシーショップのでかいぬいぐるみを武器にしてください。なぜなら楽しいからです。
ほどほどにポコパンしたあとはご自由に『ここは任せて先に行け』してからアイドルになりましょう。なぜなら楽しいからです。
普段マジでやらないテンションできゃっぴきゃぴのアイドルを楽しみ尽くしたら、屋上でヘリが墜落するさまをご覧下さい。いまネタバレしました。
皆さんは仲良くアイドルになったあと無観客の100人ライブをモールでかましめでたしめでたしちゃんちゃんします。
最後は誰かが『は、夢か!』て言って目覚めますのでご安心ください。そうですあなたのキャラと尊厳は夢オチによって守られるのです。映像記録に残るけど。
受け止めきれましたか?
では最後に相談掲示板で自分がアイドルになったテイで自己紹介をしてみましょう。
「〇〇担当〇〇です!」てきゃっぴきゃぴにお願いします。スクショとっとくんで!
●情報精度
このシナリオの情報精度は夢です。
夢オチなら何をしてもゆるされるって神様(悪夢を司る外宇宙の邪神)が言ってました。
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